(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087622
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20240624BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202549
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】勝野 晃宏
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA05
4J004AA07
4J004AA10
4J004AA11
4J004AA14
4J004AB01
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC03
4J004DB02
4J004EA06
4J004FA08
4J040BA172
4J040BA202
4J040CA011
4J040DB022
4J040DM011
4J040JB09
4J040KA26
4J040KA31
4J040MA02
4J040MB03
4J040PA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水に濡れた表面に対する粘着力が向上した粘着テープを提供する。
【解決手段】粘着テープは、基材と、前記基材の一方の面に積層された、粘着剤組成物で形成された粘着剤層と、を備える。当該粘着テープは、特定の方法で測定される1秒後のプローブタック粘着力が0.9以上かつ50秒後のプローブタック粘着力が10.0N/5mmφ未満であり、さらに、特定の算出方法で定められるプローブタック粘着力の変化率が6.5以下である。前記粘着剤組成物は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤およびウレタン系粘着剤からなる群より選ばれる1種以上の粘着成分を含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一方の面に積層された、粘着剤組成物で形成された粘着剤層と、
を備え、
以下の方法で測定される1秒後のプローブタック粘着力が0.9以上かつ50秒後のプローブタック粘着力が10.0N/5mmφ未満であり、さらに、以下の算出方法で定められるプローブタック粘着力の変化率が6.5以下である、粘着テープ。
(プローブタック粘着力測定方法)
粘着テープの試料(粘着剤層面)を、ウェイトリングにたるみのないように貼り付け、ウェイトリングごと試料台に置く。毎秒10±0.01mmの速度でプローブ(SUS304、表面粗さ250~500nm(表面粗さは二乗平均平方根粗さ(Rq))、直径5mmφ)と該試料の粘着剤層面とを接触させ、0.98±0.01N/cm2の接触荷重で1.0、50.0(±0.1)秒間保持する。その後、毎秒10±0.01mmの速度でプローブを粘着剤層面から垂直方向に引き剥がす。引き剥がす際に要する最大荷重をプローブタックテスターで測定し、接触直後のプローブタック粘着力(N/5mmφ)の値とする。それぞれを1秒後のプローブタック粘着力、50秒後のプローブタック粘着力と定義する。
(プローブタック粘着力の変化率算出方法)
上記接触直後のプローブタック粘着力測定方法に準じ、1秒後のプローブタック粘着力、50秒後のプローブタック粘着力(N/5mmφ)を測定する。以下の式に従い、プローブタック粘着力の変化率を算出する。
プローブタック粘着力の変化率=(50秒後のプローブタック粘着力)/(1秒後のプローブタック粘着力)
【請求項2】
前記粘着剤組成物は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤およびウレタン系粘着剤からなる群より選ばれる1種以上の粘着成分を含む、請求項1に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より様々な用途に粘着テープが使用されている。粘着テープとして、天然ゴム系の粘着剤を用いた粘着テープ(特許文献1参照)や、アクリル系粘着剤を用いた粘着テープ(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004-516338号公報
【特許文献2】特表2017-514005号公報
【特許文献3】特開2018-090794号公報
【特許文献4】特開2019-019290号公報
【特許文献5】特許第6875378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の粘着テープは、水に濡れた表面(被着体)に対する粘着力が不十分であり、水に濡れた表面に対する粘着力がより高い粘着テープが求められている。
本発明は上述のような課題を鑑みたものであり、水に濡れた表面に対する粘着力が向上した粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、粘着テープである。当該粘着テープは、基材と、前記基材の一方の面に積層された、粘着剤組成物で形成された粘着剤層と、を備え、以下の方法で測定される1秒後のプローブタック粘着力が0.9以上かつ50秒後のプローブタック粘着力が10.0N/5mmφ未満であり、さらに、以下の算出方法で定められるプローブタック粘着力の変化率が6.5以下である。
(プローブタック粘着力測定方法)
