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特開2024-87801コバルト、銀、ガドリニウムおよび鉄のいずれか一つ以上を含む自己集合複合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087801
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】コバルト、銀、ガドリニウムおよび鉄のいずれか一つ以上を含む自己集合複合体
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/02 20060101AFI20240624BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20240624BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240624BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61K47/02
A61K31/706
A61K31/7076
A61K9/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212747
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0178640
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518107501
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】145,Anam-ro,Seongbuk-gu,Seoul,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒミン
(72)【発明者】
【氏名】リ,スン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン-ヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユ-リ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076CC27
4C076DD21M
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA11
4C086EA18
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA12
4C086ZB26
(57)【要約】
【課題】 自己集合複合体を提供すること。
【解決手段】 本発明は、体内に存在する物質をリガンドとして利用してなる自己集合複合体であって、コバルト(Co)、銀(Ag)、ガドリニウム(Gd)、および鉄(Fe)のいずれか一つ以上を含む金属イオン;および前記金属イオンと自己集合する一つ以上のリガンド;を含み、可逆的に自己集合または自己分解され、前記金属イオンおよび前記リガンドの濃度のいずれか一つ以上によって自己集合が実行され、前記リガンドの組合によって自己集合複合体の形態が制御される自己集合複合体に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に存在する物質をリガンドとして利用してなる自己集合複合体であって、コバルト(Co)、銀(Ag)、ガドリニウム(Gd)、および鉄(Fe)のいずれか一つ以上を含む金属イオン;および
前記金属イオンと自己集合する一つ以上のリガンド;
を含み、
可逆的に自己集合または自己分解され、
前記金属イオンおよび前記リガンドの濃度のいずれか一つ以上によって自己集合が実行され、
前記リガンドの組合によって自己集合複合体の形態が制御される、自己集合複合体。
【請求項2】
前記自己集合複合体は、外部イオンを含む外部溶液によって自己分解される、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項3】
前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられる、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項4】
前記リガンドは、リン酸塩(phosphate)およびホスホン酸塩(phosphonate)のいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項5】
前記リガンドは、アデノシン一リン酸(adenosine monophosphate)、アデノシン-二リン酸(adenosine diphosphate)、アデノシン-三リン酸(adenosine triphosphate)のいずれか一つ以上を含む、請求項4に記載の自己集合複合体。
【請求項6】
前記リガンドは、一つ以上のリン酸塩を含み、
前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、
前記構造体は、螺旋形、棒形、および球形のいずれか一つ以上に備えられ、
