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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087609
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】吊り足場およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/24 20060101AFI20240624BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20240624BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
E04G3/24 302H
E01D21/00 A
E01D22/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202526
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】520358645
【氏名又は名称】株式会社SysaPlanning
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 澄雄
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059EE10
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】簡単に吊り下げることができ、安全性の高い吊り足場を提供する。
【解決手段】
上方から吊り下げられた格子状の支持枠体と、該支持枠体の上面に敷設した床材とを備えた吊り足場であり、格子状の支持枠体は、複数の縦材と複数の横材とを連結して形成され、縦材および横材の少なくとも一方には、吊り下げ部材の下端部を連結するための吊り具が取り付けられており、縦材は、該縦材の長手方向の先端および後端にそれぞれ、縦材をその長手方向に順に連結して延設するために互いに連結可能な先端ジョイント受金具および後端ジョイント金具が取り付けられており、水平に吊り下げられた第1の縦材が有する先端ジョイント受金具は、第2の縦材の後端ジョイント金具が鉛直姿勢で載置される受け部と、鉛直姿勢で載置された他の縦材を長手方向に向かって回動自在に軸着する軸着部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から吊り下げられた格子状の支持枠体と、該支持枠体の上面に敷設した床材とを備えた吊り足場であり、
前記格子状の支持枠体は、上面視において複数の縦材と複数の横材とを連結して形成され、前記縦材および前記横材の少なくとも一方には、吊り下げ部材の下端部を連結するための吊り具が取り付けられており、
前記縦材は、該縦材の長手方向の先端および後端にそれぞれ、前記縦材をその長手方向に順に連結して延設するための先端ジョイント受金具および後端ジョイント金具が取り付けられており、
水平に吊り下げられた縦材を第1の縦材とし、この第1の縦材に連結される縦材を第2の縦材としたとき、前記第1の縦材が有する前記先端ジョイント受金具は、前記第2の縦材の前記後端ジョイント金具を鉛直姿勢で載置するための受け部と、鉛直姿勢で載置された前記第2の縦材を前記長手方向に向かって回動自在に軸着する軸着部とを備える、吊り足場。
【請求項2】
前記縦材および前記横材は、上枠と下枠を備えたトラス構造を有する、請求項1に記載の吊り足場。
【請求項3】
前記先端ジョイント受金具は、前記縦材の先端の上部と下部にそれぞれ設けられた上部先端ジョイント受金具と下部先端ジョイント受金具とを含み、
前記後端ジョイント金具は、前記縦材の後端の上部と下部にそれぞれ設けられた上部後端ジョイント金具と下部後端ジョイント金具とを含む、請求項1または2に記載の吊り足場。
【請求項4】
前記上部先端ジョイント受金具および前記上部後端ジョイント金具は、それぞれ互いに回動自在に軸着するための貫通孔を有する前記軸着部を備え、
前記上部先端ジョイント受金具は、前記軸着部の下に、前記上部後端ジョイント金具の有する前記軸着部を支持する受け部を備える、請求項3に記載の吊り足場。
【請求項5】
前記下部先端ジョイント受金具および前記下部後端ジョイント金具は、それぞれ互いに回動自在に軸着するための貫通孔を有する軸着部を備え、
前記下部先端ジョイント受金具は、前記軸着部の下に、前記部後端ジョイント金具の有する前記軸着部を支持する受け部を備える、請求項3に記載の吊り足場。
