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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008758
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20240112BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F28F3/08 301Z
F28D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127970
(22)【出願日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2022110592
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000191353
【氏名又は名称】新明工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 信太郎
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103AA37
3L103BB42
3L103CC22
3L103DD13
3L103DD15
3L103DD18
3L103DD52
(57)【要約】
【課題】熱交換器の内部を流れる流体(第1流体及び第2流体)間の熱交換効率が高く且つ小型化が容易な熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器は、自立できない厚みの薄膜であって厚み方向に相互に並設される複数の薄膜と、互いに対向する薄膜の間に位置し、対向する薄膜の少なくとも一方を所定の形状に保持する複数の枠部と、少なくとも対向する薄膜及びそれらの間に位置する枠部によって区画される複数の流路(第1流体が流れる第1流路、及び第2流体が流れる第2流路)と、を有する。互いに隣接する第1流路及び第2流路において、第1流体と第2流体との間で薄膜を介して熱交換可能が行われる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
自立できない厚みの薄膜であって厚み方向に相互に並設される複数の薄膜と、
互いに対向する前記薄膜の間に位置し、前記対向する薄膜の少なくとも一方を所定の形状に保持する複数の枠部と、
少なくとも前記対向する薄膜及びそれらの間に位置する前記枠部によって区画される複数の流路と、
を有し、
互いに隣接する前記流路のそれぞれを流れる流体が前記薄膜を介して熱交換可能な熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記複数の枠部は、前記薄膜の周縁の一部に沿い、
前記流路は、前記枠部が設けられていない前記薄膜の周縁において入口と出口とを有する、熱交換器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換器であって、
前記薄膜及び前記枠部と共に前記流路を区画する蓋材を有し、
前記複数の薄膜は、矩形状であり、
前記蓋材は、前記薄膜の1辺の一部に沿って配設され、
前記枠部は、前記1辺とは異なる前記薄膜の3辺に沿っており、
前記流路の前記入口及び前記出口は、前記蓋材の両側に位置する、熱交換器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の熱交換器であって、
前記複数の枠部は、前記薄膜の周縁に沿ってU字状である、熱交換器。
【請求項5】
請求項3に記載の熱交換器であって、
前記複数の枠部は、
前記複数の薄膜の第1辺を除く3辺に沿う第1枠部と、
前記複数の薄膜の第2辺を除く3辺に沿う第2枠部と、を含み、
前記第1枠部と前記第2枠部が交互に配設される、熱交換器。
【請求項6】
請求項5に記載の熱交換器であって、
前記複数の薄膜の前記第1辺と前記第2辺は、互いに反対側に位置する、熱交換器。
【請求項7】
請求項6に記載の熱交換器であって、
前記第1枠部、前記第2枠部及び前記薄膜のそれぞれを覆い且つ固定する筐体を有し、
前記第1枠部及び前記第2枠部のそれぞれは、突出部を有し、
前記筐体は、前記第1枠部及び前記第2枠部のそれぞれの前記突出部が挿入される凹部が設けられている、熱交換器。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の熱交換器であって、
前記複数の薄膜が両面において前記枠部に密着されて、前記複数の薄膜と前記複数の枠部が一体化されている、熱交換器。
【請求項9】
熱交換器であって、
板状又はシート状で且つ厚み方向に相互に並設される複数の熱交換体と、
互いに対向する前記熱交換体の間に位置し、前記対向する熱交換体の周縁の一部に沿って延設される複数の枠部と、
