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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087598
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】インサート成形品
(51)【国際特許分類】
   B32B 1/08 20060101AFI20240624BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20240624BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20240624BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20240624BHJP
   B29C 48/154 20190101ALI20240624BHJP
【FI】
B32B1/08
B32B27/10
B32B29/00
B65D41/04
B29C48/154
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202501
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深川 大
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】坂本 果穂
【テーマコード(参考)】
3E084
4F100
4F207
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC02
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084CC07
3E084DA01
3E084DB12
3E084EC03
3E084EC04
3E084EC05
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
4F100AK01
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK04
4F100AK04B
4F100AK04C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA08
4F100DG10
4F100DG10A
4F100EH23
4F100GB16
4F100HB31
4F100HB31D
4F100JB16
4F100JB16B
4F100JB16C
4F207AA04
4F207AD06
4F207AH55
4F207AH57
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB11
4F207KW41
(57)【要約】
【課題】紙インサート素材と樹脂成形体との溶着強度が優れており、外観不良も発生しにくいインサート成形品を提供する。
【解決手段】250μm以上1000μm以下の紙層を含む紙インサート素材と、紙インサート素材の外周縁の全周に沿う所定範囲の部分を挟み込んで保持する樹脂成形体と、を備え、樹脂成形体は、第1保持部と、第2保持部と、第1保持部及び第2保持部に接続され、紙インサート素材の外周縁の端面に接する本体部と、を有し、紙インサート素材の外周縁から第1保持部及び第2保持部の内周縁までの最短距離をA、第1保持部と第2保持部との間隔をB、第1保持部の厚みをC、第2保持部の厚みをC’としたとき、下記条件(1)~(3)を同時に満足する、インサート成形品。
1.5≦A/B≦22 ・・・(1)
1.0≦A/C≦11、1.0≦A/C’≦11 ・・・(2)
0.5≦C/C’≦3 ・・・(3)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
250μm以上1000μm以下の紙層を含む紙インサート素材と、
熱可塑性樹脂を含有する樹脂材料からなり、前記紙インサート素材の外周縁の全周に沿う所定範囲の部分を挟み込んで保持する樹脂成形体と、を備え、
前記樹脂成形体は、
前記紙インサート素材の一方面における前記所定範囲の部分を覆う環状の第1保持部と、
前記紙インサート素材の他方面における前記所定範囲の部分を覆う環状の第2保持部と、
前記第1保持部及び前記第2保持部に接続され、前記紙インサート素材の外周縁の端面に接する本体部と、を有し、
前記紙インサート素材の面方向における前記紙インサート素材の外周縁から前記第1保持部及び前記第2保持部の内周縁までの最短距離をA、前記第1保持部と前記第2保持部との間隔をB、前記第1保持部の厚みをC、前記第2保持部の厚みをC’としたとき、下記条件(1)~(3)を同時に満足する、インサート成形品。
1.5≦A/B≦22 ・・・(1)
