(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087738
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】水素発生品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/16 20160101AFI20240624BHJP
A61M 15/02 20060101ALN20240624BHJP
A61M 16/10 20060101ALN20240624BHJP
A23G 4/06 20060101ALN20240624BHJP
【FI】
A23L33/16
A61M15/02 Z
A61M16/10 Z
A23G4/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022212915
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】522047022
【氏名又は名称】ヒドリド開発株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502179905
【氏名又は名称】玉井 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】玉井 誠一郎
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
【Fターム(参考)】
4B014GB13
4B014GL01
4B014GP01
4B018LB01
4B018LB10
4B018MD01
4B018MD03
4B018ME14
4B018MF14
(57)【要約】
【課題】従来の水素を利用した健康商品には、下記の課題があった。
水素水は一時的な効果しか期待できないこと、水素サプリメントは腸内での継続的な水素発生が推定されるが、この成分の長期間にわたる消化吸収による体内蓄積等の安全性リスクがあること、水素吸引は大掛かりな水素発生装置や鼻孔カニューラ等を必要とする課題があった。
【解決手段】本発明は、上記課題に鑑み、口腔内もしくは鼻腔内に留めおいて使用する水素発生品の発明であって、口腔内もしくは鼻腔内の水分と反応して継続的に水素を発生する手段を具備することを特徴とし、発生した水素を口腔内もしくは鼻腔内粘膜並びに肺から効率よく体内に摂取することができると共に、水素発生品を使用後に体外に取り出すことができるので、簡便、安全、継続的かつ効率良く水素を摂取することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内もしくは鼻腔内に留めおいて使用するものであって、前記口腔内もしくは鼻腔内の水分と反応して継続的に水素を発生する手段を具備することを特徴とする水素発生品。
【請求項2】
使用前には外気を遮蔽する手段を具備することを特徴とする請求項1記載の水素発生品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素発生品に関する。
【背景技術】
【0002】
水素が生体内に発生する活性酸素等の弊害を緩和もしくは防止することについての研究が進み、人および動物に対する数々の論文が公表されている。
水素ガスを含む水素水の飲用による各種疾病に対する論文や、胃腸内において水素を発生する水素発生剤による各種疾病に対する論文や、肺への水素吸引による各種疾病や緊急医療及び手術時の水素の効果も報告されている。
水素水として商品化されているものには、例えば伊藤園の水素水がある。特許文献1は、サンゴカルシウム粉末等を水素ガス含有雰囲気中の炉で焼成して得られたもので、これを食することにより腸管内で水素を発生する水素発生剤の例である。また、特許文献2は、水の電気分解によって得られた水素ガスを鼻孔カニューラにより直接体内に取り込む例である。非特許文献1は、水素による疾病等への応用を述べたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-245265
【特許文献2】特開2005-087257
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岡山医学会雑誌 第129号April2017.pp.9-15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水素水を飲用して体内に取り込む場合は、腸管等から水素水を吸収して血液に取り込まれると思われるが、水に溶ける水素量の上限が1.6ppmと少ない上に短時間に水素が抜けてしまうことが考えられ、持続的な効果が得られない課題がある。
また、特許文献1のような水素発生サプリメントの場合は、腸内で持続的な水素発生が期待できるので水素水と比べるとより多くの水素を腸管から吸収して血液に取り込めることが推測される。しかし、このような水素発生サプリメントの材料そのものも消化吸収され体内に蓄積され思わぬ健康被害が起こる可能性があり長期的な摂取リスクが予見される。
また、特許文献2にように、水素を鼻から吸入させ、肺から血液に送り込む場合は、腸管からの吸収に比べて吸入のあいだ持続的に効率よく体内に取り込める利点があるが、鼻孔カニューラや水素発生装置を必要とし、大掛かりになる欠点がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、水素の体内への摂取を簡便、安全、持続的、効率的に行うことができる水素発生品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は次の構成を備える。
