(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008786
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240112BHJP
【FI】
G05D1/02 J
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182909
(22)【出願日】2022-11-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】202210794447.5
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】宋 子達
(72)【発明者】
【氏名】李 向前
(72)【発明者】
【氏名】林 恩徳
(72)【発明者】
【氏名】房 寛達
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲チィー▼
(72)【発明者】
【氏名】庄 宇飛
(72)【発明者】
【氏名】尚 超
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA03
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF06
5H301GG09
5H301GG14
5H301GG16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法及びシステムを提供する。
【解決手段】最大走査範囲内の各人工ランドマークへの距離を取得し、INSプロセッサによって移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測し、走査装置の走行停止後、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算し、SLAM絞り込み解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの走査装置の距離の第2情報セットを得て、走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算し、SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づき、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法であって、前記走査装置にSLAMプロセッサ及びINSプロセッサが配置され、
走査装置の初期移動位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第1情報セットを取得するステップと、
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測するステップと、
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算するステップと、
前記絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第2情報セットを得るステップであって、前記目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークであるステップと、
前記第1情報セット、前記第2情報セット、及び前記目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するステップと、
SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るステップと、を含むことを特徴とする、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項2】
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測する前記ステップは、
INSプロセッサによって移動軌跡を解析し、移動後の走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するステップと、
前記3次元座標移動変化量セット及び初期移動位置の座標パラメータに基づいて、予め設定された第1の式を利用して走査装置の停止時の予測位置座標パラメータを計算するステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項3】
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算する前記ステップは、
走査装置の予測停止座標パラメータに基づいて走査装置の移動前後の有効移動走査オーバーラップ領域を計算し、人工ランドマークの座標パラメータに基づいて有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークを目標解析計算ランドマークとして決定するステップと、
走査装置の予測停止座標パラメータ及び目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAM解析計算範囲を絞り込むステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項4】
前記絞り込みSLAM解析計算範囲が目標解析計算ランドマークを含まない場合、目標解析計算ランドマークを含むまで解析計算範囲を徐々に拡大するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項5】
下記式を用いてINSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
(ただし、(Dx
1,Dy
1,Dz
1)は走査装置の移動後の測位座標パラメータであり、(DIx
1,DIy
1,DIz
1)はINSで解析して計算した走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットであり、(DSx
1,DSy
1,DSz
1)はSLAMで解析して計算した走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットであり、mはINSプロセッサの精度係数であり、nはSLAMプロセッサの精度係数であり、(Dx
0,Dy
0,Dz
0)は走査装置の初期移動位置の座標パラメータである。)
【請求項6】
トンネルに予め配設された人工ランドマークの座標パラメータを取得するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項7】
トンネルに予め配設された人工ランドマークの座標パラメータを取得する前記ステップは、
トンネルにおいて、予め設定された配設規則に従って、トンネルラインに沿って人工ランドマークを配設するステップと、
走査装置の初期位置を基点とし、走査装置のトンネルラインに沿った進行方向をY座標軸として工学座標を確立するステップと、
各人工ランドマークの前記工学座標下の3次元位置パラメータを測定により決定し、各人工ランドマークと前記3次元位置パラメータをバインディングし、各人工ランドマークの座標パラメータを決定するステップと、を含むことを特徴とする、請求項6に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項8】
