(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000878
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】流量異常検知システム、及び、流量異常検知プログラム
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20231226BHJP
G05D 16/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F16K37/00 B
G05D16/00 J
F16K37/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099849
(22)【出願日】2022-06-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】592199386
【氏名又は名称】角田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】北村 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 勇太
(72)【発明者】
【氏名】塚本 春生
【テーマコード(参考)】
3H065
5H316
【Fターム(参考)】
3H065AA01
3H065BA01
3H065BB21
3H065BC02
3H065CA01
5H316BB08
5H316DD02
5H316EE02
5H316EE09
5H316FF02
5H316FF22
5H316GG01
5H316JJ01
(57)【要約】
【課題】二次側流路に流量計を設置しなくても二次側流路の流量異常を把握する。
【解決手段】流量異常検知システム1に含まれる減圧弁2は、本体20と減圧機構30とインジケータ部材50を備える。減圧機構30は、弁棒31、該弁棒31に固定され流路11,12との間において弁棒中心線AX1に沿って開閉動作可能な弁体32、及び、該弁体32を閉じる向きに該弁体32に力を加える付勢部40を有し、弁体32の開度T0に応じた流量の流体を通過させ、二次側流路12の流体の圧力を一次側流路11の流体の圧力よりも下げる。インジケータ部材50は、弁棒31とともに弁棒中心線AX1に沿って移動する。本流量異常検知システム1は、弁棒中心線方向D1におけるインジケータ部材50の位置に対応する計測値V0を取得し、計測値V0が二次側流路12の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧弁を含む流量異常検知システムであって、
前記減圧弁は、
一次側流路から二次側流路に切り替わる管路を有する本体と、
弁棒中心線に沿って移動可能な弁棒、該弁棒に固定され前記一次側流路と前記二次側流路との間において前記弁棒中心線に沿って開閉動作可能な弁体、及び、該弁体を閉じる向きに該弁体に力を加える付勢部を有し、前記弁体の開度に応じた流量の流体を通過させ、前記二次側流路の流体の圧力を前記一次側流路の流体の圧力よりも下げる減圧機構と、
前記弁棒とともに前記弁棒中心線に沿って移動するインジケータ部材と、を備え、
本流量異常検知システムは、
前記弁棒中心線に沿った弁棒中心線方向における前記インジケータ部材の位置に対応する計測値を取得する計測部と、
取得された前記計測値が前記二次側流路の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知する通知部と、を備える、流量異常検知システム。
【請求項2】
前記通知部は、前記計測値に対応する前記開度が所定開度以上であるか否かを判断し、前記開度が前記所定開度以上であると判断すると前記流量異常を通知する、請求項1に記載の流量異常検知システム。
【請求項3】
前記減圧弁と前記計測部の組合せが複数あり、
前記計測部は、前記減圧弁を特定するための識別情報とともにネットワークを介して前記計測値を送信するデータ送信部を有し、
前記通知部は、前記ネットワークを介して前記識別情報及び前記計測値を受信する受信部を有し、前記識別情報に基づいて特定される前記減圧弁の情報とともに前記流量異常を通知する、請求項1又は請求項2に記載の流量異常検知システム。
【請求項4】
前記通知部は、前記減圧弁毎に、前記開度に対する流量異常判別用の閾値を過去の前記計測値に基づいて設定し、前記受信部が受信した前記計測値に対応する前記開度が前記閾値以上であるか否かを判断し、前記開度が前記閾値以上であると判断すると前記減圧弁の情報とともに前記流量異常を通知する、請求項3に記載の流量異常検知システム。
【請求項5】
前記通知部は、前記減圧弁毎に、過去の一定期間における前記計測値に対応する前記開度の最大値に基づいて前記閾値を設定する、請求項4に記載の流量異常検知システム。
【請求項6】
前記通知部は、期間毎に過去の前記計測値に基づいて前記閾値を設定し、前記計測部が前記計測値を取得した期間に設定された前記閾値を用いて、前記受信部が受信した前記計測値に対応する前記開度が前記閾値以上であるか否かを判断する、請求項4に記載の流量異常検知システム。
【請求項7】
前記期間は、時間帯、曜日、月、及び、季節のいずれかである、請求項6に記載の流量異常検知システム。
【請求項8】
減圧弁を含む流路の流量異常を検知するための流量異常検知プログラムであって、
前記減圧弁は、
一次側流路から二次側流路に切り替わる管路を有する本体と、
弁棒中心線に沿って移動可能な弁棒、該弁棒に固定され前記一次側流路と前記二次側流路との間において前記弁棒中心線に沿って開閉動作可能な弁体、及び、該弁体を閉じる向きに該弁体に力を加える付勢部を有し、前記弁体の開度に応じた流量の流体を通過させ、前記二次側流路の流体の圧力を前記一次側流路の流体の圧力よりも下げる減圧機構と、
前記弁棒とともに前記弁棒中心線に沿って移動するインジケータ部材と、を備え、
本流量異常検知プログラムは、
前記弁棒中心線に沿った弁棒中心線方向における前記インジケータ部材の位置に対応する計測値を取得する計測値取得機能と、
取得された前記計測値が前記二次側流路の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知する通知機能と、をコンピューターに実現させる、流量異常検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧弁を含む流量異常検知システム、及び、流量異常検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水道管路に設置される減圧弁は、一次側流路から二次側流路に切り替わる箇所に設置され、ポンプ等で加圧されて送水される水道水を、一般家庭等の蛇口で扱い易い水圧に減圧する。二次側流路の管路が破損すると、二次側流路の水圧が低下することにより水道水が一次側流路から二次側流路に大量に流れ、配水池に設置されている流量計で異常流量が計測される。この場合、職員が現地に出向き、配水区域内の仕切弁を操作しながら、破損箇所の特定を行っている。
特許文献1には、水道用減圧弁の故障の発生を未然に防止する監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した監視装置は、水道用減圧弁の故障の発生を未然に防止するために使用される装置であり、二次側流路の管路が破損したか否かを監視する装置ではない。
また、二次側流路の管路破損を検知するために高価な流量計を多数の二次側流路に設置することは、現実的ではない。
【0005】
本発明は、二次側流路に流量計を設置しなくても二次側流路の流量異常を把握可能な技術を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流量異常検知システムは、減圧弁を含む流量異常検知システムであって、
前記減圧弁は、
一次側流路から二次側流路に切り替わる管路を有する本体と、
