(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087640
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】可変抵抗器、可変抵抗器の製造方法および回転角度センサ
(51)【国際特許分類】
H01C 10/30 20060101AFI20240624BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240624BHJP
G01D 5/165 20060101ALI20240624BHJP
H01C 10/14 20060101ALI20240624BHJP
H01C 17/00 20060101ALI20240624BHJP
H01C 17/065 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H01C10/30 A
B29C45/26
G01D5/165 A
H01C10/14 R
H01C17/00 300
H01C17/065 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202574
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】川名 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】周東 裕之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】本間 均
(72)【発明者】
【氏名】川名 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕伸
【テーマコード(参考)】
2F077
4F202
5E030
5E032
【Fターム(参考)】
2F077AA42
2F077AA46
2F077CC02
2F077EE02
2F077VV02
2F077VV33
4F202AF01
4F202AG05
4F202CA11
4F202CB01
4F202CD23
4F202CD28
4F202CD30
5E030AA14
5E030BA06
5E030CC02
5E030CC15
5E032BA06
5E032BB03
5E032CC18
(57)【要約】
【課題】金型に対する基板の離型性を損なうことなく、基板に対する抵抗パターンの密着性および抵抗パターンの耐久性を向上させることができる可変抵抗器、可変抵抗器の製造方法および回転角度センサを提供すること。
【解決手段】発明の一態様に係る可変抵抗器は、抵抗パターンが設けられる第1面を有する成形基板と、抵抗パターンに摺接する摺動子と、を備え、摺動子は所定の接触幅で抵抗パターンに接触する接触片を有し、成形基板の第1面は、複数の凸部を有し、接触片の接触幅は、複数の凸部の配置間隔よりも広いことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗パターンが設けられる第1面を有する成形基板と、
前記抵抗パターンに摺接する摺動子と、を備え、
前記摺動子は所定の接触幅で前記抵抗パターンに接触する接触片を有し、
前記成形基板の前記第1面は、複数の凸部を有し、
前記接触片の前記接触幅は、複数の前記凸部の配置間隔よりも広いことを特徴とする可変抵抗器。
【請求項2】
複数の前記凸部は、所定の方向に延在するリブ状に構成されたことを特徴とする請求項1記載の可変抵抗器。
【請求項3】
複数の前記凸部は、規則性を有する繰り返しパターンであることを特徴とする請求項1記載の可変抵抗器。
【請求項4】
前記摺動子に対向する部分に設けられた複数の前記凸部は、前記摺動子が前記成形基板に対して移動する移動方向に沿って延在するリブを複数有し、複数の前記リブは前記移動方向に交差する方向に並び、隣り合う前記リブの配置間隔が前記接触片の前記接触幅よりも狭いことを特徴とする請求項1記載の可変抵抗器。
【請求項5】
前記成形基板は、複数の前記凸部が形成された第1領域と、複数の前記凸部が形成されていない第2領域とを有することを特徴とする請求項1記載の可変抵抗器。
【請求項6】
前記第1領域を複数の前記凸部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzが2μm以上7μm以下であることを特徴とする請求項5記載の可変抵抗器。
【請求項7】
前記第1領域を複数の前記凸部と交差する方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線のスキューネスRskが正であることを特徴とする請求項5記載の可変抵抗器。
【請求項8】
前記第1領域を複数の前記凸部と交差する方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線要素の平均長さRsmが20μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項5記載の可変抵抗器。
【請求項9】
抵抗パターンが設けられる第1面を有する成形基板と、前記抵抗パターンに摺接する摺動子と、を備えた可変抵抗器の製造方法であって、
前記成形基板を成形するための金型に樹脂系材料を射出成形して前記成形基板を得る工程と、
