(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087758
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ハイブリッドパワーシステムおよびその最適化方法
(51)【国際特許分類】
B60W 20/40 20160101AFI20240624BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20240624BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20240624BHJP
B60W 10/02 20060101ALI20240624BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20240624BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240624BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240624BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20240624BHJP
【FI】
B60W20/40
B60K6/48 ZHV
B60K6/40
B60W10/02 900
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60L50/16
B60L50/61
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023147247
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】111148792
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522466326
【氏名又は名称】亞福儲能股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APh ePower Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】蘇 修賢
(72)【発明者】
【氏名】呉 建勳
(72)【発明者】
【氏名】黄 上正
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB01
3D202BB11
3D202BB19
3D202BB37
3D202BB53
3D202BB64
3D202BB65
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3D202DD34
3D202EE23
3D202EE26
3D202FF13
3D202FF14
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BD17
5H125BE05
5H125CA01
5H125EE08
5H125EE09
5H125EE27
5H125EE31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】操作耐久性を改善することのできるハイブリッドパワーシステムを提供する。
【解決手段】ハイブリッドパワーシステム100は、制御コア110、駆動機構120、内燃機関130、電動モーター140、および蓄電池150を含む。駆動機構は、制御コアによって制御される。内燃機関は、駆動機構に接続され、制御コアによって制御される。電動モーターは、駆動機構に接続され、制御コアによって制御される。蓄電池は、電動モーターおよび制御コアに結合される。制御コアに要求トルクが入力されたとき、制御コアは、等価消費最小化戦略を実行し、内燃機関および/または電動モーターを起動して、駆動機構に動力を伝送する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御コアと、
前記制御コアによって制御される駆動機構と、
前記駆動機構に接続され、前記制御コアによって制御される内燃機関と、
前記駆動機構に接続され、前記制御コアによって制御される電動モーターと、
前記電動モーターおよび前記制御コアに結合された蓄電池と、
を含み、前記制御コアに要求トルクが入力されたとき、前記制御コアが、等価消費最小化戦略を実行し、前記内燃機関および/または前記電動モーターを起動して、前記駆動機構に動力を伝送するハイブリッドパワーシステム。
【請求項2】
前記駆動機構が、第1クラッチ、第2クラッチ、第1回転輪、第2回転輪、およびコンベヤーベルトを有し、
前記第1クラッチが、前記内燃機関の第1回転軸の周りに配置され、