弁棒中心線に沿って移動可能な弁棒、該弁棒に固定され前記一次側流路と前記二次側流路との間において前記弁棒中心線に沿って開閉動作可能な弁体、及び、該弁体を閉じる向きに該弁体に力を加える付勢部を有し、前記弁体の開度に応じた流量の流体を通過させ、前記二次側流路の流体の圧力を前記一次側流路の流体の圧力よりも下げる減圧機構と、
前記弁棒とともに前記弁棒中心線に沿って移動するインジケータ部材と、を備え、
本流量異常検知システムは、
前記弁棒中心線に沿った弁棒中心線方向における前記インジケータ部材の位置に対応する計測値を取得する計測部と、
取得された前記計測値が前記二次側流路の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知する通知部と、を備える、態様を有する。
【0007】
また、本発明の流量異常検知プログラムは、減圧弁を含む流路の流量異常を検知するための流量異常検知プログラムであって、
前記減圧弁は、
一次側流路から二次側流路に切り替わる管路を有する本体と、
弁棒中心線に沿って移動可能な弁棒、該弁棒に固定され前記一次側流路と前記二次側流路との間において前記弁棒中心線に沿って開閉動作可能な弁体、及び、該弁体を閉じる向きに該弁体に力を加える付勢部を有し、前記弁体の開度に応じた流量の流体を通過させ、前記二次側流路の流体の圧力を前記一次側流路の流体の圧力よりも下げる減圧機構と、
前記弁棒とともに前記弁棒中心線に沿って移動するインジケータ部材と、を備え、
本流量異常検知プログラムは、
前記弁棒中心線に沿った弁棒中心線方向における前記インジケータ部材の位置に対応する計測値を取得する計測値取得機能と、
取得された前記計測値が前記二次側流路の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知する通知機能と、をコンピューターに実現させる、態様を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二次側流路に流量計を設置しなくても二次側流路の流量異常を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ダイヤフラム式減圧弁を含む流量異常検知システムの例を模式的に示す図である。
【
図2】弁体が全閉位置にある状態の減圧弁の要部を模式的に示す図である。
【
図3】
図1に示すB部においてインジケータ部材が境界位置にある状態の減圧弁の要部を模式的に示す図である。
【
図4】流量異常検知システムの構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図5】計測部及び通知部の構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図6】記憶部に記憶される減圧弁データテーブル及び監視データの構造例を模式的に示す図である。
【
図7】シリンダー式減圧弁及び非接触式センサーの例を模式的に示す断面図である。
【
図8】ダイヤフラム式減圧弁及び接触式センサーの例を模式的に示す断面図である。
【
図9】流量異常検知処理の例を模式的に示すフローチャートである。
【
図10】閾値設定処理の例を模式的に示すフローチャートである。
【
図11】閾値設定処理の別の例を模式的に示すフローチャートである。
【
図12】閾値設定処理の別の例を模式的に示すフローチャートである。
【
図13】閾値設定処理の別の例を模式的に示すフローチャートである。
【
図14】流量異常検知画面の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)流量異常検知システムの具体例:
以下、
図1~14に示される例を参照して、本発明に含まれる技術の具体例を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
【0011】
図1は、減圧弁を含む流量異常検知システムの例を模式的に示している。
図1に示す減圧弁2は、ダイヤフラム式減圧弁2Aであり、断面が示されている。
図1に示す減圧弁2において、棒状の弁棒31の中心線である弁棒中心線AX1から左側では弁体32が全閉位置P1にある状態が示され、弁棒中心線AX1から右側では弁体32が全開位置P2にある状態が示されている。
図1には、流量異常検知システム1を構成するコンピューター70等も示されている。
図2は、弁体32が全閉位置P1にある状態の減圧弁2の要部を模式的に示している。
図3は、
図1に示すB部において棒状のインジケータ部材50が境界位置P3にある状態の減圧弁2の要部を模式的に示している。
図4は、流量異常検知システム1の構成例を模式的に示すブロック図である。
詳しくは後述するが、減圧弁2は、ダイヤフラム式減圧弁以外の減圧弁でもよく、例えば、
図7に示すシリンダー式減圧弁2Bのようなシリンダー式減圧弁でもよい。流量異常検知システム1に用いられる計測部60は、
図1に示す非接触式センサー61Aのような非接触式センサーを用いた計測部に限定されず、
図8に示す接触式センサー61Bのような接触式センサーを用いた計測部、リミットスイッチや近接センサーを用いた計測部、等でもよい。
【0012】
減圧弁2は、例えば、上水道の配水管路に設置され、ポンプ等で加圧されて送水される水道水を、一般家庭等の蛇口で扱い易い水圧に減圧する。
図1に示す減圧弁2は、一次側管路101と二次側管路102との間に設置され、弁体32の開度T0に応じた流量の水道水(流体の例)を通過させ、二次側流路12の水道水の圧力を一次側流路11の水道水の圧力よりも下げる。
図1において、一次側管路101から弁体32までの流路が一次側流路11であり、弁体32から二次側管路102へ続く流路が二次側流路12である。
【0013】
二次側管路102が破損すると、二次側流路12の水圧が低下することにより水道水が一次側流路11から二次側流路12に大量に流れ、配水池に設置されている流量計で異常流量が計測される。しかし、流量計は高価であるため、多数ある二次側管路102の破損を検知するために流量計を二次側管路102に流量計を設置することは、現実的ではない。本具体例の流量異常検知システム1は、高価な流量計を使用しないで二次側流路12の流量異常を検知して管理者に通知することにより、二次側管路102の破損箇所の早期発見を可能にさせている。
【0014】
図1,4に示す流量異常検知システム1は、減圧弁2、計測部60、及び、通知部の例であるコンピューター70を備えている。減圧弁2は、本体20、減圧機構30、及び、インジケータ部材50を備えている。
【0015】
本体20は、一次側流路11から二次側流路12に切り替わる管路22を有している。
図1,2に示す本体20は、ダイヤフラム式減圧弁2Aのための構成要素として、管路22を有する弁箱21、保持部材24、蓋25、カバー27、ナット28、等を備えている。弁箱21には、一次側流路11と二次側流路12との境界部において環状の弁座23が取り付けられている。弁箱21の一次側は一次側管路101に接続され、弁箱21の二次側は二次側管路102に接続される。保持部材24は、弁棒中心線AX1に沿って弁棒31が通り抜けている貫通穴24aを有し、弁棒中心線AX1に沿った弁棒中心線方向D1へ移動可能に弁棒31を保持する。保持部材24は、弁箱21の上部開口を塞ぐように弁箱21に対して取り外し可能に取り付けられている。蓋25は、弁棒中心線AX1に沿ってインジケータ部材50が通り抜けている貫通穴25a、一次側連絡管44からの水道水の流入部25b、及び、二次側連絡管45への水道水の流出部25cを有している。蓋25は、保持部材24の上部開口を塞ぐように保持部材24に対して取り外し可能に取り付けられている。保持部材24と蓋25との間には、ダイヤフラム42とダイヤフラム押さえ43の移動を許容するチャンバー26が存在する。カバー27は、弁棒中心線AX1に沿ってインジケータ部材50が通り抜けている貫通穴27aを有し、蓋25の上部に取り付けられている。
