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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087808
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】車両冷却システムおよび車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20240624BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20240624BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240624BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240624BHJP
【FI】
B60K11/04 H ZHV
B60K11/04 K
B60K11/06
B60L3/00 N
F16H57/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023213249
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】202211630967.9
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522447473
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】チン、イェーチン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェル、ムラー
【テーマコード(参考)】
3D038
3J063
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AA09
3D038AA10
3D038AB01
3D038AC14
3D038AC20
3D038AC22
3D038AC23
3J063AA04
3J063AB01
3J063AC01
3J063BA15
3J063CA01
3J063CD41
3J063XH06
3J063XH13
3J063XH23
5H125AA01
5H125AC12
5H125CD06
5H125CD07
5H125CD08
5H125FF23
5H125FF24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気駆動ユニット内の様々な構成要素を冷却することができる車両冷却システムを提案する。
【解決手段】水冷却回路10とオイル冷却回路20と電気エネルギー貯蔵ユニット1と電気駆動ユニット2とを備える車両冷却システム100に関し、水冷却回路10はバッテリー1を冷却するための第1の冷却パイプライン11を備え、電気駆動ユニットは電気モータ3、ギアボックス4、パワー電子デバイス5を備える。水冷却回路10はパワー電子デバイス5を冷却するための第2の冷却パイプライン12を備え、第1の冷却パイプライン11および第2の冷却パイプライン12は水冷却回路10において直列に接続され、第2の冷却パイプライン12は第1の冷却パイプライン11の下流に配置される。オイル冷却回路20は電気モータ3およびギアボックス4用のハウジング内側に配置され、冷却空気流Fが電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングの表面を通る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両冷却システム(100)であって、
水冷却回路(10)と、
オイル冷却回路(20)と、
電気エネルギー貯蔵ユニット(1)であって、前記水冷却回路(10)が、前記電気エネルギー貯蔵ユニット(1)を冷却するための第1の冷却パイプライン(11)を備える電気エネルギー貯蔵ユニット(1)と、
電気モータ(3)、ギアボックス(4)、およびパワー電子デバイス(5)を備える電気駆動ユニット(2)と
を備え、
前記水冷却回路(10)は、前記パワー電子デバイス(5)を冷却するための第2の冷却パイプライン(12)を備え、
前記第1の冷却パイプライン(11)および前記第2の冷却パイプライン(12)は、前記水冷却回路(10)において直列に接続され、前記第2の冷却パイプライン(12)は、冷却水流の方向に沿って前記第1の冷却パイプライン(11)の下流に配置され、
前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用のハウジングは、一体化されており、前記オイル冷却回路(20)は、前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングの内側に配置され、
冷却空気流(F)が、前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングの表面を通って流れる
ことを特徴とする、車両冷却システム(100)。
【請求項2】
前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングには、放熱突起が設けられる
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項3】
