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特開2024-87940生産管理システム及び生産管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087940
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】生産管理システム及び生産管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240625BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240625BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G05B23/02 301X
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202856
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川俣 純希
(72)【発明者】
【氏名】小泉 孝治
(72)【発明者】
【氏名】福島 宏
(72)【発明者】
【氏名】天本 貫人
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100BB15
3C100BB33
3C100BB34
3C100EE14
3C223AA11
3C223BA03
3C223BB08
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF16
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH15
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる生産管理システムを提供すること。
【解決手段】計量機11、充填機12、包装機13、印字機14、印字検査機15、外観検査機16、重量選別機17、金属検出機18、X線検査機19、ケーサ20でなる生産ライン構成機器と、サーバ装置30とを備え、各生産ライン構成機器とサーバ装置30は、ネットワーク40を介して相互に通信可能に構成され、各生産ライン構成機器は、予め設定された稼働状況と異常状態に関する情報である事象データをサーバ装置30に送信し、サーバ装置30は、受信した事象データに基づいて、時系列に、生産ラインの各生産ライン構成機器ごとの稼働状況と異常状態を、生産ラインの製品の流れの順番に生産ライン構成機器を並べて表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の生産ライン構成機器(11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)を含む生産ラインを管理する生産管理システム(1)であって、
前記生産ライン構成機器と通信可能に構成されたサーバ装置(30)を備え、
前記生産ライン構成機器は、予め設定された稼働状況と異常状態に関する情報である事象データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、受信した前記事象データに基づいて、時系列に、生産ラインの前記生産ライン構成機器ごとの前記稼働状況と前記異常状態を、生産ラインの製品の流れの順番に前記生産ライン構成機器を並べて表示させる生産管理システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記稼働状況と前記異常状態に加え、製品の不良の発生状況を表示させる請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記生産ライン構成機器の近傍を撮像し、撮像した映像を前記サーバ装置に送信する撮像部を備え、
前記サーバ装置は、前記生産ライン構成機器の近傍を撮像した映像を記憶し、予め設定された前記事象データを受信したときに、送信元の前記生産ライン構成機器の映像を事象の発生時刻の前後の所定の取得時間分だけ切り取り、送信されてきた前記事象データと関連付けて記憶する請求項1または請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記稼働状況と前記異常状態に加え、前記生産ライン構成機器の映像の有無を表示する請求項3に記載の生産管理システム。
【請求項5】
2つ以上の生産ライン構成機器(11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)を含む生産ラインと、前記生産ライン構成機器と通信可能に構成されたサーバ装置(30)と、を備え、前記生産ライン構成機器は、予め設定された稼働状況と異常状態に関する情報である事象データを前記サーバ装置に送信する生産管理システム(1)の生産管理プログラムであって、
前記サーバ装置に、受信した前記事象データに基づいて、時系列に、生産ラインの前記生産ライン構成機器ごとの前記稼働状況と前記異常状態を、生産ラインの製品の流れの順番に前記生産ライン構成機器を並べて表示させる機能を実現させるための生産管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、肉、魚、加工食品、医薬品等を生産する生産ラインでの生産状況などを管理する生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、肉、魚、加工食品、医薬品等を生産する生産ラインでは、製造された物品を、計量して所定重量で包装し、異物混入の検査や最終的な重量の検査等を行ない、これらの検査で良品と判定されたものを最終製品として箱詰め等して出荷している。
