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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008794
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】診断機能付給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240112BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J7/34 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202329
(22)【出願日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2022108892
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳武 央也
(72)【発明者】
【氏名】三好 宏明
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA06
5G015FA18
5G015GA07
5G015GB01
5G015JA05
5G015JA21
5G015JA33
5G015JA42
5G015JA52
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA05
5G503EA09
5G503FA14
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】負荷への給電を維持しながら、バイパス回路の故障の有無を診断することが可能な診断機能付給電装置を提供する。
【解決手段】診断機能付給電装置100は、給電回路10と、一端が給電回路10の入力側に接続され、他端が給電回路10の出力側に接続され、直列に接続された診断用開閉スイッチSW3と第一電圧検出部21とバイパス動作用スイッチ25、SW4とを有するバイパス回路20と、制御部30と、を備える。制御部30は、診断用開閉スイッチSW3をオフにした状態で、バイパス動作用スイッチ25、SW4をオンにして、第一電圧検出部21によって給電回路10の出力側電圧を測定することで、バイパス回路20の接続を診断することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断機能付給電装置であって、
給電回路と、
一端が前記給電回路の入力側に接続され、他端が前記給電回路の出力側に接続され、直列に接続された診断用開閉スイッチと第一電圧検出部とバイパス動作用スイッチとを有するバイパス回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記診断用開閉スイッチをオフにした状態で、前記バイパス動作用スイッチをオンにして、前記第一電圧検出部によって前記給電回路の出力側電圧を測定することで、前記バイパス回路の接続状態を診断することを特徴とする、診断機能付給電装置。
【請求項2】
前記診断機能付給電装置は、
メンテナンスバイパス回路を更に備え、
前記メンテナンスバイパス回路は、前記給電回路と前記メンテナンスバイパス回路を切り替える切替スイッチを有し、
前記制御部は、前記切替スイッチを前記メンテナンスバイパス回路に切り替えて、診断用開閉スイッチをオフにした状態で、前記バイパス動作用スイッチをオンにして、前記第一電圧検出部によって前記メンテナンスバイパス回路の前記出力側電圧を測定することで、前記バイパス回路の接続状態を診断する、請求項1に記載の診断機能付給電装置。
【請求項3】
前記バイパス回路は、
前記診断用開閉スイッチよりも前記給電回路の前記入力側に配置される第二電圧検出部と、
前記バイパス動作用スイッチよりも前記給電回路の前記出力側に配置される第三電圧検出部と、をさらに有し、
前記制御部は、
前記診断用開閉スイッチをオフにした状態で、前記バイパス動作用スイッチをオンにして、前記第三電圧検出部によって測定する前記出力側電圧と、前記第一電圧検出部によって測定する電圧との差分を測定し、前記バイパス動作用スイッチをオフにした状態で、前記診断用開閉スイッチをオンにして、前記第二電圧検出部によって測定する入力側電圧と、前記第一電圧検出部によって測定する電圧との差分を測定することで、前記バイパス回路の接続状態を診断する、請求項1に記載の診断機能付給電装置。
【請求項4】
