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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087799
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02M 67/14 20060101AFI20240624BHJP
   F02M 45/08 20060101ALI20240624BHJP
   F02D 19/08 20060101ALI20240624BHJP
   F02D 41/40 20060101ALI20240624BHJP
   F02M 61/14 20060101ALI20240624BHJP
   F02B 23/02 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F02M67/14
F02M45/08 D
F02D19/08 Z
F02D41/40
F02M61/14 310U
F02B23/02 C
F02B23/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023212687
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】22214572
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515191442
【氏名又は名称】ヴィンタートゥール ガス アンド ディーゼル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲルマン ヴァイサー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ バロー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス シュミット
【テーマコード(参考)】
3G023
3G066
3G092
3G301
【Fターム(参考)】
3G023AA01
3G023AB05
3G023AC05
3G023AC08
3G023AD06
3G023AF02
3G066AA07
3G066AA08
3G066AB04
3G066AB06
3G066AD08
3G066AD09
3G066BA01
3G092AA02
3G092AA03
3G092AA06
3G092AB12
3G092AB14
3G092AC10
3G092BB06
3G092DE03S
3G092FA15
3G301HA02
3G301HA03
3G301HA04
3G301HA23
3G301HA24
3G301JA21
3G301MA23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少量のパイロット燃料及び安定した混合気燃焼を提供する方法を提供する。
【解決手段】大型2ストローク内燃機関は、点火しにくい燃料を噴射する主噴射ノズル11、12を備え、周方向に等距離に配置される。また、点火しやすい燃料を噴射する主噴射ノズル11、12と同数のパイロット噴射ノズル21、22を備え、主噴射ノズル11、12の近くに配置される。点火しやすい燃料が、対応する主噴射ノズル11、12を介した点火しにくい燃料と一緒に、パイロット噴射ノズル21、22を介して燃焼室3内に噴射され、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル21、22を介して燃焼室に導入されることなく、主噴射ノズル11、12が点火しにくい燃料を噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル11、12及びパイロット噴射ノズル21、22を制御するのに適した、並びに/又は制御するように適合された制御ユニット10をさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダ(1)を有し、好ましくは少なくとも200mmの内径(2)を有し、特に複式燃料機関であり、往復ピストンを有する、内燃機関、好ましくは大型2ストローク内燃機関であって、
好ましくは液体の点火しにくい燃料を噴射するための、好ましくは周方向に等距離に配置された少なくとも2つの主噴射ノズル(11、12、13)、好ましくは3つの主噴射ノズル(11、12、13)を備え、
好ましくは液体の点火しやすい燃料を噴射するための少なくとも1つのパイロット噴射ノズル(21、22、23)、好ましくは前記主噴射ノズル(11、12、13)と同数のパイロット噴射ノズルを備える、内燃機関(100)であり、
各パイロット噴射ノズルが、対応する主噴射ノズル(11、12、13)の近くに配置されており、
点火しやすい燃料が、対応する主噴射ノズル(11、12、13)を介した点火しにくい燃料と一緒に、前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)を介して前記燃焼室(3)内に噴射されるように、
及び
少なくとも1つの主噴射ノズル(11、12、13)が、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル(21、22、23)を介して前記燃焼室(3)に導入されることなく、点火しにくい燃料を噴射するように、
動力サイクル中に前記主噴射ノズル(11、12、13)及び前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)を制御するのに適した、並びに/又は制御するように適合された制御ユニット(10)を備える、
内燃機関。
【請求項2】
前記シリンダ(1)が複数の掃気ポートを有し、前記複数の掃気ポートが、掃気及びそれに続く前記往復ピストンの上方移動中に、燃焼空気の旋回流が前記燃焼室(3)内に形成されるように配置されている、
請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記制御ユニット(10)は、
好ましくは、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル(21、22、23)を介して前記燃焼室(3)に導入されることなく噴射された前記点火しにくい燃料が、噴射された点火しにくい燃料と、対応するパイロット噴射ノズル(21、22、23)を介して前記燃焼室(3)に導入される点火しやすい燃料との燃焼混合気によって点火されるように、
前記主噴射ノズル(11、12、13)が好ましくは3~18°CAの時間間隔で連続して開くように、
動力サークル中に前記主噴射ノズル(11、12、13)及び前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)を制御するのに適しており、並びに/又は制御するように適合されている、
請求項1又は2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記制御ユニット(10)は、
前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)のうちの少なくとも1つが、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル(21、22、23)によって噴射されることなく、前記点火しにくい燃料が前記少なくとも1つの主噴射ノズル(11、12、13)を介して導入された後に、点火しやすい燃料を前記燃焼室(3)内に噴射するように、
動力サイクル中に前記主噴射ノズル(11、12、13)及び前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)を制御するのに適しており、並びに/又は制御するように適合されており、