【0003】
特許文献1には、複数の生産ラインを管理する生産管理システムにおいて、生産ラインごとに、生産計画の生産予定数を示す生産予定線と、生産計画の予定終了時刻を示す予定終了線と、生産計画の時刻毎の生産数を示す生産計画線と、表示中のデータの収集時刻を示す現在時刻線と、表示中のデータの収集時刻での生産数を示す現在生産線と、表示中のデータの収集時刻までの時刻毎の生産数を示す生産実績線と、現在の状態で生産を続けた場合の時刻毎の生産数を示す生産予測線と、を表示することが記載されている。
【0004】
このような表示により、現在の状態で生産を続けると生産が遅れてしまう生産ラインを容易に識別し、生産が遅れている生産ラインにおいて、予定終了線上での、生産計画線の生産数と生産予測線の生産数との差により、生産予定数に足りなくなると予測される生産数を知ることができ、この生産予定数に足りなくなると予測される生産数を、他の生産数に余裕のある生産ラインに振り分けるなどの調整を容易に行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-212234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような表示では、生産が遅れている生産ラインを容易に識別することはできるが、生産が遅れた要因については、容易に判断することはできない。特に、食品や医薬品などの生産ラインは、品質管理の観点から複数の工程に分けられつつ相互に連係されており、生産ライン全体として生産が遅れた要因を把握し難かった。
【0007】
そこで、本発明は、複数の機器で構成される生産ラインの各機器の状態を表示して、生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる生産管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生産管理システムは、2つ以上の生産ライン構成機器を含む生産ラインを管理する生産管理システムであって、前記生産ライン構成機器と通信可能に構成されたサーバ装置を備え、前記生産ライン構成機器は、予め設定された稼働状況と異常状態に関する情報である事象データを前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置は、受信した前記事象データに基づいて、時系列に、生産ラインの前記生産ライン構成機器ごとの前記稼働状況と前記異常状態を、生産ラインの製品の流れの順番に前記生産ライン構成機器を並べて表示させるものである。
【0009】
この構成により、時系列に、生産ラインの生産ライン構成機器ごとの稼働状況と異常状態が、生産ラインの製品の流れの順番に生産ライン構成機器を並べて表示される。このため、生産ライン構成機器のそれぞれの稼働状況と異常状態を一覧で確認することができ、生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる。
【0010】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記サーバ装置は、前記稼働状況と前記異常状態に加え、製品の不良の発生状況を表示させるものである。
【0011】
この構成により、稼働状況と異常状態に加え、製品の不良の発生状況が表示される。このため、稼働状況と異常状態とともに製品の不良の発生状況を一覧で確認することができ、製品の不良が発生した原因を容易に判断することができる。
【0012】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記生産ライン構成機器の近傍を撮像し、撮像した映像を前記サーバ装置に送信する撮像部を備え、前記サーバ装置は、前記生産ライン構成機器の近傍を撮像した映像を記憶し、予め設定された前記事象データを受信したときに、送信元の前記生産ライン構成機器の映像を事象の発生時刻の前後の所定の取得時間分だけ切り取り、送信されてきた前記事象データと関連付けて記憶するものである。
【0013】
この構成により、予め設定された事象データを受信したときに、送信元の生産ライン構成機器の映像が事象の発生時刻の前後の所定の取得時間分だけ切り取られ、送信されてきた事象データと関連付けて記憶される。このため、生産ライン構成機器に異常が発生したときや、製品の不良が発生したときの生産ライン構成機器の映像を確認することができ、生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる。
【0014】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記サーバ装置は、前記稼働状況と前記異常状態に加え、前記生産ライン構成機器の映像の有無を表示するものである。
【0015】
この構成により、稼働状況と異常状態に加え、生産ライン構成機器の映像の有無が表示される。このため、生産ラインで発生したエラーに関連する映像の有無を容易に確認することができ、映像が有る場合は映像を確認して、生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる。
【0016】
また、本発明の生産管理プログラムは、2つ以上の生産ライン構成機器を含む生産ラインと、前記生産ライン構成機器と通信可能に構成されたサーバ装置と、を備え、前記生産ライン構成機器は、予め設定された稼働状況と異常状態に関する情報である事象データを前記サーバ装置に送信する生産管理システムの生産管理プログラムであって、前記サーバ装置に、受信した前記事象データに基づいて、時系列に、生産ラインの前記生産ライン構成機器ごとの前記稼働状況と前記異常状態を、生産ラインの製品の流れの順番に前記生産ライン構成機器を並べて表示させる機能を実現させるためのものである。