尚、本体20は、減圧弁2においてインジケータ部材50の一部が外部へ突出するように管路22を形成する部位を意味する。従って、弁棒中心線方向D1におけるインジケータ部材50の位置を計測可能に突出部51を覆うカバーが設けられても、このカバーは本体20に含まれない。
【0016】
減圧機構30は、弁棒31と弁体32と付勢部40を有し、弁体32の開度T0に応じた流量の水道水を通過させ、二次側流路12の水道水の圧力を一次側流路11の水道水の圧力よりも下げる。長手状の弁棒31は、保持部材24の貫通穴24aに挿入され、保持部材24に対して弁棒中心線方向D1へ移動可能に保持されている。従って、弁棒31は、弁棒中心線AX1に沿って移動可能である。
図1,2に示す弁棒31の下端である弁体固定端31aの近傍には、弁体32が固定されている。弁棒31において弁体固定端31aとは反対側の端部である接続端31bには、長手状のインジケータ部材50の接続端50bが固定されている。弁体32は、弁棒31に固定され、一次側流路11と二次側流路12との間において弁棒中心線AX1に沿って開閉動作可能である。弁体32には、ゴム等といったエラストマー製の弁体弁座33が取り付けられている。
図2に示すように全閉位置P1にある弁体32は、水道水が一次側流路11から二次側流路12に流れることを抑止する。
図1において弁棒中心線AX1の右側に示すように全開位置P2にある弁体32は、水道水が一次側流路11から二次側流路12に流れることを許容する。付勢部40は、弁体32を閉じる向きに該弁体32に力を加える。
図1,2に示す付勢部40は、弁体32に対して弁棒中心線AX1に沿って下向きに力を加えるばね41を備えている。ばね41には圧縮コイルばねを用いることができるが、弁体32を閉じる向きに該弁体32に力が加わる限り、ばね41の種類は限定されない。
図1,2において、ばね41の上端は保持部材24に突き当たり、ばね41の下端は弁体32に突き当たっている。
【0017】
減圧機構30は、ダイヤフラム式減圧弁2Aのための構成要素として、ゴム等といったエラストマー製のダイヤフラム42、連絡管44,45、等を備えている。形状弾性を示すダイヤフラム42は、弁棒31の上部が通り抜けている穴42aを有し、周縁部において保持部材24と蓋25とに挟まれて保持されている。ダイヤフラム42の両面に配置されているダイヤフラム押さえ43は、弁棒31の上部が通り抜けている穴43aを有している。
図1に示すように、一次側連絡管44は、弁箱21の一次側流路11の接続部11aから蓋25の流入部25bに繋がり、一次側流路11の水道水を保持部材24と蓋25との間のチャンバー26に導くことが可能である。二次側連絡管45は、減圧パイロット弁46を介して蓋25の流出部25cから弁箱21の二次側流路12の接続部12aに繋がり、チャンバー26内の水道水を二次側流路12に流すことが可能である。減圧パイロット弁46は、二次側流路12の水圧が設定圧力を超えると閉作動し、二次側流路12の水圧が設定圧力を下回ると開作動する。
【0018】
例えば、夜間等のように二次側管路102の水道水の使用量が少ないために二次側流路12の水圧が上昇し、減圧パイロット弁46の設定圧力を超えると、減圧パイロット弁46は開作動から閉作動に切り替わる。これにより、ダイヤフラム42の上側において一次側圧力の逃げ場が無くなって圧力が高くなり、ばね41の力により弁体32が閉じる向きに移動し、二次側流路12の水圧が低下する。
逆に、二次側管路102の水道水の使用量が増加したために二次側流路12の水圧が低下し、減圧パイロット弁46の設定圧力を下回ると、減圧パイロット弁46は閉作動から開作動に切り替わる。これにより、ダイヤフラム42の上側の一次側圧力が二次側に逃げ、ばね41の力に抗して一次側流路11の一次側圧力がダイヤフラム42の上側の圧力に打ち勝ち、弁体32が開く向きに移動し、二次側流路12の水圧が上昇する。
【0019】
以上により、減圧機構30は、弁体32の開度T0に応じた流量の水道水を通過させ、二次側流路12の水道水の圧力を一次側流路11の水道水の圧力よりも下げる。
【0020】
インジケータ部材50は、蓋25の貫通穴25a等に挿入され、弁体32が固定された弁棒31とともに弁棒中心線AX1に沿って移動し、一部が弁棒中心線AX1に沿って本体20外へ突出している。ここで、インジケータ部材50のうち本体20外へ突出した部分を突出部51と呼ぶことにし、突出部51の長さを突出長L0と呼ぶことにする。
図1,2に示すインジケータ部材50の下端である接続端50bには、弁棒31の接続端31bが固定されている。突出部51は、インジケータ部材50において接続端31bとは反対側の端部である突出端50aを含んでいる。インジケータ部材50が弁棒31を介して弁体32とともに弁棒中心線AX1に沿って移動するため、突出部51の突出長L0は、弁体32の開度T0に対応している。
【0021】
弁体32が全閉位置P1にある場合、弁体32の開度T0は0%であり、突出長L0は最も短い。弁体32が全開位置P2にある場合、弁体32の開度T0は100%であり、突出長L0は最も長い。ここで、開度T0が0%である場合の突出長L0をL1とし、開度T0が100%である場合の突出長L0をL2とする。計測される突出長L0がL3である場合、突出長L3に対応する開度T0は、(L3-L1)/(L2-L1)となる。
図3に示すように、全閉位置P1と全開位置P2との間で通常使用時の範囲A1と流量異常時の範囲A2との境界位置P3が定められると、突出長L3に基づいて二次側流路12の流量が正常であるか異常であるかを判別することができる。そこで、流量異常検知システム1は、突出部51の突出長L0に対応する計測値V0を計測部60で取得し、計測値V0が二次側流路12の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知することにしている。
【0022】
計測部60は、インジケータ部材50のうち突出部51の突出長L0に対応する計測値V0を取得する。突出長L0に対応する計測値V0は、弁棒中心線AX1に沿った弁棒中心線方向D1におけるインジケータ部材50の位置に対応する計測値の例である。
図1に示す計測部60は、支持部材68に支持された非接触式センサー61Aを含んでいる。非接触式センサー61Aは、突出部51に接触しないで突出端50aの相対的な位置を計測値V0として検出する。インジケータ部材50の突出端50aの相対的な位置は、弁棒中心線方向D1におけるインジケータ部材50の位置を表している。計測部60は、ネットワークN1を介して計測値V0をコンピューター70に送信する。突出端50aの相対的な位置は突出長L0に対応しているので、計測値V0は突出長L0に対応している。支持部材68の下端は、カバー27とナット28とに挟まれて本体20に固定されている。非接触式センサー61Aは、支持部材68の上端近傍において支持部材68に固定されている。非接触式センサー61Aには、レーザー式の変位又は測長センサー、LED(発光ダイオード)式の変位又は測長センサー、超音波式の変位又は測長センサー、等を用いることができる。
計測値V0は、インジケータ部材50の突出長L0そのものでもよいし、突出長L0そのものではないものの突出端50aの位置など突出長L0に対応する値でもよい。また、計測部60は、突出長L0に対応する開度T0を算出して開度T0を計測値V0としてコンピューター70に送信してもよい。いずれの計測値V0も、弁棒中心線方向D1におけるインジケータ部材50の位置に対応する計測値に含まれる。
【0023】
コンピューター70(通知部の例)は、計測部60により取得された計測値V0が二次側流路12の流量異常であることを示す値になると該流量異常を管理者に通知する。