前記第2クラッチが、前記電動モーターの第2回転軸の周りに配置され、
前記第1回転輪が、前記第1クラッチに接続され、
前記第2回転輪が、前記第2クラッチに接続され、
前記コンベヤーベルトが、前記第1回転輪および前記第2回転輪の周りに配置された請求項1に記載のハイブリッドパワーシステム。
【請求項3】
前記制御コアが前記内燃機関を起動したとき、前記制御コアが、前記第1クラッチをロックして、前記第2クラッチを解除し、前記内燃機関が、前記第1回転輪および前記コンベヤーベルトを介して前記第2回転軸に相対して回転するように前記第2回転輪を駆動する請求項2に記載のハイブリッドパワーシステム。
【請求項4】
前記制御コアが前記電動モーターを起動したとき、前記制御コアが、前記第2クラッチをロックして、前記第1クラッチを解除し、前記電動モーターが、前記第2回転輪および前記コンベヤーベルトを介して前記第1回転軸に相対して回転するように前記第1回転輪を駆動する請求項2に記載のハイブリッドパワーシステム。
【請求項5】
前記制御コアが前記内燃機関および前記電動モーターを起動したとき、前記制御コアが、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチをロックし、前記内燃機関が、前記第1回転軸を介して前記第1回転輪を駆動し、前記電動モーターが、前記第2回転軸を介して前記第2回転輪を駆動する請求項2に記載のハイブリッドパワーシステム。
【請求項6】
前記電動モーターを発電機モードに切り替えたとき、前記制御コアが、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチをロックし、前記内燃機関が、前記第1回転軸を介して前記第1回転輪および前記第2回転輪を駆動し、前記第2回転軸が、前記電動モーター内で回転して、前記蓄電池を充電する請求項2に記載のハイブリッドパワーシステム。
【請求項7】
第1トルクセンサーおよび第2トルクセンサーをさらに含み、
前記第1トルクセンサーが、前記駆動機構と前記内燃機関の間に接続されて、前記制御コアに結合され、
前記第2トルクセンサーが、前記駆動機構と前記電動モーターの間に接続されて、前記制御コアに結合された請求項1に記載のハイブリッドパワーシステム。
【請求項8】
ダイナモメーターおよび第3トルクセンサーをさらに含み、
前記ダイナモメーターが、前記第3回転軸を介して前記駆動機構に接続され、
前記第3トルクセンサーが、前記ダイナモメーターと前記駆動機構の間に接続された請求項1に記載のハイブリッドパワーシステム。
【請求項9】
エンコーダーをさらに含み、
前記エンコーダーが、前記第1回転軸の周りに配置され、前記内燃機関の回転速度を測定して、前記制御コアに信号をフィードバックするように構成された請求項2に記載のハイブリッドパワーシステム。
【請求項10】
制御コアと、
前記制御コアによって制御される駆動機構と、
前記駆動機構に接続され、前記制御コアによって制御される内燃機関と、
前記駆動機構に接続され、前記制御コアによって制御される電動モーターと、
前記電動モーターおよび前記制御コアに結合された蓄電池と、
を含むハイブリッドパワーシステムの最適化方法であって、
前記制御コアによって検出された要求トルクがゼロであるとき、前記ハイブリッドパワーシステムをスタンバイモードに切り替えることと、
前記要求トルクを前記制御コアに入力して、前記ハイブリッドパワーシステムを起動することと、
前記要求トルクがゼロより大きい任意の値であるかどうかを判断することと、
否定的な結果に対して、前記ハイブリッドパワーシステムを前記スタンバイモードに切り替えることと、
肯定的な結果に対して、前記ハイブリッドパワーシステムの前記制御コアにより、等価消費最小化戦略を実行することと、
前記制御コアにより、前記内燃機関および/または前記電動モーターを同時に起動して、前記駆動機構に動力を伝送することと、
前記ハイブリッドパワーシステムをオフに切り替えて、ゼロのバッテリー容量を表示することと、
前記ハイブリッドパワーシステムを前記スタンバイモードに切り替えることと、
を含むハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【請求項11】
前記等価消費最小化戦略が、4つのループ計算式を確立し、前記要求トルク、前記電動モーターの回転速度、および前記蓄電池の残存蓄電池容量に対してグローバル検索を行い、グローバルグリッド検索を使用して全条件の複数の最小等価消費を計算し、多次元テーブルを出力する請求項10に記載のハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【請求項12】
前記最小等価消費の関数が、J=min[me+f(SOC)*mm]+γとして定義された請求項11に記載のハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【請求項13】
