(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087579
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01F 12/32 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A01F12/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202474
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】足立 純
(72)【発明者】
【氏名】堀 高範
【テーマコード(参考)】
2B095
【Fターム(参考)】
2B095AA01
2B095AA07
2B095AA28
2B095GA08
2B095GB01
2B095GB03
(57)【要約】
【課題】脱穀部、および、揺動選別装置を有する脱穀装置が備えられたコンバインにおいて、収穫対象作物の品種などの異なり、選別駆動軸に対する動力伝達装置の調整不良にかかわらず、収穫した作物を揺動選別装置によって適切に選別処理することができるようにする。
【解決手段】揺動選別装置35のシーブケース42に取付けられ、揺動選別装置35を駆動揺動する選別駆動軸41が備えられている。選別駆動軸41の回転速度を検出する速度センサ130が備えられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部によって収穫された作物の脱穀処理を行う脱穀部、および、前記脱穀部にて脱穀処理された処理物を選別処理する駆動揺動可能な揺動選別装置を有する脱穀装置と、
前記揺動選別装置のシーブケースに取付けられ、前記揺動選別装置を駆動揺動する選別駆動軸と、
前記選別駆動軸の回転速度を検出する速度センサと、が備えられているコンバイン。
【請求項2】
前記選別駆動軸は、前記脱穀装置の左右の側壁に亘って設けられ、
前記左右の側壁のうちの一方の側壁よりも脱穀装置横外側において前記選別駆動軸に動力伝達装置が連結されており、
前記速度センサは、前記左右の側壁のうちの他方の側壁よりも脱穀装置横外側において前記選別駆動軸に対して検出作用する請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記側壁と前記選別駆動軸との間に、前記選別駆動軸に外嵌するベアリング、および、前記ベアリングを収容するベアリングケースが設けられ、
前記速度センサは、前記ベアリングケースよりも脱穀装置横外側に位置している請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記速度センサは、前記側壁に支持されている請求項2または3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記速度センサが設定回転速度よりも高速の回転速度を検出すると前記脱穀装置が停止されるように構成されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記速度センサが前記設定回転速度に比して低速の第2設定回転速度よりも低速の回転速度を検出すると警告されるように構成されている請求項5に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記動力伝達装置に、動力源からの動力を変速して出力する第1変速部、および、前記第1変速部からの動力を変速して前記選別駆動軸に向けて出力する第2変速部が備えられている請求項2に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、圃場の作物を収穫する収穫部(刈取部)と、収穫部によって収穫された作物の脱穀処理を行う脱穀部(扱室、扱胴、受網)、および、脱穀部にて脱穀処理された処理物を選別処理する駆動揺動可能な揺動選別装置を有する脱穀装置と、揺動選別装置のシーブケースに取付けられ、揺動選別装置を駆動揺動する選別駆動軸(偏芯駆動軸)と、が備えられたコンバインがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
稲や麦の他、大豆などの収穫が行われることがあるが、収穫される作物の品種、性状の異なりにかかわらず同じ駆動速度で駆動される揺動選別装置によって選別処理物の選別処理が行われると、作物によっては、揺動選別装置が作物に適応した駆動速度で駆動されて選別処理が適切に行われても、揺動選別装置の駆動速度が遅くて選別処理物が揺動選別装置に長く位置することで作物が損傷する。また、揺動選別装置の駆動速度が速くて選別処理物が揺動選別装置から早々と送り出されて選別不足になる。
また、選別駆動軸に動力伝達する動力伝達装置が調整不良な状態であると、揺動選別装置の駆動速度が遅くあるいは速くなり、作物の損傷、選別不足になる。
【0005】
本発明は、品種、性状が異なる作物を収穫する場合でも、また選別駆動軸に対する動力伝達装置が調整不良な状態である場合でも、収穫した作物を揺動選別装置によって適切に選別処理することが可能であるコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコンバインは、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部によって収穫された作物の脱穀処理を行う脱穀部、および、前記脱穀部にて脱穀処理された処理物を選別処理する駆動揺動可能な揺動選別装置を有する脱穀装置と、前記揺動選別装置のシーブケースに取付けられ、前記揺動選別装置を駆動揺動する選別駆動軸と、前記選別駆動軸の回転速度を検出する速度センサと、が備えられている。
