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特開2024-87792生分解性舌圧子の原料組成及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087792
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】生分解性舌圧子の原料組成及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/04 20060101AFI20240624BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20240624BHJP
   C08L 97/02 20060101ALI20240624BHJP
   C08L 3/02 20060101ALI20240624BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20240624BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240624BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20240624BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20240624BHJP
   C08L 101/14 20060101ALI20240624BHJP
   A61B 13/00 20060101ALI20240624BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20240624BHJP
【FI】
A61L31/04
C08J3/20 CEP
C08J3/20 CEX
C08L97/02 ZBP
C08L3/02
C08L67/04
C08L67/02
C08L29/04 Z
C08K5/20
C08L101/14
A61B13/00
C08L101/16
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211092
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】111148738
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523469951
【氏名又は名称】王 正雄
(71)【出願人】
【識別番号】318003582
【氏名又は名称】株式会社アミカテラ
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】王 正雄
【テーマコード(参考)】
4C081
4F070
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4C081AC16
4C081BA17
4C081CD031
4C081CD32
4C081CD34
4C081CE09
4C081DA01
4C081EA02
4C081EA03
4F070AA02
4F070AA03
4F070AA26
4F070AA47
4F070AA61
4F070AA66
4F070FA03
4F070FA07
4F070FB06
4F070FC06
4J002AB014
4J002AB042
4J002AB044
4J002AB054
4J002AH001
4J002BE023
4J002BG134
4J002BJ004
4J002CF033
4J002CF043
4J002CF053
4J002CF183
4J002CF193
4J002EP027
4J002EX036
4J002FD177
4J002GB01
4J200AA04
4J200AA16
4J200AA27
4J200AA28
4J200BA05
4J200BA07
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4J200BA15
4J200BA17
4J200BA18
4J200BA20
4J200BA25
4J200BA27
4J200BA37
4J200BA38
4J200CA00
4J200DA22
4J200EA20
4J200EA22
(57)【要約】
【課題】生分解性舌圧子の原料組成及びその製造方法を提供する。
