(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087939
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 57/22 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A01D57/22 G
A01D57/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202854
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 宏真
(72)【発明者】
【氏名】坂本 憲之
【テーマコード(参考)】
2B081
【Fターム(参考)】
2B081AA01
2B081BB05
2B081CC25
2B081DD12
2B081DD57
2B081DD60
(57)【要約】
【課題】刈取装置の上方に設けられた伝動筒と非引起作用側を対向して設けた一対の引起装置を支持アームで連結して、搬送装置等に詰まった穀稈を取除く場合には、支持アームを回転させて引起装置を前方に移動させる。詰まった穀稈を取除いた後に、前方に移動した引起装置を収穫作業姿勢に適切に固定しないと、作業者の意思に反して支持アームが回転しまって引起装置が前方に急に移動する恐れがあった。そこで、前方に移動した引起装置を簡潔な構成で迅速に収納位置に戻して適切に収穫作業姿勢に固定できるコンバインを提供する。
【解決手段】複数の引起装置のうちの何れかを刈取フレーム20に基部が枢支されて回動自在の支持アーム61の先端部に連結して収穫作業姿勢と車体前方に移動した開放姿勢に移動自在に設けると共に、収穫作業姿勢で固定する固定機構Aを支持アーム61に設ける。
【選択図】
図41
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)を搭載した機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方に脱穀装置(4)を設け、刈取装置(3)を圃場の穀稈を引起こす複数の引起装置(31A,31B,31C,31D)と穀稈の株元を刈取る刈刃装置(32)と刈取られた穀稈を脱穀装置(4)に向けて搬送する搬送装置(33)で構成したコンバインにおいて、該複数の引起装置(31A,31B,31C,31D)のうちの何れかを刈取フレーム(20)に基部が枢支されて回動自在の支持アーム(61)の先端部に連結して収穫作業姿勢と車体前方に移動した開放姿勢に移動自在に設けると共に、収穫作業姿勢で固定する固定機構(A)を支持アーム(61)に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
複数の引起装置(31A,31B,31C,31D)のうちの左右中央部の引起装置(31B,31C)を支持アーム(61)の先端部に連結して収穫作業姿勢と車体前方に移動した開放姿勢に移動自在に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
固定機構(A)が支持アーム(61)の先端部に設けた挿通部材(71b,73b)に固定体(300)を挿通し、該固定体(300)を刈取フレーム(20)に設けた固定用ブラケット(24b)の嵌入孔(24a)に挿通して固定する構成であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
複数の引起装置(31A,31B,31C,31D)の上部に沿って配置した刈取フレーム(20)の構成部材である伝動ケース(24)に固定用ブラケット(24b)を設けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
基部が枢支された支持アーム(61)を構成する上下の第1横アーム(71)と第2横アーム(73)先端部に挿通部材(71b,73b)を設けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分草された穀稈を引起こす引起装置を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインにおいて、刈取装置の上方に設けられた伝動筒と非引起作用側を対向して設けた一対の引起装置を支持アームで連結して、引起装置の後方に設けられた搬送装置等に詰まった穀稈を取除く場合には、支持アームの第1横アームと第2横アームを回転させて引起装置を前方に移動させる技術が知られていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、詰まった穀稈を取除いた後に、前方に移動した引起装置を収穫作業姿勢に適切に固定しないと、作業者の意思に反して支持アームの第1横アームと第2横アームが速やかに回転してしまって引起装置が前方に急に移動する恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の主たる目的は、刈取装置に詰まった穀稈を取除いた後に、前方に移動した引起装置を簡潔な構成で迅速に収納位置に戻して適切に収穫作業姿勢に固定できるコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、エンジンEを搭載した機体フレーム1の前側に刈取装置3を設け、該刈取装置3の後方に脱穀装置4を設け、刈取装置3を圃場の穀稈を引起こす複数の引起装置31A,31B,31C,31Dと穀稈の株元を刈取る刈刃装置32と刈取られた穀稈を脱穀装置4に向けて搬送する搬送装置33で構成したコンバインにおいて、該複数の引起装置31A,31B,31C,31Dのうちの何れかを刈取フレーム20に基部が枢支されて回動自在の支持アーム61の先端部に連結して収穫作業姿勢と車体前方に移動した開放姿勢に移動自在に設けると共に、収穫作業姿勢で固定する固定機構Aを支持アーム61に設けたコンバインである。