診断機能付給電装置であって、
給電回路と、
一端が前記給電回路の入力側に接続され、他端が前記給電回路の出力側に接続され、直列に接続された診断用開閉スイッチとバイパス動作用スイッチとを有するバイパス回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
診断対象以外のスイッチをオフにした状態で、診断対象のスイッチをオフ/オンして診断対象のスイッチの異常を判定することを、順次全てのスイッチについて診断し、
診断対象のスイッチがオンできない異常と判定した場合に、診断処理を継続し、
診断対象のスイッチがオフできない異常と判定した場合に、診断処理を中止することを特徴とする、診断機能付給電装置。
【請求項5】
前記バイパス動作用スイッチは、互いに動作原理が異なる第一バイパス動作用スイッチと第二バイパス動作用スイッチから構成される、請求項4に記載の診断機能付給電装置。
【請求項6】
前記バイパス回路は、
電圧検出部と、
をさらに有し、
前記電圧検出部は、
前記診断用開閉スイッチと前記バイパス動作用スイッチとの間に配置される第一電圧検出部と
前記診断用開閉スイッチよりも前記給電回路の前記入力側に配置される第二電圧検出部と、
前記バイパス動作用スイッチよりも前記給電回路の前記出力側に配置される第三電圧検出部と、
から構成され、
前記電圧検出部によって検出される電圧、前記電圧検出部によって検出される電圧の差分、または、前記診断用開閉スイッチと前記第二バイパス動作用スイッチが備える補助接点の状態によって、前記診断対象のスイッチの異常を判定する、請求項5に記載の診断機能付給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断機能付給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給電装置において、負荷への給電を維持しながら、給電回路のメンテナンスを行うことが可能な給電装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、給電回路と、バイパス回路と、給電回路とバイパス回路を自動的に切り替える切替スイッチを備えた給電装置が開示されている。このような構成により、バイパス回路を経由して負荷への給電を行いながら、給電回路のメンテナンスが可能となる。
【0004】
また、例えば、特許文献2では、給電回路と、バイパス回路と、給電回路とバイパス回路を自動的に切り替える切替スイッチと、切替スイッチの故障を検出する故障診断機能を備えた給電装置が開示されている。このような構成により、切替スイッチが正常な状態においてバイパス回路を経由して負荷への給電を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-245444号公報
【特許文献2】特開2013-150415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記給電装置は、負荷への給電を維持しながら、バイパス回路の断線等の故障の有無を診断することができないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、負荷への給電を維持しながら、バイパス回路の故障の有無を診断し、故障個所の特定をすることが可能な診断機能付給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る診断機能付給電装置は、
給電回路と、
一端が前記給電回路の入力側に接続され、他端が前記給電回路の出力側に接続され、直列に接続された診断用開閉スイッチと第一電圧検出部とバイパス動作用スイッチとを有するバイパス回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記診断用開閉スイッチをオフにした状態で、前記バイパス動作用スイッチをオンにして、前記第一電圧検出部によって前記給電回路の出力側電圧を測定することで、前記バイパス回路の接続状態を診断することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一側面に係る診断機能付給電装置は、
給電回路と、
一端が前記給電回路の入力側に接続され、他端が前記給電回路の出力側に接続され、直列に接続された診断用開閉スイッチとバイパス動作用スイッチとを有するバイパス回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
