(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087561
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】映像記録システム、映像記録方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
G01N21/84 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202450
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若松 大介
(72)【発明者】
【氏名】大友 崇裕
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB20
2G051CA04
2G051DA06
2G051DA13
(57)【要約】
【課題】選別対象の物品が正常に選別されているか否かを目視で確認することを可能にする映像記録システム、映像記録方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】映像記録システムは、検査コンベアと選別コンベアを搬送される物品の動画を撮影する撮影装置40と、撮影装置40により撮影された動画を構成するフレーム画像に撮影時刻が記録された再構成動画を生成する映像処理部52と、検査装置10から出力された検査データを受信する検査データ受信部53と、再構成動画から所定時間の切出動画を切り出す動画収録部54と、検査装置10から出力された特定の判定結果の判定時刻に基づいて、判定結果が特定の判定結果である物品を切出動画から検知する第1物品検知部55と、第1物品検知部55により検知された物品を特定する印を切出動画に重畳した編集動画を生成する動画編集部59と、編集動画を表示する表示部71と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ライン(3)を構成する検査コンベア(13)上を搬送される物品(W,W0)を検査して、前記物品が良品であるか不良品であるかの判定結果と判定時刻を含む検査データを出力する検査装置(10)と、
前記検査装置から出力された前記判定結果が前記物品が不良品であることを示す異常判定であるときに、前記生産ラインを構成する選別コンベア(21)上から前記判定結果が異常判定である前記物品を排除する選別動作を実行する選別機(20)と、を備える物品検査システム(1)の動作を撮影記録する映像記録システム(2)であって、
前記検査コンベアと前記選別コンベアを搬送される前記物品の動画を撮影する撮影装置(40)と、
前記撮影装置により撮影された前記動画を構成するフレーム画像の撮影時刻を各前記フレーム画像に記録し、前記撮影時刻を特定可能な複数の前記フレーム画像を時系列で再構成した再構成動画を生成する映像処理部(52)と、
前記検査装置から出力された前記検査データを受信する検査データ受信部(53)と、
複数の前記物品(W)が前記生産ラインを搬送される動作モード時に、前記検査データ受信部から切り出し指示が出力されたことを条件に、前記再構成動画から所定時間の切出動画を切り出す動画収録部(54)と、
前記検査装置から出力された前記判定結果が特定の判定結果であるときに、前記特定の判定結果の前記判定時刻に基づいて、前記判定結果が前記特定の判定結果である前記物品を前記切出動画から検知する第1物品検知部(55)と、
前記第1物品検知部により検知された前記物品を特定する印を前記切出動画に重畳した編集動画を生成する動画編集部(59)と、
前記編集動画を表示する表示部(71)と、を備え、
前記検査データ受信部は、前記検査装置から出力された前記特定の判定結果をトリガとして、前記動画収録部に対して前記切り出し指示を出力し、
前記所定時間は、前記検査装置から前記特定の判定結果が出力されたタイミングと、前記選別機による前記選別動作が終了するタイミングとを含む時間であることを特徴とする映像記録システム。
【請求項2】
1つの前記物品(W0)が前記生産ラインを搬送される動作モード時に、前記再構成動画において、前記検査コンベア上の特定の検知領域(13b)を通過した前記1つの前記物品を検知するとともに、前記1つの前記物品が最初に検知された前記フレーム画像の前記撮影時刻を取得する第2物品検知部(56)と、
前記1つの前記物品について前記検査装置から出力された前記判定時刻と、前記1つの前記物品について前記第2物品検知部により取得された前記撮影時刻との時間差を取得する時間差取得部(57)と、
前記1つの前記物品が前記生産ラインを複数回搬送されることにより、前記時間差取得部により複数回取得された前記時間差の平均値を平均時間差として算出する平均時間差計算部(58)と、を更に備え、
前記第1物品検知部は、前記検査装置から出力された前記特定の判定結果の前記判定時刻に前記平均時間差を加算した時刻である加算時刻を算出し、前記加算時刻に最も近い前記撮影時刻以降の前記切出動画の複数の前記フレーム画像において、前記判定結果が前記特定の判定結果である前記物品を検知し、
前記動画編集部は、前記第1物品検知部により前記物品が検知された前記切出動画の複数の前記フレーム画像に、前記第1物品検知部により検知された前記物品を特定する前記印を重畳することを特徴とする請求項1に記載の映像記録システム。
【請求項3】
生産ライン(3)を構成する検査コンベア(13)上を搬送される物品(W,W0)を検査して、前記物品が良品であるか不良品であるかの判定結果と判定時刻を含む検査データを出力する検査装置(10)と、
前記検査装置から出力された前記判定結果が前記物品が不良品であることを示す異常判定であるときに、前記生産ラインを構成する選別コンベア(21)上から前記判定結果が異常判定である前記物品を排除する選別動作を実行する選別機(20)と、を備える物品検査システム(1)の動作を撮影記録する映像記録方法であって、
前記検査コンベアと前記選別コンベアを搬送される前記物品の動画を撮影する撮影ステップ(S6,S33)と、
前記撮影ステップにより撮影された前記動画を構成するフレーム画像の撮影時刻を各前記フレーム画像に記録し、前記撮影時刻を特定可能な複数の前記フレーム画像を時系列で再構成した再構成動画を生成する映像処理ステップ(S7,S34)と、
