(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087616
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240624BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202539
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】御園生 靖子
(72)【発明者】
【氏名】草野 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 学
(72)【発明者】
【氏名】首藤 朋子
(72)【発明者】
【氏名】三谷 太志
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】利用者が求める最小単位で高精度な予測を行うこと。
【解決手段】本発明に係る一形態の情報処理装置は、階層関係を有する管理項目の中から目的変数を予測する単位である予測単位の選択を受け付けるとともに、管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から目的変数の対象となる予測対象の選択を利用者から受け付ける受付部と、予測単位として選択された管理項目と、予測対象として選択された管理内容とに基づいて、予測対象の内容が定義付けられる定義情報を生成する生成部と、定義情報に基づき抽出された学習データを用いて、定義情報が示す単位で目的変数を予測するモデルを学習する学習部とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層関係を有する管理項目の中から目的変数を予測する単位である予測単位の選択を受け付けるとともに、前記管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から前記目的変数の対象となる予測対象の選択を利用者から受け付ける受付部と、
前記予測単位として選択された管理項目と、前記予測対象として選択された管理内容とに基づいて、前記予測対象の内容が定義付けられる定義情報を生成する生成部と、
前記定義情報に基づき抽出された学習データを用いて、前記定義情報が示す単位で前記目的変数を予測するモデルを学習する学習部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記利用者の所属組織が有する業務管理のデータベースでの区分である前記管理項目の中から、前記予測単位の選択を受け付けるとともに、前記データベースにおいて、前記管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から前記予測対象の選択を受け付け、
前記生成部は、前記予測単位として選択された管理項目および前記予測対象として選択された管理内容の双方を満たす管理内容の組合せを前記データベースの中から検索し、検索された管理内容の組合せごとに、前記定義情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記階層関係の軸に応じた管理内容の配列と、前記予測対象として選択された管理内容とに基づいて、前記管理項目ごとに紐付けられる管理内容のうち、前記予測単位として選択された管理項目に紐づく管理内容の組合せを、前記定義情報の要素となる管理内容として取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記階層関係の軸に応じた管理内容の配列であって、前記予測対象として選択された管理内容を含む配列を構成する管理内容のうち、前記予測単位として選択された管理項目に紐づく管理内容の組合せを、前記定義情報の要素として取得する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記定義情報の要素と、前記予測対象として選択された管理内容とを組み合わせたデータを、前記定義情報として生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記学習部は、前記定義情報に関する実績データであって、利用者により指定された期間に対応する実績データのうち、前記定義情報を満たす実績データを、前記学習データとして抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、前記定義情報の要素として取得した管理内容の組合せごとに、前記定義情報を生成し、
前記学習部は、前記定義情報ごとに、前記定義情報が示す単位で前記目的変数を予測するためのモデルを学習する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
階層関係を有する管理項目の中から目的変数を予測する単位である予測単位の選択を受け付けるとともに、前記管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から前記目的変数の対象となる予測対象の選択を利用者から受け付ける受付工程と、
前記予測単位として選択された管理項目と、前記予測対象として選択された管理内容とに基づいて、前記予測対象の内容が定義付けられる定義情報を生成する生成工程と、
前記定義情報に基づき抽出された学習データを用いて、前記定義情報が示す単位で前記目的変数を予測するモデルを学習する学習工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
階層関係を有する管理項目の中から目的変数を予測する単位である予測単位の選択を受け付けるとともに、前記管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から前記目的変数の対象となる予測対象の選択を利用者から受け付ける受付手順と、
前記予測単位として選択された管理項目と、前記予測対象として選択された管理内容とに基づいて、前記予測対象の内容が定義付けられる定義情報を生成する生成手順と、
前記定義情報に基づき抽出された学習データを用いて、前記定義情報が示す単位で前記目的変数を予測するモデルを学習する学習手順と