【請求項6】
前記縦材は、前記横材を連結するための側面ジョイント受金具が両側面に取り付けられており、
前記横材の長手方向の両端には、前記縦材の前記側面ジョイント受金具に連結される側面ジョイント金具がそれぞれ取り付けられている、請求項1または2に記載の吊り足場。
【請求項7】
上面視において複数の縦材と複数の横材とを連結して格子状の支持枠体を形成し、前記縦材および前記横材の少なくとも一方に取り付けられた吊り具に吊り下げ部材の下端部を連結し、さらに前記支持枠体の上面に床材を敷設する吊り足場の形成方法であり、
前記縦材は、該縦材の長手方向の先端および後端にそれぞれ、前記縦材をその長手方向に順に連結して延設するための先端ジョイント受金具および後端ジョイント金具が取り付けられており、
水平に吊り下げられた縦材を第1の縦材とし、この第1の縦材に連結される縦材を第2の縦材としたとき、前記第1の縦材の前記先端ジョイント受金具に対する前記第2の縦材の前記後端ジョイント金具の連結が、前記第2の縦材の前記後端ジョイント金具を、前記第1の縦材の前記先端ジョイント受金具が有する受け部に鉛直姿勢で載置し、前記先端ジョイント受金具と前記後端ジョイント金具とを回動自在に軸着した後、鉛直姿勢の前記第2の縦材を前記長手方向に向かって水平姿勢に回動させることによって行われる、吊り足場の形成方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高架高速道路、橋梁等の建設工事や補修工事等に使用される吊り足場およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、橋や高速道路などの橋桁の補修や点検作業では、その下が川や車道であることが多いことから、地上から仮設足場を組み上げることができない。このため、橋桁に吊って設置する吊り足場を構築することが多い。
【0003】
特許文献1には、吊り足場パネル同士を連結して吊り足場を形成するにあたり、一方の吊り足場パネルの連結部に棒状または管状の預け金具を設け、かつ他方の吊り足場パネルの連結部の両端部に受け金具を設けて、両パネルを連結することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-204333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の吊り足場は、大きくかつ重量のあるパネル同士を連結するものであるため、一方の吊り足場パネルの預け金具を他方の吊り足場パネルの受け金具に係合させて連結する作業を一人では行うことは困難であり、しかも安全性を考慮してパネル同士の連結には注意が必要であるため、作業性が低いという問題がある。
また、特許文献1に記載の吊り足場では、連結されたパネル間に隙間ができるため、この隙間からボルトや工具類が落下しやすいという問題がある。特に、吊り足場の下が道路や歩道等であると、危険である。
【0006】
本発明の課題は、簡単に吊り下げることができ、安全性の高い吊り足場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の吊り足場は、上方から吊り下げられた格子状の支持枠体と、該支持枠体の上面に敷設した床材とを備えたものである。上記格子状の支持枠体は、複数の縦材と複数の横材とを連結して形成され、縦材および横材の少なくとも一方には、吊り下げ部材の下端部を連結するための吊り具が取り付けられており、縦材は、該縦材の長手方向の先端および後端にそれぞれ、縦材をその長手方向に順に連結して延設するための先端ジョイント受金具および後端ジョイント金具が取り付けられており、水平に吊り下げられた縦材を第1の縦材とし、この第1の縦材に連結される縦材を第2の縦材としたとき、第1の縦材が有する先端ジョイント受金具は、第2の縦材の後端ジョイント金具が鉛直姿勢で載置される受け部と、鉛直姿勢で載置された第2の縦材の縦材を長手方向に向かって回動自在に軸着する軸着部と、を備える。
上記縦材および横材は、上枠と下枠を備えたトラス構造を有するのがよい。
【0008】
本発明の吊り足場の形成方法は、上面視において複数の縦材と複数の横材とを連結して格子状の支持枠体を形成し、縦材および横材の少なくとも一方に取り付けられた吊り具に吊り下げ部材の下端部を連結し、さらに支持枠体の上面に床材を敷設するものであり、
縦材は、該縦材の長手方向の先端および後端にそれぞれ、縦材をその長手方向に順に連結して延設するために先端ジョイント受金具および後端ジョイント金具が取り付けられており、
