(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087813
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】運動補助具
(51)【国際特許分類】
A63B 71/08 20060101AFI20240624BHJP
A61H 3/00 20060101ALI20240624BHJP
A61F 5/02 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A63B71/08 Z
A61H3/00 B
A61F5/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023223877
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2022212914
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
2.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】595044328
【氏名又は名称】池田 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】池田 俊幸
【テーマコード(参考)】
4C046
4C098
【Fターム(参考)】
4C046AA25
4C046AA42
4C046BB08
4C046BB09
4C046DD06
4C046DD25
4C046DD39
4C046DD41
4C046DD42
4C046FF02
4C098AA03
4C098BB11
4C098BB12
4C098BC02
4C098BC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】脳血管障害並びに事故などが原因で尖足痲痺を発症した人々に、これまでにリハビリ現場で汎用化されて来なかった足首を固定しない装具の選択肢を提供して、個々の症状に照らして好適な装具を処方する医療システムを創造する。
【解決手段】各種のセパレート式、あるいは一体型の膝上サポーター1の脛上部前面にポケット様のパーツを設けプラスチックや樹脂、ウレタン製のパッド4を内蔵した膝上サポーター1を締め付けベルト3やマジックテープで補強して張力の起点とし、各種連結具で靴並びに孔付きサンダル、専用の靴用連結具8に弾性体5の先に取り付けた各種ナスカンやアタッチメントで連結する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尖足麻痺患者の尖足位に戻ろうとする強力な抵抗力に耐えて足関節を背屈位に保持する機能と脳への促通、並びに膝の障害に伴うぐらつき防止機能を網羅した歩行補助具にあって、セパレートや一体型、筒状及びベルクロタイプの様々な仕様と素材で成形された膝上から下腿をカバーするサポーター1並びにタイツの脛上部にポケット様の収納パーツ2を設け、プラスチックや樹脂並びにウレタンで成形されたパッド4を内蔵して、パッドの上部に弾性体をストッパーで固定して補強ベルトやマジックベルトで締め付けて張力の起点とし、様々なタイプの紐靴に専用の連結プレート8、あるいは、爪先寄りの部分にピン7を通してリング6を取り付けた加工を施した連結装置に各種ナスカン連結することを特徴とする運動補助具
【請求項2】
加齢や疾病などが原因で脚がもつれ、ゴルフやウオーキング、卓球などのスポーツの継続を諦める狭間にいる人々の運動継続を支援、あるいは、ゴルフの新しい概念の上達法を提供するシューズにあって、請求項1の運動補助具を連結する上でより安全性や効率を高める手段としてシューズのタン並びに甲の部分に連結プレート8を収納する袋仕様のパーツを強度の耐性を備えた各種素材で設置したことを特徴とする運動や介護用のシューズ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本出願人発明(特許査定)の、足首を固定しない仕様でありながら脳血管障害などに起因する尖足麻痺患者の尖足位