(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087824
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】吸水処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240625BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240625BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A01K1/01 801B
A61F13/53 300
A61F13/15 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202695
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
3B200
【Fターム(参考)】
2B101AA00
2B101CA06
3B200BA01
3B200BB17
3B200BB18
3B200DF02
3B200DF03
3B200EA05
(57)【要約】
【課題】時間が経っても変色後の粒状体の色が目立ちやすい吸水処理材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】吸水処理材1は、液体を吸収する吸水処理材である。吸水処理材1は、吸水性を有する粒状体10を備えている。粒状体10は、液体を吸収すると変色する吸水性ポリマーを含有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸水処理材であって、
吸水性を有する粒状体を備え、
前記粒状体は、前記液体を吸収すると変色する吸水性ポリマーを含有することを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記粒状体に占める前記吸水性ポリマーの重量割合は、1%以上10%以下である吸水処理材。
【請求項3】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記粒状体は、粒状の芯部と、前記芯部を覆う被覆部とを有する吸水処理材。
【請求項4】
請求項3に記載の吸水処理材において、
前記吸水性ポリマーは、前記芯部及び前記被覆部のうち当該被覆部にのみ含有されている吸水処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記吸水性ポリマーは、水分と反応する色素材料を含有する吸水処理材。
【請求項6】
請求項5に記載の吸水処理材において、
前記色素材料は、水分と反応して第1の色を呈する第1の色素材料と、水分と反応して前記第1の色と異なる第2の色を呈する第2の色素材料とを含む吸水処理材。
【請求項7】
請求項5に記載の吸水処理材において、
前記吸水性ポリマーに占める前記色素材料の重量割合は、1%以上10%以下である吸水処理材。
【請求項8】
請求項5に記載の吸水処理材において、
前記色素材料は、染料である吸水処理材。
【請求項9】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体は、有機物を主材料とする吸水処理材。
【請求項10】
請求項9に記載の吸水処理材において、
前記粒状体は、有機物のみからなる吸水処理材。
【請求項11】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
当該吸水処理材は、動物の排泄物を吸収する排泄物処理材である吸水処理材。
【請求項12】
液体を吸収する吸水処理材を製造する方法であって、
前記液体を吸収すると変色する吸水性ポリマーを準備する準備工程と、
吸水性を有し、前記吸水性ポリマーを含有する粒状体を形成する粒状体形成工程と、
を含むことを特徴とする吸水処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記粒状体に占める前記吸水性ポリマーの重量割合が1%以上10%以下となるように、当該粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程は、粒状の芯部を形成する芯部形成工程と、前記芯部を覆う被覆部を形成する被覆部形成工程とを含む吸水処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記芯部形成工程においては、前記吸水性ポリマーを含有しない前記芯部を形成し、
前記被覆部形成工程においては、前記吸水性ポリマーを含有する前記被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項12乃至15の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記準備工程においては、水分と反応する色素材料を含有する当該吸水性ポリマーを準備する吸水処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記色素材料は、水分と反応して第1の色を呈する第1の色素材料と、水分と反応して前記第1の色と異なる第2の色を呈する第2の色素材料とを含む吸水処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記吸水性ポリマーに占める前記色素材料の重量割合は、1%以上10%以下である吸水処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項16に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記色素材料は、染料である吸水処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項12乃至15の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物を主材料とする前記粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物のみからなる前記粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項22】