前記成形基板の前記第1面に前記抵抗パターンを形成する工程と、
を備え、
前記金型における前記成形基板の前記第1面を形成するための金型第1面には、レーザ加工により複数の凹部が設けられ、
前記金型第1面は、隣り合う2つの前記凹部の間に、レーザ加工が行われていない非加工部を有することを特徴とする可変抵抗器の製造方法。
【請求項10】
前記金型第1面について複数の前記凹部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線の、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzは、前記粗さ曲線における前記非加工部の、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzより大きく、7μm以下であることを特徴とする請求項9記載の可変抵抗器の製造方法。
【請求項11】
前記金型第1面について複数の前記凹部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線のスキューネスRskが負であることを特徴とする請求項9記載の可変抵抗器の製造方法。
【請求項12】
前記金型第1面について複数の前記凹部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線における前記非加工部の、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzは2μm未満であることを特徴とする請求項9記載の可変抵抗器の製造方法。
【請求項13】
前記金型第1面について複数の前記凹部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線要素の平均長さRsmが20μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項9記載の可変抵抗器の製造方法。
【請求項14】
前記金型第1面に干渉縞が構成されることを特徴とする請求項9記載の可変抵抗器の製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載される可変抵抗器を回転角度検出機構の少なくとも一部として備える、回転角度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変抵抗器、可変抵抗器の製造方法および回転角度センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属部材と、金属部材上に形成される絶縁性樹脂層と、絶縁性樹脂層上に形成されるメッキ膜を含む回路配線と、回路配線上に実装される実装部品とを有する回路部品が開示される。この回路部品では、絶縁性樹脂層の表面に複数の非貫通孔を設けることによって、回路配線のメッキ膜の密着性を向上させている。
【0003】
特許文献2には、樹脂および樹脂に分散された無機粒子を含む基材と、基材の表面に形成された表面改質膜と、表面改質膜の表面に形成され、導電性の金属からなる導電性金属皮膜と、を有する金属被膜形成品が開示される。この金属被膜形成品では、表面改質膜によって導電性金属被膜の密着性を向上させている。
【0004】
特許文献3には、絶縁基材の表面に、配線部とパッド部とを有する電界回路が設けられた回路基板が開示される。この回路基板では、絶縁基材の表面に設けられた回路用凹部に導体が埋め込まれた構成によって、導体の密着性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/201154号公報
【特許文献2】特開2018-200975号公報
【特許文献3】国際公開第2011/052211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可変抵抗器においては、抵抗パターンに摺動子が摺動することによって抵抗値を変化させることから、基板に対する抵抗パターンの十分な密着性が要求される。この抵抗パターンの密着性を向上させるため基板における抵抗パターンの形成領域に凹凸などの粗面化を施すことが行われる。しかし、基板を成形する金型の表面を粗面化すると、成形後の基板を金型から取り出す際の離型性の低下や、抵抗パターンへの摺動子の接触による負荷の増加による耐久性の低下を招く。このため、基板の粗面化においては、抵抗パターンの密着性、金型に対する基板の離型性および抵抗パターンの耐久性といった複合的な要素を考慮する必要がある。
【0007】
本発明は、金型に対する基板の離型性を損なうことなく、基板に対する抵抗パターンの密着性および抵抗パターンの耐久性を向上させることができる可変抵抗器、可変抵抗器の製造方法および回転角度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の一態様に係る可変抵抗器は、抵抗パターンが設けられる第1面を有する成形基板と、抵抗パターンに摺接する摺動子と、を備え、摺動子は所定の接触幅で抵抗パターンに接触する接触片を有し、成形基板の第1面は、複数の凸部を有し、接触片の接触幅は、複数の凸部の配置間隔よりも広いことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、成形基板の第1面に設けられた複数の凸部によって、第1面に形成される抵抗パターンの密着性の向上を図りつつ、成形基板の金型に対する離型性の低下が抑制される。また、抵抗パターンに接する接触片の接触幅が、成形基板の第1面に設けられた複数の凸部の配置間隔よりも広いため、接触片が抵抗パターンに接した際の抵抗パターンへの負荷が抑制される。