前記枠部が設けられていない前記熱交換体の周縁の中央領域に設けられる蓋材と、
前記対向する熱交換体並びにそれらの間に位置する前記枠部及び前記蓋材によって区画され、前記蓋材の一端側に入口を備え、前記蓋材の他端側に出口を備える流路を複数有する、熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。例えば、積層板状の流路群を有する熱交換器に有する。
【背景技術】
【0002】
互いに温度の異なる2つの流体(以下、「第1流体」及び「第2流体」とも称呼される。)の間で熱交換を行わせる熱交換システムが知られている。従来の熱交換システムの1つは、第1流体である家屋の屋内から屋外へ送られる空気が流れる流路(第1流路)及び第2流体である屋外から屋内へ送られる空気が流れる流路(第2流路)のそれぞれが交互に配列されて積層された熱交換器を含んでいる。この熱交換器において、第1流路及び第2流路のそれぞれは、一対の対向する平板である形状保持板、及び形状保持板に挟まれた波形状板(コルゲートフィン)によって形成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-63860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1流路及び第2流路に波形状板が含まれることによって、波型状板から形状保持板への熱伝導が促進され、その結果、形状保持板を介した第1流体と第2流体との間の熱伝導が促進される。その反面、波形状板が含まれることにより、熱交換器の小型化が困難となる虞がある。一方、熱交換器に含まれる波型状板を省き且つ形状保持板の厚みを減少させることによっても第1流体と第2流体との間の熱交換を促進し得るが、厚みの小さい(薄い)形状保持板を用いて第1流路及び第2流路の形状を保持することは従来困難であった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、厚みの小さい形状保持板(即ち、第1流路と第2流路とを隔てる分離板、熱交換体)を用いて流路の形状を保持することにより熱交換効率が高く且つ小型化が容易な熱交換器及び当該熱交換器を含む熱交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る熱交換器は、自立できない厚みの薄膜であって厚み方向に相互に並設される複数の薄膜と、互いに対向する前記薄膜の間に位置し、前記対向する薄膜の少なくとも一方を所定の形状に保持する複数の枠部と、少なくとも前記対向する薄膜及びそれらの間に位置する前記枠部によって区画される複数の流路と、を有し、互いに隣接する前記流路のそれぞれを流れる流体が前記薄膜を介して熱交換可能となるように構成される。
【0007】
当該熱交換器における薄膜は、熱伝導率が高い金属であっても良く、或いは、非金属であっても良い。薄膜が自立不能な厚みを有していても枠部によって形状が保持され、以て、流路の形状が著しく変化することが回避される。流路の厚みは、枠部の厚みと略等しくなる。従って、当該熱交換器によれば、第1流路と第2流路とを隔てる熱交換体を自立不能な程度まで薄くすることが可能となり、波型状板を設けることなく第1流体と第2流体との間の熱交換を促進することが可能となる。その結果、当該熱交換器を小型化することが容易となる。
【0008】
当該熱交換器の一態様において、前記複数の枠部は、前記薄膜の周縁の一部に沿い、前記流路は、前記枠部が設けられていない前記薄膜の周縁において入口と出口とを有するように構成されても良い。
【0009】
更に、当該態様において、前記薄膜及び前記枠部と共に前記流路を区画する蓋材を有し、前記複数の薄膜は、矩形状であり、前記蓋材は、前記薄膜の1辺の一部に沿って配設され、前記枠部は、前記1辺とは異なる前記薄膜の3辺に沿っており、前記流路の前記入口及び前記出口は、前記蓋材の両側に位置するように熱交換器が構成されても良い。
【0010】
この場合、流路は、互いに対向する薄膜、並びに、枠部及び蓋材の内周面によって区画される。流路の入口(第1流体又は第2流体の流入口)及び出口(第1流体又は第2流体の流出口)は、薄膜の周縁における互いに離間している枠部と蓋材との間に位置する。
【0011】
或いは、前記複数の枠部は、前記薄膜の周縁に沿ってU字状であるように熱交換器が構成されても良い。即ち、第1流路又は第2流路を区画する枠部は、内周面がU字形状を有するように構成されても良い。
【0012】
加えて、上記態様において、前記複数の枠部は、前記複数の薄膜の第1辺を除く3辺に沿う第1枠部と、前記複数の薄膜の第2辺を除く3辺に沿う第2枠部と、を含み、前記第1枠部と前記第2枠部が交互に配設されるように熱交換器が構成されても良い。
【0013】
更に、前記複数の薄膜の前記第1辺と前記第2辺は、互いに反対側に位置するように熱交換器が構成されても良い。
【0014】