【0017】
この構成により、時系列に、生産ラインの生産ライン構成機器ごとの稼働状況と異常状態が、生産ラインの製品の流れの順番に生産ライン構成機器を並べて表示される。このため、生産ライン構成機器のそれぞれの稼働状況と異常状態を一覧で確認することができ、生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる生産管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムの機器状態の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る生産管理システムについて詳細に説明する。
【0021】
図1において、本発明の一実施形態に係る生産管理システム1は、上流の製造工程で製造・加工された食品・飲食物等の原材料を受け入れ、計量工程・包装工程で所定の重量分でまとめて包装して製品とし、検査工程で製品の重量や異物混入、包装状態等の検査を行ない、箱詰工程で検査結果が良品と判定された製品を箱詰めする生産ラインの管理を行なう。
【0022】
生産ラインは、それぞれが異なる処理を実行する計量機11と、充填機12と、包装機13と、印字機14と、印字検査機15と、外観検査機16と、重量選別機17と、金属検出機18と、X線検査機19と、ケーサ20と、を含んで構成される。これら各機器(11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)を生産ライン構成機器とも呼び、通常、各機器(11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)が一連に配置されて並ぶ形態とされ、生産ラインの前後の工程との間および各工程の機器間には、ベルトコンベア等の搬送手段が配置されている。
【0023】
なお、図1に示すように各機器(11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)が隣接して配置される場合に限らず、例えば計量機11から包装機13までが包装前の原材料を取り扱う原材料エリア内に隣接して配置され、外観検査機16からケーサ20までが包装後の製品を取り扱う製品エリアに隣接して配置され、区分けされた両エリア間をベルトコンベアやシュートからなる搬送手段により連結されるような場合でもよい。
【0024】
このような生産ラインを構成する各機器(11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)は、取り扱う原材料、その包装形態、包装された製品に対する検査内容、検査で不良とされた製品の取り扱い、および検査で良品とされた製品の梱包形態に応じて、機能の異なる機器が種々組み合わせられる。
【0025】
以降、機器を特定せず、生産ラインを構成する機器全般を指す際には、「各機器(11~20)」のように記述することがある。
【0026】
まず、各機器(11~20)の動作のうち、製品の生産に関する動作について、生産ラインの上流から下流に向けて、計量・包装工程、検査工程、箱詰工程の順にしたがい説明する。なお、あくまで典型的な一形態およびその変形形態を例示するものである。
【0027】
計量・包装工程は、計量機11、充填機12、包装機13および印字機14として例示される計量・包装機器により構成され、計量・包装された製品を検査工程に排出する。
【0028】
計量機11は、上流の製造工程で製造された原材料を受け入れ、所定量ずつまとめたり、組み合わせたりして充填機12に供給する。充填機12への供給は、充填機12から出力される要求信号に応じて行なわれる。
【0029】
また、計量機11は、例えば、原材料の供給が不足して充填機12への供給が待機状態となっているときに警告信号を出力するようになっている。このとき、計量機11は、運転中であるにもかかわらず、原材料の供給が不足して待機状態となっている。そして、原材料の供給さえ充足すれば、この待機状態は解除される。
【0030】
充填機12は、計量機11から供給された原材料を、所定のタイミングで包装機13に排出する。具体的には、計量機11から供給された原材料を一時的に貯留し、包装機13から出力される要求信号に応じて排出する。その後、計量機11に対して原材料の供給を要求する要求信号を出力する。
【0031】
また、充填機12は、計量機11に対して要求信号を出力しているにもかかわらず、原材料の供給がないときには、警告信号を出力するようになっている。このとき、充填機12は、運転中であるにもかかわらず、原材料の供給がされずに待機状態となる。そして、原材料が供給されれば、この待機状態は解除される。
【0032】
包装機13は、充填機12から排出された、所定の重量の原材料を、包材で包装して印字機14に排出する。一般に、ロール体に巻かれた長尺フィルムを所定長に切断し、端部を熱シールすることにより袋体を形成するようになっている。
【0033】
包装機13は、セットされた包材を使い切ると、新しい包材がセットされるまでの間、待機状態となる。この間、充填機12に対する要求信号は出力しない。
【0034】
また、包装機13は、充填機12に対して要求信号を出力しているにもかかわらず、原材料の供給がないときにも、警告信号を出力するようになっている。このとき、包装機13は、運転中であるにもかかわらず、原材料の供給がされずに待機状態となる。そして、原材料が供給されれば、この待機状態は解除される。