に戻ろうとする強力な抵抗力に耐えて足関節を背屈位に保つサポーター仕様の装具に、機能性を高める為の改良を施すことで100kgクラスの患者にも対応、従来のAFO装具では不十分であった爪先部分の背屈保持を可能にしつつ、同時に変形性膝関節症のぐらつき防止機能を兼備した運動補助具によって発症前歩行を再現して脳の運動神経回路の回復に繋げながら、痲痺の程度に照らして好適な装具処方を可能にする装具をリハビリ現場に提供、更には、ゴルフ愛好家のスコアアップに繋げつつ、加齢や身体にハンデを抱えたことでゴルフを諦めかけている人々に履くだけの簡素な手段でスイングの安定飛距離アップに繋げ、ゴルフ寿命を延ばす福祉及び運動支援用途を兼ねた改良特許用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の尖足痲痺対応の治療用装具としては足首をプラスチック並びに靴と金属が一体となった装具で固定するAFO装具、足首を固定しない仕様では本出願人発明の運動補助具があった。また、変形性膝関節症では両サイドに芯材を取り付けたサポーターで固定する装具が常態的に処方されてきた。
片麻痺患者の症状固定の壁を越える治療法として大型の器機によって脳に信号を送り発症前の動きを再現して脳神経の機能回復に繋げるBMI療法が先端技術として注目されている。尚、尖足痲痺患者の短下肢装具は選択肢が限られており患者の要望と提供する医療側との間に隔たりがあった。そして、尖足痲痺患者に多くみられる膝折れ現象(反張膝)をセットで解消する福祉用具、並びに足首の踏ん張り機能低下に着目したゴルフシューズは、これまでに汎用化に至ってなかった。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】本件出願人の特許査定 特願2020-043519
【非特許文献1】田村式義肢制作工業所 https://www.tamurashiki-gishi.com/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は本出願に当たり自らが発明(特許査定)した足首を固定しない仕様の歩行補助具を使って、400名以上の尖足痲痺患者などの歩行困難者にモニターを実施、また、実際に使っているユーザー並びに片麻痺患者が集まる情報交換サイトで短下肢装具に関する声を集約した。その結果、現状の尖足マヒリハビリ医療で処方される治療用装具には改善すべきいくつかの課題が、また、本出願人発明の装具は多数名(50名以上)の歩行困難者に高く評価されたが、それでも尚、改良の余地がある事が判明した。
以下、判明した課題並びに新しい支援機能を列記する。
第1:半年経過症状固定を告げられる課題
脳血管障害で片麻痺になると多くのケースで半年が経過するとそれ以降の症状の改善は見込めないとして症状固定を告げられることが未だに常態化している。
第2:尖足痲痺の程度に照らして患者個々に好適な装具が処方されて来なかった課題
尖足痲痺患者の中には痲痺の程度が軽く、足首を固定すると逆に歩き難いと訴える人少なくないが医師から処方される装具は足首を固定するAFO装具限定が常態化していた。
第3:全身状態を診て装具を処方する医療文化が共有されてこなかった課題
尖足痲痺患者がAFO装具を装着した暮らしを長期間過ごすと、非痲痺側の膝関節への負荷の蓄積で健常者に比べて経年劣化が加速する、あるいは慢性の腰痛や首の障害などの発症リスクが高まることが報告されているが、全身症状を診て装具を処方するリハビリ医療は共有されてこなかった。
第4:階段や段差並びに坂道の上り下り支援が不十分な課題
尖足痲痺を発症すると階段や段差の上り下りが困難になって手すりに掴まって横向きで上り下りするようになる症例が多いが、その課題解消が十分には成されてこなかった。
第5:足関節の拘縮対策が不十分であった課題
尖足痲痺を発症して足首を尖足痲痺になって足首を固定する装具を使用するようになると、徐々に進行する足首の拘縮が患者の悩みなっているが、足関節拘縮の自力リハビリは難しく専門の治療家に頼る課題があった。
第6:足首の背屈保持と膝関節の膝折れをセットで対策する装具不在の課題