前記検査装置から出力された前記検査データを検査データ受信部(53)で受信する検査データ受信ステップ(S5,S32)と、
複数の前記物品(W)が前記生産ラインを搬送される動作モード時に、前記検査データ受信部から切り出し指示が出力されたことを条件に、前記再構成動画から所定時間の切出動画を切り出す動画収録ステップ(S9)と、
前記検査装置から出力された前記判定結果が特定の判定結果であるときに、前記特定の判定結果の前記判定時刻に基づいて、前記判定結果が前記特定の判定結果である前記物品を前記切出動画から検知する第1物品検知ステップ(S10)と、
前記第1物品検知ステップにより検知された前記物品を特定する印を前記切出動画に重畳した編集動画を生成する動画編集ステップ(S11)と、
前記編集動画を表示する表示ステップ(S12)と、を含み、
前記検査データ受信部は、前記検査装置から出力された前記特定の判定結果をトリガとして、前記動画収録ステップに対して前記切り出し指示を出力し、
前記所定時間は、前記検査装置から前記特定の判定結果が出力されたタイミングと、前記選別機による前記選別動作が終了するタイミングとを含む時間であることを特徴とする映像記録方法。
【請求項4】
1つの前記物品(W0)が前記生産ラインを搬送される動作モード時に、前記再構成動画において、前記検査コンベア上の特定の検知領域(13b)を通過した前記1つの前記物品を検知するとともに、前記1つの前記物品が最初に検知された前記フレーム画像の前記撮影時刻を取得する第2物品検知ステップ(S37)と、
前記1つの前記物品について前記検査装置から出力された前記判定時刻と、前記1つの前記物品について前記第2物品検知ステップにより取得された前記撮影時刻との時間差を取得する時間差取得ステップ(S38)と、
前記1つの前記物品が前記生産ラインを複数回搬送されることにより、前記時間差取得ステップにより複数回取得された前記時間差の平均値を平均時間差として算出する平均時間差計算ステップ(S40)と、を更に含み、
前記第1物品検知ステップは、前記検査装置から出力された前記特定の判定結果の前記判定時刻に前記平均時間差を加算した時刻である加算時刻を算出し、前記加算時刻に最も近い前記撮影時刻以降の前記切出動画の複数の前記フレーム画像において、前記判定結果が前記特定の判定結果である前記物品を検知し、
前記動画編集ステップは、前記第1物品検知ステップにより前記物品が検知された前記切出動画の複数の前記フレーム画像に、前記第1物品検知ステップにより検知された前記物品を特定する前記印を重畳することを特徴とする請求項3に記載の映像記録方法。
【請求項5】
請求項3に記載の前記撮影ステップ、前記映像処理ステップ、前記検査データ受信ステップ、前記動画収録ステップ、前記第1物品検知ステップ、前記動画編集ステップ、及び前記表示ステップと、請求項4に記載の前記第2物品検知ステップ、前記時間差取得ステップ、及び前記平均時間差計算ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品や医薬品等の物品の品質を検査する物品検査システムの動作を記録する映像記録システム、映像記録方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や医薬品を製造している工場では、物品に異常が無いか否かを検査する物品検査システムが導入されている。物品検査システムは、生産ライン上で順次搬送されてくる物品を検査する検査装置と、その後段にある選別機と、を備えており、検査装置で異常判定された物品(以下、「不良品」とも呼ぶ)を、選別機により生産ラインから排除するように構成されている。
【0003】
不良品を市場に流出させないために、当該物品が生産ラインから確実に排除されたことを確認したいという要求がある。そこで、カメラを設置して、検査装置で不良品を検知した時の映像(例えば、不良品検知の数秒前から数秒後までの映像)を記録し、不良品を生産ラインから排除する選別機上で、不良品が排除されたか否かを判定して、選別動作を確認する物品検査システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、生産ラインには、不良品の他に正常な物品(以下、「良品」とも呼ぶ)が同時に流れており、特許文献1に開示されたような従来の物品検査システムは、「物品を選別できているか否か」を確認できるが、「選別できている物品が不良品か否か」を確認できない。なぜなら、従来の物品検査システムは、不良品が正常に搬送されて選別機に到達する時刻の選別動作を記録しており、物品の搬送が乱れると画像又は映像に写っている物品が不良品であることを証明できないからである。そのため、異常と判定された回数と排除品の個数が一致していても、排除品の再検査結果が不良品ではなかった場合、選別機により排除された物品が不良品であることを、動画を確認しても明確にできないという問題があった。
【0006】
また、従来、投受光器を使用した選別動作の確認機能があるが、この機能も同様に選別対象である物品の判定結果を認識していないため、物品の搬送が乱れると選別ミスを正しく検知できず、不良品に対して選別機が動作したのかを追及できないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、選別対象の物品が正常に選別されているか否かを目視で確認することを可能にする映像記録システム、映像記録方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る映像記録システムは、生産ラインを構成する検査コンベア上を搬送される物品を検査して、前記物品が良品であるか不良品であるかの判定結果と判定時刻を含む検査データを出力する検査装置と、前記検査装置から出力された前記判定結果が前記物品が不良品であることを示す異常判定であるときに、前記生産ラインを構成する選別コンベア上から前記判定結果が異常判定である前記物品を排除する選別動作を実行する選別機と、を備える物品検査システムの動作を撮影記録する映像記録システムであって、前記検査コンベアと前記選別コンベアを搬送される前記物品の動画を撮影する撮影装置と、前記撮影装置により撮影された前記動画を構成するフレーム画像の撮影時刻を各前記フレーム画像に記録し、前記撮影時刻を特定可能な複数の前記フレーム画像を時系列で再構成