この場合、第1流路の入口及び出口が当該熱交換器の一方の側(例えば、上方)に位置し、第2流路の入口及び出口が当該熱交換器の他方の側(例えば、下方)に位置する。従って、第1流路の入口及び出口、並びに第2流路の入口及び出口のそれぞれが互いに離間するので、当該熱交換器への各ダクト(即ち、第1流体の流入ダクト及び流出ダクト並びに第2流体の流入ダクト及び流出ダクト)の接続が容易となる。
【0015】
更に、前記第1枠部、前記第2枠部及び前記薄膜のそれぞれを覆い且つ固定する筐体を有し、前記第1枠部及び前記第2枠部のそれぞれは、突出部を有し、前記筐体は、前記第1枠部及び前記第2枠部のそれぞれの前記突出部が挿入される凹部が設けられるように熱交換器が構成されても良い。
【0016】
この場合、第1枠部及び第2枠部のそれぞれが突出部及び凹部を介して筐体に対して固定されるので、第1枠部及び第2枠部の一方が他方に対して変位することに起因して薄膜の破断及び変形等が発生することが回避される。
【0017】
当該熱交換器の他の態様において、前記複数の薄膜が両面において前記枠部に密着されて、前記複数の薄膜と前記複数の枠部が一体化されるように熱交換器が構成されても良い。
【0018】
或いは、当該熱交換器は、板状又はシート状で且つ厚み方向に相互に並設される複数の熱交換体と、互いに対向する前記熱交換体の間に位置し、前記対向する熱交換体の周縁の一部に沿って延設される複数の枠部と、前記枠部が設けられていない前記熱交換体の周縁の中央領域に設けられる蓋材と、前記対向する熱交換体並びにそれらの間に位置する前記枠部及び前記蓋材によって区画され、前記蓋材の一端側に入口を備え、前記蓋材の他端側に出口を備える流路を複数有するように構成されても良い。
【0019】
なお、上述した態様の如何によらず、本発明に係る熱交換器は、流路の入口及び出口のそれぞれに接続されて流体を導入又は導出するダクト又はパイプ、及び、流体を圧送するファン又はポンプ等と共に熱交換システムを構成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る熱交換器を含む熱交換システムの概略構成図である。
図2】熱交換器に含まれる枠部、蓋材、薄膜及びサイドプレートを示した図である。
図3】熱交換器内に形成された第1流路及び第2流路を示すための熱交換器の部分分解図である。
図4】熱交換器の第1変形例を含む熱交換システムの概略構成図である。
図5】第1変形例に係る熱交換器に含まれる枠部、蓋材、薄膜及びサイドプレートを示した図である。
図6】第1変形例に係る熱交換器の枠部に形成された突出部が筐体の溝(凹部)に挿入される様子を示した図である。
図7】第1変形例に係る熱交換器における第1流路及び第2流路の中央部近傍の部分的な端面図である。
図8】熱交換器の第2変形例に含まれる枠部(枠材)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を図1~3を参照しながら説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが同じ機能を有する同じ要素を意味する。図1に示されるように、本実施形態に係る熱交換器1は、ダクト10、12、20、30、32、40及びファン11、31と共に熱交換器システムを構成する。
【0022】
この熱交換システムは、家屋に設置され、屋内の空気(即ち、第1流体)を屋外に排出すると同時に屋外の空気(即ち、第2流体)を屋内に流入させ且つ第1流体と第2流体との間で熱交換を行わせる。即ち、この熱交換システムによれば、屋内空気が換気され且つ冷暖房設備(不図示)によって調整された屋内空気の温度が換気によって変化することが可及的に回避される。
【0023】
本実施形態におけるファン11、31は、周知のシロッコファンである。後述されるように、ファン11は第1流体を圧送して熱交換器1に流入させ、ファン31は第2流体を圧送して熱交換器1に流入させる。
【0024】
第1流体は、ダクト10、ファン11、ダクト12、及びダクト12に形成された流出口13を経て熱交換器1に流入する。ダクト10には、第1流体をダクト10に導入し且つ異物を濾過するエアフィルターを備えた屋内空気導入ダクト(不図示)が接続されている。屋内空気導入ダクトからダクト12に流入する屋内空気は、矢印A1によって表される。
【0025】
熱交換器1に流入した第1流体は、ダクト20に形成された流入口21を経てダクト20に流入する。ダクト20には、第1流体を屋外へ導出する屋内空気導出ダクト(不図示)が接続されている。ダクト20から屋内空気導出ダクトに流入する屋内空気は、矢印A2によって表される。
【0026】
第2流体は、ダクト30、ファン31、ダクト32、及びダクト32に形成された流出口33を経て熱交換器1に流入する。ダクト30には、第2流体をダクト30に導入し且つ異物を濾過するエアフィルターを備えた屋外空気導入ダクト(不図示)が接続されている。屋外空気導入ダクトからダクト32に流入する屋外空気は、矢印A3によって表される。