を情報処理装置に実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予測モデルを使ったデータ分析が知られている。例えば、目的変数候補を自動的に生成する場合に、使用者が目的変数候補を選択しやすくする手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特定の細かい単位、例えば、SKU(Stock keeping Unit)単位で予測を行う場合には、この単位に応じたデータの集計、予測モデルの生成、あるいは、説明変数の予測等の処理を大量に行う必要があった。そこで、利用者が求める最小単位で高精度な予測を行うことが求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者が求める最小単位で高精度な予測を可能とする情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る一形態の情報処理装置は、階層関係を有する管理項目の中から目的変数を予測する単位である予測単位の選択を受け付けるとともに、前記管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から前記目的変数の対象となる予測対象の選択を利用者から受け付ける受付部と、前記予測単位として選択された管理項目と、前記予測対象として選択された管理内容とに基づいて、前記予測対象の内容が定義付けられる定義情報を生成する生成部と、前記定義情報に基づき抽出された学習データを用いて、前記定義情報が示す単位で前記目的変数を予測するモデルを学習する学習部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、予測型経営DXサービスの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る組織・品目階層マスタの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、定義情報の生成手法の具体例を示す図である。
【
図5】
図5は、予測モデルデータ生成処理手順の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、説明変数予測処理手順の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、目的変数予測処理手順の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0009】
[実施形態]
〔1.はじめに〕
ビジネス環境が短期間で大きく変化する昨今において、企業には、経営判断やスピード向上が求められる。例えば、企業には、客観性をもってプランニングする精度とスピードとを高め、迅速な意思決定をしてゆくことが求められる。
【0010】
しかしながら、多くの企業は、勘と経験による従来型の経営判断や、過去の実績を基に結果を分析するという予防的施策検討を続けている状況である。一方で、ビッグデータとAI(Artificial Intelligence)とを活用して、需要予測あるいは市場動向予測を行う業績管理サービスが注目されてきている。
【0011】
そこで、本発明の発明者らは、
図1に示すような予測型経営DXサービスの実現に至った。
図1は、予測型経営DXサービスの概要を示す図である。予測型経営DXサービスは、AIによる予測を基にした意思決定による経営高度化を促進するサービスであり、企業の業績に影響を与える社外データ等の多種多様なデータを収集・蓄積し、社内データと掛け合わせて将来の予測分析を行うことができる。
【0012】
このように、予測型経営DXサービスは、従来の経営管理(例えば、PCDA業務)に対して、AIを活用した予測を組む混んだサイクルを構築するため、例えば、従来型の予実分析だけでなく計画と予測の差異分析を行う予予分析に対応することができるというメリットを生み出す。
【0013】
提案技術に係る情報処理(以下、「実施形態に係る情報処理」と表記する場合がある)は、
図1に示すような予測型経営DXサービスに組み込まれるものである。例えば、予測型経営DXサービスでは、予予分析に対応するための業務プロセス(業務テンプレート)が提供される。係る業務プロセスには、
図1に示すように、「データ選定・収集・加工」、「AIを活用した予測」、「データ分析・活用」等が含まれる。実施形態に係る情報処理は、このうち、「AIを活用した予測」に相当する。そして、実施形態に係る情報処理によれば、高精度な予測と予測に係る運用負荷の抑制との両立が図られる。
【0014】
ここで、SKUや、SKUごとの得意先といった細かい単位で予測モデルを作成することを求めるニーズがある。しかしながら、従来の手法では、単位に合わせたデータの集計が必要であり、また、目的変数および説明変数データの集計、予測モデルの生成、さらには説明変数の予測という作業を大量に行う必要がある。また、生成した大量のモデルを維持・管理してゆく必要もある。このようなことから、従来の手法では、予測モデルの運用の困難さに起因して現実性に欠けるという問題点がある。このため、現状では、予測精度を落としてでもより粗い単位でモデルを生成させるか、あるいは、予測対象とする品目数を限定することで運用負荷を抑える等の手法がとられている。
【0015】
上記の課題に対し、ニューラルネットワーク等のより複雑なモデルを適用することで、1つのモデルで複数の予測対象を予測する方法が考えられる。しかしながら、複雑なモデルはより多くの学習データを必要とするため、例えば、月次販売数量予測のようなデータ量の小さいものの予測には不向きである。
【0016】
実施形態に係る情報処理は、上記の問題点に鑑みて、予測型経営DXサービスにおいて、高精度な予測と予測に係る運用負荷の抑制との両立を目的に実行される。例えば、実施形態に係る情報処理は、
図2で説明するサーバ装置100によって行われてよい。サーバ装置100は、情報処理装置の一例である。
【0017】
サーバ装置100によれば、予測型経営DXサービスにおいて、データウェアハウスと予測システムを統合したプラットフォームである。
【0018】
サーバ装置100によれば、組織階層や品種階層等を予測単位として選択することできるユーザインターフェースが提供される。そして、選択された組織階層や品種階層の配下の予測対象単位で、目的変数のデータおよび説明変数のデータが抽出・集計され、また、予測対象単位でのモデルの生成、予測が行われる。例えば、利用者が品種階層を選択した場合には、品種階層の配下のSKU単位で予測モデルの学習、予測モデルを用いた予測が行われる。この結果、利用者は、例えば、実績値を把握する前の段階で対象製品や対象製品に影響を与える指標の変化を把握して分析できるようになるため、目標達成に向けてより具体的なアクションが取れるようになる。
【0019】
また、サーバ装置100によれば、複数のモデルを一括で更新させる指示を出すことのできるユーザインターフェースも提供される。この結果、利用者は、複数のモデルをモデル単位ではなく、一括で更新させることができるため、モデルの管理における利便性を得ることができるようになる。
【0020】
〔2.サーバ装置の構成〕
図2を用いて、実施形態に係るサーバ装置100について説明する。
図2は、実施形態に係るサーバ装置100の構成例を示す図である。
図2に示すように、サーバ装置100は、データウェアハウス20と、制御部130とを有してよい。
【0021】
(データウェアハウス20について)
データウェアハウス20では、データが時系列で保存される。このため、過去のデータの履歴を確認できると同時に、システムごとのデータを集約して全体のデータとして活用できる。すなわち、データウェアハウス20は、企業の意思決定において有効なデータベースといえる。また、