水平に吊り下げられた縦材を第1の縦材とし、この第1の縦材に連結される縦材を第2の縦材としたとき、第1の縦材の先端ジョイント受金具に対する第2の縦材の後端ジョイント金具の連結が、第2の縦材の後端ジョイント金具を、第1の縦材の先端ジョイント受金具が有する受け部に鉛直姿勢で載置し、先端ジョイント受金具と後端ジョイント金具とを回動自在に軸着した後、鉛直姿勢の第2の縦材を長手方向に向かって水平姿勢に回動させることによって行われる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吊り足場は、軽量な縦材と横材とを連結して格子状の支持枠体を形成し、該支持枠体の上面に床材を敷設するものであるため、大きく重量のある足場パネル自体を連結する従来例に比べて、簡単であり、かつ安全性にも優れている。さらに支持枠体の上面に床材を敷設するため、格子状の支持枠体の連結部に隙間があっても、床材で当該隙間を簡単に塞ぐことができる。
また、トラス構造を有する縦材および横材を使用するときは、軽量でかつ剛性に優れた支持枠体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る吊り足場を示す斜視図である。
図2図1におけるM部の詳細を示す側面図である。
図3】(a)および(b)は図2の連結方法の詳細を示す説明図である。
図4図3(a)の連結方法を示す斜視図である。
図5】複数の縦材と複数の横材とを連結して形成された格子状の支持枠体の一例を示す平面図である。
図6】(a)は縦材の平面図、(b)はその側面図である。
図7】(a)は縦材への吊り具の取付け構造を示す側面図、(b)は(a)のA-A線断面図である。
図8】(a)は横材の平面図、(b)はその側面図、(c)は(a)のB-B線断面図である。
図9】(a)はスターター縦材を示す平面図、(b)はその側面図である。
図10】(a)は縦材の上部先端ジョイント受金具と上部後端ジョイント金具との連結状態を示す断面図、(b)はその側面図である。
図11】(a)は縦材の下部先端ジョイント受金具と下部後端ジョイント金具との連結状態を示す断面図、(b)はその側面図である。
図12】(a)は先端ジョイント受金具の一例を示す平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図である。
図13】(a)は後端ジョイント金具の一例を示す平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図である。
図14】(a)は横材を連結するための側面ジョイント受金具の一例を示す平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図である。
図15】(a)はグラビッテイピンの一例を示す平面図、(b)はその使用状態を説明するための側面図である。
図16図15に示すグラビッテイピンの分解図である。
図17】(a)は隣接する支持枠体のつなぎ部におけるつなぎ材の使用状態の一例を示す平面図、(b)はその正面図である。
図18】つなぎ材を示す平面図である。
図19】(a)は図18に示すスライド材の一方を示す側面図、(b)はその側面図、(c)は正面図である。
図20】つなぎ材を広げた状態を示す側面図である。
図21】(a)は床材の固定方法を説明するための概略平面図(但し、説明の便宜上、床材は図示していない)、(b)はそのC-C線断面図である。
図22】(a)は床材押さえ具の平面図、(b)はその側面図、(c)は(b)のB‐B線断面図である。
図23】床材押さえ具と共に使用されるバンドの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る吊り足場を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の吊り足場1を示す斜視図である。この吊り足場1は、支持枠体2と、該支持枠体2の上面に敷設した床材3とを備え、上方からチェーン等の吊り下げ部材4によって水平に吊り下げられている。吊り下げ部材4は、上端が橋梁等の下面に固定されている。
【0012】
支持枠体2は、後述する図5に示すように、上面視において複数の縦材6と複数の横材7とをそれぞれ、図5に示すx方向およびy方向に順次連結して格子状に形成されている。
図1に戻って、符号Mで示す部分は、作業員8によって設置済の支持枠体2のx方向に縦材6を連結する様子を示している。図2は、M部の詳細を示す側面図であり、吊り下げ部材4によって水平に吊り下げられた支持枠体2は、上面に床材3が敷設されている。支持枠体2のx方向先端に位置する縦材6(以下、これを第1の縦材61ということがある)の先端に、作業員8が別の縦材6(以下、これを第2の縦材62ということがある)の後端を鉛直姿勢で載置し、回転可能に軸着した後、矢印で示すように前方に倒して連結する(詳細は次に詳述する)。横材7は隣接する縦材6間に連結される。この操作を繰り返して、支持枠体2を形成する。