前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体の形態が制御される、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項7】
前記リガンドは、一つ以上のリン酸塩を含み、
前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、
前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体の凝集もまたは大きさが制御される、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項8】
前記自己集合複合体は、内部に有効成分をさらに含み、
前記有効成分は、アデノシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、およびドキソルビシンのいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項9】
前記金属イオンは、コバルト(Co)、ガドリニウム(Gd)、および鉄(Fe)のいずれか一つのイオンであり、
前記自己集合複合体は、外部で印加される磁場が印加されると、第1距離だけ移動する、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項10】
前記金属イオンと前記リガンドとの間は配位結合によって自己集合複合体を形成し、
互いに隣接するリガンドの間はπ-π相互作用、または水素結合によって連結される、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項11】
前記金属イオンは、ガドリニウム(Gd)イオン;またはガドリニウム(Gd)と鉄(Fe)イオンの混合物であり、
前記自己集合複合体は、前記金属イオンと前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、
前記構造体の大きさは前記リガンドの濃度または反応時間によって制御される、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項12】
前記金属イオンはガドリニウム(Gd)イオン;またはガドリニウム(Gd)と鉄(Fe)イオンの混合物であり、
前記自己集合複合体は、ドキソルビシン(Doxorubicin)またはアデノシンの薬物が搭載され、前記薬物は目的した期間中に持続的に放出パターンを示して徐放性放出が可能である、請求項1に記載の自己集合複合体。
【請求項13】
前記目的した期間は0.5時間~12ヶ月の中で選択される期間である、請求項12に記載の自己集合複合体。
【請求項14】
前記薬物の放出速度は前記自己集合複合体の大きさによって制御される、請求項12に記載の自己集合複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コバルト、銀、ガドリニウムおよび鉄のいずれか一つ以上を含む自己集合複合体に関し、より詳しくは、体内に存在する物質をリガンド(ligand)として利用して形状および大きさを制御することができ、物質伝達が可能なコバルト、銀、ガドリニウムおよび鉄のいずれか一つ以上を含む自己集合複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、全世界的なCOVIDの大流行により抗ウイルス、抗菌に対する関心が高くなり、金属イオンを利用した抗ウイルス、抗菌技術が発展した。銀とコバルトは、細胞或はウイルスの代謝に影響を及ぼして、細胞死滅、ウイルスの破壊を引き起こす。
【0003】
人々がよく接触する所に金属イオンを塗布して、金属イオンの放出により抗菌、抗ウイルス効果を奏する製品、技術が主となっている。
【0004】
抗菌、抗ウイルスに主に利用される銅イオンは、人体に肝毒性、腎毒性、貧血、免疫毒性、発達毒性などの毒性を引き起こす虞があり、使用において幼児、妊婦、老弱者に致命的であることがあるため、他の金属で取り替える必要がある。
【0005】
コバルトイオンは、体内で複合体(complex)を成して用いられる珍しい例として、グリオキシムリガンド(glyoxime ligand)と複合体を成してビタミンB12として生理的機能を有する。これによって、体内で用いられる可能性が大きく、体内毒性が低いが、多様な物質に適用しにくく、体内で複合体に形成されにくいという問題がある。
【0006】
また、銀ナノ粒子を利用して抗菌に用いられる製品があるが、銀イオンのナノ粒子の合成価格競争力が不足である。
【0007】
世界的に高齢化が進んでいる中、人体の老化が進行するにつれて、癌の発生率が増加するようになり、そのため、癌による社会的費用が増加して、癌を初期に診断して治療することは重要になっている。そこで、診断と治療を同時に行うことができるセラグノーシスに対する研究が活発に行われ、癌を診断しながら治療も可能な素材に対する必要性が台頭されている。
【0008】
MRIを利用したセラグノーシスに用いられる物質は、体内毒性が低い必要があり、癌に標的化して効率的に治療が可能である必要がある。癌組職に特異的に結合することができるように、主に抗原-抗体反応を利用するが、これはセラグノーシス物質に追加的な処理が必要となるか、またはペプチド、タンパク質のような物質が追加的に必要となって、価格競争力に劣っており、大衆に普遍化されにくい。
【0009】