請求項12乃至15の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記吸水処理材は、動物の排泄物を吸収する排泄物処理材である吸水処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吸収する吸水処理材、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸水処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された吸水処理材は、液体を吸収する複数の粒状体を備えている。複数の粒状体の一部は、粒状の芯部、及び芯部を覆う被覆部を有している。被覆部には、接着性材料に加えて、水分と反応する色素材料が含有されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の吸水処理材においては、液体を吸収したときに粒状体(被覆部を有する粒状体)が変色する。それにより、使用済みの粒状体と、未使用の粒状体とを視覚的に区別できるようになる。しかしながら、液体を吸収してから時間が経つと、色素材料が乾燥し、変色後の粒状体の色が目立たなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、時間が経っても変色後の粒状体の色が目立ちやすい吸水処理材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸水処理材は、液体を吸収する吸水処理材であって、吸水性を有する粒状体を備え、上記粒状体は、上記液体を吸収すると変色する吸水性ポリマーを含有することを特徴とする。
【0007】
この吸水処理材においては、液体を吸収すると変色する吸水性ポリマーを含有する粒状体が設けられている。このため、液体を吸収したときに粒状体を変色させることができる。しかも、吸水性ポリマーは、液体を長時間保持する性質を有している。これにより、変色後の粒状体の色を長時間にわたって維持することが可能となる。
【0008】
また、本発明による吸水処理材の製造方法は、液体を吸収する吸水処理材を製造する方法であって、上記液体を吸収すると変色する吸水性ポリマーを準備する準備工程と、吸水性を有し、上記吸水性ポリマーを含有する粒状体を形成する粒状体形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、液体を吸収すると変色する吸水性ポリマーを含有する粒状体が形成される。このため、製造後の吸水処理材においては、液体を吸収したときに粒状体を変色させることができる。しかも、吸水性ポリマーは、液体を長時間保持する性質を有している。これにより、変色後の粒状体の色を長時間にわたって維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、時間が経っても変色後の粒状体の色が目立ちやすい吸水処理材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、処理対象となる液体を吸収する吸水処理材である。吸水処理材1は、排泄物(主に尿)を吸収する排泄物処理材である。排泄物処理材は、猫や犬等の動物の排泄物を吸収する動物用の排泄物処理材であってもよいし、人の排泄物を吸収する人用の排泄物処理材であってもよい。吸水処理材1は、複数の粒状体10を備えている。吸水処理材1は、例えば、複数の粒状体10が箱状のトイレに敷設された状態で使用される。
【0014】
各粒状体10は、吸水性を有しており、液体を吸収することにより当該液体を処理する。すなわち、各粒状体10は、その内部に液体を取り込んで保持する。粒状体10が吸水性を有するというには、次の試験により測定される吸水率が40%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体10(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。滴下した水量(30ml)から計測された水量を引いた値の、滴下した水量に対する割合をもって吸水率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml以下であれば、吸水率が40%以上となるため、粒状体10が吸水性を有するといえる。
【0015】
各粒状体10は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体10の粒径は、例えば、5mm以上30mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、当該粒状体10を内包し得る最小の球の直径として定義される。各粒状体10は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体10の主材料とは、粒状体10を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。各粒状体10は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0016】