トンネル施工に適用する走査装置の移動測位システムであって、
走査装置の初期移動位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第1情報セットを取得するための第1取得モジュールと、
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測するための座標予測モジュールと、
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算するための範囲絞り込みモジュールと、
前記絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第2情報セットを得るための解析処理モジュールであって、前記目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークである解析処理モジュールと、
前記第1情報セット、前記第2情報セット、及び前記目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するための座標計算モジュールと、
SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るための測位座標モジュールと、を含むことを特徴とする、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位システム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されていることを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項10】
互いに通信可能に接続されたメモリとプロセッサを含み、前記メモリにコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することにより、請求項1~7のいずれか1項に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法を実行することを特徴とする、コンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事トンネル施工の技術分野に関し、具体的には、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トンネル施工の情報化、デジタル化に伴い、3次元レーザ走査技術はトンネル工事に広く応用されており、例えば移動プラットフォームに基づく3次元レーザ走査装置は非接触のトンネル3次元モデリング、施工量推定、変形監視、オーバーアンダー掘削解析などの機能を実現することができ、高効率、高精度、自動化などの複数の利点を有する。トンネル工事のトンネルラインが長いため、3次元レーザ走査装置はトンネル内を走査するのにトンネル内を走行移動しなければならず、走査装置の移動測位データ及び精度はその機能の実現効果及び精度に直接影響する。そのため、現在のトンネル施工には、どのように3次元レーザ走査装置又は車両の高精度移動測位を解決するかという実用上の課題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術では3次元レーザ走査装置又は車両の高精度移動測位を解決しにくいという実用上の欠陥を解決することにより、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る技術的解決手段は以下のとおりである。
【0005】
第1態様によれば、本発明の実施例は、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法であって、
前記走査装置にSLAMプロセッサ及びINSプロセッサが配置され、
走査装置の初期移動位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第1情報セットを取得するステップと、
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測するステップと、
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算するステップと、
前記絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第2情報セットを得るステップであって、前記目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークであるステップと、
前記第1情報セット、前記第2情報セット、及び前記目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するステップと、
SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るステップと、を含むトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法を提供する。
【0006】
選択的に、走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測する前記ステップは、
INSプロセッサによって移動軌跡を解析し、移動後の走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するステップと、
前記3次元座標移動変化量セット及び初期移動位置の座標パラメータに基づいて、予め設定された第1の式を利用して走査装置の停止時の予測位置座標パラメータを計算するステップと、を含む。
【0007】
選択的に、走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算する前記ステップは、
走査装置の予測停止座標パラメータに基づいて走査装置の移動前後の有効移動走査オーバーラップ領域を計算し、人工ランドマークの座標パラメータに基づいて有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークを目標解析計算ランドマークとして決定するステップと、
走査装置の予測停止座標パラメータ及び目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAM解析計算範囲を絞り込むステップと、を含む。
【0008】
選択的に、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法は、前記絞り込みSLAM解析計算範囲が目標解析計算ランドマークを含まない場合、目標解析計算ランドマークを含むまで解析計算範囲を徐々に拡大するステップをさらに含む。
【0009】
選択的に、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法は、下記式を用いてINSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るステップをさらに含む。
【0010】
【数1】
(ただし、(Dx
1,Dy
1,Dz
1)は走査装置の移動後の測位座標パラメータであり、(DIx
1,DIy
1,DIz
