(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087614
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】飲料組成物
(51)【国際特許分類】
A23F 3/16 20060101AFI20240624BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240624BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20240624BHJP
A23L 2/68 20060101ALI20240624BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20240624BHJP
A23L 29/20 20160101ALI20240624BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240624BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20240624BHJP
【FI】
A23F3/16
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L2/60
A23L2/68
A23L29/269
A23L29/20
A23L33/105
A23L33/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202534
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】322010073
【氏名又は名称】フードメディック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 昌樹
【テーマコード(参考)】
4B018
4B027
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD32
4B018MD33
4B018MD59
4B018ME14
4B027FB06
4B027FB13
4B027FC02
4B027FC06
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4B027FE08
4B027FK04
4B027FP85
4B041LC01
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4B041LK09
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4B041LP01
4B041LP22
4B117LC03
4B117LC04
4B117LE10
4B117LG17
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4B117LK13
4B117LL02
4B117LL04
4B117LP17
(57)【要約】
【課題】緑茶を高配合した苦みのない飲料を提供すること。
【解決手段】緑茶粉末を2.0~6.0質量%、および酸味料を0.3~3.0質量%含有する飲料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶粉末を2.0~6.0質量%、および酸味料を0.3~3.0質量%含有する飲料組成物。
【請求項2】
前記酸味料が、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、および酒石酸からなる群より選ばれる1以上を含むものである、請求項1記載の飲料組成物。
【請求項3】
さらに、エリスリトール、トレハロース、オリゴトース、イヌリン、デキストリン、還元水あめ、ソルビトール、およびマルチトールからなる群より選ばれる1以上を含有する、請求項1または2記載の飲料組成物。
【請求項4】
さらに増粘剤および/またはゲル化剤を0.5質量%以上含有する、請求項1または2記載の飲料組成物。
【請求項5】
pHが2.0~5.0である、請求項1または2記載の飲料組成物。
【請求項6】
請求項1または2記載の飲料組成物を充填した容器詰飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑茶粉末および酸味料を含有する飲料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶には、カテキン類やカフェインなど多くの機能性成分が含まれる。例えば、カフェインには、眠気覚ましや集中力向上などの効果があることが知られている。
【0003】
特許文献1には、緑茶粉末を含有し、テアニン、カテキン類、およびカフェインの含有量を所定量とした意欲又は集中力の維持又は回復のための緑茶含有飲食品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
緑茶に含まれる機能性成分の効果をさらに高めるために、緑茶粉末を高配合することが考えられるが、飲料中の緑茶粉末の濃度を上げると、緑茶の苦みやえぐみが増し、飲用に適さない。
【0006】
本発明は、緑茶を高配合した苦みのない飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討した結果、緑茶粉末および酸味料を所定量含有する飲料組成物が、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、
〔1〕緑茶粉末を2.0~6.0質量%、および酸味料を0.3~3.0質量%含有する飲料組成物、
〔2〕前記酸味料が、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、および酒石酸からなる群より選ばれる1以上を含むものである、上記〔1〕記載の飲料組成物、
〔3〕さらに、エリスリトール、トレハロース、オリゴトース、イヌリン、デキストリン、還元水あめ、ソルビトール、およびマルチトールからなる群より選ばれる1以上を含有する、上記〔1〕または〔2〕記載の飲料組成物、
