(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087936
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/165 20200101AFI20240625BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240625BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240625BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20240625BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240625BHJP
H05B 45/357 20200101ALI20240625BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/16
H05B47/105
H05B45/20
H05B45/10
H05B45/357
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202848
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒井 征士
(72)【発明者】
【氏名】荒川 良平
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA01
3K273QA07
3K273QA11
3K273RA03
3K273RA06
3K273RA12
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA31
3K273TA46
3K273TA49
3K273UA22
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】色温度が高いLEDと色温度が低いLEDとをセットにしたLED灯具を多数設けて、一部のLED灯具を先行して点灯させ、残りの他部のLED灯具を遅れて発光させる際に、他部のLED灯具にちらつきが生じてLED照明器具全体として好ましくない。
【解決手段】点灯開始時から所定時間経過時に上記一部のLED灯具の色温度を上昇させ、上記他部のLED灯具については上記所定時間より短い時間で消灯状態から上記一部のLED灯具の照度と同じ照度まで発光させ、かつ、上記所定時間経過時に上記一部のLED灯具の色温度と同じ色温度に制御するようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯時における色温度が相違する複数種類のLEDチップを内蔵したLED灯具に対して照度と色温度とを変化し得るように電力を供給する電源部を備えたLED照明装置において、上記電源部に対して複数個のLED灯具を接続し、これら複数のLED灯具の一部に対する電力供給と他部に対する電力供給とを個別に制御し得るように構成し、点灯開始時に上記一部のLED灯具の色温度と照度を所定の値になるように電力を供給すると共に、他部のLED灯具には電力を供給せず消灯状態とし、上記点灯開始時から所定時間経過時に上記一部のLED灯具の色温度を上昇させ、上記他部のLED灯具については上記所定時間より短い時間で消灯状態から上記一部のLED灯具の照度と同じ照度まで発光させ、かつ、上記所定時間経過時に上記一部のLED灯具の色温度と同じ色温度に制御することを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
上記所定時間が経過する前に上記他部のLED灯具の照度および色温度が上記一部のLED灯具の照度および色温度に到達した場合には、その後他部のLED灯具の色温度を上記一部のLED灯具の色温度と同様に上昇させることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯時における色温度が相違する複数種類のLEDチップを内蔵したLED灯具に対して照度と色温度とを変化し得るように電力を供給する電源部を備えたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDの明るさは電流にほぼ比例することが知られている。従ってLEDの照度を増減制御する調光を行う場合には、LEDに流れる電流を制御する定電流制御を行う。一方、1個のLED灯具内に昼白色のLEDチップと電球色のLEDチップといった色温度の相違する2種類のLEDチップを内蔵し、各LEDチップの照度の割合を変更することによってLED灯具全体としての色温度を変更する調色制御を行う場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のフィラメント式の電球をフェードインする際の状態をLED照明装置で再現する場合には、点灯スイッチがオンになると、低照度で、かつ色温度が低い状態から、段階的に照度を上げると共に、色温度を上昇させていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-62881号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LEDの照度は電流にほぼ比例するが、印加する順方向電圧がLED毎に決まるVf(順方向電圧)を超えるまでは電流が流れない。すなわち、印加する電圧がVfを超えるまではLEDは点灯しないため、印加する電圧を増加させてVfに到達すると、電流値が急激に上昇するためLEDは最初から明るく発光する。
