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特開2024-87779CMPスラリーの研磨粒子表面にコーティングされたアクリル重合体分散剤の特性研究
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087779
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】CMPスラリーの研磨粒子表面にコーティングされたアクリル重合体分散剤の特性研究
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20240624BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20240624BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240624BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240624BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023199753
(22)【出願日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0178787
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523446893
【氏名又は名称】ハンナム ユニバーシティー インダストリー アカデミー コーポレーション ファウンデーション
(71)【出願人】
【識別番号】523446907
【氏名又は名称】エムエス マテリアルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジ ヤン フン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AC04
3C158BA02
3C158BA04
3C158BA05
3C158BA09
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED02
3C158ED10
3C158ED11
3C158ED12
3C158ED24
3C158ED28
5F057AA07
5F057AA28
5F057AA29
5F057BA15
5F057BB15
5F057BB16
5F057BB19
5F057CA12
5F057DA03
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5F057EA07
5F057EA08
5F057EA09
5F057EA11
5F057EA16
5F057EA21
5F057EA26
5F057EA28
5F057EA29
5F057EA33
(57)【要約】
【課題】本発明は、研磨スラリー組成物に関し、さらに詳しくは、従来使用されている研磨スラリー組成物に比べて、熱安定性、分散安定性、経時変化安定性、及び研磨効率に優れ、被研磨面のスクラッチを最低限に抑えることができる研磨スラリー組成物に関する。
【解決手段】本発明の研磨スラリー組成物は、熱安定性、分散安定性、経時変化安定性、及び研磨効率に優れているため、半導体ウェハ工程用研磨剤、バイオメディカル、医薬、化粧品、触媒などの分野で幅広く用いることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウムから選択される少なくとも1つの研磨剤と、
(b)エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、スチレン-マレイン酸共重合体、及びスチレン-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1つの分散剤と、
(c)液体キャリアと、を含む、研磨スラリー組成物。
【請求項2】
前記組成物が、研磨剤5~45重量%、分散剤1~15重量%、及び残量の液体キャリアを含むことを特徴とする、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項3】
前記研磨剤が、酸化セリウムであることを特徴とする、請求項2に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項4】
前記組成物が、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルベンジルアミン、エトキシベンジルアミン、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1つのpH調整剤をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項5】
前記組成物が、さらにシランカップリング剤オリゴマーを2~10重量%含むことを特徴とする、請求項4に記載の研磨スラリー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨スラリー組成物に関し、さらに詳しくは、従来使用されている研磨スラリー組成物に比べて、熱安定性、分散安定性、経時変化安定性、及び研磨効率に優れ、被研磨面のスクラッチを最低限に抑えることができる研磨スラリー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の高集積化及び高性能化に伴い、配線パターンの線幅の微細化、構造の多層化の傾向が進んでおり、フォトリソグラフィの精度向上のためには、各工程における層間の平坦度が非常に重要である。
【0003】
