IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスエージーバルーンズ株式会社の特許一覧

特開2024-87809フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船
<>
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図1
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図2
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図3
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図4
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図5
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図6
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図7
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図8
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図9
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図10
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図11
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図12
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図13
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図14
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図15
  • 特開-フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087809
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】フィルム風船用ポンプ及びポンプ付きフィルム風船
(51)【国際特許分類】
   A63H 27/10 20060101AFI20240624BHJP
   A63H 3/06 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A63H27/10 E
A63H3/06
A63H27/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213372
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2022202399
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】391044845
【氏名又は名称】エスエージーバルーンズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢部 信彦
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150DA18
2C150DE02
2C150EB02
2C150EB11
2C150EH00
2C150FB05
2C150FB11
2C150FB30
2C150FD04
(57)【要約】
【課題】フィルム風船を口で膨らませることなく、フィルム風船の付属品として添付することができるフィルム風船用ポンプ及び該ポンプを有するポンプ付きフィルム風船を提供する。
【解決手段】フィルム風船用ポンプ100は、フィルムで形成された袋状のポンプ本体103と、前記ポンプ本体に設けられた空気送出管部104と、前記ポンプ本体に設けられた空気吸引孔106と、前記ポンプ本体内に配置され、前記ポンプ本体を内側から拡張方向に付勢する弾性部材110とを備え、前記空気吸引孔を塞いで前記ポンプ本体を押圧すると、前記空気送出管部から空気が流出し、その状態で前記空気吸引孔を開放して外力を除去すると、前記弾性部材により前記ポンプ本体が拡張すると共に、前記空気吸引孔から空気が流入するように構成されている。ポンプ付きフィルム風船は、該ポンプが連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムで形成された袋状のポンプ本体と、