【0010】
上記可変抵抗器において、複数の凸部は、所定の方向に延在するリブ状に構成されていることが好ましい。これにより、リブ状の凸部が延在する方向において接触片が抵抗パターンに与える負荷が効果的に抑制される。
【0011】
上記可変抵抗器において、複数の凸部は、規則性を有する繰り返しパターンであることが好ましい。このように、複数の凸部が規則性を有する繰り返しパターンになっていることで、抵抗パターンの密着性、成形基板の金型に対する離型性、および接触片が抵抗パターンに与える負荷のそれぞれを設定しやすくなる。
【0012】
上記可変抵抗器において、摺動子に対向する部分に設けられた複数の凸部は、摺動子が成形基板に対して移動する移動方向に沿って延在するリブを複数有し、複数のリブは移動方向に交差する方向に並び、隣り合うリブの配置間隔が接触片の接触幅よりも狭いことが好ましい。これにより、接触片が抵抗パターンに接した際の抵抗パターンに与える負荷を抑制しやすくなる。
【0013】
上記可変抵抗器において、成形基板は、複数の凸部が形成された第1領域と、複数の凸部が形成されていない第2領域とを有することが好ましい。これにより、抵抗パターンを形成する領域(第1領域)に複数の凸部を形成して抵抗パターンの密着性を向上させつつ、不要な領域(第2領域)には複数の凸部を形成しないことで成形基板の金型に対する離型性の低下が抑制される。
【0014】
上記可変抵抗器において、第1領域を複数の凸部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzが2μm以上7μm以下であることが好ましい。複数の凸部が形成される第1領域において上記最大高さRzが2μm未満の場合には第1領域に形成する抵抗パターンの密着性が不十分となり、上記最大高さRzが7μmを越える場合には、成形基板の金型に対する離型性が不十分となる。
【0015】
上記可変抵抗器において、第1領域を複数の凸部と交差する方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線のスキューネスRskが正であることが好ましい。複数の凸部が形成される第1領域における上記スキューネスRskが正になっていることで、抵抗パターンの密着性の向上、成形基板の金型に対する離型性低下の抑制、および接触片が抵抗パターンに与える負荷の低減が達成される。
【0016】
上記可変抵抗器において、第1領域を複数の凸部と交差する方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線要素の平均長さRsmが20μm以上40μm以下であることが好ましい。複数の凸部が形成される第1領域において上記粗さ曲線要素の平均長さRsmが20μm未満の場合には第1領域に形成する抵抗パターンの密着性が不十分となり、上記粗さ曲線要素の平均長さRsmが40μmを越える場合には成形基板の金型に対する離型性が不十分となる。
【0017】
発明の他の一態様は、抵抗パターンが設けられる第1面を有する成形基板と、抵抗パターンに摺接する摺動子と、を備えた可変抵抗器の製造方法であって、成形基板を成形するための金型に樹脂系材料を射出成形して成形基板を得る工程と、成形基板の第1面に抵抗パターンを形成する工程と、を備え、金型における成形基板の第1面を形成するための金型第1面には、レーザ加工により複数の凹部が設けられ、金型第1面は、隣り合う2つの凹部の間に、レーザ加工が行われていない非加工部を有することを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、金型第1面にレーザ加工によって複数の凹部が設けられ、隣り合う2つの凹部の間をレーザ加工が行われない非加工部とすることで、金型に樹脂系材料を射出成形して得た成形基板の第1面に金型第1面の複数の凹部が複数の凸部として転写される。この成形基板の第1面に形成された複数の凸部に抵抗パターンを形成することで、抵抗パターンの密着性の向上、成形基板の金型に対する離型性低下の抑制、および接触片が抵抗パターンに与える負荷の低減が達成される。
【0019】
上記可変抵抗器の製造方法において、金型第1面について複数の凹部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線の、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzは、粗さ曲線における非加工部の、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzより大きく、7μm以下であることが好ましい。金型第1面における上記最大高さRzが7μmを越える場合には成形基板の金型に対する離型性が不十分となる。
【0020】
