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特開2024-87787中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087787
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A62B 13/00 20060101AFI20240624BHJP
   E21F 17/00 20060101ALI20240624BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A62B13/00 A
E21F17/00
F24F7/06 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208544
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】202211631614.0
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520463123
【氏名又は名称】中国安全生▲産▼科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】史 聡霊
(72)【発明者】
【氏名】李 建
(72)【発明者】
【氏名】劉 国林
(72)【発明者】
【氏名】任 飛
(72)【発明者】
【氏名】何 理
(72)【発明者】
【氏名】銭 小東
(72)【発明者】
【氏名】胥 旋
(72)【発明者】
【氏名】石 杰紅
(72)【発明者】
【氏名】趙 晨
【テーマコード(参考)】
2E185
3L058
【Fターム(参考)】
2E185BA19
2E185CC62
3L058BE08
3L058BG04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム及び方法を提供する。
【解決手段】停止線2が第1本線トンネル11に水平に隣接して連通し、且つ第1本線トンネル11の中央位置に位置し、第1渡り線31と第2渡り線32は停止線2の両側に設置され、且つ第1本線トンネル11と第2本線トンネル12を連通し、停止線2と第1本線トンネル11との間、第1渡り線31と第1本線トンネル11との間及び第2渡り線32と第2本線トンネル12との間にいずれも防煙シャッタ41,42,43,44が設置され、換気排煙サブシステムの数は複数であり、隣接する換気排煙サブシステム61~68はそれぞれ第1本線トンネル11又は第2本線トンネル12に連通し、隣接する換気排煙サブシステム61~68同士が連通弁617、637、657,677により接続されることで換気排煙サブシステム群が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムであって、
防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムを備え、長区間トンネルは第1本線トンネル、第2本線トンネル、停止線、第1渡り線及び第2渡り線を含み、前記停止線は第1本線トンネルに水平に隣接して連通し、且つ前記第1本線トンネルの中央位置に位置し、前記第1渡り線と第2渡り線は前記停止線の両側に設置され、且つ第1本線トンネルと第2本線トンネルを連通し、第1渡り線と第1本線トンネルとの間及び第2渡り線と第2本線トンネルとの間にいずれも防煙シャッタが設置され、前記停止線の両端には第1本線トンネルに連通する出入口が配置され、前記出入口に防煙シャッタが設置され、前記換気排煙サブシステムの数は複数であり、隣接する換気排煙サブシステムはそれぞれ第1本線トンネル又は第2本線トンネルに連通し、隣接する換気排煙サブシステム同士が連通弁により接続されることで換気排煙サブシステム群が形成され、複数の換気排煙サブシステム群が前記第1本線トンネル及び第2本線トンネルに間隔を置いて設置され、第1渡り線の停止線から離れた側及び第2渡り線の停止線から離れた側に設置された換気排煙サブシステムが少なくともそれぞれ1つあることを特徴とする中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム。
【請求項2】
前記換気排煙サブシステムは、順次接続される換気塔、ファン連動空気弁、ファン、消音器、送風排煙口空気弁及び送風排煙口を備え、前記連通弁は送風排煙口空気弁と消音器との間に設置されることを特徴とする請求項1に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム。
【請求項3】
前記長区間トンネルに複数の転轍機が更に設置され、前記転轍機が第1本線トンネルから第1渡り線に入る箇所、第2渡り線から第1本線トンネルに入る箇所、第1本線トンネルから停止線を出入りする箇所、停止線から第1本線トンネルを出入りする箇所、第2本線トンネルから第2渡り線に入る箇所、及び第1渡り線から第2本線トンネルに入る箇所に設置され、
前記転轍機は前記防煙シャッタと連動制御され、即ち、
第2本線トンネルから第2渡り線に入る箇所での第8転轍機(58)は該箇所での第4防煙シャッタ(44)と自動的に連動し、第8転轍機が軌道を第2本線トンネルから第2渡り線に方向転換するように制御する場合、第4防煙シャッタ(44)が上昇するように自動的に連動し、第8転轍機が軌道を第2本線トンネルから第2本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第4防煙シャッタ(44)が軌道面まで自動的に降下し、
第1本線トンネルから第1渡り線に入る箇所での第2転轍機(52)は該箇所での第3防煙シャッタ(43)と自動的に連動し、第2転轍機が軌道を第1本線トンネルから第1渡り線に方向転換するように制御する場合、第3防煙シャッタ(43)が上昇するように自動的に連動し、第2転轍機が軌道を第1本線トンネルから第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第3防煙シャッタ(43)が軌道面まで自動的に降下し、
第1本線トンネルから停止線を出入りする箇所での2つの防煙シャッタ(41、42)と、第1本線トンネルと停止線との接続箇所での2つの転轍機(53、56)及び停止線から第1本線トンネルを出入りする箇所での2つの転轍機(54、55)との連動関係を設定することは、具体的には、第3転轍機(53)又は第4転轍機(54)が軌道を第1本線トンネルから停止線に方向転換し又は停止線から第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ(41)を作動させるように自動的に連動してそれを上昇させることと、
第5転轍機(55)又は第6転轍機(56)が軌道を第1本線トンネルから停止線に方向転換し又は停止線から第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第2防煙シャッタ(42)を作動させるように自動的に連動してそれを上昇させることと、
第3転轍機(53)が軌道を第1トンネルから第1トンネルに方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ(41)を作動させるように自動的に連動してそれを軌道面まで降下することと、
第6転轍機(56)が軌道を第1トンネルから第1トンネルに方向転換するように制御する場合、第2防煙シャッタ(42)を作動させるように自動的に連動してそれを軌道面まで降下することと、