図1に示すコンピューター70は、ネットワークN1を介して計測部60から計測値V0を受信し、計測値V0に対応する開度T0が正常範囲であるか異常範囲であるかを判別し、開度T0が異常範囲になると流量異常を管理者に通知する。この時、コンピューター70は、管理者が使用する端末80に流量異常を通知してもよい。端末80には、スマートフォンといった携帯電話、ネットワークN1に接続されたパーソナルコンピューター(タブレット端末を含む。)、等を用いることができる。
【0024】
本流量異常検知システム1では、インジケータ部材50の突出長L0に対応する計測値V0が計測部60により取得され、取得された計測値V0が二次側流路12の流量異常であることを示す値になると該流量異常が管理者に通知される。従って、本流量異常検知システム1により、高価な流量計を二次側流路12に設置しなくても二次側流路12の流量異常を把握することが可能となる。また、
図4に示すように減圧弁2と計測部60の組合せが複数ある流量異常検知システム1において流量異常が検知された減圧弁2の情報が通知されることにより、二次側管路102の破損箇所を早期に発見することが可能となる。
【0025】
図4には、流量異常検知システム1のサービス範囲にn個の減圧弁2が設置され、各減圧弁2に計測部60が取り付けられ、各計測部60が識別情報IDを保持していることが示されている。n箇所の計測部60が保持している識別情報ID1,ID2,…,IDi,…,IDnは、全て異なる。尚、nは2以上の整数であり、変数iは計測部60を識別する変数である。各計測部60からの情報(識別情報IDと計測値V0)は、ネットワークN1を介して共通のコンピューター70に送信される。従って、
図4に示すコンピューター70は、流量異常検知システム1を管理するサーバーコンピューターといえる。
【0026】
図5は、計測部60及びコンピューター70の構成例を模式的に示している。
図6は、コンピューター70の記憶部74に記憶される減圧弁データテーブルTA1及び監視データDA1の構造例を模式的に示している。
図5に示すコンピューター70は、CPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72、RAM(Random Access Memory)73、記憶部74、入力部75、出力部76、時計部77、ネットワーク接続用のI/F(インターフェイス)78、等を備える。図示していないが、コンピューター70は、電話回線を介して端末80と接続するためのモバイルルーターを備えていてもよい。前述の要素(71~78)等は、電気的に接続され、互いに情報を入出力可能とされている。
【0027】
記憶部74は、不図示のオペレーティングシステム、減圧弁データテーブルTA1、監視データDA1、減圧弁2を含む流路の流量異常を検知するための流量異常検知プログラムPR1、等を記憶している。流量異常検知プログラムPR1は、インジケータ部材50の突出長L0に対応する計測値V0を取得する計測値取得機能FU1、及び、取得された計測値V0が二次側流路12の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知する通知機能FU2をコンピューター70に実現させる。記憶部74には、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリー、ハードディスクといった磁気記憶装置、等を用いることができる。入力部75には、キーボードといったハードキー、ポインティングデバイス、表示装置の表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。出力部76には、液晶ディスプレイといった表示装置、音声出力装置、印刷装置、等を用いることができる。時計部77は、現在日時を出力可能である。I/F78は、ネットワークN1に接続され、相手機器にデータを送信したり相手機器からデータを受信したりする。
図5に示すI/F78は、計測部60からネットワークN1を介して識別情報ID及び計測値V0を受信する受信部の例である。CPU71は、ROM72に格納されているプログラムを実行し、さらに、記憶部74に記憶されている情報を適宜、RAM73に読み出し、読み出したプログラムを実行することにより各種処理を行う。CPU71は、RAM73に読み出された流量異常検知プログラムPR1を実行することにより、計測値取得機能FU1と通知機能FU2に対応する処理を行う。
【0028】
図5に示す計測部60は、ウェブサーバーとしての機能を有し、センサー61に加えて、CPU60a、ROM60b、RAM60c、記憶部60d、センサー用のI/F60e、時計部60f、ネットワーク接続用のI/F60g、等を備える。前述の要素(60a~60g)等は、電気的に接続され、互いに情報を入出力可能とされている。センサー61は、
図1に示す非接触式センサー61A、
図8に示す接触式センサー61B、等を総称している。接触式センサー61Bには、ピン接触式の変位センサー、ボール接触式の変位センサー、等を用いることができる。
【0029】
記憶部60dは、識別情報ID、計測値V0、計測日時、等を記憶している。識別情報IDは、減圧弁2を識別することができる情報であればよいため、減圧弁2に取り付けられた計測部60を識別する情報でもよい。識別情報IDには、製品としての計測部60のシリアルナンバー、IPアドレス(インターネットプロトコルアドレス)、減圧弁2に付与された減圧弁識別情報、等を用いることができる。記憶部74には、不揮発性半導体メモリー等を用いることができる。I/F60eは、センサー61に接続され、突出長L0に対応する計測値V0をセンサー61から受け取る。時計部60fは、現在日時を出力可能である。I/F60gは、ネットワークN1に接続され、相手機器にデータを送信したり相手機器からデータを受信したりする。
図5に示すI/F60gは、減圧弁2を特定するための識別情報IDとともにネットワークN1を介して計測値V0を送信するデータ送信部の例である。CPU60aは、RAM60cをワークエリアとして使用し、ROM60bに格納されているプログラムを実行することにより各種処理を行う。
【0030】
計測部60は、設定されたタイミングで突出長L0を計測して取得した計測値V0を識別情報IDとともにコンピューター70に送信する。計測部60は、時計部60fから取得した現在日時を計測日時としてコンピューター70に送信してもよい。計測値V0の送信間隔は、突出長L0の計測間隔よりも長くてもよい。また、計測部60は、コンピューター70から突出長L0の計測間隔の設定値、及び、計測値V0の送信間隔の設定値を受信し、これらの設定値に従って突出長L0を計測して取得した計測値V0をコンピューター70に送信してもよい。さらに、計測部60は、コンピューター70から計測値V0の送信要求を受信したことをトリガーとして計測値V0をコンピューター70に送信してもよい。
【0031】
図6に示すように、コンピューター70の記憶部74に記憶されている減圧弁データテーブルTA1は、各識別情報IDに紐付けられた減圧弁2の設置箇所の情報を有している。記憶部74に記憶されている監視データDA1は、識別情報ID毎に、過去の各計測日時に紐付けられた情報、例えば、計測値V0と開度T0と流量判定結果を有している。尚、減圧弁データテーブルTA1や監視データDA1に格納される識別情報IDは、計測部60が保持している識別情報IDに対応していれば、データとしては計測部60が保持している識別情報IDとは異なっていてもよい。
【0032】
以上より、各計測部60は、設定されたタイミングでネットワークN1を介して識別情報IDと計測値V0をコンピューター70に送信する。コンピューター70は、ネットワークN1を介して識別情報IDと計測値V0を受信し、計測値V0に対応する開度T0を求め、開度T0に基づいて二次側流路12の流量が正常であるか異常であるかを示す流量判定結果を得る。コンピューター70は、計測日時を受信した場合には該計測日時を監視データDA1に追加し、計測日時を受信しなかった場合には時計部77から現在日時を取得して監視データDA1に追加する。また、コンピューター70は、計測値V0と開度T0と流量判定結果を計測日時に紐付けて監視データDA1に追加する。流量判定結果が異常である場合、コンピューター70は、識別情報IDに基づいて特定される減圧弁2の情報とともに流量異常を管理者に通知する。