前記ポンプ本体に設けられた空気送出管部と、
前記ポンプ本体に設けられた空気吸引孔と、
前記ポンプ本体内に配置され、前記ポンプ本体を内側から拡張方向に付勢する弾性部材とを備え、
前記空気吸引孔を塞いで前記ポンプ本体を押圧すると、前記空気送出管部から空気が流出し、その状態で前記空気吸引孔を開放して外力を除去すると、前記弾性部材により前記ポンプ本体が拡張すると共に、前記空気吸引孔から空気が流入するように構成されていることを特徴とするフィルム風船用ポンプ。
【請求項2】
前記弾性部材は、綿状繊維部材、通気性を有するスポンジ状部材から選ばれたものである、請求項1記載のフィルム風船用ポンプ。
【請求項3】
前記空気送出管部に空気注入管が取付けられている、請求項1又は2記載のフィルム風船用ポンプ。
【請求項4】
前記ポンプ本体を挟むように対向配置された一対の板部と、
前記一対の板部の一端部どうしを連結すると共に、前記空気注入管の挿出孔を有する連結壁とを備え、
前記空気吸引孔は、前記一対の板部の一方の板部の内面側に配置されており、
前記一対の板部の前記空気吸引孔の外側に配置された一方の板部を、他方の板部に向けて押圧することにより、前記空気吸引孔が塞がれて、前記空気送出管部から空気が流出するように構成されている、請求項3記載のフィルム風船用ポンプ。
【請求項5】
前記一対の板部の、前記連結壁の両端側に位置する両側部が、蛇腹状に折曲された伸縮壁部でそれぞれ連結されている、請求項4記載のフィルム風船用ポンプ。
【請求項6】
前記風船本体部には、前記空気吸引孔と対向する部分にも同形状の打ち抜き孔が形成されており、前記風船本体部の前記打ち抜き孔が形成された面は、前記一対の板部の他方の板部の内面に接着固定されて、前記打ち抜き孔が閉塞されている、請求項4記載のフィルム風船用ポンプ。
【請求項7】
請求項1又は2記載のフィルム風船用ポンプの前記空気送出管部が、フィルム風船の空気注入部と連結され、前記空気送出管部又は前記空気注入部に逆止弁が設けられていることを特徴とするポンプ付きフィルム風船。
【請求項8】
前記フィルム風船用ポンプの前記空気送出管部に前記逆止弁が設けられ、前記フィルム風船の空気注入部に前記空気送出管部が挿入されて、前記空気注入部の内周と前記空気送出管部の外周とが溶着により連結されている、請求項7記載のポンプ付きフィルム風船。
【請求項9】
前記フィルム風船用ポンプと前記フィルム風船との少なくとも一方に、両者を接着可能な両面テープが取付けられている、請求項7記載のポンプ付きフィルム風船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム風船に手軽に空気を注入できるようにしたフィルム風船用ポンプ、及び該ポンプを有するポンプ付きフィルム風船に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に示されるように、フィルム風船は、複数枚の合成樹脂フィルムを重ね合わせ、空気注入部を残して周縁を溶着すると共に、空気注入部には逆止弁を挿入溶着して気道を確保して作られている。
【0003】
逆止弁は、ポリエチレンのような熱溶着性のある合成樹脂フィルムを長方形等に裁断して2枚重ね合わせ、その両側部を熱溶着して、ガス入口と、ガス出口とを開放させた構造をなしている。そして、少なくとも一方の合成樹脂フィルムの内面の、風船本体と一緒に熱溶着される部分には、溶着されない耐熱インク塗布層が形成されている。
【0004】
このようなフィルム風船は、ストローのような空気注入管を、空気注入部から逆止弁の内部を通して挿入し、空気注入管を口で加えて空気を吹き込むことにより膨らませたり、ヘリウムガス等のガスノズルを空気注入部から逆止弁の内部を通して挿入して、ガスを注入することにより膨らませている。
【0005】
一方、下記特許文献2には、気体注入部より注入した気体圧により形体を保持する風船部と、当該風船部を支承する台部とを備え、台部が、風船部の気体注入部に結合できる結合部を有する気体注入ポンプになっている風船玩具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-168061
【特許文献2】特開2004-329711
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィルム風船を膨らませる際、ストローのような空気注入管を、空気注入部から逆止弁の内部を通して挿入し、空気注入管を口で加えて空気を吹き込むことにより膨らませることが行われているが、コロナウイルスなどの感染予防の観点から、空気注入管を口で加えることに抵抗がある人もいる。
【0008】