粘着テープの試料(粘着剤層面)を、ウェイトリングにたるみのないように貼り付け、ウェイトリングごと試料台に置く。毎秒10±0.01mmの速度でプローブ(SUS304、表面粗さ250~500nm(表面粗さは二乗平均平方根粗さ(Rq))、直径5mmφ)と該試料の粘着剤層面とを接触させ、0.98±0.01N/cm2の接触荷重で1.0、50.0(±0.1)秒間保持する。その後、毎秒10±0.01mmの速度でプローブを粘着剤層面から垂直方向に引き剥がす。引き剥がす際に要する最大荷重をプローブタックテスターで測定し、接触直後のプローブタック粘着力(N/5mmφ)の値とする。それぞれを1秒後のプローブタック粘着力、50秒後のプローブタック粘着力と定義する。
(プローブタック粘着力の変化率算出方法)
上記接触直後のプローブタック粘着力測定方法に準じ、1秒後のプローブタック粘着力、50秒後のプローブタック粘着力(N/5mmφ)を測定する。以下の式に従い、プローブタック粘着力の変化率を算出する。
プローブタック粘着力の変化率=(50秒後のプローブタック粘着力)/(1秒後のプローブタック粘着力)
【0006】
上記態様の粘着テープにおいて、前記粘着剤組成物は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤およびウレタン系粘着剤からなる群より選ばれる1種以上の粘着成分を含んでもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水に濡れた表面に対する粘着力が向上した粘着剤組成物および粘着テープに関する技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下であることを表す。
【0009】
(粘着テープ)
実施形態に係る粘着テープは、基材と、当該基材の一方の面に積層された、粘着剤組成物で形成された粘着剤層とを備える。
【0010】
基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルムが挙げられる。基材の表面には、アルミニウムなどの金属が蒸着されていてもよい。基材の厚さは、基材強度およびテープ巻径の点から5~100μmが好ましく、10~50μmがより好ましい。
【0011】
粘着剤層は、後述する粘着剤組成物を用い、溶媒法、軟膏塗工法、エマルション法、ホットメルト法、カレンダー法、電子線硬化法など、従来公知の方法を用いて製造できる。
粘着剤層の厚さは、十分な粘着力を得る観点から、5~200μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。
【0012】
実施形態に係る粘着テープを構成する粘着剤層に用いられる粘着剤組成物は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤およびウレタン系粘着剤からなる群より選ばれる1種以上の粘着成分を含むことが好ましい。
【0013】
ゴム系粘着剤としては、例えば、合成ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、天然ゴムなどが挙げられる。
【0014】
シリコーン系粘着剤としては、水酸基含有ポリジメチルシロキサンを主成分とし、ポリメチルハイドロジェンシロキサンを配合して有機錫触媒存在下に反応させる縮合硬化型シリコーン樹脂、ビニル基含有ポリジメチルシロキサンを主成分とし、ポリメチルハイドロジェンシロキサンを配合して白金触媒の存在下で反応させる付加硬化型シリコーン樹脂、(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンに光重合開始剤を添加してラジカル重合により反応させるタイプのラジカル重合型シリコーン樹脂、光カチオン触媒を利用した紫外線硬化型シリコーン樹脂が挙げられる。
【0015】
アクリル系粘着剤としては、例えばブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの単独共重合体又はこれらモノマーの共重合体、さらには、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート等の、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能なその他モノマーとの共重合体を含有する粘着剤が挙げられる。
【0016】
粘着剤組成物は、他の成分として、粘着付与剤を含んでもよい。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂(C5系石油樹脂、C9系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂などが挙げられる。粘着付与剤の含有量に特に制限はないが、例えば粘着剤組成物の全質量を基準として、例えば10質量%以上80質量%以下、好ましくは10質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上55質量%以下などとすることができる。
また、粘着剤組成物は、他の成分として、軟化剤(可塑剤)を含んでもよい。
軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、等の石油系プロセスオイルやひまし油、大豆油などの植物油、及び植物油由来の脂肪酸エステルなどが挙げられる。また、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸と、例えば、炭素原子数8以上10以下程度のアルキル基を有するモノアルコールとの二塩基酸エステル系可塑剤;前記香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等のグリコールとの重縮合により得られるポリエステル系可塑剤;ポリエチレングリコール、クエン酸エステル等のその他の可塑剤なども使用することができる。これら2つ以上を併用することもできる。
【0017】
本実施形態に係る粘着テープは、以下の方法で測定される1秒後のプローブタック粘着力が0.9以上かつ50秒後のプローブタック粘着力が10.0N/5mmφ未満であり、さらに、以下の算出方法で定められるプローブタック粘着力の変化率が6.5以下である。なお、1秒後のプローブタック粘着力は、1.5以上、2.0以上、または2.5以上がより好ましい。
(プローブタック粘着力測定方法)
粘着テープの試料(粘着剤層面)を、ウェイトリングにたるみのないように貼り付け、ウェイトリングごと試料台に置く。毎秒10±0.01mmの速度でプローブ(SUS304、表面粗さ250~500nm(表面粗さは二乗平均平方根粗さ(Rq))、直径5mmφ)と該試料の粘着剤層面とを接触させ、0.98±0.01N/cm2の接触荷重で1.0、50.0(±0.1)秒間保持する。その後、毎秒10±0.01mmの速度でプローブを粘着剤層面から垂直方向に引き剥がす。引き剥がす際に要する最大荷重をプローブタックテスターで測定し、接触直後のプローブタック粘着力(N/5mmφ)の値とする。それぞれを1秒後のプローブタック粘着力、50秒後のプローブタック粘着力と定義する。
(プローブタック粘着力の変化率算出方法)
上記接触直後のプローブタック粘着力測定方法に準じ、1秒後のプローブタック粘着力、50秒後のプローブタック粘着力(N/5mmφ)を測定する。以下の式に従い、プローブタック粘着力の変化率を算出する。
プローブタック粘着力の変化率=(50秒後のプローブタック粘着力)/(1秒後のプローブタック粘着力)
【0018】
プローブタック粘着力に関する指標が上述の範囲であることにより、水に濡れた表面に対する粘着力を向上させることができる。なお、粘着剤層を構成する各成分およびその配合量や、粘着剤層を形成する際のセパレータの材料などを適切に選択することにより、プローブタック粘着力に関する指標を最適化することができる。
【0019】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0020】
本実施形態の粘着テープにおいて、基材および粘着剤層の各層に対し、目的を損なわない範囲で必要に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、特に限定はされないが、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、ラクトン系、リン系等の紫外線吸収剤や紫外線安定剤、ヒンダード系、セミヒンダード系、ホスファイト系、ホスホナイト系、チオエーテル系等の酸化防止剤、金属石鹸系、有機スズ系、鉛系等の加工安定剤、界面活性剤系、カチオン系、非イオン系等の帯電防止剤、合成シリカ系、シリカ系等のアンチブロッキング剤、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の滑剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カルシウム、マグネシウム炭酸塩、珪酸、珪酸塩、アルミニウム水和物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の充填剤、ベンジシンエロー、ハンザエロー、リソールレッド、アリザリンレーキ、ピグメントスカーレット3B、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF-5R、パーマネントレッド4R、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、レーキレッドC、パラレッド、ピーコックブルーレーキ、フタロシアニンブルー、アニリンブラック、パーマネントエローHR、PVバイオレットBL、キナクリドン、ペリノン、アンスラキノン、クロモフタールエロー6G、クロモフタールエロー3G、クロモフタールエローGR等の有機顔料、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、鉛白、カドミエロー、黄鉛、チタンエロー、ジンククロメート、黄土、クロムバーミリオン、赤口顔料、アンバー、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、カドミウムレッド、鉛丹、紺青、群青、コバルトブルー、酸化クロームグリーン、ミネラルバイオレット、カーボンブラック、鉄黒等の無機顔料を添加することができる。また、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離性付与剤を適宜添加することもできる。なお、基材および/または粘着剤層は、顔料等の着色剤が添加されていることが好ましい場合がある。
粘着剤層は、本発明の効果を阻害しない範囲で架橋剤を含んでいてもよい。当該架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、多価金属系架橋剤等の公知の架橋剤が挙げられる。