第4転轍機(54)又は第5転轍機(55)が軌道を停止線から停止線に方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ(41)と第2防煙シャッタ(42)とを動作するように連動しないことと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム。
【請求項4】
中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法であって、
請求項1~3のいずれか1項に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムを用い、
長区間トンネルにおける列車の火災位置が先頭であるか後部であるかを検出して、列車の位置する路線及び列車の路線における位置を判定するS1と、
列車の火災位置、列車の位置する路線及び列車の路線における位置に基づいて、防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムの起動/停止を制御して、該換気排煙サブシステムが火災からの煙を排出するようにするS2と、を含むことを特徴とする中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法。
【請求項5】
停止線における列車の先頭で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により停止線の両端の防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第1渡り線及び第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS11と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルから排煙するようにするS12と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルに送風するようにするS13と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS14と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法。
【請求項6】
停止線における列車の後部で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により停止線の両端の防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第1渡り線及び第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS21と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルから排煙するようにするS22と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する換気排煙サブシステムの別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルに送風するようにするS23と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS24と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法。
【請求項7】
第1渡り線における列車の先頭が第2本線トンネルに面しており、列車の先頭で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により第1渡り線における防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動し、停止線の両端の防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS31と、
第2本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが該列車の先頭方向における第2本線トンネルから排煙するようにするS32と、
第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが該列車の後部方向における第1本線トンネルに送風するようにするS33と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS34と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法。
【請求項8】
第1渡り線における列車の先頭が第2本線トンネルに面しており、列車の後部で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により第1渡り線における防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動し、停止線の両端の防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS41と、
第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが該列車の後部方向における第1本線トンネルから排煙するようにするS42と、
第2本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが該列車の先頭方向における第2本線トンネルに送風するようにするS43と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS44と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法。
【請求項9】
第1本線トンネル又は第2本線トンネルにおける列車の先頭で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により停止線、第1渡り線及び第2渡り線に配置される防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS51と、
列車が位置する第1本線トンネル又は第2本線トンネルの先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが、火災が発生している第1本線トンネル又は第2本線トンネルから排煙するようにするS52と、
列車が位置する第1本線トンネル又は第2本線トンネルの後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが、火災が発生している第1本線トンネル又は第2本線トンネルに送風するようにするS53と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS54と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法。
【請求項10】
第1本線トンネル又は第2本線トンネルにおける列車の後部で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により停止線、第1渡り線及び第2渡り線に配置される防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS61と、