【解決手段】生分解性舌圧子の原料組成及びその製造方法において、44~59%の植物繊維粉末、20~29%のデンプン、11~23%のバイオベース原料、5~10%の水溶性高分子膠、3~6%のカップリング剤、及び0.01~0.2%の潤滑剤を用いて原料粒を製造した後に、熱風乾燥機で原料粒を乾燥させる。製造する際には原料粒を射出成形機のカートリッジからチューブ内に移動し、高温で融解させて混練した後に、融解した繊維原料を射出して金型内に充填する。金型には複数の舌圧子型穴が設けられており、繊維原料を前記舌圧子型穴の中に充填した後に、繊維原料に対して冷却、成形、離型を行うことで舌圧子の完成品を得ることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物繊維粉末44~59%、デンプン20~29%、バイオベース原料11~23%、水溶性高分子膠5~10%、カップリング剤3~6%、及び潤滑剤0.01~0.2%を含む、
生分解性舌圧子原料の組成物。
【請求項2】
前記植物繊維粉末が、天然植物の茎、樹皮、葉又は果皮を繊維原料とし、粉砕と乾燥の処理を行った後に、含水率を20%以下にすることで得られた粉末であり、且つ前記デンプンが、竹、小麦、ジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモ、キャッサバ、レンコン、米、又は藻類の植物由来のものである、
請求項1に記載の生分解性舌圧子原料の組成物。
【請求項3】
前記バイオベース原料がポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、又はポリカプロラクトン(PCL)、又はポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、又はポリビニルアルコール(PVA)、又はポリ乳酸(PLA)、又は二酸化炭素の共重合体である、
請求項1に記載の生分解性舌圧子原料の組成物。
【請求項4】
前記水溶性高分子膠が化学改質された天然の重合体である、
請求項1に記載の生分解性舌圧子原料の組成物。
【請求項5】
前記潤滑剤が第1級アミド、第2級アミド又はエチレンビスステアロアミドである、
請求項1に記載の生分解性舌圧子原料の組成物。
【請求項6】
生分解性舌圧子製造方法であって、
A.請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の生分解性舌圧子原料の取得工程と、
B.原料粒の乾燥工程(原料粒を熱風乾燥機内に入れて乾燥作業を行い、それにより原料粒に含まれる水分を減少させる)と、
C.原料粒の加熱工程(原料粒を成形機のカートリッジからその中に移動し、高温で原料粒を融解させて混練した後に、融解した繊維原料を金型内に充填し、ここで、前記金型には複数の舌圧子型穴が設けられており、繊維原料は前記舌圧子型穴の中に充填される)と、
D.冷却工程と成形工程(繊維原料を前記舌圧子型穴の中に充填した後に、繊維原料を冷却し、成形させる)と、
E.離型工程(成形済みの繊維原料に対して離型を行うことで舌圧子の完成品を得る)と、
を含む、生分解性舌圧子の製造方法。
【請求項7】
前記成形機が射出成形機である、
請求項6に記載の生分解性舌圧子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は舌圧子の生産と製造に関し、特に生分解性原料で製造される舌圧子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生分解性原料粒の組成成分の研究と生産について、本発明の出願人は以前、台湾特許出願番号108102795の「生分解性植物繊維原料の組成物及びその製造方法」で特許を取得している。前記先行特許は植物繊維で製造された原料粒を開示しており、前記原料粒の配合成分と配合比率は以下のとおりである。植物繊維粉末40~60%、デンプン20~30%、デンプンを発酵してなる植物性ガム粉末10~20%、水溶性高分子膠5~10%、及びセルロース3~5%。前記配合成分を加熱して混練し、複数のストランドを得た後に、前記ストランドをカットユニットによって粒状の原料粒に切断する。また、本発明の発明者は配合成分の異なる原料粒を開示している別の二つの先行特許を取得しており、それぞれ台湾特許出願番号110105195の「植物繊維原料粒の組成及び繊維ボトル/缶の成形方法における応用」と、台湾特許出願番号110105196の「繊維バッグの成形方法」の特許である。前記二つの特許により開示されている繊維原料粒の配合成分はいずれも以下のとおりである。植物繊維粉末41~59%、デンプン21~29%、天然接着剤8~28%(当該天然接着剤はデンプンにジカルボン酸及び発酵用の菌株を添加することによって製造される)、水溶性高分子膠6~12%、改質剤3~5%、及び潤滑剤0.01~0.2%。前記配合成分で製造された原料粒は、専用の機器による繊維ボトル/缶又はバッグの製造のために用いられる。それらの繊維製品によりプラスチック製の容器製品を代替することができる。