【0035】
このような計量機11、充填機12および包装機13は、取扱う原材料の種類や生産する製品の形態に応じて適宜選択されて計量・包装工程を構成してもよい。すなわち、計量機11、充填機12、包装機13は、機器の一形態の例示に過ぎず、上流の製造工程から原材料を受け入れ、包装された製品を生産するための構成を含んでいればよい。例えば、上流の製造工程で成型加工された食品(菓子パンやインスタント袋めんなど)を1個乃至2個ずつ包装するような生産ラインでは、計量機11や充填機12を用いるまでもなく、搬送手段によって定間隔で包装機13に投入できるようになっていればよい。
【0036】
印字機14は、包装機13から排出された、包装された製品にバーコード、二次元コードやシリアル番号など各製品を識別するための識別情報を印字して印字検査機15に排出する。ここでいう印字とは、例えば、包装された製品の側面や底面などの所定位置に、識別情報を直接印字すること、もしくは識別情報が印字されたラベルを貼付することのいずれでもよく、印字の態様(印字の色や大きさ)は製品の形状や包装のデザインに応じ、要求される可読性を有する範囲で適宜設定されるとよい。
【0037】
また、印字機14は、印字のためのインクもしくはインクリボン、またはラベルの残量が少なくなるもしくは残量がなくなると、警告信号を出力する。
【0038】
検査工程は、印字検査機15、外観検査機16、重量選別機17、金属検出機18、X線検査機19として例示される検査機器により構成され、計量・包装工程から順次排出される製品を受け入れて検査し、検査結果が不良(NG)の製品を後述する排除装置により生産ラインから排除し、それ以外(良品)の製品を箱詰工程に排出する。
【0039】
生産ラインから製品を排除するための排除装置は、生産ラインにおいて不良品とされた製品をどのように取り扱うかに応じて各検査機器に設けてもよいし、隣接する検査機器で2以上のグループを形成し、各グループに設けてもよいし、検査工程の最後部に設けてもよい。
【0040】
排除装置は、その排除装置が設けられた直前の位置にある検査機器において不良品の製品に対し出力される排除信号に基づき動作する。前述の通り、これに限らないことは言うまでもない。例えば、互いに隣接する2台の検査機器が共通の排除装置を備えるとき、上流側の検査機器は、下流側の検査機器に検査結果を表す信号を出力する。下流側の検査機器は上流側の検査機器から受信した信号と、自機器の検査結果とに基づいて共通の排除装置を動作させて、不良の製品を生産ラインから排除する。
【0041】
印字検査機15は、印字機14から排出された、包装された製品について、印字機14により印字された識別情報の読み取り検査を行ない、正しく読み取れたとき印字に不良がない包装された製品を良品として、外観検査機16に排出する。読み取り検査は、印字機14から印字した識別情報を受信して、読み取った情報と照合する照合検査を含んでもよい。
【0042】
なお、印字機14及び印字検査機15は、包装機13の一部として構成されてもかまわない。この場合、上述した計量・包装工程と検査工程との境界において、包装機13が両工程に機能上またがることとなるが、もちろんかまわない。
【0043】
外観検査機16は、印字検査機15から排出された、包装された製品の外観を、カメラ等で撮像された画像等に基づいて検査を行ない、検査で不良がない包装された製品を良品として重量選別機17に排出する。
【0044】
なお、外観検査機16は、具体的には、包装された製品に変色や変形がないか、包装に傷や破れ、汚れがないかといった検査を行なう。例えば、カメラで撮像された画像に対して公知の画像処理フィルタを適用し、あらかじめ定めた条件に合致する特徴が抽出されたときに不良とする。包材の種類や検査の内容に応じて照射する光の波長や強度等の照明条件を変えたり、複数台のカメラを用いたりして、安定した検査を行なうようにしてもよい。
【0045】
重量選別機17は、外観検査機16から排出された、包装された製品の重量の検査を行い、検査で不良がない包装された製品を良品として金属検出機18に排出する。
【0046】
例えば、重量選別機17は、検査対象の製品を計量コンベアにより搬送しながら計量する計量手段と、計量手段の計量結果を表す計量値が上下限値により規定された良品範囲内か否かを判定する判定手段を備えている。計量値が良品範囲内であれば不良のない正量品とされ、良品範囲外となる不良(重量NG)の製品には、上限値を上回ったときの過量品、下限値を下回ったときの軽量品のほか、正常に計量できなかったときの計量不可品(計量エラー)も含まれる。
【0047】
金属検出機18は、重量選別機17から排出された、包装された製品に金属が混入されていないかの検査を行ない、検査で不良がない包装された製品を良品としてX線検査機19に排出する。
【0048】
例えば、金属検出機18は、検査領域に所定の磁界を発生させておき、検査対象の製品が通過したことによって生じる磁界の変動に基づいて、金属が混入されていないかを検査する。磁界の変動量が良品範囲内であれば不良のない正常品とされ、良品範囲外となる不良の製品には、存在すべきでない金属物が存在していることとなる。なお、包装された製品に封入されるべき金属物が存在しているかを検査することもでき、この場合には金属物が存在していない製品が不良の製品となる。
【0049】
X線検査機19は、金属検出機18から排出された、包装された製品の欠陥や異物の混入の有無の検査を行ない、検査で不良がない包装された製品を良品としてケーサ20に排出する。
【0050】