列車が位置する第1本線トンネル又は第2本線トンネルの後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが、火災が発生している第1本線トンネル又は第2本線トンネルから排煙するようにするS62と、
列車が位置する第1本線トンネル又は第2本線トンネルの先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが、火災が発生している第1本線トンネル又は第2本線トンネルに送風するようにするS63と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS64と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道輸送の技術分野に属し、中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市鉄道輸送の急速な発展に伴い、鉄道輸送は既に人々が出かけるための最も便利で経済的かつ効率的な交通手段の1つとなっている。
【0003】
都市地下交通網の継続的な進歩及び改善に伴い、通常速度の地下鉄では乗客の通勤ニーズを満足することがますます困難になり、多くの都市は高速地下鉄、高速都市間鉄道、高速近郊(地方)鉄道などの建設を開始したが、列車の運行速度が速くて区間間隔が長い問題があるため、トンネルの安全運用に更に大きな課題が生じており、特に長区間トンネル火災は区間トンネルが直面する重要な課題の1つである。
【0004】
トンネル火災は確率的には低い事象であるが、火災が発生すると、トンネル位置の特殊性及びトンネル空間の限定性に起因して、その密閉された環境のため、トンネル火災時の避難、救援、排煙及び消火がいずれも非常に困難になり、トンネル火災の潜在的な危険性は人命及び財産に大きな損失を与える可能性がある。
【0005】
従来の換気排煙モードは一般的な区間トンネルに適用されるが、高速地下鉄、都市間鉄道、近郊(地方)鉄道の建設の加速に伴い、地下鉄、都市間鉄道、近郊(地方)鉄道は将来徐々に統合されていき、将来、高速運行する大量の高速地下鉄、都市間鉄道、近郊(地方)鉄道が運用されることになる。
【0006】
高速地下鉄、都市間鉄道、近郊(地方)鉄道の駅間隔は、従来の地下鉄よりも著しく長いため、長区間が多数存在する。運用の必要に応じて、各路線にいずれも所定数の停止線を設置する必要があるため、中央停止線が設置された長区間はますます多くなっている。
【0007】
従来の鉄道輸送に配置される排気モードは、縦方向送風排煙モードであり、例えば、特許CN203925558Uに地下鉄の短区間換気排煙構造が開示されている。具体的には、縦方向送風排煙システムは、一端で送風し、他端で排煙し、2~11m/sの断面流速を形成し、排煙が一方向へ流れるように制御し、人々を逆方向へ避難させる。しかしながら、長区間に停止線が増設される場合には、少なくとも、
a、停止線が増設されるため、トンネル断面が少なくとも2倍に増加し、元の換気排煙システムのスキームを変えなければ、トンネル断面の流速が2m/s未満であるため、排煙を逆流させて、排煙を想定した方向に制御することができない恐れがあり、
b、工事コスト、施工難易度、地下空間制限などの多くの原因で、長区間トンネルの一部は片側の本線トンネルのみに停止線が設置され、且つ2本の本線トンネルの間に少なくとも2本の渡り線が設置される。渡り線の分流作用によって、本線トンネルの排煙流速が更に低下するため、排煙効果が更に低下してしまい、
c、従来の換気排煙システムは主に本線トンネルに対するものであり、列車が停止線又は渡り線で火災が発生する恐れもある、という技術的問題が発生してしまう。
【0008】
従って、早急に中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム及び方法を設計して、現在の技術的問題を解決しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記技術的問題に対して、中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム及び方法を提供することであり、その構造は合理的であり、防煙シャッタを設置して防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムの動作をインテリジェント制御することにより、トンネル内の本線、停止線、渡り線の火災用換気排煙ニーズを満たし、鉄道輸送の運行の安全性を確保する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的問題を解決するために、本発明は中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムを提供し、該中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムは、防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムを備え、長区間トンネルは第1本線トンネル、第2本線トンネル、停止線、第1渡り線及び第2渡り線を含み、前記停止線は第1本線トンネルに水平に隣接して連通し、且つ前記第1本線トンネルの中央位置に位置し、前記第1渡り線と第2渡り線は前記停止線の両側に設置され、且つ第1本線トンネルと第2本線トンネルを連通し、第1渡り線と第1本線トンネルとの間及び第2渡り線と第2本線トンネルとの間にいずれも防煙シャッタが設置され、停止線の両端には第1本線トンネルに連通する出入口が配置され、前記出入口に防煙シャッタが設置され、前記換気排煙サブシステムの数は複数であり、隣接する換気排煙サブシステムはそれぞれ第1本線トンネル又は第2本線トンネルに連通し、隣接する換気排煙サブシステム同士が連通弁により接続されることで換気排煙サブシステム群が形成され、複数の換気排煙サブシステム群が前記第1本線トンネル及び第2本線トンネルに間隔を置いて設置され、第1渡り線の停止線から離れた側及び第2渡り線の停止線から離れた側に設置された換気排煙サブシステムが少なくともそれぞれ1つある。
【0011】
いくつかの実施例では、前記換気排煙サブシステムは、順次接続される換気塔、ファン連動空気弁、ファン、消音器、送風排煙口空気弁及び送風排煙口を備え、前記連通弁は送風排煙口空気弁と消音器との間に設置される。
【0012】
いくつかの実施例では、前記長区間トンネルに複数の転轍機が更に設置され、いくつかの実施例では、前記転轍機は第1本線トンネルから第1渡り線に入る箇所、第2渡り線から第1本線トンネルに入る箇所、第1本線トンネルから停止線を出入りする箇所、停止線から第1本線トンネルを出入りする箇所、第2本線トンネルから第2渡り線に入る箇所、及び第1渡り線から第2本線トンネルに入る箇所に設置される。
【0013】
更に、前記転轍機は前記防煙シャッタと連動制御され、即ち、
第2本線トンネルから第2渡り線に入る箇所での第8転轍機(58)は該箇所での第4防煙シャッタ(44)と自動的に連動し、第8転轍機が軌道を第2本線トンネルから第2渡り線に方向転換するように制御する場合、第4防煙シャッタ(44)が上昇するように自動的に連動し、第8転轍機が軌道を第2本線トンネルから第2本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第4防煙シャッタ(44)が軌道面まで自動的に降下し、