一方、特許文献2に示されるように、気体注入ポンプを備えた風船玩具も提案されているが、この気体注入ポンプは、ネジキャップを有する逆止弁が2つ用いられており、本体は、ゴム球のような形状をなしているので、製品単価が高く、また、フィルム風船の付属品としてコンパクトに収納できるものではなかった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、口で膨らませる必要がなく、廉価でフィルム風船の付属品としてコンパクトに収納できるフィルム風船用ポンプ及び該フィルム風船用ポンプを有するポンプ付きフィルム風船を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の1つは、フィルムで形成された袋状のポンプ本体と、前記ポンプ本体に設けられた空気送出管部と、前記ポンプ本体に設けられた空気吸引孔と、前記ポンプ本体内に配置され、前記ポンプ本体を内側から拡張方向に付勢する弾性部材とを備え、前記空気吸引孔を塞いで前記ポンプ本体を押圧すると、前記空気送出管部から空気が流出し、その状態で前記空気吸引孔を開放して外力を除去すると、前記弾性部材により前記ポンプ本体が拡張すると共に、前記空気吸引孔から空気が流入するように構成されていることを特徴とするフィルム風船用ポンプを提供するものである。
【0011】
本発明のフィルム風船用ポンプにおいて、前記弾性部材は、綿状繊維部材、通気性を有するスポンジ状部材から選ばれたものとすることができる。
【0012】
また、前記空気送出管部に空気注入管が取付けられていてもよい。
【0013】
また、本発明のフィルム風船用ポンプにおいて、前記ポンプ本体を挟むように対向配置された一対の板部と、前記一対の板部の一端部どうしを連結すると共に、前記空気注入管の挿出孔を有する連結壁とを備え、前記空気吸引孔は、前記一対の板部の一方の板部の内面側に配置されており、前記一対の板部の前記空気吸引孔の外側に配置された一方の板部を、他方の板部に向けて押圧することにより、前記空気吸引孔が塞がれて、前記空気送出管部から空気が流出するように構成されていてもよい。
【0014】
また、本発明のフィルム風船用ポンプにおいて、前記一対の板部の、前記連結壁の両端側に位置する両側部が、蛇腹状に折曲された伸縮壁部でそれぞれ連結されていてもよい。
【0015】
また、本発明のフィルム風船用ポンプにおいて、前記風船本体部には、前記空気吸引孔と対向する部分にも同形状の打ち抜き孔が形成されており、前記風船本体部の前記打ち抜き孔が形成された面は、前記一対の板部の他方の板部の内面に接着固定されて、前記打ち抜き孔が閉塞されていてもよい。
【0016】
また、本発明のもう1つは、前記フィルム風船用ポンプの空気送出管部が、フィルム風船の空気注入部と連結され、前記空気送出管部又は前記空気注入部に逆止弁が設けられていることを特徴とするポンプ付きフィルム風船を提供するものである。
【0017】
この場合、前記フィルム風船用ポンプの前記空気送出管部に前記逆止弁が設けられ、前記フィルム風船の空気注入部に前記空気送出管部が挿入されて、前記空気注入部の内周と前記空気送出管部の外周とが溶着により連結されていてもよい。
【0018】
また、前記フィルム風船用ポンプと前記フィルム風船との少なくとも一方に、両者を接着可能な両面テープが取付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、口で膨らませる必要がなく、廉価でフィルム風船の付属品としてコンパクトに収納できるフィルム風船用ポンプ及び該フィルム風船用ポンプを有するポンプ付きフィルム風船を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のフィルム風船用ポンプの一実施形態を示す平面図。
図2】同フィルム風船用ポンプの、図1のII-II矢示線に沿った断面図。
図3】同フィルム風船用ポンプを用いてフィルム風船を膨らませる方法を示す説明図。
図4】本発明のフィルム風船用ポンプの他の実施形態を示す平面図。
図5】同フィルム風船用ポンプを用いてフィルム風船を膨らませる方法を示す説明図。
図6】本発明のポンプ付きフィルム風船の一実施形態を示す、一部を切り欠いて示す平面図。
図7】本発明のポンプ付きフィルム風船の他の実施形態を示す斜視図。
図8】同ポンプ付きフィルム風船のポンプ本体をフィルム風船本体に接着した状態を示す斜視図。
図9】本発明のポンプ付きフィルム風船の更に他の実施形態を示す斜視図。
図10】同ポンプ付きフィルム風船のポンプ本体をフィルム風船本体に接着した状態を示す斜視図。
図11】本発明のフィルム風船用ポンプの他の実施形態を示す、斜め上方から見た分解斜視図。
図12】同フィルム風船用ポンプの斜め下方から見た分解斜視図。
図13】同フィルム風船用ポンプのカバー部材の展開図。
図14】同フィルム風船用ポンプの斜め前方から見た斜視図。
図15】同フィルム風船用ポンプの斜め後方から見た斜視図。