前記放熱突起は、放熱フィンである
ことを特徴とする、請求項2に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項4】
前記水冷却回路(10)は、水冷式ポンプ(13)と、ラジエータ(14)とをさらに備え、前記水冷式ポンプ(13)は、前記第1の冷却パイプライン(11)、前記第2の冷却パイプライン(12)、および前記ラジエータ(14)内を冷却水が循環するように構成され、前記ラジエータ(14)を、前記冷却空気流(F)が通過し、前記ラジエータ(14)は、前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングの前記表面に対して前記冷却空気流(F)の上流に配置される
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項5】
前記水冷却回路(10)は、水冷式ポンプ(13)と、熱交換器(15)とをさらに備え、前記熱交換器(15)は、車両の空調システム(6)と熱を交換するように構成され、前記空調システム(6)は、凝縮器(7)を備え、前記凝縮器(7)を、前記冷却空気流(F)が通過し、前記凝縮器(7)は、前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングの前記表面に対して前記冷却空気流(F)の上流に配置される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項6】
前記冷却空気流(F)の少なくとも一部は、前記車両が走行する際に前記車両の前端部および/または側部にある空気入口から導入される
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項7】
前記冷却空気流(F)の少なくとも一部は、ファン(30)によって生成される
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項8】
前記パワー電子デバイス(5)は、インバータ、車載充電器、および直流-直流変換器のうちの少なくとも1つを備える
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項9】
前記オイル冷却回路(20)は、前記オイル冷却回路(20)内を循環するようにオイルを案内するためのオイル案内機構をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項10】
前記オイル案内機構は、前記電気駆動ユニット(2)に一体化された油冷式ポンプ(21)を備える
ことを特徴とする、請求項9に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項11】
前記オイル案内機構は、前記ギアボックス(4)におけるギアの回転によって放出された冷却オイルを受け入れて搬送するために前記電気駆動ユニット(2)に配置されたオイル案内パイプラインを備える
ことを特徴とする、請求項9に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項12】
前記パワー電子デバイス(5)のハウジングは、前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングと一体化される
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項13】
車両冷却システム(100)であって、
オイル冷却回路(20)と、
電気モータ(3)、ギアボックス(4)、およびパワー電子デバイス(5)を備える電気駆動ユニット(2)と
を備え、
前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用のハウジングは、一体化されており、前記オイル冷却回路(20)は、前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングの内側に配置され、前記冷却空気流(F)が、前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングの表面を通って流れ、
前記パワー電子デバイス(5)は、前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングとは別々に配置され、追加の冷却空気流(F’)が、前記パワー電子デバイス(5)のハウジングの表面を通って流れる
ことを特徴とする、車両冷却システム(100)。
【請求項14】
前記パワー電子デバイス(5)の前記ハウジングには、放熱突起が設けられ、ならびに/または
前記電気モータ(3)および前記ギアボックス(4)用の前記ハウジングには、放熱突起が設けられる
ことを特徴とする、請求項13に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項15】
前記冷却空気流(F)の少なくとも一部は、車両が走行する際に前記車両の前端部および/もしくは側部にある空気入口から導入され、ならびに/または前記追加の冷却空気流(F’)の少なくとも一部は、前記車両が走行する際に前記車両の前端部および/もしくは側部にある空気入口から導入される
ことを特徴とする、請求項13に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項16】
