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  • 特開-表示装置 図1
  • 特開-表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087883
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240625BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240625BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G09F9/00 323
B60K35/00 Z
G01D7/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202767
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 直司
【テーマコード(参考)】
2F041
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
2F041EA02
2F041EA04
2F041EA06
3D344AA19
3D344AA27
3D344AB01
3D344AD02
3D344AD13
5G435AA01
5G435CC04
5G435DD13
5G435FF14
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】 表示品位の低下を招く虞のない表示装置を提供する。
【解決手段】 所定情報を表示する情報表示体10と、所定情報を透視可能に構成された透視部51と、情報表示体10を動作させる制御部21とを備え、透視部51は非可視光を遮る機能を有しているとともに、制御部21による制御のもと透視部51越しに視認される所定情報が透視部51の色味をキャンセルする色調を有する色補正用データに基づき表示される構成とした。また、情報表示体10は、制御部21が配設される回路基板20と透視部51との間に位置する画像表示用のディスプレイである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定情報を表示する情報表示体と、
前記所定情報を透視可能に構成された透視部と、
前記情報表示体を動作させる制御部とを備え、
前記透視部は非可視光を遮る機能を有しているとともに、前記制御部による制御のもと前記透視部越しに視認される前記所定情報が前記透視部の色味をキャンセルする色調を有する色補正用データに基づき表示される構成としたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記情報表示体は、前記制御部が配設される回路基板と前記透視部との間に位置する画像表示用のディスプレイであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記ディスプレイは、自動二輪車に搭載された液晶表示器であることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記非可視光は、赤外光であることを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか1つに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定情報を表示する情報表示体を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の表示装置にあっては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の表示装置は、例えば自動二輪車に搭載された二輪車用計器であり、車両情報(所定情報)を表示する計器用ディスプレイとしての情報表示体と、車両情報を透視可能に構成された透視部と当該透視部の周囲に設けられる黒色樹脂部分とを有する上ケースと、情報表示体の制御を行う制御部と、この制御部が実装された硬質の回路基板と、この回路基板の裏側を覆う樹脂製の下ケースとから主に構成され、表示装置を視認する視認者は透視部越しに前記車両情報を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-80987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような表示装置を自動二輪車に搭載された二輪車用計器に適用した場合、当該二輪車用計器は、太陽光に晒され易い高温環境下で使用されることがあり、計器用ディスプレイである情報表示体に太陽光等の外光が入射すると、情報表示体が劣化するという問題がある。
【0005】