1.0≦A/C≦11、1.0≦A/C’≦11 ・・・(2)
0.5≦C/C’≦3 ・・・(3)
【請求項2】
前記第1保持部と前記第2保持部との間隔Bが、インサート成型前の前記紙インサート素材の厚みよりも0.05mm以上0.50mm以下の範囲で小さい、請求項1に記載のインサート成形品。
【請求項3】
前記紙インサート素材の両面の最表面に熱可塑性樹脂層が積層されている、請求項1または2に記載のインサート成形品。
【請求項4】
前記紙インサート素材の少なくとも一方面の最表面のうち、前記紙インサート素材の外周縁に沿った所定幅の領域を除く部分に印刷層が設けられている、請求項1または2に記載のインサート成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙インサート素材をインサート成形したインサート成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では環境負荷の軽減や資源保護の観点から、包装容器等に使用する樹脂量の低減が要望されている。例えば、特許文献1には、樹脂製の蓋を備えた包装容器が記載されており、この蓋のような樹脂成形体の一部を、紙を主体とした紙インサート素材を用いて構成する方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-309330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天面部と容器本体に嵌合させるための周壁部とを有する形状の蓋を、紙インサート素材をインサート成形した場合、周壁部を構成する樹脂の収縮によって紙インサート素材に変形やシワが生じる場合があった。また、容器本体に取り付けた蓋を開く際に、紙インサート素材と樹脂成形体との溶着強度が不十分であると、溶着部分が外れたり、気密性が低下したりする場合があった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、紙インサート素材と樹脂成形体との溶着強度が優れており、外観不良も発生しにくいインサート成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、250μm以上1000μm以下の紙層を含む紙インサート素材と、熱可塑性樹脂を含有する樹脂材料からなり、紙インサート素材の外周縁の全周に沿う所定範囲の部分を挟み込んで保持する樹脂成形体と、を備え、樹脂成形体は、紙インサート素材の一方面における所定範囲の部分を覆う環状の第1保持部と、紙インサート素材の他方面における所定範囲の部分を覆う環状の第2保持部と、第1保持部及び第2保持部に接続され、紙インサート素材の外周縁の端面に接する本体部と、を有し、紙インサート素材の面方向における紙インサート素材の外周縁から第1保持部及び第2保持部の内周縁までの最短距離をA、第1保持部と第2保持部との間隔をB、第1保持部の厚みをC、第2保持部の厚みをC’としたとき、下記条件(1)~(3)を同時に満足する、インサート成形品である。
1.5≦A/B≦22 ・・・(1)
1.0≦A/C≦11、1.0≦A/C’≦11 ・・・(2)
0.5≦C/C’≦3 ・・・(3)
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紙インサート素材と樹脂成形体との溶着強度が優れており、外観不良も発生しにくいインサート成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るインサート成形品の概略構成を示す図
図2】紙インサート素材の断面図
図3】樹脂成形体の部分断面図
図4】インサート成形品をキャップとして用いたジャー容器の断面図
図5】紙インサート素材の断面図
図6】紙インサート素材及び樹脂成形体の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係るインサート成形品の概略構成を示す図であり、より具体的には、図1(a)は実施形態に係るインサート成形品の概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のI-I’断面図である。図2は、紙インサート素材の断面図であり、図3は、樹脂成形体の部分断面図である。
【0010】
インサート成形品100は、樹脂成形体2と、樹脂成形体2にインサートされた紙インサート素材1とを備える。インサート成形品100は、例えば、化粧品などの内容物を収容する容器のキャップまたはキャップの一部である。
【0011】
(紙インサート素材)
図2に示すように、紙インサート素材1は、例えば、最外層から順に、熱可塑性樹脂層11、印刷層12、紙層13、印刷層12、バリア層14、及び熱可塑性樹脂層11を備える積層体により構成される。紙インサート素材1の外周縁の全周に沿う所定範囲の部分は、樹脂成形体2によって挟み込まれて保持される。このように、インサート成形品100は、樹脂材料の一部を紙層13を含む紙インサート素材1で代用する構成のため、樹脂使用量を低減することができる。