したがって、体内の物質と自己集合が可能であり、高い抗菌性を有しながらも人体に毒性がなく、生産コストの低い物質、および抗癌だけでなく多様な疾病を診断および治療することができる材料に対する多様な研究が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、体内に存在する物質を利用して、自己集合が可能な自己集合複合体を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、人体に毒性がなく、形状および大きさを多様に制御することができる自己集合複合体を提供することにある。
【0012】
また、本発明のまた他の目的は、体内の物質と自己集合が可能であり、高い抗菌性を有しながらも生産コストの低いコバルト、銀、ガドリニウムおよび鉄のいずれか一つ以上を含む自己集合複合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面によれば、本発明の実施例は、体内に存在する物質をリガンドとして利用してなる自己集合複合体であって、コバルト(Co)、銀(Ag)、ガドリニウム(Gd)および鉄(Fe)のいずれか一つ以上を含む金属イオン;および前記金属イオンと自己集合する一つ以上のリガンド;を含み、可逆的に自己集合または自己分解され、前記金属イオンおよび前記リガンドの濃度のいずれか一つ以上によって自己集合が実行され、前記リガンドの組合によって自己集合複合体の形態が制御される自己集合複合体を含む。
【0014】
一実施例において、前記金属イオンは、コバルトイオン、銀イオン、ガドリニウムイオン、またはガドリニウムイオン-鉄イオンの混合物であってもよい。
【0015】
一実施例において、前記自己集合複合体は、外部イオンを含む外部溶液によって自己分解されてもよい。
【0016】
一実施例において、前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられてもよい。
【0017】
一実施例において、前記リガンドは、リン酸塩(phosphate)およびホスホン酸塩(phosphonate)のいずれか一つ以上を含んでもよい。
【0018】
一実施例において、前記リガンドは、アデノシン一リン酸(adenosine monophosphate)、アデノシン-二リン酸(adenosine diphosphate)、アデノシン-三リン酸(adenosine triphosphate)のいずれか一つ以上を含んでもよい。
【0019】
一実施例において、前記リガンドは、一つ以上のリン酸塩を含み、前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、前記構造体は螺旋形に備えられ、前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体の螺旋の大きさおよび個数が制御され得る。
【0020】
一実施例において、前記リガンドは、一つ以上のリン酸塩を含み、前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、前記構造体は、螺旋形、棒形、および球形のいずれか一つ以上に備えられ、前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体の形態が制御され得る。
【0021】
一実施例において、前記リガンドは、一つ以上のリン酸塩を含み、前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、前記構造体は、アスペクト比を有する棒形に備えられ、前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体のアスペクト比が制御され得る。
【0022】
一実施例において、前記リガンドは、一つ以上のリン酸塩を含み、前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体の凝集度または大きさが制御され得る。
【0023】
一実施例において、前記自己集合複合体は、内部に有効成分をさらに含み、前記有効成分は、アデノシン、グアノシン、ウリジン、シチジンおよびドキソルビシンのいずれか一つ以上を含んでもよい。
【0024】
一実施例において、前記金属イオンは、コバルト(Co)、ガドリニウム(Gd)、および鉄(Fe)のいずれか一つのイオンであり、前記自己集合複合体は、常磁性を有してもよい。
【0025】
一実施例において、前記金属イオンは、コバルト(Co)、ガドリニウム(Gd)、および鉄(Fe)のいずれか一つのイオンであり、前記自己集合複合体は、外部で印加される磁場が印加されると、第1距離だけ移動することができる。
【0026】
一実施例において、前記金属イオンは、コバルト(Co)、ガドリニウム(Gd)、および鉄(Fe)のいずれか一つのイオンであり、前記自己集合複合体は常磁性を有し、形成される条件によって磁気モーメントが調節されることができる。
【0027】
一実施例において、前記金属イオンと前記リガンドとの間は配位結合によって自己集合複合体を形成し、互いに隣接するリガンドの間はπ-π相互作用、または水素結合によって連結されることができる。
【0028】