並びに/或いは、
前記制御ユニット(10)は、
前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)のうちの少なくとも1つが、前記点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル(21、22、23)によって噴射されることなく、点火しにくい燃料が前記少なくとも1つの主噴射ノズル(11、12、13)を介して導入される前に、点火しやすい燃料を前記燃焼室(3)内に噴射するように、
動力サークル中に前記主噴射ノズル(11、12、13)及び前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)を制御するのに適しており、並びに/又は制御するように適合されている、
請求項3に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記内燃機関(100)が第1及び第2の主噴射ノズル(11、12)を備え、
前記制御ユニット(10)は、
-対応するパイロット噴射ノズル(22)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が前記第2の主噴射ノズル(12)によって噴射される前に、前記第1の主噴射ノズル(11)が、対応するパイロット噴射ノズル(21)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、
又は
-対応するパイロット噴射ノズル(21)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が前記第1の主噴射ノズル(11)によって噴射された後に、前記第2の主噴射ノズル(12)が、対応するパイロット噴射ノズル(22)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、
動力サイクル中に前記主噴射ノズル(11、12)及び前記パイロット噴射ノズル(21、22)を制御するのに適しており、並びに/又は制御するように適合されている、
請求項1から4までのいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記内燃機関(100)が第1、第2、及び第3の主噴射ノズル(11、12、13)を備え、
前記制御ユニット(10)は、
-点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズル(22、23)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第2及び前記第3の主噴射ノズル(12、13)によって連続して噴射される前に、前記第1の主噴射ノズル(11)が、対応するパイロット噴射ノズル(21)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、
又は
-対応するパイロット噴射ノズル(21、22)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第1及び第2の主噴射ノズル(11、12)によって点火しにくい燃料が連続して噴射された後に、前記第3の主噴射ノズル(13)が、対応するパイロット噴射ノズル(23)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、
又は
-前記第2の主噴射ノズル(12)が、対応するパイロット噴射ノズル(23)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第3の主噴射ノズル(13)によって点火しにくい燃料が噴射される前であって、対応するパイロット噴射ノズル(21)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第1の主噴射ノズル(11)によって点火しにくい燃料が噴射された後に、対応するパイロット噴射ノズル(22)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、
又は
-対応するパイロット噴射ノズル(23)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第3の主噴射ノズル(13)によって点火しにくい燃料が噴射される前に、前記第1及び前記第2の主噴射ノズル(11、12)が、対応するパイロット噴射ノズル(21、22)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を連続して噴射するように、
又は
-前記第2及び前記第3の主噴射ノズル(12、13)が、点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズル(21)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第1の主噴射ノズル(11)によって噴射された後に、対応するパイロット噴射ノズル(22、23)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を連続して噴射するように、
動力サイクル中に前記主噴射ノズル及び前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)を制御するのに適しており、並びに/又は制御するように適合されている、
請求項1から5までのいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項7】
少なくとも2つの主噴射ノズル(11、12、13)が、前記燃焼室(3)内に、好ましくは周方向に等距離に配置され、点火しやすい燃料を噴射するための少なくとも1つのパイロット噴射ノズル(21、22、23)のそれぞれが、対応する主噴射ノズル(11、12、13)の近くに配置され、
-点火しやすい燃料を、前記対応する主ノズル(11、12、13)を介した点火しにくい燃料と一緒に、前記パイロット噴射ノズルを介して前記燃焼室(3)に導入するステップと、
-同じ動力サイクル中に、対応するパイロット噴射ノズル(21、22、23)を介して点火しやすい燃料を導入することなく、少なくとも1つの主噴射ノズル(11、12、13)を介して点火しにくい燃料を噴射するステップと、
-好ましくは、対応するパイロット噴射ノズル(21、22、23)を介して点火しやすい燃料を導入することなく、少なくとも1つの主噴射ノズル(11、12、13)を介して噴射された前記点火しにくい燃料を、前記対応する主噴射ノズル(11、12、13)を介した点火しにくい燃料と一緒に、前記パイロット噴射ノズルを介して前記燃焼室(3)内に噴射された点火しやすい燃料の燃焼混合気によって点火するステップと、
を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載の内燃機関を動作させるための方法。
【請求項8】
前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)のうちの少なくとも1つが、点火しやすい燃料が対応するパイロットノズル(21、22、23)によって噴射されることなく、点火しにくい燃料が主噴射ノズル(11、12、13)を介して導入された後に、点火しやすい燃料を前記燃焼室(3)内に噴射し、
並びに/或いは、
前記パイロット噴射ノズル(21、22、23)(3)のうちの少なくとも1つが、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル(21、22、23)によって噴射されることなく、点火しにくい燃料が主噴射ノズル(11、12、13)を介して導入される前に、点火しやすい燃料を前記燃焼室(3)内に噴射する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