診断対象以外のスイッチをオフにした状態で、診断対象のスイッチをオフ/オンして診断対象のスイッチの異常を判定することを、順次全てのスイッチについて診断し、
診断対象のスイッチがオンできない異常と判定した場合に、診断処理を継続し、
診断対象のスイッチがオフできない異常と判定した場合に、診断処理を中止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、負荷への給電を維持しながら、バイパス回路の故障の有無を診断し、故障個所の特定をすることが可能な診断機能付給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態に係る診断機能付給電装置の回路図である。
図2】本発明の第二実施形態に係る診断機能付給電装置の回路図である。
図3】第一実施形態および第二実施形態に係る診断機能付給電装置のバイパス回路の故障診断のフローチャートである。
図4】第三実施形態に係る診断機能付給電装置のバイパス回路の故障診断のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0013】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る診断機能付給電装置100の回路図である。図1に示すように、診断機能付給電装置100は、給電回路10と、バイパス回路20と、制御部30と、操作表示部40と、入力端子T1と、出力端子T2を備える。
【0014】
給電回路10は、交流電源300から入力される交流電力を電力変換し、負荷400へ供給するための回路である。
給電回路10は、入力側スイッチSW1と、整流部11と、バッテリ12と、インバータ部13と、出力側スイッチSW2を有する。入力側スイッチSW1と、整流部11と、インバータ部13と、出力側スイッチSW2は、互いに直列に接続されている。バッテリ12は、整流部11の出力ノードとインバータ部13の入力ノードに接続されている。
【0015】
図1に示すように、入力側スイッチSW1がオン状態の時、交流電源300から入力端子T1を経由して交流電力が整流部11へ入力される。整流部11は、半波整流回路や全波整流回路及び平滑回路等で構成され、入力された交流電力を直流電力に変換する。通常動作時では、整流部11は、バッテリ12及びインバータ部13へ直流電力を供給する。停電時では、交流電源300から交流電力が入力されないため、バッテリ12がインバータ部13へ直流電力を供給する。インバータ部13は、整流部11またはバッテリ12から供給された直流電力を商用周波数の交流電力に変換する。出力側スイッチSW2がオン状態の時、インバータ部13は、出力端子T2を経由して交流電力を負荷400へ供給する。
【0016】
バイパス回路20は、給電回路10に故障等が発生した場合に、交流電源300から入力される交流電力を、給電回路10をバイパスして、負荷400へ供給するための回路である。バイパス回路20を備えることで、診断機能付給電装置100は、非絶縁型の無停電電源装置として機能する。
【0017】
バイパス回路20は、給電回路10と並列に接続されており、診断用開閉スイッチSW3と、第一バイパス動作用スイッチ(ACSW)25と、第二バイパス動作用スイッチSW4と、第一電圧検出部21と、第二電圧検出部22と、第三電圧検出部24(以降、第一電圧検出部21、第二電圧検出部22、第三電圧検出部24をまとめて電圧検出部とも呼ぶ)を有する。診断用開閉スイッチSW3と、第一バイパス動作用スイッチ25は、互いに直列に接続されていて、第二バイパス動作用スイッチSW4は、第一バイパス動作用スイッチ25と並列に接続されている。
なお、診断用開閉スイッチSW3と、第二バイパス動作用スイッチSW4は、補助接点を備えてもよい。また、第一バイパス動作用スイッチ25は、例えば半導体スイッチであり、第二バイパス動作用スイッチSW4は、例えば機械駆動型スイッチであり、両スイッチは互いに動作原理が異なる。
【0018】
診断用開閉スイッチSW3は、バイパス回路20の接続を診断するためのスイッチである。第一バイパス動作用スイッチ25と、第二バイパス動作用スイッチSW4は、交流電源300から入力される交流電力がバイパス回路20を経由して負荷400へ供給されるためのスイッチである。
【0019】
第一バイパス動作用スイッチ25は、電気信号によってオン/オフ制御されるスイッチである。そのため、応答速度が速いが、発熱しやすい。第二バイパス動作用スイッチSW4は、機械的にオン/オフ制御されるスイッチである。そのため、応答速度が遅いが、発熱しにくい。