【0033】
図4,5に示す流量異常検知システム1では、二次側流路12の流量異常が管理者に通知されることに加えて、流量異常となった二次側流路12を有する減圧弁2を特定する情報も管理者に通知される。従って、本流量異常検知システム1により、高価な流量計を二次側流路12に設置しなくても二次側流路12の流量異常を把握し、且つ、複数の二次側流路12の中から流量異常となった二次側流路12を把握することが可能となる。その結果、二次側管路102の破損箇所を早期に発見することが可能となる。
【0034】
図4に示す流量異常検知システム1に含まれる複数の減圧弁2の少なくとも一部は、
図7に例示するようなシリンダー式減圧弁2Bでもよい。
図7は、シリンダー式減圧弁2B及び非接触式センサー61Aの例を模式的に示す断面図である。
図7において、
図1で示した要素に類似する要素については、
図1で示した符号を付している。
シリンダー式減圧弁2Bは、本体20、減圧機構30、及び、インジケータ部材50を備えている。
【0035】
本体20は、一次側流路11から二次側流路12に切り替わる管路22を有する弁箱21、蓋25、等を備えている。減圧機構30は、シリンダー120、ピストン121、弁棒31、弁体32、付勢部40、等を有している。
弁箱21の一次側は一次側管路101(
図1参照)に接続され、弁箱21の二次側は二次側管路102(
図1参照)に接続される。シリンダー120は、ピストン121の弁棒中心線方向D1への移動を許容するチャンバー26、弁棒中心線AX1に沿って弁棒31が通り抜けている貫通穴120a、及び、チャンバー26から二次側流路12に繋がる穴120bを有している。シリンダー120は、弁箱21の上部開口を塞ぐように弁箱21に対して取り外し可能に取り付けられている。蓋25は、弁棒中心線AX1に沿ってインジケータ部材50が通り抜けている貫通穴を有し、シリンダー120の上部開口を塞ぐように弁箱21に対して取り外し可能に取り付けられている。図示していないが、蓋25は、
図1に示す蓋25と同様、一次側連絡管からの水道水の流入部、及び、二次側連絡管への水道水の流出部を有している。ピストン121は、チャンバー26内において弁棒中心線AX1に沿って移動可能である。長手状の弁棒31は、シリンダー120の貫通穴120aに挿入され、ピストン121に固定され、弁棒中心線AX1に沿って移動可能である。
図7に示す弁棒31の下端である弁体固定端31aの近傍には、弁体32が固定されている。弁棒31の上端には、長手状のインジケータ部材50の下端が固定されている。弁体32は、弁棒31に固定され、一次側流路11と二次側流路12との間において弁棒中心線AX1に沿って開閉動作可能である。
図7に示す付勢部40は、弁体32に対して弁棒中心線AX1に沿って下向きに力を加えるばね41、例えば、圧縮コイルばねを備えている。
図7において、ばね41の上端は蓋25に突き当たり、ばね41の下端はピストン121に突き当たっている。
【0036】
インジケータ部材50は、蓋25の貫通穴等に挿入され、弁体32が固定された弁棒31とともに弁棒中心線AX1に沿って移動し、一部が弁棒中心線AX1に沿って本体20外へ突出している。
二次側管路102の水道水の使用量が少ないために二次側流路12の水圧が上昇し、減圧パイロット弁46(
図1参照)の設定圧力を超えると、減圧パイロット弁46は開作動から閉作動に切り替わる。これにより、ピストン121の上側の圧力が高くなり、ばね41の力により弁体32が閉じる向きに移動し、二次側流路12の水圧が低下する。逆に、二次側管路102の水道水の使用量が増加したために二次側流路12の水圧が低下し、減圧パイロット弁46の設定圧力を下回ると、減圧パイロット弁46は閉作動から開作動に切り替わる。これにより、ピストン121の上側の一次側圧力が二次側に逃げ、ばね41の力に抗して一次側流路11の一次側圧力がピストン121の上側の圧力に打ち勝ち、弁体32が開く向きに移動し、二次側流路12の水圧が上昇する。
【0037】
以上により、シリンダー式減圧弁2Bの減圧機構30も、弁体32の開度T0に応じた流量の水道水を通過させ、二次側流路12の水道水の圧力を一次側流路11の水道水の圧力よりも下げる。
【0038】
インジケータ部材50は、蓋25の貫通穴等に挿入され、弁体32が固定された弁棒31とともに弁棒中心線AX1に沿って移動する。インジケータ部材50において突出端50aを含む突出部51は、弁棒中心線AX1に沿って本体20外へ突出している。インジケータ部材50が弁棒31を介して弁体32とともに弁棒中心線AX1に沿って移動するため、突出部51の突出長L0は、弁体32の開度T0に対応している。そこで、計測部60は突出長L0に対応する計測値V0を取得することができ、コンピューター70は計測値V0が二次側流路12の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知することができる。
【0039】
図4に示す流量異常検知システム1に含まれる複数の計測部60の少なくとも一部は、
図8に例示するような接触式センサー61Bを用いた計測部でもよい。
図8は、ダイヤフラム式減圧弁2A及び接触式センサー61Bの例を模式的に示す断面図である。
図8において、
図1で示した要素に類似する要素については、
図1で示した符号を付している。
図8に示す計測部60は、支持部材68に支持された接触式センサー61Bを含んでいる。接触式センサー61Bは、突出部51に接触している状態で突出端50aの相対的な位置を計測値V0として検出する。計測部60は、ネットワークN1を介して計測値V0をコンピューター70に送信する。そこで、コンピューター70は、受信した計測値V0に基づいて二次側流路12の流量が正常であるか異常であるかを判別することができ、計測値V0が二次側流路12の流量異常であることを示す値になると該流量異常を通知することができる。
【0040】
(2)コンピューターの処理例:
次に、
図9~14も参照して、コンピューター70の処理例を説明する。
図9は、コンピューター70により行われる流量異常検知処理の例を模式的に示している。
図9に示すステップS102~S112の処理は、繰り返し行われる。ここで、ステップS102は計測値取得機能FU1に対応し、ステップS104~S112は通知機能FU2に対応している。
【0041】
流量異常検知処理が開始すると、コンピューター70は、計測部60から情報を受信し、識別情報IDとともに計測値V0を取得する(ステップS102)。受信情報に計測日時が含まれる場合、コンピューター70は、受信情報から計測日時を取得して識別情報IDに紐付けて監視データDA1(
図6参照)に追加し、計測値V0を計測日時に紐付けて監視データDA1に追加する。受信情報に計測日時が無い場合、コンピューター70は、時計部77から現在日時を取得して識別情報IDに紐付けて監視データDA1に追加し、計測値V0を計測日時に紐付けて監視データDA1に追加する。
【0042】
次いで、コンピューター70は、ステップS102で取得された計測値V0から弁体32の開度T0を算出し、識別情報IDと計測日時に紐付けて監視データDA1に追加する(ステップS104)。計測値V0がインジケータ部材50の突出長L3である場合、コンピューター70は、開度0%の突出長L1と開度100%の突出長L2を用いて計算式T0=(L3-L1)/(L2-L1)に従って開度T0を算出することができる。
【0043】
次いで、コンピューター70は、開度T0が所定開度T1以上であるか否かを判断する(ステップS106)。所定開度T1は、流量異常検知システム1に含まれる全ての減圧弁2に共通の閾値であり、