図2は、粒状体10を示す模式図である。各粒状体10は、芯部12、及び被覆部14を有している。芯部12は、粒状をしている。詳細には、芯部12は、粒状に成形された造粒物である。芯部12は、液体を吸収及び保持する機能を有する。芯部12は、吸水性材料を含有している。芯部12は、吸水性材料を主材料としている。ここで、芯部12の主材料とは、芯部12を構成する1又は2以上の材料(芯部材料)のうち、当該芯部12に占める重量割合が最大のものをいう。芯部12は、吸水性材料のみからなってもよいし、吸水性材料と他の材料とからなってもよい。吸水性材料は、有機物であることが好ましい。有機物である吸水性材料としては、例えば、紙類、植物類、プラスチック類、又は有機汚泥類が挙げられる。
【0017】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙(紙粉)の他にも、フラッフパルプ、塩ビ壁紙由来の紙(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生する紙)、石膏ボード由来の紙(石膏ボードの製造時又は分級時に発生する紙)、又は衛生用品由来の紙(紙を含む衛生用品の製造時又は分級時に発生する紙)を用いることができる。紙を含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生用紙(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等)が挙げられる。植物類としては、例えば、木粉、大鋸屑、又は植物性残渣(茶殻、オカラ等)を用いることができる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、塩ビ壁紙由来のプラスチック(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生するプラスチック)、又は衛生用品由来のプラスチック(プラスチックを含む衛生用品の製造時又は分級時に発生するプラスチック)を用いることができる。プラスチックを含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生マスクが挙げられる。有機汚泥類としては、例えば、製紙スラッジ、又はパルプスラッジを用いることができる。
【0018】
被覆部14は、芯部12を覆っている。被覆部14は、各芯部12の表面の全体を覆っていてもよいし、各芯部12の表面の一部のみを覆っていてもよい。被覆部14は、接着性材料を含有しており、使用時に液体を吸収した粒状体10どうしを接着させて固まりにする機能(固まり形成機能)を有する。被覆部14も、吸水性材料を主材料としている。ここで、被覆部14の主材料とは、被覆部14を構成する1又は2以上の材料(被覆材料)のうち、当該被覆部14に占める重量割合が最大のものをいう。被覆部14に含有される吸水性材料も、有機物であることが好ましい。
【0019】
粒状体10は、吸水性ポリマー16を含有している。吸水性ポリマー16は、液体を吸収すると変色するように構成されている。ここで、「変色」には、液体を吸収する前後で、吸水性ポリマー16の色相が変化する場合に限らず、例えば淡青色から濃青色に変化する場合のように同一の色相の濃淡が変化する場合も含まれる。また、吸水性ポリマー16における着色された領域が変化する場合(例えば、液体の吸収前には着色されていなかった領域が吸収後に着色された場合)も、「変色」に含まれる。
【0020】
吸水性ポリマー16は、水分と反応する色素材料を含有している。色素材料は、水分と反応して所定の色(例えば、青色、赤色、緑色等)を呈する。それにより、吸水性ポリマー16が当該色に変色する。色素材料は、吸水性ポリマー16に担持された状態で粒状体10に含有されており、粒状体10における吸水性ポリマー16以外の部分には直接含有されていない。吸水性ポリマー16に占める色素材料の重量割合は、1%以上10%以下であることが好ましい。色素材料としては、例えば、染料又は顔料を用いることができる。粒状体10に占める吸水性ポリマー16の重量割合は、1%以上10%以下であることが好ましい。
【0021】
本実施形態において吸水性ポリマー16は、芯部12及び被覆部14のうち被覆部14にのみ含有されている。吸水性ポリマー16は、上述の接着性材料に該当する。吸水性ポリマー16には、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーを用いることができる。粒状体10は、吸水性ポリマー16に加えて、通常の吸水性ポリマー(液体を吸収しても変色しない吸水性ポリマー)を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。また、粒状体10は、吸水性ポリマー(吸水性ポリマー16及び通常の吸水性ポリマー)以外の接着性材料を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。かかる接着性材料としては、例えば、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、又はデキストリンが挙げられる。
【0022】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、準備工程、及び粒状体形成工程を含んでいる。
【0023】
準備工程は、吸水性ポリマー16を準備する工程である。準備工程においては、通常の吸水性ポリマーに色素材料を含有させることにより吸水性ポリマー16を形成してもよいし、色素材料が予め含有された吸水性ポリマーを吸水性ポリマー16として調達してもよい。