【0007】
本構成によると、選別駆動軸の回転速度を速度センサによって知ることができるので、収穫する作物の品種、性状が異なる場合、知り得た選別駆動軸の回転速度を基に回転速度の調整を行い、揺動選別装置の駆動速度を作物に適応したものにして収穫した作物を適切に選別処理することができる。選別駆動軸に対する動力伝達装置が調整不良の状態である場合、知り得た選別駆動軸の回転速度を基に調整不良を知って調整不良の解消を行い、揺動選別装置の駆動速度を作物に適応したものにして収穫した作物を適切に選別処理することができる。
【0008】
本発明においては、
前記選別駆動軸は、前記脱穀装置の左右の側壁に亘って設けられ、前記左右の側壁のうちの一方の側壁よりも脱穀装置横外側において前記選別駆動軸に動力伝達装置が連結されており、前記速度センサは、前記左右の側壁のうちの他方の側壁よりも脱穀装置横外側において前記選別駆動軸に対して検出作用すると好適である。
【0009】
本構成によると、選別駆動軸の両端部のうち、動力伝達装置が連結された駆動側の端部とは反対側に位置して駆動側の端部に比して振動し難い端部に速度センサが検出作用するので精度よい検出情報を得ることができる。
【0010】
本発明においては、
前記側壁と前記選別駆動軸との間に、前記選別駆動軸に外嵌するベアリング、および、前記ベアリングを収容するベアリングケースが設けられ、前記速度センサは、前記ベアリングケースよりも脱穀装置横外側に位置していると好適である。
【0011】
本構成によると、速度センサと、速度センサが検出作用する箇所との間にベアリングケースが位置せず、ベアリングケースが検出障害にならない状態で速度センサによる検出が行われるので精度よい検出情報を得ることができる。
【0012】
本発明においては、
前記速度センサは、前記側壁に支持されていると好適である。
【0013】
本構成によると、速度センサは選別駆動軸が支持される側壁に支持されるので、速度センサの選別駆動軸に対する位置ずれを防止できて精度よい検出情報を得ることができる。
【0014】
本発明においては、
前記速度センサが設定回転速度よりも高速の回転速度を検出すると前記脱穀装置が停止されるように構成されていると好適である。
【0015】
本構成によると、揺動選別装置が高速で駆動されることを脱穀装置の停止によって知ることができるので、揺動選別装置の高速駆動を認識し易い。
【0016】
本発明においては、
前記速度センサが前記設定回転速度に比して低速の第2設定回転速度よりも低速の回転速度を検出すると警告されるように構成されていると好適である。
【0017】
本構成によると、揺動選別装置が低速で駆動されることを警告によって知ることができるので、揺動選別装置の低速駆動を認識し易い。
【0018】
本発明においては、
前記動力伝達装置に、動力源からの動力を変速して出力する第1変速部、および、前記第1変速部からの動力を変速して前記選別駆動軸に向けて出力する第2変速部が備えられていると好適である。
【0019】
本構成によると、第1変速部の変速状態と、第2変速部の変速状態との組み合わせによって選別駆動軸の広い変速範囲を得て揺動選別装置を広い変速範囲で変速駆動することができる。第1変速部や第2変速部を誤って変速操作してしまうと、揺動選別装置の駆動速度が不適切になるが、速度センサによって知り得た選別駆動軸の回転速度を基に変速操作の誤りを知って変速操作の誤りを修正し、揺動選別装置を適切な駆動速度で駆動することができる。揺動選別装置を広い変速範囲のうちの作物に適応した駆動速度で駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】コンバインの全体を左側から見た側面図である。
【
図4】第1,2,3,4動力伝達装置を示す側面図である。
【
図5】第1変速部が減速伝動状態、第2変速部が増速伝動状態である第4動力伝達装置を示す説明図である。
【
図6】第1変速部が増速伝動状態、第2変速部が減速伝動状態である第4動力伝達装置を示す説明図である。
【
図7】選別駆動軸および速度センサを示す後面図である。
【
図8】速度センサを示す側面図、および、脱穀装置停止制御、警報制御のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、普通型コンバイン(「コンバイン」の一例)の走行機体に関し、
図1に示される矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Uの方向を「機体上側」、矢印Dの方向を「機体下側」、
図1の紙面表側の方向を「機体左側」、紙面裏側の方向を「機体右側」とする。
【0022】
〔普通型コンバインの全体について〕
図1に、稲や麦などを収穫対象とする普通型コンバインが示されている。普通型コンバインは、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム1、機体フレーム1の下部に装備された左右一対のクローラ式走行装置2を有する走行機体を備えている。走行機体の前部に、収穫対象の植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する収穫搬送部3が横軸芯P1周りで揺動昇降可能に連結されている。機体フレーム1上に、脱穀装置4、穀粒タンク5、穀粒排出装置6、運転部7、排ワラ細断装置8等が備えられている。