点火しにくい燃料が、3~18°CAの時間間隔で異なる主噴射ノズル(11、12、13)によって連続して導入される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記点火しにくい燃料が、エタノール、メータノール、アンモニアを含む群から選択される、請求項7から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記点火しやすい燃料がディーゼル様燃料である、請求項7から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記内燃機関が第1及び第2の主噴射ノズル(11、12)を備え、
動力サイクル中に
-前記第1の主噴射ノズル(11)が、対応するパイロット噴射ノズル(22)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が前記第2の主噴射ノズル(12)によって噴射される前に、対応するパイロット噴射ノズル(21)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射し、
又は
-前記第2の主噴射ノズル(12)が、対応するパイロット噴射ノズル(21)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が前記第1の主噴射ノズル(11)によって噴射された後に、対応するパイロット噴射ノズル(22)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射する、
請求項7から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記内燃機関が第1、第2、及び第3の主噴射ノズルを備え、
動力サイクル中に、
-前記第1の主噴射ノズル(11)が、点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズル(22、23)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第2及び前記第3の主噴射ノズル(12、13)によって連続して噴射される前に、対応するパイロット噴射ノズル(21)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射し、
又は
-前記第3の主噴射ノズル(13)が、対応するパイロット噴射ノズル(21、22)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が前記第1及び前記第2の主噴射ノズル(11、12)によって連続して噴射された後、対応するパイロット噴射ノズル(23)が点火しやすい燃料を噴射するとともに、点火しにくい燃料を噴射し、
又は
-前記第2の主噴射ノズル(12)が、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル(23)によって噴射されることなく、点火しにくい燃料が前記第3の主噴射ノズル(13)によって噴射される前であって、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル(21)によって噴射されることなく、点火しにくい燃料が前記第1の主噴射ノズル(11)によって連続して噴射された後に、対応するパイロット噴射ノズル(22)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射し、
又は
-前記第1及び前記第2の主噴射ノズル(11、12)が、対応するパイロット噴射ノズル(23)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第3の主噴射ノズル(13)によって点火しにくい燃料が噴射される前に、対応するパイロット噴射ノズル(21、22)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を連続して噴射し、
又は
-前記第2及び前記第3の主噴射ノズル(12、13)が、対応するパイロット噴射ノズル(21)によって点火しやすい燃料を噴射することなく、前記第1の主噴射ノズル(11)によって点火しにくい燃料が噴射された後に、対応するパイロット噴射ノズル(22、23)が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を連続して噴射する、
請求項6から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
プログラムがコンピュータ上で実行されると、請求項6から13までのいずれか一項に記載の方法のステップを実行するためのプログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
デジタル・コンピュータの内部メモリに直接ロードすることができ、前記プログラムが前記デジタル・コンピュータ上で実行されているときに請求項6から13までのいずれか一項に記載の方法ステップを実行するソフトウェア・コード部分を含む、コンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文に記載の内燃機関及び内燃機関を動作させるための方法に関する。
【0002】
本発明は、好ましくは、シリンダ内径が少なくとも200mmである、大型舶用若しくは船舶用機関又は定置機関のような内燃機関に関する。機関は、好ましくは、2ストローク機関又は2ストローク・クロス・ヘッド機関である。機関は、ガス機関、複式燃料又はマルチ燃料機関とすることができる。このような機関では、自己点火又は強制点火だけでなく、液体及び/又は気体燃料の燃焼も可能である。
【背景技術】
【0003】
内燃機関は、長手方向に掃気される2ストローク機関とすることができる。
【0004】
機関速度は、特に4ストローク機関の場合、好ましくは800RPM未満であり、特に2ストローク機関の場合、より好ましくは、低速機関の指定を示す200RPM未満である。
【0005】
大型船、特に物資を輸送するための船舶は、通常、内燃機関、特にディーゼル及び/又はガス機関、ほとんどは2ストローク・クロス・ヘッド機関によって動力を供給される。
【0006】
内燃機関という用語には、特に、パイロットとも呼ばれる第1の燃料の自己点火が、主燃料とも呼ばれる別の燃料の確実な点火のために使用される、複式燃料機関及び大型機関が含まれる。
【0007】
特に、点火しやすい燃料は、別の点火しにくい燃料を点火するために使用される。
【0008】
点火しやすい燃料は、ディーゼル燃料、又は合成若しくは生物由来の同様の特性を有する別の液体燃料であってもよい。
【0009】
この文脈内で、点火しやすい燃料に比べてより点火しにくい燃料はいずれも、点火しにくい燃料のカテゴリーに含まれる。このカテゴリーには、オットー燃料、特に、純粋なメータノール燃料又はエタノール燃料などのアルコール燃料、水又は他の溶媒と混合されたこれら2つの燃料のいずれか、或いはLNG、LPG又はアンモニアなどの他の燃料(純粋な、又は水若しくは他の溶媒と混合された)が含まれる。
【0010】
この文脈内で、点火しやすい燃料及び点火しにくい燃料は、好ましくは液体燃料である。
【0011】
このような燃料の機関シリンダ内での点火は、限定された燃焼性、例えば少なくとも100℃の高い自己発火温度、及び最小の点火エネルギーなどの、特有の点火及び燃焼特性のために、深刻な技術的課題である。
【0012】
さらに、例えばディーゼル又はHFOのような従来の燃料と比較して、これらの燃料の一部に関連付けられた高い蒸発潜熱が、点火のさらなる阻害要因として作用する冷却効果を引き起こす可能性がある。