本発明に係る水素発生品は、口腔内もしくは鼻腔内に留めおいて使用するものであって、前記口腔内もしくは鼻腔内の水分と反応して継続的に水素を発生する手段を具備することを特徴とする水素発生品である。
この水素を継続的に発生する水素発生手段(水素発生材料)としては、例えば、マグネシウム(Mg)や水素化マグネシウム(MgH2)等の水分と反応して水素を発生する水素発生物質もしくはこれらに加えて水素発生を促進する反応促進物質とから構成することを特徴とする。反応促進物質は、水素発生物質が水と反応する時に生じる表面阻害膜等を除去して反応を継続させる物質で、例えばクエン酸や酢酸等の有機酸等を用いる。
更に、使用前には外気を遮蔽する手段を具備することを特徴とする前記水素発生品であることを特徴とする。これにより使用時の水素発生能力の劣化を低減することができる。
本発明の水素発生品としては、例えば、マウスピースや鼻孔内挿入具やガム(チューイングガム)等がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水素発生品は、口腔内もしくは鼻腔内に留めおいて使用するものであって、当該口腔内又は鼻腔内の唾液や呼気等の水分と継続的に反応して水素を発生し、この水素含有液中の水素は口腔内又は鼻孔内の粘膜から吸収されることに加えて、発生する水素ガスは呼吸によって肺に運ばれ肺からも吸収されることによって効率よく体内に吸収摂取される。
【0009】
前記水素発生品は、口腔内又は鼻腔内に留めて使用されるので、水素発生サプリメントのように胃腸へ移動することはないために、水素発生成分等が消化吸収されるリスクが少なく使用後は体外に取り出されるので安全である。
【0010】
前記水素発生手段もしくは水素発生品は、試用前には外気(酸素や水分等)を遮蔽する手段によって水素発生能力が劣化しないようにされていて、使用時にこの遮蔽手段を取り除くか破壊することで水素発生を可能にしているため水素発生の性能劣化が防止される。
【0011】
水素発生品として、例えばこの水素発生手段を構成用要素に具備するマウスピースの場合は、就寝のあいだや装着中のあいだに簡便且つ持続的に水素を摂取することができる。
更に、マウスピースの所望の場所にこの水素発生手段を接着等して配置することやそのために所望の位置にくぼみや溝等を設けて使用すると歯周病や膿漏等のある場所への水素による集中的な効果が期待できる。
【0012】
前記水素発生品の鼻孔内挿入応用としては、例えばU字型形状をした両鼻孔内挿入具として、この両先端部に前記水素発生手段を粘着等すれば、鼻腔内で簡便且つ持続的に水素を摂取することができる。
以上のように、本発明によれば、水素の体内への摂取を簡便、安全、持続的、効率的に行うことができる効果がある。
【0013】
また、本発明の水素発生品もしくは水素発生手段を使用前に外気や水分から遮蔽するために、例えば真空パック素材等で包装しておけば使用時の水素発生性能の劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明をガムに適用した事例の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態を添付図面等に基づいて説明する。
本実施の形態における水素発生手段(水素発生材料)は、金属マグネシウム(Mg)もしくは水素化マグネシウム(MgH2)等の水と反応して水素を発生する物質(水素発生物質)を用いる。Mgの場合には水素発生を継続して促進するために、クエン酸等の有機酸や塩化ナトリウムや塩化カリウム等の物質(反応促進物質)を混合して用いる。この反応促進物質の混合比率は水素発生物質よりも同等以上の量を混合する場合がある。これによって、水素発生物質の表面にできる水素発生阻害膜を除去して反応が促進される。しかし、これによる唾液の長時間にわたる水素 イオン濃度(PH)が歯の衛生に影響を与えない量を上限とする。この水素発生手段(水素発生材料)は、口腔内の唾液に含まれる水分や鼻腔内粘膜や呼気に含まれる水分と反応して継続的に水素を発生し、水素を含有する唾液(水素含有唾液)や水素ガスを生成する。
【0016】
本発明におけるマウスピースでの使用時間すなわち継続的な水素発生時間は睡眠時間等を考量すると概ね6~8時間程度である。ガム(チューイングガム)に使用する場合は、30分~3時間程度である。この使用時間は、基本的に前記水素発生手段(水素発生材料)の量や水素発生物質と反応促進物質の混合比によって決まり、これを調整することにより可能になる。
疾病等に有意な水素量とされる溶存水素量50ppb以上の水素を400CCの水中に8時間程度継続的に発生させるためには、例えば、純度90%以上のMgH2粒子粉1mg以上又は純度99.9%以上のMg粒子粉1mg以上とその同量以上の反応促進物質を混ぜ合わせた水素発生材料によって可能である。
【0017】
図1は、本発明を水素発生ガムに適用した場合のガムの断面模式図である。ガムベース材料2として天然チクル、この中に水素発生物質3としてMg微粉末、反応促進物質4としてクエン酸が混合され、酸化防止成分を含む外気遮蔽材料1で包まれた例である。