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、複数の引起装置31A,31B,31C,31Dのうちの何れかを刈取フレーム20に基部が枢支されて回動自在の支持アーム61の先端部に連結して収穫作業姿勢と車体前方に移動した開放姿勢に移動自在に設けると共に、収穫作業姿勢で固定する固定機構Aを支持アーム61に設けたので、収穫作業時に搬送装置33等に詰まった穀稈を取除く場合に、複数の引起装置31A,31B,31C,31Dのうちの何れかを前方に移動させた開放姿勢にして搬送装置33の前側の作業空間を大きくして搬送装置33に詰まった穀稈を容易に取除くことができ、収穫作業姿勢で支持アーム61を刈取フレーム20に固定して開放姿勢に移動することを簡潔な構成で適切に規制することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、複数の引起装置31A,31B,31C,31Dのうちの左右中央部の引起装置31B,31Cを支持アーム61の先端部に連結して収穫作業姿勢と車体前方に移動した開放姿勢に移動自在に設けた請求項1に記載のコンバインである。
【0009】
請求項3記載の発明は、固定機構Aが支持アーム61の先端部に設けた挿通部材71b,73bに固定体300を挿通し、該固定体300を刈取フレーム20に設けた固定用ブラケット24bの嵌入孔24aに挿通して固定する構成である請求項1または請求項2に記載のコンバインである。
【0010】
請求項4記載の発明は、複数の引起装置31A,31B,31C,31Dの上部に沿って配置した刈取フレーム20の構成部材である伝動ケース24に固定用ブラケット24bを設けた請求項3に記載のコンバインである。
【0011】
請求項5記載の発明は、基部が枢支された支持アーム61を構成する上下の第1横アーム71と第2横アーム73先端部に挿通部材71b,73bを設けた請求項3に記載のコンバインである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態にかかるコンバインの左側面図である。
【
図9】同コンバインの引起装置の伝動説明図である。
【
図14】同コンバインの揺動部品の左側面図である。
【
図15】同コンバインの前方に上部を引出した引起装置の正面図である。
【
図16】同コンバインの前方に上部を引出した引起装置の左側面図である。
【
図17】(a)、(b)は同コンバインの固定プレート、(c)、(d)は回転プレート、(e)、(f)はピンの断面図と左側面図である。
【
図18】同コンバインの横アームの回転を防止する第1形態の連結部品の斜視図である。
【
図21】同コンバインの前方に移動した開放姿勢時の刈取装置の正面図である。
【
図25】同コンバインの前方左側に移動した開放姿勢時の刈取装置の正面図である。
【
図29】同コンバインの前方右側に移動した開放姿勢時の刈取装置の正面図である。
【
図33】同コンバインの左株元搬送装置の左側面図である。
【
図35】同コンバインの左右方向の中間に設けられた引起装置の正面図である。
【
図37】同引起装置の上部を拡大した正面図である。
【
図38】同引起装置の上部を拡大した左側面図である。
【
図39】同引起装置の上部を拡大した平面図である。
【
図40】同コンバインの刈取装置と支持アームの拡大斜視図である。
【
図41】同コンバインの支持アーム部の拡大背面図である。
【
図42】同コンバインの固定機構の作用説明用の側面図である。
【
図43】同コンバインの他の実施形態を示す刈取装置の正面図である。
【
図44】同コンバインの他の実施形態を示す刈取装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態であるコンバインについて添付図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0014】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取装置3が設けられている。また、刈取装置3の後方左側に刈取装置3で収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0015】
操縦部5の下側には、エンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀装置4で脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7に貯留された穀粒は、グレンタンク7に連結された排出オーガ8によって外部に排出される。
【0016】
操縦部5の操縦席の前方には、フロントパネル10が設けられ、操縦席の左方には、サイドパネル15が設けられている。
【0017】
フロントパネル10の中央部には、エンジンEの出力回転等を表示するモニタ11が設けられ、モニタ11の右側には、走行装置2の旋回や刈取装置3の昇降を操作する操作レバー12が設けられている。
【0018】
サイドパネル15の前部には、エンジンEの出力回転の増減速と回転方向の切替えを行う無段変速装置を操作する主変速レバー16が設けられ、主変速レバー16の後側には、無段変速装置の出力回転の増減速を行うトランスミッションを操作する副変速レバー17が設けられている。
【0019】
図3~7示すように、刈取装置3は、主枠となる刈取フレーム20に取付けられている。刈取フレーム20は、前後方向に延在する伝動筒21と、伝動筒21の前部に設けられた左右方向に延在する伝動筒22と、伝動筒22の左部に設けられた上下方向に延在する伝動筒23と、伝動筒23の上部に設けられた左右方向に延在する伝動ケースとしての伝動筒24から形成されている。また、伝動筒21の後部は、エンジンEの出力回転が伝動される脱穀装置4の前側に設けられた左右方向に延在する伝動筒25に揺動可能に支持されている。これにより、伝動筒21に連結された昇降シリンダ(図示省略)を駆動して伝動筒21の前部、すなわち、刈取フレーム20を介して刈取装置3を上下方向に昇降させることができる。なお、伝動筒21~25の内部には、エンジンE等の出力回転が伝動される回転軸21A~25Aが設けられている。