例えば、X線検査機19は、X線発生器からX線を照射し、検査対象の製品を透過するX線がX線検出器で検出され透過画像を生成し、画像処理により欠陥や異物の混入の有無を検査する。包装された製品を検査対象とする場合には、異物の混入の有無以外に検査可能な欠陥として、内容物の量の過不足、内容物が包装材に?み込んでいるような包装不良(噛み込み)のほか、割れたり欠けたりした形状不良(割れ・欠け)などが例示される。
【0051】
このような外観検査機16、重量選別機17、金属検出機18、X線検査機19は、取扱う原材料の種類や生産する製品の形態に応じて適宜選択され、順番もこれに限定されず、例えば、外観検査機16、X線検査機19、金属検出機18、重量選別機17の順で検査工程を構成してもよい。また、必ずしも包装された製品を検査する形態に限定されず、包装される前の原材料を検査してもよい。これにより、包装された後の検査で不良となった製品を廃棄するよりも損失が低減される。
【0052】
箱詰工程は、ケーサ20で構成され、検査工程から順次排出される製品、すなわち検査工程で良品とされた製品を受け入れて、所定の箱詰条件により箱詰めする。
【0053】
ケーサ20は、X線検査機19から排出された包装された製品を箱詰め後、封函して下流の工程に排出する。ここでいう「箱詰め」とは、所定数の包装された製品がひとまとまりにされて外装材により包まれ、外的環境から保護されることを指し、包装された製品の種類や後工程での取扱いに応じて適宜選択される。
【0054】
次に、各機器(11~20)がコンピュータネットワーク(ネットワーク40)を介して接続されるサーバ装置30およびクライアント装置31、32について説明する。
【0055】
サーバ装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0056】
クライアント装置31とクライアント装置32は、それぞれ図示しないCPUと、RAMと、ROMと、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0057】
計量機11、充填機12、包装機13、印字機14、印字検査機15、外観検査機16、重量選別機17、金属検出機18、X線検査機19、ケーサ20、サーバ装置30、クライアント装置31、クライアント装置32は、ネットワーク40を介して、相互に通信できるようになっている。
【0058】
サーバ装置30には、生産ラインの各機器の配置が予め設定されていて、一つの機器の前後に配置された他の機器に関する情報が、例えば機器固有の機器IDと対応付けて記憶されている。
【0059】
サーバ装置30は、生産ラインの各機器から送信される検査結果や稼働状況、異常状態などの事象データを、ネットワーク40を介して受信し、ハードディスク装置に記憶して管理する。事象データには、事象データの事象が発生した時刻の情報が含まれている。
【0060】
稼働状況としては、例えば、運転中と、稼働中と、停止中と、が送信される。運転中とは、機器が運転できる状態で製品が流れていない状態である。稼働中とは、機器が運転できる状態で製品が流れている状態である。停止中とは、ベルトコンベアが止まっている、電源が入っていない、などの機器が運転できない状態である。なお、稼働状況としては、各機器における「運転中」、「稼働中」、「停止中」等の分類に限らず、他の状況をサーバ装置30側で定義して使用しても構わない。
【0061】
異常状態としては、例えば、異常と、警告と、が送信される。異常とは、機器に問題が発生し、運転できない状態になったことを示す。警告とは、機器に問題が発生しているが、運転はできる状態になったことを示す。なお、異常状態としては、「異常」、「警告」に限らず、他の状態を定義して使用しても構わない。すなわち、各機器から送信される事象データについて、サーバ装置30の設定により定義された事象定義ファイルに基づいて状態が分類されるとよく、これにより生産ラインにおける影響の大きさ等に応じて、効率よく生産ラインの稼働状況を把握できる。この事象定義ファイルを更新して新たな定義を適用するようにすれば、サーバ装置30にすでに記憶されている事象データを有効に活用して、生産ラインにおける生産の遅れの要因を分析できる。
【0062】
一般的には、「異常」や「警告」を示す事象データは、機器に異常や警告が発生したことおよびその発生時刻を示すデータとして出力され、異常や警告が解消したことを示すデータとして出力されない場合が多い。このような場合には、他の事象データから間接的に異常や警告が解消されたことを推定できる。例えば、異常や警告が発生した後に、稼働状況が「停止中」や「運転中」から「稼働中」に切り替わったことをもって、異常や警告が解消したと判定してもよい。
【0063】
なお、事象データには、機器固有の機器IDが割り当てられ、どの事象データがどの機器から送信されたかをデータ上で識別するための識別情報とするとよい。また、機器固有の機器IDの割り当ては、事象データを送信する機器において付加されてもよいし、事象データを受信したサーバ装置30において付加されてもよい。これにより、機器固有の機器IDが付加されていない事象データを送信する機器が存在する場合であっても、生産ラインの生産の遅れの要因を分析できる。
【0064】
ここで、各機器(11~20)からサーバ装置30に送信される事象データについて説明する。
【0065】
計量機11は、充填機12からの要求信号を受け、所定量の原材料を排出するごとに、排出した原材料の量を示す情報をサーバ装置30に送信する。また、計量機11は、例えば、原材料が不足して充填機12への排出が待機状態となったとき、原材料の不足を示す警告信号を出力し、サーバ装置30に送信する。
【0066】