一実施例において、前記金属イオンは、ガドリニウム(Gd)イオン;またはガドリニウム(Gd)と鉄(Fe)イオンの混合物であり、前記自己集合複合体は、前記金属イオンと前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、前記構造体の大きさは前記リガンドの濃度によって制御され得る。
【0029】
一実施例において、前記金属イオンは、ガドリニウム(Gd)イオン;またはガドリニウム(Gd)と鉄(Fe)イオンの混合物であり、前記自己集合複合体は、前記金属イオンと前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、前記構造体の大きさは反応時間によって制御され得る。
【0030】
一実施例において、前記金属イオンは、ガドリニウム(Gd)イオン;またはガドリニウム(Gd)と鉄(Fe)イオンの混合物であり、前記自己集合複合体は、ドキソルビシン(Doxorubicin)またはアデノシンの薬物が搭載され、前記薬物は目的した期間中に持続的に放出パターンを示して、徐放型放出が可能に備えられてもよい。
【0031】
一実施例において、前記目的した期間は、0.5時間~12ヶ月の中で選択される期間であってもよい。
【0032】
一実施例において、前記薬物の放出速度は、前記自己集合複合体の大きさによって制御され得る。
【発明の効果】
【0033】
上記の本発明によれば、体内に存在する物質を利用して自己集合が可能な自己集合複合体を提供することができる。
【0034】
また、本発明によれば、人体に毒性がなく、形状および大きさを多様に制御することができる自己集合複合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施例におけるコバルト金属イオンと、前記リン酸塩リガンドのうちアデノシン一リン酸或は混合されたアデノシンリン酸塩リガンドを利用した自己集合複合体を模式的に示した図面である。
図2】コバルト金属イオンとアデノシン一リン酸が自己集合して螺旋形の自己集合複合体を形成した状態を示した図面である。
図3】コバルト金属イオンと、アデノシン一リン酸とアデノシン-三リン酸が混合されたリガンドと自己集合複合体のアスペクト比制御を示した図面である。
図4】コバルト金属イオンとアデノシン一リン酸が自己集合複合体の元素比を透過電子顕微鏡で確認した図面である。
図5】本発明の実施例におけるコバルト金属イオンとアデノシン一リン酸を利用した自己集合複合体に外部磁場を印加時の移動状態を示した図面である。
図6】本発明の実施例における銀金属イオンと、前記リン酸塩リガンドのうちアデノシン一リン酸或は混合されたアデノシンリン酸塩リガンドを利用した自己集合複合体を模式的に示した図面である。
図7】本発明の一実施例によるガドリニウムイオンとリガンドの自己集合複合体形成、およびガドリニウムおよび鉄イオンとリガンドの自己集合複合体形成およびこれを利用した物質移動を概略的に示した図面である。
図8】本発明の一実施例によるガドリニウムイオンとリガンドの濃度による自己集合複合体を示した図面である。
図9】ガドリニウムおよび鉄イオンとリガンドの自己集合複合体で急冷による効果を示した図面である。
図10】ガドリニウムイオンとリガンドの自己集合複合体、およびガドリニウムおよび鉄イオンとリガンドの自己集合複合体それぞれによる外部磁場印加時の移動を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
その他実施形態の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【0037】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付する図面とともに詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になり得る。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に限定されるものでなく、互いに異なる多様な形態に具現されてもよく、以下の説明で他に明示されない限り、本発明に成分、反応条件、成分の含量を表現するすべての数字、値および/または表現は、このような数字が本質的に他のもの中でこのような値を得る際に発生する測定の多様な不確実性が反映された近似値であるので、すべての場合、「約」という用語によって修飾されることに理解されるべきである。また、本記載で数値範囲が開示される場合、このような範囲は連続的であり、他に指摘されない限りこのような範囲の最小値から最大値が含まれた前記最大値までのすべての値を含む。さらに、このような範囲が整数を指称する場合、他に指摘されない限り最小値から最大値が含まれた前記最大値までを含むすべての整数が含まれる。
【0038】
また、本発明で範囲が変数に対して記載される場合、前記変数は、前記範囲の記載された終了点を含む記載された範囲内のすべての値を含むことに理解され得る。例えば、「5~10」の範囲は、5、6、7、8、9、および10の値だけでなく、6~10、7~10、6~9、7~9などの任意の下位範囲を含み、5.5、6.5、7.5、5.5~8.5および6.5~9などのような記載された範囲の範疇に妥当な整数の間の任意の値も含むことに理解され得るはずである。例えば、「10%~30%」の範囲は、10%、11%、12%、13%などの値と30%までを含むすべての整数だけでなく、10%~15%、12%~18%、20%~30%などの任意の下位範囲を含み、10.5%、15.5%、25.5%などのように記載された範囲の範疇内の妥当な整数の間の任意の値も含むことに理解され得るはずである。