前記多次元テーブルを介して、および特定の要求トルク、モーターの回転速度、および前記残存蓄電池容量のパラメータを入力することによって、前記最小等価消費の対応する値の配列を取得し、前記値の配列内で前記内燃機関の対応する出力トルクを見つける請求項12に記載のハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【請求項14】
前記駆動機構が、第1クラッチ、第2クラッチ、第1回転輪、第2回転輪、およびコンベヤベルトを有し、
前記第1クラッチが、前記内燃機関の第1回転軸の周りに配置され、
前記第2クラッチが、前記電動モーターの第2回転軸の周りに配置され、
前記第1回転輪が、前記第1クラッチに接続され、
前記第2回転輪が、前記第2クラッチに接続され、
前記コンベヤベルトが、前記第1回転輪および前記第2回転輪の周りに配置された請求項10に記載のハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【請求項15】
前記制御コアが前記内燃機関を起動したとき、前記制御コアが、前記第1クラッチをロックして、前記第2クラッチを解除し、前記内燃機関が、前記第1回転輪および前記コンベヤベルトを介して前記第2回転軸に相対して回転するように前記第2回転輪を駆動する請求項14に記載のハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【請求項16】
前記制御コアが前記電動モーターを起動したとき、前記制御コアが、前記第2クラッチをロックして、前記第1クラッチを解除し、前記電動モーターが、前記第2回転輪および前記コンベヤベルトを介して前記第1回転軸に相対して回転するように前記第1回転輪を駆動する請求項14に記載のハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【請求項17】
前記制御コアが前記内燃機関および前記電動モーターを起動したとき、前記制御コアが、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチをロックし、前記内燃機関が、前記第1回転軸を介して前記第1回転輪を駆動し、前記電動モーターが、前記第2回転軸を介して前記第2回転輪を駆動する請求項14に記載のハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【請求項18】
前記電動モーターを発電機モードに切り替えたとき、前記制御コアが、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチをロックし、前記内燃機関が、前記第1回転輪および前記第2回転輪を駆動して、前記蓄電池を充電するように前記電動モーターを駆動する請求項14に記載のハイブリッドパワーシステムの最適化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーシステムに関するものであり、特に、等価消費最小化戦略を採用するハイブリッドパワーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
過去数年間でハイブリッドパワー車両が急速に発展した。その主な利点は、二酸化炭素および排気汚染物質の排出量が減ることである。これは、例えば、蓄電池の充放電能力を改善する、電力貯蔵を増やす、モーターと内燃機関の間の切り替えを行う制御方法をスムーズに行うなどのハイブリッドパワーシステムにおけるエネルギーのより効率的な利用によって可能となる。
【0003】
従来のハイブリッドパワーシステムの最適化方法は、エネルギー効率を達成し、全体的なシステム動力(system power)を改善するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大部分の従来の最適化方法は、ルールベース制御(rule-based control, RBC)を採用しており、この最適化方法の特性は、実施が容易で、計算効率が高く、実験的検証が速いことである。つまり、低負荷、中負荷、高負荷などの3つの操作モードの起動条件を設定し、要求トルク値および速度値に応じて、ハイブリッドパワーシステムを適切な操作モードに自動的に切り替えることができる。しかしながら、従来のルールベース制御最適化方法は、過度に単純化された起動条件によって制限されるため、エネルギー効率最適化の目的を達成することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、等価消費最小化戦略(equivalent consumption minimization strategy)を採用して内燃機関と電動モーターの間の最適な動力分配(power distribution)を達成し、それにより、ハイブリッドパワーシステムの操作耐久性を改善することのできるハイブリッドパワーシステムを提供する。