【0013】
これらすべてにより、パイロット噴射の位置及びタイミング、パイロット噴射器のレイアウト、並びにパイロット燃料の量に厳しい要件が課される。
【0014】
独国特許第102019134628A1号は、機関を動作させるための方法を開示しており、点火しにくい燃料が少なくとも1つのシリンダの燃焼室で燃焼され、この目的のために、点火しやすい燃料の助けを借りて点火される。点火しにくい燃料は、点火しやすい燃料の噴射と同時に、及び/又は点火しやすい燃料の噴射後のある時点で、主噴射を介してそれぞれのシリンダの燃焼室に導入される。点火しにくい燃料はまた、点火しやすい燃料の噴射の前に、少なくとも1回の追加の噴射を経て、それぞれのシリンダの燃焼室に導入される。点火しにくい燃料を導入するための第1の噴射装置は、点火しやすい燃料を導入するための第2の噴射装置の近くに配置されており、燃料の混合を達成することができるようになっている。
【0015】
燃焼サイクル中の最適な圧力プロファイルを達成するために、欧州特許第0586775A1号は、少なくとも2つの噴射ノズルによって燃料を噴射することを開示しており、これらの噴射ノズルは、1つの噴射ノズルから噴出する燃料ジェットが他の噴射ノズルから噴出する燃料ジェットに影響を及ぼさないように燃焼室に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】独国特許第102019134628A1号
【特許文献2】欧州特許第0586775A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、従来技術の欠点を回避することであり、特に、少量のパイロット燃料及び安定した混合気燃焼を提供する内燃機関及び内燃機関を動作させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題は、独立請求項に記載の内燃機関及び内燃機関を動作させるための方法によって解決される。
【0019】
本発明によると、内燃機関は、少なくとも1つのシリンダを有する。シリンダは、好ましくは、少なくとも200mmの内径を有する。本機関は、特に、複式燃料機関である。
【0020】
内燃機関は、好ましくは大型2ストローク内燃機関であり、より好ましくは長手方向に掃気される大型機関である。
【0021】
内燃機関は、下側反転点(BDC: lower reversal point)と上側反転点(TDC:upper reversal point)との間でシリンダ軸に沿って前後に移動するように配置された往復ピストンを備える。シリンダ・カバー及びシリンダ壁は、ピストンと共に燃焼室を画定する。典型的には、排気弁がシリンダ・カバーに配置され、この排気弁によって燃焼ガスを燃焼室から除去することができる。掃気ポートが下側反転点に近接してシリンダ壁に配置されてもよく、この掃気ポートを通って燃焼空気が燃焼室に入ることができる。前記燃焼空気は、純粋な空気、又は空気と再循環排ガスとの混合気などの不活性ガスの割合が増加した混合気から構成されていてもよい。
【0022】
内燃機関は、好ましくは液体の点火しにくい燃料を噴射するための、少なくとも2つの主噴射ノズル、好ましくは2つ又は3つの主噴射ノズルを備える。
【0023】
主噴射ノズルは、それぞれの場合に1つの主噴射ノズルから噴出する燃料噴流が、それぞれの場合に別の主噴射ノズルから噴出する燃料噴流に影響を及ぼさないように燃焼室に配置されていてよい。
【0024】
好ましくは、主ノズルは、シリンダ軸の同じ高さで周方向に等距離に配置される。
【0025】
内燃機関は、好ましくは液体の点火しやすい燃料を噴射するための少なくとも1つのパイロット噴射ノズルを備える。
【0026】
主噴射ノズルのそれぞれ及び/又はパイロット噴射ノズルのそれぞれは、3~7個の噴射孔を備えることができる。孔の直径は、0.3~2.5mmであってもよい。
【0027】
内燃機関は、パイロット噴射ノズルとして使用される専用のパイロット燃料噴射器を備えることができる。或いは、点火しやすい燃料を注入するために、バックアップ燃料噴射器を使用することができる。
【0028】
各パイロット噴射ノズルは、対応する主噴射ノズルの近くに配置されている。この文脈内で、「近く」とは、パイロット噴射ノズルが主噴射ノズルに近接して配置されること、すなわち、パイロット噴射ノズルと近くの主噴射ノズルとの間の距離が、主噴射ノズルと隣接する主噴射ノズルとの間の距離よりも小さいことを意味する。
【0029】
主噴射ノズルは、次の最も近い主噴射ノズルから少なくとも25°、好ましくは少なくとも60°、90°又は120°だけ離間されていてもよい。シリンダが2つの主噴射ノズルのみを備える場合、主噴射ノズルは180°離間されていてもよく、シリンダが3つの主噴射ノズルを備える場合、主噴射ノズルは120°離間されていてもよい。主噴射ノズルと対応するパイロット噴射ノズルとの間の距離は、35°よりも小さくてもよい。この角度は、シリンダ軸に垂直な平面における、シリンダ軸に対する周方向距離を指す。
【0030】
パイロット噴射ノズルの数は、主噴射ノズルの数以下である。
【0031】
好ましくは、シリンダは、主噴射ノズルと同数のパイロット噴射ノズルを備える。この場合、機関は、以下に説明するように、異なる噴射モードで動作することができる。
【0032】
内燃機関は、点火しやすい燃料が、対応する主噴射ノズルを介した点火しにくい燃料と一緒に、パイロット噴射ノズルを介して燃焼室内に噴射されるように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適した、並びに/又は制御するように適合された制御ユニットを備える。
【0033】
この文脈内で、「一緒に」噴射されるとは、点火しやすい燃料が、点火しにくい燃料の噴射と同時に、及び/又は対応する主ノズルを介した点火しにくい燃料の噴射の直前又は直後に、好ましくは±4°CAの時間間隔内に、より好ましくは±3°CAの時間間隔内に噴射されることを意味する。
【0034】
本出願内で、時間間隔は、動力サイクルの単位で測定され、それぞれのクランク角の差として与えられる。動力サイクル全体は、2ストローク機関では360°CA、4ストローク機関では720°の持続時間を有する。
【0035】
制御ユニットは、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズルを介して燃焼室に導入されることなく、少なくとも1つの主噴射ノズルが点火しにくい燃料を噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのにさらに適しており、並びに/又は制御するように適合されている。
【0036】
それぞれの主噴射ノズルは、近くに配置された対応するパイロット噴射ノズルを有していても、有していなくてもよい。
【0037】
したがって、制御ユニットは、点火しやすい燃料は点火しにくい燃料と常に一緒に噴射されるが、点火しにくい燃料は点火しやすい燃料なしに噴射され得るように、主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適しており、並びに/又は制御するように適合されている。
【0038】
制御ユニットは、噴射される燃料の量を設定するように、それぞれの弁を開くように、噴出圧力を提供するように、及び/又は開放持続時間を設定するように構成されてもよい。
【0039】
本発明によるパイロット噴射ノズルの適切な位置決め及びパイロット噴射の適切なタイミングにより、パイロット燃料の必要量の削減が可能になり、噴射された点火しにくい燃料と取り込まれた燃焼空気との混合気の安定した燃焼が保証される。パイロット燃料、この場合は点火しやすい燃料を、すべての主噴射と一緒に、この場合は点火しにくい燃料の噴射と常に一緒に噴射する必要はない。