【0023】
脱穀装置4は、収穫搬送部3からの刈取穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、脱穀処理で得られた脱穀処理物を選別するとともに選別処理物を装置外に搬送する。穀粒タンク5は脱穀装置4からの穀粒を貯留する。穀粒排出装置6は、穀粒タンク5の後部から延ばされ、穀粒タンク5に貯留される穀粒を機外に排出する。運転部7は操縦者が搭乗して運転操作を行う。排ワラ細断装置8は脱穀装置4の後側に設けられ、脱穀装置4による脱穀処理後の排ワラの細断処理を行う。
【0024】
運転部7は、機体前部右側に位置し、運転部7の後方に穀粒タンク5が位置している。脱穀装置4が左側に位置し、穀粒タンク5が右側に位置する状態で、脱穀装置4と穀粒タンク5とが左右方向に並ぶ状態で備えられている。運転部7の下方側には、動力源としてのエンジン9(
図3参照)が備えられ、エンジン9の動力が各部に伝達される。
【0025】
収穫搬送部3は、機体走行に伴って、植立穀稈を刈り取る収穫部10と、収穫部10にて刈り取られた刈取穀稈を機体後部側の脱穀装置4に向けて搬送するフィーダ11とを備えている。収穫搬送部3は、油圧シリンダ12の伸縮作動によって横軸芯P1周りで昇降揺動可能な状態で支持されている。
【0026】
収穫部10は、刈取対象となる植立穀稈と非刈取対象の植立穀稈とを分草する左右一対のデバイダ13と、収穫対象の植立穀稈を後方に向けて掻き込む回転リール14と、収穫対象の植立穀稈の株元側を切断して刈り取るバリカン形の刈刃15と、切断後の刈取穀稈を左右方向の中間側に横送りして寄せ集めて後方に向けて送り出すオーガ16とを備えている。
【0027】
〔脱穀装置について〕
脱穀装置4は、
図2に示されるように、左右両側の側壁4A(
図7参照)、左右両側の側壁4Aの上部に連結する天板23などを有する脱穀機体を備えている。脱穀機体の上部に脱穀部24が備えられ、脱穀部24の下方に選別部25が備えられている。刈取穀稈がフィーダ11によって脱穀部24に搬送され、刈取穀稈に対して脱穀処理が行われる。選別部25においては、脱穀処理で得られた脱穀処理物に対して選別処理が行われる。
【0028】
脱穀部24には、
図2に示されるように、扱室22、扱室22にて機体前後方向に沿う軸芯P2周りに回転駆動されて作物を脱穀処理する扱胴26が備えられている。扱胴26は、前壁部27と後壁部28とわたって軸芯P2周りに回転可能に支持される扱胴軸29を備え、扱胴軸29を中心に一体回転するように構成されている。扱室22は、左右両側の側壁4A、天板23、前壁部27、後壁部28および受網33によって形成されている。
【0029】
扱胴26は、扱胴26の周方向に等間隔で分散配置した複数の支持杆30を備え、各支持杆30の軸芯方向に並ぶ複数箇所から扱胴26の外周側に突出するバー形の扱歯31を備えている。天板23には、扱胴26の回転に伴って、処理物を扱胴26の回転軸芯方向に沿って後方側(
図2の右側方)に向けて移送案内する送塵弁32が備えられている。
【0030】
扱胴26の外周部のうち下方側の半周部分に円弧状の受網33が備えられている。受網33は、扱胴26の周方向に沿う円弧状の多数の横桟と、扱胴26の軸芯方向に沿う縦桟とを連結して、穀粒が通過するための通過孔が多数形成された周知構造の網状体にて構成されている。
【0031】
扱胴26と受網33との間には、機体前後方向視で円弧状に延びる扱処理空間34が形成され、この扱処理空間34にて扱胴26と受網33との協働により刈取穀稈に対する脱穀処理が行われる。扱胴26は、受網33よりも後側に長く構成されている。扱胴26が受網33よりも後側に延びる部分において、その下方側に排ワラを投入する排ワラ細断装置8の投入口が形成されている。
【0032】
図2に示されるように、選別部25は、受網33から下方に漏下した処理物を移送しながら選別処理する揺動選別装置35と、揺動選別装置35から漏下した一番物としての穀粒を回収して脱穀装置4の横側外方に搬送する一番物回収部36と、揺動選別装置35から漏下した枝付き穀粒等の二番物を回収して脱穀装置4の横側外方に搬送する二番物回収部37と、揺動選別装置35に選別風を供給する唐箕38とを備えている。
【0033】
一番物回収部36は、回収した穀粒を一番物回収スクリュー36Aにより脱穀装置4の横側外方に搬送するように構成されている。そして、一番物回収部36にて回収された穀粒は、脱穀装置4の横側外方に搬送されたのち、揚穀装置39(
図3参照)によって上方に搬送されて穀粒タンク5に貯留される。
【0034】
二番物回収部37は、回収した二番物を二番物回収スクリュー37Aにより脱穀装置4の横側外方に搬送するように構成されている。そして、二番物回収部37にて回収された二番物は、脱穀装置4の横側外方に搬送されたのち、二番物還元装置40(
図3参照)により脱穀部24内に還元されて脱穀処理される。
【0035】
図2に示されるように、揺動選別装置35は、平面視で矩形枠状のシーブケース42を備えている。シーブケース42の前部と、脱穀装置4の左右両側の側壁4Aとに亘って前部支持機構(図示せず)が設けられている。