【0027】
熱交換器1に流入した第2流体は、ダクト40に形成された流入口41を経てダクト40に流入する。ダクト40には、第2流体を屋内へ導入する屋外空気導出ダクト(不図示)が接続されている。ダクト40から屋外空気導出ダクトに流入する屋外空気は、矢印A4によって表される。
【0028】
図2に示されるように、熱交換器1は、複数の枠部2~3、複数の蓋材4~5、複数の薄膜6、及び、熱交換器1の両端に配設された一対のサイドプレート7を含んでいる。枠部2は、便宜上、「第1枠部」とも称呼される。枠部3は、便宜上、「第2枠部」とも称呼される。
【0029】
本実施形態における枠部2~3、蓋材4~5及びサイドプレート7のそれぞれは、アルミニウムにより構成され且つ2mmの厚みを有している。薄膜6及びサイドプレート7は矩形形状を有し、且つ縦方向及び横方向の長さ(即ち、厚み以外の寸法)は互いに略等しい。
【0030】
本実施形態における薄膜6のそれぞれは、シート状に形成されたアルミニウム製の熱交換体(フィルム)であり、0.1mmの厚みを有している。薄膜6は、厚みが薄いため、自立できない。即ち、薄膜6は、自重により変形し得る。薄膜6のそれぞれは、一対のサイドプレート7の間に配設されている。即ち、薄膜6は、厚み方向に相互に並設されている。
【0031】
薄膜6の間には、枠部2及び蓋材4の組合せと、枠部3及び蓋材5の組合せと、の何れか一方が交互に挿入されている。より具体的に述べると、薄膜6の一方の面には、一組の枠部2及び蓋材4が周知の接着剤により着接(密着)されている。薄膜6の他方の面には、一組の枠部3及び蓋材5が周知の接着剤により着接(密着)されている。
【0032】
換言すれば、一組の枠部2及び蓋材4の両方の面には薄膜6がそれぞれ着接されており、且つ、一組の枠部3及び蓋材5の両方の面には薄膜6がそれぞれ着接されている。サイドプレート7の一方(図2における手前側)には、一組の枠部2及び蓋材4が着接されている。サイドプレート7の他方(図2における奥側)には、一組の枠部3及び蓋材5が着接されている。
【0033】
図3は熱交換器1の一部の分解図であり、サイドプレート7の一方、薄膜6の内の3枚、並びに、薄膜6に着接された「枠部2及び蓋材4」又は「枠部3及び蓋材5」の組合せが示されている。枠部2及び蓋材4の両方の面に互いに対向する薄膜6(熱交換器1における手前側の端部においてはサイドプレート7)がそれぞれ着接している結果として矢印A5により表される第1流体の経路(第1流路)が形成されている。加えて、枠部3及び蓋材5の両方の面に互いに対向する薄膜6(熱交換器1における奥側の端部においてはサイドプレート7)がそれぞれ着接している結果として矢印A6により表される第2流体の経路(第2流路)が形成される。
【0034】
換言すれば、枠部2~3及び蓋材4~5は、両面に着接された(即ち、接着剤を用いて密着された)薄膜6のそれぞれを、サイドプレート7に対して平行な平面形状を保持するように固定している。加えて、枠部2~3及び蓋材4~5は、薄膜6と共に第1流路又は第2流路の壁面を構成している。即ち、熱交換器1は、板状の第1流路と第2流路とが交互に積層され且つ第1流路と第2流路とが薄膜6によって隔てられた隔板式熱交換器である。
【0035】
より具体的に述べると、枠部2の内周面(即ち、枠部2における第1流路を画定する面)は、一対の湾曲部2aを有し、U字状となっている。蓋材4の内周面は、一対の湾曲部4aを有し、枠部2の内周面と共にU字状の第1流路を形成している。同様に、枠部3の内周面は、一対の湾曲部3aを有し、U字状となっている。蓋材5の内周面は、一対の湾曲部5aを有し、枠部3の内周面と共にU字状の第2流路を形成している。
【0036】
枠部2、3の外周面は、矩形状の薄膜6の周縁(具体的には、3辺)に沿っており、先端部2b、3bが、薄膜6の残りの1辺まで延設されている。この1辺(具体的には、この1辺の中央部(中央領域))には、蓋材4、5の外周面が沿っている。換言すれば、第1流路の流入口(入口)及び流出口(出口)は蓋材4の両端(両側)に位置し、第2流路の流入口(入口)及び流出口(出口)は蓋材5の両端(両側)に位置している。蓋材4の外周面が沿っている薄膜6の1辺は、便宜上、「第1辺」とも称呼される。蓋材5の外周面が沿っている薄膜6の1辺は、便宜上、「第2辺」とも称呼される。第1辺及び第2辺は、薄膜6において互いに反対側に位置している。
【0037】
本実施形態における熱交換器1に含まれる第1流路及び第2流路のそれぞれの数は、「30」である。即ち、熱交換器1は、30組の枠部2及び蓋材4と、30組の枠部3及び蓋材5と、を含んでいる。換言すれば、熱交換器1は30個の第1流体の流入口を有し、それらの流入口はダクト12の流出口13に覆われている(図1を参照)。同様に、熱交換器1が有する30個の第1流体の流出口は、ダクト20の流入口21に覆われている。熱交換器1が有する30個の第2流体の流入口は、ダクト32の流出口33に覆われている。熱交換器1が有する30個の第2流体の流出口は、ダクト40の流入口41に覆われている。
