(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087802
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】パイプの継手装置
(51)【国際特許分類】
F16L 21/08 20060101AFI20240624BHJP
F16L 21/03 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F16L21/08 D
F16L21/03
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212817
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】111148688
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523475457
【氏名又は名称】ペイ ミン シー イエ ユー シェン コン スー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ファン チー
【テーマコード(参考)】
3H015
【Fターム(参考)】
3H015GA01
(57)【要約】
【課題】取り付けが簡単で且つ水圧が高いほどパイプが外れにくくなるパイプの継手装置を提供する。
【解決手段】収容空間111を囲むように中空に形成され、且つ、パイプを挿入するのに適する接続開口113aが形成される小径端部113から大径端部112までテーパ状に太くなっていくように延伸する接続部11を有する接続ユニット1と、大径端部112に隣接するように収容空間111内に可動的に取り付けられる締め付け手段2と、収容空間111内に可動的に取り付けられる固定手段4と、を備え、固定手段4は、固定リング41と、固定リング41の内側に環状に設けられる複数のブレーキ構造42と、を有し、各ブレーキ構造42は、大径端部112側に向かって斜めに延伸する突起部421が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプを挿入するのに適するパイプの継手装置であって、
収容空間を囲むように中空に形成され、且つ、前記パイプを挿入するのに適する接続開口が形成される小径端部から大径端部まで所定の延伸方向に沿ってテーパ状に太くなっていくように延伸する接続部と、前記接続部の前記大径端部から前記延伸方向に沿って延伸する延伸部と、を有する接続ユニットと、
前記大径端部に隣接するように前記収容空間内に可動的に取り付けられる締め付け手段と、
前記収容空間内に可動的に取り付けられる固定手段と、を備え、
前記固定手段は、固定リングと、前記固定リングの内側に環状に設けられる複数のブレーキ構造と、を有し、各前記ブレーキ構造は、いずれも前記接続ユニットの前記大径端部側に向かって斜めに延伸する突起部が形成されており、
前記固定手段と前記締め付け手段とを順番に通過するように該パイプの継手装置内に挿入した前記パイプは、
前記固定手段の前記ブレーキ構造に形成される前記突起部により挟まれるようになり、前記パイプの該パイプの継手装置内に挿入した端部から漏れ出して前記収容空間内に進入した水の水圧によって前記締め付け手段が押し動かされると、前記固定手段は連動して前記小径端部の方へ押し動かされるようになり、前記小径端部の形状によって更に前記パイプをきつく締め付けることができることを特徴とするパイプの継手装置。
【請求項2】
前記締め付け手段はガスケットであることを特徴とする請求項1に記載のパイプの継手装置。
【請求項3】
前記締め付け手段は前記延伸部の反対側に形成されるテーパ面部分を有する請求項2に記載のパイプの継手装置。
【請求項4】
前記小径端部に隣接するように前記収容空間内に収容される防水リングを更に有する請求項1に記載のパイプの継手装置。
【請求項5】
前記固定リングはリング本体部と、各前記ブレーキ構造それぞれの前記突起部に対応するように互いに間を開けて前記リング本体部に形成される複数の取付孔と、各前記取付孔にそれぞれ2つずつ形成される肩部と、を有し、各前記ブレーキ構造はそれぞれ1つの対応する前記取付孔を経由して前記リング本体部を挿通し、そして前記リング本体部を挿通した先端に複数の前記突起部が形成されており、更に、各前記ブレーキ構造は、それぞれの前記延伸方向に沿う両端からそれぞれ延伸する2つの当接タブが形成され、各前記当接タブはそれぞれ対応する前記取付孔に形成される前記肩部に当接する請求項1に記載のパイプの継手装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は継手装置に関し、特に、パイプの継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送水システムなどにパイプを組み込む際、継手装置を用いて2本のパイプを繋げたりするが、この際、繋げたいパイプを継手装置の接続開口に挿入してから加熱、加圧して接続する方法や、継手装置の接続開口の箇所において環状のスリーブを装着して固定する方法が用いられるが、これらの方法はいずれも継手装置のみでは達成することが出来ないため、改善する余地が残されている。
【0003】
この他、パイプ内を通過する水の水圧が高すぎる場合、パイプが過大な水圧のために従来の継手装置から外れる状況が生じたりするので、これもまた実に解決すべき問題である。
【0004】
また、特許文献1にはばねを利用した継手装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許公告第I227310号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の一つの目的は、取り付けが簡単で且つ水圧が高いほどパイプが外れにくくなるパイプの継手装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明のパイプの継手装置は、パイプが挿入するのに適するパイプの継手装置であって、
