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  • 特開-無人散布作業機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087563
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】無人散布作業機
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A01M7/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202456
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】松家 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 信芳
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121CB35
2B121DA62
2B121DA63
(57)【要約】
【課題】本発明は、無人で走行する無人散布作業機とすることで、作業者が搭乗する乗車装置を無くして走行車体に大容量の薬液タンクを搭載することが可能になり、作業者が散布農薬に被爆することなく、広範囲の散布作業を行えるようにした無人散布作業機とすることを課題とする。
【解決手段】走行装置2,3を装着した走行車体1に動力源5と走行装置2,3を制御する走行制御装置16と遠隔指令装置18から制御信号を受ける無線通信装置17とポンプ7を搭載し、これら動力源5等を収納する凹み部10aを有する薬液タンク10で走行車体1の略全面を覆って搭載し、走行車体1の後側に散布装置11を装着し、前側に除草作業機13を装着する無人散布作業機とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2,3)を装着した走行車体(1)に動力源(5)と走行装置(2,3)を制御する走行制御装置(16)と遠隔指令装置(18)から制御信号を受ける無線通信装置(17)とポンプ(7)を搭載し、これら動力源(5)等を収納する凹み部(10a)を有する薬液タンク(10)で走行車体(1)の略全面を覆って搭載し、走行車体(1)の後側に散布装置(11)を装着し、前側に除草作業機(13)を装着する無人散布作業機。
【請求項2】
薬液タンク(10)の凹み部(10a)側方を解放し、薬液タンク(10)を側方へスライドして走行車体(1)から取り外し可能にすると共に薬液タンク(10)を搭載したままで解放側から凹み部(10a)の内部をメンテナンス可能にした請求項1に記載の無人散布作業機。
【請求項3】
無線通信装置(17)から遠隔指令装置(18)に対して、走行車体(1)の走行方向を送信する請求項1に記載の無人散布作業機。
【請求項4】
散布装置(11)或いは除草作業機(13)の駆動を遠隔指令装置(18)に通知することを特徴とする請求項1に記載の無人散布作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を走行しながら農薬等を散布する散布作業機で自動走行する無人散布作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
散布作業機は、特開2020-89288号公報の圃場作業機や、特許第6508232号公報の散布システムに記載されている。
【0003】
前記第一の圃場作業機は、地上走行の作業車とこれに追従して飛行する散布飛行体で構成している。また、第二の散布システムは、作業者が搭乗して操縦する走行車体に薬液タンクと左右に拡げる散布ブームを設けた散布作業車と散布飛行体で構成した散布システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-89288号公報
【特許文献2】特許第6508232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
散布作業車は、走行車体上に作業者が搭乗する乗車装置が必要で薬液タンクをあまり大きく出来ず、散布域が限られてくる。また、散布飛行体で散布するのは薬液タンクを大容量にすることが出来ず、この場合も散布域が限られている。
【0006】
本発明は、無人で走行する無人散布作業機とすることで、作業者が搭乗する乗車装置を無くして走行車体に大容量の薬液タンクを搭載することが可能になり、作業者が散布農薬に被爆することなく、広範囲の散布作業を行えるようにした無人散布作業機とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
請求項1の発明は、走行装置2,3を装着した走行車体1に動力源5と走行装置2,3を制御する走行制御装置16と遠隔指令装置18から制御信号を受ける無線通信装置17とポンプ7を搭載し、これら動力源5等を収納する凹み部10aを有する薬液タンク10で走行車体1の略全面を覆って搭載し、走行車体1の後側に散布装置11を装着し、前側に除草作業機13を装着する無人散布作業機とする。
【0009】
請求項2の発明は、薬液タンク10の凹み部10a側方を解放し、薬液タンク10を側方へスライドして走行車体1から取り外し可能にすると共に薬液タンク10を搭載したままで解放側から凹み部10aの内部をメンテナンス可能にした請求項1に記載の無人散布作業機とする。
【0010】
請求項3の発明は、無線通信装置17から遠隔指令装置18に対して走行車体1の走行方向を送信する請求項1に記載の無人散布作業機とする。
【0011】