充填機12は、包装機13に原材料を排出するときに排出信号を出力し、サーバ装置30に送信する。また、充填機12は、例えば、計量機11に対して要求信号を出力しているにもかかわらず、原材料の供給がないことを示す警告信号を出力し、サーバ装置30に送信する。
【0067】
包装機13は、包装が正常に完了したことを示す情報を出力し、サーバ装置30に送信する。また、包装機13は、例えば、包材交換中に待機状態となったときや、充填機12から原材料の供給が所定時間を超えて途絶えたときなどに、サーバ装置30に対して警告信号を送信する。
【0068】
印字機14は、インクの残量が少なくなった等の警告信号を出力し、サーバ装置30に送信する。
【0069】
検査工程の各機器(印字検査機15、外観検査機16、重量選別機17、金属検出機18、X線検査機19)は、それぞれ検査結果をサーバ装置30に送信する。また、検査が正しく行えなかった、不良品が連続して発生したときにも、それぞれの内容を示す警告信号をサーバ装置30に送信する。
【0070】
また、検査結果が不良の製品を排除装置で正しく排除できなかったことを検知すると、不良品排除に失敗したことを示す警告信号を表示し、サーバ装置30に送信する。
【0071】
ケーサ20は、所定個数の製品が所定タイミングで搬出されないこと、または梱包材が不足していることなどを示す警告信号を表示し、サーバ装置30に送信する。
【0072】
上述したような警告信号の他、電源が投入されて操作待ちの状態となったとき、操作者により運転開始操作がされたとき、および運転停止操作がされたときに、それぞれの状態を示す信号がサーバ装置30に送信される。例えば、各機器(11~20)からは、電源が投入されているときにハイ(H)レベルとなり、電源が遮断されているときにロー(L)レベルとなるレベル信号が送信される。運転開始操作や運転停止操作についても同様のレベル信号を適用できる。
【0073】
さらに、サーバ装置30は、各機器から送信される事象データを受信すると、受信した時刻情報をタイムスタンプとして付加してもよい。これにより、いずれかの機器の事象データに時刻情報が含まれない場合であっても、その機器が事象データを送信したのとほぼ同時点の時刻情報がサーバ装置30に記録されることとなり、機器側の制御ソフトウェアの機能上の制約を受けないようにできる。また、各機器に設定されている時刻を厳密に合わせる必要はなく、数秒乃至数分のずれがあっても影響が小さい。なお、サーバ装置30が各機器からアナログのレベル信号を受信するときは、アナログ信号入力ポートを備えるデータ送信ユニットを各機器の近傍に設け、データ送信ユニットからネットワーク40を介してサーバ装置30がデータ受信できるようにするとよい。
【0074】
また、サーバ装置30は、各機器から送信された事象データを受信すると、その事象データを送信した機器ごとに、機器IDと関連付けられた記憶領域に順次テキストファイルとして記憶する。または、機器IDと関連付けられたデータテーブルに順次レコードとして追加する。これに限らず、事象データを記憶する形態は、適宜選択され得る。
【0075】
各機器の近傍には、各機器の動作および各機器における原材料または包装された製品の処理状況を動画もしくは静止画の連写で撮像するカメラが設けられており、各機器を撮像した映像が撮像時刻を示す情報とともにサーバ装置30に送信されている。カメラは、各機器に設けられていなくてもよく、複数の機器を撮像するようにカメラを設置してもよい。
【0076】
サーバ装置30は、例えば、各機器を撮像した映像を、現在時刻から所定の蓄積時間分までを常時記憶しており、事象データの異常状態として異常が送信されてきたときや、事象データの検査結果としてNGが送信されてきたときなどの予め設定された特定の事象データを受信したときに、送信元の機器の映像を事象の発生時刻の前後の所定の取得時間分だけ切り取り、送信されてきた事象データと関連付けて記憶する。サーバ装置30は、各機器を撮像した映像を全て記憶するようにしてもよく、この場合、予め設定された特定の事象データに関連付けられるのは、対応する事象の発生時刻とすればよく、切り取った映像の長を示す情報を含んでもよい。
【0077】
サーバ装置30では、所定のタイミングで、例えば、ある製品の生産ロットが終わった後や1日の生産が終わった後に、受信した事象データに基づいて、1日の稼働状況をクライアント装置31、32に備えられたディスプレイ装置に表示させることができる。また、生産ラインの管理手順にしたがって設定された周期や時刻で稼働状況を更新してもよいし、クライアント装置31、32からの操作に応じて最新の稼働状況を表示させてもよい。
【0078】
サーバ装置30は、例えば、図2に示すように、時系列に、選択された機器の稼働状況、異常状態、NGの発生状況、映像の有無などの表示データ100を所定の表示形態でディスプレイ装置に表示させる。
【0079】
図2において、それぞれの機器表示部101には、機器ごとの稼働状況が帯状に区分された表示領域として表示される。機器表示部101には、それぞれ稼働状況表示部111、異常状態表示部112、NG発生表示部113、映像有無表示部114、が表示される。凡例データ115は、表示データ100におけるマークや色分けがどのような意味であるかの説明であり、必要に応じて表示または非表示が切り替えられる。
【0080】
図2において、機器表示部101には、機器表示部101A、101B、101C、101Dに、同一高さの太い帯状に区分され時間軸上に延びて上下に並んで配置され、対応する4台の機器名ないしは機器IDが表示される。各機器表示部101A、101B、101C、101Dは、それぞれ同一高さの細い帯状に分割され、稼働状況表示部111(111A、111B、111C、111D)、異常状態表示部112(112A、112B、112C、112D)、異常状態表示部113(113A、113B、113C、113D)および映像有無表示部114(114A、114B、114C、114D)の順に上下に並んでいる。