【0038】
従って、ファン11によって圧送された第1流体は、ダクト12を経て熱交換器1(具体的には、第1流路のそれぞれ)に流入し、第1流路を通過する。次いで、第1流体は、第1流路の流出口のそれぞれと連結されたダクト20へ流出する。同様に、ファン31によって圧送された第2流体は、ダクト32を経て熱交換器1(具体的には、第2流路のそれぞれ)に流入し、第2流路を通過する。次いで、第2流体は、第2流路の流出口のそれぞれと連結されたダクト40へ流出する。
【0039】
熱交換器1における第1流路を流れる第1流体と、第2流路を流れる第2流体と、の間で熱交換が行われる。より具体的には、薄膜6を挟んで互いに隣接する第1流路と第2流路との間で熱交換が行われる。
【0040】
なお、図3における第1流路を表す矢印A5及び第2流路を表す矢印A6から理解されるように、第1流路と第2流路とは互いに略平行であり且つ第1流体と第2流体とが互いに逆方向に流れる区間を有している。従って、本実施形態に係る熱交換器1を含む熱交換システムは、薄膜6を隔板として用いる対向流型熱交換器を構成している。
【0041】
<第1変形例>
実施形態の第1変形例を、図4~7を参照しながら説明する。第1変形例に係る熱交換器51は、枠部61~62及び蓋材4~5を含んでいる。更に、図4に示されるように、熱交換器51は、筐体71~72を含んでいる。
【0042】
図4において、筐体71は、熱交換器51の上面に装着されている。一方、筐体72は、便宜上、熱交換器51の下方において熱交換器51から離間した状態にて図示されている。筐体71、72のそれぞれは、貫通孔(不図示)が形成された一対のフランジ部73を有し、貫通孔に挿通されるボルト及びナット(何れも不図示)を用いて熱交換器51を上下から挟み包んだ状態にて互いに締結される。
【0043】
図5に示されるように、枠部61、62のそれぞれには、突出部63が形成されている。一方、図6に示されるように、筐体72には、枠部61の突出部63が挿入される(即ち、突出部63と嵌合する)複数の溝74(凹部)が形成されている。同様に、筐体71の内面には、枠部62の突出部63が挿入される複数の溝74が形成されている。なお、図4において、枠部61、62の突出部63、及び筐体71、72の溝74の図示が省略されている。
【0044】
筐体71の内面における互いに隣接する溝74に挟まれる領域(即ち、凹部である溝74に対する内面凸部)には、薄膜6、枠部61の先端部(即ち、枠部2における先端部2bに相当する箇所)及び蓋材4の外周面が当接(接触)する。一方、筐体72の内面における互いに隣接する溝74に挟まれる領域(即ち、筐体72の内面凸部)には、薄膜6、枠部62の先端部及び蓋材5の外周面が当接する。
【0045】
より具体的に述べると、図7から理解されるように、筐体71の溝74によって突出部63を含む枠部62が固定され、枠部62と枠部62との間にある2つの薄膜6及び蓋材4(並びに、図7に現れない枠部61の先端部)が筐体71の内面凸部に当接している。同様に、筐体72の溝74によって突出部63を含む枠部61が固定され、枠部61と枠部61との間にある2つの薄膜6及び蓋材5(並びに、図7に現れない枠部62の先端部)が筐体71の内面凸部に当接している。
【0046】
更に、図7には、枠部61、蓋材4及び一対の(対向する)薄膜6によって形成された複数の第1流路91が示されている。加えて、枠部62、蓋材5及び一対の薄膜6によって形成された複数の第2流路92が図7に示されている。図7より、熱交換器51(及び、熱交換器1)において、第1流路91を流れる第1流体と、第2流路92を流れる第2流体と、の間で熱交換が行われることが理解され得る。
【0047】
<第2変形例>
実施形態の第2変形例を、図8を参照しながら説明する。第2変形例に係る熱交換器は、図8に示される枠部80を含んでいる。枠部80は、流路外周部80a、流路内周部80b及び一対の連結部80cを含んでいる。即ち、互いに離間していた枠部2及び蓋材4(又は枠部3及び蓋材5)に代わり、流路外周部80a、流路内周部80b及び連結部80cが一体的に成形された枠部80が用いられている。
【0048】
より具体的に述べると、第2変形例において、上述した熱交換器1に含まれていた30組の枠部2及び蓋材4のうちの3組、及び、30組の枠部3及び蓋材5のうちの3組が、枠部80が略等間隔にて現れるように枠部80と置換されている。
【0049】
以上説明したように、第1流路と第2流路とを隔てる薄膜6は厚みが小さいため、第1流体と第2流体との間の熱交換が促進される。加えて、枠部2~3及び蓋材4~5の厚みに応じて第1流路と第2流路との厚みを決定することができる(即ち、薄くすることができる)ので、第1流路と第2流路との間に波型状板を配設せずとも第1流体と第2流体との間の熱交換を促進させることが可能となる。
