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  • 特開-コネクタ 図1
  • 特開-コネクタ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087587
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20240624BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H01R13/42 B
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202485
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 英一
(72)【発明者】
【氏名】井土 舞香
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FA14
5E021FC32
5E021FC36
5E021HC09
5E087FF06
5E087GG14
5E087RR11
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】コネクタの成形性を確保しつつランスの過度撓みを抑える。
【解決手段】コネクタ10は、第2ハウジング22を備えている。第2ハウジング22は、第1ハウジング18に係止して第2ハウジング22と第1ハウジング18との嵌合状態を維持するロックアーム51と、雌端子Fに係止して、第2端子収容部47に収容された雌端子Fを抜け止めする第2ランス48と、を有している。第2ハウジング22は、第2ランス48の弾性変形を許容するランス撓み空間S2と、ロックアーム51の弾性変形を許容するアーム撓み空間S1と、を共有している。ロックアーム51のアーム撓み空間S1に臨む面に、弾性変形する第2ランス48が接触可能な突部51Gを突設させている。ロックアーム51は、アーム撓み空間S1に臨む面と反対側の面に、ロック突起51Bを突設させ、嵌合方向において、ロック突起51Bと突部51Gとは、位置ずれして配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具を収容するキャビティを有するハウジングを備え、
前記ハウジングは、
弾性変形可能であり、相手側ハウジングに係止して前記ハウジングと前記相手側ハウジングとの嵌合状態を維持するロックアームと、
弾性変形可能であり、前記端子金具に係止して、前記キャビティに収容された前記端子金具を抜け止めするランスと、
を有し、
前記ハウジングは、
前記ランスの弾性変形を許容するランス撓み空間と、前記ロックアームの弾性変形を許容するアーム撓み空間と、を共有しており、
前記ロックアームは、前記アーム撓み空間に臨む面に、弾性変形する前記ランスが接触可能な突部を突設させており、
前記ロックアームは、前記アーム撓み空間に臨む面と反対側の面に、前記相手側ハウジングに係止するロック突起を突設させており、前記相手側ハウジングとの嵌合方向において、前記ロック突起と前記突部とは、位置ずれして配置されている、コネクタ。
【請求項2】
前記嵌合方向に交差する幅方向において、前記突部は、先端に向けて幅が狭まるように形成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、キャビティを挟みキャビティの上方に相手ハウジングに係止するロック部が配置され、キャビティの下方にキャビティに挿入された端子金具を抜け止めするランスが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-129297号公報
【特許文献2】特開2011-3363号公報
【特許文献3】実開平7-34569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにロック部とランスを配置すると、各々が撓んだ際に進入する空間を個別に設けなければならず、コネクタの高さが大きくなりがちである。このため、特許文献2のように、ロック部とランスとをキャビティの上方に配置することによって、各々が撓む空間を共有させることで、コネクタの高さを抑えることが可能となる。また、特許文献3のように、ランスの先端部に補強凸部を設けることによって、ランスの過度撓みを防止することができる。しかし、ランスの先端部に補強凸部を設けると、ランスの先端部の成形性が悪化するおそれがある。
【0005】
本開示のコネクタは、成形性を確保しつつランスの過度撓みを抑えることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
端子金具を収容するキャビティを有するハウジングを備え、
前記ハウジングは、
弾性変形可能であり、相手側ハウジングに係止して前記ハウジングと前記相手側ハウジングとの嵌合状態を維持するロックアームと、
弾性変形可能であり、前記端子金具に係止して、前記キャビティに収容された前記端子金具を抜け止めするランスと、
を有し、
前記ハウジングは、
前記ランスの弾性変形を許容するランス撓み空間と、前記ロックアームの弾性変形を許容するアーム撓み空間と、を共有しており、
前記ロックアームは、前記アーム撓み空間に臨む面に、弾性変形する前記ランスが接触可能な突部を突設させており、