【0003】
本出願人の前記三つの先行特許における配合成分については、主にデンプンを発酵してなる植物性ガム粉末、即ち天然接着剤を接着用媒体として利用しており、それを植物繊維粉末及びデンプンと一緒に混練して融合することで、デンプン及び植物繊維粉末を持続的に結合させることができる。また、天然接着剤により、デンプン、菌株及びジカルボン酸が混合されて発酵した後に、デンプン分子の構造は改質される。デンプンは元々、加熱されて糊化しても大きい結合力と接着力を有する状態にはならないが、デンプン分子を変えることでその結合力を大幅に向上させることができる。なお、天然接着剤は市販の製品ではなく、出願人が独自に調合して生産したものであり、その製造プロセスは以下のとおりである。
S1.菌株の取得。通常は乳酸菌を使用し、ここで乳酸菌は自ら製造したものであってよく、市販された製品であってもよい。
S2.原料の製造。微生物発酵の製造技術を採用し、例えば45kgのデンプンを容積が1.5立方メートル以上であるバレルの中に入れ、約800kgの水を加え、高圧噴射により均質化と液化を行い、液体原料を得る。
S3.原料の糖化。高圧スプレーガンを用いて液体原料を加圧濾過器に注入し(XMAY-800型の加圧濾過器を用いることができる)、タンパク質と金属イオンを除去し、濾滓を飼料として利用することができ、濾液をカートリッジに集め、10kgの未発酵デンプン、約0.3~0.5kgの増粘剤、及び5kgのブドウ糖を添加し、それにより炭素源を補充し、カートリッジに蓋を掛けた後に、約50°Cの条件下で蒸気を間欠的に入れることによって糖化を4時間行い、糖化中は1時間おきに10分間攪拌する。
S4.乳酸による発酵。ステップS1で取得した乳酸菌(量は総体積の10%に相当)と、ジカルボン酸(量は総体積の約10%に相当)を糖化液に加え、バレルに蓋を掛け、蒸気を入れて温度を約37°Cまで上げ、嫌気的に培養し、熱い蒸気を間欠的に供給することにより、発酵の温度を50~55度に維持し、72~80時間発酵し、発酵中は2時間ごとに10分間攪拌する。
S5.固化と粉砕。発酵済みの産物を室温で固化させた後に、粉末状になるまで粉砕し、天然接着剤を得る。
【0004】
前記天然接着剤の製造プロセスは複雑で時間がかかるだけでなく、品質の安定性が成分比率の誤差から影響を受ける可能性もあり、そのため、出願人は配合成分の改善を視野に入れた。また、現在市販されているバイオベース/バイオプラスチックの原料には、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、ポリビニルアルコール(PVA)、二酸化炭素の共重合体などが含まれている。これらのバイオプラスチックを製品の製造のために用いる際に、添加量を原料の50%以上に設定する必要があり、例えば、台湾特許I599598の「生分解性フィルム原料及びその製造方法」において、以下の内容が開示されている。生分解性原料はPLA、PBAT及びPBSのうちの一つ又は二つ以上で構成され、その含有量は60~70質量パーセントである。食品グレードの農業廃棄物は、デンプン類、繊維類、タンパク質類又は脂質類であり、粒子径が50μm以下であり、含有量が10~30質量パーセントである。改質剤は、炭酸カルシウム(CaCO3)粉末又はケイ酸マグネシウム塩類の粉末であり、粒子径が8μm以下であり、含有量が7~29質量パーセントである。有機分解菌は耐熱型のバチルス・アミロリクエファシエンスであり、含有量が1~3質量パーセントである。製造プロセスにおいて、前記生分解性原料、食品グレードの農業廃棄物、改質剤及び有機分解菌を混練した後に、空気を吹き込んで厚さが40μm~60μmである生分解性フィルムを製造する。
【0005】
バイオプラスチックは自然環境で分解することができるが、PLAのような原料は特定の環境でしか分解することができず、そのため、製品に含まれるバイオプラスチックの比率が高すぎる場合、一般的な環境で自然に分解することができず、生態系に悪影響を及ぼすことがある。そのため、利用可能なバイオプラスチックを開発して、バイオマス原料として従来の配合成分に組み込むことによって環境への負担を軽減するという方法を視野に入れた。