【0039】
本発明の一実施例は、体内に存在する物質をリガンドとして利用してなる自己集合複合体であって、コバルト(Co)、銀(Ag)、ガドリニウム(Gd)および鉄(Fe)のいずれか一つ以上を含む金属イオン;および前記金属イオンと自己集合する一つ以上のリガンド;を含み、可逆的に自己集合または自己分解され、前記金属イオンおよび前記リガンドの濃度のいずれか一つ以上によって自己集合が実行され、前記リガンドの組合によって自己集合複合体の形態が制御される自己集合複合体を含む。
【0040】
具体的には、前記自己集合複合体は、体内存在する物質をリガンドとして用いて常温で金属イオンと自己集合複合体を形成することができる。また、体内毒性が低く、追加化学的処理を必要としないので、価格競争力に優れた抗菌および抗ウイルス特性を提供することができる。
【0041】
前記金属イオンは、コバルトイオン、銀イオン、ガドリニウムイオン、またはガドリニウムイオン-鉄イオンの混合物であってもよい。
【0042】
前記金属イオンがコバルトである場合、前記自己集合複合体は常磁性を有すると、螺旋形構造体に形成されることができる。前記金属イオンが銀である場合、前記自己集合複合体は球形構造体に形成されることができ、前記球形の大きさを決めることができる。前記金属イオンがガドリニウムである場合、前記自己集合複合体は常磁性を有し、大きさを制御可能であり、MRI造影剤として用いることができる。前記金属イオンがガドリニウムおよび鉄の混合物である場合、前記自己集合複合体は常磁性を有し、大きさを制御可能であり、MRI造影剤として用いることができる。
【0043】
具体的には、前記自己集合複合体において、前記金属イオンは、ガドリニウム(Gd)イオンまたはガドリニウム(Gd)イオンと鉄(Fe)イオンの混合物のいずれか一つである場合、前記自己集合複合体は磁性特性を有しながら、MRI造影剤として用いられることができる。具体的には、前記ガドリニウム(Gd)イオンまたはガドリニウム(Gd)イオンと鉄(Fe)イオンの混合物は、体内に存在する物質をリガンドとして自己集合されて、自己集合複合体を形成することができ、前記自己集合複合体は、体内毒性が低く、診断が可能な磁性素材を作ることができるだけでなく、素材内に薬物を容易に搭載することができて、抗癌だけでなく、多様な疾病を診断および治療することができる素材として用いられることができる。
【0044】
前記自己集合複合体は、外部イオンを含む外部溶液によって自己分解されることができる。具体的には、前記外部溶液は緩衝溶液を含んでもよい。本実施例による前記自己集合複合体は、自発的に自己集合および自己分解されるが、前記緩衝溶液をさらに含む条件で自己分解が促進されることができる。前記緩衝溶液は、生体内の環境と類似する環境を造成することができ、前記緩衝溶液は、前記自己集合複合体の構成成分とイオンを交換することによって、前記自己集合複合体の分解を促進することができる。
【0045】
前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられてもよい。
【0046】
前記リガンドは、リン酸塩(phosphate)およびホスホン酸塩(phosphonate)のいずれか一つ以上を含んでもよく、具体的には、前記リガンドは、アデノシン一リン酸(adenosine monophosphate)、アデノシン-二リン酸(adenosine diphosphate)、アデノシン-三リン酸(adenosine triphosphate)のいずれか一つ以上を含んでもよい。
【0047】
例えば、前記リガンドは、AMP(アデノシン一リン酸、Adenosine monophosphate)、ADP(アデノシン-二リン酸、Adenosine diphosphate)、ATP(アデノシン-三リン酸、Adenosine triphosphate)、TMP(チミジン一リン酸、Thymidine monophosphate)、TDP(チミジン-二リン酸、Thymidine diphosphate)、TTP(チミジン-三リン酸、Thymidine triphosphate)、CMP(シチジン一リン酸、Cytidine monophosphate)、CDP(シチジン-二リン酸、Cytidine diphosphate)、CTP(シチジン-三リン酸、Cytidine triphosphate)、GMP(グアノシン一リン酸、Guanosine monophosphate)、GDP(グアノシン-二リン酸、Guanosine diphosphate)、GTP(グアノシン-三リン酸、Guanosine triphosphate)、UMP(ウリジン-一リン酸、Uridine monophosphate)、UDP(ウリジン-二リン酸、Uridine diphosphate)、UTP(ウリジン-三リン酸、Uridine triphosphate)、DNA、RNA、AEP(2-アミノエチルホスホン酸、2-aminoethylphosphonic acid)、TNA(トレオース核酸、Threose nucleic acid)、GNA(グリコール核酸、glycol nucleic acid)、HNA(1,5-アンヒドロヘキシトール核酸、1,5-anhydrohexitol nucleic acid)、ANA(1,5-アンヒドロアトリトール核酸、1,5-anhydroatritol nucleic acid)、FANA(2’-デオキシ-2’-フルオロアラビノ核酸、2’-deoxy-2’-fluoroarabino nucleic acid)およびCeNA(シクロヘキセニル核酸、cyclohexenyl nucleic acid)の少なくともいずれか一つであってもよい。