【0006】
本発明のハイブリッドパワーシステムは、制御コア、駆動機構、内燃機関、電動モーター、および蓄電池を含む。駆動機構は、制御コアによって制御される。内燃機関は、駆動機構に接続され、制御コアによって制御される。電動モーターは、駆動機構に接続され、制御コアによって制御される。蓄電池は、電動モーターおよび制御コアに結合される。要求トルクが制御コアに入力されたとき、制御コアは、等価消費最小化戦略を実行し、内燃機関および/または電動モーターを起動して、駆動機構に動力(power)を伝送する。
【0007】
本発明のハイブリッドパワーシステムの最適化方法において、ハイブリッドパワーシステムは、制御コア、駆動機構、内燃機関、電動モーター、および蓄電池を含む。駆動機構は、制御コアによって制御される。内燃機関は、駆動機構に接続され、制御コアによって制御される。電動モーターは、駆動機構に接続され、制御コアによって制御される。蓄電池は、電動モーターおよび制御コアに結合される。ハイブリッドパワーシステムの最適化方法は、以下の通りである。制御コアによって要求トルクがゼロであることが検出されたとき、ハイブリッドパワーシステムをスタンバイモードに切り替える。要求トルクを制御コアに入力して、ハイブリッドパワーシステムを起動する。要求トルクがゼロより大きい任意の値であるかどうかを判断する。否定的な結果に対して、ハイブリッドパワーシステムをスタンバイモードに切り替える。肯定的な結果に対して、ハイブリッドパワーシステムの制御コアによって等価消費最小化戦略を実行する。制御コアによって内燃機関および/または電動モーターを同時に起動して、駆動機構に動力を伝送する。ハイブリッドパワーシステムをオフに切り替えて、ゼロのバッテリー容量を表示する。ハイブリッドパワーシステムをスタンバイモードに切り替える。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、等価消費最小化戦略は、4つのループ計算式(four-loop formula)を確立して、要求トルク、電動モーターの回転速度、および蓄電池の残存蓄電池容量に対するグローバル検索を行うとともに、グローバルグリッド検索を使用して全条件の最小等価消費を計算し、多次元テーブルを出力する。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、最小等価消費の関数は、J=min[me+f(SOC)*mm]+γである。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、多次元テーブルを介して、および特定の要求トルク、電動モーターの回転速度、および残存蓄電池容量のパラメータを入力することによって、最小等価消費の対応する値の配列を取得し、値の配列内で内燃機関の対応する出力トルクを見つける。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明のハイブリッドパワーシステムは、車両に適しており、ハイブリッドパワーシステムは、内燃機関、電動モーター、蓄電池、および駆動機構を有する。等価消費最小化戦略を介して、トルク、回転速度、残存バッテリーなどの異なるパラメータ条件下での最小エネルギー消費を計算することができ、それにより、効率的な駆動およびパワーリサイクリングの目的を達成することができる。等価消費最小化戦略により、ハイブリッドパワーシステムは、内燃機関と電動モーターのデュアルパワーの出力比率を自動的に調整し、それにより、ハイブリッドパワーシステムの操作耐久性を向上させ、蓄電池の過度な充電/放電による損傷およびセキュリティ問題を回避することができる。
【0012】
さらに、本発明のハイブリッドパワーシステムの最適化方法は、等価消費最小化戦略を採用して、最小等価消費機能を設定する。最小等価消費機能は、試験条件下での内燃機関および電動モーターの最小等価燃料消費を計算することができる。また、最小等価消費機能にペナルティ値も追加し、グローバルグリッド検索を使用して多次元テーブルを出力することにより、異なるパラメータ条件下でのハイブリッドパワーシステムの性能を計算する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係るハイブリッドパワーシステムの構造的概略図である。
【
図2】
図1のハイブリッドパワーシステムのブロック概略図である。
【
図3】
図2のハイブリッドパワーシステムの最適化方法のフローチャートである。
【
図4】
図3のハイブリッドパワーシステムの等価消費最小化戦略のループ計算の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の1つの実施形態に係るハイブリッドパワーシステムの構造的概略図である。
図2は、