図2の例によれば、データウェアハウス20は、組織・品目階層マスタDB21、予測単位データDB22、予測対象データDB23、説明変数実績データDB24、目的変数実績データDB25等を有してよい。なお、データウェアハウス20は、サーバ装置100とは異なるクラウドに存在してもよい。
【0022】
(組織・品目階層マスタDB21について)
ここで、
図3を用いて、実施形態に係る組織・品目階層マスタDB21の一例を示す。
図3に示すように、組織・品目階層マスタDB21は、階層化されている。例えば、組織・品目階層マスタDB21は、
図3に示すように、第1階層に管理項目「会社」、第2階層に管理項目「販売組織」、第3階層に管理項目「品種」、第4階層に管理項目「品目」を有する。なお、
図3では、組織・品目階層マスタDB21は、4階層に階層化されているが、階層数は限定されず、また、管理項目の種類も
図3の例に限定されない。
【0023】
「管理内容」は、「管理項目」の具体的な内容であり、「管理項目」の配下に紐付けられる。
図3の例によれば、「会社」→「販売組織」→「品種」→「品目」という階層関係に応じて、管理内容「C1」、管理内容「S1」、管理内容「G1」、品目「M11」が対応付けられている。係る例は、会社「C1」には、販売組織「S1」が存在し、販売組織「S1」では、品種「G1」および品目「M11」に属するプロダクトが管理されている例を示す。
【0024】
また、後述するが、サーバ装置100は、組織・品目階層マスタDB21に記憶される内容を基に、予測単位および予測対象の選択を受け付ける。
【0025】
(予測単位データDB22について)
図2に戻り、予測単位データDB22は、階層構造で構成される管理項目のうち、利用者により予測単位として選択された管理項目を記憶してよい。ここでいう予測単位とは、目的変数を予測する単位である。
【0026】
(予測対象データDB23について)
予測対象データDB23は、階層構造で構成される管理項目ごとに管理される管理内容のうち、利用者により予測対象として選択された管理内容を記憶してよい。ここでいう予測対象とは、目的変数が指し示す対象である。例えば、目的変数を「販売数量」とすると、予測対象は、何の販売数量であるのかその対象を指し示す。
【0027】
(説明変数実績データDB24について)
説明変数実績データDB24は、説明変数の予測に用いられる実績データを記憶する。例えば、説明変数実績データDB24は、実績データとして、予測型経営DXサービスで活用される社内データを記憶してよい。また、ここでいう社内データには、ERP(Enterprise Resource Planning)データ、各種実績データ(例えば、販売業務実績、生産業務実績、物流業務実績)、予測を行うにあたって影響を与える要素データ等が含まれる。
【0028】
例えば、利用者は、自身が選択した予測単位および予測対象に応じて、販売数量を予測させたい場合には、説明変数実績データDB24に記憶される実績データから、販売数量の予測に影響を与える要素(例えば、販促費、クレーム件数、輸入量等)に紐づく列を指定してよい。
【0029】
(目的変数実績データDB25について)
目的変数実績データDB25は、目的変数の予測に用いられる実績データを記憶する。例えば、目的変数実績データDB25は、説明変数実績データDB24と同様に、ERPデータ、各種実績データ(例えば、販売業務実績、生産業務実績、物流業務実績)、予測を行うにあたって影響を与え得る要素データ等を含む社内データを記憶してよい。
【0030】
ここで、サーバ装置100は、利用者の求める最終的な結果に相当する目的変数の予測だけでなく、目的変数の予測に用いる説明変数の予測も行ってよい。単純な例では、サーバ装置100は、目的変数に対応する実績データを学習データとして用いてよい。しかしながら、係る実績データから予測される予測値も説明変数(説明変数の将来値といえる)として用いた方が、目的変数の予測精度が高まる場合がある。
【0031】
そこで、サーバ装置100は、目的変数の予測に用いる説明変数を予測するための予測モデル(以下、「第1の予測モデル」と表記する)の学習も行ってよい。そして、サーバ装置100は、実績データから抽出された説明変数および第1の予測モデルで予測された将来の説明変数を用いて、最終的な目的変数を予測するための予測モデル(以下、「第2の予測モデル」と表記する)の学習を行ってよい。
【0032】
係る例によれば、説明変数実績データDB24に記憶される実績データからは、第1の予測モデルを生成するための学習データが抽出される。例えば、利用者は、説明変数実績データDB24の中から、第1の予測モデルの学習に使用させる学習データを指定することができる。例えば、利用者は、説明変数実績データDB24に記憶される実績データから、説明変数の予測に影響を与える要素(例えば、販促費、クレーム件数、輸入量等)に紐づく列を指定することができる。
【0033】
また、目的変数実績データDB25に記憶される実績データからは、第2の予測モデルを生成するための学習データが抽出される。例えば、利用者は、目的変数実績データDB25の中から、第2の予測モデルの学習に使用させる学習データを指定することができる。例えば、利用者は、目的変数実績データDB25に記憶される実績データから、目的変数の予測に影響を与える要素(例えば、販売数量)に紐づく列を指定することができる。
【0034】
(制御部130について)
制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、サーバ装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0035】
図2に示すように、制御部130は、受付部131と、モデル用データ生成部132と、目的変数制御部133と、説明変数制御部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0036】
(受付部131について)
受付部131は、階層関係を有する管理項目の中から目的変数を予測する単位である予測単位の選択を利用者から受け付ける。また、受付部131は、管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から目的変数の対象となる予測対象の選択を利用者から受け付ける。例えば、受付部131は、組織・品目階層マスタDB21に記憶される情報を基にして、予測単位や予測対象の選択を受け付けてよい。
【0037】
例えば、受付部131は、利用者の所属組織が有する業務管理のデータベース(すなわち、組織・品目階層マスタDB21)での区分である管理項目の中から、予測単位の選択を受け付けるとともに、係るデータベースにおいて管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から予測対象の選択を受け付けてよい。選択の受付手法の具体例については後述する。
【0038】
また、受付部131は、予測モデルの更新要求をさらに受け付けてよい。例えば、受付部131は、複数の第2のモデルを一括で更新させる指示である更新要求を受け付けてよい。
【0039】
(モデル用データ生成部132について)