【0048】
前記リガンドは、一つ以上のリン酸塩を含み、前記自己集合複合体は、前記金属イオンのいずれか一つ以上と、前記リガンドが凝集されて構造体に備えられてもよい。
【0049】
前記金属イオンがコバルトイオンである場合、前記構造体は螺旋形に備えられ、前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体の螺旋の大きさおよび個数が制御され得る。
【0050】
前記金属イオンがコバルト、銀、ガドリニウムおよび鉄のいずれか一つ以上である場合、前記構造体は、螺旋形、棒形、および球形のいずれか一つ以上に備えられてもよい。この時、前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体の形態が制御され得る。
【0051】
前記構造体は、アスペクト比を有する棒形に備えられる場合、前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体のアスペクト比が制御され得る。
【0052】
例えば、前記金属イオンと前記リガンドが凝集されて形成された構造体は、前記リガンドの中に含まれる前記リン酸塩の個数に対して、前記リガンドの混合程度によって前記構造体の凝集度または大きさが制御され得る。
【0053】
本実施例による自己集合複合体は、内部に有効成分をさらに含み、前記有効成分は、アデノシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、およびドキソルビシンのいずれか一つ以上であってもよい。
【0054】
前記有効成分は、前記自己集合複合体に担持されてもよく、前記有効成分は前記自己集合複合体が自己集合される時に一緒に集合されて、前記自己集合複合体内に担持されてもよい。
【0055】
前記有効成分は、前記自己集合複合体が自己分解される時に排出されることができる。したがって、前記有効成分は前記自己集合複合体が自己分解される時間を調節することによって、放出される時間および速度を調節することができる。前記自己集合複合体は、リガンドの配合比によって自己分解速度が異なり得、前記自己集合複合体は、表面から所定速度で順次自己分解されることができる。したがって、前記有効成分は、前記自己集合複合体が自己分解される時間の間に一定に持続的に放出されることができる。すなわち、前記有効成分は放出時間の間に一定に持続的に放出されるものであってもよい。
【0056】
前記金属イオンは、コバルト(Co)、ガドリニウム(Gd)および鉄(Fe)のいずれか一つのイオンである場合、前記自己集合複合体は常磁性を有することができる。
【0057】
前記金属イオンは、コバルト(Co)、ガドリニウム(Gd)および鉄(Fe)のいずれか一つのイオであるの場合、前記自己集合複合体は外部で印加される磁場が印加されると、第1距離だけ移動することができる。
【0058】
前記金属イオンは、コバルト(Co)、ガドリニウム(Gd)および鉄(Fe)のいずれか一つのイオンである場合、前記自己集合複合体は常磁性を有し、形成される条件によって磁気モーメントが調節されることができる。
【0059】
前記金属イオンと前記リガンドとの間は配位結合によって自己集合複合体を形成し、互いに隣接するリガンドの間はπ-π相互作用、または水素結合によって連結されることができる。
【0060】
例えば、前記金属イオンは、前記リガンドである、AMPまたはATPのリン酸基と配位結合して金属錯体を形成することができる。前記リガンドの塩基部分を芳香族環を含んでおり、芳香族環の間にπ-π相互作用を形成することができる。前記金属イオンに水分子が結合されることができ、前記水分子が塩基部分の窒素と水素結合を形成することができる。
【0061】
前記金属イオンは、ガドリニウム(Gd)イオン;またはガドリニウム(Gd)と鉄(Fe)イオンの混合物であり、前記自己集合複合体は、前記金属イオンと前記リガンドが凝集されて構造体に備えられ、前記構造体の大きさは、前記リガンドの濃度によって制御され得る。また、前記構造体の大きさは反応時間によって制御され得る。
【0062】
本発明の一実施例において、前記金属イオンは、ガドリニウム(Gd)イオン;またはガドリニウム(Gd)と鉄(Fe)イオンの混合物である場合、前記自己集合複合体は、ドキソルビシン(Doxorubicin)またはアデノシンの薬物が搭載され、前記薬物は目的した期間中に持続的に放出パターンを示して徐放性放出が可能に備えられてもよい。前記目的した期間は0.5時間~12ヶ月の中で選択される期間であってもよく、前記薬物の放出速度は前記自己集合複合体の大きさによって制御され得る。
【0063】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。しかしながら、以下の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明の権利範囲が以下の実施例によって制限されるものではない。