1)はINSで解析して計算した走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットであり、(DSx
1,DSy
1,DSz
1)はSLAMで解析して計算した走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットであり、mはINSプロセッサの精度係数であり、nはSLAMプロセッサの精度係数であり、(Dx
0,Dy
0,Dz
0)は走査装置の初期移動位置の座標パラメータである。)
【0011】
選択的に、トンネルに予め配設された人工ランドマークの座標パラメータを取得するステップをさらに含む。
【0012】
選択的に、トンネルに予め配設された人工ランドマークの座標パラメータを取得する前記ステップは、
トンネルにおいて、予め設定された配設規則に従って、トンネルラインに沿って人工ランドマークを配設するステップと、
走査装置の初期位置を基点とし、走査装置のトンネルラインに沿った進行方向をY座標軸として工学座標を確立するステップと、
各人工ランドマークの前記工学座標下の3次元位置パラメータを測定により決定し、各人工ランドマークと前記3次元位置パラメータをバインディングし、各人工ランドマークの座標パラメータを決定するステップと、を含む。
【0013】
第2態様によれば、本発明の実施例は、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位システムであって、
走査装置の初期移動位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第1情報セットを取得するための第1取得モジュールと、
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測するための座標予測モジュールと、
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算するための範囲絞り込みモジュールと、
前記絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第2情報セットを得るための解析処理モジュールであって、前記目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークである解析処理モジュールと、
前記第1情報セット、前記第2情報セット、及び前記目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するための座標計算モジュールと、
SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るための測位座標モジュールと、を含むトンネル施工に適用する走査装置の移動測位システムを提供する。
【0014】
第3態様によれば、本発明の実施例は、発明の実施例の第1態様に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0015】
第4態様によれば、本発明の実施例は、互いに通信可能に接続されたメモリとプロセッサを含み、前記メモリにコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することにより、本発明の実施例の第1態様に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法を実行するコンピュータ装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の技術的解決手段は、以下の利点を有する。
本発明に係るトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法は、走査装置の初期移動位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離の第1情報セットを取得するステップと、
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測するステップと、
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算するステップと、
絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの走査装置の距離の第2情報セットを得るステップであって、
目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークであるステップと、第1情報セット、第2情報セット及び目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するステップと、
SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るステップと、を含む。
トンネル施工環境に対し、SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、重み付け解析計算によって走査装置のトンネルにおける移動測位結果を得ることによって、走査装置の移動測位精度を向上させることに役立つ。
【0017】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の記述のために使用される図面を簡単に説明するが、明らかに、以下で説明される図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例におけるトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法の一具体例のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例における人工ランドマークの配設規則の概略図である。
【
図3】本発明の実施例における工学座標の概略図である。
【
図4】本発明の実施例における解析計算範囲の概略図である。
【
図5】本発明の実施例におけるトンネル施工に適用する走査装置の移動測位システムの一具体例の原理を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施例に係るコンピュータ装置の一具体例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の技術的解決手段を明瞭で、完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要とせずに得られた全ての他の実施例は、本発明の特許範囲に属する。
【0020】
なお、本発明の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などで示される方位又は位置関係は図示した方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易にし、且つ説明を簡素化するためにのみ使用され、係る装置又は構成要素が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを指示又は示唆するものではないので、本発明を限定するものとして理解すべきではない。
また、用語「第1」、「第2」、「第3」は説明の目的にのみ使用され、相対的な重要性を指示又は示唆するものではないと理解すべきである。
【0021】