モデル用データ生成部132は、予測単位として選択された管理項目と、予測対象として選択された管理内容とに基づいて、予測対象の内容が定義付けられる定義情報を生成する。具体的には、モデル用データ生成部132は、予測単位として選択された管理項目および予測対象として選択された管理内容の双方を満たす管理内容の組合せを組織・品目階層マスタDB21の中から検索し、検索された管理内容の組合せごとに、定義情報を生成する。
【0040】
例えば、モデル用データ生成部132は、階層関係の軸に応じた管理内容の配列と、予測対象として選択された管理内容とに基づいて、管理項目ごとに紐付けられる管理内容のうち、予測単位として選択された管理項目に紐づく管理内容の組合せを、定義情報の要素として取得する。より具体的には、モデル用データ生成部132は、階層関係の軸に応じた管理内容の配列であって、予測対象として選択された管理内容を含む配列を構成する管理内容のうち、予測単位として選択された管理項目に紐づく管理内容の組合せを、定義情報の要素として取得する。定義情報の生成手法の具体例については後述する。
【0041】
ここで、上述した通り、サーバ装置100は、説明変数を予測するための予測モデルである第1の予測モデルの学習も行ってよいものである。サーバ装置100は、目的変数の予測において、必ずしも説明変数の将来値を用いる必要はないが、予測精度を向上させる点では、説明変数の将来値を用いることが好ましい。そこで、モデル用データ生成部132は、第1の予測モデルおよび第2の予測モデルの学習が行われる場合には、予測単位として選択された管理項目と、予測対象として選択された管理内容とに基づいて、第1の予測モデルの学習に利用されるための定義情報と、第2の予測モデルの学習に利用されるための定義情報とを個別に生成してよい。
【0042】
また、モデル用データ生成部132は、第1の予測モデルの学習に利用されるための定義情報(説明変数予測モデルのためのデータ)、第2の予測モデルの学習に利用されるための定義情報(目的変数予測モデルのためのデータ)それぞれを所定の記憶部に格納してよい。この結果、目的変数制御部133は、所定の記憶部に記憶される定義情報を取得し、目的変数に関する学習や予測に用いる。また、説明変数制御部134は、所定の記憶部に記憶される定義情報を取得し、説明変数に関する学習や予測に用いる。
【0043】
(目的変数制御部133について)
目的変数制御部133は、
図2に示すように、目的変数データ抽出部133aと、学習部133bと、予測部133cとを有してよい。
【0044】
(目的変数データ抽出部133aについて)
目的変数データ抽出部133aは、定義情報ごとに、学習データを抽出する。目的変数データ抽出部133aは、予測対象として選択された管理内容に関する実績データであって、利用者により指定された期間に対応する実績データのうち、定義情報を満たす実績データを、学習データとして抽出してよい。具体的には、目的変数データ抽出部133aは、目的変数実績データDB25から学習データを抽出よい。なお、学習データは、説明変数と目的変数との組合せで構成されてよい。また、ここでいう説明変数には、説明変数の実績値だけが含まれてもよいし、第1の予測モデルが生成されている場合には、第1の予測モデルを用いて予測された説明変数の将来値がさらに含まれてよい。
【0045】
(学習部133bについて)
学習部133bは、目的変数データ抽出部133aが抽出した学習データを用いて、定義情報ごとに、目的変数を予測するためのモデルを学習する。定義情報では、目的変数を予測する予測単位の具体的な内容が定義されているため、学習部133bは、定義情報で定義されている予測単位で目的変数を予測するための第2の予測モデルを学習する。
【0046】
(予測部133cについて)
予測部133cは、第2の予測モデルに基づいて、利用者が選択した予測対象に応じた目的変数を予測する。一例として、予測部133cは、第2の予測モデルに対して予測用のデータを入力することで、利用者が選択した予測対象の販売数量を予測する。
【0047】
(説明変数制御部134について)
説明変数制御部134は、
図2に示すように、説明変数データ抽出部134aと、学習部134bと、予測部134cとを有してよい。
【0048】
(説明変数データ抽出部134aについて)
説明変数データ抽出部134aは、定義情報ごとに、学習データを抽出する。説明変数データ抽出部134aは、予測対象として選択された管理内容に関する実績データであって、利用者により指定された期間に対応する実績データのうち、定義情報を満たす実績データを、学習データとして抽出してよい。具体的には、説明変数データ抽出部134aは、説明変数実績データDB24から学習データを抽出してよい。
【0049】
(学習部134bについて)
学習部134bは、説明変数データ抽出部134aが抽出した学習データを用いて、定義情報ごとに、説明変数を予測するためのモデルを学習する。定義情報では、説明変数を予測する予測対象の具体的な内容が定義されているため、学習部134bは、定義情報に対応する予測単位(利用者により選択された予測単位)で説明変数を予測するための第1の予測モデルを学習する。
【0050】
(予測部134cについて)
予測部134cは、第1の予測モデルに基づいて、利用者が選択した予測対象に応じた説明変数を予測する。一例として、予測部133cは、第1の予測モデルに対して予測用のデータを入力することで、利用者が選択した予測対象の販促費(クレーム件数、輸入量等でもよい)を予測する。
【0051】
〔3.受付手法の具体例〕
図3を用いて、受付手法の具体例を説明する。
図3は、予測単位および予測対象の選択を受け付ける受付手法の具体例を示す図である。
【0052】
例えば、受付部131は、組織・品目階層マスタDB21に記憶される階層構造に基づいて、管理項目の中から予測単位の選択を受け付けるための選択画面G1を生成し、選択画面G1を利用者の端末装置に配信してよい。例えば、受付部131は、
図3に示すように、「管理項目」ごとに「入力欄」が対応付けられた管理項目リストL1を含む選択画面G1を生成してよい。
図3には、「会社」、「販売組織」、「品種」、「品目」という4つの管理項目のうち、「会社」に対応する入力欄と、「販売組織」に対応する入力欄と、「品目」に対応する入力欄とにチェックマークが入力された例が示される。係る例は、利用者が、「会社」と「販売組織」と「品目」とを予測単位として選択したことを意味する。
【0053】
また、選択画面G1には、ボタンB1が設けられており、ボタンB1が押下された場合には、選択画面G2へと遷移される。例えば、利用者によりボタンB1が選択されたとする。係る場合、受付部131は、組織・品目階層マスタDB21に記憶される階層構造に基づいて、管理項目ごとに紐付けられる管理内容の中から、予測対象の選択を利用者から受け付けるための選択画面G2を生成する。例えば、受付部131は、
図3に示すように、各管理項目の配下に存在する管理内容が一覧される管理内容リストL2を含む選択画面G2を生成してよい。
【0054】