ガムは、噛むことによって、外気遮断材1が破壊され、その後、効率よく唾液水分と水素発生材料とが交じり合い、使用中に口腔内において唾液含有水素や水素ガスを発生することができ、口腔内粘膜や肺から水素を体内に摂取できる。ガムは使用後に体外に廃棄する。
【0018】
水素を長時間例えば24時間以上継続的に発生させるためには、例えば、粒径100μmのMg粒子粉を水素発生物質として用いて、Mg粒子粉を亜硫酸カルシウム(又は炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウム)と前記亜硫酸カルシウム等の重量比が約70%になるようにして、水で希釈したエチルアルコールを添加し混ぜ合わせて乾燥させ、これを280度で焼結した粉を用いることでも可能である。
【0019】
本発明の水素発生品としてはマウスピースがある。このマウスピースは、例えば、前記水素発生材料を予め混入したEVA樹脂等を用い、使用前に湯に入れて自分の歯の型取りをして装着することや、前記水素発生材料が混入されてないマウスピースを自分の歯型で型取りした後でこの表面に前記水素発生材料を塗布粘着させることや、特に所望の場所に集中的に水素効果を得るためにマウスピースにくぼみや溝を作りそこに水素発生剤を塗布粘着させることもできる。
マウスピースは、唾液水分との水素発生反応や発生水素の口腔内並びに肺への効率的摂取を考慮して、マウスピースの強度が損なわれない限りマウスピースに複数の穴を設けたものでも良い。
水素発生材料のマウスピースへの塗布・接着・粘着には例えば市販の歯科技工用接着剤やシリコン粘着剤等を用いても良い。
プラスチック表面加工で使用される蒸着法やスパッタリング法や前記水素発生材料を含むシートを熱転写する方法等を用いてこれを量産化しても良い。
【0020】
前記水素発生材料は、水を含まないゲル状(ジェル状)のベース材料に混入して、外気から遮断したチューブに入れたものを、使用時に取り出して歯もしくは歯茎に接着して使用しても良い。
【0021】
睡眠時等に鼻腔内に挿入して使用する水素発生品については、例えば前記マウスピースと同じような素材で構成し、少なくともほぼU型形状をしたものの先端及びその近傍部に前記水素発生材料を塗布・粘着・混入もしくは水素発生剤を先端部に継ぎ足すように接着配置したもので構成する。これによって、鼻腔内水分や呼気水分によって水素を発生し、鼻腔内の粘膜や肺から水素を体内に摂取することができる。
【0022】
水素発生材料や水素発生品が使用前に、外気(空気や水分)に触れることによる性能劣化を防止するために、使用前には外気を遮蔽する手段として、例えば、薬剤カプセルに使用されている植物繊維のヒドロキプロピルメチルセルロース材料で覆うことやナイロンとポリエチレンで構成した真空パック材料等で水素発生品全体を包装すること等により可能である。
【実施例0023】
実施例1
水素発生物質としてMg微粉末2mgとカリウム150mg、ナトリウム30mg等とからなる水素発生材料をマウスピース表面に均一に塗布したマウスピースを、口腔内疑似環境として400CCの水道水にいれて溶存水素計にて水素発生を測定した。その結果10分後には、溶存水素量が180ppbに達し、それ以降最高値600ppbとなり、少なくとも5時間までは300ppb以上の溶存水素量が確認され、8時間後には150ppbに下がった。また、MgH2微粉末単体2mgについても同様の実験で8時間後の水素発生150ppb以上を確認した。これらは疾病等に効果のある水素量50ppb以上である。
【0024】
実施例2
水素発生ガムとして、ガムベースの天然チクルに水素発生物質としてMg微粉末と反応促進物質としてこの4倍重量のクエン酸とからなる水素発生材料10mgを混入し、口腔内疑似環境である400CCの水道水にいれて、噛む行為の疑似行為として物理的に押しつぶしながら、溶存水素計にて水素発生を測定した。その結果10分後には、溶存水素量が100ppbに達し、それ以降最高値450ppbとなり、少なくとも3時間までは250ppb以上の溶存水素量が確認された。また、MgH2微粉末単体10mgを使用した場合も3時間までの溶存水素量は250ppb以上を確認した。これらは疾病等に効果のある水素量50ppb以上である。
【0025】
外気や水蒸気の影響について、前記水素発生材料を4週間室温20度の外気に放置したものと、前記の外気や水遮蔽手段に保持したものの比較を行った結果、遮蔽手段のない方の水素発生は、約60%以下に低下した結果になった。
【0026】
以上の結果から、本発明は口腔内及び鼻孔内水素発生品として極めて有用であることが確認された。これらの水素発生品は、「リボーン水素(Reborn Hydride)」、マウスピースは、「リボーン水素マウスピース(Reborn Hydride Mouthpiece)」、鼻腔内水素発生具は、「リボーン水素ノーズ(Reborn Hydride Nose)」水素発生ガムは、「リボーン水素ガム(Reborn Gum)」と呼称する。
口腔内もしくは鼻腔内に留めおいて使用する継続的に水素を発生する手段を構成要素に持つ、例えば、マウスピース、鼻孔内挿入具、ガム、歯や歯茎に粘着させる水素発生パッチや水素発生粘着剤品等として利用可能である。
粘着剤品は、ペースト状もしくはジェル状であって、外気遮蔽機能を持つチューブに入れられ、使用時に取り出して、マウスピース表面、鼻孔内挿入具表面、歯や歯茎に粘着させる水素発生パッチ表面並びに直接に歯や歯茎に接着させて使用することができる。