前記追加の冷却空気流(F’)の少なくとも一部は、追加のファン(30’)によって生成される
ことを特徴とする、請求項14に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項17】
前記オイル冷却回路(20)は、前記オイル冷却回路(20)内を循環するようにオイルを案内するためのオイル案内機構をさらに備える
ことを特徴とする、請求項13に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項18】
前記オイル案内機構は、前記電気駆動ユニット(2)に一体化された油冷式ポンプ(21)を備える
ことを特徴とする、請求項17に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項19】
前記オイル案内機構は、前記ギアボックス(4)におけるギアの回転によって放出された冷却オイルを受け入れて搬送するために前記電気駆動ユニット(2)に配置されたオイル案内パイプラインを備える
ことを特徴とする、請求項17に記載の車両冷却システム(100)。
【請求項20】
車両であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の車両冷却システム(100)を備えることを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両冷却システムに関する。本開示はさらに、そのような車両冷却システムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の電気駆動ユニットは、車両が走行するために電気エネルギーを機械エネルギーに変換するために使用され、電気モータ、ギアボックス、およびパワー電子デバイスを備えていてもよい。客観的な物理法則および実際の製造プロセスの限界のために、電気駆動ユニット内の様々な構成要素によるエネルギー伝達は100%に達することができず、常に発熱を伴う。車両冷却システムは、電気駆動ユニットを冷却するために使用され、それによって熱の蓄積により引き起こされる性能低下またはシステム故障を回避する。車両冷却システムでは、電気駆動ユニットが冷却回路に配置されてもよく、冷却媒体が循環して電気駆動ユニットによって生成された熱を分散させる。
【0003】
電気駆動ユニット内の構成要素は異なるエネルギー伝達効率を有するので、それらは異なる加熱能力を有する。また、各構成要素が耐えることができる最大温度(以下、耐温度と呼ばれる)も異なる。通常、電気モータおよびギアボックスは、効率が低く、加熱能力が高く、耐温度が高いが、パワー電子デバイスは、効率が高く、加熱能力は低いが、耐温度が低い。
【0004】
中国特許出願公開第111959260号明細書は、ハイブリッド電気車両または電気車両用の推進モジュール、ならびに電気モータおよびパワー電子デバイス(例えば、インバータ)が水およびラジエータのみによって冷却されるシステムを開示しているが、このシステムは追加の水路(ラジエータおよび水ポンプを備える)を必要とする。中国特許出願公開第113329907号明細書は、ハイブリッド電気車両または電気車両用の別の駆動システムを開示しており、限定はしないが、駆動システムにおける電気モータ、ギアボックス、およびインバータを含むすべての構成要素は、追加の水路を必要とせずにオイルによって冷却され、一方、熱は、駆動システムのハウジングの外側に位置する放熱フィンと外部空気流との間の熱交換により放出される。しかし、冷却媒体としてオイルを使用する冷却能力は限られており、具体的には、オイル温度が低い場合、放熱も低いため、電気駆動システムの連続電力も低く、オイル温度が高い場合、インバータ内の電子構成要素の冷却が不十分となり、連続電力を制限する。
【0005】
このように、車両冷却システムにおいて、電気駆動ユニット内の様々な構成要素が同じ冷却回路に配置され(例えば、中国特許出願公開第113329907号明細書に開示されているように)、同じ冷却媒体が使用される場合、冷却能力が設計段階での過剰な制限によって制限されるため、このシステムは電気駆動ユニットの加熱能力が比較的低い小型車両にしか適用できないことは明らかである。周囲温度が高い熱帯の国では、冷却媒体が共有される車両冷却システムの冷却能力がより深刻に制限され、このシステムは小型車両にも適用不可能になる。別の態様では、車両冷却システムが電気駆動ユニット内のいくつかの構成要素にのみ使用される1つまたは複数の冷却回路を備える場合(例えば、中国特許出願公開第111959260号明細書に開示されているように)、そのような冷却回路は高い冷却能力を達成するように特別に設計されてもよいが、追加の熱交換器、およびバルブまたはポンプなどの流れ制御構成要素が設けられる必要があり、これは構成要素コストの増加をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第111959260号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第113329907号明細書
【発明の概要】
【0007】