【0024】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。粒状体形成工程は、芯部形成工程、及び被覆部形成工程を含んでいる。芯部形成工程は、芯部12を形成する工程である。芯部形成工程においては、造粒装置を用いて芯部材料を造粒することにより、芯部12となる複数の造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0025】
被覆部形成工程は、被覆部14を形成する工程である。被覆部形成工程においては、コーティング装置等を用いて、各芯部12の表面に粉体状の被覆材料を付着させることにより、被覆部14を形成する。被覆材料は、準備工程において準備された吸水性ポリマー16を含んでいる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。その後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる吸水処理材1が得られる。
【0026】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、液体を吸収すると変色する吸水性ポリマー16を含有する粒状体10が形成される。このため、吸水処理材1においては、液体を吸収したときに粒状体10を変色させることができる。しかも、吸水性ポリマーは、液体を長時間保持する性質を有している。これにより、変色後の粒状体10の色を長時間にわたって維持することが可能となる。したがって、時間が経っても変色後の粒状体10の色が目立ちやすい吸水処理材1、及びその製造方法が実現されている。
【0027】
吸水性ポリマー16の含有量が多い方が、粒状体10の変色を視認しやすくなる。かかる観点から、粒状体10に占める吸水性ポリマー16の重量割合は、1%以上であることが好ましい。他方、吸水性ポリマー16の含有量が多いと、吸水処理材1の製造コストの増大につながってしまう。かかる観点から、当該重量割合は、10%以下であることが好ましい。
【0028】
各粒状体10は、芯部12及び被覆部14を有している。この場合、芯部12及び被覆部14に別々の機能を担わせることができる。実際、本実施形態においては、吸水・保水機能を主に芯部12に担わせ、固まり形成機能を被覆部14に担わせている。
【0029】
吸水性ポリマー16は、芯部12及び被覆部14のうち被覆部14にのみ含有されている。このように粒状体10の外部から視認しにくい芯部12には吸水性ポリマー16を設けないことにより、吸水性ポリマー16の使用量を節約することができる。
【0030】
吸水性ポリマー16は、水分と反応する色素材料を含有している。これにより、液体を吸収したときに変色する吸水性ポリマー16を容易に実現することができる。
【0031】
色素材料の含有量が多い方が、吸水性ポリマー16の変色を視認しやすくなる。かかる観点から、吸水性ポリマー16に占める色素材料の重量割合は、1%以上であることが好ましい。他方、色素材料の含有量が多いと、吸水処理材1の製造コストの増大につながってしまう。かかる観点から、当該重量割合は、10%以下であることが好ましい。
【0032】
色素材料として染料を用いた場合、水分と反応しやすい色素材料を容易に実現することができる。
【0033】
各粒状体10が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。このことは、使用済みの粒状体10の処分の便宜に資する。特に各粒状体10が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体10を得ることができる。
【0034】
吸水処理材1が動物の排泄物を吸収する排泄物処理材である場合、ユーザ(動物の飼主等)が見ていないときに動物が吸水処理材1上に排泄することがある。このとき、ユーザは、排泄から暫くした後にその事実に気づくのが通常である。このため、時間が経っても変色後の粒状体10の色が目立ちやすい吸水処理材1が特に有用となる。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、吸水性ポリマー16が1種類の色素材料のみを含有する場合を例示した。しかし、吸水性ポリマー16は、2種類以上の色素材料を含有していてもよい。例えば、当該色素材料は、水分と反応して第1の色を呈する第1の色素材料、及び水分と反応して第1の色と異なる第2の色を呈する第2の色素材料を含んでいてもよい。第1及び第2の色は、色相が相異なる。このように吸水性ポリマー16に第1及び第2の色素材料を含有させた場合、液体を吸収した吸水性ポリマー16が第1及び第2の色の混色を呈するようにすることができる。例えば、第1及び第2の色がそれぞれ青色及び赤色である場合、それらの混色は紫色である。これにより、液体を吸収する前後で色相が変化する吸水性ポリマー16を容易に実現することができる。
【0036】
上記実施形態においては、各粒状体10が、芯部12及び被覆部14からなる複層構造(二層構造)を有する場合を例示した。しかし、被覆部14を設けることは、必須でない。すなわち、各粒状体10は、被覆されていない造粒物(芯部12)のみからなる単層構造を有していてもよい。その場合、被覆材料が不要となるため、吸水処理材1の製造コストを削減することができる。
【0037】
上記実施形態においては、吸水処理材1が排泄物処理材である場合を例示した。しかし、吸水処理材1は、嘔吐物を吸収する嘔吐物処理材、又は生ゴミ(生ゴミに含まれる水分)を吸収する生ゴミ処理材であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 吸水処理材
10 粒状体
12 芯部
14 被覆部
16 吸水性ポリマー