図3の例によれば、選択画面G2には、管理内容の中から選択された予測対象を入力する入力欄F21とF22と、選択画面G1および選択画面G2で選択された内容を確定させるボタンB2とが設けられる。
図3には、管理内容リストL2に表示される管理内容のうち、管理項目「会社」の配下にある管理内容「C1」(すなわち、「会社C1」)と、管理項目「品種」の配下にある管理内容「G1」(すなわち、「品種G1」)とが予測対象として選択された例が示される。
【0055】
以下では、
図3に示す選択内容を基に処理が行われる例を示す。具体的には、利用者が予測単位として管理項目「会社」と、管理項目「販売組織」と、管理項目「品種」とを選択し、予測対象として「会社C1」および「品種G1」を選択した例を用いて、サーバ装置100の動作を説明する。
【0056】
〔4.目的変数の生成手法〕
次に、定義情報を生成する生成手法を説明する。ここで、
図3の例によれば、利用者による選択内容は、「会社C1で扱われる品種G1のプロダクトについて、会社単位/販売組織単位/品目単位のそれぞれで、係るプロダクトの販売数量を予測する」という要求を指し示す。この場合、従来の手法であれば、会社C1の中で品種G1を扱う全販売組織に対して、品種G1配下の全品目について、会社単位/販売組織単位/品目単位それぞれにデータの集計が必要であり、また、目的変数および説明変数データの集計、モデルの生成、さらには説明変数の予測という作業を大量に行う必要がある。そこで、本発明の提案手法では、存在するデータの組合せの予測対象が改めて定義される。より具体的には、本発明の提案手法では、予測単位として選択された管理項目に対応するデータの組合せに応じて、予測対象が改めて定義される。すなわち、本発明の提案手法では、予測単位として選択された管理項目と、予測対象として選択された管理対象とに基づいて、予測対象の内容が自動的に定義される。そして、定義情報に基づき学習データが抽出され、抽出された学習データを用いて、定義された予測単位で目的変数を予測するモデルが学習される。
【0057】
この結果、高精度な予測と予測に係る運用負荷の抑制との両立が実現される。以下では
図4を用いて、定義情報の生成手法を説明する。
図4は、定義情報の生成手法の具体例を示す図である。
【0058】
例えば、モデル用データ生成部132は、組織・品目階層マスタDB21と、利用者により選択された選択内容とを照らし合わせて、管理内容の検索を行い、検索結果として得られた管理内容の組合せごとに定義情報を生成する。具体的には、モデル用データ生成部132は、予測単位として選択された管理項目および予測対象として選択された管理内容の双方を検索条件として用いて組織・品目階層マスタDB21を検索し、検索条件を満たす管理内容の組合せを、定義情報の要素として取得する。そして、モデル用データ生成部132は、定義情報の要素と、予測対象として選択された管理内容とを組み合わせることで、定義情報を生成する。以下では、係る生成手法の具体的な一例を示す。
【0059】
まず、
図4に示す組織・品目階層マスタDB21によれば、管理内容は、管理項目の配下として縦に紐付けられるだけでなく、「第1階層」、「第2階層」、「第3階層」、「第4階層」という横の階層軸に応じた配列関係も有する。
図4には、階層軸に応じた管理内容の配列として、配列H1と、配列H2と、配列H3と、配列H4と、配列H5とが示される。例えば、配列H1は、管理内容「C1」(会社C1)と、管理内容「S1」(販売組織S1)と、管理内容「G1」(品種G1)と、管理内容「M11」(品目M11)とで構成される。
【0060】
このような状態で、モデル用データ生成部132は、階層軸に応じた配列(H1,H2,H3,H4,H5)のうち、予測対象として選択された管理内容(C1,G1)を含む配列を抽出する(ステップS41)。
図4に示す組織・品目階層マスタDB21によれば、モデル用データ生成部132は、予測対象として選択された管理内容(C1,G1)を含む配列として、配列H1、配列H2、配列H4、配列H5を抽出することができる。
【0061】
また、モデル用データ生成部132は、ステップS42で抽出した配列(H1,H2,H4,H5)それぞれについて、予測単位として選択された管理項目(会社,販売組織,品目)に紐づく管理内容の組合せを取得する(ステップS42)。
図4に示す組織・品目階層マスタDB21によれば、モデル用データ生成部132は、配列H1について、管理内容「C1」と、管理内容「S1」と、管理内容「M11」という管理内容の組合せCB1を取得することができる。また、モデル用データ生成部132は、配列H2について、管理内容「C1」と、管理内容「S1」と、管理内容「M12」という管理内容の組合せCB2を取得することができる。また、モデル用データ生成部132は、配列H4について、管理内容「C1」と、管理内容「S2」と、管理内容「M11」という管理内容の組合せCB4を取得することができる。また、モデル用データ生成部132は、配列H5について、管理内容「C1」と、管理内容「S2」と、管理内容「M12」という管理内容の組合せCB5を取得することができる。
【0062】
また、組合せCB1、組合せCB2、組合せCB4、組合せCB5は、それぞれ定義情報の要素であり、モデル用データ生成部132は、これらの定義情報の要素と、予測対象として選択された管理内容(C1,G1)とを組み合わせたデータを、定義情報として生成する(ステップS43)。
【0063】
具体的には、モデル用データ生成部132は、組合せCB1(C1,S1,M11)と、管理内容(C1,G1)とを合わせて、定義情報D1を生成する。
図4に示すように、定義情報D1は、予測対象として選択された管理内容(C1,G1)と、予測単位として選択された管理項目(会社,販売組織,品種)に応じて区別された管理内容(C1,S1,M11)とで構成される。そして、定義情報D1は、「会社C1で扱われる品種G1のプロダクトについて、会社C1単位/販売組織S1単位/品目M11単位のそれぞれで、係るプロダクトの販売数量を予測する第2の予測モデルM21を生成すること」を意味する。
【0064】
また、モデル用データ生成部132は、組合せCB2(C1,S1,M12)と、管理内容(C1,G1)とを合わせて、定義情報D2を生成する。
図4に示すように、定義情報D2は、予測対象として選択された管理内容(C1,G1)と、予測単位として選択された管理項目(会社,販売組織,品種)に応じて区別された管理内容(C1,S1,M12)とで構成される。そして、定義情報D2は、「会社C1で扱われる品種G1のプロダクトについて、会社C1単位/販売組織S1単位/品目M12単位のそれぞれで、係るプロダクトの販売数量を予測する第2の予測モデルM22を生成すること」を意味する。
【0065】
また、モデル用データ生成部132は、組合せCB4(C1,S2,M11)と、管理内容(C1,G1)とを合わせて、定義情報D4を生成する。