した再構成動画を生成する映像処理部と、前記検査装置から出力された前記検査データを受信する検査データ受信部と、複数の前記物品が前記生産ラインを搬送される動作モード時に、前記検査データ受信部から切り出し指示が出力されたことを条件に、前記再構成動画から所定時間の切出動画を切り出す動画収録部と、前記検査装置から出力された前記判定結果が特定の判定結果であるときに、前記特定の判定結果の前記判定時刻に基づいて、前記判定結果が前記特定の判定結果である前記物品を前記切出動画から検知する第1物品検知部と、前記第1物品検知部により検知された前記物品を特定する印を前記切出動画に重畳した編集動画を生成する動画編集部と、前記編集動画を表示する表示部と、を備え、前記検査データ受信部は、前記検査装置から出力された前記特定の判定結果をトリガとして、前記動画収録部に対して前記切り出し指示を出力し、前記所定時間は、前記検査装置から前記特定の判定結果が出力されたタイミングと、前記選別機による前記選別動作が終了するタイミングとを含む時間である構成である。
【0009】
すなわち、本発明に係る映像記録システムは、検査コンベアと選別コンベアを搬送される複数の物品を、検査装置で異常判定が行われてから選別機の選別動作が完了するまで、1つの撮影装置で撮影するようになっている。さらに、本発明に係る映像記録システムは、検査コンベアと選別コンベアを搬送される複数の物品に特定の判定結果の物品を特定する印が重畳された動画を表示部に表示させるようになっている。
【0010】
これにより、本発明に係る映像記録システムは、動画内の複数の物品のうちのどれが特定の判定結果の物品であったのかを目視で特定可能に表示するため、選別機の選別動作に異常が発生したことをユーザが目視で確認する作業を効率化することができる。例えば、検査装置が選別動作の異常を検知できなかった場合であっても、本発明に係る映像記録システムにより、実際に選別機の選別動作に異常がなかったか否か、すなわち、選別対象の物品が正常に選別されているか否かをユーザが目視で確認することができる。また、本発明に係る映像記録システムは、動画内の特定の判定結果の物品に印を付加するため、特定の判定結果の物品の追跡性が向上し、不良品の市場流出リスク低減に貢献することができる。さらに、本発明に係る映像記録システムは、ユーザが選別機の選別動作を正確に把握することを可能にするため、生産ラインの運用やハンドリング改善に貢献することができる。
【0011】
また、本発明に係る映像記録システムは、1つの前記物品が前記生産ラインを搬送される動作モード時に、前記再構成動画において、前記検査コンベア上の特定の検知領域を通過した前記1つの前記物品を検知するとともに、前記1つの前記物品が最初に検知された前記フレーム画像の前記撮影時刻を取得する第2物品検知部と、前記1つの前記物品について前記検査装置から出力された前記判定時刻と、前記1つの前記物品について前記第2物品検知部により取得された前記撮影時刻との時間差を取得する時間差取得部と、前記1つの前記物品が前記生産ラインを複数回搬送されることにより、前記時間差取得部により複数回取得された前記時間差の平均値を平均時間差として算出する平均時間差計算部と、を更に備え、前記第1物品検知部は、前記検査装置から出力された前記特定の判定結果の前記判定時刻に前記平均時間差を加算した時刻である加算時刻を算出し、前記加算時刻に最も近い前記撮影時刻以降の前記切出動画の複数の前記フレーム画像において、前記判定結果が前記特定の判定結果である前記物品を検知し、前記動画編集部は、前記第1物品検知部により前記物品が検知された前記切出動画の複数の前記フレーム画像に、前記第1物品検知部により検知された前記物品を特定する前記印を重畳する構成であってもよい。
【0012】
この構成により、本発明に係る映像記録システムは、良否が不明である複数の物品の検査を開始する前に、物品検査システムによる異常判定の判定時刻と、映像記録システムにより検査コンベア上で特定の判定結果の物品が検知された撮影時刻との平均時間差を算出するようになっている。これにより、本発明に係る映像記録システムは、撮影装置により撮影された動画において、検査コンベアと選別コンベアを搬送される複数の物品の中から特定の判定結果の物品を特定することができる。また、本発明に係る映像記録システムは、選別機よりも手前の検査コンベア上で特定の判定結果の物品の検知を行うことによって、検査装置で異常判定が行われてから選別機の選別動作が完了するまでの動画内での特定の判定結果の物品の追跡性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る映像記録方法は、生産ラインを構成する検査コンベア上を搬送される物品を検査して、前記物品が良品であるか不良品であるかの判定結果と判定時刻を含む検査データを出力する検査装置と、前記検査装置から出力された前記判定結果が前記物品が不良品であることを示す異常判定であるときに、前記生産ラインを構成する選別コンベア上から前記判定結果が異常判定である前記物品を排除する選別動作を実行する選別機と、を備える物品検査システムの動作を撮影記録する映像記録方法であって、前記検査コンベアと前記選別コンベアを搬送される前記物品の動画を撮影する撮影ステップと、前記撮影ステップにより撮影された前記動画を構成するフレーム画像の撮影時刻を各前記フレーム画像に記録し、前記撮影時刻を特定可能な複数の前記フレーム画像を時系列で再構成した再構成動画を生成する映像処理ステップと、前記検査装置から出力された前記検査データを検査データ受信部で受信する検査データ受信ステップと、複数の前記物品が前記生産ラインを搬送される動作モード時に、前記検査データ受信部から切り出し指示が出力されたことを条件に、前記再構成動画から所定時間の切出動画を切り出す動画収録ステップと、前記検査装置から出力された前記判定結果が特定の判定結果であるときに、前記特定の判定結果の前記判定時刻に基づいて、前記判定結果が前記特定の判定結果である前記物品を前記切出動画から検知する第1物品検知ステップと、前記第1物品検知ステップにより検知された前記物品を特定する印を前記切出動画に重畳した編集動画を生成する動画編集ステップと、前記編集動画を表示する表示ステップと、を含み、前記検査データ受信部は、前記検査装置から出力された前記特定の判定結果をトリガとして、前記動画収録ステップに対して前記切り出し指示を出力し、前記所定時間は、前記検査装置から前記特定の判定結果が出力されたタイミングと、前記選別機による前記選別動作が終了するタイミングとを含む時間である構成である。