図1のハイブリッドパワーシステムのブロック概略図である。
【0015】
図1および
図2を参照すると、本発明のハイブリッドパワーシステム100は、車両に適している。最適な戦略を介して、効率的な駆動およびパワーリサイクリングの目的を達成し、ハイブリッドパワーの最適な配置も達成する。
図3は、
図2のハイブリッドパワーシステムの最適化方法のフローチャートである。
【0016】
図1および
図2を参照すると、ハイブリッドパワーシステム100は、制御コア110、駆動機構120、内燃機関130、電動モーター140、および蓄電池150を含む。
【0017】
制御コア110は、例えば、車両の中央処理装置であり、様々な信号を受信して操作状態を判断し、プログラムロジックに基づいて対応する制御命令を出力することにより、自動モード切替の目的を達成するように構成される。駆動機構120は、制御コア110によって制御される。駆動機構120は、例えば、車両のタイヤに接続される。内燃機関130は、駆動機構120に接続され、制御コア110によって制御される。電動モーター140は、駆動機構120に接続され、制御コア110によって制御される。蓄電池150は、電動モーター140および制御コア110に結合される。蓄電池150は、鉛酸セル、ニッケル水素バッテリー、リチウムイオンバッテリー、アルミニウムセル、または燃料電池を使用した充電可能なバッテリーであってもよい。
【0018】
図3を参照すると、要求トルクT
dが制御コア110に入力されたとき、制御コア110は、等価消費最小化戦略(
図3に示す)を実行し、内燃機関130および/または電動モーター140を起動して、駆動機構120に動力を伝送する。つまり、制御コア110は、等価消費最小化戦略に基づいて、要求トルクT
dの条件下で内燃機関130および電動モーター140の最適な動力出力比率(power output ratio)を計算する。
【0019】
図1および
図2を参照すると、駆動機構120は、第1クラッチ121、第2クラッチ122、第1回転輪123、第2回転輪124、およびコンベヤーベルト125を有する。第1クラッチ121は、内燃機関130の第1回転軸131の周りに配置される。第2クラッチ122は、電動モーター140の第2回転軸141の周りに配置される。第1回転輪123は、第1クラッチ121に接続される。第2回転輪124は、第2クラッチ122に接続される。コンベヤーベルト125は、第1回転輪123および第2回転輪124の周りに配置される。
【0020】
図1および
図2を参照すると、ハイブリッドパワーシステム100は、内燃機関130のパワーモードに切り替える、つまり、電動モーター140をオフに切り替えて、内燃機関130を単一動力源(single power source)として使用するのに適している。制御コア110が内燃機関130を起動したとき、制御コア110は、第1クラッチ121をロックして、第2クラッチ122を解除する。内燃機関130の動力は、第1回転軸131を介して第1クラッチ121に伝送される。第1クラッチ121は、第1回転軸131にロックされているため、第1クラッチ121および第1回転輪123は、第1回転軸131と共に回転し、第1回転輪123およびコンベヤーベルト125を介して第2回転軸141に相対して回転するように第2回転輪124を駆動する。
【0021】
図1および
図2を参照すると、ハイブリッドパワーシステム100は、電動モーター140をパワーモードに切り替える、つまり、内燃機関130をオフに切り替えて、電動モーター140を単一動力源として使用するのに適している。制御コア110が電動モーター140を起動したとき、制御コア110は、第2クラッチ122をロックして、第1クラッチ121を解除する。電動モーター140の動力は、第2回転軸141を介して第2クラッチ122に伝送される。第2クラッチ122は、第2回転軸141にロックされているため、第2クラッチ122および第2回転輪124は、第2回転軸141と共に回転し、第2回転輪124およびコンベヤーベルト125を介して第1回転軸131に相対して回転するように第1回転輪123を駆動する。
【0022】
図1および
図2を参照すると、ハイブリッドパワーシステム100は、最大パワーモードに切り替える、つまり、内燃機関130と電動モーター140をデュアルパワー出力として同時に起動するのに適している。制御コア110が内燃機関130と電動モーター140を起動したとき、制御コア110は、第1クラッチ121と第2クラッチ122を同時にロックする。内燃機関130は、第1回転軸131および第1クラッチ121を介して第1回転輪123を駆動し、電動モーター140は、第2回転軸141および第2クラッチ122を介して第2回転輪124を駆動し、それにより、動力出力を最大化する目的を達成する。
【0023】
図1および