【実施例0021】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
(粘着テープの作製)
表1に示す配合に従って粘着剤組成物を得た。当該粘着剤組成物を単位面積あたりの塗工量が20g/m2になるように基材に塗布し、粘着剤層(厚さ20μm)を形成した。なお、粘着剤組成物は、粘着剤液から溶媒が除去された固形分である。さらに、粘着剤層の露出面にセパレータ(Si処理を施したPET、厚さ25μm)を積層し、基材、粘着剤層およびセパレータがこの順で積層された積層体を得た。当該積層体を裁断機で切断し、粘着テープ(幅20mm)を得た。なお、セパレータは、後述する各測定時において除去される。
【0023】
表1に示す各成分の詳細は以下のとおりである。
天然ゴム系粘着剤: 天然ゴム(分子量60万)80質量部、エラストマー(クレイトンポリマージャパン株式会社製、クレイトンD-1161JSP)20質量部、粘着付与樹脂(日本ゼオン株式会社製、クイントンA-100)55質量部、粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、YSポリスターT-115)15質量部
エラストマー:日本ゼオン株式会社製、クインタック3433N
粘着付与樹脂1:日本ゼオン株式会社製、クイントンR100
粘着付与樹脂2:荒川化学工業株式会社製、スーパーエステルA100
粘着付与樹脂3:ヤスハラケミカル株式会社製、YSレジンTO105
粘着付与樹脂4:ヤスハラケミカル株式会社製、YSレジンPX1000
軟化剤1:三共油化工業株式会社製、ナフテンオイルSNH-100
軟化剤2:カネダ株式会社製、ハイコールM-352
軟化剤3:クラレ株式会社製、LIR-30
軟化剤4:ENEOS株式会社製、ポリブテンHV-300
【0024】
【0025】
以下の各測定・算出項目をn=3にて評価し、平均値を得た。
【0026】
<通常粘着力測定>
JIS Z 0237:2009に準拠し、被着体(BA-SUS)に幅20mmの粘着テープを荷重2Kgf、10±0.5mm/sの速度で2往復という条件で圧着し、各被着体に対する粘着力を測定した。通常粘着力の測定を、圧着後の養生時間1分後に実施した。
【0027】
<水中貼付粘着力測定>
水中に沈めた被着体(BA-SUS)に水中で幅20mmの粘着テープを貼付した後、水から被着体および粘着テープを取り出し、荷重2Kgf、10±0.5mm/sの速度で2往復という条件で圧着を行った。
その後、JIS Z 0237:2009に準拠し、各被着体に対する粘着力を測定した。水中貼付粘着力の測定を、圧着後の養生時間1分後について実施した。
【0028】
<粘着力維持率算出>
下記式により粘着力維持率(%)を算出した。
粘着力維持率(%)=水中貼付粘着力/通常粘着力×100
【0029】
<プローブタック粘着力>
23±1℃の温度条件下、以下の手順にて粘着テープのプローブタック粘着力を測定した。粘着テープの試料(粘着剤層面)を、ウェイトリングにたるみのないように貼り付け、ウェイトリングごと試料台に置いた。
毎秒10±0.01mmの速度でプローブ(SUS304、表面粗さ250~500nm(表面粗さは二乗平均平方根粗さ(Rq))、直径5mmφ)と該試料の粘着剤層面とを接触させ、0.98±0.01N/cm2の接触荷重で1.0または50.0±0.1秒間保持した。
その後、毎秒10±0.01mmの速度でプローブを粘着剤層面から垂直方向に引き剥がした。
引き剥がす際に要する最大荷重をプローブタックテスターで測定し、プローブタック粘着力(N/5mmφ)の値とした。それぞれを、1秒後のプローブタック粘着力、50秒後のプローブタック粘着力と定義した。
(プローブタック粘着力の変化率算出方法)
上記接触直後のプローブタック粘着力測定方法に準じ、得られた1秒後のプローブタック粘着力、50秒後のプローブタック粘着力(N/5mmφ)に基づいて、以下の式に従い、プローブタック粘着力の変化率を算出する。
プローブタック粘着力の変化率=(50秒後のプローブタック粘着力)/(1秒後のプローブタック粘着力)
【0030】
<糊残り評価>
上述した通常粘着力測定の後、被着体に糊残りがあるかどうかを目視にて確認した。糊残りの評価結果を表1に示す。
【0031】
なお、上述の実施例2では、粘着剤組成物を得るための粘着剤液を調製するため、溶媒としてトルエン181質量部(固形分濃度:56.0質量%、溶液粘度:4400mPa・s、30℃)を用いた。
一方、溶媒をトルエン135質量部(固形分濃度:63.0質量%、溶液粘度:12000mPa・s、30℃)としたところ、通常粘着力4.91N/10mm、水中貼付粘着力3.31N/10mm、粘着力維持率67.5%となった。また、溶媒をトルエン537質量部(固形分濃度:30.0質量%、溶液粘度:120mPa・s、30℃)としたところ、通常粘着力3.95N/10mm、水中貼付粘着力2.45N/10mm、粘着力維持率62.0%となった。
このように、固形分濃度を調節することにより、溶液粘度を適度にし、塗工面が荒れることを抑制し、粘着力維持率を向上させることができる。
また、溶媒をヘキサン467質量部(固形分濃度:33.0質量%、溶液粘度:8400mPa・s、30℃)としたところ、通常粘着力4.31N/10mm、水中貼付粘着力3.81N/10mm、粘着力維持率88.3%となった。溶媒としてヘキサンを用いる場合には、溶液粘度を適度にしようとすると、固形分濃度を低下させる必要があり、粘着剤液を厚く塗布することが困難になる。また、塗工速度を低下させる必要があり、生産性が低下する。