上記可変抵抗器の製造方法において、金型第1面について複数の凹部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線のスキューネスRskが負であることが好ましい。複数の凹部が形成される金型第1面における上記スキューネスRskが負になっていることで、成形基板の第1面に形成される抵抗パターンの密着性の向上、成形基板の金型に対する離型性低下の抑制、および接触片が抵抗パターンに与える負荷の低減が達成される。
【0021】
上記可変抵抗器の製造方法において、金型第1面について複数の凹部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線における非加工部の、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzは2μm未満であることが好ましい。複数の凹部が形成されない金型第1面における非加工部の上記最大高さRzが2μm未満になっていることで、成形基板の第1面の複数の凸部が形成されない領域の上記最大高さRzが2μm未満となり、成形基板の金型に対する離型性低下が抑制される。
【0022】
上記可変抵抗器の製造方法において、金型第1面について複数の凹部を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線要素の平均長さRsmが20μm以上40μm以下であることが好ましい。複数の凹部が形成される金型第1面において上記粗さ曲線要素の平均長さRsmが20μm未満の場合には、成形基板の第1面に形成する抵抗パターンの密着性が不十分となり、上記粗さ曲線要素の平均長さRsmが40μmを越える場合には成形基板の金型に対する離型性が不十分となる。
【0023】
上記可変抵抗器の製造方法において、金型第1面に干渉縞が構成されることが好ましい。これにより、金型第1面には干渉縞が構成されるような規則性を有する複数の凹部が形成され、この金型第1面の形状が転写される成形基板の第1面にも規則性を有する複数の凸部が形成される。
【0024】
発明の他の一態様は、上記の可変抵抗器を回転角度検出機構の少なくとも一部として備える、回転角度センサである。このような回転角度センサでは、成形基板の第1面に形成される抵抗パターンの密着性の向上、成形基板の金型に対する離型性低下の抑制、および接触片が抵抗パターンに与える負荷の低減が達成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、金型に対する基板の離型性を損なうことなく、基板に対する抵抗パターンの密着性および抵抗パターンの耐久性を向上させることができる可変抵抗器、可変抵抗器の製造方法および回転角度センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係る回転角度センサを例示する斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る回転角度センサを例示する分解斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る可変抵抗器の一部を例示する分解斜視図である。
【
図4】凸部を形成する領域を例示する正面図である。
【
図6】凹部を形成する領域を説明する金型の模式断面図である。
【
図7】実施例に係る金型第1面の表面状態を例示する図である。
【
図8】実施例に係る金型第1面の測定断面曲線を示す図である。
【
図9】実施例に係る金型第1面の負荷曲線および確率密度関数を示す図である。
【
図10】比較例(その1)に係る金型第1面の表面状態を例示する図である。
【
図11】比較例(その1)に係る金型第1面の測定断面曲線を示す図である。
【
図12】比較例(その1)に係る金型第1面の負荷曲線および確率密度関数を示す図である。
【
図13】比較例(その2)に係る可変抵抗器の製造に用いられる金型の表面を例示する図である。
【
図14】比較例(その2)に係る可変抵抗器の製造に用いられる金型の表面の測定断面曲線を示す図である。
【
図15】比較例(その2)に係る可変抵抗器の製造に用いられる金型の表面の負荷曲線および確率密度関数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0028】
(回転角度センサおよび可変抵抗器)
図1は、本実施形態に係る回転角度センサを例示する斜視図である。
図2は、本実施形態に係る回転角度センサを例示する分解斜視図である。
本実施形態に係る回転角度センサ1は、軸体Sの回転角度に応じて抵抗値を変化させるセンサである。回転角度センサ1を用いることで、例えば、抵抗値に対応して変化する電圧に基づき軸体Sの回転角度を得ることができる。回転角度センサ1は、本実施形態に係る可変抵抗器2からなる回転角度検出機構と、回転体40と、ケース50とを備える。
【0029】
回転体40はケース50に対して回転可能に取り付けられており、軸体Sの回転とともに回転する。可変抵抗器2は、抵抗パターン20が設けられる第1面101を有する成形基板10と、抵抗パターン20に摺動する摺動子30と、を備える。成形基板10は、金型に樹脂系材料を射出成形して得られる。成形基板10を射出成形によって形成する際、金属製の端子11を組み込んで一体にするインサート成形が行われる。インサート成形によって、端子11と導通する接続部111が成形基板10の第1面101に露出するよう成形される。
【0030】