【0050】
より具体的に述べると、隔板である薄膜6によって隔てられた第1流体と第2流体との間の熱交換量Q[W]は、熱透過率k[W/(m2・K)]に比例する。第1流体と第2流体とを隔てる薄膜6の面積が充分大きければ、熱透過率kの逆数である全熱抵抗Rは、下式(1)に示されるように第1流体の熱抵抗R1、薄膜6の熱抵抗Rf、及び第2流体の熱抵抗R2の和に等しい。
R=1/k
=R1+Rf+R2
=1/h1+δ/λf+1/h2 ……(1)
【0051】
ここで、第1流体の熱抵抗R1は第1流体の熱伝達率h1の逆数に等しい(即ち、R1=1/h1)。薄膜6の熱抵抗Rfは、薄膜6を構成する材料(本実施形態において、アルミニウム)の熱伝導率λfに対する薄膜6の厚みδ(本実施形態において、0.1mm)の比率に等しい(即ち、Rf=δ/λf)。第2流体の熱抵抗R2は第2流体の熱伝達率h2の逆数に等しい(即ち、R2=1/h2)。
【0052】
式(1)から理解されるように、厚みδが小さくなるほど薄膜6の熱抵抗Rfが小さくなり、以て、全熱抵抗Rが小さくなる。即ち、薄膜6が薄くなるほど熱透過率kが大きくなり、従って、熱交換量Qが大きくなる。上述したように、熱交換器1においては自立できない程度に薄い薄膜6が枠部2~3及び蓋材4~5により固定されて第1流路と第2流路との間の隔板を構成している。そのため、熱交換器1によれば、薄い薄膜6を用いることにより、熱透過率kを上昇させ、以て、第1流体と第2流体との間の熱交換量Qを大きくすることが可能となる。
【0053】
一方、第1流路及び第2流路のそれぞれの厚み方向の熱伝導に着目すると、第1流路内の第1流体の厚み方向の熱伝導は第1流路の代表長さL1に比例する。同様に、第2流路内の第2流体の厚み方向の熱伝導は第2流路の代表長さL2に比例する。第1流路の代表長さL1は第1流路の厚みの半分であり、第2流路の代表長さL2は第2流路の厚みの半分であり、本実施形態において、何れも1mmである(即ち、L1=L2=2mm/2=1mm)。
【0054】
熱交換器1においては第1流路及び第2流路の厚み(即ち、枠部2~3及び蓋材4~5の厚み)によって定まる第1流路の代表長さL1及び第2流路の代表長さL2を小さくすることが容易である。そのため、熱交換器1によれば、代表長さL1及び代表長さL2を小さくすることにより、第1流路及び第2流路のそれぞれの厚み方向の熱伝導を小さくすることができる。換言すれば、熱交換器1によれば、第1流路及び第2流路の厚み方向の温度勾配(即ち、第1流路及び第2流路における熱抵抗)を小さくすることが可能となる。
【0055】
加えて、薄膜6の厚みδが小さいので、熱交換器1全体の体積に対する熱交換器1内の第1流路及び第2流路の体積(即ち、熱交換器1に含まれる第1流体の体積と第2流体の体積との和)の比率を大きくすることができる。従って、熱交換器1によれば、熱交換量Qを向上させ(即ち、熱交換効率を向上させ)且つ圧力損失の増大を回避しつつ小型化を図ることが可能(容易)となる。
【0056】
更に、熱交換器1は、多数の枠部2~3、蓋材4~5及び薄膜6並びに一対のサイドプレート7が接着剤により互いに接合されて一体的に構成されている。特に、枠部2及び蓋材4の組合せと、枠部3及び蓋材5の組合せと、が対向する薄膜6の間に交互に挿入されているので、熱交換器1に作用する外力によって薄膜6が破断することが回避され得る。換言すれば、熱交換器1は全体として高い剛性を有することができる。
【0057】
加えて、第1変形例に係る熱交換器51によれば、溝74を有する筐体71~72を用いることにより、枠部61~62、蓋材4~5、薄膜6及びサイドプレート7を一体化した状態にて確実に保持することが可能となる。更に、第2変形例によれば、連結部80cを含む枠部80が熱交換器に含まれることにより、流路外周部80aと流路内周部80bとが離間することを防ぎ、それにより、熱交換器を構成する他の部材(即ち、枠部2~3、蓋材4~5及び薄膜6等)が互いに離間することを回避できる可能性が高くなる。
【0058】
本発明の形態を上記の構造を参照しながら説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。従って本発明の形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば本発明の形態は、前記特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。
【0059】