【0020】
刈取装置3は、圃場に植立する穀稈を分草する分草体30と、分草された穀稈を引起す引起装置31と、引起こされた穀稈を刈取る刈刃装置32と、刈取られた穀稈を挟持して脱穀装置4に搬送する搬送装置33から形成されている。
【0021】
引起装置31は、左側から順に4つの引起装置31Aと、引起装置31Bと、引起装置31Cと、引起装置31Dが設けられている。これにより、2条に植立する穀稈、すなわち、引起装置31Aと引起装置31Bで1条に植立する穀稈を引起こし、引起装置31Cと引起装置31Dで1条の右側に隣接する1条に植立する穀稈を引起すことができる。なお、引起装置31Bと引起装置31Cは連結部材(図示省略)を介して連結されている。
【0022】
また、符号39は、引起装置31Aと引起装置31B等による穀稈の引起作業を補助する補助引起装置を示している。
【0023】
刈刃装置32は、刈取装置3の左側に設けられた左刈刃装置32Aと右側に設けられた右刈刃装置32Bから形成されている。
【0024】
搬送装置33は、刈取られた穀稈の株元を挟持して搬送する株元搬送装置34と刈取られた穀稈の穂先を挟持して搬送する穂先搬送装置35から形成されている。また、株元搬送装置34は、刈取装置3の左側に設けられた左株元搬送装置34Aと右側に設けられた右株元搬送装置34Bから形成され、穂先搬送装置35は、刈取装置3の左側に設けられた左穂先搬送装置35Aと右側に設けられた右穂先搬送装置35Bから形成されている。なお、本明細書では、左株元搬送装置34Aと左穂先搬送装置35Aを総称して左搬送装置33Aといい、右株元搬送装置34Bと右穂先搬送装置35Bを総称して右搬送装置33Bという。
【0025】
伝動筒24の左部には、伝動筒24の下部と引起装置31Aの後面の上部を連結する支持アーム60が設けられ、伝動筒24の中間部には、伝動筒24の下部と引起装置31Bと引起装置31Cの後面の上部を連結する支持アーム61が設けられ、伝動筒24の右部には、伝動筒24の下部と引起装置31Dの後面の上部を連結する支持アーム62が設けられている。なお、支持アーム60~62の内部には、エンジンE等の出力回転が伝動される回転軸(図示省略)が設けられている。
【0026】
支持アーム60は、伝動筒24の下部から下側に向かって延在した後に、前側に向かって湾曲して引起装置31Aの後面に連結されている。支持アーム62は、伝動筒24の下部から下側に向かって延在した後に、前側に向かって湾曲して引起装置31Dの後面に連結されている。
【0027】
支持アーム61は、伝動筒24の下部から下側に向かって延在する第1縦アーム70と、第1縦アーム70の下部に回転自在に支持された第1横アーム71と、第1横アーム71の先端部の下部から下側に向かって延在する第2縦アーム72と、第1縦アーム70の下部に回転自在に支持された第2横アーム73と、第2横アーム73の先端部の下部から下側に向かって延在した後に、前側に向かって湾曲して引起装置31Bと引起装置31Cの後面に連結される第3縦アーム74で形成されている。これにより、搬送装置33等に詰まった穀稈を取除く場合に、
図27に示すように、引起装置31Bと引起装置31Cを前方に移動させた開放姿勢にして搬送装置33の前側の作業空間を大きくして搬送装置33に詰まった穀稈を容易に取除くことができる。
【0028】
支持アーム61の収納姿勢時には(収穫作業姿勢では)、第1横アーム71の長手方向と第2横アーム73の長手方向を伝動筒24に沿って左右方向に延在させて、引起装置31Bと引起装置31Cの後側に設けている。これにより、引起装置31Aと引起装置31Bで引起こされる穀稈等が第1横アーム71と第2横アーム73に絡まるのを抑制することができる。
【0029】
<エンジンの出力回転の伝動>
図8に示すように、エンジンEの出力回転は、ベルト40等を介して伝動筒25に内装された回転軸25Aに伝動される。
【0030】
回転軸25Aに伝動された出力回転は、回転軸25Aの中間部に設けられたギヤ41等を介して右穂先搬送装置35Bの右穂先搬送チェン35bに伝動される。また、回転軸25Aに伝動された出力回転は、回転軸25Aにおける右側部に設けられたギヤ42等を介して伝動筒21に内装された回転軸21Aに伝動される。
【0031】
回転軸21Aに伝動された出力回転は、回転軸21Aの中間部に設けられたギヤ43等を介して右株元搬送装置34Bの右株元搬送チェン34bに伝動される。また、回転軸21Aに伝動された出力回転は、回転軸21Aの前部に設けられたギヤ44等を介して伝動筒22に内装された回転軸22Aに伝動される。
【0032】
回転軸22Aに伝動され出力回転は、回転軸22Aにおける左側に設けられた揺動ロッド56等を介して左刈刃装置32Aに伝動され、回転軸22Aにおける右側に設けられた揺動ロッド57等を介して右刈刃装置32Bに伝動される。また、回転軸22Aに伝動され出力回転は、回転軸22Aにおける左側に設けられたギヤ45等を介して伝動筒23に内装された回転軸23Aに伝動される。
【0033】
回転軸23Aに伝動され出力回転は、回転軸23Aの中間部に設けられたギヤ46等を介して左株元搬送装置34Aの左株元搬送チェン34aと左穂先搬送装置35Aの左穂先搬送チェン35aに伝動される。なお、符号37は、搬送装置33の後部に搬送されてきた穀稈を脱穀装置4に引継ぐ供給装置の供給チェンを示し、符号38は、搬送装置33で搬送される穀稈の姿勢を調節する調節装置の調節チェンを示している。
【0034】
回転軸23Aに伝動され出力回転は、回転軸23Aの前部に設けられたギヤ47とギヤボックス48等を介して伝動筒24に内装された回転軸24Aに伝動される。
【0035】