【0020】
上記2つのスイッチを用いて、制御部30は、交流電源300から入力される交流電力の経路を、給電回路10からバイパス回路20へと切り替える。具体的には、制御部30は、まず、第一バイパス動作用スイッチ25と第二バイパス動作用スイッチSW4に、オン状態となるように同時に制御信号を送信する。その結果、第一バイパス動作用スイッチ25の方が先にオン状態となり、後から第二バイパス動作用スイッチSW4がオン状態となる。第二バイパス動作用スイッチSW4がオン状態になったら、制御部30は、第一バイパス動作用スイッチ25をオフ状態となるように制御信号を送信する。このような手順で2つのスイッチを制御することで、発熱による第一バイパス動作用スイッチ25の故障を防止し、交流電源300から入力される交流電力の経路を、給電回路10からバイパス回路20へと、瞬時に切り替えることが可能となる。
【0021】
第一電圧検出部21は、診断用開閉スイッチSW3と、第一バイパス動作用スイッチ25及び第二バイパス動作用スイッチSW4との間に配置され、給電回路10の入力側及び出力側の電圧を測定する。第三電圧検出部24は、第一バイパス動作用スイッチ25及び第二バイパス動作用スイッチSW4よりも給電回路10の出力側に配置され、給電回路10の出力側の電圧を測定する。第二電圧検出部22は、診断用開閉スイッチSW3よりも給電回路10の入力側に配置され、給電回路10の入力側の電圧を測定する。
【0022】
図1に示すように、診断用開閉スイッチSW3がオン状態の時、交流電源300から入力端子T1を経由して交流電力がバイパス回路20へ入力される。第一バイパス動作用スイッチ25または第二バイパス動作用スイッチSW4がオン状態の時、バイパス回路20は、出力端子T2を経由して交流電力を負荷400へ供給する。
【0023】
制御部30は、図1に示すように、給電回路10の入力側スイッチSW1、整流部11、インバータ部13、出力側スイッチSW2と、バイパス回路20の診断用開閉スイッチSW3、第一バイパス動作用スイッチ25、第二バイパス動作用スイッチSW4を制御し、第一電圧検出部21、第二電圧検出部22、第三電圧検出部24の電圧を測定する。
【0024】
具体的には、給電回路10のメンテナンス動作時以外の通常動作時では、制御部30は、入力側スイッチSW1と出力側スイッチSW2をオンにして、診断用開閉スイッチSW3をオン状態とし、第一バイパス動作用スイッチ25と第二バイパス動作用スイッチSW4をオフ状態とする。これにより、交流電源300から入力された交流電力は、給電回路10で電力変換されて、負荷400へ供給される。停電時は、制御部30は、入力側スイッチSW1をオフにして、出力側スイッチSW2をオン状態とし、診断用開閉スイッチSW3をオフとし、第一バイパス動作用スイッチ25と第二バイパス動作用スイッチSW4をオフ状態とする。これにより、バッテリ12から入力された直流電力は、給電回路10で電力変換されて、負荷400へ供給される。
【0025】
さらに、通常動作時において、バイパス回路20の接続を診断する時は、診断用開閉スイッチSW3をオフにした状態で、第一バイパス動作用スイッチ25または第二バイパス動作用スイッチSW4をオンにして、第一電圧検出部21によって、給電回路10の出力側の電圧を測定し、第一電圧検出部21から給電回路10の出力側までの接続を確認する。これにより、負荷400への給電を維持しながら、バイパス回路20の接続等の故障の有無を診断できる。
【0026】
また、メンテナンス動作時では、制御部30は、診断用開閉スイッチSW3と、第一バイパス動作用スイッチ25または第二バイパス動作用スイッチSW4をオンにして、入力側スイッチSW1と出力側スイッチSW2をオフ状態とする。これにより、交流電源300から入力された交流電力は、給電回路10を通ることなくバイパス回路20を経由して、負荷400へ供給される。そのため、給電回路10のパーツ交換等のメンテナンスができる。
【0027】
操作表示部40は、ユーザからの動作モード等の指令を受け付けて、診断機能付給電装置100の現在の動作モードやバイパス回路20の接続診断の結果等を表示する。これにより、ユーザは、診断機能付給電装置100が正常に動作しているかを容易に把握できる。
【0028】
(第二実施形態)
図2は、本発明の第二実施形態に係る診断機能付給電装置200の回路図である。診断機能付給電装置200は、本発明の第一実施形態に係る診断機能付給電装置100に、メンテナンスバイパス回路50と切替スイッチSW5が追加された構成となっている。