抵抗パターン20は成形基板10の第1面101に形成される。抵抗パターン20の材料としては、バインダ樹脂中にカーボンブラック等の導電体を分散したものが用いられる。抵抗パターン20は、例えばスクリーン印刷法によって成形基板10の第1面101に所定形状で塗布され、乾燥して溶剤を除去して焼成することによって形成される。抵抗パターン20は成形基板10の中心孔10hの周囲における第1面101に円弧状に形成される。抵抗パターン20の内側には集電パターン21が円環状に形成される。集電パターン21は例えば印刷法によって成形基板10の第1面101に形成される。
【0031】
摺動子30は、中心孔30hの周りに形成される第1集電部31と、第1集電部31よりも外周側に設けられる第2集電部32とを有する。摺動子30は回転体40の成形基板10側に取り付けられており、回転体40とともに回転する。摺動子30の回転により、第1集電部31が集電パターン21に摺接し、第2集電部32が抵抗パターン20と摺接する。
【0032】
摺動子30は、例えば打ち抜き加工およびプレス加工により、板状の金属部材すなわち所定の厚さの金属板から形成される。摺動子30は、例えばりん青銅、黄銅または銅等の弾性(ばね性)を呈する材質により形成される。摺動子30を形成する際、第2集電部32の一部を抵抗パターン20の側に突出させた部分(略V字型に折り曲げた部分)が形成される。この部分が抵抗パターン20と接する接触片35となる。接触片35は所定の接触幅で抵抗パターン20と接触する。
【0033】
このような摺動子30を取り付けた回転体40を成形基板10の中心孔10hに嵌め込み、ケース50を被せることで回転角度センサ1が構成される。ケース50と成形基板10との間では、摺動子30の第1集電部31が集電パターン21に摺動可能な程度に押圧され、第2集電部32が抵抗パターン20に摺動可能な程度に押圧される。
【0034】
図3は、本実施形態に係る可変抵抗器の一部を例示する分解斜視図である。
図3には、成形基板10と抵抗パターン20および集電パターン21とを分離した状態が示される。
成形基板10に組み込まれた端子11のうち、端子11aは接続部111の一つである接続部111aと導通し、端子11bは接続部111bと導通し、端子11cは接続部111cと導通する。集電パターン21は、成形基板10の第1面101に形成されることで接続部111aと接する。また、抵抗パターン20は、成形基板10の第1面101に形成されることで、抵抗パターン20の一端部20aが接続部111bと接し、他端部20bが接続部111cと接する。
【0035】
可変抵抗器2においては、回転体40の回転とともに摺動子30の第2集電部32に設けられた接触片35の抵抗パターン20に対する接触位置が変化する。これにより、集電パターン21と導通する端子11aと、一方の端子11bとの間の抵抗値、および端子11aと他方の端子11cとの間の抵抗値が、接触片35の抵抗パターン20との接触位置に応じて変化することになる。
【0036】
本実施形態に係る可変抵抗器2においては、成形基板10の第1面101に複数の凸部60が設けられている。複数の凸部60は少なくとも抵抗パターン20と対向する位置に設けられる。複数の凸部60は集電パターン21と対応する位置に設けられていてもよい。摺動子30の接触片35の接触幅は、この複数の凸部60の配置間隔よりも広く設けられる。なお、接触片35が複数設けられている場合には、複数の接触片35のそれぞれが抵抗パターン20と接する幅(摺動方向と直交する方向の幅)のうち最も狭いものを上記の接触幅とする。
【0037】
複数の凸部60は、成形基板10を金型によって射出成形する際、金型の第1面101に対応する金型第1面に設けられた複数の凹部が転写されたものである。成形基板10の製造に用いる金型については後述する。
【0038】
第1面101にこのような複数の凸部60が設けられていることで、第1面101に形成される抵抗パターン20の密着性の向上を図りつつ、成形基板10の金型に対する離型性の低下が抑制される。
【0039】
複数の凸部60は、所定の方向に延在するリブ状に構成されていることが好ましい。例えば、リブ状に延在する凸部60の延在方向は成形基板10の中心孔10hと同心円の円周方向である。この円周方向は、摺動子30が成形基板10に対して移動する移動方向でもある。この場合、複数の凸部60は、中心孔10hの外側に所定の間隔で同心円状に設けられる。これにより、リブ状の凸部60が延在する方向において接触片35が抵抗パターン20に与える負荷(接触片35が抵抗パターン20に摺接した際の抵抗パターン20の受けるダメージ)を効果的に抑制できる。
【0040】
複数の凸部60は、規則性を有する繰り返しパターンであることが好ましい。例えば、複数の凸部60が同心円状に設けられることで、複数の凸部60の並ぶ方向に複数の凸部60と、その間の非凸部(例えば、ほぼ平坦な部分)とが規則的に繰り返される。複数の凸部60が規則的な繰り返しパターンになっていることで、例えば、凸部60の幅、高さ、隣り合う凸部60の間隔などを制御することで、第1面101における抵抗パターン20の密着性、成形基板10の金型に対する離型性、および接触片35が抵抗パターン20に与える負荷のそれぞれを設定しやすくなる。
【0041】
図4は、凸部を形成する領域を例示する正面図である。