図2,7に示されるように、シーブケース42の後下部と左右両側の側壁4Aとに亘って選別駆動軸41が設けられている。
図7に示されるように、選別駆動軸41は、両端部41aが側壁4Aに支持され、両端部41aの間に位置する中間部41bがシーブケース42に取付けられ、中間部41bが両端部41aに対して偏芯するように構成されている。選別駆動軸41における中間部41bのシーブケース42への取付けは、
図7に示されるように、中間部41bに、中間部41bの左右端部分にベアリング48を介して外嵌された連結部材49を備え、左右の連結部材49をシーブケース42の側板部42aに連結ボルトによって連結することによって行われる。揺動選別装置35は、前部支持機構および選別駆動軸41を介して左右両側の側壁4Aに揺動可能に支持され、回転駆動される選別駆動軸41によって揺動駆動されて、受網33から漏下した脱穀処理物(穀粒、切れワラなど)を選別対象の処理物として受け止め、受け止めた処理物を後方に移送しながら選別処理するように構成されている。
【0036】
具体的には、
図2に示されるように、シーブケース42の内部における前側部分に、受網33の前部から漏下した処理物を受け止めて後方に向けて移送しながら選別処理するグレンパン43,44が備えられている。グレンパン44よりも後側に、グレンパン43,44からの処理物および受網33の中間部から漏下した処理物を受け止めて後方に向けて移送しながら選別処理する前チャフシーブ45が備えられている。前チャフシーブ45の下方に、前チャフシーブ45から漏下した処理物を受け止めて選別処理するグレンシーブ46が備えられている。前チャフシーブ45の後下方に、前チャフシーブ45からの処理物を受け止めて後方に移送しながら選別処理する後チャフシーブ47が備えられている。
【0037】
〔排ワラ細断装置について〕
排ワラ細断装置8は、
図2に示されるように、脱穀装置4の後方に設けられている。排ワラ細断装置8は、脱穀装置4から排出される脱穀処理後の排ワラを細断する。
【0038】
具体的には、
図2に示されるように、排ワラ細断装置8は、脱穀装置4の後端下部に連結されている。排ワラ細断装置8には、排ワラカバー50によって覆われた内部空間に設けられ、脱穀装置4の扱処理空間34の後端部から排出された排ワラを後下方に向けて流下案内する案内板51と、案内板51から上方に突出する状態で設けられた複数の固定刃52と、案内板51の上方に位置して横向き軸芯P3周りで
図2に矢印Zで示される回転方向に回転して固定刃52との協働により排ワラを切断する複数の回転刃53と、が備えられている。
【0039】
〔動力伝達装置について〕
図3に示されるように、動力源としてのエンジン9の出力軸9aの動力が走行ベルト伝動機構60を介して走行ミッション61に入力され、走行ミッション61から左右のクローラ式走行装置2に出力される。
【0040】
エンジン9の出力軸9aの動力が排出ベルト伝動機構62を介して穀粒タンク5の底スクリュー17に伝達され、底スクリュー17から穀粒排出装置6に伝達される。
【0041】
エンジン9の出力軸9aの動力がベルト式の脱穀クラッチ63を介してカウンター軸64に伝達される。カウンター軸64は、選別部25における唐箕38の回転支軸を兼ねており、脱穀装置4の内部を機体左右方向に貫通する状態で設けられている。カウンター軸64は、機体左右方向一方側箇所としての右側箇所(脱穀装置4の右横外側箇所)にエンジン9からの動力が伝達されるとともに機体左右方向他方側箇所としての左側箇所(脱穀装置4の左横外側箇所)から動力を出力する。
【0042】
図3,4に示されるように、カウンター軸64の脱穀装置4に対して左横外側に位置する箇所に、第1動力伝達装置70、第2動力伝達装置80、第3動力伝達装置90および第4動力伝達装置115が連結されている。第1動力伝達装置70、第2動力伝達装置80、第3動力伝達装置90および第4動力伝達装置115は、脱穀装置4の左横側方に脱着可能に設けられたカバー55(
図1参照)によって横外側方から覆われている。カバー55は、
図1に示されるように、カバー55の上側部分において前部に位置する上前カバー部56と、上前カバー部56よりも後側に位置する上後カバー部57と、カバー55の下側部分において前部に位置する下前カバー部58と、下前カバー部58よりも後側に位置する下後カバー部59とに分割可能に構成されている。下前カバー部58は、上前カバー部56の下方と、上後カバー部57の前部の下方とにわたって位置している。
【0043】
第1動力伝達装置70は、
図3,4に示されるように、カウンター軸64に伝達されたエンジン9からの動力を脱穀装置4の扱胴26と、収穫搬送部3とに伝達する。
【0044】
具体的には、
図3,4に示されるように、第1動力伝達装置70においては、カウンター軸64の動力が収穫ベルト伝動機構71を介してギア式変速機構72の入力軸72aに伝達され、ギア式変速機構72の出力軸72bの動力がベルト伝動機構73を介して中継ケース74の入力軸74aに伝達されて中継ケース74から扱胴軸29に伝達される。ギア式変速機構72の入力軸72aの動力がベルト式の正転クラッチ75を介してフィーダ11の入力軸11aに伝達される。フィーダ11の入力軸11aの動力がチェーン伝動機構76を介して収穫部10の入力軸10aに伝達される。中継ケース74の出力軸74bの動力がベルト式の逆転クラッチ77を介してフィーダ11の入力軸11aに伝達される。正転クラッチ75が入りに切り換えられ、逆転クラッチ77が切りに切り換えられると、ギア式変速機構72の入力軸72aの動力が正転クラッチ75を介してフィーダ11の入力軸1aに伝達されてフィーダ11が搬送用の回転方向に駆動される。正転クラッチ75が切りに切換えられ、逆転クラッチ77が入りに切り換えられると、中継ケース74の出力軸74bの動力が逆転クラッチ77を介してフィーダ11の入力軸11aに伝達されてフィーダ11が搬送用の回転方向とは逆の回転方向に駆動される。