【0006】
また、舌圧子は内科医が診察する際に必要な消耗品の一つであり、一般的な舌圧子は天然木を原料とする。診察には年間1千万本以上の舌圧子が使用されており、木材需要が極めて高く、生態系と自然資源に悪影響を及ぼしている。
それに鑑みて、本発明の発明者は、前記従来の課題に対して鋭意検討を行い、長年の業界における開発及び製造の経験に基づいて積極的に解決方法を探した。長期の研究及び発展を経た結果、従来の課題を改善するための、本発明の「生分解性舌圧子の原料組成及びその製造方法」の開発に成功した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は「生分解性舌圧子の原料組成及びその製造方法」を提供することであり、即ち廃棄された植物繊維及びバイオベース原料をデンプンと混合して舌圧子を製造し、それにより天然木の消費及び自然資源の消費を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明「生分解性舌圧子の原料組成及びその製造方法」の製造プロセスは以下を含む。A.原料粒の取得であって、前記原料粒の成分は以下を含む。植物繊維粉末44~59%、デンプン20~29%、バイオベース原料11~23%、水溶性高分子膠5~10%、カップリング剤3~6%、及び潤滑剤0.01~0.2%。ここで、前記植物繊維粉末は、天然植物の茎、樹皮、葉又は果皮を繊維原料とし、粉砕と乾燥の処理を行った後に、含水率を20%以下にすることで得られた粉末である。また、前記デンプンは、竹、小麦、ジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモ、キャッサバ、レンコン、米、又は藻類等の植物由来のものであってもよい。また、前記バイオベース原料はポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であってよく、又はポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、二酸化炭素の共重合体のうちの一つ又は二つ以上の組み合わせであってもよい。植物繊維粉末、デンプン及びバイオベース原料の三者の比率を約2:1:0.5に調整することにより、使用されるバイオベース原料の量を最小限に抑えるうえで、純粋な植物繊維粉末、デンプンと結合させ、生分解性原料粒を製造することができ、且つ生分解性原料粒の製造コストを削減すると同時に、生産性を向上させることもできる。B.原料粒の乾燥であって、原料粒を熱風乾燥機内に入れて乾燥作業を行い、それにより原料粒に含まれる水分を減少させる。C.原料粒の加熱であって、原料粒を成形機のカートリッジからその中に移動し、高温で原料粒を融解させて混練した後に、融解した繊維原料を金型内に充填する。ここで、前記金型には複数の舌圧子型穴が設けられており、繊維原料は前記舌圧子型穴の中に充填される。D.冷却と成形であって、繊維原料を前記舌圧子型穴の中に充填した後に、繊維原料を冷却し、成形させる。E.離型であって、成形済みの繊維原料に対して離型を行うことで舌圧子の完成品を得る。このように、配合成分におけるバイオベース原料の比率を最小限に抑えるうえで植物繊維、デンプンと結合させれば、異なる原料と配合比率を有する生分解性原料粒を製造でき、それにより原料粒の生産性及び品質を向上させることができる。なお、廃棄された植物繊維及びバイオベース原料をデンプンと混合して舌圧子を製造でき、それにより天然木の消費及び自然資源の消費を抑制することができる。
以下、本発明の前記目的、構成及び特徴を更に深く且つ具体的に理解できるように、好ましい実施例を挙げ、図面を参照しながら本発明の技術、手段、効果を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明における原料の配合成分を混練してストランドに加工するプロセスのイメージ図である。
図2】本発明における第1冷却システム及びカットユニットのイメージ図である。
図3】本発明における第2冷却システムの構造及び使用方法のイメージ図である。
図4】本発明における舌圧子の製品を射出成形の方法で生産する場合のイメージ図である。
図5】本発明における舌圧子の完成品の立体外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図5を参照されたく、本発明の「生分解性舌圧子の原料組成及びその製造方法」は、生分解性のある植物由来の原料及びバイオベース原料を原料粒に調合し、それにより舌圧子(70)の製品を生産するものであり、その製造方法全体のステップは以下を含む。