本開示の目的は、上述の技術的問題を解決するための車両冷却システムであって、最適化された冷却能力およびより低い構成要素コストを有しながら、電気駆動ユニット内の様々な構成要素を冷却することができる車両冷却システムを提案することである。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、車両冷却システムは、水冷却回路と、オイル冷却回路と、電気エネルギー貯蔵ユニットであって、水冷却回路は、電気エネルギー貯蔵ユニットを冷却するための第1の冷却パイプラインを備える電気エネルギー貯蔵ユニットと、電気モータ、ギアボックス、およびパワー電子デバイスを備える電気駆動ユニットとを備える。水冷却回路は、パワー電子デバイスを冷却するための第2の冷却パイプラインを備え、第1の冷却パイプラインおよび第2の冷却パイプラインは、水冷却回路において直列に接続され、第2の冷却パイプラインは、冷却水流の方向に沿って第1の冷却パイプラインの下流に配置される。電気モータおよびギアボックス用のハウジングは、一体化されており、オイル冷却回路は、電気モータおよびギアボックス用のハウジングの内側に配置され、冷却空気流が、電気モータおよびギアボックス用のハウジングの表面を通って流れる。
【0009】
本開示では、車両冷却システムは、2つの冷却回路:水冷却回路およびオイル冷却回路を備える。電気駆動ユニットの電気モータおよびギアボックスは、オイル冷却回路によって冷却され、パワー電子デバイスは、水冷却回路によって冷却される。電気モータおよびギアボックスの加熱能力および耐温度は、パワー電子デバイスの耐温度よりも高い。オイル冷却回路からパワー電子デバイスを分離することによって、車両冷却システムのオイル冷却回路内を循環する冷却オイルを電気モータおよびギアボックスの耐温度まで加熱することができ、それによって外部環境への放熱を加速する。したがって、オイル冷却回路は高い冷却能力を有し、高電力の電気モータおよびギアボックスを冷却することができる。電気モータおよびギアボックス用のハウジングの表面を通って流れる冷却空気流は、電気モータおよびギアボックスの放熱をさらに増加させる。電気駆動ユニットは、全体として高い出力電力を有することができ、中型および大型車両に適用可能であり、かつ高温環境に適応可能である。
【0010】
パワー電子デバイスの加熱能力および耐温度は比較的低く、これらの特性は電気エネルギー貯蔵ユニットの特性と同様である。電気エネルギー貯蔵ユニットおよび冷却パワー電子デバイスのための第1の冷却パイプラインおよび第2の冷却パイプラインが、水冷却回路において直列に配置される。言い換えれば、パワー電子デバイスは、別々の冷却回路を配置する必要なく電気エネルギー貯蔵ユニットの冷却回路に一体化され、これにより構成要素コストが削減される。加えて、周囲温度が低い場合には、パワー電子デバイスによって生成された熱が水冷却回路によって電気エネルギー貯蔵ユニットを加熱し、それによって電気エネルギー貯蔵ユニットを加熱するための電力消費を低減することができる。
【0011】
本開示による車両冷却システムは、個々にまたは組み合わせて以下の特徴のうちの1つまたは複数をさらに有していてもよい。
【0012】
本開示の一実施形態によれば、電気モータおよびギアボックス用のハウジングには、放熱突起が設けられる。放熱突起は、ハウジングと冷却空気流との間の接触面積を大きくすることができ、それによってハウジングの放熱能力を高めることができる。
【0013】
本開示の一実施形態によれば、放熱突起は、放熱フィンである。
【0014】
本開示の一実施形態によれば、水冷却回路は、水冷式ポンプと、ラジエータとをさらに備え、水冷式ポンプは、第1の冷却パイプライン、第2の冷却パイプライン、およびラジエータ内を冷却水が循環するように構成され、ラジエータを、冷却空気流が通過し、ラジエータは、電気モータおよびギアボックス用のハウジングの表面に対して冷却空気流の上流に配置される。
【0015】
この実施形態では、水冷却回路は、独立したラジエータを有する。ラジエータを通って流れる冷却空気流と組み合わせて、水冷却回路は、パワー電子デバイスおよび電気エネルギー貯蔵ユニットによって生成された熱を外部環境に放散することができる。
【0016】
本開示の一実施形態によれば、水冷却回路は、水冷式ポンプと、熱交換器とをさらに備え、熱交換器は、車両の空調システムと熱を交換するように構成され、空調システムは、凝縮器を備え、凝縮器を、冷却空気流が通過し、凝縮器は、電気モータおよびギアボックス用のハウジングの表面に対して冷却空気流の上流に配置される。
【0017】
この実施形態では、水冷却回路は、独立したラジエータを有さず、むしろ、車両の空調システムを通してパワー電子デバイスおよび電気エネルギー貯蔵ユニットによって生成された熱を外部環境に放散する。
【0018】
本開示の一実施形態によれば、冷却空気流の少なくとも一部は、車両が走行する際に車両の前端部および/または側部にある空気入口から導入される。言い換えれば、冷却空気流の一部は、車両の走行によって受動的に生成されてもよい。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、冷却空気流の少なくとも一部は、ファンによって生成される。言い換えれば、冷却空気流の一部は、能動的に生成されてもよい。特に、車両が低速で走行している場合には、車両の走行によって生成される冷却空気流が不十分であり、ファンが冷却空気流を補うことができるため、車両冷却システムの冷却能力が過剰に減少することがない。
【0020】
本開示の一実施形態によれば、パワー電子デバイスは、インバータ、車載充電器、および直流-直流変換器のうちの少なくとも1つを備える。