前記ロックアームは、前記アーム撓み空間に臨む面と反対側の面に、前記相手側ハウジングに係止するロック突起を突設させており、前記相手側ハウジングとの嵌合方向において、前記ロック突起と前記突部とは、位置ずれして配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタの成形性を確保しつつランスの過度撓みを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1のコネクタの側断面図である。
図2図2は、ロック部とロックアームとが係止した状態を拡大して示す部分拡大側断面図である。
図3図3は、図1におけるA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)端子金具を収容するキャビティを有するハウジングを備えている。ハウジングは、弾性変形可能であり、相手側ハウジングに係止してハウジングと相手側ハウジングとの嵌合状態を保持するロックアームと、弾性変形可能であり、端子金具に係止して、キャビティに収容された端子金具を抜け止めするランスと、を有している。ハウジングは、ランスの弾性変形を許容するランス撓み空間と、ロックアームの弾性変形を許容するアーム撓み空間と、を共有している。ロックアームは、アーム撓み空間に臨む面に、弾性変形するランスに接触可能な突部を突設させている。ロックアームは、アーム撓み空間に臨む面と反対側の面に、相手側ハウジングに係止するロック突起を突設させており、相手側ハウジングとの嵌合方向において、ロック突起と突部とは、位置ずれして配置されている。この構成によれば、突部によってランスの過度撓みを防止することができる。これとともに、突部がロック突起と嵌合方向に位置ずれして配置されているので、突部がロック突起と嵌合方向に重なる場合に比べハウジングが局所的に厚肉にならずに済み、成形性に優れる。
【0010】
(2)嵌合方向に交差する幅方向において、突部は、先端に向けて幅が狭まるように形成されていることが好ましい。この構成によれば、突部の成形性に優れる。
【0011】
[本開示の実施形態の詳細]
<実施形態1>
本開示のコネクタを具体化した実施形態1を、図1から図3を参照して説明する。図中、「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「右側」、及び「左側」は、それぞれ「F」、「B」、「U」、「D」、「R」、及び「L」で表される。本実施形態1では、左右方向は、幅方向に相当する。前後方向は、相手側ハウジングである第1ハウジング18と、ハウジングである第2ハウジング22とが嵌合する嵌合方向に相当する。図中における前側「F」は、第1ハウジング18に対して第2ハウジング22が対向する面側である。なお、第2ハウジング22の説明における前側は、第1ハウジング18に対して対向する面側として説明する。図1に示すように、実施形態1のコネクタ10は、第1ハウジング18、及び第2ハウジング22と、を備えている。
【0012】
<第1ハウジング>
第1ハウジング18は合成樹脂製であって、図1に示すように、前後方向に貫通する第1端子収容部75を有している。第1端子収容部75の後部内壁の上面には、弾性変形可能な第1ランス76が前向きに片持ち状に突出して形成されている。第1端子収容部75には、端子金具である雄端子Mが収容される。雄端子Mが第1端子収容部75に収容されると、第1ランス76が雄端子Mにおける被係止部L1に係止される。第1ハウジング18の前部は、後部よりも大きな外形のフード部78として形成されている。フード部78は、角筒状に形成されている。フード部78の上壁の前端部には、ロック部78Cが下向き(内向き)に突出して設けられている。
【0013】
<第2ハウジング>
第2ハウジング22は合成樹脂製であって、図1に示すように、前後方向に貫通するキャビティである第2端子収容部47を有している。第2端子収容部47の後部内壁の上面には、ランスである第2ランス48が前向きに片持ち状に突出して形成されている。第2ランス48は上下方向に弾性変形可能とされている。
【0014】
第2端子収容部47には、雌端子Fが収容される。雌端子Fが第2端子収容部47に収容されると、第2ランス48が雌端子Fに形成された被係止部L2に係止される。第2ハウジング22の上壁には、第1ハウジング18を係止可能なロックアーム51が形成されている。ロックアーム51は、前後方向に延びるアーム本体51Aと、アーム本体51Aの上面から上向きに突設されたロック突起51Bと、アーム本体51Aの下面から下向きに突設された突部51Gと、を有している。
【0015】
アーム本体51Aは、左右方向に幅を有し前後方向に平板状に延びている。ロック突起51Bの後部の上端には、前後方向に並行な頂面51Cが形成されている(図2参照)。頂面51Cの前端には、前方下向きに傾斜して傾斜面51Dが連なっている(図2参照)。頂面51Cの後端には、ロック面51Fが垂下して連なっている(図2参照)。ロック突起51Bの後方には、ロック突起51Bに対し、後向きに離間して指押し部51Eが設けられている。指押し部51Eは、ロック突起51Bと、後述するロック部78Cと、の係止を解除する際に下向きに押圧可能にアーム本体51Aから上向きに突出している。
【0016】
突部51Gは、ロック突起51Bに対して後向きに離間して(すなわち、前後方向に位置ずれして)配置されている。突部51Gは、指押し部51Eに対して前向きに離間して(すなわち、前後方向に位置ずれして)配置されている。つまり、突部51Gは、ロック突起51B及び指押し部51Eに対して前後方向に離間して、且つロック突起51B及び指押し部51Eとの間に配置されている。
【0017】
