(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087679
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】生産計画立案装置、生産計画立案方法、および生産計画立案プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240624BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202614
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 崇志
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】精度の高い生産計画を立案する生産計画立案装置、生産計画立案方法、および生産計画立案プログラムを提供する。
【解決手段】本実施形態の生産計画立案装置は、出荷予定採用基準を格納する納入先別製品出荷予定数管理マスタと、製造発注点および安全在庫数を格納する製造予定マスタと、製品毎の月別在庫数を格納する月別在庫データと、製品毎の入出庫予定数を格納する入出庫予定データと、製品毎の製造予定数を格納する生産計画データと、にアクセス可能であり、制御部は、出荷予定採用基準に基づき、納入先および製品毎の出荷予定数を取得する出荷予定数取得部と、出荷予定数と、月別在庫数と、製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出し、前記生産計画データとして格納する生産計画数算出部と、備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える生産計画立案装置であって、
納入先および製品毎の出荷予定採用基準を格納する納入先別製品出荷予定数管理マスタと、
製品毎に製造発注点および安全在庫数を格納する製造予定マスタと、
製品毎の月別在庫数を格納する月別在庫データと、
製品毎の入出庫予定数を格納する入出庫予定データと、
製品毎の製造予定数を格納する生産計画データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記納入先別製品出荷予定数管理マスタに格納される出荷予定採用基準に基づき、納入先および製品毎の出荷予定数を取得する出荷予定数取得部と、
前記出荷予定数取得部が取得した出荷予定数と、前記月別在庫データに格納される月別在庫数と、前記製造予定マスタに格納される製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出し、前記生産計画データとして格納する生産計画数算出部と、
を備えることを特徴とする生産計画立案装置。
【請求項2】
前記月別在庫数と、前記出荷予定数と、前記製造予定数とに基づき、製品毎の入出庫予定を作成する入出庫予定データ作成部、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の生産計画立案装置。
【請求項3】
納入先および製品毎の出荷実績を格納する出荷実績データ、
にアクセス可能であり、
前記出荷予定数取得部は、出荷予定採用基準として、前記納入先および製品毎の出荷実績データ、または前記納入先別製品出荷予定数管理マスタに格納される納入先および製品毎の販売計画を選択し、
前記生産計画数算出部は、前記納入先および製品毎の出荷実績データ、または前記納入先および製品毎の販売計画に基づき製品毎の製造予定数を算出する、請求項1に記載の生産計画立案装置。
【請求項4】
制御部を備える生産計画立案装置で実行される生産計画立案方法であって、
納入先および製品毎の出荷予定採用基準を格納する納入先別製品出荷予定数管理マスタと、
製品毎に製造発注点および安全在庫数を格納する製造予定マスタと、
製品毎の月別在庫数を格納する月別在庫データと、
製品毎の入出庫予定数を格納する入出庫予定データと、
製品毎の製造予定数を格納する生産計画データと、
にアクセス可能であり、
前記納入先別製品出荷予定数管理マスタに格納される出荷予定採用基準に基づき、納入先および製品毎の出荷予定数を取得する出荷予定数取得ステップと、
前記出荷予定数取得ステップで取得した出荷予定数と、前記月別在庫データに格納される月別在庫数と、前記製造予定マスタに格納される製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出し、前記生産計画データとして格納する生産計画数算出ステップと、
を含むことを特徴とする生産計画立案方法。
【請求項5】
制御部を備える生産計画立案装置で実行される生産計画立案プログラムであって、
納入先および製品毎の出荷予定採用基準を格納する納入先別製品出荷予定数管理マスタと、
製品毎に製造発注点および安全在庫数を格納する製造予定マスタと、
製品毎の月別在庫数を格納する月別在庫データと、
製品毎の入出庫予定数を格納する入出庫予定データと、
製品毎の製造予定数を格納する生産計画データと、
にアクセス可能であり、
前記納入先別製品出荷予定数管理マスタに格納される出荷予定採用基準に基づき、納入先および製品毎の出荷予定数を取得する出荷予定数取得ステップと、
前記出荷予定数取得ステップで取得した出荷予定数と、前記月別在庫データに格納される月別在庫数と、前記製造予定マスタに格納される製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出し、前記生産計画データとして格納する生産計画数算出ステップと、
を実行することを特徴とする生産計画立案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産計画立案装置、生産計画立案方法、および生産計画立案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業における生産計画は、人員配置、設備利用スケジュール、原料手配等の予測の基になるデータであり、膨大なデータをもとに手作業で作成されている。人的作業は、時間を要することに加え、人的ミスが発生するおそれがある。また、製品の納入先や、商品によっては、出荷タイミングや数量がばらけているものや、毎年決まったタイミングで決まった数量を出荷するものが混在しており、生産計画の確度の向上は困難な場合がある。