図3に示す境界位置P3における開度の例である。所定開度T1は、0%よりも大きく且つ100%よりも小さい範囲で設定され、特に限定されないが、例えば、30~40%に設定することができる。T0≧T1である場合、ステップS102で取得された識別情報IDに対応する減圧弁2の二次側流路12の流量が異常であることになるので、コンピューター70は、流量判定結果「異常」を識別情報IDと計測日時に紐付けて監視データDA1に追加し、処理をステップS112に進める。コンピューター70は、ステップS112において流量異常を通知するので、開度T0が所定開度T1以上であると判断すると減圧弁2の情報とともに流量異常を通知することになる。これにより、管理者は、全ての減圧弁2について共通の判定基準に従った流量異常を個別の流量計無しに把握することができる。一方、T0<T1である場合、ステップS102で取得された識別情報IDに対応する減圧弁2の二次側流路12の流量が正常であることになるので、コンピューター70は、流量判定結果「正常」を識別情報IDと計測日時に紐付けて監視データDA1に追加し、処理をステップS108に進める。
尚、所定開度をT1’として、コンピューター70はステップS106においてT0>T1’であるか否かを判断してもよい。所定開度T1’よりもごく僅かに大きい開度をT1とするとT0>T1’はT0≧T1と等価であるので、T0>T1’であるか否かを判断する思想は、T0≧T1であるか否かを判断する思想に含まれる。
【0044】
ステップS108において、コンピューター70は、ステップS102で取得された識別情報IDに対応する減圧弁2について、開度T0に対する流量異常判別用の閾値T2を過去の計測値V0に基づいて設定する。ステップS108に対応する処理は、
図10~13に例示するように様々な処理が考えられ、一部がステップS102の処理前に実行されてもよい。
【0045】
図10は、ステップS108に対応する閾値設定処理の例を模式的に示している。ここで、ステップS202~S204の処理が事前に実行され、ステップS206の処理がステップS110の処理の直前に実行される。
閾値設定処理が開始すると、コンピューター70は、識別情報ID毎に監視データDA1のうち過去の一定期間におけるデータを取得する(ステップS202)。実質的に、コンピューター70は、減圧弁2毎に監視データDA1のうち過去の一定期間におけるデータを取得することになる。例えば、一定期間が1年である場合、識別情報ID毎に監視データDA1のうち過去1年分のデータが取得される。
図10中には、監視データDA1のうち2021年1月1日から1年分のデータが取得されたことが示されている。
【0046】
次いで、コンピューター70は、識別情報ID毎に過去の一定期間における開度T0の最大値Tmaxを抽出し、識別情報IDに紐付けて記憶部74に記憶する(ステップS204)。実質的に、コンピューター70は、減圧弁2毎に過去の一定期間における開度T0の最大値Tmaxを識別情報IDに紐付けて記憶することになる。
コンピューター70は、
図9のステップS106において開度T0が所定開度T1未満であると判断した後、ステップS102で取得された識別情報IDに紐付けられている最大値Tmaxに基づいて閾値T2を設定する(ステップS206)。例えば、識別情報IDiに最大値Tmax=25%が紐付けられ、ステップS102で識別情報IDiが取得された場合、最大値Tmax=25%に基づいた閾値T2が設定される。最大値Tmaxに基づいて閾値T2を設定することには、最大値Tmaxを閾値T2として設定すること、最大値Tmaxに微少の開度(ΔTとする。)を加えた開度を閾値T2に設定すること、最大値Tmaxから微少の開度ΔTを差し引いた開度を閾値T2に設定すること、等が含まれる。
【0047】
以上のようにして、コンピューター70は、減圧弁2毎に、過去の一定期間における計測値V0に対応する開度T0の最大値Tmaxを閾値T2として設定する。これにより、開度T0の最大値Tmaxが大きい減圧弁2については流量異常判別用の閾値T2が大きくなり、開度T0の最大値Tmaxが小さい減圧弁2については流量異常判別用の閾値T2が小さくなる。
【0048】
閾値設定処理後、コンピューター70は、開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断する(ステップS110)。T0≧T2である場合、ステップS102で取得された識別情報IDに対応する減圧弁2の二次側流路12の流量が異常であることになるので、コンピューター70は、流量判定結果「異常」を識別情報IDと計測日時に紐付けて監視データDA1に追加し、処理をステップS112に進める。コンピューター70は、ステップS112において流量異常を通知するので、開度T0が閾値T2以上であると判断すると減圧弁2の情報とともに流量異常を通知することになる。これにより、管理者は、減圧弁2毎に個別の判定基準に従った流量異常を把握することができ、減圧弁2の設置箇所の状況に合わせて二次側流路12の流量異常を個別の流量計無しに把握することができる。一方、T0<T2である場合、ステップS102で取得された識別情報IDに対応する減圧弁2の二次側流路12の流量が正常であることになるので、コンピューター70は、流量判定結果「正常」を識別情報IDと計測日時に紐付けて監視データDA1に追加し、処理をステップS102に戻す。
ここでも、閾値をT2’として、コンピューター70はステップS110においてT0>T2’であるか否かを判断してもよい。閾値T2’よりもごく僅かに大きい閾値をT2とするとT0>T2’はT0≧T2と等価であるので、T0>T2’であるか否かを判断する思想は、T0≧T2であるか否かを判断する思想に含まれる。
【0049】
減圧弁2毎の閾値T2が開度T0の最大値Tmaxに基づいている場合、開度T0の最大値Tmaxが大きい減圧弁2については通知の不要な流量異常が通知されるようなことが抑制され、開度T0の最大値Tmaxが小さい減圧弁2については通知されるべき流量異常が通知されないようなことが抑制される。従って、管理者は、より適切に減圧弁2の設置箇所の状況に合わせられた流量異常を把握することができる。
【0050】
水道水の使用量は、ある期間は多く別の期間は少ない等、期間に応じて変動する。期間としては、例えば、時間帯、曜日、月、及び、季節のいずれかが考えられる。
そこで、
図11~13に例示するように、コンピューター70は、期間毎に過去の計測値V0に基づいて閾値T2を設定し、計測部60が計測値V0を取得した期間に設定された閾値T2を用いて、I/F78が受信した計測値V0に対応する開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断してもよい。これにより、管理者は、期間、例えば、時間帯、曜日、月、及び、季節のいずれかによる減圧弁2の設置箇所の状況に合わせて二次側流路12の流量異常を把握することができる。
【0051】
例えば、水道水の使用量は、日中は多く夜間は少ない等、1日の中で時間帯に応じて変動する。そこで、
図11に例示するように、コンピューター70は、時間帯毎に過去の計測値V0に基づいて閾値T2を設定し、計測部60が計測値V0を取得した時間帯に設定された閾値T2を用いて、I/F78が受信した計測値V0に対応する開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断してもよい。これにより、管理者は、時間帯による減圧弁2の設置箇所の状況に合わせて二次側流路12の流量異常を把握することができる。
【0052】
図11は、
図9のステップS108に対応する閾値設定処理の別の例を模式的に示している。ここで、ステップS212~S214の処理が事前に実行され、ステップS216の処理がステップS110の処理の直前に実行される。
閾値設定処理が開始すると、コンピューター70は、識別情報ID毎に監視データDA1のうち過去の一定期間(例えば1年)におけるデータを取得する(ステップS212)。