図16】同フィルム風船用ポンプの図面であって、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は背面図、(d)は正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1~3には、本発明によるフィルム風船用ポンプの一実施形態が示されている。
【0022】
図1、2に示すように、本実施形態のフィルム風船用ポンプ100は、2枚のフィルム101、102を重ね合わせて、周縁部を熱溶着することにより形成された袋状のポンプ本体103を有する。ポンプ本体103は、周縁の一箇所に空気送出管部104が設けられ、その先端部が空気送出口105となっている。この実施形態では、ポンプ本体103は、平面視にて略半円状に形成され、半円の円弧の中央部から空気送出管部104をなす部分が細長い管状をなして外側に延出された形状をなしている。そして、一方のフィルム101の中央部には、空気吸引口106が形成されている。空気吸引口106は、指等で封止できる程度の大きさ、形状とされている。空気吸引口106の内径は、2~8mmが好ましく、3~5mmがより好ましい。空気吸引口106の形状は、円形が好ましいが、楕円形、半円形、正方形などの形状であってもよい。
【0023】
フィルム101、102の材質は、従来よりこの種の風船に用いられているものであればよく、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール重合体等が好ましく用いられる。フィルム101、102には、塗料による印刷や、金属蒸着が施されていてもよく、更には金属箔がラミネートされていてもよい。
【0024】
ポンプ本体103の内部には、全体的に通気性を有し、所定の大きさに弾性的に復元可能な弾性部材110が収容されている。この実施形態では、弾性部材110として、三次元の連通気孔を有する、発泡樹脂製のスポンジ状部材が使用されている。発泡樹脂製のスポンジ状部材は、一定形状のものを作りやすいという利点が得られる。弾性部材110は、空気吸引口106を例えば指で塞いでポンプ本体103を押したとき、圧縮されることによって内部に有する空気を、空気送出管部104を通して空気送出口105から排出でき、かつ、空気吸引口106から指等を離して開放したとき、空気吸引口106から外部の空気を吸引して、元の大きさに復帰できる程度の弾性復元力を有している。
【0025】
次に、このフィルム風船用ポンプ100の使用方法について説明する。
図3において、フィルム風船200は、所定の形状、この実施形態ではウサギの形状をなしたフィルム風船本体201と、フィルム風船本体201の周縁の一箇所から延出された図示しない空気注入部と、この空気注入部に連結されたパイプ状スティック203と、空気注入部とパイプ状スティック203の先端部外周を保持する受け具202とを有している。図示しない空気注入部には、逆止弁が設けられ、パイプ状スティック203を通して注入された空気が漏れないようになっている。フィルム風船200を形成するフィルムは、フィルム101、102と同様な材質のものを使用できる。
【0026】
フィルム風船用ポンプ100は、例えば上記フィルム風船200などの空気の注入に用いることができる。すなわち、空気送出管部104にパイプ状スティック203の基端部を挿入し、空気送出管部104の外周を片手で握ってパイプ状スティック203の外周と空気送出管部104の内周とを密着させ、その状態で他方の手の指で空気吸引口106を塞ぎ、弾性部材110を圧縮するようにポンプ本体103を押圧する。すると、ポンプ本体103内部の空気が空気送出管部104とパイプ状スティック203とを通してフィルム風船本体201に注入され、フィルム風船本体201が膨らむ。再び他方の手の指を空気吸引口106から離して、ポンプ本体103の押圧を解除すると、弾性部材110の弾性復元力によって、空気吸引口106から空気が注入され、ポンプ本体103が元の形状に膨らんで戻る。そして、再び他方の手の指で空気吸引口106を塞ぎ、弾性部材110を圧縮するようにポンプ本体103を押圧するという動作を繰り返すことにより、フィルム風船本体201に空気を繰り返し注入して、フィルム風船本体201の内部が空気で満たされて、膨らんだ形状にすることができる。なお、空気吸引口106を塞ぐ手段は、手の指に限らず、シートや板などを押し当てたりする方法を採用することもできる。
【0027】
このように、本発明のフィルム風船用ポンプ100によれば、フィルムでポンプ本体103を形成でき、弾性部材110に抗してポンプ本体103を押圧することにより、コンパクトな形状にすることができる。したがって、比較的安価に製造できると共に、コンパクト化できるので、製品単価を安く維持しつつ、簡易なポンプをフィルム風船の付属品として添付することができる。ストロー等の空気注入管を口で加える必要がないので、衛生的な問題も発生しない。