【0021】
本開示の一実施形態によれば、オイル冷却回路は、オイル冷却回路内を循環するようにオイルを駆動するための駆動ユニットをさらに備える。
【0022】
本開示の一実施形態によれば、駆動ユニットは、電気駆動ユニットに一体化された油冷式ポンプである。
【0023】
本開示の一実施形態によれば、オイル案内機構が、ギアボックスにおけるギアの回転によって放出された冷却オイルを受け入れて搬送するために電気駆動ユニットに配置されたオイル案内パイプラインを備える。
【0024】
本開示の一実施形態によれば、パワー電子デバイスのハウジングは、電気モータおよびギアボックス用のハウジングと一体化される。
【0025】
水冷却回路を通してパワー電子デバイスを冷却するための技術的解決策は、上記で説明されている。コストをさらに削減するために、パワー電子デバイスはまた、空冷のみによって冷却されてもよい。これは、パワー電子デバイスが電気モータおよびギアボックスとは別々に配置される一実施形態に特に適用可能である。
【0026】
このような実施形態では、車両冷却システムは、オイル冷却回路と、電気モータ、ギアボックス、およびパワー電子デバイスを備える電気駆動ユニットとを備え、電気モータおよびギアボックス用のハウジングは、一体化されており、オイル冷却回路は、電気モータおよびギアボックス用のハウジングの内側に配置され、冷却空気流が、電気モータおよびギアボックス用のハウジングの表面を通って流れる。パワー電子デバイスは、電気モータおよびギアボックス用のハウジングとは別々に配置され、追加の冷却空気流がパワー電子デバイスのハウジングの表面を通って流れる。
【0027】
上記の特徴によれば、車両冷却システムは、パワー電子デバイスまたは対応する流れ制御構成要素のためのあらゆる冷却パイプラインの必要性をさらに排除し、それによって構成要素コストのさらなる削減を可能にする。
【0028】
本開示の一実施形態によれば、冷却空気流の少なくとも一部は、車両が走行する際に車両の前端部および/もしくは側部にある空気入口から導入され、ならびに/または追加の冷却空気流の少なくとも一部は、車両が走行する際に車両の前端部および/もしくは側部にある空気入口から導入される。
【0029】
本開示の一実施形態によれば、追加の冷却空気流の少なくとも一部は、追加のファンによって生成される。
【0030】
本開示はさらに、上述の車両冷却システムを備える車両に関する。
【0031】
より明確に本開示の実施形態の技術的解決策を説明するために、実施形態を説明する際に使用される必要がある図面が以下で簡単に説明される。明らかに、以下の説明における図面は、本開示のいくつかの実施形態にすぎず、当業者は、発明の努力を費やすことなくこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。以下の図面は、同じ割合で実際の寸法を慎重に縮小または拡大することによって描かれておらず、本開示の内容を示すことに焦点を当てている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本開示の一実施形態による車両冷却システムのブロック図である。
図2】オイル冷却回路における油冷式ポンプが省略された、図1に示す車両冷却システムの変形例を示す図である。
図3】本開示の別の実施形態による車両冷却システムのブロック図である。
図4】オイル冷却回路における油冷式ポンプが省略された、図3に示す車両冷却システムの変形例を示す図である。
図5】本開示のさらに別の実施形態による車両冷却システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
すべての図面において、同一または同様の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0034】
本開示の実施形態の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本開示の実施形態における技術的解決策を、本開示の実施形態の図面と併せて以下に明確かつ完全に説明する。
【0035】
特に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語または科学用語は、当業者によって理解される一般的な意味を有するものとする。本特許出願の本開示の明細書および特許請求の範囲で使用される「1つの(A)」、「1つの(one)」、「前記」、および同様の用語は、量の制限を意味するのではなく、少なくとも1つがあることを意味する。「備える」、「含む」、または任意の他の同様の用語は、用語の前に現れる要素または物体が、用語の後に列挙された要素または物体およびその均等物を包含するが、他の要素または物体を排除しないことを意味する。「接続された」または「連結された」などの単語は、物理的または機械的接続に限定されず、直接的または間接的にかかわらず、電気的接続を含むことができる。「効率」は、その入力電力に対する電気駆動ユニットおよびその構成要素の出力電力の比、すなわち、効率=出力電力/入力電力を指す。
【0036】
したがって、説明を容易にするために、本開示の図面は、外部接続線および本開示の説明に関連しない他の構成要素など、当技術分野で一般的に使用される構成要素を簡略化または省略する。これらの省略または簡略化された構成要素は、当業者による本開示の理解に影響を及ぼさない。