第1本線トンネルから第1渡り線に入る箇所での第2転轍機(52)は該箇所での第3防煙シャッタ(43)と自動的に連動し、第2転轍機が軌道を第1本線トンネルから第1渡り線に方向転換するように制御する場合、第3防煙シャッタ(43)が上昇するように自動的に連動し、第2転轍機が軌道を第1本線トンネルから第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第3防煙シャッタ(43)が軌道面まで自動的に降下し、
第1本線トンネルから停止線を出入りする箇所での2つの防煙シャッタ(41、42)と、第1本線トンネルと停止線との接続箇所での2つの転轍機(53、56)及び停止線から第1本線トンネルを出入りする箇所での2つの転轍機(54、55)との連動関係を設定することは、具体的には、第3転轍機(53)又は第4転轍機(54)が軌道を第1本線トンネルから停止線に方向転換し又は停止線から第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ(41)を作動させるように自動的に連動してそれを上昇させることと、
第5転轍機(55)又は第6転轍機(56)が軌道を第1本線トンネルから停止線に方向転換し又は停止線から第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第2防煙シャッタ42を作動させるように自動的に連動してそれを上昇させることと、
第3転轍機(53)が軌道を第1トンネルから第1トンネルに方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ(41)を作動させるように自動的に連動してそれを軌道面まで降下することと、
第6転轍機(56)が軌道を第1トンネルから第1トンネルに方向転換するように制御する場合、第2防煙シャッタ(42)を作動させるように自動的に連動してそれを軌道面まで降下することと、
第4転轍機(54)又は第5転轍機(55)が軌道を停止線から停止線に方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ(41)と第2防煙シャッタ(42)とを動作するように連動しないことと、を含む。
【0014】
また、本発明は中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法を更に提供し、上記の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムを用い、
長区間トンネルにおける列車の火災位置が先頭であるか後部であるかを検出して、列車の位置する路線を判定し、更に列車の路線における位置、例えば、列車の第1本線トンネル又は第2本線トンネルにおける位置を判断するS1と、
列車の火災位置、列車の位置する路線及び列車の路線における位置に基づいて、防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムの起動/停止を制御して、該換気排煙サブシステムが火災からの煙を排出するようにするS2と、を含む。
【0015】
いくつかの実施例では、停止線における列車の先頭で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により停止線の両端の防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第1渡り線及び第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS11と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルから排煙するようにするS12と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルに送風するようにするS13と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS14と、を含む。
【0016】
いくつかの実施例では、停止線における列車の後部で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により停止線の両端の防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第1渡り線及び第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS21と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルから排煙するようにするS22と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する換気排煙サブシステムの別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルに送風するようにするS23と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS24と、を含む。
【0017】
いくつかの実施例では、第1渡り線における列車の先頭が第2本線トンネルに面しており、列車の先頭で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により第1渡り線における防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動し、停止線の両端の防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS31と、
第2本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが該列車の先頭方向における第2本線トンネルから排煙するようにするS32と、
第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが該列車の後部方向における第1本線トンネルに送風するようにするS33と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS34と、を含む。
【0018】
いくつかの実施例では、第1渡り線における列車の先頭が第2本線トンネルに面しており、列車の後部で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により第1渡り線における防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動し、停止線の両端の防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS41と、
第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが該列車の後部方向における第1本線トンネルから排煙するようにするS42と、
第2本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが該列車の先頭方向における第2本線トンネルに送風するようにするS43と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS44と、を含む。
【0019】
いくつかの実施例では、第1本線トンネル又は第2本線トンネルにおける列車の先頭で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により停止線、第1渡り線及び第2渡り線に配置される防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS51と、