なお、本発明の説明では、特に明確に規定、制限されていない限り、用語「取り付ける」、「連結」、「接続」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接接続、中間媒体を介する間接接続、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明での上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0022】
また、以下に説明される本発明の様々な実施形態に係る技術的特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0023】
本発明の実施例はトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法を提供し、走査装置にSLAMプロセッサ及びINSプロセッサが配置される。
図1に示すように、該トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法は、以下のステップS1~ステップS7を含む。
【0024】
ステップS1:トンネルに予め配設された人工ランドマークの座標パラメータを取得する。
【0025】
具体的な一実施例では、ステップS11~ステップS13によりトンネル内に予め配設された人工ランドマークの座標パラメータを取得する。
【0026】
ステップS11:トンネルにおいて、予め設定された配設規則に従って、トンネルラインに沿って人工ランドマークを配設する。
【0027】
本発明の実施例では、
図2に示すように、人工ランドマークの配設規則は以下のとおりである。
1)人工ランドマークは3つの汎用ボールターゲットの組み合わせであってもよい。3つの汎用ボールターゲットの組み合わせを採用すると、高い3次元レーザ走査測位精度を得ることができる。
2)人工ランドマークの配設範囲は3次元レーザ走査装置のトンネル内の予測動作移動範囲に基づいて決定され、走査装置の移動動作が完了した後、人工ランドマークを回収して再利用することができる。
3)人工ランドマークの配設間隔は3次元レーザ走査装置の有効移動走査オーバーラップA
e内に少なくとも2つ以上の人工ランドマークが存在することを満たすべきである。
4)走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域A
eは、走査装置の任意回の走行移動開始前と停止後に3次元レーザ環境特徴走査を1回ずつ実行し、装置移動前後の2回の有効レーザ走査範囲がオーバーラップする最大領域A
eを指す。
【0028】
ステップS12:走査装置の初期位置を基点とし、走査装置のトンネルラインに沿った進行方向をY座標軸として工学座標を確立する。
【0029】
本発明の実施例では、
図3に示すように、人工ランドマークの配設が完了した後、3次元レーザ走査装置の初期位置を基点とし、走査装置のトンネルラインに沿った進行方向をY座標軸として工学座標系(X,Y,Z)を確立する。該工学座標系下のEコンテンツのi番目の位置の3次元座標のデータ形式を(Ex
i,Ey
i,Ez
i)とする。
【0030】
ステップS13:各人工ランドマークの工学座標下の3次元位置パラメータを測定して決定し、各人工ランドマークと3次元位置パラメータをバインディングし、各人工ランドマークの座標パラメータを決定する。
【0031】
本発明の実施例では、
1)各人工ランドマークの前記工学座標下の3次元位置パラメータを測定して決定し、各人工ランドマークとその位置パラメータをバインディングし、例えばi番目の人工ランドマークの3次元位置パラメータを測定した結果、(Cxi,Cyi,Czi)として決定し、該人工ランドマークと位置パラメータ(Cxi,Cyi,Czi)をバインディングし、バインディング方式はコンピュータシステム又は人工台帳記録などの複数の手段によって行われてもよい。
2)各人工ランドマークはそのY座標パラメータで命名され、例えばi番目の人工ランドマークはCyiと命名される。3)走査装置の初期位置に最も近い人工ランドマークをCy1に設定する。
【0032】
人工環境特徴ランドマークを設けることにより、SLAM方法がトンネル施工環境に適用しないという問題を解決し、人工環境特徴ランドマークの設置がシンプルで、追加の給電装置などの補助的な装置を必要とせず、環境の干渉を受けにくい。
【0033】
ステップS2:走査装置の初期移動位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離の第1情報セットを取得し、第1情報セットはSLAM解析計算に用いられる。
【0034】
具体的な一実施例では、3次元レーザ走査装置の工学座標下の移動開始位置の3次元座標(Dx0,Dy0,Dz0)を測定し、装置によって初期位置の環境特徴をレーザで走査し、解析計算して最大走査範囲内の各人工ランドマーク(Cy1,...)のからの走査装置の3次元レーザ走査距離、方位角度などの関連するSLAM処理パラメータの情報セット(A0)を得て、SLAMプロセッサは情報セット(A0)を記録する。ここでは、情報セット(A0)は第1情報セットである。
【0035】
ステップS3:走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測する。
【0036】
具体的な一実施例では、走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測するステップは、以下のステップS31~ステップS32を含む。
【0037】
ステップS31:INSプロセッサによって移動軌跡を解析し、移動後の走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算する。
【0038】
ステップS32:3次元座標移動変化量セット及び初期移動位置の座標パラメータに基づいて、予め設定された第1の式を利用して走査装置の停止時の予測位置座標パラメータを計算する。
【0039】
本発明の実施例では、3次元レーザ走査装置は、動作要件に応じて、停止するまで移動し、移動中にINSプロセッサによって移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の位置を予測するステップは、具体的には、以下のステップ1とステップ2を含む。
【0040】
ステップ1:INSプロセッサによって移動軌跡を解析し、移動後の走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セット(DIx1,DIy1,DIz1)を計算する。
【0041】
ステップ2:INS解析結果に基づいて、式(1)に従って装置の停止時の予測位置座標パラメータ(Dx1',Dy1',Dz1')を計算する。
【0042】
【0043】
ステップS4:走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算する。
【0044】
具体的な一実施例では、ステップS4は、ステップS41~ステップS43を含む。
【0045】
ステップS41:走査装置の予測停止座標パラメータに基づいて走査装置の移動前後の有効移動走査オーバーラップ領域を計算し、人工ランドマークの座標パラメータに基づいて有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークを目標解析計算ランドマークとして決定する。