現在、平坦化技術として最も注目されているのがCMP(chemical-mechanical polishing)工程であり、CMP工程は、研磨対象物質に応じて、酸化膜(oxide)CMP工程、金属(metal)CMP工程、ポリシリコン(poly-Si)CMP工程などに分類される。
【0004】
当初は酸化膜を研磨するため、シリカ粒子を含むCMPスラリー組成物が主に使用されていたが、デザインルール(design rule)の微細化、素子の薄膜化による高平坦化の必要性により、異種の膜が存在するウェハに対する研磨選択性の高い酸化セリウム粒子を含むCMPスラリー組成物が適用されている。
【0005】
酸化セリウム粒子を含むCMPスラリー組成物は、シリコン酸化膜に対する研磨速度は高く、シリコン窒化膜に対する研磨速度は低いため、段差のあるシリコン酸化膜とシリコン窒化膜を一緒に研磨すると、シリコン酸化膜は研磨され、シリコン窒化膜では研磨が終了するエッチング終了機能を備えることができる。よって、このような酸化セリウム粒子を含むCMPスラリー組成物を酸化膜CMP工程に適用することにより、広域平坦化(global planarization)及び研磨厚さの精密な制御が可能となる。
【0006】
一方、研磨スラリー組成物は、分散工程で多量の熱と気泡が発生し、分散した粒子の凝集及び沈殿が起こってしまい、それによりミリング時間が増加し、作業性及び工程性が不良となり、研磨時にスクラッチが発生し、研磨効率が低下する虞がある。
【0007】
よって、熱安定性、分散安定性、経時変化安定性、及び研磨効率に優れ、被研磨面のスクラッチを最低限に抑えることができる研磨スラリー組成物に対するニーズが高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2013-0078791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためのものであり、熱安定性、分散安定性、経時変化安定性、及び研磨効率に優れ、被研磨面のスクラッチを最低限に抑えることができる研磨スラリー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(a)酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウムから選択される少なくとも1つの研磨剤と、
(b)エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、スチレン-マレイン酸共重合体、及びスチレン-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1つの分散剤と、
(c)液体キャリアと、を含む、研磨スラリー組成物を提供する。
【0011】
本発明の一実施例において、前記組成物は、研磨剤5~45重量%、分散剤1~15重量%、及び残量の液体キャリアを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施例において、前記研磨剤は、酸化セリウムであることを特徴とする。
【0013】
本発明の一実施例において、前記組成物は、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルベンジルアミン、エトキシベンジルアミン、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1つのpH調整剤をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施例において、前記組成物は、さらにシランカップリング剤オリゴマーを2~10重量%含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、熱安定性、分散安定性、経時変化安定性、及び研磨効率に優れ、被研磨面のスクラッチを最低限に抑えることができる研磨スラリー組成物を提供することができる。
【0016】
また、本発明の研磨スラリー組成物は、熱安定性、分散安定性、経時変化安定性、及び研磨効率に優れているため、半導体ウェハ工程用研磨剤、バイオメディカル、医薬、化粧品、触媒などの分野で幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の研磨スラリー組成物の分散性を示す図である。
図2】本発明の研磨スラリー組成物のOM画像である。
図3】本発明の研磨スラリー組成物の接触角(Contact Angle)を示す図である。
図4】本発明の研磨スラリー組成物のpH及び導電率(Conductivity)を示す図である。
図5】本発明の研磨スラリー組成物のIRスペクトルを示す図である。
図6】本発明の研磨スラリー組成物のSEM画像である。
図7】本発明の研磨スラリー組成物のTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明に用いられる用語、実施例などは、本発明をより具体的に説明し、当業者の理解を助けるために例示したものに過ぎず、それらによって、本発明の権利範囲などが限定されて解釈されるべきではない。
【0019】
特に断らない限り、本発明に用いられる技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に通常して理解される意味を示す。
【0020】
本発明は、(a)酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウムから選択される少なくとも1つの研磨剤と、
(b)エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、スチレン-マレイン酸共重合体、及びスチレン-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1つの分散剤と、