列車が位置する第1本線トンネル又は第2本線トンネルの先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが、火災が発生している第1本線トンネル又は第2本線トンネルから排煙するようにするS52と、
列車が位置する第1本線トンネル又は第2本線トンネルの後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが、火災が発生している第1本線トンネル又は第2本線トンネルに送風するようにするS53と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS54と、を含む。
【0020】
いくつかの実施例では、第1本線トンネル又は第2本線トンネルにおける列車の後部で火災が発生した場合、換気排煙ステップは、
転轍機により停止線、第1渡り線及び第2渡り線に配置される防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するS61と、
列車が位置する第1本線トンネル又は第2本線トンネルの後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが、火災が発生している第1本線トンネル又は第2本線トンネルから排煙するようにするS62と、
列車が位置する第1本線トンネル又は第2本線トンネルの先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが、火災が発生している第1本線トンネル又は第2本線トンネルに送風するようにするS63と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するS64と、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
本発明に係る中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム及び方法は、その構造が合理的であり、防煙シャッタを設置して防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムの動作を制御すること、及び防煙シャッタを軌道面に降下し又は上昇させるように自動的に連動することにより、換気排煙に関与しないトンネル/停止線/渡り線を隔離し、風量損失を減少させ、断面風速を向上させ、排煙効果を改善し、停止線火災用換気排煙方法及び渡り線火災用換気排煙方法を提案し、従来の換気排煙モードではカバーできない問題を解決し、トンネル内の本線、停止線、渡り線の火災用換気排煙ニーズを満たし、鉄道輸送の運行の安全性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の上記利点は、下記図面を参照して行った詳細な説明によって、より明確かつ容易に理解できるようになるが、これらの図面は模式的なものに過ぎず、本発明を制限するものではない。
図1図1は本発明に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムの構造模式図である。
図2図2図1のAの部分拡大図である。
図3図3図1のBの部分拡大図である。
図4図4は本発明に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法のフローチャートである。
図5-10】図5図10は本発明に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法の他の実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、具体的な実施例及び図面によって本発明を詳しく説明する。
【0024】
ここに記載された実施例は本発明の特定の具体的な実施形態であり、本発明の構想を説明するためのものであり、いずれも説明的かつ例示的なものであり、本発明の実施形態及び本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。ここに記載された実施例以外に、当業者は更に本願の特許請求の範囲及び明細書に開示される内容に基づいて自明な他の技術的解決策を用いてもよく、これらの技術的解決策はここに記載された実施例に対して任意の自明な置換及び修正を行った技術的解決策を含む。
【0025】
本明細書の図面は模式図であり、本発明の概念の説明を支援するものであり、各部分の形状及びそれらの相互関係を模式的に示す。ただし、本発明の実施例の各部材の構造を明確に示すために、各図面は同じ比率で描かれたものではない。同じ参照記号は同じ部分を示すためのものである。
【0026】
本発明では、列車の前進方向が前方である。
【0027】
本発明では、列車の前半編成を先頭火災、後半編成を後部火災とし、例えば、8台編成の場合、最初の4両の車両の火災が先頭火災、最後の4両の車両の火災が後部火災であり、列車編成が基数である場合、中間1両の車両の火災を後部火災として定義し、例えば、7台編成の場合、最初の3両の車両の火災が先頭火災、最後の4両の車両の火災が後部火災である。
【0028】
実施例1
本願に記載の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムの模式図を図1に示す。該中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムは防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムを備える。具体的には、防煙シャッタの数は4であり、それぞれ第1防煙シャッタ41、第2防煙シャッはタ42、第3防煙シャッタ43及び第4防煙シャッタ44である。そして、換気排煙サブシステムの数は8セットであり、例えば、第1換気排煙サブシステム61、第2換気排煙サブシステム62などが挙げられ、換気排煙サブシステムは本線トンネルに間隔を置いて設置される。
【0029】
図1に示す実施例では、長区間トンネルは2本の本線トンネル、停止線及び渡り線を含み、前記停止線は一方の本線トンネルに水平に隣接し、且つ前記本線トンネルの中央位置に位置し、前記渡り線は前記停止線の両側に設置され、且つ2本の本線トンネルの間を連通する。図1では、本線トンネルは第1本線トンネル11及び第2本線トンネル12を含み、停止線2が第1本線トンネル11に水平に隣接して設置され、且つ停止線2が第1本線トンネル11の中央位置に設置される。
【0030】
更に、前記換気排煙サブシステムの数は複数であり、隣接する換気排煙サブシステムはそれぞれ第1本線トンネル11又は第2本線トンネル12に連通し、隣接する換気排煙サブシステム同士が連通弁により接続されることで換気排煙サブシステム群が形成され、複数の換気排煙サブシステム群が前記第1本線トンネル11及び第2本線トンネル12に間隔を置いて設置され、第1渡り線31の停止線2から離れた側及び第2渡り線32の停止線2から離れた側に設置された換気排煙サブシステムが少なくともそれぞれ1つある。
【0031】
図2図1のAの部分拡大図であり、第1換気排煙サブシステム61は第2本線トンネル12に連通し、第2換気排煙サブシステム62は第1本線トンネル11に連通する。連通弁617が第1換気排煙サブシステム61と第2換気排煙サブシステム62との間に設置され、それらは換気排煙サブシステム群を形成する。