【0037】
図1は、本開示の一実施形態による車両冷却システム100のブロック図である。車両冷却システム100は、具体的には、電気駆動ユニット2を冷却するように構成される。
【0038】
電気駆動ユニット2は、電気モータ3と、ギアボックス4と、パワー電子デバイス5とを備える。電気モータ3は、入力電気エネルギーを回転機械エネルギーに変換し、ギアボックス4は、電気モータ3によって生成されるトルクおよび電気モータ3の速度を調整し、次いでそれらを車両の車輪に伝送するために電気モータ3に機械的に接続される。パワー電子デバイス5は、インバータ、車載充電器、および直流-直流変換器のうちの少なくとも1つを備えてもよい。インバータは、電気エネルギー貯蔵ユニット(例えば、バッテリーまたは任意の他の電気エネルギー貯蔵ユニット)から出力される直流を、電気モータを駆動することが可能な交流に反転させることができ、車載充電器は、車両におけるエネルギー回収中に電気エネルギー貯蔵ユニットを充電することができ、直流-直流変換器は、電気エネルギー貯蔵ユニットから出力される高電圧直流を、車両の低電圧システムにおける使用に適した低電圧直流に変換することができる。
【0039】
電気モータ3は、同期電気モータであってもよいし、非同期電気モータであってもよい。電気モータ3が同期電気モータである場合、巻線ロータまたは永久磁石ロータを備えてもよい。図示の実施形態では、電気モータ3は、永久磁石を有する同期電気モータであり、電気モータ3は、10kW~50kW、またはそれ以上の範囲の定格電力を供給してもよい。例えば、48V~350Vの範囲の公称電源電圧、または800Vまでのより高い電源電圧の場合、電気モータによって提供される定格電力は、10kW~300kWの範囲とすることができる。電気モータ3は、三相巻線を有するステータ、または2つの三相巻線もしくは五相巻線の組み合わせを備えてもよい。
【0040】
電気モータ3とギアボックス4との間の機械的接続により、それらは互いに隣接して配置される。コンパクトさおよび伝送効率のために、電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングは一体化されてもよく、これは、これらの2つのハウジングが一体的に形成されてもよく、または複数のハウジング構成要素から組み立てられてもよいことを意味する。具体的には、両者は同じハウジングによって画定されたチャンバ内に収容することができ、または電気モータ3を収容するハウジングおよびギアボックス4を収容するハウジングが、例えば、ねじによって固定的に接続されてもよく、シール壁がこれらの2つのハウジングの間に設けられてもよい。パワー電子デバイス5は、電気モータ3および電気エネルギー貯蔵ユニット1に電気的に接続される。電気駆動ユニット2の一体化レベルを改善する必要がある場合、パワー電子デバイス5はまた、電気モータ3およびギアボックス4に隣接して配置してもよく、パワー電子デバイス5のハウジングは、任意選択で電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングと一体化されてもよく、シール構造がハウジングの間に設けられてもよい。
【0041】
電気駆動ユニット2の構成要素のうち、電気モータ3およびギアボックス4は比較的低い効率を有し、一方、パワー電子デバイス5は比較的高い効率を有する。したがって、電気駆動ユニット2によって生成される熱は、電気モータ3およびギアボックス4によって主に生成される。加えて、パワー電子デバイス5は、低い耐温度を有する多数の電子部品を備え、一方、電気モータ3およびギアボックス4は、比較的高い耐温度を有する。
【0042】
車両冷却システム100は、2つの冷却回路:水冷却回路10およびオイル冷却回路20を備える。
【0043】
図1に示すように、水冷却回路10は、第1の冷却パイプライン11と、第2の冷却パイプライン12と、水冷式ポンプ13と、ラジエータ14とを備える。第1の冷却パイプライン11は、電気エネルギー貯蔵ユニット1を冷却するように構成され、第2の冷却パイプライン12は、パワー電子デバイス5を冷却するように構成される。水冷式ポンプ12は、第1の冷却パイプライン11、第2の冷却パイプライン12、およびラジエータ14を通して冷却水を循環させる。ラジエータ14を、内部を流れる冷却水の熱を外部環境に放散する冷却空気流Fが通過し、それによって冷却水が冷却される。第2の冷却パイプライン12は、冷却水流の方向に沿って第1の冷却パイプライン11の下流に配置される。言い換えれば、冷却された冷却水は、まず、第1の冷却パイプライン11を通って流れて電気エネルギー貯蔵ユニット1を冷却した後、第2の冷却パイプライン12を通って流れてパワー電子デバイス5を冷却する。
【0044】
オイル冷却回路20は、電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングの内側に配置される。オイル冷却回路20は、オイル冷却回路20内を循環するようにオイルを案内するためのオイル案内機構(図面では図示せず)をさらに備えてもよい。オイル案内機構は、好ましくは電気駆動ユニット2に一体化された油冷式ポンプ21を備えてもよい。例えば、油冷式ポンプ21は、ギアボックス4のハウジングに取り付けられてもよく、これは、例えば、ギアボックス4および/または電気モータ3からオイルを吸引し、オイルを電気駆動ユニット2内で冷却される必要がある構成要素に送達し、かつ最終的に重力によってオイルをギアボックス4および/または電気モータ3用のハウジングに戻すことによって冷却サイクルを形成する。