(c)液体キャリアと、を含む、研磨スラリー組成物に関する。
【0021】
前記研磨剤は、ウェハ表面を研磨するためのものであり、ウェハCMP工程の際に通常用いられるものであれば、種類に制限なく用いることができる。
【0022】
例えば、金属酸化物が挙げられ、さらに詳しくは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデンなどから選択される少なくとも1つを含むか、あるいはそれらの化学的付加混合物を含んでもよい。
【0023】
前記研磨剤は、特に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよく、より好ましくは、酸化セリウム(セリア)を用いることが、粒径サイズが均一で粒子の硬度が小さいので好ましい。
【0024】
前記研磨剤の粒径は、50~1,000nmであることが好ましく、粒径は、粒度分布測定器(堀場装置など)を用いるか、あるいはレーザー回折法を用いて測定することができる。
【0025】
研磨剤の粒径が50nm未満であると、研磨速度及び研磨効率が低下し、1000nmを超えると、被研磨面のスクラッチや欠陥がむしろ増加する。
【0026】
前記研磨剤の製造方法は、当業界で適用する金属酸化物粒子の製造方法であれば特に限定されず、固相法、液相法などを用いてもよい。
【0027】
前記研磨剤は、全研磨スラリー組成物100重量%のうち5~45重量%、好ましくは5~20重量%の含有量で用いてもよい。研磨剤の含有量が5重量%未満であると、研磨速度が低下し、45重量%を超えると、組成物の分散性が低く、被研磨面に多量のスクラッチが発生する虞がある。
【0028】
前記分散剤は、研磨剤の表面に結合して、研磨スラリー組成物の分散安定性及び研磨性能を向上させるために用いてもよい。
【0029】
前記分散剤は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、スチレン-マレイン酸共重合体、及びスチレン-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1つを用いてもよい。
【0030】
そのとき、エチレン-アクリル酸共重合体の塩としては、エチレン-アクリル酸共重合体の亜鉛塩、エチレン-アクリル酸共重合体のナトリウム塩、エチレン-アクリル酸共重合体のマグネシウム塩などを用いてもよい。
【0031】
前記分散剤は、研磨剤の表面にコーティングされて研磨剤の凝集及び沈殿を防止し、研磨剤の粒径を減少させることで、分散性及び均一性を向上させることができる。
【0032】
本発明は、分散剤として、エチレン-アクリル酸共重合体とエチレン-アクリル酸共重合体の塩とを混合して用いてもよく、そのとき、エチレン-アクリル酸共重合体とエチレン-アクリル酸共重合体の塩との重量比は、60~80:20~40であることが好ましい。
【0033】
重量比が前記数値範囲を満たす場合、研磨効率及び分散性を最大化することができる。
【0034】
また、前記分散剤は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、及びスチレン-マレイン酸共重合体を混合して用いてもよく、そのとき、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、及びスチレン-マレイン酸共重合体の重量比は、100:30~50:10~30であることが好ましい。
【0035】
重量比が前記数値範囲を満たす場合、研磨効率及び分散性を最大化することができる。
【0036】
なお、前記分散剤は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、スチレン-マレイン酸共重合体、及びスチレン-アクリル酸共重合体を混合して用いてもよく、そのとき、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、スチレン-マレイン酸共重合体、及びスチレン-アクリル酸共重合体の重量比は、100:30~50:10~30:5~20であることが好ましい。
【0037】
重量比が前記数値範囲を満たす場合、研磨効率及び分散性を最大化することができる。
【0038】
前記分散剤は、全研磨スラリー組成物100重量%に対して1~15重量%、好ましくは3~10重量%含まれることが好ましい。分散剤の含有量が1重量%未満であると、分散安定性が低下し、15重量%を超えると、被研磨面に多量のスクラッチが発生し、研磨効率が低下する。
【0039】
前記液体キャリアは、前記研磨剤を分散するためのものであり、前記研磨剤及び分散剤と混合して分散液、スラリー状態に形成できるものであれば、如何なるものを用いてもよい。適切な液体キャリアは、極性溶媒、好ましくは、超純水(脱イオン水)、蒸留水などを用いることが好ましい。
【0040】
本発明の研磨スラリー組成物は、ゼータ電位を一定に保つために、pH調整剤をさらに含んでもよい。
【0041】
前記pH調整剤は、研磨スラリー組成物のpHを8~11の範囲に調整するためのものであり、本発明の目的を達成できる範囲内であれば、種類を限定しない。
【0042】
一例として、トリメタノールアミン(Trimethanolamine)、トリエタノールアミン(Triethanolamine)、トリメチルアンモニウムヒドロキシド(Trimethylammonium hydroxide)、トリエチルアンモニウムヒドロキシド(Triethylammonium hydroxide)、ジメチルベンジルアミン(Dimethylbenzylamine)、エトキシベンジルアミン(Ethoxybenzyl amine)、水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)、及び水酸化カリウム(Potassium hydroxide)などが挙げられ、全スラリー組成物100重量%に対して、0.0001~5重量%含まれてもよい。