図4に示すように、定義情報D4は、予測対象として選択された管理内容(C1,G1)と、予測単位として選択された管理項目(会社,販売組織,品種)に応じて区別された管理内容(C1,S2,M11)とで構成される。そして、定義情報D4は、「会社C1で扱われる品種G1のプロダクトについて、会社C1単位/販売組織S2単位/品目M11単位のそれぞれで、係るプロダクトの販売数量を予測する第2の予測モデルM24を生成すること」を意味する。
【0066】
また、モデル用データ生成部132は、組合せCB4(C1,S2,M12)と、管理内容(C1,G1)とを合わせて、定義情報D5を生成する。
図4に示すように、定義情報D5は、予測対象として選択された管理内容(C1,G1)と、予測単位として選択された管理項目(会社,販売組織,品種)に応じて区別された管理内容(C1,S2,M12)とで構成される。そして、定義情報D5は、「会社C1で扱われる品種G1のプロダクトについて、会社C1単位/販売組織S2単位/品目M12単位のそれぞれで、係るプロダクトの販売数量を予測する第2の予測モデルM25を生成すること」を意味する。
【0067】
〔5.処理手順〕
ここからは、
図5~
図7を用いて、サーバ装置100の動作手順を説明する。
図5では、予測モデルデータ生成処理の手順を説明する。
図6では、説明変数予測処理の手順を説明する。また、
図7では、目的変数予測処理の手順を説明する。
【0068】
〔5-1.予測モデルデータ生成処理手順〕
図5は、予測モデルデータ生成処理手順の一例を示す図である。予測モデルデータ生成処理は、
図4で説明した定義情報の生成手法を基に行われてよい。
【0069】
まず、サーバ装置100によって、予測モデルデータを生成するための生成処理を要求する処理要求イベントが処理される(ステップS51)。ここでいう予測モデルデータとは、第2の予測モデルの学習に利用されるための定義情報(目的変数予測モデルデータ)と、第1の予測モデルの学習に利用されるための定義情報(説明変数予測モデルデータ)とを指し示す。
【0070】
ステップS51では、制御部130は、スケジューラによって起動されると、未処理の処理要求イベントを示す情報を取得する(ステップS51-1)。なお、係る情報には、タイムアウトによって処理されなかった処理要求イベントの情報も含まれてよい。そして、制御部130は、予測モデルデータ生成AP1を呼び出す(ステップS51-2)。すなわち、制御部130は、モデル用データ生成部132に対して、未処理の処理要求イベントを示す情報を出力し、係る処理要求イベントに対応する予測モデルデータを生成するよう指示する。
【0071】
モデル用データ生成部132は、制御部130の制御に応じて、予測モデルデータ生成処理を行う(ステップS52)。
【0072】
ステップS52では、モデル用データ生成部132は、
図4で説明した手法を用いて目的変数予測モデルデータを生成し、生成したデータをテーブルに登録する(ステップS52-1)。
【0073】
次に、モデル用データ生成部132は、登録した目的変数予測モデルデータについて、説明変数の予測値が存在するか否か特徴量ストアを検索する(ステップS52-2)。モデル用データ生成部132は、検索の結果、説明変数の予測値が存在する場合には、係る予測値が第2の予測モデルの学習に利用されるよう情報更新する。例えば、モデル用データ生成部132は、特徴量ストアを利用可能な場合(説明変数の予測値が存在する場合)には、目的変数予測モデルデータの予測モデル変数テーブルと予測条件説明変数テーブルの当該説明変数のレコードの物理テーブル名、項目名を特徴量ストアテーブルのものに更新する。
【0074】
モデル用データ生成部132は、検索の結果、説明変数の予測値が存在しなかった場合には、
図4で説明した手法を用いて説明変数予測モデルデータを生成し、生成したデータをテーブルに登録する(ステップS52-3)。
【0075】
次に、モデル用データ生成部132は、ステップS52-1で生成した目的変数予測モデルデータ、および、ステップS52-3で生成した説明変数予測モデルデータについて、ML(機械学習)処理要求テーブル・ML処理要求明細テーブルに処理要求を登録する(ステップS52-4)。
【0076】
最後に、モデル用データ生成部132は、説明変数予測処理を要求する処理要求イベントの情報を登録する(ステップS52-5)。
【0077】
〔5-2.説明変数予測処理手順〕
図6は、説明変数予測処理手順の一例を示す図である。説明変数予測処理では、説明変数を予測するための第1の予測モデルの学習、および、第1の予測モデルを用いた説明変数の予測が行われる。
【0078】
まず、サーバ装置100によって、説明変数予測処理を要求する処理要求イベントが処理される(ステップS61)。ステップS61では、制御部130は、スケジューラによって起動されると、未処理の処理要求イベントを示す情報を取得する(ステップS61-1)。そして、制御部130は、処理要求イベントを示す情報をキューに登録する(ステップS61-2)。
【0079】
説明変数制御部134は、キューからの制御を受けて、説明変数予測処理を起動するための起動処理を実行する(ステップS62)。ステップS62では、説明変数制御部134は、処理要求イベントの情報に基づいて、ML処理要求テーブル・ML処理要求明細テーブルから処理対象のデータを取得する(ステップS62-1)。そして、説明変数制御部134は、ML処理要求テーブルに登録される処理要求IDと、ML処理要求明細テーブルに登録されるML処理要求明細IDとを説明変数データ抽出部134aに出力する(ステップS62-2)。これにより説明変数予測処理が起動される。
【0080】
説明変数制御部134は、ステップS62の起動処理に応じて、説明変数予測処理を実行する(ステップS63)。ステップS63では、説明変数データ抽出部134aは、モデル用データ生成部132がステップS52-3で生成した説明変数予測モデルデータ(定義情報)に基づいて、第1の予測モデルの学習に用いる学習データを説明変数実績データDB24から抽出する(ステップS63-1)。例えば、説明変数データ抽出部134aは、説明変数予測モデルデータを満たす実績データであって、利用者により指定された期間に対応する実績データを説明変数実績データDB24から抽出する。そして、説明変数データ抽出部134aは、説明変数予測モデルデータに基づき実績データを加工することで、学習データを生成する。説明変数予測処理では、学習データにおいて説明変数が目的変数として取り扱われる。
【0081】
学習部134bは、ステップS63-1で抽出された学習データに基づいて、第1の予測モデルを学習する学習処理を実行する(ステップS63-2)。例えば、学習部134bは、
図4の例のように複数の定義情報(説明変数予測モデルデータ)が生成されている場合には、定義情報ごとに第1の予測モデルを学習する。例えば、学習部134bは、4組の定義情報が存在する場合には、4つの第1の予測モデルを学習することになる。
【0082】
予測部134cは、ステップS63-2で学習された第1の予測モデルを用いて説明変数を予測する(ステップS63-3)。例えば、予測部134cは、第1の予測モデルの学習が終了した終了日から予測期間分の未来の日付の配列(管理内容の配列)に対応するデータを入力することで、説明変数を予測する。