回転軸24Aに伝動され出力回転は、回転軸24Aにおける左側に設けられたギヤ50とギヤ80を介して回転軸81に伝動され、回転軸81に伝動された出力回転はギヤ82を介して引起装置31Aに伝動される。
【0036】
回転軸24Aに伝動され出力回転は、回転軸24Aにおける中間部に設けられたギヤ51とギヤ84を介して第1回転軸75Aに伝動され、第1回転軸75Aに伝動された出力回転は、第1ギヤ75と、第1カウンタギヤ76と、第2ギヤ77Uを介して第2回転軸77Aに伝動され、第2回転軸77Aに伝動された出力回転は、第3ギヤ77Dと、第2カウンタギヤ78と、第4ギヤ79を介して第3回転軸79Aに伝動される。なお、ギヤ84は第1回転軸75Aの上部に設けられ、第1ギヤ75は第1回転軸75Aの下部に設けられている。また、第2ギヤ77Uは第2回転軸77Aの上部に設けられ、第3ギヤ77Dは第2回転軸77Aの下部に設けられている。
【0037】
第3回転軸79Aに伝動された出力回転は、ギヤ85とギヤ86を介して回転軸87に伝動され、回転軸87に伝動された出力回転は、回転軸87の左部に設けられたギヤ88を介して引起装置31Bに伝動され、回転軸87の右部に設けられたギヤ89を介して引起装置31Cに伝動される。なお、第4ギヤ79は第3回転軸79Aの上部に設けられ、ギヤ85は第1回転軸75Aの下部に設けられている。
【0038】
回転軸24Aに伝動され出力回転は、回転軸24Aにおける右側に設けられたギヤ52とギヤ90を介して回転軸91に伝動され、回転軸91に伝動された出力回転はギヤ92を介して引起装置31Dに伝動される。
【0039】
これにより、エンジンEの出力回転を引起装置31A~31Dと、刈刃装置32と、搬送装置33に伝動することができる。
【0040】
<支持アーム>
図9に示すように、第1横アーム71には、第1ギヤ75と、第1カウンタギヤ76と、第2ギヤ77Uが設けられている。第1ギヤ75は第1横アーム71の右部に上下方向に延在する第1回転軸75Aに支持され、第1カウンタギヤ76は第1横アーム71の中間部に上下方向に延在する第1カウンタ軸76Aに支持され、第2ギヤ77Uは第1横アーム71の左部に上下方向に延在する第2回転軸77Aに支持されている。なお、第2回転軸77Aは、第1横アーム71の左部の上側から第2横アーム73の左部の下側まで延在して形成されている。
【0041】
第1回転軸75Aは第1横アーム71に回転自在に支持され、第1カウンタ軸76Aは第1横アーム71に回転自在に支持され、第2回転軸77Aの上部は第1横アーム71回転自在に支持されている。
【0042】
第2横アーム73には、第3ギヤ77Dと、第2カウンタギヤ78と、第4ギヤ79が設けられている。第3ギヤ77Dは、第2横アーム73の左部に上下方向に延在する第2回転軸77Aに支持され、第2カウンタギヤ78は、第2横アーム73の中間部に上下方向に延在する第2カウンタ軸78Aに支持され、第4ギヤ79は、第2横アーム73の右部に上下方向に延在する第3回転軸79Aに支持されている。
【0043】
第2回転軸77Aの下部は第2横アーム73に回転自在に支持され、第2カウンタ軸78Aは第2横アーム73に回転自在に支持され、第3回転軸79Aは第2横アーム73に回転自在に支持されている。
【0044】
第1ギヤ75と第2ギヤ77Uのピッチ円は同一直径に形成されている。これにより、第1ギヤ75の回転角度と第2ギヤ77Uの回転角度を同一角度にすることができる。また、第1ギヤ75と第2ギヤ77Uの間には奇数個である1個の第1カウンタギヤ76が設けられている。これにより、第1ギヤ75の回転方向と第2ギヤ77Uの回転方向を同一方向に設定することができる。なお、第1ギヤ75と第2ギヤ77Uの間には、2個以上の第1カウンタギヤ76を設けることもでき、偶数個の第1カウンタギヤ76を設けた場合には、第1ギヤ75の回転方向と第2ギヤ77Uの回転方向を逆方向に設定することができる。
【0045】
第3ギヤ77Dと第4ギヤ79のピッチ円は同一直径に形成されている。これにより、第3ギヤ77Dの回転角度と第4ギヤ79の回転角度を同一角度にすることができる。また、第3ギヤ77Dと第4ギヤ79の間には奇数個である1個の第2カウンタギヤ78が設けられている。これにより、第3ギヤ77Dの回転方向と第4ギヤ79の回転方向を同一方向に設定することができる。なお、第3ギヤ77Dと第4ギヤ79の間には、2個以上の第2カウンタギヤ78を設けることもでき、偶数個の第2カウンタギヤ78を設けた場合には、第3ギヤ77Dの回転方向と第4ギヤ79の回転方向を逆方向に設定することができる。
【0046】
本実施形態では、第1ギヤ75、第1カウンタギヤ76、第2ギヤ77U、第3ギヤ77D、第2カウンタギヤ78、第4ギヤ79のピッチ円を同一直径に形成されている。これにより、第1ギヤ75等の互換性を高めて第1ギヤ75等の共通化を図ることができる。
【0047】
図10,11に示すように、第1横アーム71の前部と第2横アーム73の後部は、回転時に所定の抵抗を発生させる抵抗体65を介して回転自在に連結されている。これにより、作業者の意図に反して第2横アーム73が第1横アーム71に対して過度に回転することを抑制して、搬送装置33等に詰まった穀稈の取除作業を安全に行うことができる。なお、抵抗体65は第2回転軸77Aの外周部に設けられている。
【0048】
また、第1縦アーム70の下部と第1横アーム71の後部や第1横アーム71の前部と第3縦アーム74の上部を回転時に所定の抵抗を発生させる抵抗体65で連結することもできる。これにより、作業者の意図に反して第1横アーム71が第1縦アーム70に対し、第3縦アーム74が第2横アーム73に対して過度に回転することを抑制して、搬送装置33等に詰まった穀稈の取除作業をより安全に行うことができる。なお、第1縦アーム70の下部と第1横アーム71の後部の間に設けられた抵抗体65は第1回転軸75Aの外周部に設けられ、第1横アーム71の前部と第3縦アーム74の上部の間に設けられた抵抗体65は第3回転軸79Aの外周部に設けられている。