図4では、凸部60を形成する領域がハッチングによって示される。複数の凸部60が形成される領域は、成形基板10の第1面101における第1領域R1である。第1面101において複数の凸部60が形成されていない領域は第2領域R2である。複数の凸部60が形成される第1領域R1に抵抗パターン20が形成される。これにより、抵抗パターン20の密着性を向上させることができる。また、第1面101において抵抗パターン20を形成しない領域(抵抗パターン20が不要な領域)を第2領域R2として、第2領域R2には複数の凸部60を形成しないようにすることで、成形基板10の金型に対する離型性の低下が抑制される。
【0042】
図5は、金型を例示する斜視図である。
金型100にはキャビティ110が設けられており、このキャビティ110に樹脂系材料を射出することで成形基板10が構成される。キャビティ110には成形基板10の第1面101に対応した金型第1面1101が設けられる。金型第1面1101には複数の凸部60を形成するために複数の凹部70が設けられる。複数の凹部70は、
図5のハッチングで示す領域に設けられる。
【0043】
複数の凹部70は、金型第1面1101にレーザ加工によって設けられる。複数の凹部70は、成形基板10の第1面101に形成される複数の凸部60の反転形状にする必要がある。このため、複数の凹部70は、プログラムによって高精度に加工条件を制御できるレーザ加工により金型第1面1101に形成される。金型第1面1101には、レーザ加工が行われる加工部である複数の凹部70と、隣り合う2つの凹部70の間であってレーザ加工が行われていない非加工部75とが設けられる。金型第1面1101に形成される複数の凹部70は、規則性を有する繰り返しパターンであることが好ましい。これにより、金型第1面1101には繰り返しパターンによる干渉縞が構成される。
【0044】
図6は、凹部を形成する領域を説明する金型の模式断面図である。
金型100のキャビティ110は、底面となる金型第1面1101と、側面となる金型第2面1102とを有する。金型第2面1102には成形品である成形基板10の取り出しを容易にするための抜き勾配が設けられる。金型第1面1101は成形基板10の第1面101を構成するための面であり、ここに複数の凹部70が形成される。キャビティ110に樹脂系材料を射出することで複数の凹部70が転写された複数の凸部60が成形基板10の第1面101に形成される。ここで、凹部70は、金型第1面1101の面内方向のいずれかに延在する「溝」であってもよい。
【0045】
キャビティ110のうち、複数の凹部70が形成される金型第1領域MR1は、金型第1面1101と金型第2面1102との境界Bよりも金型第1面1101側に設けられる。複数の凹部70が形成されない金型第2領域MR2は、金型第2面1102の全体を含む。金型第2領域MR2は、境界Bから僅かに金型第1面1101を含む位置まで設けられていてもよい。これは、レーザ加工の精度(位置精度や照射位置周辺への影響)を考慮して、金型第2面1102にレーザ加工の影響を及ぼさないようにするためである。
【0046】
ここで、金型100のキャビティ110を粗面化する方法としてブラスト処理が挙げられる。しかし、ブラスト処理では金型第1面1101のみならず金型第2面1102にも処理が施されるため、別途の工程で金型第2面1102の粗面化を解消する処理(切削や研磨など)や、予め金型第2面1102にマスキングを施しておき、金型第2面1102にブラスト処理が及ばないようにしておく必要がある。レーザ加工を用いることで照射位置を高精度に制御することができ、金型第1面1101のみに複数の凹部70を形成することができる。そのため、金型第2面1102に別途の処理を施す必要はない。
【0047】
(可変抵抗器の製造方法)
本実施形態に係る可変抵抗器2の製造方法は、このような金型100を用意した後、金型100に端子11をセットし、金型100のキャビティ110内に樹脂系材料を射出する。これにより、樹脂系材料に端子11を組み込んで一体としたインサート成形が行われ、成形基板10が構成される。成形基板10の第1面101には、金型第1面1101に設けた複数の凹部70の形状を反転させた複数の凸部60が形成される。
【0048】
次に、成形基板10の第1面101に抵抗パターン20および集電パターン21を形成する。抵抗パターン20は、例えばスクリーン印刷法によって形成される。また、集電パターン21は、例えば印刷法によって形成される。
【0049】
成形基板10の第1面101には複数の凸部60が形成されているため、この上に抵抗パターン20を形成すること、抵抗パターン20の密着性の向上を図ることができる。また、金型第1面1101の複数の凹部70の規則性や方向性、さらに金型第1面1101の複数の凸部60が形成されていない第2領域R2によって、金型第1面1101に複数の凹部70が形成されている第1領域R1があったとしても、それによる成形基板10の金型100に対する離型性の低下を抑制することができる。
【0050】
(金型第1面の加工条件の例)
次に、金型第1面の加工条件の例について説明する。
本願発明者らは、金型第1面に対する加工条件と金型に対する成形基板の離型性(以下、単に「離型性」ともいう。)、抵抗パターンの耐久性、および表面粗さの関係について調べた。なお、以下に示す表面粗さについては金型の金型第1面の数値であるが、この金型を用いて射出成形した成形基板の第1面の表面粗さについても同様の結果となる。