【0083】
ここで、後続の目的変数予測処理では、利用者の選択内容に応じた説明変数それぞれが目的変数の予測に寄与するか否かをグレンジャー因果検定により判定されるが、グレンジャー因果検定を行うためにはデータが定常であることが前提となる。このため、説明変数制御部134は、定常性検定を行う(ステップS63-4)。説明変数制御部134は、ステップS63-4では、定常性なしと判断した説明変数を除外し、定常性ありの説明変数を用いた処理が行われるよう制御してよい。
【0084】
次に、説明変数制御部134は、ステップS63-1で抽出された学習データと、ステップS63-3で予測された予測値とを特徴量ストアとして登録する(ステップS63-5)。
【0085】
また、説明変数制御部134は、目的変数予測モデルデータの説明変数を特徴量ストアに書き換える(ステップS63-6)。
【0086】
最後に、説明変数制御部134は、目的変数予測処理を要求する処理要求イベントの情報を登録する(ステップS63-7)。
【0087】
〔5-3.目的変数予測処理手順〕
図7は、目的変数予測処理手順の一例を示す図である。目的変数予測処理では、目的変数を予測するための第2の予測モデルの学習、および、第2の予測モデルを用いた目的変数の予測が行われる。
【0088】
まず、サーバ装置100によって、目的変数予測処理を要求する処理要求イベントが処理される(ステップS71)。ステップS71では、制御部130は、スケジューラによって起動されると、未処理の処理要求イベントを示す情報を取得する(ステップS71-1)。そして、制御部130は、処理要求イベントを示す情報をキューに登録する(ステップS71-2)。
【0089】
目的変数制御部133は、キューからの制御を受けて、目的変数予測処理を起動するための起動処理を実行する(ステップS72)。ステップS72では、目的変数制御部133は、処理要求イベントの情報に基づいて、ML処理要求テーブル・ML処理要求明細テーブルから処理対象のデータを取得する(ステップS72-1)。
【0090】
また、目的変数制御部133は、先行処理である、説明変数予測処理が全て終了しているか否かを判定する(ステップS72-3)。ステップS72-3において、説明変数予測処理が終了していないと判定した場合には、この時点で処理が終了される。
【0091】
一方、目的変数制御部133は、ステップS72-3において、説明変数予測処理が終了していると判定した場合には、ML処理要求テーブルに登録される処理要求IDと、ML処理要求明細テーブルに登録されるML処理要求明細IDとを目的変数データ抽出部133aに出力する(ステップS72-3)。これにより目的変数予測処理が起動される。
【0092】
目的変数制御部133は、ステップS72の起動処理に応じて、目的変数予測処理を実行する(ステップS73)。ステップS73では、目的変数制御部133は、今回の目的変数予測処理が第2の予測モデルの新規生成、あるいは、第2の予測モデルの更新のいずれであるかを判定し、判定結果に応じて以下の処理を行ってよい。
【0093】
目的変数制御部133は、今回の目的変数予測処理が第2の予測モデルの更新である場合には、前回第2の予測モデルを生成した際に使用した、特定の期間分の実績データに変更があるか否かを判定する(ステップS73-1)。
【0094】
目的変数制御部133は、ステップS73-1において、特定の期間分の実績データに変更があると判定した場合には、前回第2の予測モデルを生成した際のグレンジャー因果検定結果(定常性検定結果)を適用するのではなく、再度グレンジャー因果検定から実施するようにする。すなわち、目的変数制御部133は、ステップS73-1において、特定の期間分の実績データに変更があると判定した場合には、第2の予測モデルの更新を第2の予測モデルの新規生成として取り扱う。具体的には、目的変数制御部133は、ステップS73-1において、特定の期間分の実績データに変更がないと判定した場合と同様に、グレンジャー因果検定用データ抽出する(ステップS73-2)。
【0095】
そして、目的変数制御部133は、グレンジャー因果検定を実行する(ステップS73-3)。具体的には、目的変数制御部133は、利用者の選択内容に応じた説明変数それぞれが目的変数の予測に寄与するか否かをグレンジャー因果検定により判定する。
【0096】
目的変数データ抽出部133aは、モデル用データ生成部132がステップS52-1で生成した目的変数予測モデルデータ(定義情報)に基づいて、第2の予測モデルの学習に用いる学習データを目的変数実績データDB25から抽出する(ステップS73-4)。例えば、目的変数データ抽出部133aは、目的変数予測モデルデータを満たす実績データであって、利用者により指定された期間に対応する実績データを目的変数実績データDB25から抽出する。そして、目的変数データ抽出部133aは、目的変数予測モデルデータに基づき実績データを加工することで、学習データを生成する。
【0097】
なお、目的変数制御部133は、ステップS73-1において、特定の期間分の実績データに変更がないと判定した場合には、ステップS73-2およびS73-3をスキップし、ステップS73-4へと処理を移行させてよい。
【0098】
学習部133bは、ステップS73-4で抽出された学習データに基づいて、第2の予測モデルを学習する学習処理を実行する(ステップS73-5)。例えば、学習部133bは、
図4の例のように複数の定義情報(説明変数予測モデルデータ)が生成されている場合には、定義情報ごとに第2の予測モデルを学習する。例えば、学習部133bは、4組の定義情報が存在する場合には、4つの第2の予測モデルを学習することになる。
【0099】
ここで、学習部133bは、今回の目的変数予測処理が第2の予測モデルの更新である場合には、確定している第2の予測モデル(前回生成された第2の予測モデル)、および、今回生成した第2の予測モデルそれぞれでテスト期間での予測を行い、双方の第2の予測モデルの間で予測結果の精度を比較する(ステップS73-6)。
【0100】
次に、予測部133cは、予測用データを抽出する(ステップS73-7)。例えば、予測部133cは、第2の予測モデルの学習が終了した終了日から予測期間分の未来の日付の配列(管理内容の配列)に対応するデータを予測用データとして抽出してよい。
【0101】
なお、学習部133bは、今回の目的変数予測処理が第2の予測モデルの更新でない場合(すなわち、今回の目的変数予測処理が第2の予測モデルの新規生成である場合)には、ステップS73-6をスキップし、ステップS73-7へと処理を移行させてよい。
【0102】
予測部133cは、第2の予測モデルに対して予測用データを与えることで、目的変数を予測し、予測結果示す予測値を登録する(ステップS73-8)。例えば、予測部133cは、今回の目的変数予測処理が第2の予測モデルの更新である場合には、ステップS73-6の比較結果に基づき、精度が良い方の第2の予測モデルを用いて予測を行う。また、予測部133cは、今回の目的変数予測処理が第2の予測モデルの新規生成である場合には、新規生成された第2の予測モデルを用いて予測を行う。また、サーバ装置100は、予測結果示す予測値を利用者の端末装置に送信してよい。