【0049】
図12に示すように、抵抗体65は、円筒状の受筒体66と押筒体67で形成されている。受筒体66の内周部は第1回転軸75A等に外嵌され、受筒体66における押筒体67に対向する対向面には、径方向の所定の位置に周方向に90度隔てて4個の溝部66Aが形成されている。また、押筒体67の外周部は第1横アーム71の右部等に内嵌され、押筒体67における受筒体66に対向する対向面には、径方向の所定の位置に鋼球等の摺動部材67Aと摺動部材67Aを受筒体66に向かって付勢するスプリング等の付勢手段67Bが設けられている。
【0050】
溝部60Aは半球形状、V字形状に形成し、摺動部材67Aは真球形状、楕球形状に形成することができる。また、押筒体67の対向面に、径方向の所定の位置に180度隔てて2組の摺動部材67Aと付勢手段67Bや、径方向の所定の位置に90度隔てて4組の摺動部材67Aと付勢手段67Bを設けることもできる。
【0051】
第1回転軸75Aを中心として第1横アーム71等を回転させた場合、押筒体67の摺動部材67Aは受筒体66の対向面の径方向の所定の位置を周方向に向かって移動した後に、受筒体66の溝部66Aに嵌まり込む。これにより、押筒体67の摺動部材67Aの周方向の移動が規制されて、作業者の意図に反して第1横アーム71等の回転を防止して、搬送装置33等に詰まった穀稈の取除作業をより安全に行うことができる。
【0052】
受筒体66における押筒体67に対向する対向面に、コルク、ゴム、スポンジ、樹脂等の滑止め部材68を被覆することが好ましい。これにより、作業者の意図に反して第1横アーム71と第2横アーム73が過度に回転することを防止して、搬送装置33等に詰まった穀稈の取除作業をさらに安全に行うことができる。
【0053】
図13に示すように、第1回転軸75Aが内装された第1縦アーム70は、引起装置31Bと引起装置31Cの左右方向の中心よりも右側に偏移して設けられている。これにより、引起装置31Aと引起装置31Bで引起こされた穀稈と引起装置31Cと引起装置31Dで引起こされた穀稈が合流する左搬送装置33Aと右搬送装置33Bが接近する合流位置に詰まった穀稈を取除く場合に、引起装置31Bと引起装置31Cを前方右側に移動させて搬送装置33等の前側により大きな作業空間が形成され、穀稈をより容易に取除くことができる。
【0054】
伝動筒24の前部と、支持アーム61の第1横アーム71の基部の前部と、第2横アーム73の先端部の前部には、固定用ピン95を貫通させる開口部が設けられている。これにより、支持アーム61の収納姿勢時(収穫作業姿勢時)には、伝動筒24に、支持アーム61の第1横アーム71と第2横アーム73が固定して、第1横アーム71と第2横アーム73が回転して支持アーム61が開放姿勢になるのを防止することができる。
【0055】
また、
図40~42に示すように、固定用ピン95に換えて、収納姿勢時(収穫作業姿勢時)に支持アーム61を伝動筒24に固定して引起装置31Bと引起装置31Cが移動することを規制する固定機構Aを設けても良い。
【0056】
即ち、支持アーム61の第1横アーム71及び第2横アーム73の先端部に各々第1円筒71a及び第2円筒73aを固定して設け、第1円筒71a内に挿通部材としての第1丸パイプ71b下部を嵌入して固定し、第2円筒73a内に挿通部材としての第2丸パイプ73b上部を嵌入して固定している。
【0057】
そして、支持アーム61収納姿勢時に第1円筒71a内に嵌入した第1丸パイプ71b及び第2円筒73a内に嵌入した第2丸パイプ73bと同一軸心となる位置に嵌入孔24aを有する固定用ブラケット24bが刈取フレーム20を構成する伝動筒24下面に固定されている。
【0058】
そして、第1円筒71a内に嵌入した第1丸パイプ71b及び第2円筒73a内に嵌入した第2丸パイプ73b内に下方から固定体としての丸棒300を挿通し、該丸棒300上部に第1挿通孔300aを設け、固定用ブラケット24bの嵌入孔24aを挿通した丸棒300上部の第1挿通孔300aに第1ピン301aを挿通してスナップピンにて抜け止めし、第1丸パイプ71bを挿通した位置にも丸棒300に第2挿通孔300bを設けて第2ピン301bを挿通してスナップピンにて抜け止めする。
【0059】
従って、支持アーム61が収納姿勢時(収穫作業姿勢時)に、支持アーム61の第1横アーム71及び第2横アーム73の先端部に各々設けた第1円筒71a内に嵌入した第1丸パイプ71b及び第2円筒73a内に嵌入した第2丸パイプ73bに下方から丸棒300を挿通して、該丸棒300上部を刈取フレーム20の構成部材である伝動筒24に設けた固定用ブラケット24bの嵌入孔24aに挿通して、丸棒300を第1ピン301a及び第2ピン301bにて抜け止めして、支持アーム61を刈取フレーム20の構成部材である伝動筒24に固定して引起装置31Bと引起装置31Cが移動することを適切に規制することができる。
【0060】
なお、第1丸パイプ71b及び第2丸パイプ73bに挿通する丸棒300は、中実丸棒でも中空丸棒(丸パイプ)でも良い。
【0061】
また、第1円筒71a及び第2円筒73aを第1角筒71a及び第2角筒73aとし、各々に嵌入する部材を第1丸パイプ71b及び第2丸パイプ73bに換えて第1角パイプ71b及び第2角パイプ73bとし、該第1角パイプ71b及び第2角パイプ73bに丸棒300を挿通しても良く、丸棒300に換えて角棒300を挿通しても良い。
【0062】
即ち、各部材の形状は、如何なる形状でも良い。
【0063】
また、丸棒300の抜け止めとして第1ピン301a及び第2ピン301bを用いたが、スナップピンにて丸棒300の抜け止めをしても良い。
【0064】
また、第2ピン301bは、省略しても良い。
【0065】
<揺動部品>