薄膜6は、0.1mmの厚みを有していた。しかしながら、薄膜6の厚みは、第1流体及び第2流体のそれぞれの性質(例えば、密度及び比熱)及び第1流路及び第2流路のそれぞれにおける流速等に応じて適合(選択)されても良い。例えば、薄膜6の厚みは、第1流体と第2流体との間の熱交換を促進するため、0.5mm、0.2mm及び0.1mm等の何れかよりも小さくなるように選択されても良い。或いは、薄膜6の厚みは、破断及び過度の変形等を回避し得る強度を保つため、0.005mm、0.01mm及び0.15mm等の何れかよりも大きくなるように選択されても良い。
【0060】
加えて、薄膜6に代わり、アルミニウムとは異なる金属(例えば、ステンレス及びブリキ)により構成されたシート状又は板状の薄膜部材が用いられても良い。或いは、薄膜6に代わり、非金属材料(例えば、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルム及びアクリル樹脂フィルム)により構成された薄膜部材が用いられても良い。
【0061】
枠部2~3及び蓋材4~5のそれぞれは、2mmの厚みを有していた。しかしながら、枠部2~3及び蓋材4~5の厚みは、薄膜6と同様に、第1流体及び第2流体のそれぞれの性質及び流速等に応じて改めて適合されても良い。例えば、枠部2及び蓋材4の厚みと、枠部3及び蓋材5の厚みと、は互いに異なっていても良い。
【0062】
加えて、枠部2~3及び蓋材4~5のそれぞれは、アルミニウムにより構成されていた。これに代えて、枠部2~3及び蓋材4~5の一部又は全部は、アルミニウム以外の材質(例えば、アルミニウム合金及びステンレス鋼)により構成されても良い。
【0063】
或いは、枠部2~3、蓋材4~5及び薄膜6のそれぞれは、防水性を有する紙を用いて構成されても良い。具体的には、薄膜6の代わりに矩形状の紙が隔板として用いられ、枠部2~3及び蓋材4~5のそれぞれが厚さ方向に積層され且つ互いに接合された複数枚の紙によって形成されても良い。
【0064】
紙は、一般的に、上述した実施形態に用いられたアルミニウムと比較して熱伝導率が小さい。しかし、隔板として用いられる紙が充分に薄ければ、薄膜6が用いられる場合と比較して熱交換量Qが大きく減少することが回避される。加えて、枠部2~3及び蓋材4~5と同様の形状に形成(積層)された紙の塊(即ち、この場合における枠部及び蓋材)によって矩形状の薄い紙を固定することにより、その矩形状の紙を、薄膜6に代わる熱交換器の隔板として用いることが可能となる。
【0065】
更に、枠部2~3及び蓋材4~5を紙(即ち、熱伝導率がアルミニウムよりも小さい材料)によって構成することにより、熱交換器内の第1流体及び第2流体のそれぞれと、熱交換器の外部と、の間の断熱を図ることが可能となる。即ち、第1流体と第2流体との間の熱エネルギーの移動を促進する一方、熱交換器の外部と内部との間の熱エネルギーの移動を抑制することが可能となる。
【0066】
加えて、熱交換器1に含まれる第1流路及び第2流路のそれぞれの数は「30」であった。しかしながら、第1流路及び第2流路の数は、第1流体及び第2流体の性質及び流速等に応じて適宜変更されても良い。
【0067】
熱交換器1が含む第1流路及び第2流路のそれぞれはU字状であった。即ち、第1流路の流入口及び流出口は、何れも図1における熱交換器1の上面に位置していた。一方、第2流路の流入口及び流出口は、何れも熱交換器1の下面に位置していた。これに代えて、第1流路の流入口及び流出口の一方が熱交換器1の上面に位置し、他方が下面又は側面に位置するように枠部及び蓋材が構成されても良い。同様に、第2流路の流入口及び流出口の一方が熱交換器1の下面に位置し、他方が上面又は側面に位置するように枠部及び蓋材が構成されても良い。
【0068】
枠部2~3及び蓋材4~5は、薄膜6と接着剤により着接(密着)されて薄膜6を板状に保持していた。枠部2~3及び蓋材4~5は、これとは異なる方法により薄膜6に着接されても良い。例えば、枠部2~3及び蓋材4~5は、ろう付けにより薄膜6に着接されても良い。
【0069】
或いは、枠部2及び蓋材5、薄膜6並びにサイドプレート7のそれぞれを貫通する1つ又は複数の孔と、枠部3及び蓋材4、薄膜6並びにサイドプレート7のそれぞれを貫通する1つ又は複数の孔と、が形成され、これらの孔にシャフトを貫通させ且つこれらのシャフトを用いた接合部材(例えば、シャフトを含むボルト及びボルトと嵌合するナット)により一対のサイドプレート7が互いに接近するように接合することにより枠部2~3及び蓋材4~5を薄膜6に着接(密着)させても良い。
【0070】
この場合、薄膜6は、枠部2~3及び蓋材4~5の何れかと接着剤により固定されていなくても良い。即ち、薄膜6は、折れ、皺及び湾曲等を有していない状態にて枠部2~3及び蓋材4~5と密着することにより形状が固定されていても良い。
【0071】
薄膜6の両面には、枠部2及び蓋材4の組合せと、枠部3及び蓋材5の組合せと、が接着剤により固定されていた。これに代えて、枠部2及び蓋材4の組合せと、枠部3及び蓋材5の組合せと、の何れか一方のみが薄膜6に接着剤により固定されても良い。