【0029】
メンテナンスバイパス回路50は、バイパス回路20のメンテナンス中に、交流電源300から入力される交流電力を、負荷400へ供給するための回路である。メンテナンスバイパス回路50を備えることで、負荷400への給電を維持しながら、バイパス回路20をメンテナンスすることが可能となる。
【0030】
メンテナンスバイパス回路50は、給電回路10及びバイパス回路20と並列に接続されており、接続スイッチSW6を有する。
【0031】
切替スイッチSW5は、メンテナンスバイパス回路50と給電回路10及びバイパス回路20との間に設けられている。
【0032】
ユーザは、図2に示すように、メンテナンスバイパス回路50の接続スイッチSW6と、切替スイッチSW5を操作する。
【0033】
具体的には、バイパス回路20のメンテナンス動作時以外の動作時(給電回路10のメンテナンス動作時、停電時も含む)では、ユーザは、接続スイッチSW6をオフにして、切替スイッチSW5をオン状態とする。これにより、交流電源300から入力された交流電力は、給電回路10で電力変換されて、または、バイパス回路20を経由して、負荷400へ供給される。
【0034】
また、メンテナンス動作時では、ユーザは、接続スイッチSW6をオン状態にして、切替スイッチSW5をオフ状態とする。これにより、交流電源300から入力された交流電力は、給電回路10およびバイパス回路20を通ることなく、メンテナンスバイパス回路50を経由して、負荷400へ供給される、そのため、バイパス回路20のパーツ交換等のメンテナンスができる。
【0035】
さらに、メンテナンス動作時において、バイパス回路20の接続を診断する時は、診断用開閉スイッチSW3をオフにした状態で、第一バイパス動作用スイッチ25または第二バイパス動作用スイッチSW4をオンにして、第一電圧検出部21によって、メンテナンスバイパス回路50の出力側の電圧を測定し、第一電圧検出部21からメンテナンスバイパス回路50の出力側までの接続を確認する。これにより、負荷400への給電を維持しながら、バイパス回路20の接続等の故障の有無を診断できる。
【0036】
なお、給電回路10の入力側スイッチSW1、整流部11、インバータ部13、出力側スイッチSW2と、バイパス回路20の診断用開閉スイッチSW3、第一バイパス動作用スイッチ25、第二バイパス動作用スイッチSW4、第一電圧検出部21、第二電圧検出部22、第三電圧検出部24の、構成および制御部30による制御方法は、本発明の第一実施形態に係る診断機能付給電装置100と同様のため、説明を省略する。
(故障診断処理フロー)
【0037】
図3は、第一実施形態および第二実施形態に係る診断機能付給電装置100、200のバイパス回路の故障診断のフローチャートである。
まず、制御部30は、故障診断の開始条件を満たしているか判断する(S100)。ここで、故障診断の開始条件は、給電回路10によって負荷400への給電が行われていること、給電回路10が過負荷状態でないこと、診断用開閉スイッチSW3がオン状態であること、第二バイパス動作用スイッチSW4、第一バイパス動作用スイッチ25がオフ状態であることである。なお、第二実施形態に係る診断機能付給電装置200の場合は、接続スイッチSW6がオン状態であることも故障診断の開始条件に含まれる。
【0038】
故障診断の開始条件を満たしていれば(S100のYes)、制御部30は、故障診断が開始可能である旨を操作表示部40に表示し(S101)、ユーザからの診断開始の指示を受け付ける(S102)。ユーザが操作表示部40に診断開始の指示を入力すると(S102のYes)、制御部30は、ステップS103以降の診断処理を実行する。
【0039】
制御部30は、診断用開閉スイッチSW3をオフにする(S103)。また、制御部30は、第一電圧検出部21によって電圧を測定し、測定した電圧が所定値以下であるかを判断する(S104)。測定した電圧が所定値を超えれば(S104のNo)、制御部30は、診断機能付給電装置が異常である旨を操作表示部40に表示する(S118)。測定した電圧が所定値以下であれば(S104のYes)、次のステップS105に移行する。
【0040】
制御部30は、診断用開閉スイッチSW3をオンにする(S105)。また、制御部30は、第一電圧検出部21によって電圧を測定し、測定した電圧が所定値以上であるかを判断する(S106)。測定した電圧が所定値未満であれば(S106のNo)、制御部30は、診断機能付給電装置が異常である旨を操作表示部40に表示して(S118)、故障診断を終了する。測定した電圧が所定値以上であれば(S106のYes)、制御部30は、診断用開閉スイッチSW3をオフにして(S107)、次のステップS108に移行する。