収容空間を囲むように中空に形成され、且つ、前記パイプが挿入するのに適する接続開口が形成される小径端部から大径端部まで所定の延伸方向に沿ってテーパ状に太くなっていくように延伸する接続部と、前記接続部の前記大径端部から前記延伸方向に沿って延伸する延伸部と、を有する接続ユニットと、
前記大径端部に隣接するように前記収容空間内に可動的に取り付けられる締め付け手段と、
前記収容空間内に可動的に取り付けられる固定手段と、を備え、
前記固定手段は、固定リングと、前記固定リングの内側に環状に設けられる複数のブレーキ構造と、を有し、各前記ブレーキ構造は、いずれも前記接続ユニットの前記大径端部側に向かって斜めに延伸する突起部が形成されており、
前記固定手段と前記締め付け手段とを順番に通過するように該パイプの継手装置内に挿入した前記パイプは、
前記固定手段の前記ブレーキ構造に形成される前記突起部により挟まれるようになり、前記パイプの該パイプの継手装置内に挿入した端部から漏れ出して前記収容空間内に進入した水の水圧によって前記締め付け手段が押し動かされると、前記固定手段は連動して前記小径端部の方へ押し動かされるようになり、前記小径端部の形状によって更に前記パイプをきつく締め付けることができる。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によると、本発明は固定手段のブレーキ構造に接続ユニットの大径端部側に向かって斜めに延伸する突起部が形成されているので、加熱加圧や追加のスリーブを用いなくても、パイプが継手装置から抜けることを阻止する効果を達成することができ、且つ、締め付け手段を大径端部に隣接するように収容空間内に可動的に取り付けることにより、パイプの該パイプの継手装置内に挿入した端部から漏れ出して収容空間内に進入した水の水圧によって締め付け手段を押し動かすことができ、そして固定手段が連動して小径端部の方へ押し動かされると、前記小径端部の形状によって更にパイプをきつく締め付けて固定することができる。また、本発明はばねを利用することなく上記効果を発揮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のパイプの継手装置の実施例が示される斜視図である。
【
図3】同実施例における固定手段が示される斜視図である。
【
図5】同実施例における接続ユニットにパイプが挿入される様子が示される一部断面図である。
【
図6】同実施例が作動する様子が示される一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1と
図2に示されるように、本発明のパイプの継手装置100は、例えば管体5の両端にそれぞれ取り付けられることにより、2本のパイプ9(
図5、
図6参照)をそれぞれ管体5に繋ぐことができる。このように、本発明のパイプの継手装置100は、パイプ9と接続するために例えば配管システムの一部である中空の管体5に設けられるものであるが、管体5としては図示のように両端開口であるものに限られず、必要に応じて1つの管体5に3個以上の本発明のパイプの継手装置100を設けることもできれば、本発明のパイプの継手装置100を1つだけ設けることも可能である。
【0011】
図示のように、本発明のパイプの継手装置100は、パイプ9を挿入するのに適するパイプの継手装置100であって、パイプ9と管体5とを繋ぐ接続ユニット1と、接続ユニット1内に配置される締め付け手段2と防水リング3と固定手段4と、を備える。接続ユニット1は、パイプ9に接続するための接続部11と、接続部11の大径端部112(後述)から前記延伸方向に沿って延伸して管体5に接続する延伸部12と、を有する。
【0012】
接続ユニット1の接続部11は、収容空間111を囲むように中空に形成され、且つ、パイプ9を挿入するのに適する接続開口113aが形成される小径端部113から大径端部112まで所定の延伸方向(
図2では左側から右側への方向)に沿ってテーパ状に太くなっていくように延伸する形状に形成されている。延伸部12は接続部11の大径端部112から更に前記延伸方向に沿って延伸する。
【0013】
締め付け手段2は、大径端部112に隣接するように収容空間111内に可動的に取り付けられる。この実施例において、締め付け手段2は環状のガスケットであり、延伸部12側に面する丸面部分21と、延伸部12の反対側に形成される、即ち接続開口113a側に面するテーパ面部分22とを有する。丸面部分21の外側周縁が大径端部112の内周面に当接し、そして該外側周縁の反対側にある内側周縁が接続ユニット1内に挿入されるパイプ9に当接するのに適するように構成されることにより、水を初歩的に遮断する効果を発揮することができる。
【0014】
防水リング3は、小径端部113にある接続開口113aに隣接するように収容空間111内に収容される。該防水リング3の外側周縁が小径端部113の内周面に当接し、そして該外側周縁の反対側にある内側周縁が接続ユニット1内に挿入されるパイプ9に当接するのに適するように構成されることにより、水を更に遮断する効果を発揮することができる。
【0015】
固定手段4は締め付け手段2と防水リング3との間に位置し、且つ、締め付け手段2のテーパ面部分22に隣接して締め付け手段2により押し動かされることができるように収容空間111内に可動的に取り付けられる。
【0016】
図3と