【0045】
第2動力伝達装置80は、
図3,4に示されるように、カウンター軸64に伝達されたエンジン9からの動力を排ワラ細断装置8に伝達する。
【0046】
具体的には、
図3,4に示されるように、第2動力伝達装置80は、第2動力伝達装置80の動力伝達経路の終端部に位置する細断変速部81、カウンター軸64の動力を細断変速部81に伝達する細断ベルト伝動機構82を備えている。
【0047】
細断ベルト伝動機構82は、
図3,4に示されるように、カウンター軸64に備えられた第1動力取出しプーリ83、細断変速部81に備えられた伝動プーリ84、および、第1動力取出しプーリ83と伝動プーリ84とに巻回された伝動ベルト85を備えている。伝動プーリ84は、脱穀装置4の左側の側壁4Aに固定状態で支持された支軸86に回転可能に支持されている。
【0048】
細断変速部81は、
図3,4に示されるように、伝動プーリ84に一体回転可能に連結された2つの入力プーリ87、排ワラ細断装置8における回転刃53の回転支軸8aに一体回転可能に備えられた2つの出力プーリ88、入力プーリ87と出力プーリ88とに巻回される伝動ベルト89を備えている。
【0049】
細断変速部81においては、2つの入力プーリ87のうちのベルト巻回径が大きい方の入力プーリ87と、2つの出力プーリ88のうちのベルト巻回径が小さい方の出力プーリ88とに伝動ベルト89が巻回されると、伝動プーリ84の動力が増速されて回転支軸8aに伝達されるように増速伝動状態に切り換えられ、2つの入力プーリ87のうちのベルト巻回径が小さい方の入力プーリ87と、2つの出力プーリ88のうちのベルト巻回径が大きい方の出力プーリ88とに伝動ベルト89が巻回されると、伝動プーリ84の動力が減速されて回転支軸8aに伝達されるように減速伝動状態に切り換えられる。
【0050】
第2動力伝達装置80においては、カウンター軸64の動力が細断ベルト伝動機構82によって細断変速部81に伝達されて細断変速部81から回転支軸8aに伝達される。細断変速部81が減速伝動状態に切り換えられると、カウンター軸64からの動力が細断変速部81によって減速されて回転支軸8aに伝達され、細断変速部81が増速伝動状態に切り換えられると、カウンター軸64からの動力が細断変速部81によって増速されて回転支軸8aに伝達される。
【0051】
図3,4に示されるように、第3動力伝達装置90は、カウンター軸64に伝達されたエンジン9からの動力を脱穀装置4の一番物回収部36および二番物回収部37に伝達する。
【0052】
具体的には、
図3,4に示されるように、第3動力伝達装置90は、第3動力伝達装置90の動力伝達経路の中間部に位置する第1変速部91、カウンター軸64の動力を第1変速部91に入力する入力ベルト伝動機構92、第1変速部91の出力を一番物回収部36および二番物回収部37に伝達するベルト伝動機構93を備えている。
【0053】
入力ベルト伝動機構92は、
図3,4,5に示されるように、カウンター軸64に備えられた第2動力取出しプーリ94、第1変速部91の入力回転軸91aに備えられた伝動プーリ95、および、第2動力取出しプーリ94と伝動プーリ95とに亘って巻回された伝動ベルト96を備えている。
【0054】
第1変速部91は、
図3,4,5に示されるように、入力回転軸91a、入力回転軸91aよりも後方に位置する出力回転軸91bを備えている。入力回転軸91aは、脱穀装置4の左側の側壁4Aに固定状態で支持された入力支軸97に回転可能に支持されている。出力回転軸91bは、側壁4Aに固定状態で支持された出力支軸98に回転可能に支持されている。入力回転軸91aに、ベルト巻回径が異なる2つの入力プーリ100が一体回転可能に備えられている。出力回転軸91bに、ベルト巻回径が異なる2つの出力プーリ101が一体回転可能に備えられている。2つの入力プーリ100に掛け替え可能、かつ、2つの出力プーリ101に掛け替え可能な伝動ベルト102が備えられている。
【0055】
図5に示されるように、第1変速部91においては、2つの入力プーリ100のうちのベルト巻回径が小さい方の第1入力プーリ100aと、2つの出力プーリ101のうちのベルト巻回径が大きい方の第1出力プーリ101aとに伝動ベルト102が巻回されると、入力回転軸91aの動力が減速して出力回転軸91bに伝達されるように減速伝動状態に切り換えられる。
【0056】
図6に示されるように、第1変速部91においては、2つの入力プーリ100のうちのベルト巻回径が大きい方の第2入力プーリ100bと、2つの出力プーリ101のうちのベルト巻回径が小さい方の第2出力プーリ101bとに伝動ベルト102が巻回されると、入力回転軸91aの動力が増速して出力回転軸91bに伝達されるように増速伝動状態に切り換えられる。伝動ベルト102は、減速伝動状態および増速伝動状態においてテンションローラ103に巻回される。