【0041】
以上のステップS103からステップS106までの処理によって、診断用開閉スイッチSW3のオン/オフが正常に動作しているかを診断することができる。
【0042】
次に、制御部30は、第二バイパス動作用スイッチSW4をオンにする(S108)。また、第一電圧検出部21によって電圧を測定し、測定した電圧が所定値以上であるかを判断する(S109)。測定した電圧が所定値未満であれば(S109のNo)、制御部30は、診断機能付給電装置が異常である旨を操作表示部40に表示して(S118)、故障診断を終了する。測定した電圧が所定値以上であれば(S109のYes)、次のステップS110に移行する。
【0043】
制御部30は、第二バイパス動作用スイッチSW4をオフにする(S110)。また、第一電圧検出部21によって電圧を測定し、測定した電圧が所定値以下であるかを判断する(S111)。測定した電圧が所定値を超えれば(S111のNo)、制御部30は、診断機能付給電装置が異常である旨を操作表示部40に表示して(S118)、故障診断を終了する。測定した電圧が所定値以下であれば(S111のYes)、次のステップS112に移行する。
【0044】
以上のステップS108からステップS111までの処理によって、第二バイパス動作用スイッチSW4のオン/オフが正常に動作しているかを診断することができる。
【0045】
次に、制御部30は、第一バイパス動作用スイッチ25をオンにする(S112)。また、第一電圧検出部21によって電圧を測定し、測定した電圧が所定値以上であるかを判断する(S113)。測定した電圧が所定値未満であれば(S113のNo)、制御部30は、診断機能付給電装置が異常である旨を操作表示部40に表示して(S118)、故障診断を終了する。測定した電圧が所定値以上であれば(S113のYes)、次のステップS114に移行する。
【0046】
制御部30は、第一バイパス動作用スイッチ25をオフにする(S114)。また、第一電圧検出部21によって電圧を測定し、測定した電圧が所定値以下であるかを判断する(S115)。測定した電圧が所定値を超えれば(S115のNo)、制御部30は、診断機能付給電装置が異常である旨を操作表示部40に表示して(S118)、故障診断を終了する。測定した電圧が所定値以下であれば(S115のYes)、診断用開閉スイッチSW3をオンにして(S116)、断機能付給電装置が正常である旨を操作表示部40に表示して(S117)、故障診断を終了する。
【0047】
以上のステップS112からステップS115までの処理によって、第一バイパス動作用スイッチ25のオン/オフが正常に動作しているかを診断することができる。
【0048】
このように、給電回路10を稼働させた状態で、診断用開閉スイッチSW3、第一バイパス動作用スイッチ25、第二バイパス動作用スイッチSW4のオン/オフ動作、バイパス回路20内の接続等を診断することができる。つまり、負荷への給電を維持しながら、バイパス回路の故障の有無を診断することができる。
【0049】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態に係る診断機能付給電装置100’について説明する。診断機能付給電装置100’は、図1に示す本発明の第一実施形態に係る診断機能付給電装置100と同じ構成である。次に説明する故障診断処理フローが、図3に示す第一実施形態の故障診断処理フローと異なる。
(故障診断処理フロー)
【0050】
図4は、バイパス回路の故障診断のフローチャートである。図4に示すステップS200~S206、S208~S210、S212~S215、S217~S219は、図3に示すステップS100~S116と同じ処理であるため、説明を省略する。
【0051】
第三実施形態では、ステップS206において、制御部30は、第一電圧検出部21によって測定した電圧が所定値以上であるかを判断し、測定した電圧が所定値未満であれば(S206のNo)、診断用開閉スイッチSW3がオンできない異常結果を記録する(S207)。その後、故障診断を終了せずに、ステップS208以降の処理を継続する。
これにより、診断用開閉スイッチSW3のオン動作に異常があると診断された場合(S206のNo)でも、第二バイパス動作用スイッチSW4、第一バイパス動作用スイッチ25のオン/オフが正常に動作しているかを診断(S210、S213、S215、S218)することができる。