【0051】
以下、加工条件について示す。
加工条件(1)…ブラスト処理
加工条件(2)…未処理(金型第1面を切削したままの面)
加工条件(3)…同心円状の複数の凹部、ピッチ0.03mm、Rz6μm、レーザ2回照射
加工条件(4)…同心円状の複数の凹部、ピッチ0.03mm、Rz6μm、レーザ1回照射
加工条件(5)…同心円状の複数の凹部、ピッチ0.025mm、Rz6μm、レーザ2回照射
加工条件(6)…同心円状の複数の凹部、ピッチ0.04mm、Rz4μm、レーザ2回照射
加工条件(7)…レーザ照射位置のオーバラップ有り、Rz7μm
加工条件(8)…レーザ照射位置のオーバラップ有り、Rz8μm
加工条件(9)…レーザ照射位置のオーバラップ有り、Rz10μm
ここで、Rzは狙いの表面粗さRzのことであり、「レーザ2回照射」は、設定したエネルギーよりも低いエネルギーでレーザ照射を2回行うことであり、「レーザ1回照射」は、設定したエネルギーでレーザ照射を1回行うことである。また、「レーザ照射位置のオーバラップ有り」は、隣り合うレーザ照射位置の互いの一部を重ねて照射することである。
【0052】
表1には、各加工条件で金型第1面を加工した際の成形基板の金型に対する離型性、抵抗パターンの密着性(ピーリング性能)、および表面粗さの数値が示される。表1の番号は上記加工条件の番号を示す。離型性および耐久性を示す「◎」は最良、「○」は良好(加工条件(1)での特性と同程度)、「△」は安定しない、「×」は不良、「-」は検証不能を意味する。
【0053】
【0054】
表2は、表面粗さの計測条件を示す。表面粗さは、光学式計測装置(キーエンス社製「VK-X250」)により測定した。
【0055】
【0056】
表1に示すように、各加工条件で金型第1面を加工した際の表面粗さの種類は、Ra、Rz、RSm、Rsk、Rkuである。
Raは、JIS B0601:2013に規定される算術平均粗さである。
Rzは、JIS B0601:2013に規定される最大高さである。
RSmは、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線要素の平均長さである。
Rskは、JIS B0601:2013に規定されるスキューネスである。
Rkuは、JIS B0601:2013に規定されるクルトシスである。
【0057】
加工条件(2)における金型では、離型性については良好であるが、成形基板の第1面に抵抗パターンをスクリーン印刷することはできず、不良となる。
加工条件(3)における金型では、離型性について最良であり、成形基板の第1面に形成した抵抗パターンの密着性も最良である。
加工条件(4)における金型では、成形基板の第1面に形成した抵抗パターンの密着性は良好であるが、離型性については不安定である。
加工条件(5)における金型では、成形基板の第1面に形成した抵抗パターンの密着性は良好であるが、離型性については不安定である。なお、加工条件(5)における離型性は、加工条件(4)における離型性に比べて良好である。
加工条件(6)における金型では、離型性については良好であるが、成形基板の第1面に形成した抵抗パターンの密着性は不安定である。
加工条件(7)における金型では、成形基板の第1面に形成した抵抗パターンの密着性は良好であるが、離型性については不安定である。
加工条件(8)における金型では、離型性不良のためサンプルを得ることができなかった。
加工条件(9)における金型では、離型性不良のためサンプルを得ることができなかった。
【0058】
以上の結果より、金型第1面1101において、複数の凹部70を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線の、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzは、粗さ曲線における非加工部75の、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzより大きく、7μm以下であることが好ましいことが分かる。また、最大高さRzは6μm以下であることがさらに好ましいことが分かる。また、金型第1面1101において、非加工部75の最大高さRzは2μm未満であることが好ましいことが分かる。
【0059】
また、金型第1面1101において、複数の凹部70を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線のスキューネスRskが負であることが好ましいことが分かる。
【0060】
また、金型第1面1101において、複数の凹部70を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線要素の平均長さRsmが20μm以上40μm以下であることが好ましいことが分かる。
【0061】
また、この金型100を用いて成形される成形基板10では、金型第1面1101の表面粗さが転写されることから、成形基板10を備える可変抵抗器2については、以下のことが導かれる。
【0062】