【0046】
ステップS42:走査装置の予測停止座標パラメータ及び目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAM解析計算範囲を絞り込む。
【0047】
ステップS43:絞り込みSLAM解析計算範囲が目標解析計算ランドマークを含まない場合、目標解析計算ランドマークを含むまで解析計算範囲を徐々に拡大する。
【0048】
本発明の実施例では、
図4に示すように、3次元レーザ走査装置の移動が停止した後、装置は現在位置の環境特徴をレーザで走査し、前のステップにおけるINS解析によって得られた予測位置座標パラメータ(Dx
1',Dy
1',Dz
1')を利用し、走査装置の絞り込みSLAMの解析計算範囲Ar'を決定する。解析計算範囲が小さいほどSLAM方法の効率が高いため、該ステップはSLAM解析計算効率及び速度を向上させることができる。具体的には、ステップ3~ステップ5を含む。
【0049】
ステップ3:装置の移動後の予測位置(Dx1',Dy1',Dz1')に基づいて、その現在の移動前後の有効移動走査オーバーラップ領域Aeを解析し、人工ランドマークの3次元位置パラメータに基づいて、有効移動走査オーバーラップ領域Ae範囲内の人工ランドマーク(Cy1,...Cyt,t≧1)を目標解析計算ランドマークとして決定する。
【0050】
ステップ4:走査装置の移動後の予測位置及び目標解析計算ランドマーク(Cy1,...Cyt)の座標パラメータに基づいて、SLAM解析計算範囲Ar'を絞り込む。人工ランドマークCy1を例とし、絞り込みSLAM解析計算範囲は、装置の予測位置(Dx1
',Dy1
',Dz1
')とランドマークCy1を結ぶ線を中心線とし、装置の予測位置(Dx1
',Dy1
',Dz1
')とランドマークCy1の距離を半径とし、角度を30°とした扇形領域を指す。
【0051】
ステップ5:装置の予測位置に誤差が存在するため、初めて決定された絞り込みSLAM解析計算範囲が目標解析計算ランドマークを含まない場合(すなわち目標ランドマークの走査データを見つけない)、扇形の半径を0.1m増加させ、角度を10°増加させて1回の増加値とし、目標解析計算ランドマークを含むまで(目標ランドマークの走査データを見つける)解析計算範囲を徐々に拡大する。
【0052】
INS解決手段とSLAM解決手段の統合によって解析計算範囲を絞り込むことで、SLAM測位の計算効率及び計算速度を向上させる。
【0053】
ステップS5:絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの走査装置の距離の第2情報セットを得て、第2情報セットはSLAM解析計算に用いられ、目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークである。
【0054】
具体的な一実施例では、前のステップの絞り込み解析計算範囲Ar'に基づいて、迅速に解析して目標解析計算ランドマークからの装置の3次元レーザ走査距離及び方位角度などの関連するSLAM処理パラメータの情報セット(A1)を得て、SLAMプロセッサは情報セット(A1)を記録する。ここでは、情報セット(A1)は第2情報セットである。
【0055】
ステップS6:第1情報セット、第2情報セット、及び目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算する。
【0056】
具体的な一実施例では、SLAMプロセッサは情報セット(A0)、情報セット(A1)、及び目標解析計算ランドマーク(Cy1,...Cyt)の座標パラメータに基づいて、解析して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セット(DSx1,DSy1,DSz1)を計算する。
【0057】
ステップS7:SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得る。
【0058】
具体的な一実施例では、SLAM及びINS解決手段により計算された走査装置の3次元座標移動変化量を統合し、SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、重み付け解析によって記式(2)に従って走査装置の移動後の正確な測位結果を計算し、3次元座標(Dx1,Dy1,Dz1)の形式で表す。
【0059】
【0060】
ただし、(Dx1,Dy1,Dz1)は走査装置の移動後の測位座標パラメータであり、(DIx1,DIy1,DIz1)はINSで解析して計算した走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットであり、(DSx1,DSy1,DSz1)はSLAMで解析して計算した走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットであり、mはINSプロセッサの精度係数であり、その値はINSプロセッサの測位精度の逆数(測位精度が0.1mである場合、mは値10を取り得る)を取ってもよく、nはSLAMプロセッサの精度係数であり、その値はSLAMプロセッサ測位精度の逆数(測位精度が0.01mである場合、mは値100を取り得る)を取ってもよく、(Dx0,Dy0,Dz0)は走査装置の初期移動位置の座標パラメータである。
【0061】
SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、重み付け解析計算によって走査装置のトンネルにおける移動測位結果を得ることで、走査装置の移動測位精度を向上させることに役立つ。
【0062】
一実施例では、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法は、3次元レーザ走査装置は、動作要件に応じて、次のステップ、すなわち停止するまで移動し、この間、上記S2からS7のステップを繰り返し、走査装置の次のステップの位置座標(Dx2,Dy2,Dz2)を得るステップS8をさらに含む。
【0063】
具体的な一実施例では、INSプロセッサによって移動軌跡を解析して走査装置の移動後の予測位置座標パラメータ(Dx2'、Dy2'、Dz2')を計算し、その後、有効移動走査オーバーラップ領域に基づいて解析計算ランドマークを決定し、続いてSLAM解析計算範囲を絞り込む。走査装置の移動が停止した後に現在位置の環境特徴をレーザで走査し、絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて迅速に解析して、解析計算対象となるランドマークからの装置の3次元レーザ走査距離及び方位角度などの関連するSLAM処理パラメータの情報セット(A2)を得て、SLAMプロセッサは情報セット((A1)及び情報セット(A2)に基づいて、解析して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算し、SLAM解決手段及びINS解決手段によって計算された走査装置の3次元座標移動変化量を統合し、式(2)に従って計算し、走査装置の移動後の正確な測位結果、すなわち、位置座標(Dx2,Dy2,Dz2)を得る。
【0064】
3次元レーザ走査装置が走行タスクの第iステップの移動を完了するまでS8を繰り返し、走査装置の最終的な位置座標(Dxi,Dyi,Dzi)を得て、装置の各ステップの移動位置の座標情報を収集して、最終的にデータセット(Dx0,Dx1,...,Dxi,Dy0,Dy1,...,Dyi,Dz0,Dz1,...,Dzi)を得て、これによって、レーザ走査装置のより正確な移動測位を実現することができる。