【0052】
同様に、ステップS210において、制御部30は、第一電圧検出部21によって測定した電圧が所定値以上であるかを判断し、測定した電圧が所定値未満であれば(S210のNo)、第二バイパス動作用スイッチSW4がオンできない異常結果を記録する(S211)。その後、故障診断を終了せずに、ステップS212以降の処理を継続する。
これにより、第二バイパス動作用スイッチSW4のオン動作に異常があると診断された場合(S210のNo)でも、第二バイパス動作用スイッチSW4のオフ、第一バイパス動作用スイッチ25のオン/オフが正常に動作しているかを診断(S213、S215、S218)することができる。
【0053】
同様に、ステップS215において、制御部30は、第一電圧検出部21によって測定した電圧が所定値以上であるかを判断し、測定した電圧が所定値未満であれば(S215のNo)、第一バイパス動作用スイッチ25がオンできない異常結果を記録する(S216)。その後、故障診断を終了せずに、ステップS217以降の処理を継続する。
これにより、第一バイパス動作用スイッチ25のオン動作に異常があると診断された場合(S215のNo)でも、第一バイパス動作用スイッチ25のオフが正常に動作しているかを診断(S218)することができる。
【0054】
また、ステップS219において、診断用開閉スイッチSW3をオンにした後、制御部30は、各スイッチにおけるオンできない異常結果が記録されているかを判断する(S220)。異常結果が記録されていない場合(S220のNo)、診断機能付給電装置が正常である旨を操作表示部40に表示する(S221)。異常結果が記録されている場合(S220のYes)、記録されている異常結果を操作表示部40に表示する(S222)。また、ステップS204、S213、S218において、測定した電圧が所定値を超えれば(S204、S213、S218のNo)、制御部30は、診断用開閉スイッチSW3、第二バイパス動作用スイッチSW4、第一バイパス動作用スイッチ25のいずれかが異常である旨を操作表示部40に表示する(S223)。その後、故障診断を終了する。
【0055】
このように、制御部30は、診断対象以外のスイッチをオフにした状態で、診断対象のスイッチをオフ/オンして診断対象のスイッチの異常を判定することを、順次全てのスイッチについて診断する。診断対象のスイッチがオンできない異常と判定した場合、診断処理を継続し、診断対象のスイッチがオフできない異常と判定した場合に、診断処理を中止する。
これにより、給電回路10を稼働させた状態で、診断用開閉スイッチSW3、第一バイパス動作用スイッチ25、第二バイパス動作用スイッチSW4のオン/オフ動作、バイパス回路20内の接続等を診断し、スイッチの異常があると判定した場合に故障個所の特定をすることができる。つまり、負荷への給電を維持しながら、バイパス回路の故障の有無を診断し、故障個所の特定をすることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0057】
例えば、本発明の第四実施形態に係る診断機能付給電装置200’として、図2に示す本発明の第二実施形態に係る診断機能付給電装置200と同じ構成で、図4に示す故障診断処理フローを実施してもよい。この場合も、負荷への給電を維持しながら、バイパス回路の故障の有無を診断し、故障個所の特定をすることができる。
【0058】
また、本発明の実施形態では、電圧検出部によって検出される電圧によって診断対象のスイッチの異常を判定しているが、電圧検出部によって検出される電圧の差分(例えば、第一電圧検出部21と第二電圧検出部22で検出される電圧の差分)、または、診断用開閉スイッチSW3と第二バイパス動作用スイッチSW4が備える補助接点の状態によって、診断対象のスイッチの異常を判定してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 給電回路
11 整流部
12 バッテリ
13 インバータ部
20 バイパス回路
21 第一電圧検出部
22 第二電圧検出部
24 第三電圧検出部
25 第一バイパス動作用スイッチ(ACSW)
30 制御部
40 操作表示部
100、200、100’、200’ 診断機能付給電装置
300 交流電源
400 負荷
SW1 入力側スイッチ
SW2 出力側スイッチ
SW3 診断用開閉スイッチ
SW4 第二バイパス動作用スイッチ
SW5 切替スイッチ
SW6 接続スイッチ
T1 入力端子
T2 出力端子
図1
図2
図3
図4