【0040】
点火しにくい燃料が点火しやすい燃料と一緒に噴射されると、燃焼混合気が生成される。点火しやすい燃料は、パイロット噴射ノズルを介して噴射される。点火しにくい燃料は、対応する主噴射ノズルを介して噴射される。したがって、この文脈内では、燃焼混合気は、対応する噴射ノズルの噴射によってのみ生成され得る。
【0041】
燃焼混合気は、先に噴射された、又は好ましくは後から噴射されるさらなる点火しにくい燃料を点火することができる。それによって、燃焼混合気が成長し、後から噴射されるさらなる点火しにくい燃料を点火することができる。
【0042】
シリンダは、複数の掃気ポートを有することができ、複数の掃気ポートは、掃気及びそれに続く往復ピストンの上方移動中に、燃焼空気の旋回流が燃焼室内に形成されるように配置される。掃気ポートは、流入ガスにシリンダ軸に対して周方向又は接線方向を与える、シリンダ壁を貫く流路を提供することができる。
【0043】
旋回流は、燃焼混合気と、噴射された点火しにくい燃料とを周方向に移動させる。
【0044】
特に主噴射器の噴射孔の向きに応じて、旋回の強さが、燃料噴射によってもたらされる運動量によってさらに影響を受けることがある。
【0045】
燃焼混合気を、点火トーチとして周方向に移動させることができる。
【0046】
点火しにくい燃料は、旋回流によって燃焼混合気に向かって移動することができ、及び/又は燃焼混合気は、旋回流によって点火しにくい噴射燃料に向かって移動することができ、その結果、対応する点火しやすい燃料なしに噴射された点火しにくい燃料を、燃焼混合気によって点火することができる。
【0047】
旋回方向及びそれぞれの周方向に関して、パイロット噴射ノズルはそれぞれ、それぞれの主噴射ノズルの上流又は下流に、5°~45°、好ましくは20°~35°の角距離で配置されてもよい。
【0048】
噴射のタイミングは、旋回流に適合させることができる。
【0049】
パイロット噴射ノズルの開放期間は、点火しにくい主燃料の噴射期間よりも明らかに短い。この期間はまた、点火しにくい燃料又は燃焼混合気を、ある主噴射ノズルの位置から下流の次の主噴射ノズルまで運ぶために旋回が必要とする時間よりも短い。パイロット燃料噴射持続時間は、好ましくは10ミリ秒未満、より好ましくは6ミリ秒未満である。
【0050】
制御ユニットは、主噴射ノズルが、連続して又は逐次的に、好ましくは3°CA~18°CAの時間間隔で開放されるように、動力サークル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。好ましくは、すべての主噴射ノズルは、1回の動力サイクル中に1回、点火しにくい燃料を噴射するために開放される。
【0051】
点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズルを介して燃焼室に導入されることなく噴射される点火しにくい燃料は、特に、点火しにくい燃料が、燃焼混合気が生成された後に点火しやすい燃料なしで噴射された場合、噴射された点火しにくい燃料と、対応するパイロット噴射ノズルを介して燃焼室に導入される点火しやすい燃料との燃焼混合気によって点火されてもよい。
【0052】
連続する噴射間の時間遅延は、主噴射ノズルの数、主噴射ノズル間の距離、ボア・サイズ、及び燃料噴霧又はジェットの伝播速度に関して適合されていてもよい。
【0053】
伝播速度は、典型的には、主燃料圧、旋回速度又は充填密度の変化に伴って変化する。
【0054】
制御ユニットは、主噴射ノズルの数、主噴射ノズル間の距離、ボアのサイズ、ピストン速度、掃気ポートの向き、点火しにくい燃料の噴射圧力、掃気中の掃気マニホールドとシリンダとの間及び/又は掃気マニホールドと排気レシーバとの間の圧力差、燃焼空気密度、主燃料密度、主噴射ノズルの直径及び幾何学的形状のうちの少なくとも1つに応じて、連続する噴射間の時間遅延を制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0055】
制御ユニットは、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズルによって噴射されることなく、点火しにくい燃料が少なくとも1つの主噴射ノズルを介して導入された後に、パイロット噴射ノズルのうちの少なくとも1つが点火しやすい燃料を燃焼室内に噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0056】
点火しにくい燃料は、シリンダ内で点火されない特定の時間を有する。点火しやすい燃料がシリンダに入り、点火しやすい燃料と一緒に噴射される点火しにくい燃料を点火すると、既にシリンダ内にある点火しにくい燃料も点火される。旋回流の場合、点火しにくい燃料は、点火しやすい燃料と一緒に噴射される、さらなる点火しにくい燃料の上流に噴射される。
【0057】
未点火の主燃料は、後から噴射され点火された主燃料を通過してもよく、対応するパイロット噴射ノズルによって噴射された点火しやすい燃料によって、又は、それぞれの主燃料の点火後に未点火の主燃料が次の下流の主点火ノズルに到達した場合には、この後から噴射され点火された主燃料によって形成された点火トーチによって、この後から噴射された主燃料と一緒に点火されてもよい。
【0058】
それぞれのノズルを適切な時間間隔で開閉することによって、先に噴射された未点火の主燃料の到着を後の燃焼と同期させることができる。
【0059】
代替として又は加えて、制御ユニットは、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズルによって噴射されることなく、点火しにくい燃料が少なくとも1つの主噴射ノズルを介して導入される前に、パイロット噴射ノズルのうちの少なくとも1つが燃焼室内に点火しやすい燃料を噴射するように、動力サークル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0060】
適切な時間間隔でそれぞれのノズルを開閉することによって、先の噴射ジェットの火炎前面の到着を後の噴射と同期させることができる。
【0061】
点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズルによってシリンダ内に噴射されることなく、点火しにくい燃料が少なくとも1つの主噴射ノズルを介して導入される場合、点火しにくい燃料は、点火しやすい対応する燃料によって既に点火されている。点火トーチが形成されている。したがって、後から導入された点火しにくい燃料は、既存の点火トーチによって点火される。旋回流の場合、点火しやすい燃料と一緒に噴射される点火しにくい燃料は、さらなる点火しにくい燃料の上流側で噴射される。
【0062】
内燃機関は、第1及び第2の主噴射ノズルを備えることができる。好ましくは、内燃機関は、第1及び第2の主噴射ノズルのみを備え、これらは、シリンダ軸に対して主に180°の周方向距離で互いに対向して配置されてもよい。
【0063】
制御ユニットは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が第2の主噴射ノズルによって噴射される前に、第1の主噴射ノズルが、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0064】
上記で説明したように、一緒に噴射された燃料が点火し、後から噴射された点火しにくい燃料を点火する点火トーチを形成する。
【0065】
或いは、制御ユニットは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が第1の主噴射ノズルによって噴射された後に、第2の主噴射ノズルが、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0066】