【0013】
図3(a)、(b)および図4は、第1の縦材61と第2の縦材62との連結方法を示している。第1の縦材61の長手方向(すなわち図1に示したx方向と同方向、以下同じ)の先端面には、先端ジョイント受金具10が取り付けられている。先端ジョイント受金具10は、縦材6の先端の上部と下部にそれぞれ設けられた上部先端ジョイント受金具10aと下部先端ジョイント受金具10bとを含む。
また、第2の縦材62の長手方向の後端面には、後端ジョイント受金具11が取り付けられている。後端ジョイント受金具11は、縦材6の後端の上部と下部にそれぞれ設けられた上部後端ジョイント受金具11aと下部後端ジョイント受金具11bとを含む。
縦材6の先端部分には、吊り下げ部材4の下端部を連結するための吊り具9が取り付けられている。
第1の縦材61と第2の縦材62とを連結するには、図3(a)、図4に示すように、まず、鉛直姿勢の第2の縦材62の上部後端ジョイント受金具11aを、第1の縦材61の上部先端ジョイント受金具10a上に載置し、上部後端ジョイント受金具11aを上部先端ジョイント受金具10aに回動可能に連結する。ついで、図3(b)に示すように、第2の縦材62を前方に倒して、下部後端ジョイント受金具11bを下部先端ジョイント受金具10bに連結する。
横材7も同様にして連結される。
【0014】
図5は複数の縦材6と複数の横材7とを格子状に連結した支持枠体2を示している。図5において、符号5で示す領域はスターター部であり、このスターター部5を起点として前方(x方向)に縦材6を順次連結していく。そして、隣接する縦材6、6同士を横材7で連結し、格子状の支持枠体2を形成する。スターター部5は、基本的に、縦材6および横材7を格子状に連結する他の部位と同様であるが、スターター部5の縦材6´は、図9に示すように、長手方向の両端に吊り具9、9が取り付けられ、また長さも縦材6より短くなっている。縦材6´の両端に吊り具9、9を取り付けるのは、スターター部5は、作業員が作業するために、それ自体で水平姿勢を保持する必要があるためである。
なお、縦材6も、長手方向の両端に吊り具9、9が取り付けられていても構わない。
【0015】
図5に示すように、格子状の支持枠体2、2の間には、つなぎ部12が設けられる。このつなぎ部12は、隣接する支持枠体2、2を接続している。すなわち、形成する吊り足場1の幅(図5に示すy方向の長さ)が設置場所によって異なるため、支持枠体2、2間にできるすき間をつなぎ材121によって接続し、その上に床板を敷設して、支持枠体2、2間にできるすき間を塞ぐためである。つなぎ材121については後述する。
【0016】
図6(a)、(b)は縦材6の一例を示す平面図および側面図であり、薄板鋼板等からなるトラス構造を有している。すなわち、縦材6は、上枠6aと下枠6bとを有し、それらの間に斜め架橋材6cを架け渡して、三角形を基本単位としてその集合体で構成する骨組構造を形成し、結合部である節点をボルトやピンなどで結合している。このようなトラス構造であるため、縦材6は軽量で剛性が高いという利点がある。
縦材6の先端部には、上部先端ジョイント受金具10a、下部先端ジョイント受金具10bが取り付けられ、後端部には、上部後端ジョイント受金具11a、下部後端ジョイント受金具11bが取り付けられている。また、両側面には、横材7を連結するための側面ジョイント受金具20がそれぞれ取り付けられている。
【0017】
図7(a)、(b)は縦材6の先端部に取り付けられた吊り具9とその周辺の構造を示している。吊り具9は、両端にねじ溝151、152が形成された棒体91と、棒体91の上端のねじ溝151に螺合したアイボルト92とから構成される。
縦材6の上枠6aおよび下枠6bは溝形鋼で構成されており、上枠6aの上面には溝部13が形成されている。溝部13および下枠6bには貫通孔14a、14bがそれぞれ形成されており、この貫通孔14a、14bを棒体91が貫通している。下枠6bから突出した棒体91下端のねじ溝152は、座金161を介してナット17と螺合し、さらに下枠6bと座金161とナット17、さらにナット17とねじ溝152はそれぞれ溶接等により接合されている。図7(a)、(b)において、上枠6aの貫通孔14aの周囲には座金162が溶接等で固定されており、座金162を挿通した棒体91は座金162に溶接されている。
【0018】