【0006】
LEDは上記のように定電流制御を行っているので、Vf時点で大きな電流が流れると、電圧を下げて電流を減少させる。そのため照度は低照度に落ち着くが、一瞬であっても照度が高い状態になる(オーバーシュート)。
【0007】
そこで、このようなオーバーシュートによる違和感を防止するため、多数のLED灯具を設け、ターンオン時には一部のLED灯具を発光させ、所定時間後の照度と色温度になるように、残りの他部のLED灯具をゆっくりと点灯させる。
【0008】
ところが、この他部の点灯時にも上記オーバーシュート現象が発生して、LED照明装置全体としてフェードイン初期状態でちらつきが発生するという不具合が生じる。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、多数のLED灯具を備えたLED照明装置で、フェードインの初期状態でちらつきが生じないLED照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明によるLED照明装置は、点灯時における色温度が相違する複数種類のLEDチップを内蔵したLED灯具に対して照度と色温度とを変化し得るように電力を供給する電源部を備えたLED照明装置において、上記電源部に対して複数個のLED灯具を接続し、これら複数のLED灯具の一部に対する電力供給と他部に対する電力供給とを個別に制御し得るように構成し、点灯開始時に上記一部のLED灯具の色温度と照度を所定の値になるように電力を供給すると共に、他部のLED灯具には電力を供給せず消灯状態とし、上記点灯開始時から所定時間経過時に上記一部のLED灯具の色温度を上昇させ、上記他部のLED灯具については上記所定時間より短い時間で消灯状態から上記一部のLED灯具の照度と同じ照度まで発光させ、かつ、上記所定時間経過時に上記一部のLED灯具の色温度と同じ色温度に制御することを特徴とする。
【0011】
上記他部のLED灯具についてフェードイン開始時の消灯状態から上記所定時間をかけて上記一部のLED灯具と同じ照度および色温度にしたのでは上述のようにちらつきが生じる。そこで、所定時間より短い時間で照度を上げることによって、すなわち照度の上昇速度を上げることによって、ちらつきが生じても認識しないようにした。
【0012】
なお、上記所定時間が経過する前に上記他部のLED灯具の照度および色温度が上記一部のLED灯具の照度および色温度に到達した場合には、その後他部のLED灯具の色温度を上記一部のLED灯具の色温度と同様に上昇させることによって、LED照明装置全体としてフェードインがスムーズに行われるようにした。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明によるLED照明装置は、フェードイン初期における上記他部のLED灯具の照度の上昇速度を上記従来のものより上げたので、ちらつきが生じてもLED照明装置全体として、そのちらつきが気にならないようにした。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】フェードイン時の照度と色温度の変化の一例を示すグラフ
【
図3】フェードイン時の照度と色温度の変化の他の例を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は本発明によるLED照明装置の電源部である。この電源部1は外部の商用電源PSから交流電力の供給を受け、その交流電力を直流電力に変換して各電源ユニット12に供給する。電源ユニット12は2個で対を成しており、一方の電源ユニット12には高色温度のLED21が接続され、他方の電源ユニット12には低色温度のLED22が接続されている。そして、これらLED21,22は1個のLED灯具2-1内に納められている。LED灯具は2種類あり、一部のLED灯具を2-1とし、残りの他部のLED灯具を2-2とする。
【0016】
図2を参照して、各LED灯具2-1,2-2が消灯状態で点灯スイッチがオンになると、電源部1は各LED21,22に通電して照度を徐々に上げる、いわゆるフェードインを行う。その際、一部のLED灯具2-1に関しては直ちに照度が10%程度で、かつ色温度が2000K(ケルビン)になるように通電を行う(A1)。他部のLED灯具2-2は消灯したままの状態とする(B1)。一部のLED灯具2-1はスタートから所定時間が経過すると、色温度が2500Kに上がり、かつ照度も若干上昇するように制御する(A2)。他部のLED灯具2-2については上記所定時間が経過する前に点灯させ、B2に示す照度と色温度にした後、所定時間経過時に一部のLED灯具2-1の状態(A2)と同じ状態にする。その後は、照度が100%で色温度が6000Kを超える状態になるように、一部のLED灯具2-1と他部のLED灯具2-2は同期して変化する。本図に示すように、従来であれば他部のLED灯具2-2はB1に示す状態から直接A2に示す状態に変化し、その際にちらつきが生じていたが、本図に示すように他部のLED灯具2-2の変化を従来のものより急峻にすることによってちらつきを感じにくくした。
【0017】
ただし、
図2に示す制御に限定されるものではなく、
図3に示すように、B1からB2まで消灯した状態を保持し、その後B2からA2の状態に変化させても同様の効果を奏することができる。
【0018】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0019】
1 電源部
12 電源ユニット
21 色温度の高いLED
22 色温度の低いLED
2-1 一部のLED灯具
2-2 他部のLED灯具