【0043】
含有量が前記数値範囲を満たす場合、研磨効率及び分散性を最大化することができる。
【0044】
また、前記研磨スラリー組成物は、分散性を向上させるために、さらにシランカップリング剤オリゴマーを含んでもよい。
【0045】
前記シランカップリング剤オリゴマーは、アクリレート基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を反応させることにより製造されてもよい。
【0046】
前記シランカップリング剤オリゴマーは、研磨剤の表面に結合して研磨剤の凝集及び沈殿を防止し、研磨剤の粒径を減少させることで、分散性及び均一性を向上させることができる。
【0047】
前記アクリレート基含有シランカップリング剤としては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0048】
前記エポキシ基含有シランカップリング剤としては、2-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、2-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0049】
前記アクリレート基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の重量比は、10~40:100:20~50:10~30であることが好ましく、重量比が前記数値範囲を満たす場合、研磨効率及び分散性を最大化することができる。
【0050】
前記オリゴマーの重量平均分子量は、5,000~50,000g/molであることが好ましい。
【0051】
前記オリゴマーは、全研磨スラリー組成物100重量%に対して、2~10重量%使用されることが好ましく、含有量が前記数値範囲を満たす場合、研磨効率及び分散性が最大化されることができる。
【0052】
また、前記研磨スラリー組成物は、分散性を向上させるために、アクリレート基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、ビスフェノールA、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を反応させることにより製造されるシランカップリング剤オリゴマーをさらに含んでもよい。
【0053】
前記アクリレート基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、ビスフェノールA、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の重量比は、10~40:100:15~35:20~50:10~30であることが好ましく、重量比が前記数値範囲を満たす場合、研磨効率及び分散性を最大化することができる。
【0054】
前記オリゴマーの重量平均分子量は、5,000~50,000g/molであることが好ましい。
【0055】
前記オリゴマーは、全研磨スラリー組成物100重量%に対して、2~10重量%使用されることが好ましく、含有量が前記数値範囲を満たす場合、研磨効率及び分散性が最大化されることができる。
【0056】
本発明は、公知の研磨システムを用いて基板の表面をスラリー組成物で研磨してもよい。前記基板は、当業界で通常用いられるものであれば種類に限定されず、一例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、多結晶ケイ素などを含んでもよく、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、プラズマ強化テトラエチルオルトシリケート(PETEOS)、熱酸化物、窒素ドープシリケートガラス、非ドープシリケートガラス、高密度プラズマ(HDP)酸化物などを含んでもよい。
【0057】
本発明において、前記研磨システムは、通常の技術を適用しても構わない。一例として、繊維研磨パッドを含む研磨システムにウェハを固定し、圧力、速度及び温度条件を調整しながらウェハを研磨パッドに接触させて押し、パッドとウェハは互いに対して移動させた後、スラリー組成物をウェハに噴射する方法でウェハの膜質を化学的(chemical)、機械的(mechanical)に研磨してもよい。
【0058】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。以下の実施例は本発明を実施するために例示するものにすぎず、本発明の内容が以下の実施例によって限定されるものではない。
【実施例0059】
平均粒径が100nmの酸化セリウム粒子30重量%、エチレン-アクリル酸共重合体(分散剤)及び残量の超純水を添加し、2時間撹拌して研磨スラリー組成物を製造した。
【0060】
そのとき、エチレン-アクリル酸共重合体の含有量は5重量%、6重量%及び7重量%を用いた。
【0061】
図1は、本発明の研磨スラリー組成物の分散性を示す図である。
【0062】
ここで、D104-5、D104-6及びD104-7は、それぞれエチレン-アクリル酸共重合体の含有量が5重量%、6重量%及び7重量%である研磨スラリー組成物を示す。
【0063】
図1は、レーザー回折/散乱式を用いて基準スラリーと製造したスラリーの粒径をPSD、mean値を基準に強度(Intensity)値を測定した結果であり、室温で100日後に粒子と分散剤との凝集した程度を測定した結果である。
【0064】
測定の結果、分散剤の含有量が増加するにつれて、粒子の凝集が減少し、元の状態を維持することが確認された。これは、研磨剤粒子の表面に分散剤がよく吸着し、粒子間の静電反発力が増加し、粒子の分散性が高くなるためである。