【0032】
図1に示す実施例では、前記換気排煙サブシステム群の数は4であり、それぞれ第1本線トンネル11及び第2本線トンネル12の両端並びに停止線2の両端に設置され、それにより列車は異なる路線及び位置に火災が発生する状況に対応して、列車の運行の安全性を確保する。
【0033】
本発明では、換気排煙サブシステムは、順次接続される換気塔、ファン連動空気弁、ファン、消音器、送風排煙口空気弁及び送風排煙口を備え、前記連通弁は送風排煙口空気弁と消音器との間に設置される。
【0034】
以下、図2に示す第1換気排煙サブシステム61を例として、換気排煙サブシステムの構成及び接続関係を説明する。第1換気排煙サブシステム61は換気塔611、ファン連動空気弁612、ファン613、消音器614、送風排煙口空気弁615、送風排煙口616を備える。第1換気排煙サブシステム61と第2換気排煙サブシステム62とが1つの連通弁617により群となるように接続され、それらの接続位置は送風排煙口空気弁615と消音器614との間に位置する。
【0035】
本発明では、第1換気排煙サブシステム61の対応部材の番号は61を先頭番号とするが、第2換気排煙サブシステム62の対応部材の番号は62を先頭番号とし、他の換気排煙サブシステムも同様である。
【0036】
図3では、停止線2の両端が第1本線トンネル11及び第2本線トンネル12に連通し、停止線2の両端には第1本線トンネル11及び第2本線トンネル12に連通する出入口が配置され、第3防煙シャッタ43と第4防煙シャッタ44とが前記出入口に設置される。
【0037】
更に、前記渡り線の数は1対であり、前記停止線の両側に設置され、且つ第1本線トンネル11と第2本線トンネル12を連通する。具体的には、本発明に記載のトンネル火災用換気排煙システムは停止線2の両側に対称に設置される第1渡り線31及び第2渡り線32を備える。
【0038】
図3に示す実施例では、トンネル火災用換気排煙システムに複数の防煙シャッタが配置され、具体的には、停止線と第1本線トンネル11との間、第1渡り線31と第1本線トンネル11との間及び第2渡り線32と第2本線トンネル12との間にいずれも防煙シャッタが設置され、渡り線と本線トンネルとの間に設置される防煙シャッタの数は1対である。具体的には、第3防煙シャッタ43が停止線2に近接して設置され、第4防煙シャッタ44が停止線2から離れて設置される。
【0039】
図1に示す実施例では、前記長区間トンネルは複数の転轍機、例えば、第1転轍機51、第2転轍機52などを更に備え、前記転轍機は前記防煙シャッタと連動制御される。
【0040】
図1では、第1本線トンネル11に4セットの転轍機が設置され、これらは、それぞれ第1本線トンネル11から第1渡り線31に入る箇所での第2転轍機52、第1渡り線31から第1本線トンネル11に入る箇所での第7転轍機57、第1本線トンネル11から停止線2を出入りする対応位置での第3転轍機53、及び第6転轍機56である。停止線2に2箇所での転轍機(第4転轍機54及び第5転轍機55)が設置され、これらは、それぞれ停止線2から第1本線トンネル11を出入りする箇所に位置する。第2本線トンネル12に2つの転轍機が設置され、これらは、それぞれ第2本線トンネル12から第2渡り線32に入る箇所での第8転轍機58、及び第1渡り線31から第2本線トンネル12に入る対応位置での第1転轍機51である。そのうち、8箇所での転轍機が4つの防煙シャッタと自動的に連動し、具体的な連動方法は、第2本線トンネルから第2渡り線に入る箇所での第8転轍機58が該箇所での第4防煙シャッタ44と自動的に連動し、第8転轍機が軌道を第2本線トンネルから第2渡り線に方向転換するように制御する場合、第4防煙シャッタ44が上昇するように自動的に連動し、第8転轍機が軌道を第2本線トンネルから第2本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第4防煙シャッタ44が軌道面まで自動的に降下することと、
第1本線トンネルから第1渡り線に入る箇所での第2転轍機52が該箇所での第3防煙シャッタ43と自動的に連動し、第2転轍機が軌道を第1本線トンネルから第1渡り線に方向転換するように制御する場合、第3防煙シャッタ43が上昇するように自動的に連動し、第2転轍機が軌道を第1本線トンネルから第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第3防煙シャッタ43が軌道面まで自動的に降下することと、を含み、
第1本線トンネルから停止線を出入りする箇所での2つの防煙シャッタ41、42と、第1本線トンネルと停止線との接続箇所での2つの転轍機53、56及び停止線から第1本線トンネルを出入りする箇所での2つの転轍機54、55との連動関係を設定することは、具体的には、第3転轍機53又は第4転轍機54が軌道を第1本線トンネルから停止線に方向転換し又は停止線から第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ41を作動させるように自動的に連動してそれを上昇させることと、
第5転轍機55又は第6転轍機56が軌道を第1本線トンネルから停止線に方向転換し又は停止線から第1本線トンネルに方向転換するように制御する場合、第2防煙シャッタ42を作動させるように自動的に連動してそれを上昇させることと、
第3転轍機53が軌道を第1トンネルから第1トンネルに方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ41を作動させるように自動的に連動してそれを軌道面まで降下することと、
第6転轍機56が軌道を第1トンネルから第1トンネルに方向転換するように制御する場合、第2防煙シャッタ42を作動させるように自動的に連動してそれを軌道面まで降下することと、
第4転轍機54又は第5転轍機55が軌道を停止線から停止線に方向転換するように制御する場合、第1防煙シャッタ41と第2防煙シャッタ42とを動作するように連動しないことと、を含む。
【0041】
実施例2
同時に、本発明は、上記の中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムを用いる、中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙方法を更に開示し、そのフローチャートは図4に示す通りであり、
長区間トンネルにおける列車の火災位置が先頭であるか後部であるかを検出して、列車の位置する路線を判定し、更に列車の路線における位置、例えば、列車の第1本線トンネル又は第2本線トンネルにおける位置を判断し、列車がどの群の換気排煙サブシステムの間に位置するかを判断するS1と、
列車の火災位置、列車の位置する路線及び列車の路線における位置に基づいて、防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムの起動/停止を制御して、該換気排煙サブシステムが火災に対応する路線に送風し/路線から排煙するようにするS2と、を含む。
【0042】
なお、本発明では、列車の先頭及び後部の位置を示すために、第1本線トンネル11、第2本線トンネル12、第1渡り線31及び第2渡り線32に運転方向が表示されている。
【0043】
実施例3
本発明では、停止線における列車の先頭で火災が発生した場合、換気排煙についてのフローチャートは図5に示す通りであり、具体的には、