図2を参照すると、ハイブリッドパワーシステム100は、蓄電池150を充電して、パワーリサイクリングの目的を達成するのに適している。トリガー条件は、蓄電池150の残りのバッテリーがデフォルト値(例えば、20%未満)より低いことであり、制御コア110は、電動モーター140を発電機モードに切り替える。電動モーター140を発電機モードに切り替えたとき、制御コア110は、第1クラッチ121と第2クラッチ122を同時にロックするため、電動モーター140は、この時点でオフに切り替わって、内燃機関130を単一動力源として使用する。内燃機関130の動力は、第1回転軸131を介して第1回転輪123、コンベヤーベルト125、第2回転輪124を順番に駆動し、電動モーター140内で回転するように第2回転軸141を駆動して、蓄電池150を充電する。
【0024】
このようにして、ハイブリッドパワーシステム100が内燃機関130を単一動力源として使用したとき、一部の動力をリサイクルして充電に使用するのに適合する。蓄電池150の残りのバッテリーが安全レベルまで上昇した後、制御コア110は、電動モーター140の発電機モードを自動的に無効にして、駆動モードに戻る。
【0025】
図1および
図2を参照すると、ハイブリッドパワーシステム100は、さらに、第1トルクセンサー160および第2トルクセンサー170を含む。第1トルクセンサー160は、駆動機構120と内燃機関130の間に接続され、制御コア110に結合される。第1トルクセンサー160は、内燃機関130が動作しているときのトルク値を検出し、そのトルク値を制御コア110に戻すように構成される。第2トルクセンサー170は、駆動機構120と電動モーター140の間に接続され、制御コア110に結合される。第2トルクセンサー170は、電動モーター140が動作しているときのトルク値を検出し、そのトルク値を制御コア110に戻すように構成される。
【0026】
図1および
図2を参照すると、ハイブリッドパワーシステム100は、さらに、ダイナモメーター180および第3トルクセンサー190を含む。ダイナモメーター180は、第3回転軸181を介して駆動機構120の第2回転輪124に接続され、第3回転軸181および第2回転軸141は、同軸上に配置される。第3トルクセンサー190は、ダイナモメーター180と駆動機構120の間に接続される。具体的に説明すると、ダイナモメーター180は、負荷シミュレーター、つまり、車両自体の重量および駆動中に発生する抵抗として機能し、ハイブリッドパワーシステム100によって実行される等価消費最小化戦略のシミュレーション精度を向上させるのに有益である。
【0027】
図1を参照すると、ハイブリッドパワーシステム100は、さらに、第1回転軸131の周りに配置され、内燃機関130の回転速度を測定し、信号を制御コア110にフィードバックするように構成されたエンコーダーECを含む。制御コア110は、エンコーダーEC、第1トルクセンサー160、および第2トルクセンサー170の信号値を受信して、第1クラッチ121と第2クラッチ122のロックと解除状態を動的に切り替えるのに適している。このようにして、制御コア110は、内燃機関130および電動モーター140の動力出力比率を最適化し、エネルギー消費を最小化する目的を達成することができる。
【0028】
図1~
図3を参照しながら、本発明のハイブリッドパワーシステム100の最適化方法について以下に説明する。ステップS1:制御コア110によって検出された要求トルクT
dがゼロのとき、ハイブリッドパワーシステム100を起動しない。ステップS2:ハイブリッドパワーシステム100をスタンバイモードに切り替える。ステップS3:ユーザーによって要求トルクT
dを制御コア110に入力し、ハイブリッドパワーシステム100を起動する。ステップS4:要求トルクT
dがゼロより大きい任意の値であるかどうかを制御コア110が判断する。ステップS5:否定的な結果に対して、ハイブリッドパワーシステム100をスタンバイモードに切り替える。ステップS6:肯定的な結果に対して、ハイブリッドパワーシステム100の制御コア110によって等価消費最小化戦略を実行する。同時に、等価消費最小化戦略の判断に基づいて、制御コア110が内燃機関130および/または電動モーター140を起動し、駆動機構120に動力を伝送する。このようにして、制御コア110は、内燃機関130および電動モーター140の動力出力比率を最適化することができる。ステップS7:ハイブリッドパワーシステム100をオフに切り替えたとき、つまり、車両をオフにして蓄電池150の電力がゼロと表示されたとき、ハイブリッドパワーシステム100は、ステップS1およびステップS2に導かれ、スタンバイモードに切り替わる。
【0029】