【0012】
(紙層)
紙層13は、紙インサート素材1に剛性を付与する構造層である。紙層13には、例えば、板紙を用いることができる。紙層13の厚みは、240μm以上1000μm以下であることが好ましい。厚みが240μm以上の場合は、紙インサート素材1の剛度を十分に確保できるため、樹脂成形体2の成形の際に周壁部を構成する樹脂の収縮によって紙インサート素材1にシワや変形が生じるのを抑制することができる。また、紙層13の厚みが240μmよりも薄い場合は紙厚にバラつきが発生し、バリや紙インサート素材1のシワ変形が生じる恐れがある。一方、紙層13の厚みが1000μmを超えると、紙についている癖・変形により紙インサート素材1を金型内に挿入するためのフィーダーへの吸着不良を起こす場合がある。
【0013】
(印刷層)
印刷層12は、紙層13の両面に設けられる。印刷層12は、各種表示を行うために印刷により施される層であり、印刷には一般的なインキを用いることができる。印刷層12上には必要に応じてOPニス層(オーバープリンントニス層)を設けてもよい。なお、印刷層12は省略してもよく、また、熱可塑性樹脂層11と積層順が逆であってもよい。
【0014】
(バリア層)
バリア層14は、内層側の印刷層12上(或いはOPニス層)に設けられる。バリア層14は、酸素や水蒸気等を遮断して、内容物の保存性を向上させる機能層であり、例えば、アルミニウム箔、無機蒸着膜、有機系バリア樹脂などで構成することができる。無機蒸着膜としては、アルミ、アルミナ、シリカなどを用いることができる。有機系バリア樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、バリア性ナイロン(MXD-NY)などを用いることができる。なお、バリア層14は省略してもよい。
【0015】
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層11は、紙インサート素材1と樹脂成形体2との溶着性を向上させるために設けられる層であり、紙インサート素材1の最外層及び最内層に設けられる。熱可塑性樹脂層11は、溶着性を考慮すると樹脂成形体2と同じ材料で構成されることが好ましいが、熱溶着が可能であれば樹脂成形体2と異なっていてもよく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリスチレン(PS)などで構成することができる。熱可塑性樹脂層11の形成方法は、フィルム貼り、押出加工、コーティングなどを用いることができる。なお、熱可塑性樹脂層11は省略してもよい。
【0016】
(樹脂成形体)
樹脂成形体2は、第1保持部3aと第2保持部3bと本体部4とを備える。第1保持部3a、第2保持部3b、及び本体部4は射出成形により一体で成形される。樹脂成形体2は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリスチレン(PS)などの熱可塑性樹脂、及びこれらの材料に顔料、無機フィラー、紙粉、有機物繊維などを混合した混合物で構成される。樹脂成形体2として用いられる樹脂は、メルトマスフローレート(MFR)が1以上であることが好ましい。MFRが1未満の場合、樹脂成形体2を射出成形で形成する際に樹脂が流れにくく、特に第1保持部3a及び第2保持部3bにショートショットが発生する恐れがある。また、樹脂成形体2として用いられる樹脂は、融点が300℃以下であることが好ましい。融点が300℃を超えると、紙インサート素材1と樹脂成形体2とを溶着する際に、樹脂が熱くなり過ぎて紙ヤケを引き起こす場合がある。これらの条件を満たせば、樹脂成形体2として用いられる樹脂の剛性や結晶・非結晶は問わない。
【0017】
第1保持部3aは、紙インサート素材1の一方面のうち、紙インサート素材1の外周縁から所定範囲の部分を覆う環状の部材である。また、第2保持部3bは、紙インサート素材1の他方面のうち、紙インサート素材1の外周縁から所定範囲の部分を覆う環状の部材である。本体部4は、第1保持部3a及び第2保持部3bに接続され、紙インサート素材1の外周縁の端面に接する部材である。このように、紙インサート素材1の端面が樹脂成形体2により覆われる構成のため、紙層13の端面が保護され、気密性が向上する。
【0018】
樹脂成形体2は、紙インサート素材1の面方向における紙インサート素材1の外周縁から第1保持部3a及び第2保持部3bの内周縁までの最短距離をA、第1保持部3aと第2保持部3bとの間隔をB、第1保持部3aの厚みをC、第2保持部3bの厚みをC’としたとき、下記条件(1)~(3)を同時に満足する。なお、間隔Bは、紙インサート素材1の厚みと略等しくすることができるが、溶着性向上の観点ではインサート成型前の紙インサート素材1の厚みよりも0.05mm以上0.50mm以下の範囲で小さいことが好ましい。