【0014】
また、本発明に係る映像記録方法は、1つの前記物品が前記生産ラインを搬送される動作モード時に、前記再構成動画において、前記検査コンベア上の特定の検知領域を通過した前記1つの前記物品を検知するとともに、前記1つの前記物品が最初に検知された前記フレーム画像の前記撮影時刻を取得する第2物品検知ステップと、前記1つの前記物品について前記検査装置から出力された前記判定時刻と、前記1つの前記物品について前記第2物品検知ステップにより取得された前記撮影時刻との時間差を取得する時間差取得ステップと、前記1つの前記物品が前記生産ラインを複数回搬送されることにより、前記時間差取得ステップにより複数回取得された前記時間差の平均値を平均時間差として算出する平均時間差計算ステップと、を更に含み、前記第1物品検知ステップは、前記検査装置から出力された前記特定の判定結果の前記判定時刻に前記平均時間差を加算した時刻である加算時刻を算出し、前記加算時刻に最も近い前記撮影時刻以降の前記切出動画の複数の前記フレーム画像において、前記判定結果が前記特定の判定結果である前記物品を検知し、前記動画編集ステップは、前記第1物品検知ステップにより前記物品が検知された前記切出動画の複数の前記フレーム画像に、前記第1物品検知ステップにより検知された前記物品を特定する前記印を重畳する構成であってもよい。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、上記の前記撮影ステップ、前記映像処理ステップ、前記検査データ受信ステップ、前記動画収録ステップ、前記第1物品検知ステップ、前記動画編集ステップ、及び前記表示ステップと、上記の前記第2物品検知ステップ、前記時間差取得ステップ、及び前記平均時間差計算ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、選別対象の物品が正常に選別されているか否かを目視で確認することを可能にする映像記録システム、映像記録方法、及びプログラムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る物品検査システムと、物品検査システムの動作を撮影記録する映像記録システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1に示した物品検査システムの平面図である。
【
図3】
図1に示した物品検査システムから出力される検査データの一例を示す図である。
【
図4】
図1に示した映像記録システムが備える画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示した映像記録システムにより生成された編集動画において、ある物品が生産ラインを搬送される際の時間変化を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る映像記録システムを用いる映像記録方法の処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図6のフローチャートにおけるステップS3の準備モードの処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る映像記録システム、映像記録方法、及びプログラムの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、物品検査システム1と、物品検査システム1の動作を撮影記録する映像記録システム2の構成を示す図である。
図2は、物品検査システム1の要部の構成を示す図である。
図1に示すように、物品検査システム1は、品質状態に応じて物品Wを選別するものであり、検査装置10と、選別機20と、不良品収納ボックス30と、を備える。
【0020】
検査装置10としては、例えばX線による異物検出装置(X線検査装置)、磁界による金属検出装置、又は秤を用いた重量選別装置を挙げることができる。本実施形態では、検査装置10が重量選別装置である場合を例に説明する。
【0021】
検査装置10は、生産ライン3の一部を構成する搬入コンベア4の後端に設置され、搬入コンベア4から順次搬入されてくる物品Wの重量を計量することにより、物品Wが良品であるか不良品であるかを判定するようになっている。選別機20は、検査装置10による上記の判定結果に基づいて物品Wを選別するようになっている。良品として選別された物品Wは、そのまま生産ライン3を流れて工場外に出荷され、不良品として選別された物品Wは、不良品収納ボックス30に収納されて、異物が混入しない状態で一定期間隔離される。なお、ここでいう物品Wとは、包装された生肉、魚、加工食品、医薬などの工場の生産ライン3で搬送されるものである。
【0022】
検査装置10は、制御ボックス11と、助走コンベア12と、検査コンベア13と、搬入センサ15と、荷重センサ16と、を備えている。助走コンベア12と、検査コンベア13は、生産ライン3の一部を構成する。
【0023】
制御ボックス11は、検査装置10全体の駆動を統括管理している。また、制御ボックス11は、検査コンベア13上を搬送される複数の物品W又は後述する1つの物品W0を検査して、物品W,W0が良品であるか不良品であるかの判定結果と判定時刻を含む検査データを出力するようになっている。
【0024】
図3は、制御ボックス11から出力される検査データの一例を示す図である。
図3における「日付時刻」と「判定結果」の列は、物品Wの良否の判定時刻と判定結果をそれぞれ示している。判定結果の「PASS」は、物品Wが良品であることを示す正常判定を意味しており、判定結果の「FAIL」は、物品Wが不良品であることを示す異常判定を意味している。
【0025】
助走コンベア12は、いわゆるベルトコンベアであり、搬入コンベア4から物品Wを受け取るように搬入コンベア4の下流側に隣接し、搬入コンベア4から順次送られてくる物品Wの搬入間隔を調整して検査コンベア13に送り出す。
【0026】