転轍機により停止線の両端の防煙シャッタを作動させるように連動して、防煙シャッタを上昇させ、第1渡り線及び第2渡り線における防煙シャッタを軌道面まで降下するように連動するステップS11と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して正回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルから排煙するようにするステップS12と、
停止線に直接連通する第1本線トンネルにおける列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムを起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における1番目の換気排煙サブシステムに隣接する別の換気排煙サブシステムを起動して逆回転させて、連通弁を開き、上記別の換気排煙サブシステムの換気口空気弁を閉じて、上記別の換気排煙サブシステムが停止線に直接連通する第1本線トンネルに送風するようにするステップS13と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するステップS14と、を含む。
【0044】
以下、図1に示す中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システムを参照して、上記ステップについて説明する。
火災探知機は列車が停止線2に火災が発生し又は列車が停止線2に火災が発生したことを制御室に手動で報告し、且つ火災の具体的な位置が列車の先頭であり、列車の先頭方向が第1防煙シャッタ41に接近することを探知した場合、換気排煙ステップは、具体的には、
まず、転轍機により停止線2の両端の第1防煙シャッタ41及び第2防煙シャッタ42を作動させるように連動してそれらを上昇させ、該長区間内の第1渡り線31での第3防煙シャッタ43及び第2渡り線32での第4防煙シャッタ44を軌道面まで降下するように連動し、
次に、停止線2に直接連通する第1本線トンネル11における先頭方向における第4換気排煙サブシステム64を起動して正回転により排煙し、具体的には、第4換気排煙サブシステム64のファン連動空気弁642、ファン643及び換気口空気弁645を作動させてファン643を正回転させ、該換気排煙システム群の第2本線トンネル12における第3換気排煙サブシステム63を正回転させるように自動的に連動して2つの換気排煙サブシステム間の連通弁637を開き、第3換気排煙サブシステム63の換気口空気弁635を閉じて、第3換気排煙サブシステム63が停止線2に直接連通する第1本線トンネル11を排煙するようにし、
次に、停止線2に直接連通する第1本線トンネル11における後部方向における第5換気排煙サブシステム65を作動させて逆回転により送風し、該換気排煙サブシステム群の第2本線トンネル12における第6換気排煙サブシステム66を逆回転させるように自動的に連動して2つの換気排煙サブシステム間の連通弁657を開き、第6換気排煙サブシステム66の換気口空気弁665を閉じて、第6換気排煙サブシステム66が停止線2に直接連通する第1本線トンネル11に送風するようにし、停止線3に直接連通する第1本線トンネル11における後部方向における第7換気排煙サブシステム67を起動するように自動的に連動して逆回転により送風し、
最後に、該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動する。以上の換気排煙動作の実行によって、鉄道輸送の使用の安全性が効果的に確保される。
【0045】
実施例4
本発明では、停止線2における列車の後部で火災が発生した場合、換気排煙についてのフローチャートは図6に示す通りであり、具体的には、
転轍機により停止線2の両端の第1防煙シャッタ41及び第2防煙シャッタ42を作動させるように連動して、第1防煙シャッタ41及び第2防煙シャッタ42を上昇させ、第1渡り線31及び第2渡り線32に対応する第3防煙シャッタ43及び第4防煙シャッタ44を軌道面まで降下するように連動するステップS21と、
停止線2に直接連通する第1本線トンネル11における列車の後部方向における第4換気排煙サブシステム64を起動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における第4換気排煙サブシステム64に隣接する第3換気排煙サブシステム63を起動して正回転させ、2つの換気排煙サブシステム間の連通弁637を開き、第3換気排煙サブシステム63の換気口空気弁635を閉じて、第3換気排煙サブシステム63が停止線2に直接連通する第1本線トンネル11を排煙するようにするステップS22と、
停止線2に直接連通する第1本線トンネル11における列車の先頭方向における第5換気排煙サブシステム65を起動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における第5換気排煙サブシステム65に隣接する第6換気排煙サブシステム66を起動して逆回転させ、2つの換気排煙サブシステム間の連通弁657を開き、第6換気排煙サブシステム66の換気口空気弁665を閉じて、上記第6換気排煙サブシステム66が停止線2に直接連通する第1本線トンネル11に送風するようにするステップS23と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するステップS24と、を含む。
【0046】
実施例5
本発明では、第1渡り線31における列車の先頭が第2本線トンネル12に面しており、列車の先頭で火災が発生した場合、換気排煙についてのフローチャートは図7に示す通りであり、具体的には、
転轍機により第1渡り線31における第3防煙シャッタ43を作動させるように連動して、第3防煙シャッタ43を上昇させ、第2渡り線32における第4防煙シャッタ44を軌道面まで降下するように連動し、停止線2の両端の第1防煙シャッタ41及び第2防煙シャッタ42を軌道面まで降下するように連動するステップS31と、
第2本線トンネル12における列車の先頭方向における第3換気排煙サブシステム63を起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における第3換気排煙サブシステム63に隣接する第4換気排煙サブシステム64を起動して正回転させ、それらの間の連通弁637を開き、第4換気排煙サブシステム64の換気口空気弁645を閉じて、上記第4換気排煙サブシステム64が該列車の先頭方向における第2本線トンネル12を排煙するようにするステップS32と、
第1本線トンネル11における列車の後部方向における第4換気排煙サブシステム64を起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における第4換気排煙サブシステム64に隣接する第3換気排煙サブシステム63を起動して逆回転させ、それらの間の連通弁637を開き、第3換気排煙サブシステム63の換気口空気弁635を閉じて、第3換気排煙サブシステム63が該列車の後部方向における第1本線トンネル11に送風するようにするステップS33と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するステップS34と、を含む。
【0047】
実施例6
本発明では、第1渡り線31における列車の先頭が第2本線トンネル12に面しており、列車の後部で火災が発生した場合、換気排煙についてのフローチャートは図8に示す通りであり、具体的には、