〔4〕さらに増粘剤および/またはゲル化剤を0.5質量%以上含有する、上記〔1〕~〔3〕いずれかに記載の飲料組成物、
〔5〕pHが2.0~5.0である、上記〔1〕~〔4〕いずれかに記載の飲料組成物、
〔6〕上記〔1〕~〔5〕いずれかに記載の飲料組成物を充填した容器詰飲料、に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、緑茶を高配合した苦みのない飲料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理論に拘束されることは意図しないが、本発明の飲料組成物は、酸味料を所定量含有することで、高配合した緑茶粉末の苦みやえぐみを抑制し、飲みやすくなっていると考えられる。また、好ましい実施形態として、さらに増粘剤および/またはゲル化剤を含有することで、緑茶粉末の沈殿を防止するとともに、嚥下が容易になっていると考えられる。このため、製品化しやすい。
【0011】
[飲料組成物]
本実施形態に係る飲料組成物は、緑茶粉末および酸味料を必須の成分として含有する。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
【0012】
なお、本明細書においては、上記緑茶粉末を「成分(A)」;上記酸味料を「成分(B)」;上記エリスリトール、トレハロース、オリゴトース、イヌリン、デキストリン、還元水あめ、ソルビトール、およびマルチトールからなる群より選ばれる1以上を「成分(C)」;上記増粘剤および/またはゲル化剤を「成分(D)」;水を「成分(E)」と称する場合がある。本発明は、成分(A)および成分(B)を必須の成分として含有する。
【0013】
<成分(A)>
本実施形態に係る飲料組成物は、緑茶粉末を含有する。緑茶粉末としては、煎茶、玉露、抹茶、番茶、ほうじ茶、かぶせ茶、玉緑茶、緑せん茶、牧之原茶等の蒸し製茶、嬉野茶、青柳茶、中国緑茶等の釜炒り製茶等の粉末が挙げられる。これらは1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。なかでも、鮮やかな濃い緑色、芳醇な香り、苦みやえぐみの少ないまろやかな味わいから、牧之原茶を含むことが好ましい。
【0014】
緑茶粉末の含有量(2種以上を併用する場合には合計含有量)は、2.0質量%以上であり、2.5質量%以上がより好ましく、3.0質量%以上がさらに好ましい。緑茶粉末の含有量を2.0質量%以上とすることで、緑茶が有する機能性成分の効果を増強することができると考えられる。また、緑茶粉末の含有量は、製品化の観点から、6.0質量%以下であり、5.5質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下がさらに好ましい。緑茶粉末としては、市販品を使用することができる。
【0015】
緑茶が含有する機能性成分としては、カテキン類、カフェイン、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンE、ギャバ(GABA)、フラボノイド、テアニン、多糖類(食物繊維)などが挙げられる。これら機能性成分の機能としては、抗ウイルス作用、抗う蝕効果、体脂肪低減、コレステロール低下、抗アレルギー効果、眠気覚まし(興奮作用)、利尿作用、集中力向上、運動能力向上、抗酸化作用(活性酸素除去)、結合組織維持・回復、鉄分吸収サポート、エネルギー代謝促進(疲労回復、免疫力向上、生活習慣病予防など)、血行促進、血管老化防止、抗ストレス作用(リラックス効果)、アンチエイジング、デトックス作用、発がん抑制、整腸作用、便通改善、血糖値上昇抑制、コレステロール・Na排出作用などが挙げられる。
【0016】
<成分(B)>
本実施形態に係る飲料組成物は、酸味料を含有する。酸味料とは、酸味を付与するための物質であり、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、コハク酸、二酸化炭素、乳酸、フマル酸、リン酸等が挙げられる。成分(B)は、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。なかでも、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、および酒石酸からなる群より選ばれる1以上が好ましく、クエン酸が特に好ましい。
【0017】
酸味料の含有量(2種以上を併用する場合には合計含有量)は、緑茶の苦みやえぐみを抑制する観点から、0.3質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。
【0018】
また、酸味料の含有量は、飲用に酸味を強くしすぎない観点から、3.0質量%以下であり、2.5質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましい。
【0019】
成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の比(成分(B)/成分(A))は、緑茶を高配合した苦みのない飲料とする観点から、0.08~1.5が好ましく、0.1~1.0がより好ましく、0.2~0.8がさらに好ましく、0.3~0.5がさらに好ましい。
【0020】
<成分(C)>
本実施形態に係る飲料組成物は、さらにエリスリトール、トレハロース、オリゴトース、イヌリン、デキストリン、還元水あめ、ソルビトール、およびマルチトールからなる群より選ばれる1以上を含有することが好ましい。成分(C)を含有することで、飲料に甘味を付与することや、緑茶粉末の沈殿を防止することができると考えられる。成分(C)は、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。なかでもエリスリトールおよび/またはトレハロースを含むことが好ましい。
【0021】
成分(C)を含有する場合の含有量(2種以上を併用する場合には合計含有量)は、特に制限されないが、甘味付与や緑茶粉末の沈殿防止の観点から、8.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、12.0質量%以がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全体的な甘味、風味の観点からは、28.0質量%以下が好ましく、25.0質量%以下がより好ましい。