【0065】
本発明の実施例は、
図5に示すように、第1取得モジュール1と、座標予測モジュール2と、範囲絞り込みモジュール3と、解析処理モジュール4と、座標計算モジュール5と、測位座標モジュール6と、を含むトンネル施工に適用する走査装置の移動測位システムをさらに提供する。
【0066】
第1取得モジュール1は、走査装置の初期移動位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第1情報セットを取得することに用いられる。詳細は上記実施例におけるステップS2の関連説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0067】
座標予測モジュール2は、走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測することに用いられる。詳細は上記実施例におけるステップS3の関連説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0068】
範囲絞り込みモジュール3は、走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算することに用いられる。詳細は上記実施例におけるステップS4の関連説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0069】
解析処理モジュール4は、絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第2情報セットを得ることに用いられ、目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークである。詳細は上記実施例におけるステップS5の関連説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0070】
座標計算モジュール5は、第1情報セット、第2情報セット及び目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算することに用いられる。詳細は上記実施例におけるステップS6の関連説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0071】
測位座標モジュール6は、SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得ることに用いられる。詳細は上記実施例におけるステップS7の関連説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0072】
本発明の実施例はコンピュータ装置をさらに提供し、
図6に示すように、該装置端末はプロセッサ61とメモリ62を含んでもよく、プロセッサ61とメモリ62はバス又は他の方式で接続されもよく、
図6において、バスによる接続が例示されている。
【0073】
プロセッサ61は中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ61は他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Programmable Gate Array)又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントなどのチップ、又は上記様々なチップの組み合わせであってもよい。
【0074】
メモリ62は非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、例えば本発明の実施例における対応するプログラム命令/モジュールなどの非一時的なソフトウェアプログラム、コンピュータが実行可能な非一時的なプログラム及びモジュールを記憶することに用いられてもよい。プロセッサ61はメモリ62に記憶された非一時的なソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することにより、プロセッサの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち上記方法の実施例におけるトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法を実現する。
【0075】
メモリ62はプログラム記憶領域とデータ記憶領域を含んでもよく、これらのうち、プログラム記憶領域はオペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができ、データ記憶領域はプロセッサ61が作成したデータなどを記憶することができる。また、メモリ62は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、少なくとも1つのディスクメモリ、フラッシュメモリ、その他の非一時的な固体メモリなどの非一時的なメモリを含んでもよい。いくつかの実施例では、メモリ62はプロセッサ61に対して遠隔に設けられたメモリを含んでもよく、これらの遠隔メモリはネットワークを介してプロセッサ61に接続されてもよい。上記ネットワークの例はインターネット、企業のイントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワーク及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0076】
1つ又は複数のモジュールはメモリ62に記憶され、プロセッサ61に実行されると、実施例におけるトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法を実行する。
【0077】
上記コンピュータ装置の具体的な詳細は実施例に対応する関連説明及び効果を参照して理解することができ、ここで説明を省略する。
【0078】
当業者によって理解されるように、上記実施例の方法におけるフローの全部又は一部はコンピュータプログラムによって、関連するハードウェアを命令して実装させてもよく、前記プログラムはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができ、該プログラムが実行すると、上記各方法の実施例のフローを含んでもよい。ここでは、記憶媒体は磁気ディスク、光ディスク、リードオンリーメモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク(Hard Disk Drive、略称:HDD)やソリッドステートドライブ(SSD:Solid-State Drive)などであってもよく、記憶媒体は、上述したタイプのメモリの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0079】
明らかに、上記実施例は単に明確に説明するための例示であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うことができる。