【0081】
それぞれの機器表示部101における各表示部(111、112、113、114)の表示レイアウトはあらかじめ表示する機器の機器ID、事象データの種類およびその表示形態が定義されており、機器表示部101について共通のレイアウト設定としてもよいし、機器表示部101A、101B、101C、101Dのそれぞれについて個別のレイアウト設定としてもよい。いずれであっても、各表示部(111、112、113、114)について時刻表示は共通とされ、同一の時間軸上に表される。
【0082】
機器表示部101は、例えば、生産ラインの上流工程の機器が上に、下流工程の機器が下になるように、生産ラインの流れの順に表示される。
【0083】
稼働状況表示部111には、機器の稼働状況が、事象データの稼働状況の「運転中」、「稼働中」、「停止中」が、各稼働状況になっていた時間帯を示すように、それぞれを識別可能に、例えば、表示領域を網掛けや色を変えることによって視覚的に識別可能に表示される。
【0084】
異常状態表示部112には、事象データの異常状態の「異常」、「警告」が、各状態の継続していた時間帯を示すように、それぞれを識別可能に、例えば、対応する表示領域を網掛けや色を変えることによって視覚的に識別可能に表示される。
【0085】
また、稼働状況表示部111と異常状態表示部112とは、それぞれ同一高さで帯状の独立した表示領域とされ、上下に2段に並んで配置されている。これにより、互いに連係して動作する機器の稼働状況と異常状態とを、共通する時間軸で容易に対比できる。
【0086】
NG発生表示部113には、事象データの検査結果としてNGを受信した場合に、表示領域のうちNGの発生時刻に対応する位置にマーク(図では黒丸印)が表示される。
【0087】
映像有無表示部114には、事象データと関連付けられた映像データが有る場合に、表示領域のうち関連付けられた事象データの発生時刻に対応する位置にマーク(図では三角形)が表示される。なお、サーバ装置30は、クライアント装置31やクライアント装置32から、このマークがマウスやキーボードなどの操作部で選択されたとき、映像データを再生するように、対応する映像データを関連付けしてもよい。
【0088】
特に、稼働状況表示部111と異常状態表示部112とは、それぞれ独立した表示領域とされ、境界線で区切られて上下に並んで配置されている。これにより、一方の色分け表示が他方の色分け表示と重なったりせず、また表示画面を切り替えたりせずに、両方の表示領域における色分け表示を瞬時に把握でき、2つの異なる観点で互いに連係して動作する機器の稼働状況を、共通する時間軸で対比できる。
【0089】
また、NG発生表示部113と映像有無表示部114とは、それぞれ独立した表示領域とされ、境界線で区切られて上下に並んで配置されている。これにより、一方のマークが他方のマークと重なったりせず、また表示画面を切替えたりせずに、両方の表示領域におけるマークを瞬時に把握し、操作することができる。これにより、NG発生時の映像を参照したいときに、マウスないしはタッチ操作による選択が容易となる。さらに、稼働状況表示部111と異常状態表示部112による稼働状況とも、共通する時間軸で対比できる。
【0090】
なお、図2に示すような表示形態でディスプレイ装置に表示データ100を表示させる表示レイアウトは、サーバ装置30の側に設定されていてもよいし、クライアント装置31およびクライアント装置32にそれぞれ設定されていてもよい。また、クライアント装置31やクライアント装置32からの操作に応じて、一時的に表示レイアウトを変更できるとよい。さらに、図2の示すような表示形態に代えて、時間軸を上下方向、機器の並び順を左右方向に設定してもよい。
【0091】
サーバ装置30に記憶された事象データから、図2に示すような表示形態でディスプレイ装置に表示させる手順の一例を説明する。ここでは、生産ライン「Aライン」について、4つの機器IDで特定される機器について、上流から下流に向けた工程に対応して「計量機1号」、「包装機1号」、「検査機1号」、「ケーサ1号」なる機器名と、「稼働状況」、「異常」、「NG発生」、「映像」の各領域が定義されている表示レイアウトを例に説明する。なお、通常、横軸は時刻を示すように初期設定されていて、いずれの時間帯を表示するかは適宜操作できるようになっている。
【0092】
サーバ装置30は、予め設定されたタイミングで、記憶している事象データを記憶領域から読み出し、あらかじめ設定された表示レイアウトに基づき機器表示部101に表示する機器の機器IDと事象データの種類を特定する。そして、対応する事象データおよびその事象データが機器から送信された時刻またはサーバ装置30で受信した時刻を示す情報を特定する。
【0093】
サーバ装置30は、機器IDに対応する機器名と、その機器IDにより特定された事象データから、各事象に対応する時刻を特定する。「稼働状況」については、稼働状況が切り替わった時刻から、「運転中」であった時間帯、「稼働中」であった時間帯、または「停止中」であった時間帯が特定される。「異常」については、「異常」として分類された事象データがあれば、その事象に対応する時間帯が特定される。「NG」については、「NG」として分類された事象データがあれば、その事象に対応する時刻を特定する。「映像」については、映像が記憶されていれば、その映像の記録時刻を特定する。
【0094】