1.5≦A/B≦22 ・・・(1)
1.0≦A/C≦11、1.0≦A/C’≦11 ・・・(2)
0.5≦C/C’≦3 ・・・(3)
【0019】
A/Bが1.5未満の場合、第1保持部3a及び第2保持部3bが短くなるため、紙インサート素材1の保持力が低下する。一方、A/Bが22を超える場合、第1保持部3a及び第2保持部3bが長くなって使用樹脂量が増え、また、紙インサート素材1と樹脂成形体2とを溶着した際にヒケが生じて外観が損なわれる恐れがある。
【0020】
A/Cが1.0未満の場合、第1保持部3aの厚みに対して第1保持部3aの長さが短くなり溶着面積が小さくなるため、溶着強度が低下する。A/C’が1.0未満の場合も同様に、第2保持部3bの厚みに対して第2保持部3bの長さが短くなり溶着面積が小さくなるため、溶着強度が低下する。また、樹脂成形体2に対する紙インサート素材1の位置がずれが発生して紙層13の端面が露出し、気密性が損なわれる恐れがある。一方、A/Cが11を超える場合、第1保持部3aの長さに対して第1保持部3aが薄肉となる。A/C’が11を超える場合も同様に、第2保持部3bの長さに対して第2保持部3bが薄肉となる。そのため、射出時の圧力によって第1保持部3aまたは第2保持部3bの形状が保てず、紙インサート素材1を取り付けた際に紙層13の端面が露出し、気密性が損なわれる恐れがある。
【0021】
C/C’が0.5未満または3を超える場合、第1保持部3aと紙インサート素材1との溶着部と、第2保持部3bと紙インサート素材1との溶着部とで生じる樹脂の収縮差が大きくなり、紙インサート素材1に変形やシワが発生する恐れがある。
【0022】
なお、本実施形態におけるインサート成形品はジャー容器100などの回転キャップに適用することができる(図4)。この場合、樹脂成形体2にジャー容器本体10のねじ溝6aと螺合するねじ溝6bを適宜設けてもよい。また、図4のようなスクリューキャップだけでなく、ジャー容器本体10の口部に取り付けられる取付部と、取付部にヒンジを介して取り付けられ、取付部の開口部を開閉可能な蓋を備えたヒンジキャップにも適用できる。
【0023】
<変形例>
変形例について説明する。図5は、紙インサート素材の断面図であり、図6は、紙インサート素材及び樹脂成形体の部分断面図である。
【0024】
実施形態において、紙インサート素材1は、最外層から熱可塑性樹脂層11、印刷層12、紙層13、印刷層12、バリア層14、及び熱可塑性樹脂層11をこの順に備える積層体により構成されるとしたが、印刷層12、紙層13、印刷層12のみで構成してもよい。また、印刷層12上にはOPニス層を設けてもよい。インキやOPニスは樹脂成形体2に対する溶着性が劣る。そのため、本変形例のように最表面が印刷層12やOPニス層となる場合は、紙インサート素材1の外周縁に沿った所定幅の領域には、印刷層12やOPニス層が積層されていないことが好ましい。そして、印刷層12またはOPニス層の端縁から第1保持部3a及び第2保持部3bの内周縁までの最短距離をDとしたとき、下記条件(4)を満たす。
0.25≦D/A≦1 ・・・(4)
【0025】
D/Aが0.25未満の場合、紙層13と樹脂成形体2との溶着面積が不足し、十分な溶着強度が得られない恐れがある。一方、D/Aが1を超える場合、紙層13の露出面積が増えるため溶着時に溶けた樹脂で紙層13の表面を保護することができず、気密性が低下する恐れがある。
【実施例0026】
(実施例1)
熱可塑性樹脂層11、印刷層12,紙層13、印刷層12、バリア層14、熱可塑性樹脂層11を順に積層した紙インサート素材1(図2)を用いて、図1に記載のインサート成形品100を作製した。このとき、紙インサート素材1の紙層13の厚みは0.600mmであり、熱可塑性樹脂層11はエクストルーダ-ラミネーションにて加工し、構成材料はPE(住友化学社製、商品名:L405)であった。また、A/B=1.5、A/C=10、A/C’=10、C/C’=1とした。また、樹脂成形体2の構成材料としてPEを使用した。
【0027】
(実施例2)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを1.000mmとし、熱可塑性樹脂層11をPP(プライムポリプロ社製、商品名:F109V)とし、エクストルーダーラミネーションにて貼り合わせ、A/B=20、A/C=5、A/C’=5、C/C’=0.7とし、樹脂成形体2の構成材料をPPとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品100を作製した。
【0028】