ここで全ての実施形態を網羅する必要がなく、また実施形態を網羅することが不可能なことである。これから導出された明らかな変化又は変動も本発明の特許範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法であって、前記走査装置にSLAMプロセッサ及びINSプロセッサが配置され、
走査装置の初期位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第1情報セットを取得するステップと、
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測するステップと、
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算するステップと、
前記絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第2情報セットを得るステップであって、前記目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークであるステップと、
前記第1情報セット、前記第2情報セット、及び前記目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するステップと、
SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るステップと、を含むことを特徴とする、トンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項2】
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測する前記ステップは、
INSプロセッサによって移動軌跡を解析し、移動後の走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するステップと、
前記3次元座標移動変化量セット及び初期位置の座標パラメータに基づいて、予め設定された第1の式を利用して走査装置の停止時の予測位置座標パラメータを計算するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項3】
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算する前記ステップは、
走査装置の予測停止座標パラメータに基づいて走査装置の移動前後の有効移動走査オーバーラップ領域を計算し、人工ランドマークの座標パラメータに基づいて有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークを目標解析計算ランドマークとして決定するステップと、
走査装置の予測停止座標パラメータ及び目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAM解析計算範囲を絞り込むステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項4】
前記絞り込みSLAM解析計算範囲が目標解析計算ランドマークを含まない場合、目標解析計算ランドマークを含むまで解析計算範囲を徐々に拡大するステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項5】
下記式を用いてINSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
(ただし、(Dx1,Dy1,Dz1)は走査装置の移動後の測位座標パラメータであり、(DIx1,DIy1,DIz1)はINSで解析して計算した走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットであり、(DSx1,DSy1,DSz1)はSLAMで解析して計算した走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットであり、mはINSプロセッサの精度係数であり、nはSLAMプロセッサの精度係数であり、(Dx0,Dy0,Dz0)は走査装置の
初期位置の座標パラメータである。)
【請求項6】
トンネルに予め配設された人工ランドマークの座標パラメータを取得するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項7】
トンネルに予め配設された人工ランドマークの座標パラメータを取得する前記ステップは、
トンネルにおいて、予め設定された配設規則に従って、トンネルラインに沿って人工ランドマークを配設するステップと、
走査装置の初期位置を基点とし、走査装置のトンネルラインに沿った進行方向をY座標軸として工学座標を確立するステップと、
各人工ランドマークの前記工学座標下の3次元位置パラメータを測定により決定し、各人工ランドマークと前記3次元位置パラメータをバインディングし、各人工ランドマークの座標パラメータを決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法。
【請求項8】
トンネル施工に適用する走査装置の移動測位システムであって、
走査装置の初期位置の座標パラメータを測定し、初期位置の環境特徴を走査し、最大走査範囲内の各人工ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第1情報セットを取得するための第1取得モジュールと、
走査装置の走行中の移動軌跡を取得し、INSプロセッサによって前記移動軌跡を解析して、走査装置の停止時の座標パラメータを予測するための座標予測モジュールと、
走査装置の走行が停止した後、走査装置の現在位置の環境特徴を取得し、走査装置の予測停止座標パラメータ及び走査装置の現在位置の環境特徴に基づいて、走査装置の絞り込みSLAM解析計算範囲を計算するための範囲絞り込みモジュールと、
前記絞り込みSLAM解析計算範囲に基づいて解析して、目標解析計算ランドマークからの、走査装置の距離のSLAM解析計算用の第2情報セットを得るための解析処理モジュールであって、前記目標解析計算ランドマークは走査装置の有効移動走査オーバーラップ領域範囲内の人工ランドマークである解析処理モジュールと、
前記第1情報セット、前記第2情報セット、及び前記目標解析計算ランドマークの座標パラメータに基づいて、SLAMプロセッサを利用して走査装置の初期位置に対する3次元座標移動変化量セットを計算するための座標計算モジュールと、
SLAMプロセッサ及びINSプロセッサの測位精度に基づいて、INSによって予測された3次元座標移動変化量セット及びSLAMによって解析計算された3次元座標移動変化量セットに対して重み付け解析計算を行って、走査装置の移動後の測位座標パラメータを得るための測位座標モジュールと、を含むことを特徴とするトンネル施工に適用する走査装置の移動測位システム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されていることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項10】
互いに通信可能に接続されたメモリとプロセッサを含み、前記メモリにコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することにより、請求項1~7のいずれか1項に記載のトンネル施工に適用する走査装置の移動測位方法を実行することを特徴とするコンピュータ装置。