【0028】
図4,5には、本発明によるフィルム風船用ポンプの他の実施形態が示されている。なお、以下の実施形態の説明において、前記実施形態と実質的に同一部分には、同符号を付して、その説明を省略することとする。
【0029】
図4に示すように、このフィルム風船用ポンプ100aは、平面視でほぼ円形をなし、周縁の一箇所に空気送出管部104が形成されたポンプ本体103を有している。この実施形態の場合、ポンプ本体103の内部には、綿状繊維部材からなる弾性部材110aが収容されている。綿状繊維部材の材質は、合成繊維、天然繊維など、各種の繊維を用いることができるが、押圧された後にポンプ本体103を元の形状に復元できるような、十分な弾性復元力を有する繊維が用いられる。綿状繊維部材は、ポンプ本体103の内部形状にフィットさせやすいという利点が得られる。そして、この実施形態のフィルム風船用ポンプ100aでは、空気送出管部104に空気注入管107が挿入されて固着されている点が、前記実施形態と相違している。
【0030】
図5には、上記フィルム風船用ポンプ100aの使用方法が示されている。ここでは、上記フィルム風船用ポンプ100aを適用するフィルム風船として、フィルム風船200aが用いられている。フィルム風船200aは、平面視でほぼ円形のフィルム風船本体201を有し、その周縁の一箇所に空気注入部204が形成され、その空気注入部204の内部に風船側弁体205が装着されている。そして、フィルム風船用ポンプ100aを使用して空気を注入する場合は、フィルム風船用ポンプ100aの空気注入管107を空気注入部204の風船側弁体205の内部に挿入し、空気注入部204の外周を片手で握って空気注入部204の内周と空気注入管107の外周とを密着させ、その状態で他方の手の指で空気吸引口106を塞ぎ、弾性部材110aを圧縮するようにポンプ本体103を押圧する。すると、ポンプ本体103内部の空気が空気送出管部104と空気注入管107とを通してフィルム風船本体201に注入され、フィルム風船本体201が膨らむ。その状態で再び他方の手の指を空気吸引口106から離して、ポンプ本体103の押圧を解除すると、弾性部材110aの弾性復元力によって、空気吸引口106から空気が注入され、ポンプ本体103が元の形状に膨らんで戻る。そして、再び他方の手の指で空気吸引口106を塞ぎ、弾性部材110を圧縮するようにポンプ本体103を押圧するという動作を繰り返すことにより、フィルム風船本体201に空気を繰り返し注入して、フィルム風船本体201の内部が空気で満たされて、膨らんだ形状にすることができる。
【0031】
この実施形態では、フィルム風船200aの空気注入部204及び風船側弁体205に、空気注入管107を挿入して空気を注入できるので、フィルム風船200aに空気を注入しやすいという利点が得られる。
【0032】
図6には、本発明によるポンプ付きフィルム風船の一実施形態が示されている。
このポンプ付きフィルム風船300は、フィルム風船200bと、フィルム風船200bの空気注入部204に、空気送出管部104を介して連結されたフィルム風船用ポンプ100bとを備えている。この実施形態の場合、フィルム風船用ポンプ100bは、空気送出管部104の内部にポンプ側弁体120を有し、空気送出管部104がフィルム風船200bの空気注入部204に挿入され、連結部121にて空気注入部204の内周と空気送出管部104の外周とが溶着されて、フィルム風船200bとフィルム風船用ポンプ100bとが連結されている。ポンプ側弁体120を形成する一対のフィルムのいずれかの内面には、溶着されない耐熱インク塗布層が形成されており、空気注入部204の内周と空気送出管部104の外周との溶着時に、ポンプ側弁体120の内部が塞がれないようになっている。その他の構造は、前記実施形態と同様なので、その説明を省略する。
【0033】
この実施例形態では、フィルム風船200bとフィルム風船用ポンプ100bとが予め連結されているので、いずれかの手の指で空気吸引口106を塞ぎ、弾性部材110aを圧縮するようにポンプ本体103を押圧すると、ポンプ本体103内部の空気が空気送出管部104内のポンプ側弁体120を通してフィルム風船本体201に注入され、フィルム風船本体201が膨らむ。再び手の指を空気吸引口106から離して、ポンプ本体103の押圧を解除すると、弾性部材110aの弾性復元力によって、空気吸引口106から空気が注入され、ポンプ本体103が元の形状に膨らんで戻る。そして、再び手の指で空気吸引口106を塞ぎ、弾性部材110を圧縮するようにポンプ本体103を押圧するという動作を繰り返すことにより、フィルム風船本体201に空気を繰り返し注入して、フィルム風船本体201の内部が空気で満たされて、膨らんだ形状にすることができる。
【0034】