【0103】
〔6.まとめ〕
これまで、実施形態に係る情報処理の具体例を説明してきた。実施形態に係る情報処理によれば、利用者が求める最小単位で高精度な予測を行うことができる。実施形態に係る情報処理によれば、予測に係る運用負荷を抑制することができる。
【0104】
〔7.ハードウェア構成〕
次に、実施形態に係る情報処理装置(サーバ装置100)のハードウェア構成例について説明する。
図8は、実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図8を参照すると、情報処理装置は、例えば、プロセッサ801と、ROM802と、RAM803と、ホストバス804と、ブリッジ805と、外部バス806と、インターフェース807と、入力装置808と、出力装置809と、ストレージ810と、ドライブ811と、接続ポート812と、通信装置813と、を有する。なお、ここで示すハードウェア構成は一例であり、構成要素の一部が省略されてもよい。また、ここで示される構成要素以外の構成要素をさらに含んでもよい。
【0105】
(プロセッサ801)
プロセッサ801は、例えば、演算処理装置または制御装置として機能し、ROM802、RAM803、ストレージ810、またはリムーバブル記録媒体901に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般またはその一部を制御する。
【0106】
(ROM802、RAM803)
ROM802は、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータなどを格納する手段である。RAM803には、例えば、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータなどが一時的または永続的に格納される。
【0107】
(ホストバス804、ブリッジ805、外部バス806、インターフェース807)
プロセッサ801、ROM802、RAM803は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス804を介して相互に接続される。一方、ホストバス804は、例えば、ブリッジ805を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス806に接続される。また、外部バス806は、インターフェース807を介して種々の構成要素と接続される。
【0108】
(入力装置808)
入力装置808には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、およびレバーなどが用いられる。さらに、入力装置808としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。また、入力装置808には、マイクロフォンなどの音声入力装置が含まれる。
【0109】
(出力装置809)
出力装置809は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、または有機ELなどのディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホンなどのオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、またはファクシミリなど、取得した情報を利用者に対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置である。また、本実施形態に係る出力装置809は、触覚刺激を出力することが可能な種々の振動デバイスを含む。また、出力装置809は、AIスピーカやウェアラブルデバイスを含んでもよい。
【0110】
(ストレージ810)
ストレージ810は、各種のデータを格納するための装置である。ストレージ810としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどが用いられる。
【0111】
(ドライブ811)
ドライブ811は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体901に記録された情報を読み出し、またはリムーバブル記録媒体901に情報を書き込む装置である。
【0112】
(接続ポート812)
接続ポート812は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS-232Cポート、または光オーディオ端子などのような外部接続機器902を接続するためのポートである。
【0113】
(通信装置813)
通信装置813は、ネットワークに接続するための通信デバイスであり、例えば、有線または無線LAN、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または各種通信用のモデムなどである。
【0114】
(リムーバブル記録媒体901)
リムーバブル記録媒体901は、例えば、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディアなどである。もちろん、リムーバブル記録媒体901は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、または電子機器などであってもよい。
【0115】
(外部接続機器902)
外部接続機器902は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、またはICレコーダなどである。
【0116】
なお、実施形態に係る情報処理装置がサーバ装置100である場合、データウェアハウス120は、ROM802やRAM803、ストレージ810によって実現される。また、プロセッサ801によって実現される制御部130が、受付部131と、モデル用データ生成部132と、目的変数制御部133と、説明変数制御部134とを実現する各制御プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)を、ROM802やRAM803などから読み出し実行する。
【0117】
〔8.その他〕
上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0118】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0119】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0120】
100 サーバ装置
130 制御部
131 受付部
132 モデル用データ生成部
133 目的変数制御部
133a 目的変数データ抽出部
133b 学習部
133c 予測部
134 説明変数制御部
134a 説明変数データ抽出部
134b 学習部
134c 予測部