検査コンベア13は、助走コンベア12から物品Wを受け取るように助走コンベア12の下流側に隣接して配置されている。また、検査コンベア13は、荷重センサ16の上に載置されており、助走コンベア12から送られてくる物品Wを荷重センサ16に計量させるとともに、選別機20に送り出している。なお、検査コンベア13も助走コンベア12と同様にベルトコンベアで構成されている。
【0027】
搬入センサ15は、投光部25aと受光部25bとから構成され、助走コンベア12と検査コンベア13との間に、投光部25a及び受光部25bが対向するようにして配置されている。受光部25bは、投光部25aからの光を検知しており、物品Wが投光部25aからの光を遮光して受光部25bが光を検知できなくなることで、物品Wの存在を検知する。搬入センサ15は、物品Wの存在を検知すると、荷重センサ16に搬入検知信号を出力する。搬入検知信号は、荷重センサ16の計量開始のタイミングに利用される。
【0028】
荷重センサ16は、検査コンベア13上の物品Wを計量して計量信号を制御ボックス11に出力する。また、荷重センサ16は、搬入センサ15から搬入検知信号を受けてから(搬入センサ15が物品Wの存在を検知してから)所定時間T1の経過後に作動し、物品Wを計量し始める。本発明の実施形態における「所定時間T1」とは、物品Wが助走コンベア12から検査コンベア13に完全に乗り移り、荷重センサ16からの計量信号が安定するまでに必要な時間である。
【0029】
選別機20は、選別コンベア21と、選別機構22と、排除検知センサ23と、を備えている。選別コンベア21は、生産ライン3の一部を構成する。
【0030】
選別コンベア21は、検査コンベア13で計量された物品Wを受け取り、下流に設けた搬出トレイ(図示省略)に搬出するものであり、検査コンベア13の下流側に隣接している。また、選別コンベア21は、検査コンベア13から受け取った物品Wを選別機構22が選別可能な選別位置に搬送する。なお、選別コンベア21は、助走コンベア12及び検査コンベア13と同様にベルトコンベアで構成されている。
【0031】
選別機構22は、制御ボックス11から出力された判定結果に応じて、選別コンベア21上の物品W,W0に選別動作を実行するようになっている。例えば、制御ボックス11から出力された判定結果が物品W,W0が不良品であることを示す異常判定であるときには、選別機構22は、判定結果が異常判定である物品W,W0を選別コンベア21上から不良品収納ボックス30へ押し出して選別コンベア21上から排除する選別動作を実行する。一方、制御ボックス11から出力された判定結果が物品Wの正常を示す正常判定であるときには、選別機構22は、判定結果が正常判定である物品W(良品)を引き続き選別コンベア21で搬送させる選別動作を実行する。
【0032】
なお、選別機構22は、物品W,W0を不良品収納ボックス30へ押し出す押出方式に限らず、アームにより選別コンベア21上の物品W,W0の流れる方向を変えて選別するフリッパ方式や、選別コンベア21上の物品W,W0を下方へ落下させることにより選別するドロップアウト方式の選別機構を採用してもよい。また、機械的に選別する方式に限定されず、物品W,W0が軽いものであれば、圧縮エアにより物品W,W0を吹き飛ばすエアジェット方式を採用してもよい。
【0033】
排除検知センサ23は、投光部23aと受光部23bとから構成され、選別コンベア21と不良品収納ボックス30との間に、投光部23a及び受光部23bが対向するようにして配置されている。受光部23bは、投光部23aからの光を検知しており、物品Wが投光部23aからの光を遮光して受光部23bが光を検知できなくなることで、物品Wが生産ライン3から排除されたことを検知する。排除検知センサ23は、物品Wの排除を検知すると、制御ボックス11に排除検知信号を出力する。
【0034】
不良品収納ボックス30は、選別機構22により排除された不良品を収納するようになっている。不良品収納ボックス30は、選別コンベア21を挟んで選別機構22の対向位置に配置されている。不良品収納ボックス30は、上部に開口31を有するボックス状に形成され、選別機構22により押し出された被検査物Wが開口31から内部に収納されるようになっている。
【0035】
制御ボックス11は、荷重センサ16から出力された計量信号に基づいて、物品Wの重量が許容重量範囲内にないと判定した場合には、物品Wは不良品であるとして、選別機構22に対して駆動信号を出力する。選別機構22は、制御ボックス11から駆動信号を受けると、選別コンベア21上の物品Wを押し出すようにして駆動し、不良品収納ボックス30に物品Wを落下させる。一方、制御ボックス11は、荷重センサ16から出力された計量信号に基づいて、物品Wの重量が許容重量範囲内にあると判定した場合には、物品Wは良品であるとして、選別機構22に対して駆動信号の出力を行なわない。
【0036】
制御ボックス11は、正常判定を出力したときから、検査コンベア13及び選別コンベア21の搬送速度に応じた所定時間T2をタイムカウントした後に、排除検知センサ23から排除検知信号を受信した場合には、選別機20の選別動作に異常があったと判断する。一方、制御ボックス11は、異常判定を出力したときから、検査コンベア13及び選別コンベア21の搬送速度に応じた所定時間T2をタイムカウントした後に、排除検知センサ23から排除検知信号を受信しなかった場合にも、選別機20の選別動作に異常があったと判断する。制御ボックス11は、選別動作の異常を発生時刻に紐づけて記録するようになっている。
【0037】
以下、映像記録システム2の構成について説明する。映像記録システム2は、物品検査システム1の動作を撮影記録するものであり、
図1及び
図4に示すように、撮影装置40と、表示部71及び操作部72を有する画像処理装置50と、を備える。
【0038】
撮影装置40は、検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される複数の物品W又は1つの物品W0の動画を所定のフレームレートで撮影するものである。撮影装置40としては、例えば、動画撮影が可能なビデオカメラやネットワークカメラなどを使用できる。
【0039】
撮影装置40は、少なくとも