【0053】
次いで、コンピューター70は、識別情報ID毎であって時間帯毎に過去の一定期間における開度T0の最大値Tmaxを抽出し、識別情報IDと時間帯に紐付けて記憶部74に記憶する(ステップS214)。実質的に、コンピューター70は、減圧弁2毎であって時間帯毎に過去の一定期間における開度T0の最大値Tmaxを識別情報IDと時間帯に紐付けて記憶することになる。
図11中には、監視データDA1のうち識別情報IDiに紐付けられている過去の一定期間のデータから抽出された時間帯毎の最大値Tmax(1),Tmax(2),…,Tmax(j),…,Tmax(m)が示されている。尚、mは分けた期間(
図11では時間帯)の数であり、変数jは期間を識別する変数である。例えば、
図11に示すように1日を2時間毎の時間帯に分ける場合、期間数mは12となる。
コンピューター70は、
図9のステップS106において開度T0が所定開度T1未満であると判断した後、ステップS102で取得された識別情報ID、及び、ステップS102で監視データDA1に追加された計測日時の時間帯に紐付けられている最大値Tmaxに基づいて閾値T2を設定する(ステップS216)。閾値T2は、最大値Tmax、Tmax+ΔT、TmaxーΔT、等とすることができる。
【0054】
以上のようにして、コンピューター70は、識別情報ID毎であって時間帯毎に過去の一定期間における計測値V0に対応する開度T0の最大値Tmaxに基づいて閾値T2を設定する。その後、コンピューター70は、
図9のステップS110において開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断する。
従って、開度T0の最大値Tmaxが大きい時間帯については通知の不要な流量異常が通知されるようなことが抑制され、開度T0の最大値Tmaxが小さい時間帯については通知されるべき流量異常が通知されないようなことが抑制される。従って、管理者は、時間帯に合わせられた流量異常を把握することができる。
【0055】
また、水道水の使用量は、1週間の中で曜日帯に応じて変動することがある。そこで、
図12に例示するように、コンピューター70は、曜日毎に過去の計測値V0に基づいて閾値T2を設定し、計測部60が計測値V0を取得した曜日に設定された閾値T2を用いて、I/F78が受信した計測値V0に対応する開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断してもよい。これにより、管理者は、曜日による減圧弁2の設置箇所の状況に合わせて二次側流路12の流量異常を把握することができる。
【0056】
図12は、
図9のステップS108に対応する閾値設定処理の別の例を模式的に示している。ここで、ステップS222~S224の処理が事前に実行され、ステップS226の処理がステップS110の処理の直前に実行される。
閾値設定処理が開始すると、コンピューター70は、識別情報ID毎に監視データDA1のうち過去の一定期間(例えば1年)におけるデータを取得する(ステップS222)。
【0057】
次いで、コンピューター70は、識別情報ID毎であって曜日毎に過去の一定期間における開度T0の最大値Tmaxを抽出し、識別情報IDと曜日に紐付けて記憶部74に記憶する(ステップS224)。実質的に、コンピューター70は、減圧弁2毎であって曜日毎に過去の一定期間における開度T0の最大値Tmaxを識別情報IDと曜日に紐付けて記憶することになる。
図12中には、監視データDA1のうち識別情報IDiに紐付けられている過去の一定期間のデータから抽出された曜日毎の最大値Tmax(1),Tmax(2),…,Tmax(j),…,Tmax(m)が示されている。この場合、m=7である。
コンピューター70は、
図9のステップS106において開度T0が所定開度T1未満であると判断した後、ステップS102で取得された識別情報ID、及び、ステップS102で監視データDA1に追加された計測日時の曜日に紐付けられている最大値Tmaxに基づいて閾値T2を設定する(ステップS226)。ここでも、閾値T2は、最大値Tmax、Tmax+ΔT、TmaxーΔT、等とすることができる。
【0058】
以上のようにして、コンピューター70は、識別情報ID毎であって曜日毎に過去の一定期間における計測値V0に対応する開度T0の最大値Tmaxに基づいて閾値T2を設定する。その後、コンピューター70は、
図9のステップS110において開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断する。
従って、開度T0の最大値Tmaxが大きい曜日については通知の不要な流量異常が通知されるようなことが抑制され、開度T0の最大値Tmaxが小さい曜日については通知されるべき流量異常が通知されないようなことが抑制される。従って、管理者は、曜日に合わせられた流量異常を把握することができる。
【0059】
尚、閾値T2の設定を、各曜日の中で時間帯毎に分けてもよい。また、閾値T2の設定を、曜日毎ではなく、平日と休日に分ける等、1週間の中で分けてもよい。
【0060】
さらに、水道水の使用量は、1年の中で月に応じて変動することがある。そこで、
図13に例示するように、コンピューター70は、月毎に過去の計測値V0に基づいて閾値T2を設定し、計測部60が計測値V0を取得した月に設定された閾値T2を用いて、I/F78が受信した計測値V0に対応する開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断してもよい。これにより、管理者は、月による減圧弁2の設置箇所の状況に合わせて二次側流路12の流量異常を把握することができる。
【0061】
図13は、
図9のステップS108に対応する閾値設定処理の別の例を模式的に示している。ここで、ステップS232~S234の処理が事前に実行され、ステップS236の処理がステップS110の処理の直前に実行される。
閾値設定処理が開始すると、コンピューター70は、識別情報ID毎に監視データDA1のうち過去の一定期間(例えば1年)におけるデータを取得する(ステップS232)。
【0062】
次いで、コンピューター70は、識別情報ID毎であって月毎に過去の一定期間における開度T0の最大値Tmaxを抽出し、識別情報IDと月に紐付けて記憶部74に記憶する(ステップS234)。実質的に、コンピューター70は、減圧弁2毎であって月毎に過去の一定期間における開度T0の最大値Tmaxを識別情報IDと月に紐付けて記憶することになる。
図13中には、監視データDA1のうち識別情報IDiに紐付けられている過去の一定期間のデータから抽出された月毎の最大値Tmax(1),Tmax(2),…,Tmax(j),…,Tmax(m)が示されている。この場合、m=12である。
コンピューター70は、
図9のステップS106において開度T0が所定開度T1未満であると判断した後、ステップS102で取得された識別情報ID、及び、ステップS102で監視データDA1に追加された計測日時の月に紐付けられている最大値Tmaxに基づいて閾値T2を設定する(ステップS236)。ここでも、閾値T2は、最大値Tmax、Tmax+ΔT、TmaxーΔT、等とすることができる。
【0063】
以上のようにして、コンピューター70は、識別情報ID毎であって月毎に過去の一定期間における計測値V0に対応する開度T0の最大値Tmaxに基づいて閾値T2を設定する。その後、コンピューター70は、
図9のステップS110において開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断する。
従って、開度T0の最大値Tmaxが大きい月については通知の不要な流量異常が通知されるようなことが抑制され、開度T0の最大値Tmaxが小さい月については通知されるべき流量異常が通知されないようなことが抑制される。従って、管理者は、月に合わせられた流量異常を把握することができる。