さらに、等価消費最小化戦略(equivalent consumption minimization strategy, ECMS)は、システムのシミュレーション結果を使用して、多次元ルックアップテーブルを提示する。多次元ルックアップテーブルは、プログラムによってエンコードされ、制御コア110に直接ダウンロードされるため、制御コア110は、さまざまな条件に応じて最適な解決策を迅速に検索し、それにより、内燃機関130および電動モーター140の動力出力比率を調整することができる。したがって、等価消費最小化戦略は、動力管理(power management)および電気エネルギー/パワーシステムに適している。また、等価消費最小化戦略は、ブレーキおよび下り坂惰走中のハイブリッドパワーシステム100のパワーリサイクリング、例えば、前後輪のブレーキトルク分布および油圧や、車輪内モーターのブレーキパワーリサイクリングを最適化する。つまり、ハイブリッドパワーシステム100のパワーリサイクリング技術は、異なる駆動モード下で最適な分配戦略を確立することができる。
【0030】
図4は、
図3のハイブリッドパワーシステムの等価消費最小化戦略のループ計算の概略図である。
【0031】
図1~
図4を参照すると、制御コア110が等価消費最小化戦略を実行したとき、4つのループ計算式が確立される。第1ループF1は、要求トルクT
dである。第2ループF2は、電動モーター140の回転速度Nmである。第3のループF3は、残存バッテリー容量SOCである。第4のループF4は、最小等価消費の関数である。最小等価消費の関数は、J=min[m
e+f(SOC)*m
m]+γとして定義される。
【0032】
要求トルクTd、電動モーター140の回転速度Nm、および蓄電池150の残存蓄電池容量SOCに対して、グローバル検索を行う。例えば、要求トルクTdの検索範囲は、1Nm~1000Nmであり、回転速度Nmの検索範囲は、1rpm~6000rpmであり、残存蓄電池容量SOCの検索範囲は、1%~100%である。グローバルグリッド検索を用いて全条件の複数の最小等価消費を計算し、多次元テーブルを出力する。詳しく説明すると、要求トルクTdが500Nm、回転速度Nmが1500rpm、残存バッテリーSOCが65%のとき、上記3つのパラメータをJ=min[me+f(SOC)*mm]+γに代入して計算することにより、最小消費量の値の1つを得ることができる。グローバルグリッド検索については、要求トルクTd、回転速度Nm、および残存蓄電池容量SOCの一連のパラメータを順番にJ=min[me+f(SOC)*mm]+γに代入して、検索範囲内のすべての最小等価消費Jの値を取得し、多次元テーブルを整理する。
【0033】
多次元テーブルを介して、および特定の要求トルクTd、電動モーター140の回転速度Nm、および残存蓄電池容量SOCのパラメータを入力することによって、最小等価消費Jの対応する値の配列を取得し、値の配列内で内燃機関130の対応する出力トルクTeを見つける。さらに、要求トルクTdは、内燃機関130および電動モーター140の出力動力(output power)によって満たされる。また、等価消費最小化戦略において、内燃機関の回転速度Neと電動モーターの回転速度Nmの比率を1:4に設定する。内燃機関130の出力トルクTeは、要求トルクTd、電動モーターの回転速度Nm、および残存蓄電池容量SOCなどのパラメータを使用することによって計算することができる。
【0034】
さらに、本発明のハイブリッドパワーシステム100は、最小エネルギー消費を追求しているため、最小等価消費関数J=min[me+f(SOC)*mm]+γを定義して、ハイブリッドパワーシステム100の全動的エネルギー消費を計算する。最小等価消費関数において、電動モーター140の電気エネルギー消費を等価燃料消費に変換し、内燃機関130の燃料消費と合計して、等価全燃料消費(最小等価消費J)を得る。
【0035】
具体的に説明すると、上記の最小等価消費関数において、meは、内燃機関130の実際の燃料消費であり、mmは、電動モーター140の等価燃料消費である。
【0036】
最小等価消費関数において、電動モーターを蓄電池150と共に良好な作業条件で使用できるように、バッテリーの充電状態の重みf(SOC)を設計する。重み付け値f(SOC)とバッテリーと充電状態の関係曲線は、式f(SOC)=1-(1-0.7xsoc)*xsoc
3により得ることができる。
【0037】
ハイブリッドパワーシステム100は、各サンプリング時間での蓄電池150の充電状態に応じて重み付け値f(SOC)を与える。蓄電池150の残量が高いとき、重み付け値f(SOC)が低くなり、蓄電池150の残量が低いとき、重み付け値f(SOC)が高くなる。例えば、蓄電池150の残量が少なく、重み付け値f(SOC)が高いとき、同じ回転速度Nmでの電動モーター140の等価燃料消費mmは、増加する。つまり、バッテリーが低いとき、蓄電池150は、より多くのエネルギーを消費し、バッテリーが高いときは、より多くのエネルギーを節約する。
【0038】