図2に示す撮影範囲5を撮影するようになっている。撮影範囲5は、検査装置10で良否の判定が行われてから選別機20の選別動作が完了するまでに各物品W,W0が搬送される領域であればよく、例えば、検査コンベア13の搬送路13aと、選別コンベア21の搬送路21aと、選別機20の少なくとも一部と、不良品収納ボックス30の開口31の少なくとも一部と、を含んだものとなっている。本発明は、1つの撮影装置40で検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される複数の物品W又は1つの物品W0を撮影することを特徴としている。
【0040】
なお、
図1には、撮影装置40が検査装置10の後段側に配置された例を示したが、撮影装置40は、撮影範囲5を撮影できるのであれば、検査装置10の前段側などの任意の場所に配置されてもよい。
【0041】
検査装置10と、撮影装置40と、画像処理装置50とは、互いにデータ通信可能なネットワーク70を介して相互接続されている。
図4に示すように、画像処理装置50は、モード切替部51と、映像処理部52と、検査データ受信部53と、動画収録部54と、第1物品検知部55と、第2物品検知部56と、時間差取得部57と、平均時間差計算部58と、動画編集部59と、切出動画フォルダ60と、編集動画フォルダ61と、を含む。
【0042】
モード切替部51は、画像処理装置50の動作モードを、良否が不明である複数の物品Wが検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される検査モードと、1つの物品W0のみが検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される準備モードと、の間で切り替えるものである。検査モードは、複数の物品Wの検査を検査装置10が実行する際の動作モードである。準備モードは、後述する平均時間差を取得するための動作モードである。
【0043】
映像処理部52は、撮影装置40により撮影された物品W,W0の動画を受信し、受信した物品W,W0の動画を構成するフレーム画像のそれぞれに対して撮影装置40による撮影時刻を記録し、撮影時刻を特定可能な各フレーム画像を蓄積するようになっている。さらに、映像処理部52は、蓄積された複数のフレーム画像を時系列で再構成した再構成動画を生成する。映像処理部52は、検査モード時に再構成動画を動画収録部54に出力し、準備モード時に再構成動画を第2物品検知部56に出力するようになっている。
【0044】
検査データ受信部53は、検査装置10の制御ボックス11から出力された検査データを受信するようになっている。また、検査データ受信部53は、制御ボックス11から出力された検査データに含まれる特定の判定結果をトリガとして、動画収録部54に対して切出動画の切り出し指示を出力するようになっている。
【0045】
動画収録部54は、検査モード時に検査データ受信部53から切り出し指示が出力されたことを条件に(契機に)、映像処理部52から出力された再構成動画から所定時間T0の切出動画を切り出して、切出動画フォルダ60に保存するようになっている。ここで、所定時間T0は、制御ボックス11から特定の判定結果が出力されたタイミングと、選別機20による選別動作が終了するタイミングとを含む時間であり、例えば、制御ボックス11から特定の判定結果が出力されたタイミングの前後数秒程度の時間である。
【0046】
第2物品検知部56は、準備モード時に映像処理部52から出力された再構成動画において、検査コンベア13上の特定の検知領域13b(
図2参照)を通過した1つの物品W0を検知するとともに、1つの物品W0が最初に検知されたフレーム画像の撮影時刻を取得するようになっている。準備モード時には、搬入コンベア4に載置された1個の物品W0が、搬入コンベア4、助走コンベア12、検査コンベア13、及び選別コンベア21を順次搬送される。準備モードでの1つの物品W0の搬送は、所定の繰り返し回数だけ複数回繰り返される。ここで、所定の繰り返し回数は、特に限定はないが、例えば5~10回である。
【0047】
時間差取得部57は、1つの物品W0について検査装置10の制御ボックス11から出力された判定時刻と、1つの物品W0について第2物品検知部56により取得された撮影時刻との時間差を取得するようになっている。あるいは、時間差取得部57は、1つの物品W0について搬入センサ15から搬入検知信号が出力された時刻と、1つの物品W0について第2物品検知部56により取得された撮影時刻との時間差を取得するものであってもよい。
【0048】
平均時間差計算部58は、準備モードで1つの物品W0が生産ライン3を複数回搬送されることにより、時間差取得部57により複数回取得された時間差の平均値を平均時間差として算出するようになっている。また、平均時間差計算部58は、算出した平均時間差を設定ファイル62に記録するようになっている。
【0049】
第1物品検知部55は、切出動画フォルダ60に保存された切出動画について、検査装置10から出力された判定結果が特定の判定結果であるときに、特定の判定結果の判定時刻に設定ファイル62から読み出した平均時間差を加算した時刻である加算時刻を算出し、加算時刻に最も近い撮影時刻以降の切出動画の複数のフレーム画像において、検査装置10による判定結果が特定の判定結果である物品Wを検知するようになっている。ここで、特定の判定結果は正常判定又は異常判定のいずれかであり、例えば、ユーザによる操作部72への操作入力によりあらかじめ設定される。加算時刻に最も近い撮影時刻のフレーム画像においては、検査装置10による判定結果が特定の判定結果である物品Wが検査コンベア13上で搬送されている状態が撮影されている。
【0050】
第1物品検知部55と第2物品検知部56における物品W,W0の検知は、公知の任意の動体検知技術を用いて行われればよい。第1物品検知部55は、例えば、切出動画において時間的に連続する2つのフレーム画像ごとに差分画像を作成し、作成した差分画像の変化から、検査コンベア13と選別コンベア21で搬送される物品Wの輪郭を検知するようになっている。同様に、第2物品検知部56は、準備モード時に映像処理部52から出力された再構成動画において時間的に連続する2つのフレーム画像ごとに差分画像を作成し、作成した差分画像の変化から、検査コンベア13上の特定の検知領域13bを通過した物品W0の輪郭を検知するようになっている。
【0051】
動画編集部59は、第1物品検知部55により物品Wが検知された切出動画の複数のフレーム画像に、第1物品検知部55により検知された物品Wを特定する印を重畳した編集動画を生成して編集動画フォルダ61に保存するようになっている。