上記で説明したように、好ましくは、点火しやすい燃料は、対応する主噴射ノズルによって噴射された点火しにくい燃料、並びに先に噴射され、旋回によって点火しやすい燃料が噴射された領域に運ばれた未点火の燃料を燃焼させることができる。
【0067】
或いは、点火しやすい燃料なしに噴射された点火しにくい燃料は、点火しやすい燃料によって点火しにくい燃料が点火された後に、下流の主噴射ノズルに到達する可能性がある。この場合、一緒に噴射された燃料が燃焼し、そうして形成された点火トーチが、既にシリンダ内にある未点火の点火しにくい燃料を点火する。
【0068】
内燃機関は、第1、第2、及び第3の主噴射ノズルを備えることができる。
【0069】
好ましくは、内燃機関は、正確に3つの主噴射ノズルを備え、これらの主噴射ノズルは、シリンダ軸の周りに均等に分布していてもよく、シリンダ軸に対して主に120°の周方向距離を有することができる。
【0070】
すべての主噴射ノズルは、それぞれのパイロット噴射ノズルを伴うことができ、したがって、主噴射ノズルのそれぞれは、第1、第2、又は第3の主噴射ノズルと見なされてもよい。
【0071】
好ましくは、旋回流の周方向に関して、第2の主噴射ノズルは、第3の主噴射ノズルの上流側に隣接して配置されており、第1の主噴射ノズルは、第2の主噴射ノズルの上流側に隣接して配置されている(したがって、第3の主噴射ノズルは、第1の主噴射ノズルの上流側に隣接して配置されている)。
【0072】
制御ユニットは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が第2及び第3の主噴射ノズルによって好ましくは連続して噴射される前に、第1の主噴射ノズルが、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0073】
一緒に噴射された燃料が燃焼して、第2の主噴射ノズルによって後から噴射される点火しにくい燃料を点火する点火トーチを形成する。次いで、燃焼混合気は、第3の主噴射ノズルによって最終的に噴射された点火しにくい燃料を点火する。
【0074】
或いは、制御ユニットは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が第1及び第2の主噴射ノズルによって好ましくは連続して噴射された後に、第3の主噴射ノズルが、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0075】
一緒に噴射された燃料が燃焼して、それぞれの点火トーチが、第1及び第2の主噴射ノズルによって噴射され、既にシリンダ内にある未点火の点火しにくい燃料を点火する。
【0076】
或いは、制御ユニットは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、第3の主噴射ノズルによって点火しにくい燃料が噴射される前であって、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、第1の主噴射ノズルによって点火しにくい燃料が噴射された後に、第2の主噴射ノズルが、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0077】
一緒に噴射された燃料が燃焼して、点火トーチを形成し、この点火トーチが、第1の主噴射ノズルによって噴射され、既にシリンダ内にある未点火の点火しにくい燃料を点火する。その後、既に燃焼している燃料の混合気は、第3の主噴射ノズルによって後から噴射される点火しにくい燃料を点火する。
【0078】
或いは、制御ユニットは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が第3の主噴射ノズルによって噴射される前に、第1及び第2の主噴射ノズルのそれぞれが、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を連続して噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0079】
一緒に噴射された燃料が燃焼して、燃え上がった燃料が、第3の主噴射ノズルによって後から噴射される点火しにくい燃料を点火する。
【0080】
或いは、制御ユニットは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が第1の主噴射ノズルによって噴射された後に、第2及び第3の主噴射ノズルがそれぞれ、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を連続して噴射するように、動力サイクル中に主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルを制御するのに適していてもよく、並びに/又は制御するように適合されていてもよい。
【0081】
一緒に噴射された燃料は、既にシリンダ内にある点火しにくい燃料を点火する。
【0082】
制御ユニットは、好ましくは上述したように、様々な主噴射ノズル及びパイロット噴射ノズルによる噴射の順序が決定される動作モードを設定及び/又は選択するように構成することができる。
【0083】
さらに、制御ユニットは、動作モード、パイロット噴射ノズルの選択、及び/又は噴射の順序を変更するように、特に、2つ以上のパイロット噴射ノズルが利用可能である場合に噴射に使用されるパイロット噴射ノズルを変更するように構成されてもよい。
【0084】
噴射用に選択されたパイロット噴射ノズルは、動力サイクルごとに、又は規定数の動力サイクル後に変更されてもよい。
【0085】
制御ユニットは、噴射及び点火が所定の順序で異なる主噴射ノズルから開始される場合に、噴射器の均一な寿命消費及びシリンダ部品/構成要素の均一な熱機械的負荷を保証するために、回転点火スケジュールを調整するように構成されてもよい。
【0086】
このオプションは、各主噴射ノズルが近接してパイロット噴射ノズルを伴う場合に、回転対称の配置を想定している。
【0087】
本発明によると、この目的は、特に上述したような内燃機関を動作させるための方法によって解決される。内燃機関は、少なくとも2つの主噴射ノズルを備え、これらの主噴射ノズルは、それぞれの場合に1つの主噴射ノズルから噴出する燃料ジェットが、それぞれの場合に他の主噴射ノズルから噴出する燃料ジェットに影響を及ぼさないように、燃焼室内に配置されている。
【0088】
好ましくは、主噴射ノズルは、周方向に等距離に配置される。点火しやすい燃料を噴射するための少なくとも1つのパイロット噴射ノズルのそれぞれは、対応する主噴射ノズルの近くに配置される。
【0089】
本方法は、好ましくは液体の点火しやすい燃料を、対応する主ノズルを介した好ましくは液体の点火しにくい燃料と一緒に、パイロット噴射ノズルを介して燃焼室に導入するステップを含む。本方法は、対応するパイロット噴射ノズルを介して、点火しやすい燃料を導入することなく、少なくとも1つの主噴射ノズルを介して、好ましくは液体の点火しにくい燃料を噴射するさらなるステップを含む。
【0090】
本ステップは、同じ動力サイクル中に行われ、第2のステップが第1のステップの後に行われてもよく、又はその逆でもよい。
【0091】
対応するパイロット噴射ノズルを介して点火しやすい燃料を導入することなく、少なくとも1つの主噴射ノズルを介して噴射された点火しにくい燃料は、パイロット噴射ノズルを介して燃焼室内に噴射された点火しやすい燃料と、対応する主ノズルを介した点火しにくい燃料との燃焼混合気によって点火されてもよい。好ましくは、点火しやすい燃料を導入することなく少なくとも1つの主噴射ノズルを介して噴射される点火しにくい燃料は、燃焼混合気の生成後に噴射される。
【0092】