図14に示すように、伝動筒22の左右方向の中間部から前側に向かって形成された前後フレーム26が設けられている。前後フレーム26における前側部には上側に向けて左右一対の略矩形状の固定プレート27が立設されている。
【0066】
固定プレート27の前部には、揺動部品28が回転自在に支持されている。揺動部品28は、左右一対の固定プレート27の間に設けられた矩形状の回転プレート28Aと、回転プレート28Aの上部から後側上方に向かって延在する延在部28Bと、延在部28Bの後部から左右方向に延在する連結部28Cから形成されている。また、連結部28Cの左部は引起装置31Bの後面の下部に連結され、連結部28Cの右部は引起装置31Cの後面の下部に連結されている。
【0067】
固定プレート27における前側下部に形成された開口部27aと回転プレート28Aにおける前側下部に形成された開口部28aには、ピン29が挿通され、固定プレート27の後部に形成されたネジ部27bと回転プレート28Aの後部に形成された開口部28bにはボルト等の固定手段が挿通されている。これにより、
図15,16に示すように、前方に引起装置31Bと引起装置31Cの上部を移動させる場合には、固定手段を取外し、揺動部品28をピン29を中心として反時計方向に回転させて、引起装置31Bと引起装置31Cの上部を前方に引出して搬送装置33の前側の作業空間をより大きくすることができる。
【0068】
ピン29には、ストレートピン、段付きピン、ストレートピンの一側に折曲げ部を形成したL字ピン等を使用することができる。ストレートピンを使用する場合には、ストレートピンの両端部に貫通孔を形成してスナップピンや割りピンを挿通するのが好ましい。また、段付きピンを使用する場合には、固定プレート27の側面に段付きピンの段差部が侵入するザグリを形成し、段付きピンの段差部が形成されていない他側に貫通孔を形成してスナップピンや割りピンを挿通するのが好ましい。さらに、L字ピンを使用する場合には、固定プレート27の側面にL字ピンの折曲げ部が係合する係合部(図示省略)を設け、L字ピンの折曲げ部が形成されていない他側に貫通孔を形成してスナップピンや割りピンを挿通するのが好ましい。これにより、ピン29が、固定プレート27と回転プレート28Aの開口部から脱落するのを防止することができる。
【0069】
また、
図17(a),(b)に示すように、ピン29の両端部に径方向に突出する突起部29aを形成することができる。このピン29を使用する場合には、
図17(c),(d)に示すように、回転プレート28Aの開口部28aに突起部29aを挿通する径方向に延在する溝部28cを形成し、
図17(e),(f)に示すように、固定プレート27の開口部27aに突起部29aを挿通する径方向に延在する溝部27cを形成する。これにより、ピン29を固定プレート27の開口部27aと回転プレート28Aの開口部28aに挿通させた後に、ピン29を軸心回りに回転させてピン29を容易に固定することができる。
【0070】
<第1形態の連結部品>
図18~20には、第1形態の連結部品93が図示されている。第1横アーム71の上部には、第1縦アーム70の前側から第2縦アーム72の前側まで延在する第1リブ71Aが立設され、第2横アーム73の上部には、第2縦アーム72の前側から第3縦アーム74の前側まで延在する第2リブ73Aが立設されている。
【0071】
第1形態の連結部品93の下部には凹部93Aが形成され、上部には開口部93Bが形成されている。連結部品93の上部は、第1リブ71Aの前部に左右方向に延在するピン94を介して回転自在に支持されている。これにより、
図27に示すように、引起装置31Bと引起装置31Cを前方に移動させた場合には、連結部品93の凹部93Aを第2リブ73Aに係合させて第2横アーム73が第2縦アーム72を中心として回転するのを規制して、作業者と第2横アーム73の接触を防止して搬送装置33等に詰まった穀稈を安全に取除くことができる。
【0072】
ピン94には、ストレートピン、段付きピン等を使用することができる。ストレートピンを使用する場合には、ストレートピンの両端部に開口部を形成してスナップピンや割りピンを挿通するのが好ましい。また、段付きピンを使用する場合には、段付きピンの段差部が形成されていない他側に開口部を形成してスナップピンや割りピンを挿通するのが好ましい。これにより、ピン94が、第1リブ71Aの前部から脱落するのを防止することができる。また、ピンに替えてボルト等の締結手段を使用することもできる。また、ピン94に替えてボルト等の締結部品を使用することもできる。
【0073】
また、連結部品93は、一体的に形成されているが、左側連結部と右側連結部を分割して形成してホルト等の締結部品で連結して形成することもできる。
【0074】
<搬送装置に詰まった穀稈の取除き作業>
引起装置31Bと引起装置31Cの後方に位置する搬送装置33等に穀稈が詰まった場合には、エンジンEを停止した後、
図21~23に示すように、引起装置31Bと引起装置31Cを前方に手動で移動させて開放姿勢にする。これにより、搬送装置33等の前側に大きな作業空間が形成され、穀稈を容易に取除くことができる。また、
図16に示すように、揺動部品28を回転させて引起装置31Bと引起装置31Cの上部を前方に引出すのが好ましい。これにより、搬送装置33等の前側により大きな作業空間が形成され、穀稈をより容易に取除くことができる。
【0075】
図24に示すように、引起装置31Bと引起装置31Cを前方に手動で移動させた場合には、第1縦アーム70の軸心視で、第1縦アーム70を中心として第1横アーム71が時計方向に90度回転して、第2縦アーム72の軸心視で、第2縦アーム72を中心として第2横アーム73が反時計方向に90度回転して、第1横アーム71の長手方向と第2横アーム73の長手方向が前後方向に沿って延在する。これにより、引起装置31Bと引起装置31Cの穀稈を搬送するラグが上下方向に移動することを防止することができ、引起装置31Bと引起装置31Cを後方に移動させて収納姿勢にした場合には、ラグの位置も移動前の位置に移動させることができる。また、詰まった穀稈を取除いた後に、引起装置31Bと引起装置31Cを収納姿勢にして迅速に再駆動することができる。また、