転轍機により第1渡り線31における第3防煙シャッタ43を作動させるように連動して、第3防煙シャッタ43を上昇させ、第2渡り線32における第4防煙シャッタ44を軌道面まで降下するように連動し、停止線2の両端の第1防煙シャッタ41及び第2防煙シャッタ42を軌道面まで降下するように連動するステップS41と、
第1本線トンネル11における列車の後部方向における第4換気排煙サブシステム64を起動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における第4換気排煙サブシステム64に隣接する第3換気排煙サブシステム63を起動して正回転させ、それらの間の連通弁637を開き、第3換気排煙サブシステム63の換気口空気弁635を閉じて、第3換気排煙サブシステム63が該列車の後部方向における第1本線トンネル11を排煙するようにするステップS42と、
第2本線トンネル12における列車の先頭方向における第3換気排煙サブシステム63を起動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における第3換気排煙サブシステム63に隣接する第4換気排煙サブシステム64を起動して逆回転させ、それらの間の連通弁637を開き、第4換気排煙サブシステム64の換気口空気弁645を閉じて、第4換気排煙サブシステム64が該列車の先頭方向における第2本線トンネル12に送風するようにするステップS43と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するステップS44と、を含む。
【0048】
実施例7
本発明では、第1本線トンネル11における列車の先頭に火災が発生し、且つ列車が第2換気排煙サブシステム62と第4換気排煙サブシステム64との間に停車した場合、そのフローチャートは図9に示す通りであり、具体的には、
転轍機により停止線2、第1渡り線31及び第2渡り線32にそれぞれ配置される第1防煙シャッタ41、第2防煙シャッタ42、第3防煙シャッタ43及び第4防煙シャッタ44を軌道面まで降下するように連動するステップS51と、
列車が位置する第1本線トンネル11における先頭方向における第4換気排煙サブシステム64を起動して正回転により排煙し、該列車の先頭方向における第4換気排煙サブシステム64に隣接する第3換気排煙サブシステム63を起動して正回転させ、それらの間の連通弁637を開き、第3換気排煙サブシステム63の換気口空気弁635を閉じて、第3換気排煙サブシステム63が、火災が発生している第1本線トンネル11を排煙するようにするステップS52と、
列車が位置する第1本線トンネル11における後部方向における第2換気排煙サブシステム62を起動して逆回転により送風し、該列車の後部方向における第2換気排煙サブシステム62に隣接する第1換気排煙サブシステム61を起動して逆回転させ、それらの間の連通弁617を開き、第1換気排煙サブシステム61の換気口空気弁615を閉じて、第1換気排煙サブシステム61が、火災が発生している第1本線トンネル11に送風するようにするステップS53と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するステップS54と、を含む。
【0049】
理解されるように、火災列車が第1本線トンネル11の他の位置に位置し、又は第2本線トンネル12における列車の先頭で火災が発生した場合、列車の両端に近接する換気排煙サブシステムを制御することで排煙し、そのステップは上記ステップと同様である。
【0050】
実施例8
本発明では、第2本線トンネル12における列車の後部に火災が発生し、且つ列車が第6換気排煙サブシステム66と第8換気排煙サブシステム68との間に位置する場合、換気排煙についてのフローチャートは図10に示す通りであり、具体的には、
転轍機により停止線13、第1渡り線31及び第2渡り線32にそれぞれ配置される第1防煙シャッタ41、第2防煙シャッタ42、第3防煙シャッタ43及び第4防煙シャッタ44を軌道面まで降下するように連動するステップS61と、
転轍機により列車が位置する第2本線トンネル12における後部方向における第8換気排煙サブシステム68を起動するように連動して正回転により排煙し、該列車の後部方向における第8換気排煙サブシステム68に隣接する第7換気排煙サブシステム67を起動して正回転させ、それらの間の連通弁677を開き、第7換気排煙サブシステム67の換気口空気弁675を閉じて、第7換気排煙サブシステム67が、火災が発生している第2本線トンネル12を排煙するようにするステップS62と、
転轍機により列車が位置する第2本線トンネル12における先頭方向における第6換気排煙サブシステム66を起動するように連動して逆回転により送風し、該列車の先頭方向における第6換気排煙サブシステム66に隣接する第5換気排煙サブシステム65を起動して逆回転させ、それらの間の連通弁657を開き、第5換気排煙サブシステム65の換気口空気弁655を閉じて、第5換気排煙サブシステム65が、火災が発生している第2本線トンネル12に送風するようにするステップS63と、
該長区間トンネル内の他の換気排煙サブシステムを停止するように自動的に連動するステップS64と、を含む。
【0051】
理解されるように、火災列車が第2本線トンネル12の他の位置に位置し、又は第1本線トンネル11における列車の先頭で火災が発生した場合、列車の両端に近接する換気排煙サブシステムを制御することで排煙し、そのステップは上記ステップと同様である。
【0052】
従来技術の欠点及び欠陥と比較して、本発明に係る中央停止線が設置された長区間トンネル火災用換気排煙システム及び方法は、その構造が合理的であり、防煙シャッタを設置して防煙シャッタ及び換気排煙サブシステムの動作を制御すること、及び防煙シャッタを軌道面に降下し又は上昇させるように自動的に連動することにより、換気排煙に関与しないトンネル/停止線/渡り線を隔離し、風量損失を減少させ、断面風速を向上させ、排煙効果を改善し、停止線火災用換気排煙方法及び渡り線火災用換気排煙方法を提案し、従来の換気排煙モードではカバーできない問題を解決し、トンネル内の本線、停止線、渡り線の火災用換気排煙ニーズを満たし、鉄道輸送の運行の安全性を確保する。
【0053】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、誰でも本発明の示唆に基づいていずれも他の様々な形式の製品を得ることができるが、その形状又は構造をどのように変化させるかに関わらず、本願と同様又は類似の技術的解決策であれば、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
11 第1本線トンネル
12 第2本線トンネル
2 停止線
31 第1渡り線
32 第2渡り線
41 第1防煙シャッタ
42 第2防煙シャッタ
43 第3防煙シャッタ
44 第4防煙シャッタ
51 第1転轍機
52 第2転轍機
53 第3転轍機
54 第4転轍機
55 第5転轍機
56 第6転轍機
57 第7転轍機
58 第8転轍機
61 第1換気排煙サブシステム
62 第2換気排煙サブシステム
63 第3換気排煙サブシステム
64 第4換気排煙サブシステム
65 第5換気排煙サブシステム
66 第6換気排煙サブシステム
67 第7換気排煙サブシステム
68 第8換気排煙サブシステム
611 換気塔
612 ファン連動空気弁
613 ファン
614 消音器
615 換気口空気弁
616 換気口
617 連通弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10