【0064】
尚、閾値T2の設定を、各月の中で時間帯毎に分けてもよいし、各月の中で曜日毎に分けてもよいし、各月の中で曜日別の時間帯毎に分けてもよい。
【0065】
また、図示していないが、コンピューター70は、季節毎に過去の計測値V0に基づいて閾値T2を設定し、計測部60が計測値V0を取得した季節に設定された閾値T2を用いて、I/F78が受信した計測値V0に対応する開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断してもよい。季節は、例えば春夏秋冬の4期間を意味し、月の途中で変わってもよい。
以上により、管理者は、季節による減圧弁2の設置箇所の状況に合わせて二次側流路12の流量異常を把握することができる。この場合、閾値T2の設定を、各季節の中で時間帯毎に分けてもよいし、各季節の中で曜日毎に分けてもよいし、各季節の中で曜日別の時間帯毎に分けてもよい。
【0066】
図9のステップS108の閾値設定処理は、開度T0の最大値Tmaxに基づいた閾値設定に限定されない。例えば、コンピューター70は、過去の計測値V0に対応する開度T0の平均値(Avgとする。)及び標準偏差(σとする。)に基づいて閾値T2を設定してもよい。閾値T2は、Avg+3σ、Avg+2σ、等とすることができる。
【0067】
図9のステップS112において、コンピューター70は、識別情報IDに基づいて特定される減圧弁2の情報とともに流量異常を通知する。流量異常の通知には、端末80への流量異常検知画面の送信、出力部76への流量異常検知画面の表示、等が含まれる。S112の処理後、コンピューター70は、処理をステップS102に戻す。
【0068】
図14は、端末80又は出力部76に表示される流量異常検知画面の例を模式的に示している。
図14に示す流量異常検知画面200は、減圧弁2の情報210、監視データ表示ボタン220、等を有している。流量異常検知画面200は、流量異常となった二次側流路12を有する減圧弁2の開度T0、流量異常を検知した計測日時、等の情報を含んでいてもよい。コンピューター70は、例えば、
図9のステップS102で取得された識別情報IDに紐付けられている設置箇所の情報を減圧弁2の情報210として減圧弁データテーブルTA1(
図6参照)から取得し、減圧弁2の情報210等を含む流量異常検知画面200を生成して端末80に送信したり出力部76に表示したりする。端末80は、流量異常検知画面200を受信して表示する。
【0069】
管理者は、減圧弁2の情報210を含む流量異常検知画面200を見ることにより、複数の二次側流路12の中から流量異常となった二次側流路12を把握することができる。また、管理者は、流量異常検知画面200に含まれる監視データ表示ボタン220を操作することにより、流量異常となった二次側流路12を有する減圧弁2についての監視データDA1を端末80又は出力部76に表示させることができる。コンピューター70は、監視データ表示ボタン220への操作を端末80又は入力部75で受け付けると、ステップS102で取得された識別情報IDに紐付けられている監視データDA1を取得して端末80に送信したり出力部76に表示したりする。端末80は、監視データDA1を受信して表示する。管理者は、流量異常となった二次側流路12を有する減圧弁2についての監視データDA1を確認することができる。
【0070】
以上説明したように、本流量異常検知システム1により、高価な流量計を二次側流路12に設置しなくても二次側流路12の流量異常を把握することが可能となる。また、流量異常が検知された減圧弁2の情報が通知されることにより、二次側管路102の破損箇所を早期に発見することが可能となる。
【0071】
(3)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、流量異常検知システム1の適用対象は、上水道の配水管路に限定されず、工業用水の配水管路、農業用水の配水管路、等でもよい。
異なるエリアを監視するコンピューター70が複数、流量異常検知システム1に存在してもよい。
【0072】
計測値V0が流量異常であることを示す値であるか否かを判断する処理は、
図9に示す処理に限定されない。例えば、
図9に示す処理のうちステップS106の処理が無くても、計測値V0に対応する開度T0が閾値T2以上であるか否かを判断することにより、計測値V0が流量異常であることを示す値であるか否かを判断することができる。また、
図9に示す処理のうちステップS108~S110の処理が無くても、計測値V0に対応する開度T0が所定開度T1以上であるか否かを判断することにより、計測値V0が流量異常であることを示す値であるか否かを判断することができる。この場合、ステップS106においてT0<T1である場合、コンピューター70は、処理をステップS102に戻せばよい。
【0073】
上述した例ではネットワークN1を介して計測値V0を受信したコンピューター70が二次側流路12の流量が正常であるか異常であるかを判別したが、計測値V0をネットワーク送信する前に前述の判別を行うことも可能である。例えば、センサー61にコンピューターを接続し、このコンピューターがセンサー61の計測値V0に基づいて二次側流路12の流量が正常であるか異常であるかを判別し、ネットワークN1を介して計測値V0等とともに判別結果をサーバーコンピューターに送信してもよい。サーバーコンピューターは、二次側流路12の流量が異常であることを示す判別結果を受信したときに流量異常を通知してもよい。
以上の場合、センサー61に接続されたコンピューターはデータ送信部に対応し、当該コンピューターとサーバーコンピューターとが通知部を構成する。
【0074】
また、
図5に示す計測部60にはコンピューターとしての要素(60a~60g)が含まれているので、このコンピューターがセンサー61の計測値V0に基づいて二次側流路12の流量が正常であるか異常であるかを判別し、ネットワークN1を介して計測値V0等とともに判別結果をサーバーコンピューターに送信してもよい。この場合、前述の要素(60a~60g)を含むコンピューターとサーバーコンピューターとが通知部を構成する。
【0075】
(4)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、二次側流路に流量計を設置しなくても二次側流路の流量異常を把握可能な技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1…流量異常検知システム、
2…減圧弁、2A…ダイヤフラム式減圧弁、2B…シリンダー式減圧弁、
11…一次側流路、12…二次側流路、
20…本体、21…弁箱、22…管路、23…弁座、24…保持部材、
25…蓋、26…チャンバー、27…カバー、28…ナット、
30…減圧機構、
31…弁棒、32…弁体、33…弁体弁座、
40…付勢部、41…ばね、
42…ダイヤフラム、43…ダイヤフラム押さえ、
44…一次側連絡管、45…二次側連絡管、46…減圧パイロット弁、
50…インジケータ部材、50a…突出端、50b…接続端、
51…突出部(インジケータ部材の一部)、
60…計測部、60g…I/F(データ送信部の例)、
61…センサー、61A…非接触式センサー、61B…接触式センサー、
70…コンピューター(通知部の例)、78…I/F(受信部の例)、
80…端末、
101…一次側管路、102…二次側管路、
120…シリンダー、121…ピストン、
200…流量異常検知画面、210…減圧弁の情報、
A1…通常使用時の範囲、A2…流量異常時の範囲、
AX1…弁棒中心線、
D1…弁棒中心線方向、
FU1…計測値取得機能、FU2…通知機能、
ID…識別情報、
L0…突出長、
N1…ネットワーク、
P1…全閉位置、P2…全開位置、P3…境界位置、
PR1…流量異常検知プログラム、
T0…開度、T1…所定開度、T2…閾値、Tmax…開度の最大値、
V0…計測値。