【0003】
生産計画の精度が低い場合、原料の過発注による余分なコストの発生や、原料不足による製品の販売機会の喪失などの問題が発生することもある。係る問題を解消するためには、生産計画を修正することが必要になるが、生産計画の修正は、人的配置や設備利用スケジュールの見直しや、それに伴う他案件や他品目の製造スケジュール調整等による労務費用の発生も生じることがある。そのため、最適化された生産計画データの自動作成が望まれている。
【0004】
特許文献1には、製品別に、出荷要求数データと在庫数データから生産台数データを求め、これらのデータをまとめて生産・出荷・在庫バランスデータを作成して出力する生産・出荷・在庫バランス手段と、新たな出荷要求データを集計して出荷要求数データを更新し、前記生産・出荷・在庫バランスデータに基づいて出荷計画を変更して、出力差異データを出力する出荷管理手段と、製品別に在庫数を記憶し更新する在庫管理手段と、更新された出荷要求数データに基づいて生産台数データを更新し、生産計画調整入力にしたがって、生産計画を更新し生産ラインの負荷調整を行って、生産ライン別の生産計画を含む生産計画データを出力する生産管理手段と、前記生産・出荷・在庫バランス手段、前記出荷管理手段、前記生産管理手段および前記在庫管理手段のそれぞれに対してアクセス可能で、前記生産・出荷・在庫バランス手段から前記生産・出荷・在庫バランスデータを出力する機能と前記生産管理手段に前記生産計画調整入力を行う機能を有するマンマシンインタフェース手段とを具備することを特徴とする生産計画システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置は、立案した生産計画を、新たな出荷要求データ等に基づき生産計画を調整し、生産計画の精度を向上できるものであるが、製品の年間生産計画等の立案を自動的、かつ精度よく行うものではない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、製品毎に過去の出荷実績や納入先別の販売計画等に基づく出荷予定数管理マスタを用意し、この出荷予定数管理マスタを参照して製品および納入先に合わせた出荷予定数を用いることにより、精度の高い生産計画を立案する生産計画立案装置、生産計画立案方法、および生産計画立案プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る生産計画立案装置は、制御部を備える生産計画立案装置であって、納入先および製品毎の出荷予定採用基準を格納する納入先別製品出荷予定数管理マスタと、製品毎に製造発注点および安全在庫数を格納する製造予定マスタと、製品毎の月別在庫数を格納する月別在庫データと、製品毎の入出庫予定数を格納する入出庫予定データと、製品毎の製造予定数を格納する生産計画データと、にアクセス可能であり、前記制御部は、前記納入先別製品出荷予定数管理マスタに格納される出荷予定採用基準に基づき、納入先および製品毎の出荷予定数を取得する出荷予定数取得部と、前記出荷予定数取得部が取得した出荷予定数と、前記月別在庫データに格納される月別在庫数と、前記製造予定マスタに格納される製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出し、前記生産計画データとして格納する生産計画数算出部と、備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る生産計画立案装置は、前記月別在庫数と、前記出荷予定数と、前記製造予定数とに基づき、製品毎の入出庫予定を作成する入出庫予定データ作成部、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る生産計画立案装置は、納入先および製品毎の出荷実績を格納する出荷実績データ、にアクセス可能であり、前記出荷予定数取得部は、出荷予定採用基準として、前記納入先および製品毎の出荷実績データ、または前記納入先別製品出荷予定数管理マスタに格納される納入先および製品毎の販売計画を選択し、前記生産計画数算出部は、前記納入先および製品毎の出荷実績データ、または前記納入先および製品毎の販売計画に基づき製品毎の製造予定数を算出する。
【0011】
また、本発明に係る生産計画立案方法は、制御部を備える生産計画立案装置で実行される生産計画立案方法であって、納入先および製品毎の出荷予定採用基準を格納する納入先別製品出荷予定数管理マスタと、製品毎に製造発注点および安全在庫数を格納する製造予定マスタと、製品毎の月別在庫数を格納する月別在庫データと、製品毎の入出庫予定数を格納する入出庫予定データと、製品毎の製造予定数を格納する生産計画データと、にアクセス可能であり、前記納入先別製品出荷予定数管理マスタに格納される出荷予定採用基準に基づき、納入先および製品毎の出荷予定数を取得する出荷予定数取得ステップと、前記出荷予定数取得ステップで取得した出荷予定数と、前記月別在庫データに格納される月別在庫数と、前記製造予定マスタに格納される製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出し、前記生産計画データとして格納する生産計画数算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る生産計画立案プログラムは、制御部を備える生産計画立案装置で実行される生産計画立案プログラムであって、納入先および製品毎の出荷予定採用基準を格納する納入先別製品出荷予定数管理マスタと、製品毎に製造発注点および安全在庫数を格納する製造予定マスタと、製品毎の月別在庫数を格納する月別在庫データと、製品毎の入出庫予定数を格納する入出庫予定データと、製品毎の製造予定数を格納する生産計画データと、にアクセス可能であり、前記納入先別製品出荷予定数管理マスタに格納される出荷予定採用基準に基づき、納入先および製品毎の出荷予定数を取得する出荷予定数取得ステップと、前記出荷予定数取得ステップで取得した出荷予定数と、前記月別在庫データに格納される月別在庫数と、前記製造予定マスタに格納される製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出し、前記生産計画データとして格納する生産計画数算出ステップと、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、出荷予定の基準を格納する出荷予定数管理マスタを設けることにより、より正確な生産計画データを自動作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る生産計画立案装置100の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aの一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、製造予定マスタ106bの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、出荷実績データ106cの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、月別在庫データ106dの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、生産計画データ106eの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、入出庫予定データ106fの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aから抽出した、出荷予定採用基準として販売計画数を採用する製品の出荷予定数データ106a’を示す図である。
【
図9】
図9は、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aで出荷予定基準として出荷実績データを採用する製品の出荷予定数データ106c’、106c’’を示す図である。
【
図10】
図10は、生産計画データ作成画面MA-1およびMA-2の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、出庫予定表106fの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る生産計画立案装置、生産計画立案方法、および生産計画立案プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
[1.構成]
本実施形態に係る生産計画立案装置の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る生産計画立案装置100の構成の一例を示す図である。
【0017】
生産計画立案装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、生産計画立案装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0018】
生産計画立案装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。生産計画立案装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0019】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、生産計画立案装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、生産計画立案装置100とサーバ装置200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ装置200に格納されてもよい。
【0020】
入出力インターフェース部108には、入力装置400および出力装置500が接続されている。出力装置500には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置400には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置500をモニタ500とし、入力装置400をキーボード400またはマウス400として記載する場合がある。
【0021】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0022】
記憶部106は、例えば、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aと、製造予定マスタ106bと、出荷実績データ106cと、月別在庫データ106dと、生産計画データ106eと、入出庫予定データ106fと、等が格納されている。
【0023】
納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aには、
図2に一例を示すように、納入先、製品、出荷予定採用基準が格納されている。納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aに格納される出荷予定採用基準は、納入先および製品毎に作成した販売計画、または出荷実績が選択でき、納入先および製品毎に決められた採用基準が格納されている。出荷予定採用基準として販売計画を採用する場合には、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106a内に納入先への製品の月毎の販売計画数が格納され、格納された販売計画数を出荷予定数として使用する。