そこで、この問題を解消するために、上ケースの透視部を外光を遮る機能を有する材料で形成することが考えられるが、透視部を外光を遮る機能を有する材料で形成した場合、仮に計器用ディスプレイをバックライト照明するための光源の色が白色であったとすると、透視部は、外光(赤外光)を遮る機能を有する材料で形成したことに起因して、白色ではなく薄青色で視認される傾向にある。従って、透視部越しに視認される車両情報は、この透視部の色調の影響を受けて、本来表示されるべき色(前記光源の色)とは異なる薄青色の表示色にて視認者側から見えてしまい、表示品位の低下を招く虞がある。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、表示品位の低下を招く虞のない表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定情報を表示する情報表示体と、前記所定情報を透視可能に構成された透視部と、前記情報表示体を動作させる制御部とを備え、前記透視部は非可視光を遮る機能を有しているとともに、前記制御部による制御のもと前記透視部越しに視認される前記所定情報が前記透視部の色味をキャンセルする色調を有する色補正用データに基づき表示される構成としたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記情報表示体は、前記制御部が配設される回路基板と前記透視部との間に位置する画像表示用のディスプレイであることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記ディスプレイは、自動二輪車に搭載された液晶表示器であることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記非可視光は、赤外光であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、表示品位の低下を招く虞のない表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による表示装置の正面図。
図2図1のA-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を用いて本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の説明では、表示装置Mを視認する視認者側を前方側とし、視認者側とは反対側となる反視認者側を背後側として各部の説明を行うことがある。
【0013】
表示装置Mは、例えば自動二輪車のハンドル中央に搭載された二輪車用計器であり、図1図2に示すように車両情報(所定情報)を表示する情報表示体10と、この情報表示体10を動作させる制御部21が実装(配設)された回路基板20と、情報表示体10を保持するように回路基板20上に載置されるケース部材30と、情報表示体10と回路基板20とケース部材30とを収容する計器ハウジング40とを備えている。
【0014】
情報表示体10は、例えば画像表示用のディスプレイであって、回路基板20と計器ハウジング40に備えられる後述する透視部との間に位置している。つまり、ここでの情報表示体10は、自動二輪車に搭載された受光型の液晶表示器であり、液晶表示素子11と、この液晶表示素子11のソース線(信号線)を駆動するソース線駆動回路(図示せず)と、液晶表示素子11のゲート線(走査線)を駆動するゲート線駆動回路(図示せず)と、導光体12aや光源(発熱部品)12b、フレキシブル配線板12c等から構成され、液晶表示素子11に照明光を導くための照明手段12と、液晶表示素子11及び導光体12aを保持する略平板状の白色樹脂からなる樹脂ケース13と、前面フレーム14と背面フレーム15とでなり、情報表示体10の外郭部品を構成する導電性材料からなるフレーム体16と、前記ソース線駆動回路並びに前記ゲート線駆動回路のタイミングを制御する各種タイミング信号を生成するタイミングコントローラ等が搭載されたプリント基板17とを有する。
【0015】
そして、この場合、前面フレーム14とこの前面フレーム14と対をなす背面フレーム15とから構成されるフレーム体16は、その内部に液晶表示素子11や導光体12a、光源12b、樹脂ケース13等を収容し、またプリント基板17は、背面フレーム15の後述する底壁部の背面に適宜固定手段を用いて固定される。
【0016】
なお、必要に応じて、液晶表示素子11を略均一にバックライト照明するための光学部材(例えば拡散シートやプリズムシート)を液晶表示素子11と導光体12aとの間に1つ以上配置してもよい。
【0017】
液晶表示素子11は、例えば複数の画素を有するTFT型の液晶表示パネルからなり、車両に搭載された各種センサからの検出信号に基づいて、車速情報や残燃料情報、燃費情報等の車両情報画像を表示する表示部11aを備える(図1参照)。この表示部11aは、液晶表示素子11の表示領域(図示せず)に表示される。
【0018】
導光体12aは、略平板状の透光性合成樹脂からなり、液晶表示素子11の背面に沿うように配置される。別の言い方をすれば、導光体12aは、光源12bから液晶表示素子11へと至る照明光路中に配置されていることになる。
【0019】
光源12bは、白色光を発するチップ型発光ダイオードからなり、図2中、導光体12aの上側に位置する一側面12dに沿うように列状に複数個配置され、液晶表示素子11に照明光(可視光)を供給する発光体である。
【0020】
前面フレーム14は、導電性材料からなり、略枠状にプレス成形され、その主要部をなす本体部14aと、この本体部14aの周縁から下方に向けて垂下形成された周壁部14bとが一体形成された構成となっている。そして、本体部14aの略中央部には、表示部11aに対応するように略矩形状の開口窓からなる表示窓部14cが形成されている。
【0021】
背面フレーム15は、前面フレーム14と同様に導電性材料からなり、断面略凹部形状にて形成され、その主要部をなす底壁部15aと、この底壁部15aの周縁から周壁部14b側に向けて突出形成された周壁15bとが一体形成された構成となっている。
【0022】