【0072】
加えて、図1に示されたダクト10、20、30、40は矩形断面を有していたが、ダクトの形状はこれに限定されず、熱交換器1を含む熱交換システムが設置される家屋に応じて適合され得る。例えば、ダクト10、20、30、40のそれぞれは、円形断面を有しても良い。更に、熱交換器1を含む熱交換システムはファン11、31(即ち、シロッコファン)を含んでいたが、ファンの形態はこれに限定されず、第1流体及び第2流体のそれぞれの性質及び流速並びに熱交換器1の圧力損失等に応じて適合され得る。加えて、熱交換器1を含む熱交換システムが設置される場所は家屋に限定されず、例えば、車両に設置されても良い。この場合であっても、ダクト及びファン等の形態は、設置される環境(本例において、車両の内部)に応じて適合され得る。
【0073】
熱交換器51は、上下から覆う筐体71、72を備えていた。これに代えて、熱交換器51は、左右から覆う筐体(左側筐体、及び右側筐体)を備えても良い。この場合、第1流路を画定する枠部は、上述した枠部2の図1における左方(即ち、ダクト20、32の側)の周縁(一辺)に突出部63に相当する突出部が形成されたものであっても良い。同様に、第2流路を画定する枠部は、上述した枠部3の図1における右方(即ち、ダクト12、40の側)の周縁(一辺)に突出部63に相当する突出部が形成されたものであっても良い。更に、左側筐体には第1流路を画定する枠部に形成された突出部が挿入される溝(凹部)が形成され、右側筐体には第2流路を画定する枠部に形成された突出部が挿入される溝(凹部)が形成されても良い。
【0074】
熱交換器51は、蓋材4、5を含んでいた。しかしながら、蓋材4、5は割愛されても良い。具体的には、互いに対向する薄膜6、枠部61の内周面及び筐体71の内面凸部によって第1流路が区画され、互いに対向する薄膜6、枠部62の内周面及び筐体72の内面凸部によって第2流路が区画されても良い。
【0075】
熱交換器1は、互いに離間した枠部2及び蓋材4の組合せと、互いに離間した枠部3及び蓋材5の組合せと、を含んでいた。熱交換器1の製造過程において、枠部2及び蓋材4は、第2変形例に係る枠部80のそれぞれの両面に薄膜6を着接した後、連結部80cを切断又は切削することにより形成されても良い。同様に、枠部3及び蓋材5は、対向する薄膜6の間に配設された枠部80の連結部80cを取り除くことによって形成されても良い。即ち、一対のサイドプレート7の間に所定数の薄膜6、及び、対向する薄膜6の間に交互に向きを変えながら挿入された枠部80が配列され且つ互いに着接され、その後、枠部80のそれぞれの連結部80cが取り除かれても良い。
【0076】
或いは、第2変形例に係る枠部80の連結部80cは、第1流路及び第2流路の流入口及び流出口を塞がないように、流入口及び流出口から離間するように形成されても良い。即ち、枠部80は、連結部80cが薄膜6の周縁から離間し且つ連結部80cと薄膜6との間に隙間が生じるように構成されても良い。この場合、「枠部2及び蓋材4の組合せ」並びに「枠部3及び蓋材5の組合せ」の全てがこの種の枠部と置換されても良い。
【0077】
熱交換器1のサイドプレート7は平板(平面)であり、枠部2~3及び蓋材4~5によって固定された薄膜6のそれぞれも平板であった。これに代えて、サイドプレート7、及び、枠部2~3及び蓋材4~5によって固定される薄膜6のそれぞれは、例えば、図1における上面視において湾曲していても良い。
【0078】
熱交換器1における第1流体は屋内空気(気体)であり且つ第2流体は屋外空気(気体)であった。これに代えて、第1流体及び第2流体の一方又は両方は、空気以外の気体であっても良く、或いは、流体であっても良い。
【0079】
熱交換器1は、ファン11、31により圧送される第1流体及び第2流体により対向流型熱交換器として使用されていた。これに代えて、熱交換器1は、並行流型熱交換器として使用されても良い。即ち、熱交換器1を含む熱交換システムは、第1流路と第2流路とが互いに略平行であり且つ同じ方向に流れる区間を有するように、ファン11、31が配置されても良い。例えば、図3の矢印A6により示された第2流路の向きが反対方向となることにより、熱交換器1が並行流型熱交換器として使用され得る。
【符号の説明】
【0080】
1…熱交換器
2、3…枠部
2a、3a…湾曲部
3b、2b…先端部
4、5…蓋材
4a、5a…湾曲部
6…薄膜
7…サイドプレート
10、12、20、30、32、40…ダクト
11、31…ファン
21、41…流入口
13、33…流出口
51…熱交換器(第1変形例)
61、62…枠部
63…突出部
71、72…筐体
73…フランジ部
74…溝
80…枠部(第2変形例)
80a…流路外周部
80b…流路内周部
80c…連結部
91…第1流路
92…第2流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8