【0024】
製造予定マスタ106bには、
図3に一例を示すように、製品毎の発注点および安全在庫が格納されている。発注点は、製造発注を行う在庫数であり、安全在庫は目標とする在庫数である。前月在庫数と出荷予定数とから当月在庫数を算出し、当月在庫数が発注点を下回る場合には、製品の生産計画を立てる。生産計画数は、在庫数が安全在庫以上となるように計画する。
【0025】
出荷実績データ106cには、
図4に一例を示すように、納入先、製品、年度および月ごとの出荷数が格納されている。出荷実績データ10cは、複数年にわたる納入先および製品毎の出荷数が格納されている。出荷実績データ106cは、出荷予定採用基準として参照される年度分の出荷実績データを格納する。
図2に示す納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aでは、納入先AY、製品AY2において、出荷予定採用基準として、実績データ(過去3年平均)が選択されているため、出荷実績データ106cは、少なくとも3年分の出荷実績を格納している。
【0026】
月別在庫データ106dには、
図5に一例を示すように、製品の年度、月毎の在庫数が格納されている。
【0027】
生産計画データ106eには、
図6に一例を示すように、製品コード、製品名、年度、月毎の製造予定数が格納されている。生産計画データ106eは、後述する生産計画数算出部102bにより算出された製造予定数を格納する。
【0028】
入出庫予定データ106fには、
図7に一例を示すように、各年度、月毎に製品の月初在庫数、出荷予定数、製造予定数が格納されている。
【0029】
制御部102は、生産計画立案装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0030】
制御部102は、機能概念的に、出荷予定数取得部102a、生産計画数算出部102b、在庫データ更新部102c、入出庫データ作成部102dなどを備える。
【0031】
出荷予定数取得部102aは、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aに格納される出荷予定採用基準に基づき出荷予定数を取得する。例えば、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aでは、納入先AXにおける製品AXの出荷予定採用基準は、納入先および製品毎に決められた販売計画であり、この販売計画は予め、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aに格納されたものである。出荷予定数取得部102aは、納入先AXにおける製品AXの出荷予定数として、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aに格納されている販売計画数を取得する。また、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aでは、納入先AYの製品AY1の出荷予定祭用基準は、出荷実績データ(過去1年)であり、出荷予定数取得部102aは、納入先AYにおける製品AY1の出荷予定数として、納入先AYにおける製品AY1の出荷実績データ(過去1年)を、出荷実績データ106cから取得する。
【0032】
生産計画数算出部102bは、出荷予定数取得部102aが取得した出荷予定数と、月別在庫データ106dに格納される月別在庫数と、製造予定マスタ106bに格納される製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出し、生産計画データ106eとして格納する。例えば、製品AXの2022年4月から2023年3月までの生産計画データを算出する場合、出荷予定数取得部102aが取得した出荷予定数、月別在庫データ106dに格納される月別在庫数、製造予定マスタ106bに格納される製造発注点および安全在庫数を取得する。製品AXの4月度の出荷予定数(販売計画)は600、2022年3月度末の月別在庫数は1000、製造発注点および安全在庫数は、それぞれ500、900である。在庫数1000で600を出荷した場合、残りは400であり、発注点500を下回るため、安全在庫数900まで生産を行う。生産数は、900から400を引いた500となる。5月度の出荷予定数(販売計画)は600、2022年4月度末の月別在庫数は900となるから、在庫数900で600を出荷した場合、残りは300であり、発注点500を下回るため、安全在庫数900まで生産を行う。生産数は、900から300を引いた600となる。以下同様にして、出荷予定数、月別在庫数を算出する。1つの製品について、複数の納品先がある場合は、納品先ごとに出荷予定数を算出し、各月の製品の合計の出荷予定数により、生産数、月別在庫を算出する。
【0033】
在庫データ更新部102cは、生産計画数算出部102bが算出した製品毎の月別在庫数を取得し、月別在庫データ106dを更新する。
【0034】
入出庫データ作成部102dは、月別在庫数と、出荷予定数と、製造予定数とに基づき、製品毎の入出庫予定を作成し、入出庫予定データ106fとして格納する。
【0035】
[2.処理]
ここでは、生産計画立案装置100で実行される処理の具体例について、
図2~12を参照して説明する。
【0036】
図10は、生産計画データ作成画面MA-1およびMA-2の一例を示す図である。生産計画立案装置100により生産計画を作成する場合、生産計画データ作成画面MA-1において生産計画データを作成する期間を入力し、計算ボタンを押下する。
図10では、2022年4月から2023年3月を指定しているが、会計年月の開始日は4月に限定されるものではなく、自由に期間を選択できる。
【0037】