【0052】
図5は、動画編集部59により生成された編集動画において、検査装置10による判定結果が特定の判定結果である物品Wが生産ライン3を搬送される際の物品Wの位置の時間変化を模式的に示す図である。例えば、
図5に示すように、検知された物品Wを特定する印は、検知された物品Wを囲む枠状の図形であってもよく、あるいは、円、楕円、四角形、三角形、星形などの任意の図形や、物品Wの重量などの製品情報を含む任意の文字情報などであってもよい。また、それらの印は、適宜色付けされていてもよい。例えば、検査装置10による判定結果が特定の判定結果である物品が撮影範囲5に複数存在する場合には、それぞれの物品に異なる色付けが施されることが望ましい。
【0053】
表示部71は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの表示機器で構成され、編集動画フォルダ61に保存された編集動画を表示するようになっている。さらに、表示部71は、各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
【0054】
操作部72は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部71の表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。あるいは、操作部72は、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されてもよい。
【0055】
例えば、ユーザは、操作部72への操作入力により、所望の時刻又は時間帯に撮影された編集動画を選択して、再生された編集動画を表示部71上に表示させることができるようになっている。例えば、ユーザによる操作部72への操作入力により、検査装置10の制御ボックス11に記録された選別機20の選別動作の異常の発生時刻に撮影された編集動画が選択された場合には、選別機20の選別動作の異常時の良品や不良品の搬送状況が表示部71から目視で確認可能となる。また、ユーザによる操作部72への操作入力により、モード切替部51において画像処理装置50の動作モードを選択することが可能である。
【0056】
画像処理装置50は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などを含むコンピュータなどの制御装置で構成される。例えば、画像処理装置50は、CPU又はGPUによる所定のプログラムの実行により、モード切替部51、映像処理部52、検査データ受信部53、動画収録部54、第1物品検知部55、第2物品検知部56、時間差取得部57、平均時間差計算部58、及び動画編集部59の少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、上記のプログラムは、ROM又はHDDにあらかじめ格納されている。あるいは、上記のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式でコンパクトディスク、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供又は配布されるものであってもよい。あるいは、上記のプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータに格納され、ネットワーク経由でのダウンロードにより提供又は配布されるものであってもよい。
【0057】
以下、映像記録システム2を用いる映像記録方法について、
図6及び
図7のフローチャートを参照しながら、その処理の一例を説明する。
図6及び
図7のフローチャートにおける各ステップの処理は、画像処理装置50を構成するコンピュータが上記のプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0058】
まず、モード切替部51は、画像処理装置50の動作モードを切り替える(ステップS1)。モード切替部51による動作モードの切り替えは、例えば、ユーザによる操作部72への操作入力のタイミング、あらかじめ指定された時刻、又は、物品検査システム1の運転開始から数秒後などのタイミングで実行される。
【0059】
ステップS1でモード切替部51により切り替えられた動作モードが準備モードである場合(ステップS2:YES)、画像処理装置50は準備モードの処理を実行する(ステップS3)。
【0060】
ステップS1でモード切替部51により切り替えられた動作モードが検査モードである場合(ステップS2:NO)、画像処理装置50は検査モードの処理をステップS4以降で実行する。
【0061】
ステップS4において、生産ライン3は、複数の物品Wの搬送を開始する(ステップS4)。
【0062】
次に、検査データ受信部53は、検査装置10から出力された検査データの受信を開始する(検査データ受信ステップS5)。
【0063】
次に、撮影装置40は、検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される複数の物品Wの動画の撮影を開始する(撮影ステップS6)。
【0064】
次に、映像処理部52は、撮影ステップS6で撮影装置40により撮影された動画を構成するフレーム画像の撮影時刻を各フレーム画像に記録し、撮影時刻を特定可能な複数のフレーム画像を時系列で再構成した再構成動画の生成を開始する(映像処理ステップS7)。
【0065】
次に、検査データ受信部53から切り出し指示が出力されると(ステップS8:YES)、動画収録部54は、映像処理ステップS7で生成された再構成動画から所定時間T0の切出動画を切り出す(動画収録ステップS9)。
【0066】
次に、第1物品検知部55は、検査装置10から出力された特定の判定結果の判定時刻に基づいて、判定結果が特定の判定結果である物品Wを切出動画から検知する(第1物品検知ステップS10)。例えば、第1物品検知部55は、検査装置10から出力された特定の判定結果の判定時刻に後述するステップS40で得られた平均時間差を加算した時刻である加算時刻を算出し、加算時刻に最も近い撮影時刻以降の切出動画の複数のフレーム画像において、検査装置10による判定結果が特定の判定結果である物品Wを検知する。