請求項4の発明は、散布装置11或いは除草作業機13の駆動を遠隔指令装置18に通知することを特徴とする請求項1に記載の無人散布作業機とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明で、走行装置2,3で走行する走行車体1には駆動源5や遠隔指令装置18からの制御信号を受ける無線通信装置17と走行制御装置16とポンプ7を搭載し、散布装置11か除草作業機13を駆動して走行車体1を走行させて散布作業か除草作業を行うが、走行車体1が大きな薬液タンク10が覆われているので、多量の薬液を積載して長時間の散布作業が行え、動力源5や走行制御装置16や無線通信装置17が薬液タンク10で覆われて外部に晒されることが無い。
【0013】
請求項2の発明で、薬液タンク10が走行車体1の側方からスライドして搭載できることで着脱が容易で、薬液タンク10を走行車体1に搭載したままでも凹み部10aの側方から内部の動力源5や走行制御装置16や無線通信装置17のメンテナンスが行える。
【0014】
請求項3の発明で、作業者は走行車体1から離れて遠隔指令装置18で無線通信装置17に制御信号を送って走行させるが、離れているので走行方向が認識し難いが、無線通信装置17から遠隔指令装置18に走行方向が送信されて知らされるので、遠隔指令装置18を持った作業者が走行方向を認識して適切に対処できる。
【0015】
請求項4の発明で、走行車体1から離れて遠隔指令装置18を持った作業者が散布装置11或いは除草作業機13の駆動を直ちに認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態にかかる無人散布作業機の側断面図である。
図2】同無人散布作業機の部分斜視図である。
図3】同無人散布作業機の走行車体の斜視図である。
図4】同走行車体の後部にブロキャスを装着した部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。なお、実施例の説明においては、機体の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後というが、本発明の構成を限定するものでは無い。
【0018】
図3に示す如く、走行車体1は前後方向の左フレーム1Lと右フレーム1Rと前フレーム1Fと後フレーム1Bとで枠組みし、左右フレーム1L、1Rの後端にリフトフレーム20を立設している。また、左右フレーム1L、1Rの間で、中心より前側にギヤ変速機構を内装するミッションケース4を一体に取り付けて走行車体1を強固に構成している。さらに、左右フレーム1L、1Rの前後端寄りに左右前アクスル21,21と左右後アクスル22,22を設け、その下端に左右前輪2,2と左右後輪3,3からなる走行装置を装着してミッションケース4からの動力で駆動する。
【0019】
図1図2に示す如く、ミッションケース4の左側面には動力源となる電動モータ5とバッテリー6を装着し、ミッションケース4の後側には伝動ケース9とクラッチ8を介してポンプ7を装着している。動力源5はモータに代えてエンジンでも良い。また、ミッションケース4の前には走行車体1の前に装着する除草カルチ作業機13を駆動する前PTO軸25を突出させ、後にはブロキャス15を駆動する後PTO軸24を突出させている。走行車体1後のリフトフレーム20下端にセンターブーム11aと左右サイドブーム11bからなる散布装置11とブロキャス15を装着する(図4参照)。前PTO軸25と後PTO軸24には回転センサを設け、前PTO軸25が回転していれば除草カルチ作業機13を駆動し後PTO軸24が回転していればブロキャス15を駆動しているので、走行制御装置16を前進或いは後進に切り換え、無線通信装置17で遠隔指令装置18に前進或いは後進を報知する。また、左右前輪2,2と左右後輪3,3の走行方向は、モータ5の正逆転で前後進を切り換えるようにして遠隔指令装置18に走行方向を報知するようにすることも出来る。
【0020】
なお、ブロキャス15と除草カルチ作業機13の走行車体1への装着を検出するセンサを設けて、装着している装置を遠隔指令装置18に報知するようにすることも出来る。
【0021】
散布装置11は走行車体1を前進走行しながら散布すると機体への被爆を少なく出来るので、前進走行しながら散布作業を行うようにする。
【0022】
ミッションケース4の上面には、ミッションケース4内の操縦機構を制御する走行制御装置16と無線通信装置17を取り付け、作業者が持っているスマホ等の遠隔指令装置18からの走行指令を無線通信装置17で受けて走行制御装置16に伝達して作動を制御する。
【0023】
薬液タンク10は、走行車体1の前後と左右の略全面を覆う平面積を有し、前記ミッションケース4やモータ5やポンプ7を避ける凹み部10aの周囲も空洞として薬液を溜めるようにし、凹み部10aを左右に通して設けているが、左側のみに開いても良い。この凹み部10aの開放側にはカバーを設けて内部を閉じるようにすると、側方を開いて内部を点検したりメンテナンスをしたりでき、薬液タンク10を横にスライドして走行車体1上から取り外すことが出来る。
【0024】
ミッションケース4内に可変容量型油圧モータを組み込む場合に、薬液タンク10の重量を計測する重量センサを設け、この重量センサが検出する重量が小さいと可変容量型油圧モータの供給容量を小さく逆に重量が大きいと供給容量を大きくして変更制御して駆動するようにすると、可変容量型油圧モータを高効率で駆動することが出来る。
【符号の説明】
【0025】
1 走行車体
2 前輪(走行装置)
3 後輪(走行装置)
5 動力源
10 薬液タンク
10a 凹み部
13 除草カルチ作業機
16 走行制御装置
17 無線通信装置
18 遠隔指令装置
図1
図2
図3
図4