【0057】
ベルト伝動機構93は、
図3,4,5に示されるように、第1変速部91の出力回転軸91bに一体回転可能に備えられた伝動プーリ105、一番物回収スクリュー36Aに一体回転可能に備えられた一番駆動プーリ106、二番物回収スクリュー37Aに一体回転可能に備えられた二番駆動プーリ109、一番駆動プーリ106と二番駆動プーリ109との間に設けられた中継プーリ108を備えている。伝動プーリ105と一番駆動プーリ106と二番駆動プーリ109と中継プーリ108とに亘って伝動ベルト110が巻回されている。伝動ベルト110は、伝動プーリ105と一番駆動プーリ106との間に位置するガイドローラ111およびテンションローラ112に巻回されている。中継プーリ108は、脱穀装置4の左の側壁4Aに固定状態で支持された中継支軸107に回転可能に支持されている。
【0058】
第3動力伝達装置90においては、カウンター軸64の動力が入力ベルト伝動機構92によって第1変速部91に入力され、第1変速部91からベルト伝動機構93によって一番駆動プーリ106及び二番駆動プーリ109に伝達され、一番駆動プーリ106から一番物回収スクリュー36Aに伝達され、二番駆動プーリ109から二番物回収スクリュー37Aに伝達される。第1変速部91が増速伝動状態に切り換えられると、カウンター軸64からの動力が第1変速部91によって増速されて一番物回収スクリュー36Aおよび二番物回収スクリュー37Aに伝達される。第1変速部91が減速伝動状態に切り換えられると、カウンター軸64からの動力が第1変速部91によって減速されて一番物回収スクリュー36Aおよび二番物回収スクリュー37Aに伝達される。
【0059】
図3,4に示されるように、第4動力伝達装置115は、カウンター軸64に伝達されたエンジン9からの動力を選別部25の揺動選別装置35に伝達する。
【0060】
具体的には、
図3,4,5に示されるように、第4動力伝達装置115は、第1変速部91及び第2変速部116を備えている。第1変速部91と第2変速部116とは、第4動力伝達装置115の伝動経路において第2変速部116が第1変速部91よりも伝動方向下手側に位置する状態で直列に繋げられ、第1変速部91の出力が第2変速部116に入力される。第1変速部91とカウンター軸64とに亘り、カウンター軸64の動力を第1変速部91に入力する入力ベルト伝動機構92が設けられている。第1変速部91と第2変速部116とに亘り、第1変速部91の出力を第2変速部116に入力するベルト伝動機構93が設けられている。
【0061】
図3,4,5に示されるように、入力ベルト伝動機構92は、第3動力伝達装置90に備えられた入力ベルト伝動機構92によって構成されている。第1変速部91は、第3動力伝達装置90に備えられた第1変速部91によって構成されている。
【0062】
第2変速部116は、
図3,4,5に示されるように、一番駆動プーリ106と二番駆動プーリ109との間に位置する入力回転軸116a、入力回転軸116aよりも後方に位置する出力回転軸116bを備えている。入力回転軸116aは、
図3,5に示されるように、中継支軸107に回転可能に支持されている。
図3,4,5,7に示されるように、選別駆動軸41は、脱穀装置4の左右両側の側壁4Aに亘って設けられ、出力回転軸116bは、左右両側の側壁4Aのうちの左側の側壁4Aよりも脱穀装置横外側に位置する箇所において選別駆動軸41に一体回転可能に備えられている。
【0063】
図3,4,5に示されるように、入力回転軸116aに第1プーリ118および第2プーリ119が一体回転可能に備えられている。出力回転軸116bに第3プーリ120が一体回転可能に備えられている。第1プーリ118のベルト巻回径が第2プーリ119のベルト巻回径よりも小さく設定されている。第3プーリ120のベルト巻回径が第1プーリ118のベルト巻回径よりも大きく、かつ、第2プーリ119のベルト巻回径よりも小さく設定されている。第1プーリ118と第3プーリ120とに亘っての巻回状態と、第2プーリ119と第3プーリ120とに亘っての巻回状態とに掛け替え可能な伝動ベルト121が備えられている。入力回転軸116aは、中継プーリ108、第1プーリ118および第2プーリ119を中継支軸107に取付けるボス部によって構成されている。出力回転軸116bは、第3プーリ120を選別駆動軸41に取付けるボス部によって構成されている。
【0064】
図5に示されるように、第2変速部116においては、第2プーリ119が第1プーリ118よりも機体横内側に位置する取付け状態で入力回転軸116aが中継支軸107に取付けられ、第2プーリ119と第3プーリ120とに亘って伝動ベルト121が巻回されると、入力回転軸116aの動力が増速されて出力回転軸116bに伝達されるように増速伝動状態に切り換えられる。伝動ベルト121は、増速伝動状態においてテンションローラ122に巻回される。
【0065】
図6に示されるように、第2変速部116においては、第1プーリ118が第2プーリ119よりも機体横内側に位置する取付け状態で入力回転軸116aが中継支軸107に取付けられ、第1プーリ118と第3プーリ120とに亘って伝動ベルト121が巻回されると、入力回転軸116aの動力が減速されて出力回転軸116bに伝達されるように減速伝動状態に切り換えられる。伝動ベルト121は、減速伝動状態においてテンションローラ122およびガイドローラ123に巻回される。