【0064】
[製造例]
1.コバルトイオンを含む自己集合複合体の製造
超純水に塩化コバルト(Cobalt chloride)、AMP(Adenosine monophosphate)、ATP(Adenosine triphosphate)をそれぞれ溶かして最終濃度が1Mになるように用意する。貯蔵液(stock solution)をコニカルチューブ(conical tube)に入れ、超純水の量を計算して入れれる。ここにアデノシンリン酸塩水溶液、塩化コバルト水溶液の順に入れ、ボルテックス(vortexing)してよく混合して24時間反応させる。24時間の反応が終わると、反応しない物質を除去し、自己集合体を獲得するために、遠心分離機を通じて10,000RPMで10分間遠心分離して自己集合体を沈めて上層液を除去する。超純水を元の体積と同一に入れ、再び遠心分離する。この過程を二回繰り返す。
【0065】
2.銀イオンを含む自己集合複合体の製造
超純水に硝酸銀(silver nitrate)、AMP(Adenosine monophosphate)、ATP(Adenosine triphosphate)をそれぞれ溶かして最終濃度が1Mになるように用意する。貯蔵液(stock solution)をコニカルチューブ(conical tube)に入れ、超純水の量を計算して入れる。ここに、アデノシンリン酸塩水溶液、硝酸銀水溶液の順に入れ、ボルテックス(vortexing)してよく混合して24時間反応させる。24時間の反応が終わると、反応しない物質を除去し、自己集合体を獲得するために、遠心分離機を通じて10,000RPMで10分間遠心分離して自己集合体を沈めて上層液を除去する。超純水を元の体積と同一に入れ、再び遠心分離する。この過程を二回繰り返す。
【0066】
3.ガドリニウムイオンを含む自己集合複合体の製造
超純水に塩化ガドリニウム(gadolinium chloride)、AMP(Adenosine monophosphate)、ATP(Adenosine triphosphate)をそれぞれ溶かして最終濃度が1Mになるように用意する。貯蔵液(stock solution)をコニカルチューブ(conical tube)に入れ、超純水の量を計算して入れる。ここにアデノシンリン酸塩水溶液、塩化ガドリニウム水溶液の順に入れて、ボルテックス(vortexing)してよく混合して24時間反応させる。24時間の反応が終わると、反応しない物質を除去し、自己集合体を獲得するために、遠心分離機を通じて10,000RPMで10分間遠心分離して自己集合体を沈めて上層液を除去する。超純水を元の体積と同一に入れ、再び遠心分離する。この過程を二回繰り返す。
【0067】
4.ガドリニウム-鉄イオンを含む自己集合複合体の製造
超純水に塩化ガドリニウム(gadolinium chloride)、塩化第二鉄(ferric chloride)、AMP(Adenosine monophosphate)、ATP(Adenosine triphosphate)をそれぞれ溶かして最終濃度が1Mになるように用意する。貯蔵液(stock solution)をコニカルチューブ(conical tube)に入れ、超純水の量を計算して入れる。ここに、アデノシンリン酸塩水溶液、塩化ガドリニウム水溶液、塩化第二鉄水溶液の順に入れて、ボルテックス(vortexing)してよく混合して24時間または10分間反応させる。反応が終わると、反応しない物質を除去し、自己集合体を獲得するために、遠心分離機を通じて10,000RPMで10分間遠心分離して自己集合体を沈めて上層液を除去する。超純水を元の体積と同一に入れ、再び遠心分離する。この過程を二回繰り返す。
【0068】
5.実験に用いられた物質
塩化コバルト(II)(Cobalt(II)chloride),(CAS:7646-79-9,Sigma-Aldrich)
硝酸銀(I)(Silver(I)nitrate)、(CAS:7761-88-8、大正試薬)
塩化六水和クロム(III)(Gadolinium(III)chloride hexahydrate)(CAS:13450-84-5,Sigma-Aldrich)
塩化鉄(III)六水和物(Iron(III)chloride hexahydrate)(CAS:10025-77-1,Sigma-Aldrich)
アデノシン5’一リン酸二ナトリウム塩(Adenosine-5’-monophosphate disodium salt)(CAS:4578-31-8,Alfa Aesar)
アデノシン5’-三リン酸二ナトリウム塩(Adenosine 5’-triphosphate disodium salt)(CAS:51963-61-2、大正試薬)
【実施例0069】
10ml内にAMPとATPの濃度を変化させながら塩化コバルトとともに混合溶液を製造した。その後、常温で24時間反応させて、自己集合複合体が形成されるようにした。
【0070】
【表1】
【実施例0071】
10ml内にAMPとATPの濃度を変化させながら塩化コバルトとともに混合溶液を製造した。その後、常温で24時間反応させて、自己集合複合体が形成されるようにした。
【0072】
【表2】
【実施例0073】