【0065】
図2は、本発明の研磨スラリー組成物のOM画像である。
【0066】
3種のスラリーともに粒子の凝集は見られず、均一な分散状態を示した。特に、D104-5(a)とD104-6(b)の分散性は互いに類似しており、D104-7(c)はわずかに異なる分散性を示した。
【0067】
図3は、本発明の研磨スラリー組成物の接触角(Contact Angle)を示す図である。
【0068】
Contact Angle測定結果を見ると、スラリー中の分散剤の含有量が増加するほど、カルボキシル基が増加して親水性がますます増加し、それによりSurface energyと接着力(Work of adhesion)値もますます増加する傾向を示している。
【0069】
図4は、本発明の研磨スラリー組成物のpH及び導電率(Conductivity)を示す図である。
【0070】
pH測定の結果、分散剤の含有量が増加しても、pHが一定であることが確認された。一方、導電率測定の結果、分散剤の含有量が増加するほど、導電率測定値は増加する傾向を示した。これは、分散剤に含まれているイオン成分の影響とセリア表面に吸着された分散剤含有量との差によるものである。
【0071】
図5は、本発明の研磨スラリー組成物のIRスペクトルを示す図である。
【0072】
IRスペクトルにより、3種のスラリーの全てにおいて同様の箇所で分散剤のピークが検出されることを確認した。また、分散剤の含有量が増加するほど、分散剤のピークが徐々に増加することが分かる。
【0073】
図6は、本発明の研磨スラリー組成物のSEM画像である。
【0074】
SEM分析の結果、分散剤の含有量が増加するほど、小さな粒子がますます増加する傾向を示している。これは、分散剤の含有量が高いほど、分散性が向上するためである。
【0075】
図7は、本発明の研磨スラリー組成物のTEM画像である。
【0076】
分析の結果、分散剤の含有量が増加するほど、分散剤が研磨剤表面に厚く安定して吸着し、且つ一定の配向性を有することが確認された。そのことから、CMP研磨の際に、不均一な配向性によるスクラッチや欠陥(defect)などの不良を防止することができる。
【実施例0077】
エチレン-アクリル酸共重合体5重量%の代わりに、エチレン-アクリル酸共重合体3.5重量%及びエチレン-アクリル酸共重合体の亜鉛塩1.5重量%を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で研磨スラリー組成物を製造した。
【実施例0078】
エチレン-アクリル酸共重合体5重量%の代わりに、分散剤混合物5重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で研磨スラリー組成物を製造した。
【0079】
そのとき、前記分散剤混合物は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の亜鉛塩及びスチレン-マレイン酸共重合体を含み、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体の亜鉛塩及びスチレン-マレイン酸共重合体の重量比は100:40:20であった。
【実施例0080】
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を反応させてシランカップリング剤オリゴマーを製造した。
【0081】
ここで、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の重量比は、30:100:30:20であった。
【0082】
前記シランカップリング剤オリゴマー5重量%をさらに使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で研磨スラリー組成物を製造した。
【0083】
(比較例1)
エチレン-アクリル酸共重合体5重量%の代わりに、ソルビタンモノラウレート5重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で研磨スラリー組成物を製造した。
【0084】
(研磨対象)
使用したウェハは、平板状のシリコン酸化膜(PE-TEOS)及びポリシリコンウェハ(Poly)を用いた。シリコン酸化膜ウェハは、シリコンウェハ上にPE-TEOSを10,000Åに蒸着したものである。ポリシリコンウェハは、シリコンウェハ上にポリシリコンを3000Åに堆積したものである。
【0085】
(CMP工程条件)
研磨工程条件は、下記表1のとおりである。
【0086】
【表1】
【0087】
(研磨速度)
ST-5030(K-MAC Corp.)によって、試料であるウェハの研磨前後厚さを確認した。そのとき、測定による誤差を防止するために、各ウェハごとに中央から端部までX軸方向に49個の同一点を測定し、それを平均化した(単位:Å/分)。
【0088】
(均一性)
研磨後の試料であるウェハの均一性(uniformity)を測定した。
【0089】
(スクラッチ有無)
研磨後、基板を洗浄し、その後、基板の欠陥やスクラッチの有無を光学顕微鏡で観察し、卓出、優秀、通常、不良として示した。
【0090】
前記実施例及び比較例から得られた研磨スラリー組成物の特性を測定し、下記の表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】
表2の結果から、実施例1~4は、研磨速度が増加し、均一性が向上し、スクラッチ発生が最低限になることが分かる。特に実施例2~4は、前記特性に最も優れていることが確認された。
【0093】
一方、比較例1は、前記特性が、実施例に比べて劣っていることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】