図3に示すように、前後方向に交差する左右方向において突部51Gは、先端(下端)に向けて幅が狭まるように下向きに山形状(凸状)に形成されている。突部51Gの前端縁及び後端縁は、曲面で形成されている(図2参照)。
【0018】
図2に示すように、第2ランス48とロックアーム51とは上下方向に離間して配置されている。第2ランス48とロックアーム51との間に形成された空間は、第1ハウジング18と第2ハウジング22とが嵌合する際に撓んだロックアーム51が進入するアーム撓み空間S1である。また、第2ランス48とロックアーム51との間に形成された空間は、第2ハウジング22の第2端子収容部47に雌端子Fを収容する際に、雌端子Fによって撓んだ第2ランス48が進入するランス撓み空間S2である。アーム撓み空間S1と、ランス撓み空間S2と、は、その一部が重複するように重なっている。つまり、第2ハウジング22は、第2ランス48の弾性変形を許容するランス撓み空間S2と、ロックアーム51の弾性変形を許容するアーム撓み空間S1と、を共有している。突部51Gは、アーム本体51Aにおけるアーム撓み空間S1に臨む面(下面)に、突設している。
【0019】
<コネクタの組み立て手順および嵌合構造>
第1ハウジング18の第1端子収容部75に雄端子Mが後方から挿入される。雄端子Mは、被係止部L1を第1ランス76に係止させることによって、第1ハウジング18の第1端子収容部75に抜け止めされる。
【0020】
第2ハウジング22の第2端子収容部47に雌端子Fが後方から挿入される。このとき、雌端子Fによって弾性変形した第2ランス48は、ランス撓み空間S2に進入する(図2参照)。ランス撓み空間S2に第2ランス48が進入すると、第2ランス48の先端部が突部51Gに接触可能である。これによって、第2ランス48は、上向きの過度撓みが防止される。雌端子Fは、被係止部L2を第2ランス48に係止させることによって、第2ハウジング22の第2端子収容部47に抜け止めされる。
【0021】
第1ハウジング18と、第2ハウジング22とは、互いに正対した状態から嵌合される。具体的には、第2ハウジング22の前端部を第1ハウジング18のフード部78に嵌合する。嵌合が進むと、第2ハウジング22のロック突起51Bが第1ハウジング18のロック部78Cに接触して、アーム本体51Aが下向きに弾性変形する。このとき、アーム本体51Aは、アーム撓み空間S1に進入する(図2参照)。そして、ロック突起51Bがロック部78Cを通過すると、アーム本体51Aが弾性復帰し、ロック面51Fがロック部78Cに前後方向から対向する。ロック突起51Bがロック部78Cに対して嵌合方向(前後方向)から係止する。これによって、第1ハウジング18と、第2ハウジング22とが嵌合状態に維持される。言い換えると、ロックアーム51は、第1ハウジング18に係止して第2ハウジング22と第1ハウジング18との嵌合状態を維持する。第1ハウジング18と第2ハウジング22との嵌合状態では、雌端子Fと雄端子Mも嵌合している。
【0022】
次に、本構成の効果を例示する。
コネクタ10は、雌端子Fを収容する第2端子収容部47を有する第2ハウジング22を備えている。第2ハウジング22は、弾性変形可能であり、第1ハウジング18に係止して第2ハウジング22と第1ハウジング18との嵌合状態を維持するロックアーム51と、弾性変形可能であり、雌端子Fに係止して、第2端子収容部47に収容された雌端子Fを抜け止めする第2ランス48と、を有している。第2ハウジング22は、第2ランス48の弾性変形を許容するランス撓み空間S2と、ロックアーム51の弾性変形を許容するアーム撓み空間S1と、を共有している。ロックアーム51は、アーム撓み空間S1に臨む面に、弾性変形する第2ランス48が接触可能な突部51Gを突設させている。ロックアーム51は、アーム撓み空間S1に臨む面と反対側の面に、第1ハウジング18に係止するロック突起51Bを突設させており、第1ハウジング18との嵌合方向において、ロック突起51Bと突部51Gとは、位置ずれして配置されている。
【0023】
この構成によれば、突部51Gによって第2ランス48の過度撓みを防止することができる。これとともに、突部51Gがロック突起51Bと嵌合方向に位置ずれして配置されているので、突部51Gがロック突起51Bと嵌合方向に重なる場合に比べ第2ハウジング22が局所的に厚肉にならずに済み、成形性に優れる。
【0024】
嵌合方向に交差する幅方向において、突部51Gは、先端に向けて幅が狭まるように山形状に形成されている。この構成によれば、突部51Gの成形性に優れる。
【0025】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0026】
成形条件を調整することによって成型性を確保できるならば、突部の形状は山形状に限らず、矩形状や、半円形状等の形態としてもよい。
【0027】
雄端子を第2ハウジングに取り付け、雌端子を第1ハウジングに取り付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0028】
10…コネクタ
18…第1ハウジング(相手側ハウジング)
22…第2ハウジング(ハウジング)
47…第2端子収容部(キャビティ)
48…第2ランス(ランス)
51…ロックアーム
51A…アーム本体
51B…ロック突起
51C…頂面
51D…傾斜面
51E…指押し部
51F…ロック面
51G…突部
75…第1端子収容部
76…第1ランス
78…フード部
78C…ロック部
F…雌端子(端子金具)
L1…被係止部
L2…被係止部
M…雄端子
S1…アーム撓み空間
S2…ランス撓み空間
図1
図2
図3