【0011】
A.原料粒の取得であって、前記原料粒の成分は以下を含む。植物繊維粉末44~59%、デンプン20~29%、バイオベース原料11~23%、水溶性高分子膠5~10%、カップリング剤3~6%、及び潤滑剤0.01~0.2%。
【0012】
前記植物繊維粉末は、天然植物の茎、樹皮、葉又は果皮などを繊維原料とし、粉砕と乾燥の処理を行った後に、含水率を20%以下にすることで得られた粉末である。その粒度は約200~400メッシュ以上である。
【0013】
前記デンプンは植物の内部に貯蔵された高分子炭水化物であり、ブドウ糖、マルトースなどの成分に分解でき、イチョウ、竹、小麦、ジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモ、キャッサバ、レンコン、米、又は藻類、豆などの植物の種(例:イチョウ、クリ、ピーナッツ、エンドウ、リョクトウ、小豆など)、実(例:カラスムギ、ハトムギなど)、茎(例:ジャガイモ、コンニャクイモ、カボチャなど)、葉、根(例:サツマイモ、キャッサバなど)に由来するものであってよい。
【0014】
前記バイオベース原料はポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、又は二酸化炭素の共重合体であってよく、そのうち、最も好ましくはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)である。ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は微生物を炭素源及びエネルギー貯蔵物として合成されたものであり、通常は封入体の形で微生物の細胞内に存在している。PHAは様々なモノマー構造を有するため、多くの種類が存在している。短鎖モノマーからなるPHAがあり、中鎖/長鎖モノマーからなるPHAもあり、異なる種類のモノマーからなる共重合体もある。現時点では、ポリ-3-ヒドロキシ酪酸エステル(PHB)、3-ヒドロキシ酪酸及び3-ヒドロキシペンタン酸の共重合体(PHBV)、3-ヒドロキシ酪酸及び4-ヒドロキシ酪酸の共重合体(P3HB4HB)、3-ヒドロキシ酪酸及び3-ヒドロキシカプロン酸の共重合体(PHBHHx)及び中鎖/長鎖PHA(mclPHA)を含む多数のPHAは大規模の生産が可能となっている。
【0015】
前記水溶性高分子膠はバイオベース原料の粘度を調整するために用いられ、デンプン、セルロース又は植物性ガムなどの天然の植物原料から抽出されたものであってよく、カルボキシメチルデンプン、酢酸デンプンなどの化学改質された天然の重合体であってもよく、また、合成された重合体であってもよく、前記重合体は重合型樹脂及び縮合型樹脂の二種類を含み、例えばポリアクリルアミド(PAM)、加水分解ポリアクリルアミド(HPAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)などを用いることができる。
【0016】
前記カップリング剤は複数の用途に供することができる多機能のカップリング剤であり、化学反応によって有機物と無機物を結び付ける架橋として機能し、且つデンプンと植物繊維粉末を結合させる前記天然接着剤の強度、靭性及び結合する際の粘性の多方向性を向上させることができる。
【0017】
前記潤滑剤は第1級アミド、第2級アミド又はエチレンビスステアロアミドであってよく、前記原料に対して混練、加工、搬送を行う際の潤滑性を高めるために用いられる。
【0018】
前記原料を取得した後に、繊維粉末を第1混練機(11)内に配置し、40~60°Cの温度と、600~1200RPMの回転数で高速回転混練を10~30分間行い、繊維粉末を軟化させる。その後、デンプン及びカップリング剤を第2混練機(12)内に配置し、600~1200RPMの回転数で高速回転混練を10~20分間行い、それにより粉末粒子の流動性を高める。さらに、バイオベース原料及び水溶性高分子膠に対し、第3混練機(13)を用いて約2400RPMの回転数で10~40分間の回転混練を行い、それを粘着状態にする。さらに、前記繊維粉末、デンプン、バイオベース原料及び潤滑剤を第4混練機(14)で混合して10~40分間撹拌し、混練し、混合済みの原料を得る。
【0019】