【0066】
図3,5に示されるように、第3動力伝達装置90に備えられた中継プーリ108が第2変速部116における入力回転軸116aに一体回転可能に連結され、第3動力伝達装置90に備えられたベルト伝動機構93によって第1変速部91の出力が第2変速部116の入力回転軸116aに伝達されるよう構成されている。第4動力伝達装置115において第1変速部91の出力を第2変速部116に入力するベルト伝動機構93は、第3動力伝達装置90に備えられたベルト伝動機構93によって構成される。
【0067】
第4動力伝達装置115においては、カウンター軸64の動力が入力ベルト伝動機構92によって第1変速部91に入力されて第1変速部91からベルト伝動機構93によって第2変速部116に伝達されて第2変速部116から選別駆動軸41に伝達される。第1変速部91が増速伝動状態に切り換えられ、第2変速部116が減速伝動状態に切り換えられると、カウンター軸64からの動力が第1変速部91によって増速され、増速された動力が第2変速部116によって減速されて選別駆動軸41に伝達される。第1変速部91が減速伝動状態に切り換えられ、第2変速部116が増伝動状態に切り換えられると、カウンター軸64からの動力が第1変速部91によって減速され、減速された動力が第2変速部116によって増速されて選別駆動軸41に伝達される。第1変速部91が増速伝動状態に、第2変速部116が減速伝動状態にそれぞれ切換えられた場合、および、第1変速部91が減速伝動状態に、第2変速部116が増速伝動状態にそれぞれ切換えられた場合のいずれにおいても、第1変速部91および第2変速部116が共に減速伝動状態に切り換えられた場合よりも速い回転速度で、第1変速部91および第2変速部116が共に増速伝動状態に切り換えられた場合の回転速度よりも遅い回転速度で選別駆動軸41が駆動される。
【0068】
〔警報および警告について〕
図7に示されるように、選別駆動軸41は、脱穀装置4の左右両側の側壁4Aに亘って設けられている。脱穀装置4の横外側において選別駆動軸41の回転速度を速度センサ130によって検出するように構成されている。
【0069】
図7に示されるように、速度センサ130は、脱穀装置4の左右両側の側壁4Aのうちの右横側の側壁4Aよりも脱穀装置横外側に設けられ、脱穀装置4の両横外側のうち、第4動力伝達装置115が位置する側とは反対側の横外側において選別駆動軸41に対して検出作用する。
【0070】
具体的には、
図7,8に示されるように、選別駆動軸41の端部41aに検出対象の回転体131が一体回転可能に備えられ、回転体131の外周側の周部に周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の突起部131aが備えられている。速度センサ130は、突起部131aの検出に基づいて回転体131の回転速度を検出し、回転体131の回転速度を選別駆動軸41の回転速度として検出する。
図7,8に示される132は、バランスウエイトであり、回転体131に取付けられている。
【0071】
図7に示されるように、脱穀装置4の左右両側の側壁4Aのそれぞれにおいて、側壁4Aと選別駆動軸41との間に、選別駆動軸41に外嵌するベアリング125、および、ベアリング125を収容するベアリングケース126が設けられている。選別駆動軸41は、左右両側の側壁4Aにベアリング125およびベアリングケース126を介して支持される。ベアリングケース126の側壁4Aへの支持は、
図7,8に示されるように、側壁4Aにケース支持板部4Bを備え、ケース支持板部4Bにベアリングケース126の鍔部126aを連結ボルトによって連結することによって行われる。ケース支持板部4Bの上下両端部において、ケース支持板部4Bと側壁4Aとの間に補強部材127が挟まれている。
図7に示されるように、速度センサ130は、ベアリングケース126よりも脱穀装置横外側に位置する箇所に設けられている。詳しくは、速度センサ130は、ベアリングケース126の脱穀装置横外側の端126bよりも脱穀装置横外側に位置する箇所に設けられている。速度センサ130は、ベアリングケース126が検出障害にならない状態で回転体131に対して検出作用する。
【0072】
図7,8に示されるように、速度センサ130は、側壁4Aに備えられた支持部133に支持されている。速度センサ130は、選別駆動軸41を支持する側壁4Aに支持され、速度センサ130の回転体131(選別駆動軸41)に対する位置ずれを防止できる。
【0073】
図8に示されるように、速度センサ130に制御装置134が連係され、制御装置134に脱穀クラッチ63、及び、運転部7に備えられたメータパネル135が連係されている。
【0074】
制御装置134は、マイクロコンピュータを利用して構成され、脱穀停止手段136、警報手段137および速度設定部138を備えている。
【0075】
速度設定部138には、第1変速部91および第2変速部116が共に増速伝動状態に切り換えられた場合の選別駆動軸41の回転速度よりも少し低速の回転速度を第1設定回転速度[SV1]として設定されている。速度設定部138には、第1変速部91および第2変速部116が共に減速伝動状態に切り換えられた場合の選別駆動軸41の回転速度よりも少し高速、かつ、第1設定回転速度[SV1]よりも低速の回転速度を第2設定回転速度[SV2]として設定されている。