10ml内にAMPとATPの濃度を変化させながら硝酸銀とともに混合溶液を製造した。その後、常温で24時間反応させて、自己集合複合体が形成されるようにした。
【0074】
【表3】
【実施例0075】
10ml内に塩化ガドリニウム、AMPおよびATPの濃度を変化させながら混合溶液を製造した。その後、常温で24時間反応させて、自己集合複合体が形成されるようにした。
【0076】
【表4】
【実施例0077】
10ml内に塩化ガドリニウム、塩化第二鉄、AMPおよびATPの濃度を維持しながら混合溶液を製造した。その後、常温での反応時間を調節して自己集合複合体が形成されるようにした。
【0078】
【表5】
図1は、本発明の実施例におけるコバルト金属イオンと前記リン酸塩リガンドのうちアデノシン一リン酸或は混合されたアデノシンリン酸塩リガンドを利用した自己集合複合体を模式的に示した図面である。コバルト金属イオンとアデノシン一リン酸が自己集合して螺旋形の自己集合複合体を成し、自己集合複合体にアデノシン-三リン酸が含まれるほど螺旋度(helicity)が減少する。アデノシン-三リン酸の濃度がより増加すると、棒形自己集合複合体を有するようになり、アデノシン-三リン酸の濃度が増加するにつれて球形の自己集合複合体が形成される。
【0079】
図2は、コバルト金属イオンとアデノシン一リン酸が自己集合して螺旋形の自己集合複合体を成し、自己集合複合体にアデノシン-三リン酸が含まれるほど螺旋度(helicity)が減少する。これを走査電子顕微鏡によって自己集合複合体の形態を確認することができる。
【0080】
図3は、コバルト金属イオンと、アデノシン一リン酸とアデノシン-三リン酸が混合されたリガンドと自己集合複合体を成した時にアスペクト比が制御される。アデノシン-三リン酸の濃度が増加するにつれてアスペクト比が1に収斂して球形の自己集合複合体を有する。これを走査電子顕微鏡によって自己集合複合体の形態を確認することができる。
【0081】
図4は、コバルト金属イオンとアデノシン一リン酸が自己集合複合体の元素比を透過電子顕微鏡で確認したものであり、コバルト金属イオンとアデノシン一リン酸は自己集合複合体に1:1の比率で存在する。
【0082】
図5は、本発明の実施例におけるコバルト金属イオンとアデノシン一リン酸を利用した自己集合複合体に外部磁場が印加されることによって自己集合複合体が水に分散された状態で外部磁場が印加されてから2時間内に磁石の方向に自己集合複合体が引かれることを確認することができる。コバルト自己集合複合体が常磁性を有することを振動試料型磁力計で測定したものである。
【0083】
図6は、本発明の実施例における銀金属イオンと前記リン酸塩リガンドのうちアデノシン一リン酸或は混合されたアデノシンリン酸塩リガンドを利用した自己集合複合体を模式的に示した図面であり、走査電子顕微鏡によって自己集合複合体の形態を確認することができる。アデノシン-三リン酸が自己集合複合体に含まれるほど単一自己集合複合体の大きさが大きくなることを確認することができる。
【0084】
図7は、本発明の実施例におけるガドリニウム金属イオンと前記リン酸塩リガンドのうちアデノシン一リン酸或は混合されたアデノシンリン酸塩リガンドを利用したT1造影剤として用いられることができる磁性自己集合複合体;ガドリニウム金属イオンと鉄金属イオンを混合し、前記リン酸塩リガンドのうちアデノシン一リン酸或は混合されたアデノシンリン酸塩リガンドを利用したT1とT2造影剤として用いられることができる磁性自己集合複合体;前記自己集合複合体を形成する時に様々な薬物を搭載して、磁性で局所的標的化が可能であり、診断と治療が同時に可能な自己集合複合体;に対する模式的に示した図面である。
【0085】
図8は、本発明の実施例におけるガドリニウム金属イオンとリガンドの濃度を同時に調節して、自己集合複合体の大きさを制御するものであり、これを走査電子顕微鏡によって確認することができる。
【0086】
図9は、本発明の実施例におけるガドリニウムと鉄金属イオンを混合してリガンドと反応させて自己集合複合体を形成するものであり、反応中に急冷して自己集合複合体の大きさを制御することができ、これを走査電子顕微鏡によって確認することができる。
【0087】
図10は、本発明の実施例におけるガドリニウムを利用した自己集合複合体とガドリニウムと鉄を利用した自己集合複合体が常磁性を有することを振動試料型磁力計で測定したものである。また、ガドリニウムを利用した自己集合複合体が薬物が搭載可能であることを確認し、緩衝溶液から数日間搭載された薬物が放出されることを確認することができた。
【0088】
本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想や必須的な特徴を変更しなくても他の具体的な形態に実施され得ることを理解するはずである。したがって、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なもので、限定的でないことに理解すべきである。本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求範囲によって示され、特許請求範囲の意味および範囲そしてその均等概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることに解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10