【0045】
別の実施形態では、オイル案内機構は、ギアボックス4におけるギアの回転によって放出された冷却オイルを受け入れて搬送するために電気駆動ユニット2に配置されたオイル案内パイプラインを備えてもよい。具体的には、ギアの回転は、ギアボックス4のハウジングの底部に貯蔵された冷却オイルを撹拌し、ギアボックス4および電気モータ3用のハウジングの内側のオイル案内パイプラインを通して、放出された冷却オイルを受け入れ、電気駆動ユニット2内で冷却される必要がある構成要素(限定はしないが、電気モータ3のロータおよびステータ、またはギアボックス4の内側の他の構成要素を含む)に搬送し、その後、最後に重力によってオイルをギアボックス4のハウジングの内部に戻して冷却サイクル、すなわち、オイル冷却回路20を形成することを可能にする。ギアの撹拌によって形成されたオイル冷却回路は、あらゆる追加の油冷式ポンプの必要性を排除し、これは構造をさらに簡略化し、コストを削減する。このようなオイル冷却回路を有する車両冷却システム100のブロック図が、図2に示される。
【0046】
オイル冷却回路20を通して、電気モータ3およびギアボックス4によって生成された熱が電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングに運ばれ、冷却空気流Fがハウジングの表面を通って流れ、それによって熱が外部環境に放散される。電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングには、放熱フィンなどの放熱突起が備えられ、冷却空気流Fとハウジングとの間の接触面積を大きくし、それによって放熱能力を改善する。
【0047】
冷却空気流Fは、ファン30によって能動的に生成される部分と、車両が走行する際に車両の前端部および/または側部にある空気入口から導入される受動的に生成される部分とを備える。水冷却回路10のラジエータ14は、通常、冷却空気流Fの上流に配置され、これは、冷却空気流Fが最初にラジエータ14を通って流れ、次に電気駆動ユニット2に向かって案内され、電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングの表面を通って流れることを意味する。
【0048】
車両冷却システム100の上記の実施形態では、パワー電子デバイス5は、オイル冷却回路20から分離されている。したがって、オイル冷却回路20内を循環するオイルの温度は、パワー電子デバイス5の耐温度を超えてもよい。オイル冷却回路20がパワー電子デバイス5も通過する場合と比較して、オイル冷却回路20内を循環するオイルの温度は約70℃から110℃に上昇してもよく、これによりオイル冷却回路20の放熱能力を大幅に改善する。電気駆動ユニット2の電力は、中型および大型車両ならびに暑い気候に適用可能なように増加させてもよい。
【0049】
オイル冷却回路20から分離されたパワー電子デバイス5は、電気エネルギー貯蔵ユニット1を冷却するための水冷却回路10と組み合わされる。電気エネルギー貯蔵ユニット1の耐温度がパワー電子デバイス5の耐温度よりも低いため、水冷却回路10は、パワー電子デバイス5を冷却するために使用されてもよい。パワー電子デバイス5は、発熱が少なく高効率であるため、水冷却回路10の設計に対して大きな影響を与えない。加えて、温度が冬季において低い場合には、パワー電子デバイス5によって生成された熱はまた、電気エネルギー貯蔵ユニット1を加熱するために使用されてもよい。加えて、パワー電子デバイス5は、比熱容量が非常に小さく、かつ急速に昇温するため、高速応答で電気エネルギー貯蔵ユニット1を加熱することができる。本開示は、パワー電子デバイス5を冷却するための別々の冷却回路、特に水冷却回路を配置する必要性を排除するように設計されており、これにより構成要素コストが低減され、車両組み立ての作業量および困難性が低減される。
【0050】
図3は、本開示の別の実施形態による車両冷却システム100のブロック図である。図3に示す車両冷却システム100は、図1に示す車両冷却システム100と同様であるため、2つのシステムの同一の部分については再度説明しないが、それらの間の主な違いは、水冷却回路10が熱を外部環境に放散する方法にある。図1に示す実施形態では、水冷却回路10は、ラジエータ14を有し、ラジエータ14を通して熱を外部環境に放散する。図3に示す実施形態では、水冷却回路10はもはやラジエータを有さず、むしろ熱交換器15を備える。熱交換器15は、車両の空調システム6と熱を交換し、それによって熱を空調システム6に伝達する。空調システム6は、冷却空気流Fが通過する凝縮器7を備え、空調システム6に伝達された熱は、最終的に凝縮器7で車両の外側の環境に放散される。同様に、冷却空気流Fは、ファン30によって能動的に生成される部分と、車両が走行する際に車両の前端部および/または側部にある空気入口から導入される受動的に生成される部分とを備える。別の態様では、凝縮器7は、電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングの表面に対して冷却空気流Fの上流に配置され、冷却空気流Fは、凝縮器7および熱交換器15を通って、次いで電気駆動ユニット2に向かって、電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングの表面を通って順次流れ、最終的に熱を外部環境に放散する。