【0022】
<成分(D)>
本実施形態に係る飲料組成物は、さらに増粘剤および/またはゲル化剤を含有することが好ましい。増粘剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギナン、ペクチン、寒天、カラギナン、カラヤガム等が挙げられる。成分(D)は、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。なかでもキサンタンガムを含有することが好ましい。
【0023】
ゲル化剤とは、一定温度以上への昇温とその後の冷却により液体をゲル化して固化する性質を有し、食品添加物として使用可能な物質をいう。
【0024】
増粘剤の含有量(2種以上を併用する場合には合計含有量)は、特に制限されないが、緑茶粉末の沈殿を防止する効果を発揮する観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。また、増粘剤の含有量は、飲用に粘度を高くしすぎない観点からは、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。
【0025】
ゲル化剤の含有量は(2種以上を併用する場合には合計含有量)、特に制限されないが、緑茶粉末の沈殿を防止する効果を発揮する観点から、0.10質量%以上が好ましく、0.20質量%以上がより好ましい。また、ゲル化剤の含有量は、飲用に粘度を高くしすぎない観点からは、1.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましい。
【0026】
増粘剤および/またはゲル化剤を含有する場合の増粘剤およびゲル化剤の合計含有量は、特に制限されないが、緑茶粉末の沈殿を防止する効果を発揮する観点から、0.20質量%以上が好ましく、0.30質量%以上がより好ましく、0.40質量%以上がさらに好ましい。また、飲用に粘度を高くしすぎない観点からは、1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。
【0027】
<その他の成分>
本実施形態に係る飲料組成物は、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)以外の成分をさらに含んでいてもよい。
【0028】
その他の成分としては、飲料の食品添加物として一般的なものを用いることができ、例えば、pH調整剤、香料、色素、酸化防止剤、ビタミン類、調味料等が挙げられる。
【0029】
<pH>
本実施形態に係る飲料組成物のpHは、2.0~4.5が好ましく、2.0~4.0がより好ましい。pHが上記の範囲であることにより、製品の日持ち向上効果が得られると考えられる。
【0030】
pHの測定には市販のpHメーターを用いることができる。pHメーター以外の測定方法として、リトマス試験紙を用いて簡易的に確認することも可能である。
【0031】
<カフェイン量>
本実施形態に係る飲料組成物のカフェイン量は、100gあたり50mg以上が好ましく、60mg以上がより好ましく、70mg以上がさらに好ましい。カフェイン量が50mg以上であることにより、カフェインによる眠気覚ましや集中力向上などの効果をえることができると考えられる。
【0032】
カフェイン量の測定には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いることができる。HPLC以外の測定方法として、分光光度計(吸光度測定)を用いて簡易的に確認することも可能である。
【0033】
<製法>
本実施形態に係る飲料組成物は、一般に知られている製造方法により製造することができる。例えば、上記成分(A)~(D)を混合し、成分(E)を加え、殺菌処理することで製造できる。
【0034】
<容器>
本実施形態に係る飲料組成物は、各種容器に充填した容器詰飲料として提供することができる。飲料組成物を各種容器に充填することにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。容器としては、特に制限されないが、密閉できるものが好ましく、パウチ容器、金属製(アルミニウム製またはスチール製など)の缶容器や樽容器、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器などが挙げられる。これらの中でも、パウチ容器に充填することが好ましい。
【0035】
[容器詰飲料]
容器詰飲料とは、容器に充填された飲料であり、希釈や濃縮等をせず、そのまま飲用に供するものをいう。本実施形態に係る容器詰飲料は、例えば、茶飲料、エナジードリンク、炭酸飲料、スポーツ飲料等とすることができる。これらの中でもエナジードリンクとすることがより好ましい。
【実施例0036】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り、有効成分の配合量であり、「質量%」で表す。
【0037】
表2に記した水以外の各成分をダマにならないように注意しながら混合し、水を加え、鍋で沸騰させて殺菌処理し、キャップ付きのスタンディングパウチ(容量150mL)に充填し、各実施例および比較例の容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について、下記の通りpH、カフェイン量を測定し、味について官能評価を行った。
【0038】
<pHの測定>
pHメーターによりpHを確認した。
【0039】
<カフェイン量の測定>
分光光度計を用いて吸光度を測定することによりカフェイン量を測定した。カフェイン量は50mg/100g以上であると、緑茶の効果を得られるとし、合格点とした。
【0040】
<官能評価>
各容器詰飲料について、パネリスト3名により表1の基準に基づき官能評価試験を実施した。評価が2.0以上を合格点とした。
【0041】
【0042】
結果は表2の通りであった。なお、結果は3名のパネリストの平均値である。
【0043】