期間を入力後、生産計画データ作成画面MA-1の計算ボタンを押下することにより、出荷予定数取得部102aは、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aに格納される出荷予定採用基準に基づき出荷予定数を取得する。納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aでは、納入先AXにおける製品AXおよび納入先BZの製品BZの出荷予定採用基準は、納入先および製品毎に決められた販売計画であるから、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aに格納される販売計画を出荷予定数として取得する。
図8に示す出荷予定数データ106a’は、納入先別製品出荷予定数管理マスタ106aから抽出した販売計画数である。また、納入先AYにおける製品AY1および製品AY2の出荷予定採用基準は、実績データ(過去1年)または実績データ(過去3年平均)であるから、出荷実績データ106cから、納入先AYにおける製品AY1および製品AY2の出荷実績を出荷予定数として取得する。
図9に示す出荷予定数データ106c’、106c’’は、出荷実績データ106cから抽出した納入先AYにおける製品AY1および製品AY2の出荷実績データ(過去1年)および出荷実績データ(過去3年)である。出荷予定数データ106c’’は、過去3年分であるため、各月毎に平均したものを出荷予定数として使用する。
【0038】
出荷予定数取得部102aが各製品の出荷予定数を取得後、生産計画数算出部102bは、出荷予定数と、月別在庫データ106dに格納される月別在庫数と、製造予定マスタ106bに格納される製造発注点および安全在庫数に基づき、製品毎の製造予定数を算出する。また、在庫データ更新部102cは、生産計画数算出部102bが製造予定数を算出する際に、製造予定数と共に算出される月別在庫数を取得し、月別在庫データ106dを更新する。生産計画数算出部102bが算出した製造予定数は、生産計画データ作成画面MA-1に一覧として表示される。製造予定数が表示された生産計画データ作成画面MA-1の各製品の明細行を選択すると、単一製品の生産計画データ画面MA-2が表示される。生産計画データ画面MA-2では、製造予定数の修正が可能であり、イレギュラーな製造予定が予測される場合にも対応が可能となる。
【0039】
生産計画データ画面MA-2による製造予定数の修正等を行った後、生産計画データ作成画面MA-1のデータ作成ボタンを押下すると、入出庫予定データ作成部102dは、
図7に示す入出庫予定データ106fを作成する。また、入出庫予定データ106fが作成されると、入出庫予定データ106fをもとに、
図11に示す入出庫予定表106f’として表示が可能となる。入出庫予定表106f’は、指定した月毎の月初在庫数、出荷予定数、製造予定数を一覧で見ることができ、帳票形式で出力可能とすることで、経営の判断材料に用いることができる。
【0040】
以上、本実施の形態によれば、生産計画の自動作成により生産管理作業者の負担を軽減できる。また、精度の高い生産計画の作成により、原料の過剰発注を予防し、原料不足による発注回数増加や原料不足による販売機会の損失を防止することができる。さらに、精度の高い生産計画の作成により、生産計画の訂正に係る製造コストの上昇も抑制することができる。
【0041】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0044】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0045】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0046】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0047】
また、生産計画立案装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0048】
例えば、生産計画立案装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて間接費用管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0049】
また、このコンピュータプログラムは、生産計画立案装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0050】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0051】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0052】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0053】
また、生産計画立案装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、生産計画立案装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0054】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、特に、多くの製品を製造する製造業において有用である。
【符号の説明】
【0056】
100 生産計画支援装置
102 制御部
102a 出荷予定数取得部
102b 生産計画数算出部
102c 在庫データ更新部
102d 入出庫データ作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 納入先別製品出荷予定数管理マスタ
106a’、106c’、106c’’ 出荷予定数データ
106b 製造予定マスタ
106c 出荷実績データ
106d 月別在庫データ
106e 生産計画データ
106f 入出庫予定データ
108 入出力インターフェース部
200 サーバ
300 ネットワーク
400 入力装置
500 出力装置