【0067】
次に、動画編集部59は、第1物品検知ステップS10により特定の判定結果の物品が検知された切出動画の複数のフレーム画像に、第1物品検知ステップS10により検知された特定の判定結果の物品を特定する印を重畳した編集動画を生成する(動画編集ステップS11)。
【0068】
次に、表示部71は、動画編集ステップS11で生成された編集動画を表示する(表示ステップS12)。
【0069】
以下、
図7のフローチャートを参照しながら、ステップS3の処理の詳細を説明する。
【0070】
生産ライン3は、1つの物品W0の搬送を開始する(ステップS31)。
【0071】
次に、検査データ受信部53は、検査装置10から出力された検査データの受信を開始する(検査データ受信ステップS32)。
【0072】
次に、撮影装置40は、検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される1つの物品W0の動画の撮影を開始する(撮影ステップS33)。
【0073】
次に、映像処理部52は、撮影ステップS33で撮影装置40により撮影された動画を構成するフレーム画像の撮影時刻を各フレーム画像に記録し、撮影時刻を特定可能な複数のフレーム画像を時系列で再構成した再構成動画の生成を開始する(映像処理ステップS34)。
【0074】
次に、時間差取得部57は、検査装置10から出力された特定の判定結果の判定時刻を取得する(ステップS35)。
【0075】
次に、1つの物品W0が検査コンベア13上の特定の検知領域13bを通過すると(ステップS36:YES)、第2物品検知部56は、映像処理ステップS34で生成された再構成動画において、検査コンベア13上の特定の検知領域13bを通過した1つの物品W0を検知するとともに、1つの物品W0が最初に検知されたフレーム画像の撮影時刻を取得する(第2物品検知ステップS37)。
【0076】
次に、時間差取得部57は、1つの物品W0について検査装置10から出力された判定時刻と、1つの物品W0について第2物品検知ステップS37により取得された撮影時刻との時間差を取得する(時間差取得ステップS38)。
【0077】
次に、1つの物品W0の生産ライン3での搬送回数が所定の繰り返し回数に到達すると(ステップS39:YES)、平均時間差計算部58は、時間差取得ステップS38により複数回取得された時間差の平均値を平均時間差として算出する(平均時間差計算ステップS40)。
【0078】
1つの物品W0の搬送回数が所定の繰り返し回数に到達していない場合には(ステップS39:NO)、再びステップS31以降の処理が実行される。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る映像記録システム2は、検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される複数の物品Wを、検査装置10で特定の判定結果が出力されてから選別機20の選別動作が完了するまで、1つの撮影装置40で撮影するようになっている。さらに、本実施形態に係る映像記録システム2は、検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される複数の物品Wに特定の判定結果の物品を特定する印が重畳された動画を表示部71に表示させるようになっている。
【0080】
これにより、本実施形態に係る映像記録システム2は、動画内の複数の物品Wのうちのどれが特定の判定結果の物品であったのかを目視で特定可能に表示するため、選別機20の選別動作に異常が発生したことをユーザが目視で確認する作業を効率化することができる。例えば、検査装置10が選別動作の異常を検知できなかった場合であっても、本実施形態に係る映像記録システム2により、実際に選別機20の選別動作に異常がなかったか否か、すなわち、選別対象の物品が正常に選別されているか否かをユーザが目視で確認することができる。また、本実施形態に係る映像記録システム2は、動画内の特定の判定結果の物品に印を付加するため、特定の判定結果の物品の追跡性が向上し、不良品の市場流出リスク低減に貢献することができる。さらに、本実施形態に係る映像記録システム2は、ユーザが選別機20の選別動作を正確に把握することを可能にするため、生産ライン3の運用やハンドリング改善に貢献することができる。また、本実施形態に係る映像記録システム2は、例えば、1分当たりに120~180個の物品Wが搬送されるような高速の生産ライン3であっても、特定の判定結果の物品の追跡を行うことができる。
【0081】
また、本実施形態に係る映像記録システム2は、良否が不明である複数の物品Wの検査を開始する前に、物品検査システム1による特定の判定結果の判定時刻と、映像記録システム2により検査コンベア13上で特定の判定結果の物品が検知された撮影時刻との平均時間差を算出するようになっている。これにより、本実施形態に係る映像記録システム2は、撮影装置40により撮影された動画において、検査コンベア13と選別コンベア21を搬送される複数の物品Wの中から特定の判定結果の物品を特定することができる。また、本実施形態に係る映像記録システム2は、選別機20よりも手前の検査コンベア13上で特定の判定結果の物品の検知を行うことによって、検査装置10で特定の判定結果が出力されてから選別機20の選別動作が完了するまでの動画内での特定の判定結果の物品の追跡性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 物品検査システム
2 映像記録システム
3 生産ライン
5 撮影範囲
10 検査装置
11 制御ボックス
13 検査コンベア
13a 搬送路
13b 検知領域
15 搬入センサ
20 選別機
21 選別コンベア
21a 搬送路
22 選別機構
23 排除検知センサ
30 不良品収納ボックス
31 開口
40 撮影装置
50 画像処理装置
51 モード切替部
52 映像処理部
53 検査データ受信部
54 動画収録部
55 第1物品検知部
56 第2物品検知部
57 時間差取得部
58 平均時間差計算部
59 動画編集部
60 切出動画フォルダ
61 編集動画フォルダ
62 設定ファイル
70 ネットワーク
71 表示部
72 操作部
W,W0 物品