続いて混合済みの原料を成形装置(20)内に配置する。前記成形装置(20)の一端には原料供給口(21)が設けられ、他端には原料排出口(22)が設けられ、前記原料供給口(21)は前記混合済みの原料を注入するために用いられ、且つ前記原料排出口(22)には成形用の原料押出盤(23)が設けられ、前記原料押出盤(23)には複数の貫通孔(231)が形成される。また、前記原料供給口(21)と原料排出口(22)の間には搬送ユニット(24)が設けられ、前記搬送ユニット(24)は混合済みの原料を回転撹拌しながら原料供給口(21)の一端から原料排出口(22)の一端まで搬送すると同時にそれを加熱することができ、原料が前記原料押出盤(23)を通過した後に、それを外側へ押し出して複数の細長い原料ストランドに成形させる。
【0020】
また、前記搬送ユニット(24)は二本の動力スクリュー(25)から構成され、前記動力スクリュー(25)のそれぞれは複数段に分けられた四本の搬送ロッド(251、252、253、254)から構成され、各搬送ロッド(251、252、253、254)の外縁には羽根(255)が設けられる。前記原料供給口(21)に位置する第1搬送ロッド(251)の羽根(255)のサイズは、他の搬送ロッド(252、253、254)の羽根(255)のサイズより大きく、且つ前記原料排出口(22)に位置する第4搬送ロッド(254)の羽根(255)のサイズは、他の搬送ロッド(251、252、253)の羽根(255)のサイズより小さく、つまり、前記搬送ロッド(251、252、253、254)の外縁にある羽根(255)は、前記原料供給口(21)の一端から前記原料排出口(22)の方向に徐々に小さくなる。なお、各搬送ロッド(251、252、253、254)の温度は異なる温度調整装置(図示せず)によって140~180°Cに制御される。また、前記成形装置(20)において、第1搬送ロッド(251)と第2搬送ロッド(252)に対応する位置に複数の排気管(26)が設けられ、前記排気管(26)は真空機(27)に接続され、それにより第1搬送ロッド(251)と第2搬送ロッド(252)が混合済みの原料を撹拌し、搬送する際に、それに含まれる水分や水蒸気を前記排気管(26)によって外へ排出することができる。このように、前記搬送ユニット(24)が前記混合済みの原料を搬送する際に、まず、第1搬送ロッド(251)と第2搬送ロッド(252)を利用して混合済みの原料を均一に撹拌し、その後、前記第3搬送ロッド(253)と第4搬送ロッド(254)によって混合済みの原料を徐々に外へ押し出し、それにより細長い原料ストランドに成形させる。
【0021】
前記原料ストランドに対し、まず前記第1冷却システム(30)で冷却した後に、カットユニット(40)によって前記原料ストランドを粒状の原料粒に切断する。前記第1冷却システム(30)は搬送ステージ(31)、前記搬送ステージ(31)の末端に設けられた動力アセンブリ(32)、及び前記搬送ステージ(31)の上方に設けられた複数のファン(33)を含む。前記搬送ステージ(31)の上には前記原料ストランドを載せて移動させるための複数のローラー(311)が設けられ、また、原料ストランドをコンベアベルトによって搬送してもよい。前記動力アセンブリ(32)は前記原料ストランドを移動させるための動力源であり、上下に対向する二つのロール(321)から構成されてよく、前記二つのロール(321)は一定の距離を置いて離れており、動力源(322)によって駆動されて回転できる。搬送する際には、前記原料ストランドを押出成形してから前記搬送ステージ(31)の上に置き、前記二つのロール(321)によって原料ストランドの外端を挟み、前記原料ストランドを持続的に押出成形すると同時に、前記動力源(322)を作動し、前記動力源は前記原料ストランドを駆動して搬送ステージ(31)の上で移動させ、原料ストランドの移動中に前記ファン(33)を利用して風を吹きかけて冷却する。
【0022】
また、前記カットユニット(40)は隣接する前記二つのロール(321)の外側に設けられ、カッター台(41)の上にはモーター(42)が設けられ、前記モーター(42)はカッター刃(43)を駆動して回転させることができ、前記カッター刃(43)の半径は前記搬送ステージ(31)の面幅より長く、前記原料ストランドは前記二つのロール(321)を通過した後に、回転しているカッター刃(43)によって原料粒に切断される。また、前記モーター(42)の底部とカッター台(41)の間にはスライドレール(44)が設けられ、それは前記モーター(42)を移動することによって前記カッター刃(43)の切断位置を調整するのに役立つことができる。
【0023】