【0051】
図4は、図3に示す車両冷却システム100の変形例である。この変形例では、図2に示す実施形態と同様に、オイル冷却回路20はギアの撹拌によって形成され、したがってあらゆる追加の油冷式ポンプの必要性を排除する。
【0052】
図1から図4に示す実施形態は、電気エネルギー貯蔵ユニットが液冷(例えば、図1から図4に示す水冷却回路10)によって冷却される場合に対応する。電気エネルギー貯蔵ユニットが液冷以外で冷却される場合では、別々の水冷却回路がオイル冷却回路20から分離されたパワー電子デバイス5に対して設けられると、高い構成要素コストを招くことになり、車両組み立ての作業量および困難性が高くなる。したがって、この場合、パワー電子デバイス5は、好ましくは空冷によって冷却される。
【0053】
図5は、電気エネルギー貯蔵ユニットが液冷以外で冷却される場合の車両冷却システム100のブロック図である。図5に示す実施形態では、車両冷却システム100は、空冷によってパワー電子デバイス5を冷却する。電気駆動ユニット2では、パワー電子デバイス5は、電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングとは別々に配置され、追加の冷却空気流F’がパワー電子デバイス5のハウジングの表面を通って流れ、それによって生成された熱を外部環境に放散する。電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングは、依然として一体化されており、ハウジングの内側に配置されたオイル冷却回路20によって冷却される。冷却空気流Fは、電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングの表面を通って流れる。冷却空気流Fおよび/または追加の冷却空気流F’の少なくとも一部は、車両が走行する際に車両の前部および/または側部にある空気入口から導入される。パワー電子デバイス5のハウジングには、放熱突起、例えば、放熱フィンが設けられる。放熱突起は、ハウジングと冷却空気流との間の接触面積を大きくすることができ、それによってハウジングの放熱能力を高めることができる。同様に、電気モータ3およびギアボックス4用のハウジングにはまた、放熱突起、すなわち放熱フィンが備えられてもよい。車両冷却システム100は、追加のファン30’をさらに備えてもよい。追加のファン30’は、車両が走行するときに生成される追加の冷却空気流F’が不十分である場合に追加の冷却空気流F’の一部を生成するように構成されたファン30と同様の機能を実施し、それによって車両冷却システム100の放熱能力を補償する。追加のファンは、パワー電子デバイス5のハウジングに固定されてパワー電子デバイス5に対して連続的な冷却空気流を提供してもよく、したがって放熱能力を改善することができる。
【0054】
同様に、オイル冷却回路20は、オイル冷却回路20内を循環するようにオイルを案内するためのオイル案内機構をさらに備える。オイル案内機構は、電気駆動ユニット2に一体化された油冷式ポンプ(図面では図示せず)を備えてもよい。別の実施形態では、オイル案内機構は、電気駆動ユニット2に配置されたオイル案内パイプラインを備え、ギアボックス内のギアの回転によって放出された冷却オイルを受け入れ、オイルを、限定はしないが、電気モータ3のロータおよびステータ、またはギアボックス4内の他の構成要素を含む、電気駆動ユニット2内で冷却される必要がある構成要素に送達することができ、ギアの撹拌によって形成されたオイル冷却回路は、追加の油冷式ポンプの必要性を排除し、構造をさらに簡略化し、コストを削減する。
【0055】
本開示の別の態様によれば、上述の車両冷却システム100を備える車両が提案される。車両は、バッテリー電気車両(BEV)、ハイブリッド電気車両(HEV)、プラグインハイブリッド電気車両(PHEV)、航続距離延長EV、および燃料電池電気車両(FCEV)などの電動車両であってもよい。車両はまた、水素燃料車両であってもよい。上述の車両冷却システム100は、車両に含まれるすべての冷却装置を包含することを意図するものではないことが理解されよう。車両は、上述の車両冷却システム100に属さない冷却装置を備えてもよい。
【0056】
本開示の1つまたは複数の実施形態における特定の特徴、構造、または特性は、適切に組み合わせることができる。
【0057】
上記は本開示の説明であり、本開示を限定するものと見なされるべきではない。本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明したが、当業者は、本開示の新規な教示および利点から逸脱することなく、多くの修正を例示的な実施形態に加えることができることを容易に理解するであろう。したがって、そのような修正はすべて、特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲に含まれることを意図している。上記は本開示の説明であり、本開示は開示された特定の実施形態に限定されると見なされるべきではなく、開示された実施形態および他の実施形態に対する修正は本開示の範囲に含まれることを意図していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】