図18等に示すように、連結部品93の凹部93Aを第2横アーム73の第2リブ73Aに係合させるのが好ましい。これにより、第2横アーム73の回転が規制されて第2横アーム73が作業者に接触するのを抑制して搬送装置33等に詰まった穀稈をより安全に取除くことができる。
【0076】
引起装置31Bと引起装置31Cの後方右側に位置する搬送装置33等に穀稈が詰まった場合には、エンジンEを停止した後、
図25~27に示すように、引起装置31Bと引起装置31Cを前方左側に手動で移動させて開放姿勢にする。これにより、引起装置31Bと引起装置31Cを前方左側に移動させて搬送装置33等の前側に大きな作業空間が形成され、穀稈を容易に取除くことができる。
【0077】
図28に示すように、引起装置31Bと引起装置31Cを前方左側に手動で移動させた場合には、第1縦アーム70の軸心視で、第1縦アーム70を中心として第1横アーム71が時計方向に60度回転して、第2縦アーム72の軸心視で、第2縦アーム72を中心として第2横アーム73が反時計方向に120度回転して、第1横アーム71の長手方向と第2横アーム73の長手方向が前後方向と交差角度30度で交差する仮想線L1沿って延在する。これにより、引起装置31Bと引起装置31Cの穀稈を搬送するラグが上下方向に移動することを抑制することができ、引起装置31Bと引起装置31Cを後方に移動させて収納姿勢にした場合には、ラグの位置も移動前の位置に移動させることができる。また、詰まった穀稈を取除いた後に、引起装置31Bと引起装置31Cを収納姿勢にして迅速に再駆動することができる。さらに、
図18等に示すように、連結部品93の凹部93Aを第2横アーム73の第2リブ73Aに係合させるのが好ましい。これにより、第2横アーム73の回転が規制されて第2横アーム73が作業者に接触するのを抑制して搬送装置33等に詰まった穀稈をより安全に取除くことができる。
【0078】
引起装置31Bと引起装置31Cの後方左側に位置する搬送装置33等に穀稈が詰まった場合には、エンジンEを停止した後、
図29~31に示すように、引起装置31Bと引起装置31Cを前方右側に手動で移動させて開放姿勢にする。これにより、引起装置31Bと引起装置31Cを前方右側に移動させて搬送装置33等の前側に大きな作業空間が形成され、穀稈を容易に取除くことができる。
【0079】
図32に示すように、引起装置31Bと引起装置31Cを前方右側に手動で移動させた場合には、第1縦アーム70の軸心視で、第1縦アーム70を中心として第1横アーム71が時計方向に120度回転して、第2縦アーム72の軸心視で、第2縦アーム72を中心として第2横アーム73が反時計方向に60度回転して、第1横アーム71の長手方向と第2横アーム73の長手方向が前後方向と交差角度30度で交差する仮想線L2沿って延在する。これにより、引起装置31Bと引起装置31Cの穀稈を搬送するラグが上下方向に移動することを抑制することができ、引起装置31Bと引起装置31Cを後方に移動させて収納姿勢にした場合には、ラグの位置も移動前の位置に移動させることができる。また、詰まった穀稈を取除いた後に、引起装置31Bと引起装置31Cを収納姿勢にして迅速に再駆動することができる。さらに、
図18等に示すように、連結部品93の凹部93Aを第2横アーム73の第2リブ73Aに係合させるのが好ましい。これにより、第2横アーム73の回転が規制されて第2横アーム73が作業者に接触するのを抑制して搬送装置33等に詰まった穀稈をより安全に取除くことができる。
【0080】
<左株元搬送装置>
図33,34に示すように、左株元搬送装置34Aは、左株元搬送チェン34aが巻回されるスプロケット100と、スプロケット100の出力回転が伝動される穀稈の株元を掻込むスターホイール101とラグ付きベルトを巻回すプーリ102が設けられている。また、スプロケット100とスターホイール101を連結する回転軸を内装した筒体103には、前方に向かって延在する前フレーム104の後部と、後方に向かって延在する後フレーム105の前部が固定されている。これにより、筒体103を前フレーム104と後フレーム105を介して機体フレーム1に強固に支持することができる。なお、前フレーム104の前部は機体フレーム1に立設されたフレーム(図示省略)に固定され、後フレーム105の後部は伝動筒22の左部に固定されている。また、プーリ102の上側には保護カバー106が設けられている。
【0081】
<張力調整機構>
図35,36に示すように、穀稈を引起すラグ付きチェン110は、引起装置31Bの上部に設けられた第1スプロケット111と、第1スプロケット111の右側に設けられたテンションスプロケット112と、引起装置31Bの下部に設けられた第2スプロケット113に巻回されている。
【0082】
第1スプロケット111は回転軸111Aに支持され、回転軸111Aの前部は引起装置31Bの前カバー116に回転自在に支持され、回転軸111Aの後部は支持部材114を介して引起装置31Bの後カバー117に回転自在に支持されている。なお、回転軸111Aには第3縦アーム74に内装された回転軸87の出力回転がギヤ88等を介して伝動されている。
【0083】
テンションスプロケット112は回転軸112Aの前部に支持され、回転軸112Aの後部は、支持部材114に回転自在に支持されたテンションアーム115の右部に回転自在に支持されている。また、第2スプロケット113は回転軸113Aに支持され、回転軸113Aの前部は引起装置31Bの前カバー116に回転自在に支持され、回転軸113Aの後部は引起装置31Bの後カバー117に回転自在に支持されている。
【0084】
これにより、回転軸111Aの軸心視において、チェン110を反時計方向に回動させて、倒伏した穀稈を引起装置31Aと引起装置31Bで引起こして左刈刃装置32Aで穀稈の株元を効率良く切断することができる。