このように、この実施形態では、フィルム風船200bとフィルム風船用ポンプ100bとが予め連結されているので、フィルム風船200bとフィルム風船用ポンプ100bとを連結する操作が必要なくなり、より簡単にフィルム風船本体201を膨らませることができるという利点が得られる。また、フィルム風船用ポンプ100bの空気送出管部104内にポンプ側弁体120を設けておくことにより、フィルム風船本体201の空気注入部204に、フィルム風船用ポンプ100bの空気送出管部104を挿入して溶着するという簡単な作業で、ポンプ付きフィルム風船300を作ることができる。
【0035】
図7、8には、本発明によるポンプ付きフィルム風船の他の実施形態が示されている。
このポンプ付きフィルム風船300aでは、膨らませると鶴の形状になるフィルム風船本体201を有するフィルム風船200cが用いられている。フィルム風船本体201は、鶴の形状の下端部から延出された空気注入部204を有し、この空気注入部204内にフィルム風船用ポンプ100cの空気送出管部104が挿入されて、空気注入部204の内周と空気送出管部104の外周とが熱溶着されて連結されている。空気送出管部104の内部には、図示しない逆止弁が設けられており、フィルム風船用ポンプ100cを前述したような態様で、空気吸引口106を塞いだり、開放したりしながら、繰り返し押圧することにより、フィルム風船本体201に空気が注入されるようになっている。また、ポンプ本体103の空気吸引口106が設けられた面と反対側の面には、両面接着テープ130が装着されている。ポンプ本体103は、この実施形態の場合、座布団形状をなしている。
【0036】
このポンプ付きフィルム風船300aでは、フィルム風船用ポンプ100cを用いて前述したような方法でフィルム風船本体201に空気を注入し、鶴の形状に膨らませることができる。そして、フィルム風船本体201を膨らませた後、両面接着テープ130の外側の剥離紙を剥がし、その部分を鶴の形状となったフィルム風船本体201の下端部に押し当てて、座布団のような形状をなすポンプ本体103を、鶴の形状をなすフィルム風船本体201の下端部に接着し、座布団の上に鶴が座っているようなフィルム風船を作ることができる。
【0037】
図9、10には、本発明によるポンプ付きフィルム風船の更に他の実施形態が示されている。このポンプ付きフィルム風船300bでは、膨らませると人の形状になるフィルム風船本体201を有するフィルム風船200dが用いられている。フィルム風船本体201は、人の形状の腹部から延出された空気注入部204を有し、この空気注入部204がフィルム風船用ポンプ100dの空気送出管部104内に挿入されて、空気注入部204の外周と空気送出管部104の内周とが熱溶着されて連結されている。空気注入部204の内部には、風船側弁体205が設けられており、フィルム風船用ポンプ100dを前述したような態様で、空気吸引口106を塞いだり、開放したりしながら、繰り返し押圧することにより、フィルム風船本体201に空気が注入されるようになっている。また、ポンプ本体103の空気吸引口106が設けられた面と反対側の面には、両面接着テープ130が装着されている。ポンプ本体103は、この実施形態の場合、リュックサックのような形状をなしている。
【0038】
このポンプ付きフィルム風船300bでは、フィルム風船用ポンプ100dを用いて前述したような方法でフィルム風船本体201に空気を注入し、人の形状に膨らませることができる。そして、フィルム風船本体201を膨らませた後、両面接着テープ130の外側の剥離紙を剥がし、その部分を人の形状となったフィルム風船本体201の背中部に押し当てて、リュックサックのような形状をなすポンプ本体103を、人の形状をなすフィルム風船本体201の背中部に接着し、リュックサックを背負っている人のようなフィルム風船を作ることができる。また、この実施形態では、フィルム風船200dのフィルム風船本体201の空気注入部204内に風船側弁体205を設けたので、フィルム風船本体201の空気注入部204をポンプ本体103の空気送出管部104に挿入し、溶着するという簡単な操作で、両者を連結することができる。
【0039】
図7、8、9、10の実施形態に示されるように、フィルム風船200とフィルム風船用ポンプ100とを連結して、フィルム風船用ポンプ100とフィルム風船200とのいずれかに、両者を接着する両面接着テープ130を設けることにより、フィルム風船用ポンプ100を用いてフィルム風船200に簡単に空気を注入できると共に、フィルム風船用ポンプ100をフィルム風船200に接着してフィルム風船200の装飾の一部として利用することができる。
【0040】
図11~16には、本発明によるフィルム風船用ポンプの更に他の実施形態が示されている。
【0041】