γは、要素の物理的制限のペナルティ値である。ハイブリッドパワーシステム100が最小等価消費関数を実行してデュアルパワーの出力トルクを計算するとき、最小等価消費関数は、代入したトルクパラメータが内燃機関130と電動モーター140の実際の物理的制限を超える場合に、ペナルティ値γを与える。最小等価消費関数によって計算された最小等価消費Jは、最大値を生成し、この最良値結果は、制御コア110によって使用されない。
【0039】
具体的に説明すると、内燃機関130の燃料消費meを計算したとき、ハイブリッドパワーシステム100は、各瞬間にサンプリングされたトルクおよび回転速度に基づいて、二次元ルックアップを介して現在の正味燃料消費率(brake-specific fuel consumption, BSFC)を取得する。したがって、燃料消費meの式は、以下の通りである。
【0040】
【0041】
Teは、内燃機関の出力トルクであり、Neは、内燃機関の出力回転速度である。
【0042】
詳しく説明すると、電動モーター140の等価燃料消費mmは、電動モーター140の2つのモード、すなわち、mm=mm,t+mm,gの合計である。前者(mm,t)は、モータードライブモードであり、後者(mm,g)は、発電機モードである。
【0043】
図1~
図4を参照すると、モータードライブモードにおいて、電動モーター140は、蓄電池150の電気エネルギーを動力に変換して、駆動機構120に出力する。その等価燃料消費の式は、m
m,t=295*(T
m*N
m/1000)/3600*η
mとして定義される。上記の式において、m
m,tは、モータードライブモードにおける等価燃料消費を示し、T
mおよびN
mは、それぞれモータードライブモードにおける出力トルクと回転速度を示し、η
mは、モーターモードにおける電動モーター130の回転効率を示す。
【0044】
電動モーター140を発電機モードに切り替えたとき、内燃機関130の動力が電動モーター140の第2回転軸141に伝送され、電動モーター140内で回転するように第2回転軸141を駆動して、蓄電池150を充電する。その等価燃料消費の式は、mm,g=295*(Tm*Nm/1000)/3600*ηgとして定義される。上記の式において、mm,gは、発電機モードにおける等価燃料消費を示し、TmおよびNmは、それぞれ発電機モードにおけるトルク(負のトルク値は発電機モードを表す)と回転速度(駆動モードと発電機モードは同じ回転速度を有する)を示し、ηgは、発電機モードにおける電動モーター130の回転効率を示す。
【0045】
以上のように、本発明のハイブリッドパワーシステムは、車両に適しており、ハイブリッドパワーシステムは、内燃機関、電動モーター、蓄電池、および駆動機構を有する。等価消費最小化戦略を介して、要求トルク、モーターの回転速度、残存バッテリーなどの異なるパラメータ条件下での最小エネルギー消費を計算することができ、それにより、効率的な駆動およびパワーリサイクリングの目的を達成することができる。等価消費最小化戦略により、ハイブリッドパワーシステムは、内燃機関と電動モーターのデュアルパワーの出力比率を自動的に調整し、それにより、ハイブリッドパワーシステムの操作耐久性を向上させ、蓄電池の過度な充電/放電による損傷およびセキュリティ問題を回避することができる。
【0046】
さらに、本発明のハイブリッドパワーシステムの最適化方法は、等価消費最小化戦略を採用して、最小等価消費機能を設定する。最小等価消費機能は、試験条件下での内燃機関と電動モーターの最小等価燃料消費を計算することができる。また、最小等価消費機能にペナルティ値も追加し、グローバルグリッド検索を使用して多次元テーブルを出力することにより、異なるパラメータ条件下でのハイブリッドパワーシステムの性能を計算する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のハイブリッドパワーシステムおよびその最適化方法は、ハイブリッドパワーシステムの操作耐久性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
100 ハイブリッドパワーシステム
110 制御コア
120 駆動機構
121 第1クラッチ
122 第2クラッチ
123 第1回転輪
124 第2回転輪
125 コンベヤーベルト
130 内燃機関
131 第1回転軸
140 電動モーター
141 第2回転軸
150 蓄電池
160 第1トルクセンサー
170 第2トルクセンサー
180 ダイナモメーター
190 第3トルクセンサー
EC エンコーダー
F1 第1ループ
F2 第2ループ
F3 第3ループ
F4 第4ループ
S1~S7 ステップ
f(SOC) 重み付け値
me 燃料消費
mm 等価燃料消費
Nm 回転速度
Td 要求トルク
SOC 残存蓄電池容量
J 最小等価消費
γ ペナルティ値
【外国語明細書】