【0085】
穀稈を引起すラグ付きチェン210は、引起装置31Cの上部に設けられた第1スプロケット211と、第1スプロケット211の左側に設けられたテンションスプロケット212と、引起装置31Bの下部に設けられた第2スプロケット213に巻回されている。
【0086】
第1スプロケット211は回転軸211Aに支持され、回転軸211Aの前部は引起装置31Cの前カバー216に回転自在に支持され、回転軸211Aの後部は支持部材214を介して引起装置31Cの後カバー217に回転自在に支持されている。なお、回転軸211Aには第3縦アーム74に内装された回転軸87の出力回転がギヤ89等を介して伝動されている。
【0087】
テンションスプロケット212は回転軸212Aの前部に支持され、回転軸212Aの後部は、支持部材114に回転自在に支持されたテンションアーム215の右部に回転自在に支持されている。また、第2スプロケット213は回転軸213Aに支持され、回転軸213Aの前部は引起装置31Cの前カバー216に回転自在に支持され、回転軸213Aの後部は引起装置31Cの後カバー217に回転自在に支持されている。
【0088】
これにより、回転軸211Aの軸心視において、チェン210を時計方向に回動させて、倒伏した穀稈を引起装置31Cと引起装置31Dで引起こして右刈刃装置32Bで穀稈の株元を効率良く切断することができる。
【0089】
図40~42に示すように、第3縦アーム74の左開口部の外周部には上下方向に延存する矩形状の縦部材120の下部が装着され、第3縦アーム74の右開口部の外周部には上下方向に延存する矩形状の縦部材220の下部が装着されている。また、縦部材120と縦部材220の上部は左右方向に延在する矩形状の横部材121で連結されている。
【0090】
横部材121におけるテンションアーム115の左部に対向する部位には、上下方向に延在するテンションロッド122が設けられ、テンションロッド122の下部とテンションアーム115の左部はスプリング等の付勢部品123を介して連結されている。また、テンションロッド122には横部材121よりも下方に延在するロッド長さを調整するボルト等の調整手段124が設けられている。これにより、付勢部品123を介してテンションアーム115の左部を上側方向に付勢する張力を調整して、第1スプロケット111等に巻回されたチェン110の脱落を防止することができる。
【0091】
横部材121におけるテンションアーム215の右部に対向する部位には、上下方向に延在するテンションロッド222が設けられ、テンションロッド222の下部とテンションアーム215の右部はスプリング等の付勢部品223を介して連結されている。また、テンションロッド222には横部材121よりも下方に延在するロッド長さを調整するボルト等の調整手段224が設けられている。これにより、付勢部品223を介してテンションアーム215の右部を上側方向に付勢する張力を調整して、第1スプロケット211等に巻回されたチェン210の脱落を防止することができる。
【0092】
図37~38に図示した形態は、縦部材120と縦部材220の上部を横部材121で連結しているが、縦部材120の上部に右側に向かって延在する左プレートを設け、縦部材220の上部に左側に向かって延在する右プレートを設け、左プレートの右部にテンションロッド122を設け、右プレートの左部にテンションロッド222を設けることもできる。
【0093】
<その他の実施形態>
図43及び44は、他の実施形態である5条刈りの刈取装置3の正面図及び側面図を示し、引起装置31を電動モータ400にて駆動する例を示す。
【0094】
即ち、引起装置31の5つの引起装置31A、引起装置31B、引起装置31C、引起装置31D、引起装置31Eは、各々の上部裏面に設けた電動モータ400A、400B、400C,400D、400Eにて駆動される。
【0095】
従って、引起装置31の駆動系が電動モータ400A、400B、400C,400D、400Eへの配線ですみ、引起装置31の駆動系が簡潔となり、低重量化及び部品点数削減が行える。
【0096】
電動モータ400A、400B、400C,400D、400Eは、各々引起装置31A、引起装置31B、引起装置31C、引起装置31D、引起装置31E上部で穀稈を引起すラグ付きチェンの巻回内側の中心に配置されている。
【0097】
また、車体前方の未刈り穀稈を撮影するカメラを車体に設けて、該カメラにて未刈り穀稈が倒伏していることを認識した場合には、倒伏している未刈り穀稈を引起こす引起装置(31A、31B、31C、31Dまたは31E)の電動モータ(400A、400B、400C,400Dまたは400E)の駆動回転を上昇させて倒伏穀稈の引起し性能をあげる。
【0098】
従って、引起装置(31A、31B、31C、31Dまたは31E)を刈取り穀稈の倒伏状態にあわせた引起し速度にすることができ、搬送姿勢が安定して良好な収穫作業が行える。
【0099】
また、引起しラグが向かい合って穀稈を引起す引起装置31A及び引起装置31Bと引起装置31D及び引起装置31Eは、電動モータ400A、400B、400D、400Eの回転速度を単一の引起しラグにて穀稈を引起こす引起装置Cの電動モータ400Cの回転速度よりも速くしている。
【0100】
従って、各引起しラグの移送がずれないようにすることができ、引起しラグの破損を防止できる。
【符号の説明】
【0101】
1 機体フレーム
3 刈取装置
4 脱穀装置
20 刈取フレーム
24 伝動ケース(伝動筒)
24a 嵌入孔
24b 固定用ブラケット
31A 引起装置
31B 引起装置
31C 引起装置
31D 引起装置
32 刈刃装置
33 搬送装置
61 支持アーム
71 第1横アーム
71b 挿通部材(第1丸パイプ)
73 第2横アーム
73b 挿通部材(第2丸パイプ)
300 固定体(丸棒)
A 固定機構
E エンジン