図11、12に示すように、このフィルム風船用ポンプ100eは、図4に示したフィルム風船用ポンプに、カバー部材400を装着したものとなっている。すなわち、フィルム風船用ポンプは、平面視でほぼ円形をなし、周縁の一箇所に空気送出管部104が形成されたポンプ本体103を有している。ポンプ本体103の内部には、弾性部材110aが収容されている。そして、ポンプ本体103に連設された空気送出管部104に空気注入管107が挿入されて固着されている。
【0042】
一方、カバー部材400は、一対の板部401、402と、連結壁403と、蛇腹状の伸縮壁部405を備えている。連結壁403には、空気注入管107が挿出される挿出孔404が設けられている。
【0043】
カバー部材400は、図13に示される展開形状をなす厚紙を折り曲げて形成されている。一対の板部401、402は、カバー部材400の前方に位置するそれぞれの端部を連結壁403で連結され、カバー部材400の後方に位置する端部には突出辺部401a、402aを有している。両側の伸縮壁部405は、板部401の両側辺から扇状に延出し、折り曲げ部405a、405bで交互に折り曲げることによって、蛇腹状に組み立てられる。そして、両側の伸縮壁部405の端部405cを、板部402の接着部402bに接着することにより、図11,12に示すような、後方が広がって開口した形状に組み立てられている。蛇腹状をなす両側の伸縮壁部405が伸縮可能とされているので、板部401を対向する板部402に向けて近接離反可能とされている。
【0044】
図11,12に示すように、ポンプ本体103には、その上面に空気吸引孔106が形成され、下面には空気吸引孔106に整合する位置に抜き孔108が形成されている。ポンプ本体103を形成する際に、上面と下面とを打ち抜いて、空気吸引孔106と抜き孔108を形成することにより、製造作業性を高めることができる。そして、ポンプ本体103の下面に形成された抜き孔108を覆うように、両面接着テープ109が貼り付けられており、この両面接着テープ109を介して、ポンプ本体103の下面が板部402の内面中央に設けられた接着部402c(図13参照)に接着されている。これによって、抜き孔108は閉塞され、そこから空気が抜けないようにされている。なお、ポンプ本体103を板部402に接着する際に、ポンプ本体103に装着された空気注入管107を挿出孔404から挿出させるようにする。
【0045】
図14、15、16には、こうして組み立てられたフィルム風船用ポンプ100eの外観が示されている。ポンプ本体103は、一対の板部401、402で挟まれ、ポンプ本体103に内蔵された弾性部材110aの復元力によって、常時は、板部401、402の後方が広がった状態をなしている。そして、例えば指で押して、板部401を板部402に向けて押圧すると、板部401の内面で空気吸引孔106が塞がれると共に、弾性部材110aが圧縮されて、ポンプ本体103の内容積が小さくなるように変形し、ポンプ本体103内の空気を空気注入管107から噴出させることができる。そして、板部401、402の押圧を解除すると、弾性部材110aの復元力によって、板部401、402の間隔が再び広がり、空気吸引孔委106から空気が吸引される。このとき、両側の伸縮壁部405は、蛇腹状に折曲されているので、板部401、402の間隔の変化に追随して伸縮するように変形する。
【0046】
このように、このフィルム風船用ポンプ100eによれば、ポンプ本体103が一対の板部401、402で挟まれており、一方の板部401を他方の板部402に向けて押圧することによってポンプ本体103が圧縮されて空気送出管部104に装着された空気注入管107から空気が流出するので、ポンプ本体を板部の広い面で効果的に圧縮することができる。
【0047】
また、一対の板部401、402の、連結壁403の両端側に位置する両側部が、蛇腹状に折曲された伸縮壁部405でそれぞれ連結されているので、ポンプ本体103を囲むように覆うことができ、フィルムで形成されたポンプ本体103を保護すると共に、外観を良好にすることができる。
【符号の説明】
【0048】
100、100a、100b、100c、100d フィルム風船用ポンプ
101 フィルム
102 フィルム
103 ポンプ本体
104 空気送出管部
105 空気送出口
106 空気吸引口
107 空気注入管
108 打ち抜き孔
109 両面接着テープ
110、110a 弾性部材
120 ポンプ側弁体
121 連結部
130 両面接着テープ
200、200a、200b、200c、200d フィルム風船
201 フィルム風船本体
202 受け具
203 パイプ状スティック
204 空気注入部
205 風船側弁体
300、300a、300b ポンプ付きフィルム風船
400 カバー部材
401、402 板部
403 連結部
404 挿出孔
405 伸縮壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16