(実施例3)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.600mmとし、熱可塑性樹脂層11をPLA(三菱ケミカル社製、商品名:エコロージュ(登録商標))とし、ドライラミネートにて貼り合わせ、A/B=10、A/C=9、A/C’=9、C/C’=0.6とし、樹脂成形体2の構成材料をPLAとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品100を作製した。
【0029】
(実施例4)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.650mmとし、熱可塑性樹脂層11をPBS(三菱ケミカル社製、商品名:FZ79AC)とし、エクストルーダーラミネートにて貼り合わせ、A/B=5、A/C=7、A/C’=7、C/C’=1.1とし、樹脂成形体2の構成材料をPBSとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品100を作製した。
【0030】
(実施例5)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.550mmとし、熱可塑性樹脂層11をPE(住友化学社製、商品名:L405)とし、エクストルーダ―ラミネーションにて貼り合わせ、A/B=8、A/C=5、A/C’=5、C/C’=1とし、樹脂成形体2の構成材料を紙粉入り樹脂としたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品100を作製した。
【0031】
(実施例6)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.300mmとし、熱可塑性樹脂層11をPS(旭化成社製、商品名:GM)とし、ドライラミネートにて貼り合わせ、A/B=15、A/C=8、A/C’=8、C/C’=2.3とし、樹脂成形体2の構成材料をPSとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品100を作製した。
【0032】
(実施例7)
紙インサート素材1を厚み0.600mmの紙層13のみで作製し、A/B=12、A/C=2、A/C’=2、C/C’=3とし、樹脂成形体2の構成材料をPE(住友化学社製、商品名:L405)としてエクストルーダ―ラミネーションにて貼り合わせたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品100を作製した。
【0033】
(実施例8)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.500mmとし、熱可塑性樹脂層11をPE(住友化学社製、商品名:L405)とし、エクストルーダ―ラミネーションにて貼り合わせ、A/B=3、A/C=1、A/C’=1、C/C’=1.7とし、樹脂成形体2の構成材料をPEとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品100を作製した。
【0034】
(実施例9)
印刷層12,紙層13、印刷層12を順に積層した紙インサート素材1(図4)を用い、図1に記載のインサート成形品100を作製した。紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.600mmとし、A/B=10、A/C=2、A/C’=2、C/C’=2.8、D/A=0.5とし、樹脂成形体2の構成材料をPEとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品100を作製した。
【0035】
(比較例1)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.200mmとし、熱可塑性樹脂層11をPP(住友化学社製、商品名:L405)とし、エクストルーダ―ラミネーションにて貼り合わせ、A/B=5、A/C=5、A/C’=5、C/C’=0.6とし、樹脂成形体2の構成材料をPPとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品を作製した。
【0036】
(比較例2)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.500mmとし、熱可塑性樹脂層11をPE(住友化学社製、商品名:L405)とし、エクストルーダ―ラミネーションにて貼り合わせ、A/B=1、A/C=2、A/C’=2、C/C’=1とし、樹脂成形体2の構成材料をPEとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品を作製した。
【0037】