図8(a)、(b)、(c)は横材7を示しており、縦材6と同様に、上枠7a、下枠7bおよびそれらを斜めに架橋する斜め架橋材7cを有するトラス構造からなる。上枠7aは、上面に溝部131が長手方向に沿って形成されており、この溝部131に複数の貫通孔18が形成されており、図8(c)に示すように、貫通孔18の下にはナット19が溶接により取り付けられている。この貫通孔18とナット19は、床材3をボルト35で取り付けるためのものである(図21(b)参照)。なお、図8(c)において、符号22は、水抜き用の孔である。
横材7の長手方向の両端には、縦材6の側面ジョイント受金具20に連結されるジョイント金具21がそれぞれ取り付けられている。
【0019】
図9はスターター部5に使用される縦材6´を示しており、縦材6と同様にトラス構造を有する。また、縦材6´の先端部には、縦材6と同様の上部先端ジョイント受金具10a、下部先端ジョイント受金具10bが取り付けられ、両側面の両端には、横材7を連結するための側面ジョイント受金具20が取り付けられている。また、縦材6´は、それ自体で水平姿勢を保持するために、両端に吊り具9、9が取り付けられている。
【0020】
図10(a)は、第1の縦材61の上部先端ジョイント受金具10aと、第2の縦材62の上部後端ジョイント金具11aとの連結状態を示す断面図であり、同図(b)はその側面図である。
上部先端ジョイント受金具10aは、図12に示すように、断面コ字形の基部101と、該基部101に基端部が溶接等によって固定保持された軸着部102および受け部103と、を備える。図10(a)に示すように、上部先端ジョイント受金具10aの基部101は、第1の縦材61の上枠6aの先端面にボルト等で固定される。
受け部103は、第2の縦材62を連結する際に、図2図4に示すように第2の縦材62を鉛直姿勢で載置するための水平な受け台である。
軸着部102は、第2の縦材62を回動自在に軸着するためのものであって、図12に示すように、2枚の平行な板材からなり、ピン24を挿通させる貫通孔23を有する。
【0021】
上部後端ジョイント金具11aは、図13に示すように、板状の基部111と、該基部111に基端部が溶接等によって固定保持された軸着部112と、を備える。基部111は、第2の縦材62の上枠6aの先端面にボルト、リベット等で固定される。
上部後端ジョイント金具11aの軸着部112は1枚の板材等からなり、上部先端ジョイント受金具10aの軸着部102を構成する2枚の平行な板材の間に挿入される。これらの軸着部102、112には貫通孔23が形成されており、それらの貫通孔23を一致させ、ピン24を挿通させて、第2の縦材62を第1の縦材61に長手方向に向かって回動自在に軸着する。これにより、第2の縦材62を鉛直姿勢で受け部103上に載置した状態で、第2の縦材62を前方(長手方向)に倒すことにより縦材6の連結を簡単にかつ安全に行うことができる。
【0022】
また、図10(a)、(b)に示すように、横材7を連結するための側面ジョイント受金具20が第1の縦材61の両側面上部に取り付けられており、横材7の長手方向の両端には、第1の縦材61の側面ジョイント受金具20に連結される側面ジョイント金具21がそれぞれ取り付けられている。図10(a)、(b)では、便宜上、縦材61の一方の側面での取り付け状態のみを示している。
側面ジョイント受金具20は、図14(a)~(c)に示すように、基部201が平板状である以外は、上部先端ジョイント受金具10aと同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
側面ジョイント金具21も、前記した上部後端ジョイント金具11aと同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0023】
縦材6の長手方向の両端面には、基部101、111を取り付けるために断面コ字形の補強板251、252が溶接等によって上枠6aおよび下枠6bの内側に取り付けられている。基部101、111は、リベット26によって上枠6aおよび下枠6bを介して補強板251、252に取り付けられている。なお、リベット26に代えて溶接で取り付けてもよい。
また、第1の縦材61の両側面にも、側面ジョイント受金具20の基部201をボルト26で取り付けるために、断面コ字形の補強板251、252が溶接等によって上枠6aおよび下枠6bの内側に取り付けられている。
【0024】