切断済みの原料粒を搬送しながら第2冷却システム(50)で冷却する。前記第2冷却システム(50)は原料収集バレル(51)、第1送風機(52)、第1冷却バレル(53)、第2冷却バレル(54)、第2送風機(55)、及び貯蔵バレル(56)を含み、前記原料収集バレル(51)と第1冷却バレル(53)の間には第1管路(57)が設けられ、前記第1冷却バレル(53)と第2冷却バレル(54)の間には第2管路(58)が設けられ、前記第2冷却バレル(54)と貯蔵バレル(56)の間には第3管路(59)が設けられ、且つ前記第1送風機(52)は前記第1管路(57)における適切な箇所に設けられ、前記第2送風機(55)は前記第3管路(59)における適切な箇所に設けられる。前記原料粒を切断して成形した後に、前記原料収集バレル(51)内に落下させ又は投入し、前記第1送風機(52)を利用して原料粒を前記第1冷却バレル(53)に送り込み、さらに前記第2送風機(55)を利用して前記第1冷却バレル(53)内にある原料粒を前記貯蔵バレル(56)内に送り込み、前記貯蔵バレル(56)の底部には原料落下口(561)が設けられ、原料落下口(561)の下に包装袋を置くことで包装作業を行い、それにより原料粒の生産を完了することができる。
【0024】
B.原料粒の乾燥であって、成形機(60)を利用して原料粒を製品に製造する場合、製造する前に原料粒を熱風乾燥機(図示せず)内に入れて乾燥作業を行い、それにより原料粒に含まれる水分を減少させる必要がある。
【0025】
C.原料粒の加熱であって、乾燥済みの原料粒を成形機(60)の中に配置する。前記成形機(60)は射出成形機又は抽出成形機であってよく、本発明では射出成形機を実施例として説明する。前記成形機(60)はカートリッジ(61)を有し、原料粒を前記カートリッジ(61)からチューブ(62)内に移動することができ、前記チューブ(62)の内部にはスクリュー(63)が設けられる。高温でスクリュー(63)を回転させ、原料粒を融解させて混練した後に、融解した繊維原料を射出して金型(64)内に充填する。ここで、前記金型(64)には複数の舌圧子型穴(641)が設けられており、繊維原料は前記舌圧子型穴(641)の中に充填される。
【0026】
D.冷却と成形であって、融解した繊維原料を舌圧子型穴(641)の中に充填した後に、金型(64)内の空間に対して引き続き加圧し、さらに繊維原料を冷却して成形させる。
【0027】
E.離型であって、成形済みの繊維原料に対して離型を行うことで舌圧子(70)の完成品を得る。
【0028】
このように、出願人の先行特許における原料粒にバイオベース原料を添加し且つ配合成分の比率を調整することにより、生分解性原料粒の生産性を向上させると同時に、製造コストを削減することができる。なお、廃棄された植物繊維及びバイオベース原料をデンプンと混合して舌圧子を製造でき、それにより天然木の消費及び自然資源の消費を抑制することができる。
上記をまとめて、本発明は、同じ種類の製品と比べて優れた進歩性及び実用性を有する。また、本発明は、同類構成の国内外の技術資料及び文献を調べた結果、同じ構造が先に存在したことが見つからなかったため、新規性を有する。よって、法律に従って出願する。
上記実施例は、あくまで本発明を説明するための一例である。当業者が実施例に基づいて本発明の精神を逸脱しない範囲でなされた変更、改良及び応用は、当然、本発明の請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0029】
11:第1混練機…12:第2混練機…13:第3混練機…14:第4混練機…20:成形装置…21:原料供給口…22:原料排出口…23:原料押出盤…231:貫通孔…24:搬送ユニット…25:動力スクリュー…251:第1搬送ロッド…252:第2搬送ロッド…253:第3搬送ロッド…254:第4搬送ロッド…255:羽根…26:排気管…27:真空機…30:第1冷却システム…31:搬送ステージ…311:ローラー…32:動力アセンブリ…321:ロール…322:動力源…33:ファン…40:カットユニット…41:カッター台…42:モーター…43:カッター刃…44:スライドレール…50:第2冷却システム…51:原料収集バレル…52:第1送風機…53:第1冷却バレル…54:第2冷却バレル…55:第2送風機…56:貯蔵バレル…561:原料落下口…57:第1管路…58:第2管路…59:第3管路…60:成形機…61:カートリッジ…62:チューブ…63:スクリュー…64:金型…641:舌圧子型穴…70:舌圧子
図1
図2
図3
図4
図5