すなわち、可変抵抗器2において、複数の凸部60を横切る方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される最大高さRzが2μm以上7μm以下であることが好ましい。また、最大高さRzは6μm以下であることがより好ましい。
【0063】
また、可変抵抗器2において、複数の凸部60と交差する方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線のスキューネスRskが正であることが好ましい。
【0064】
また、可変抵抗器2において、複数の凸部60と交差する方向に粗さ測定して得られた粗さ曲線について、JIS B0601:2013に規定される粗さ曲線要素の平均長さRsmが20μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0065】
(実施例)
以下の実施例では、上記加工条件(3)によるレーザ加工された金型第1面の測定結果を示す。
図7は、実施例に係る金型第1面の表面状態を例示する図である。
図8は、実施例に係る金型第1面の測定断面曲線を示す図である。
図8に示す測定断面曲線の測定方法は、非接触式(光学式)である。
図9は、実施例に係る金型第1面の負荷曲線および確率密度関数を示す図である。負荷曲線および確率密度関数の算出における詳細条件は表3の通りである。
【0066】
【0067】
(比較例)
以下の比較例(その1)では、上記加工条件(1)によるブラスト処理された金型第1面の測定結果を示す。
図10は、比較例(その1)に係る金型第1面の表面状態を例示する図である。
図11は、比較例(その1)に係る金型第1面の測定断面曲線を示す図である。
図11に示す測定断面曲線の測定方法は、非接触式(光学式)である。
図12は、比較例(その1)に係る金型第1面の負荷曲線および確率密度関数を示す図である。負荷曲線および確率密度関数の算出における詳細条件は表3の通りである。
【0068】
以下の比較例(その2)では、上記加工条件(9)によるレーザ加工された金型第1面の測定結果を示す。
図13は、比較例(その2)に係る可変抵抗器の製造に用いられる金型の表面を例示する図である。
図14は、比較例(その2)に係る可変抵抗器の製造に用いられる金型の表面の測定断面曲線を示す図である。
図14に示す測定断面曲線の測定方法は、非接触式(光学式)である。
図15は、比較例(その2)に係る可変抵抗器の製造に用いられる金型の表面の負荷曲線および確率密度関数を示す図である。負荷曲線および確率密度関数の算出における詳細条件は表3の通りである。
【0069】
図16は、他の実施形態を例示する図である。
図16には、他の実施形態に係る可変抵抗器2の製造に用いられる金型100の金型第1面1101の表面が例示される。
図16に示す他の実施形態では、複数の凹部70が所定のピッチで形成されるとともに、異なる2方向に延在する凹部70同士が交差するように設けられる。複数の凹部70の交差の角度は直交でもよいし、直交以外でもよい。複数の凹部70は、規則性を有する繰り返しパターンであることが好ましい。このような複数の凹部70が形成された金型第1面によって可変抵抗器2の成形基板10の第1面101には、複数の凸部60が所定のピッチで形成され、異なる2方向に延在する凸部60同士が交差するように設けられる。
【0070】
このように、複数の凸部60が規則性を有する繰り返しパターンになっていることで、抵抗パターン20の密着性、成形基板10の金型100に対する離型性、および接触片35が抵抗パターン20に与える負荷のそれぞれを設定しやすくなる。
【0071】
このように、本実施形態によれば、金型100に対する成形基板10の離型性を損なうことなく、成形基板10に対する抵抗パターン20の密着性および抵抗パターン20の耐久性を向上させることができる可変抵抗器2、可変抵抗器2の製造方法および回転角度センサ1を提供することが可能となる。
【0072】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、成形基板10の第1面101に設ける複数の凸部60は同心円状や格子状に限定されない。また、成形基板10の第1面101に直接レーザ加工を施して複数の凸部60を形成するようにしてもよい。前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の構成例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。例えば、回転角度センサ1は、磁気式など、可変抵抗器2以外の回転角度検出機構をさらに有していてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…回転角度センサ
2…可変抵抗器
10…成形基板
10h…中心孔
11,11a,11b,11c…端子
20…抵抗パターン
20a…一端部
20b…他端部
21…集電パターン
30…摺動子
30h…中心孔
31…第1集電部
32…第2集電部
35…接触片
40…回転体
50…ケース
60…凸部
70…凹部
75…非加工部
100…金型
101…第1面
110…キャビティ
111,111a,111b,111c…接続部
1101…金型第1面
1102…金型第2面
B…境界
MR1…金型第1領域
MR2…金型第2領域
R1…第1領域
R2…第2領域
S…軸体