尖足痲痺を発症して足首を固定するAFO装具を装着して歩くと、膝折れ現象(反張膝)が患者を悩ませているが、尖足痲痺と膝折れ現象対策を網羅する装具は共有されずに来た。
第7:本出願人の発明した装具もってしてもずれ落ちる課題
本出願人が発明した装具は100kgを超える人がバレーボールやバスケットなど、ジャンプ並びにフットワークを繰り返すスポーツでもずり落ちない耐性を発揮するが、尖足痲痺患者ではふくらはぎの筋肉萎縮で柔らかくなってずれ落ちる課題が判明した。
第8:マジックテープ仕様の靴に足首を固定しない装具を連結する課題
本出願人が発明した足関節を固定しない仕様の装具は50名を超える尖足痲痺患者から高い評価を受けてユーザーも続々と増えている中で、片麻痺患者の多くが片手を使えない為に紐靴の使用が困難でありベルクロ仕様の靴に連結出来る連結具が必用であった。
第9:AFO装具が爪先の引っ掛かりへのアプローチが不十分であった課題
従来のAFO装具は足関節の背屈位保持を主目的としたもので、多くの患者から爪先を引っかかるとの声が多く上がっていた。
第10:加齢や疾病でハンデを抱えるゴルフ愛好家のプレー寿命を延ばすゴルフシューズが汎用化されて来なかった課題
脳血管障害や脊柱管狭窄症等で腓骨神経に障害を来すと前脛骨筋の働きが低下、立位での足首の固定機能が衰え左脚の軸が出来ずインパクト時に身体が上下動して、スイングが安定せず飛距離も落ちてしまうことがゴルフを諦める原因になることが判明したが、これまでに前脛骨筋の踏ん張り機能に着目したゴルフシューズは汎用化されずに現在に至る。
【課題を解決する為の手段】
【0005】
各種のセパレート式、あるいは一体型の膝上サポーター1の脛上部前面にポケット様のパーツを設けプラスチックや樹脂、ウレタン製のパッド4を内蔵した膝上サポーター1を締め付けベルト3やマジックテープで補強して張力の起点とし、各種連結具で靴並びに孔付きサンダル、専用の靴用連結具8に弾性体5の先に取り付けた各種ナスカンやアタッチメントで連結する。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては脛当てパッドを内蔵した膝上サポーター1が張力の起点となって、尖足痲痺患者の尖足位に戻ろうとする強力な弾性体の張力に耐えてずり落ちずに歩行中の足関節を背屈位に保持する張力の起点となりながら、同時に膝関節のぐらつきを防止出来る。また、対応の加工6.7を施すと片麻痺患者の多くが履いているマジクテープ仕様の靴にも連結出来て尚、連結リングを爪先寄りに設置して爪先の効率的な引き上げを可能にする。更に、従来のAFO装具では難しかった両脚装着を簡便にする。
【0007】
本発明はこのような構成である事からこれまで限定的であった尖足痲痺患者の装具選びに、足首を固定しない新たな選択肢を提供する医療文化の創造に繋げる。
【0008】
本発明は尖足痲痺や変形性膝関節症の歩行支援だけでなく、スポーツや事故による膝関節の靱帯並びに半月板損傷などの歩行と運動を支援する用具として広く汎用化が可能である。
【0009】
本発明は加齢や疾病などが原因で脚の踏ん張りが利かなくなったことでプレーの多幸感が薄れゴルフを諦めかけている人々に、履くだけの簡便な方法でスイングとスコアの安定、飛距離の伸びるゴルフシューズを提供、ゴルフ寿命を延ばしてゴルフ人口を維持、延いてはゴルフ事業に関わる人々の暮らしの安寧、国民の健康寿命増進を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】 装具をシューズに連結して装着した正面図である。
【
図2】 爪先寄りにピン7とリング6で設置した連結装置を上から見た図である。
【
図3】 連結プレート8をタンに収納する加工9を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について発明が解決しようとする課題の項で列記した各課題に対する具体的解決手段を▲1▼:400名以上のモニター、▲2▼:50名程のハードユーザーの声、▲3▼:30名程の数値化エビデンスを基に解説する。
第1:半年経過で症状固定を告げられる課題