(比較例3)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.600mmとし、熱可塑性樹脂層11をPE(住友化学社製、商品名:L405)とし、エクストルーダ―ラミネーションにて貼り合わせ、A/B=10、A/C=12、A/C’=12、C/C’=2とし、樹脂成形体2の構成材料を紙粉入り樹脂としたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品を作製した。
【0038】
(比較例4)
紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.500mmとし、熱可塑性樹脂層11をPP(プライムポリプロ社製、商品名:F109V)とし、エクストルーダ―ラミネーションにて貼り合わせ、A/B=3、A/C=2、A/C’=2、C/C’=4とし、樹脂成形体2の構成材料をPPとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品を作製した。
【0039】
(比較例5)
印刷層12,紙層13、印刷層12を順に積層した紙インサート素材1(図4)を用い、図1に記載のインサート成形品を作製した。紙インサート素材1の紙層13の厚みを0.550mmとし、A/B=2、A/C=3、A/C’=3、C/C’=1.7、D/A=1.5とし、樹脂成形体2の構成材料をPEとしたことを除き、実施例1と同様にインサート成形品を作製した。
【0040】
作製した実施例1~9及び比較例1~5のインサート成形品のそれぞれの外観を目視にて評価した。紙インサート素材1の表面が均一な場合を「◎」、紙インサート素材1の変形が手で修正可能な程度であった場合を「〇」、紙インサート素材1にシワが生じたりインサート成形品にバリが発生したりした場合を「×」と評価した。
【0041】
外観評価で不良「×」と判定されたものを除き、インサート成形品を15mm幅で切り出して紙インサート素材1と樹脂成形体2との溶着強度を測定した。溶着強度が100N・cm以上の場合を「◎」、50N・cm以上100N・cm未満であった場合を「〇」、それ以外を「×」と評価した。
【0042】
外観評価で不良「×」と判定されたものを除き、インサート成形品を水及び0.1%界面活性剤入り着色水(試験液)に6時間含侵させることで気密性評価を行った。紙層13の端面に試験液が浸透しておらず、紙インサート素材1にも異常が見られなかった場合を「◎」、紙層13の端面に試験液は浸透していなかったが、紙インサート素材1の表面が水分で膨潤して変形していた場合を「○」、紙層13の端面に試験液が浸透していた場合を「×」と評価した。
【0043】
外観評価、溶着強度度評価、及び気密性評価に基づいて総合評価を行った。外観評価、溶着強度度評価、気密性評価のいずれの評価結果も◎であった場合を「◎」、いずれかの評価結果で×があった場合を「×」、それ以外の場合を「〇」と評価した。
【0044】
インサート成形品の構成及び評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例1~9のインサート成形品はいずれも、紙層13の厚みが250μm以上1000μmであった。また、1.5≦A/B≦22、1.0≦A/C≦11、1.0≦A/C’≦11、0.5≦C/C’≦3の条件を全て満たすため、いずれの評価においても良好な結果が得られた。
【0047】
比較例1のインサート成形品は、紙層13の厚みが250μm未満であったため、紙インサート素材1が波打っており、バリも発生した。
【0048】
比較例2のインサート成形品は、A/Bが1.5未満であったため、第1保持部3a及び第2保持部が短くなり、十分な溶着強度が得られず保持力が低かった。なお、溶着強度が低かったため、インサート成形品が得られず、外観及び気密性評価は行えなかった。
【0049】
比較例3のインサート成形品は、A/C及びA/C’が11を超えていたため、保持部の長さに対して保持部が薄肉であった。そのため、射出時の圧力によって保持部の形状が保てず、紙インサート素材1を取り付けた際に紙層13が露出し、気密性も悪かった。なお、保持部の強度が足りず、インサート素材1が外れてインサート成形品が得られなかったため、外観及び溶着強度評価は行えなかった。
【0050】
比較例4のインサート成形品は、C/C’が3を超えていたため、溶着時に紙インサート素材1が変形し、表面が波打っていた。
【0051】
比較例5のインサート成形品は、D/Aが1を超えていたため、気密性及び溶着性が悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るインサート成形品は、容器のキャップとして利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 :紙インサート素材
2 :樹脂成形体
3a :第1保持部
3b :第2保持部
4 :本体部
11 :熱可塑性樹脂層
12 :印刷層
13 :紙層
100 :インサート成形品
図1
図2
図3
図4
図5
図6