或いは、パイロット噴射ノズルのうちの少なくとも1つは、点火しやすい燃料が対応するパイロットノズルによって噴射されることなく、点火しにくい燃料が主噴射ノズルを介して導入された後に、点火しやすい燃料を燃焼室内に噴射することができる。動力サイクル中、異なる主噴射ノズルによって導入された点火しにくい燃料はすべて、少なくとも1つの対応するパイロット噴射ノズルによって導入された点火しやすい燃料によって点火されるか、又は、燃焼混合気によって点火される。
【0093】
パイロット噴射ノズルのうちの少なくとも1つは、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズルによって噴射されることなく、点火しにくい燃料が主噴射ノズルを介して導入される前に、点火しやすい燃料を燃焼室内に噴射することができ、点火しにくい燃料は、点火しやすい燃料と先に噴射された点火しにくい燃料とによって引き起こされる点火トーチによって点火される。
【0094】
点火しにくい燃料は、3~18°CAの時間間隔で異なる主噴射ノズルによって動力サイクル中に連続して導入されてもよい。
【0095】
点火しにくい燃料は、エタノール、メータノール、アンモニアを含むか、又はそれらからなる群から選択されてもよい。
【0096】
点火しやすい燃料は、ディーゼル様燃料であってよい。ディーゼル様燃料には、ディーゼル、及びディーゼルと同様の点火特性を有する非化石由来の液体燃料を含む。
【0097】
内燃機関は、好ましくは上述したように、第1及び第2の主噴射ノズルを備えることができる。動力サイクル中、第1の主噴射ノズルは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が第2の主噴射ノズルによって噴射される前に、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射することができる。
【0098】
或いは、動力サイクル中に、第2の主噴射ノズルは、点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく第1の主噴射ノズルによって噴射された後に、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射することができる。
【0099】
内燃機関は、好ましくは上述したように、第1、第2及び第3の主噴射ノズルを備えることができる。
【0100】
動力サイクル中、第1の主噴射ノズルは、点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、第2及び第3の主噴射ノズルによって連続して噴射される前に、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射することができる。
【0101】
動力サイクル中、第3の主噴射ノズルは、点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、第1及び第2の主噴射ノズルによって一緒に連続して噴射された後、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射することができる。
【0102】
動力サイクル中、第2の主噴射ノズルは、点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、第3の主噴射ノズルによって噴射される前であって、点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、第1の主噴射ノズルによって噴射された後に、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射することができる。
【0103】
上述した3つの実施例において、点火しやすい燃料は、3つの主燃料噴射のうちの1つと一緒に噴射されるだけである。対応する点火しやすい燃料なしに噴射された点火しにくい燃料は、燃焼混合気によって点火されてもよい。
【0104】
或いは、点火しやすい燃料は、3つの主燃料噴射のうちの2つと一緒に噴射されてもよい。
【0105】
動力サイクル中、第1及び第2の主噴射ノズルは、点火しにくい燃料が、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、第3の主噴射ノズルによって噴射される前に、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を連続して噴射することができる。
【0106】
動力サイクル中、第2及び第3の主噴射ノズルは、対応するパイロット噴射ノズルによって点火しやすい燃料を噴射することなく、点火しにくい燃料が第1の主噴射ノズルによって噴射された後に、対応するパイロット噴射ノズルが点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を連続して噴射することができる。
【0107】
本発明によると、コンピュータ・プログラムは、プログラムがコンピュータ上で実行されると、上述した方法のステップを実行するためのプログラム・コードを含む。
【0108】
本発明によると、コンピュータ・プログラム製品は、デジタル・コンピュータの内部メモリに直接ロードされ得て、プログラムがデジタル・コンピュータ上で実行されていると、上述したような方法ステップを実行するソフトウェア・コード部分を含む。
【0109】
好ましくは、コンピュータは制御ユニットに接続されるか、又はその一部である。
【0110】
パイロット燃料が主燃料噴射ごとに噴射され、パイロット燃料の割合が5%である状況と比較して、パイロット燃料の割合を、1回のみのパイロット噴射で1.7%に下げることができる。
【0111】
以下、本発明を、図面を用いて実施例においてさらに説明する。同じ参照番号は、機能的に対応する特徴を指す。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1】本発明による方法の第1の例の概略図である。
図2】本発明による方法の第2の例の概略図である。
図3】本発明による方法の第3の例のステップの概略図である。
図4図3の第3の例の概略時間図である。
図5】本発明による方法の第4の例の概略図である。
図6図5の第4の例の概略時間図である。
図7】本発明による方法の第5の例の概略図である。
図8図7の第5の例の概略時間図である。
図9】本発明による方法の第6の例の概略図である。
図10図9の第6の例の概略時間図である。
図11】本発明による方法の第7の例の概略図である。
図12図11の第7の例の概略時間図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
図1は、本発明による方法の概略図を示す。内燃機関100は、好ましくは少なくとも200mmの内径2を有するシリンダ1を備える。シリンダ1は燃焼室3を含む。
【0114】
シリンダ1は、互いに対向して配置された、点火しにくい燃料を噴射するための2つの主噴射ノズル11、12を備える。シリンダ1はまた、点火しやすい燃料を噴射するための2つのパイロット噴射ノズル21、22を備える。各パイロット噴射ノズル21、22は、対応する主噴射ノズル11、12の近くに配置されている。
【0115】
図では、ノズルは概略的にのみ示されている。場合によっては、ノズル11、12、21、22は、図に明示的に示されていないシリンダ・ライナ又はシリンダ・カバー内に、又はそれらに近接して配置されてもよい。
【0116】
制御ユニット10は、点火しやすい燃料が、対応する主噴射ノズル11を介した点火しにくい燃料と一緒に、第1のパイロット噴射ノズル21を介して燃焼室内に噴射されるように、動力サイクル中に主噴射ノズル11、12及びパイロット噴射ノズル21、22を制御するように適合されている。点火しにくい燃料は、点火しやすい燃料によって点火される。点火トーチ30が形成される。