多数名の尖足痲痺ユーザーから発症前行に近い歩行態様を再現したことで、脳に促通が起き歩行機能だけでなく手先の技工性も回復したとの報告が多数あった。つまり、装着して歩くだけで脳の神経回路の回復を促し脳血管障害で傷ついた脳細胞は半年を経過すると、それ以降の症状回復が見込めないとするリハビリ医療の常識を覆す革新である。
第2:尖足痲痺の程度に照らして患者個々に好適な装具が処方されて来なかった課題
本発明がリハビリ医療に導入されると、軽度痲痺では足首を固定しない仕様、中程度の痲痺では状況によって併用、重度痲痺では組み合わせるなど、個々の症状に照らして細やかな処方の選択肢が出来上がる。
第3:全身状態を診て装具を処方するリハビリ医療が共有されてこなかった課題
本発明がリハビリ医療に導入されると柔らかいサポーターの特性が両脚装着を可能にすることで、左右の傾きが改善されて歩行姿勢が良くなり、結果として腰痛、痲痺側の膝の軟骨の消耗の加速を抑制出来る等患者の全身状態を診る医療の提供が可能になる
第4:階段や段差並びに坂道の上り下り支援が不十分な課題
尖足痲痺を発症した患者に本発明を患肢及び両下肢に装着したところ、ほぼ全員から階段の乗り下りが前を向いて出来るようになった。踏ん張りが利いて恐怖心が薄れたとの報告があった。それを裏付ける手段としてストップウオッチ並びにメジャーによる数値化エビデンス取得を、理学療法士及び機能訓練管理士立ち合いの元で実施した。
実施期間2022年3月~2023年11月 場所池田接骨院 三宿病院 他
第5:足関節の拘縮進行の対策が不十分であった課題
本発明のユーザーには歩行支援用途に意外にも、本発明の機能を活かして足関節の拘縮並びに足ユビ握り込み改善の自力リハビリを習慣にして効果を出している患者も多い。
第6:足首の背屈保持と膝関節の膝折れをセットで対策する装具不在の課題
本発明は片麻痺患者の歩行中の足関節背屈保持と、膝関節の膝折れ現象の防止を網羅した装具であり、尖足痲痺並びに変形症膝関節症の転倒リスクの軽減に繋がることが判明した。
第7:本出願人の発明した装具もってしてもずれ落ちる課題
実施検証の結果サポーターを膝上仕様にすることでサポーターの接触面積が広くなって、摩擦係数が高まりずれ落ち難くなることが判明した。
第8:マジックテープ仕様の靴に足首を固定しない仕様の装具を連結する課題
尖足痲痺患者が多く使用するマジックテープ仕様の靴に弾性体を繋げ、爪先を上げる手段としてピン7とリング6を組み合わせた加工法を開発、歩行支援機能向上が判明した
第9:AFO装具が爪先部分へのアプローチが不十分であった課題
重度尖足マヒの患者に本発明の上にAFO装具を装着して歩行して歩いて頂いたところ、爪先の引っ掛かりが解消されて歩行態様が大きく改善したことの報告があった。
第10:加齢や疾病が原因でゴルフを諦める人々を支援するゴルフシューズが汎用化されて来なかった課題
本発明を脳血管障害の後遺症で足腰の安定機能が衰えたユーザーが試し打ちをしたところ足腰のぶれが解消して飛距離も大きく伸びたとの報告を受け、人体工学の見地から実施検証を行った。脳血管障害や脊柱管狭窄症などの疾病抱える人の特徴として片脚立ちが困難になるのだが、そのメカニズムは立位でふくらはぎの筋肉と乗馬の手綱機能で足首を固定する前脛骨筋の機能が低下してバランス保持が困難になる。
そうなると、スイングの安定や飛距離アップに不可欠な左脚の軸つくりが出来難くなって、プレーの多幸感も薄れ結果的にゴルフ人生を諦める一因となっていた。そこで、本発明では足関節を固定しない仕様の装具を装着してゴルフシューズに連結するだけの簡便な手段で、弾性体5が前脛骨筋の機能を補って足首のぐらつきを解消、スイングの安定や飛距離アップに継がる為にプレーの意欲が高まりゴルフ寿命の増進にが期待できる。
尚、この効果は身体にハンデの無い一般ゴルファーのスコアアップにも繋がるので、これまでになかったゴルフ上達法としての汎用化が見込める。
以下、本発明のベースである足関節フリー装具に出会って大きく人生が好転した一部ユーザーから寄せられたコメントを紹介する。
【符号の説明】
【0007】
1 サポーター
2 ポケット仕様のパッド収納袋
3 締め付けベルト
4 前面パッド
5 弾性連結体
6 リング
7 ピン
8 専用連結プレート
9 タンへの連結プレート収納加工