【0076】
脱穀停止手段136は、速度センサ130による検出回転速度[KV]と、速度設定部138による第1設定回転速度[SV1]とを比較し、検出回転速度[KV]が第1設定回転速度[SV1]よりも高速であると判断した場合、脱穀クラッチ63を切りに切換え制御することによって脱穀装置4を停止操作する。
【0077】
警報手段137は、速度センサ130による検出回転速度[KV]と、速度設定部138による第2設定回転速度[SV2]とを比較し、検出回転速度[KV]が第2設定回転速度[SV2]よりも低速であると判断した場合、メータパネル135に警報表示139を表示させる。警報表示139としては、図案、符号などの採用が可能である。
【0078】
収穫する作物の品種、性状が異なる場合、第1変速部91および第2変速部116の変速状態を切り換えて選別駆動軸41の駆動速度を調整して揺動選別装置35が収穫対象の作物に適応した駆動速度で駆動されるようにし、一番物回収スクリュー36Aおよび二番物回収スクリュー37Aが収穫対象の作物に適応した駆動速度で駆動されるようにする。
【0079】
伝動ベルト102、伝動ベルト121の掛け違いをされ、第1変速部91および第2変速部116が共に増速伝動状態にされると、カウンター軸64からの動力が第1変速部91によって増速され、さらに第2変速部116によって増速されて選別駆動軸41に伝達されて選別駆動軸41が速すぎる回転速度で駆動されるという調整不良の状態に第4動力伝達装置115がなり、揺動選別装置35などが破損されることがある。この場合、速度センサ130の検出速度[KV]、および、速度設定部138による第1設定回転速度[SV1]に基づいて脱穀停止手段136が脱穀クラッチ63を切り制御し、脱穀装置4が停止される。脱穀装置4の停止によって第4動力伝達装置115の調整不良を知ることができる。
【0080】
伝動ベルト102、伝動ベルト121の掛け違いをされ、第1変速部91および第2変速部116が共に減速伝動状態にされると、カウンター軸64からの動力が第1変速部91によって減速され、さらに第2変速部116によって減速されて選別駆動軸41に伝達されて選別駆動軸41が遅すぎる回転速度で駆動されるという調整不良の状態に第4動力伝達装置115がなり、選別不足になる。伝動ベルト102や伝動ベルト121の延びが発生した場合も同様である。この場合、速度センサ130の検出速度[KV]、および、速度設定部138による第2設定回転速度[SV2]に基づいて警報手段137がメータパネル135に警報表示139を表示し、警報が行われる。警報によって第4動力伝達装置115の調整不良を知ることができる。
【0081】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、第4動力伝達装置115に第1変速部91および第2変速部116が備えられた例を示したが、第1変速部91、および、第2変速部116を備えないものであってもよい。
【0082】
(2)上記した実施形態では、第1変速部91および第2変速部116としてベルト式の有段変速部が採用された例を示したが、ギア掛け替えなどによる有段変速可能な変速部、あるいは、ベルト式、静油圧式などの無段変速可能な変速部の採用が可能である。
【0083】
(3)上記した実施形態では、第4動力伝達装置115を左の側壁4Aよりも脱穀装置横外側に設け、速度センサ130を右の側壁4Aよりも脱穀装置横外側に設けた例を示したが、これに限らず、第4動力伝達装置115を右の側壁4Aよりも脱穀装置横外側に設け、速度センサ130を左の側壁4Aよりも脱穀装置横外側に設けたもの、あるいは、第4動力伝達装置115および速度センサ130の両方を左右の側壁4Aのいずれか一方の側壁4Aよりも脱穀装置横外側に設けたものであってもよい。
【0084】
(4)上記した実施形態では、速度センサ130を側壁4Aに支持した例を示したが、支柱などの専用の支持部材を設け、この支持部材に速度センサ130を支持するものであってもよい。
【0085】
(5)上記した実施形態では、速度センサ130をベアリングケース126よりも脱穀装置横外側に設けた例を示したが、速度センサ130をベアリングケース126よりも脱穀装置横内側に設け、検出対象部が速度センサ130とベアリングケース126との間に位置する検出対象回転体を設けたものであってもよい。
【0086】
(6)上記した実施形態では、脱穀停止手段136、警報手段137を備えた例を示したが、脱穀停止手段136および警報手段137を備えず、速度センサ130による検出回転速度が表示される速度数表示装置を設け、表示される回転速度によって選別駆動軸41の回転速度を知るように構成することが可能である。
【0087】
(7)上記した実施形態では、エンジン9が原動部として備えられた例を示したが、原動部としては電動モータの採用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、普通型コンバインの他、自脱型コンバインにも適用できる。
【符号の説明】
【0089】
4 脱穀装置
4A 側壁
9 動力源(エンジン)
10 収穫部
24 脱穀部
35 揺動選別装置
41 選別駆動軸
42 シーブケース
91 第1変速部
115 第4動力伝達装置(動力伝達装置)
116 第2変速
125 ベアリング
126 ベアリングケース
130 回転センサ