【0117】
燃焼空気の旋回流が燃焼室3内に形成された場合、点火トーチ3は、第2の主噴射ノズル12に向かって周方向に押しやられる。
【0118】
3~18°CAの時間間隔の後、点火トーチ3が第2の主噴射ノズル12の位置に到達すると、第2の主噴射ノズル12は、点火しやすい燃料が対応するパイロット噴射ノズル22を介して燃焼室に導入されることなく、点火しにくい燃料を噴射する。
【0119】
第2の主噴射ノズル12によって噴射された点火しにくい燃料は、点火トーチ3によって点火される。
【0120】
図2に示すように、ノズル11、12、21、22の同じ配置を異なるように動作させることができる。
【0121】
点火しにくい燃料は、対応するパイロット噴射ノズル21によって点火しやすい燃料を噴射することなく、第1の主噴射ノズル11によって噴射される。
【0122】
燃料は、燃焼空気の旋回流によって周方向に押しやられる。3~18°CAの時間間隔の後、燃料が第2の主噴射ノズル12の位置に到達すると、第2の主噴射ノズル12は、対応するパイロット噴射ノズル22が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射する。
【0123】
点火しやすい燃料は、先に噴射された燃料と、一緒に噴射された燃料の両方を点火する。
【0124】
図3は、本発明による異なる時間間隔t1、t2、t3に対する方法の第3の例のステップの概略図を示す。図4は、それぞれの時間図を概略的に示す。
【0125】
内燃機関100は、点火しにくい燃料を噴射するための3つの主噴射ノズル11、12、13を備える。3つの主噴射ノズル11、12、13は、周方向に等間隔に配置されている。シリンダ1は、点火しやすい燃料を噴射するための3つのパイロット噴射ノズル21、22、23も備える。各パイロット噴射ノズル21、22、23は、対応する主噴射ノズル11、12、13の近くに配置されている。
【0126】
第1の時間間隔t1の間、第1の主噴射ノズル11及び第1のパイロット噴射ノズル21は、点火しにくい燃料及び点火しやすい燃料を一緒に噴射する。図4において、点火しやすい燃料の噴射イベントは、短く強いイベントとして示されているが、点火しにくい燃料の点火は、それほど強くなく、より長く続くイベントとして示されている。
【0127】
燃焼空気の旋回流に従って周方向5に押しやられる点火トーチ3が形成されている。
【0128】
第2の時間間隔t2において、点火しにくい燃料が第2の主噴射ノズル12によって噴射される。点火しにくい燃料は、点火トーチによって点火される。
【0129】
第3の時間間隔t3において、さらなる点火しにくい燃料が、第3の主噴射ノズル13によって噴射される。対応するパイロット噴射ノズル23によるさらなるパイロット燃料の噴射は、点火しにくい燃料が、時間t3で第3の主噴射ノズル13に到達する燃焼燃料によって点火されるため、必要ではない。
【0130】
図5は、本発明による方法の第4の例の概略図を示す。図6は、図5の第4の例の概略時間図を示す。
【0131】
内燃機関100は、点火しにくい燃料を噴射するための3つの主噴射ノズル11、12、13を備える。3つの主噴射ノズル11、12、13は、周方向に等間隔に配置されている。
【0132】
時間間隔t1において、第2の主噴射ノズル12は、点火しにくい燃料を噴射し、この燃料は、第3の主噴射ノズル13に向かって周方向に押しやられ、第3の主噴射ノズル13は、時間間隔t1の後の時間間隔t2において、点火しにくい燃料を噴射する。
【0133】
第2の主噴射ノズル12及び第3の主噴射ノズル13によって噴射された、点火しにくい燃料の全量は、第1の主噴射ノズル11に遭遇するまで周方向5に押しやられる。この時間t3付近で、第1の主噴射ノズル11は、点火しやすい燃料を噴射するパイロット噴射ノズル21と一緒に、点火しにくい燃料を噴射する。
【0134】
点火しやすい燃料は、第1の主噴射ノズル11から噴射された点火しにくい燃料を点火するだけでなく、第2の主噴射ノズル12及び第3の主噴射ノズル13の噴射以降にシリンダ内に存在する点火しにくい燃料も点火する。
【0135】
図7は、本発明による方法の第5の例の概略図を示す。図8は、図7の第5の例の概略時間図を示す。
【0136】
図3に示すようなノズル11、12、13、21、22、23の配置を異なるように動作させることができる。
【0137】
時間間隔t1において、第1の主噴射ノズル11は、点火しにくい燃料を噴射し、この燃料は、第2の主噴射ノズル12に向かって周方向に押しやられ、第2の主噴射ノズル12は、時間間隔t1の後の時間間隔t2において、点火しやすい燃料を噴射するパイロット噴射ノズル22と一緒に点火しにくい燃料を噴射する。
【0138】
点火しやすい燃料は、第2の主噴射ノズル12から噴射された点火しにくい燃料を点火するだけでなく、第1の主噴射ノズル11の噴射以降にシリンダ内に存在する点火しにくい燃料も点火する。
【0139】
噴射トーチは、第3の主噴射ノズル13に到達するまで周方向5に押しやられる。この時間t3付近で、第3の主噴射ノズル13は、点火トーチによって点火される、点火しにくい燃料を噴射する。
【0140】
図3又は図7に示すようなノズル11、12、13、21、22、23の同じ配置を異なるように動作させることができる。
【0141】
図9は、本発明による方法の第6の例の概略図を示す。図10は、図9の第6の例の概略時間図を示す。
【0142】
時間間隔t1において、第1の主噴射ノズル11は、対応するパイロット噴射ノズル21が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射する。
【0143】
同時に又は後の時間t2において、第2の主噴射ノズル12は、対応するパイロット噴射ノズル22が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射する。
【0144】
これらのイベントの後、点火しやすい燃料によって点火しにくい燃料が点火されると、時間t3において、第3の主噴射ノズル13が、点火しやすい燃料を噴射する対応するパイロットノズル23なしに、点火しにくい燃料を噴射する。
【0145】
第3の主噴射ノズル13によって噴射された点火しにくい燃料は、既に燃焼している燃料によって点火される。
【0146】
図3図7又は図9に示すようなノズル11、12、13、21、22、23の配置が同じ燃焼機関100を異なるように動作させることができる。
【0147】
図11は、本発明による方法の第7の例の概略図を示す。図12は、図11の第7の例の概略時間図を示す。
【0148】
時間間隔t1において、第2の主噴射ノズル12は、点火しやすい燃料を噴射する対応するパイロットノズルなしに、点火しにくい燃料を噴射する。
【0149】
点火しにくい燃料は、上述したように周方向に押しやられる。
【0150】
時間間隔t2において、第2の主噴射ノズル12は、対応するパイロット噴射ノズル22が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射する。
【0151】
同じ時間間隔又は後の時間間隔t3において、第1の主噴射ノズル11は、対応するパイロット噴射ノズル21が点火しやすい燃料を噴射するのと一緒に、点火しにくい燃料を噴射する。
【0152】
一緒に導入された燃料の噴射は、準即時点火を引き起こす。燃焼した燃料は、時間間隔t1以降シリンダ1内に既に存在する点火しにくい燃料を点火する。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
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【外国語明細書】