図11(a)は、第1の縦材61の下部先端ジョイント受金具10bと、第2の縦材62の下部後端ジョイント金具11bとの連結状態を示す断面図であり、同図(b)はその側面図である。下部先端ジョイント受金具10bは、上部先端ジョイント受金具10aと同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
下部後端ジョイント金具11bは、上部後端ジョイント金具11aと基本的に同様の構造を有するが、軸着部112´の長さLは、上部後端ジョイント金具11aの軸着部112の長さより大きく、図11(a)、(b)に示すように、軸着部112´の先端は、下部先端ジョイント受金具10bの基部101に接触するか、それに近い長さを有する。これにより、第2の縦材62を上部先端ジョイント受金具10aの軸着部102を起点として前方に倒したとき、下部後端ジョイント金具11bの軸着部112´が下部先端ジョイント受金具10bの軸着部102間に挿入され、かつ先端が基部101に接するように位置しているので、第2の縦材62を水平姿勢に安定させることができ、続くピン24の取り付けも簡単に行えるようになる。
【0025】
また、図11(a)、(b)に示すように、第1の縦材61の下部両側面には、図10(a)、(b)に示す上部側面と同様に、横材7を連結するための側面ジョイント受金具20が取り付けられており、横材7の長手方向の両端には、第1の縦材61の側面ジョイント受金具20に連結される側面ジョイント金具21がそれぞれ取り付けられている。
側面ジョイント受金具20は、図14(a)~(c)に示すように、基部201が平板状である以外は、上部先端ジョイント受金具10aと同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
側面ジョイント金具21は、前記した上部後端ジョイント金具11aと同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
軸着部102、112、112´において軸着のために使用されるピン24としては、例えば、図15(a)に示すようなグラビティピンが使用可能であり、(b)はその使用状態を説明するための側面図である。図16は、図15に示すグラビティピンの分解図である。このようなグラビティピンとしては、例えば「スネークピン」(登録商標)の名称で市販されている。このピン24は、貫通孔23内に挿入される本体24aと、本体24aの先端部に軸着された第1の折れ部24bと、第1の折れ部24bの先端部に軸着された第2の折れ部24cとを備える。本体24aは先端部が二股状に形成されており、これに第1の折れ部24bの後端部を挿入し、貫通孔32を一致させ、図示しないリベットを挿通させて、かしめるか、あるいは図示しないスプリングピンを挿入する。第1の折れ部24bと第2の折れ部24cとの接続も同様に貫通孔33にリベットまたはスプリングピンを挿入して行うことができる。
また、本体24aの後端部にも貫通孔34が形成されており、この貫通孔34には、落下防止の為、リング、ワイヤーなどを装着して、ピン24の抜けを防止する。
【0027】
図5に戻って、隣接する支持枠体2、2を接続するつなぎ部12において、隣接する支持枠体2、2は、つなぎ材121によって接続される。図17(a)は、つなぎ材121の使用状態、すなわち、つなぎ材121による支持枠体2、2の接続状態を示す平面図であり、図17(b)はその正面図である。
つなぎ材121は、図18に示すように、長穴29を有する長さ調整材30と、長穴29にスライド自在に挿通した突起部31をそれぞれが有する板状の一対のスライド材28、28とを備える。本実施形態では、図19に示すように、スライド材28は、コ字形に形成された板材で構成されている。突起部31は、例えばボルトで構成され、頭部がスライド材28、28に溶接等で固定されている。
【0028】
つなぎ材121を支持枠体2、2間に取り付けるには、図17(a)、(b)に示すように、支持枠体2、2のそれぞれ対向する枠体6、6の側面の上部および下部にある側面ジョイント受金具20を利用する。すなわち、図17(b)に示すように、板状の一対のスライド材28、28のそれぞれ上下にある突出部281を、枠体6の上部および下部にある側面ジョイント受金具20、20に取り付ける。取り付けは、突出部281を側面ジョイント受金具20の有する軸着部102内に挿入し、突出部281に設けた貫通孔を軸着部102に設けた貫通孔23と一致させ、前記したピン24を挿通して固定する。ピン24に代えて、図示しないボルトを挿通し、ナットで固定してもよい。
対向する枠体6、6のそれぞれにスライド材28、28を取り付けた後、それぞれの突起部31、31に長さ調整材30の長穴29を挿通させる。突起部31、31であるボルトには、さらにナット(図示せず)を螺着させてもよい。