図4に示されるように、固定手段4は、固定リング41と、固定リング41の内側に環状に設けられる複数のブレーキ構造42と、を有する。具体的に言うと、この実施例においては、固定リング41は環状に形成されたリング本体部411と、後述する各前記ブレーキ構造42それぞれの突起部421に対応するように互いに間を開けてリング本体部411に形成される複数の取付孔412と、を有し、各ブレーキ構造42はそれぞれ1つの取付孔412に嵌め込まれるように固定リング41に取り付けられる。
【0017】
固定リング41は各取付孔412にそれぞれ2つずつの肩部413が形成され、各ブレーキ構造42はそれぞれ対応する1つの取付孔412を経由してリング本体部411を挿通し、そしてリング本体部411を挿通した先端に複数の突起部421が形成されている。更に、各ブレーキ構造42には、前記延伸方向に沿う両端からそれぞれ延伸する2つの当接タブ422が形成され、各当接タブ422はそれぞれ対応する取付孔412に形成される肩部413に当接可能に対応する取付孔412に嵌め込まれている。複数の突起部421は、いずれも接続ユニット1の大径端部112側に向かって斜めに延伸する。なお、複数の突起部421は、本実施例では歯の向きが大径端部112側に向かう鋸歯状に構成されている。
【0018】
以下では
図5と
図6を参照して、この実施例のパイプの継手装置100の使用法について説明する。まず、
図5に示されるように、パイプ9を接続開口113aからパイプの継手装置100の接続ユニット1内に挿入すると、パイプ9は、防水リング3と固定手段4と締め付け手段2とを挿通して先端が延伸部12内に位置するようになり、固定手段4のブレーキ構造42に形成されている突起部421により挟まれるようになり、またパイプ9は延伸部12の先にある管体5(
図1参照)に連通するようになる。このため、パイプ9に当接する防水リング3は摩擦力によってパイプ9と共に図中の右側へ移動して固定手段4に隣接するようになって、固定手段4を接続ユニット1の大径端部112側へ押し動かす。
【0019】
そして固定手段4のブレーキ構造42は、パイプ9が挿入される前では、例えば
図2に示されるように、当接タブ422が取付孔412の肩部413に当接するが、
図5に示すようにパイプ9が挿入された後では、挿入されたパイプ9が突起部421に当接し且つ固定手段4が接続ユニット1の大径端部112側に位置している間はブレーキ構造42と接続ユニット1との間に遊びが存在するため、ブレーキ構造42は取付孔412から少し外側(接続ユニット1側)へ押し出されるようになると共に、各ブレーキ構造42の当接タブ422は取付孔412の肩部413から離れるようになる。
【0020】
更に、
図5に示されるパイプ9の先端が延伸部12内に挿入される状態から、パイプ9を接続開口113a外へ(図中の左側へ)引き抜く操作を行うと、突起部421が接続ユニット1の大径端部112側に向かって斜めに延伸しているため、パイプ9に接触する摩擦力によってパイプ9と共に図中の左側、すなわち
図6に示されるように接続ユニット1の小径端部113側へ移動するが、テーパ状に形成される接続ユニット1の口径が小径端部113に近づく程狭くなっていくために、ブレーキ構造42と接続ユニット1との間に遊びがなくなると共に、接続ユニット1と接触するブレーキ構造42は当接タブ422が取付孔412の肩部413に当接するまでパイプ9に押し付けられるようになって、パイプ9をよりきつく締め付けてより強い摩擦力でパイプ9を固定することができる。
【0021】
更に、例えばパイプ9からの水圧が高くてパイプ9の該パイプの継手装置100内に挿入した端部から水が延伸部12とパイプ9との間の隙間を通って収容空間111内に進入した状況になったとしても、締め付け手段2の丸面部分21はその収容空間111内に進入した水の水圧によって
図5及び
図6における左側へ押し動かされた場合、移動した締め付け手段2は固定手段4の固定リング41の右端に当たって固定手段4を図中の左側、すなわち接続ユニット1の口径が小さい小径端部113側に押し動かすことになるため、即ち固定手段4は連動して小径端部113の方へ押し動かされるようになり、口径が狭まっていく接続ユニット1の形状により固定手段4のブレーキ構造42がパイプ9側にきつく押し当たるため、より強い摩擦力でパイプ9を固定すると共に、水の遮断効果を強化することができる。
【0022】
また、たとえ収容空間111内に進入した水が更に固定手段4と防水リング3との間に進入した場合でも、その水は防水リング3を
図5及び
図6における左側、すなわち小径端部113に押し付けるようになるので、小径端部113に配置される防水リング3の遮断効果を強化することになる。
【0023】
以上をまとめると、本発明のパイプの継手装置100は固定手段4のブレーキ構造42に形成される突起部421が接続ユニット1の大径端部112側に向かって斜めに延伸する形状に形成されているので、パイプ9の接続開口113aから延伸部12への挿入を妨げず、そして延伸部12内まで挿入したパイプ9が接続開口113a側へ引っ張られる場合は引っ張られる程強くなっていく摩擦力でパイプ9を締め付けて固定することが出来る上、パイプ9の延伸部12内に挿入した端部開口からの水が延伸部12とパイプ9との間の隙間を通って収容空間111内に進入したとしても、締め付け手段2と防水リング3との2重の遮断効果により水が接続開口113aから漏れる状況を防止することができる。従って、本出願の目的を確実に達成することができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0025】
100 パイプの継手装置
1 接続ユニット
11 接続部
111 収容空間
112 大径端部
113 小径端部
113a 接続開口
12 延伸部
2 締め付け手段
21 丸面部分
22 テーパ面部分
3 防水リング
4 固定手段
41 固定リング
411 リング本体部
412 取付孔
413 肩部
42 ブレーキ構造
421 突起部
422 当接タブ
9 パイプ