そして、図2中、右方に位置する周壁15bの内壁面15cには、フレキシブル配線板12cが適宜固定手段を用いて固定され、各光源12bは、導光体12aの一側面12dと対向するようにフレキシブル配線板12cに設けられる導電路(図示せず)に実装される。なお、プリント基板17と回路基板20とはフレキシブル配線板等を用いて導通接続されているものとする。
【0023】
回路基板20は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターン(図示せず)が施された硬質回路基板からなり、情報表示体10の制御を行う制御部21と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)とが前記配線パターンに導通接続されている。つまり、この場合、表示装置Mの一構成部品である回路基板20は、制御部21や各種回路部品を備えていることになる。
【0024】
制御部21は、例えばここでの詳細図示は省略するが、ROM、RAM、不揮発性メモリやフラッシュメモリ等の記憶装置を含む主制御部としてのマイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータからの指令信号に応じて、前記車両情報画像を液晶表示素子11に表示させるべく、画像描画処理を実行する画像処理部としてのグラフィックコントローラとからなる。
【0025】
ケース部材30は、例えば白色の合成樹脂材料によって形成され、情報表示体10と回路基板20との間に介在している。
【0026】
計器ハウジング40は、表示装置Mの外装ケースを構成する樹脂製のケースであり、表示装置Mの前方側に配置される上ケース50と、この上ケース50と対をなすように表示装置Mの背後側に配置される下ケース60とを備える。
【0027】
上ケース50は、前面フレーム14の表示窓部14c(液晶表示素子11の前記表示領域)に対応するように設けられる透視部51と、この透視部51の周囲に延在する不可視部52とを備える。
【0028】
透視部51は、車両情報を透視可能に構成された部位であり、例えば透光性を有する無機ガラス等によって形成される。また、この場合、透視部51は、太陽光等の外光(つまり太陽光の赤外光成分)が計器ハウジング40の内部に照射されるのを極力防ぐために、赤外光である非可視光を遮る機能を有している。そして、本例の場合、光源12bの色は白色であることから、透視部51を非可視光を遮る機能を有する材料で形成した場合、透視部51は、これを非可視光を遮る機能を有する材料で形成したことに起因して、白色ではなく薄青色で視認される傾向にあり、透視部51越しに視認される車両情報は、透視部51の色調の影響を受けて、本来表示されるべき色(光源12bの色)とは異なる薄青色の表示色にて視認者側から見えてしまい、表示品位の低下を招くことが懸念される。
【0029】
これに対し、本実施形態では、制御部21による制御のもと(薄青色の)透視部51越しに視認される車両情報が当該透視部51の色味をキャンセルする色調を有する色補正用データに基づき、(薄青色ではなく白色で)表示される構成としている。例えば、表示部11aに表示される画像をR画素とG画素とを含むような補正画像としたものを前記色補正用データとして利用することが考えられる。これにより、透視部51越しに視認される車両情報は、本来表示されるべき色(光源12bの色と概ね同色の白色)で視認者側から見えるため、表示品位の低下を招く虞がなくなる。
【0030】
不可視部52は、透視部51の四方を囲むように設けられる前面壁部52aと、この前面壁部52aの周縁部分から背後側に向けて延在する側壁52bとを有する。なお、必要に応じて上ケース50(透視部51及び前面壁部52a)と情報表示体10とを透光性の接着剤で接合してもよい。
【0031】
下ケース60は、回路基板20の背後側に位置する底壁61と、側壁52bと対をなすように底壁61の周縁部分から前方側に向けて延在する側壁62とを備える。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、車両情報を表示する情報表示体10と、車両情報を透視可能に構成された透視部51と、情報表示体10を動作させる制御部21とを備え、透視部51は非可視光を遮る機能を有しているとともに、制御部21による制御のもと透視部51越しに視認される車両情報が透視部51の色味をキャンセルする色調を有する色補正用データに基づき表示される構成としたものである。従って、透視部51越しに視認される車両情報は、本来表示されるべき色(光源12bの色と同色)で視認者側から見えるため、表示品位の低下を招く虞のない表示装置を提供することができる。
【0033】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、情報表示体10が画像表示用のディスプレイとして構成されていたが、情報表示体10を当該ディスプレイに代えてアナログ式計器としてもよい。なお、アナログ式計器とした場合は、計器用指針と、この計器用指針が指示する目盛等の表示部を有する計器用表示板と、計器用指針を動作させるステッピングモータ(指針駆動部)とで情報表示体が構成され、制御部は、当該情報表示体の一構成部品であるステッピングモータの駆動制御を行い、またここでの前記所定情報は計器用表示板に表示される前記表示部に相当する。なお、前記表示部は、計器用表示板の背後側に位置する光源(例えば白色光を発する発光ダイオード)からの照明光(可視光)を受けて発光表示される。
【符号の説明】
【0035】
10 情報表示体
11 表示素子
11a 表示部
20 回路基板
21 制御部
30 ケース部材
40 計器ハウジング
50 上ケース
51 透視部
60 下ケース
図1
図2