【0029】
次に、つなぎ材121の機能を説明する。図17(a)、(b)は、つなぎ部12の幅が最小の場合を示しており、つなぎ部12の幅がこれよりも大きい場合は、図20に示すように、長さ調整材30の長穴29に沿ってスライド材28、28を互いに反対方向にスライドさせて、幅を必要な長さまで広げた後、スライド材28、28をそれぞれ対向する側面ジョイント受金具20に取り付ければよい。図20は、つなぎ材121を最大限に広げた状態を示しており、隣接する支持枠体2、2間のすき間が広い場合に適用される。
【0030】
図1に示すように、上方から吊り下げられた格子状の支持枠体2およびつなぎ部12の上面には、床材3が敷設される。床材3としては、例えば、アルミニウムパネル、杉板等の木質板、鋼製足場板等が使用可能である。
図21(a)、(b)は、支持枠体2上への床材3の固定方法を説明するための概略平面図(但し、床材3は図示していない)、(b)はそのC-C線断面図である(床材3を含む)。
図21(a)は、前記したように、縦材6と縦材6とを連結し、縦材6の側面に横材7を連結した後、その上に床材3を敷設する(図21(b)参照)。
このとき、吊り具9の棒体91が上方に突出しているので、複数枚の床材3を敷き詰める際に、棒体91が障害物となり、棒体91の直径に相当するすき間が床材3、3間にできてしまう。そこで、本実施形態では、図21(a)、(b)に示すように、すき間充填材36を床材3、3間のすき間に充填している。また、すき間充填材36は、床材3を取り付けるためにも使用される。
【0031】
すき間充填材36は、金属材から形成されており、図22(a)~(c)に示すように、床材3、3間のすき間に充填できる所定の幅wを有するコ字形断面を有する。すき間充填材36の高さhは、床材3の厚みに略等しい。図22(a)に示すように、一方の先端に切り欠き部37が形成されている。この切り欠き部37は、棒体91に係合してすき間充填材36を位置決めする(図21(a)参照)。
また、床材3、3間のすき間は、横材7の上面に横材7の長手方向に沿って形成されるため、すき間充填材36には、上枠7a上面の溝部131に嵌入される突出部38が所定の間隔で複数形成されている。さらに、図8(c)に示す横材7上面の溝部131に設けた貫通孔18およびナット19に対応してすき間充填材36に貫通孔39が形成されている。
さらに、床材3が風等によって浮き上がらないように、押さえ材としてバンド40が使用される。図21(a)、(b)に示すように、ボルト35は、バンド40の貫通孔41、すき間充填材36の貫通孔39および横材7の溝部131の貫通孔18を挿通して、貫通孔18下面のナット19に螺合している。図23は、バンド40を示しており、両端に貫通孔41が形成された金属板(亜鉛メッキ鋼板等)から構成されている。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更や改善が可能である。例えば、上記実施形態では、吊り下げ部材4の下端部を連結するための吊り具9は、縦材6、6´にのみ設けたが、横材7であってもよく、あるいは縦材6、6´および横材7の両方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 吊り足場
2 支持枠体
3 床材
4 吊り下げ部材(チェーン)
5 スターター部
6、6´ 縦材
6a 上枠
6b 下枠
6c 斜め架橋材
7 横材
7a 上枠
7b 下枠
7c 斜め架橋材
8 作業員
9 吊り具
91 棒体
92 アイボルト
10 先端ジョイント受金具
10a 上部先端ジョイント受金具
101 基部
102 軸着部
103 受け台
10b 下部先端ジョイント受金具
11 後端ジョイント金具
11a 上部後端ジョイント金具
111 基部
112、112´ 軸着部
11b 下部後端ジョイント金具
12 つなぎ部
121 つなぎ材
13、131 溝部
14a、14b 貫通孔
15a、151、152 ねじ溝
16 座金
17、19 ナット
18 貫通孔
20 側面ジョイント受金具
201 基部
21 側面ジョイント金具
22 水抜き孔
23 貫通孔
24 ピン
24a 本体
24b 第1の折れ部
24c 第2の折れ部
251、252、253 補強板
26 ボルト
28 スライド材
281 突出部
29 長穴
30 長さ調整材
31、35 ボルト
31a 頭部
32、33、34、39 貫通孔
36 すき間充填材
37 切り欠き部
38 突出部
40 バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23