具体的には、まず、サーバ装置30は、表示レイアウトの設定内容に基づき、最上段に表示される「計量機1号」の「稼働状況」として事象データから特定された稼働状況の切り替え時刻から「運転中」、「稼働中」、「停止中」となっていた時間帯を特定する。また、「異常」についても同様に、事象データから特定された異常または警告となっていた時間帯を特定する。次いで、「NG」に対応する事象データから時刻を特定する。同様に、「映像」については、記憶されている映像があれば関連付けられた撮像時刻を特定する。
【0095】
同様に、「包装機1号」、「検査機1号」、「ケーサ1号」について、それぞれ対応する事象データから、対応する時間帯や時刻を特定する。
【0096】
サーバ装置30は、表示対象の機器について、事象データから対応する時間帯および時刻が特定されると、凡例データ115に示されるような表示形態に基づいて、表示データ100を生成する。
【0097】
表示データ100は、機器状態にかかわらずにあらかじめ設定された機器名、項目名や時刻および表示領域の境界線を表示するスタイル部分と、機器状態に応じた色分けやマークを表示するデータ部分とが別々に生成されてもよいし、両部分を一体的なイメージデータとして生成されてもよい
【0098】
図2は、時刻0:00~05:30における「Aライン」の機器状態を表示する表示データ100を例示しており、以下、おおむね時刻01:20~01:50に対応する時間帯Bにおける機器状態から把握され得る生産ラインの生産の遅れの要因を説明する。
【0099】
機器表示部101には、「Aライン」を構成する4台の機器の稼働状況および異常状態が、生産ラインにおける並び順に基づいて表示されている。すなわち、この生産ラインには上流から順に、「計量機1号」、「包装機1号」、「検査機1号」および「ケーサ1号」が配置されていることがわかる。
【0100】
「包装機1号」の機器表示部101Bに着目すると、異常状態表示部112Bの時刻01:20頃から01:40頃までが「異常」となっており、映像有無表示部114Bの時刻1:20頃にマークが表示されていて映像が記録されていることがわかる。稼働状況表示部111Bも同時間帯で「運転中」となっているが、時刻01:20頃までは「稼働中」であったから、時刻01:20頃に何らかの異常が発生し、これに伴って包装動作が停止したことがわかる。
【0101】
「包装機1号」の上流側には、「計量機1号」が配置されており、「包装機1号」が「異常」となったことに伴い、時刻01:20頃を境に、「稼働中」から「運転中」となったことが把握できる。このとき、「包装機1号」では、復旧作業が行われ、時刻01:30頃から「計量機1号」が稼働するも、「包装機1号」の復旧作業は継続され、時刻01:40頃に復旧して「稼働中」となったことがわかる。
【0102】
「包装機1号」の下流側には、「検査機1号」と「ケーサ1号」が配置されており、「包装機1号」の復旧作業の間の時刻01:30頃に「稼働中」から「運転中」となったことがわかる。
【0103】
このように、各機器の稼働状況が「運転中」で製品が流れていない状態が「包装機1号」の異常状態が原因で発生していることを把握することができる。
【0104】
また、「検査機1号」におけるNG発生表示部113Cでは、上述した時間帯Bの直後の時刻01:50頃から時刻02:10頃までの間に、「NG」が多発している状況が分かり、このケースでは、包装機1号の異常復旧がうまくいかなかったか、動作が安定するまでに時間がかかったことなどが原因として考えられる。この原因は、「検査機1号」における映像有無表示部114Cに表示されたマークを操作して映像を参照することにより、把握され得る。
【0105】
また、時刻02:00台の全ての機器での運転中表示は、例えば、生産ラインの生産計画で、この時間に生産ラインの品種切替が予定されていた場合、品種切替に掛かった時間を把握することができる。具体的には、稼働状況表示部111Aおよび111Bにより、まず時刻02:30頃まで「稼働中」であった「計量機1号」と「包装機1号」が品種切替作業のために「運転中」となり、稼働状況表示部111Cおよび111Dにより、次いで時刻02:40頃から03:00頃まで「検査機1号」と「ケーサ1号」が「運転中」となったことがわかる。
【0106】
また、「包装機1号」について、稼働状況表示部111Bの時刻04:00近傍の「運転中」の表示は、異常状態の「警告」の表示により、警告を放置した結果、短時間の停止(いわゆる「チョコ停」)が発生していると推定できる。具体的には、時刻03:40頃から「警告」となっても「稼働中」であったが、時刻04:00頃にこの「警告」に対処すべく、稼働を一時的に停止したことが把握できる。これ以上のことは、図2に示すような表示データ100からは把握できないが、クライアント装置31やクライアント装置32を操作することによりサーバ装置30にアクセスすれば、参照することができる。
【0107】
また、例えば、「計量機1号」が計量機11、「包装機1号」が包装機13、「検査機1号」が重量選別機17であるとき、「稼働中」における重量選別機17にて重量NGが多発しているにもかかわらず、計量機11で異常が発生していない場合、計量機11から排出された原材料の質量情報と照合することにより、計量機11もしくは包装機13に異常が発生していたことを推定できる。
【0108】
また、例えば、「検査機1号」がX線検査機19であるとき、X線検査機19にて、包装された製品と包材との噛み込み等の包装不良が多発した場合に、包装機13で異常が発生していない場合でも、計量機11や包装機13で異常があることを推定できる。
【0109】
すなわち、図2に示すような表示データ100に反映されていない事象データであっても、クライアント装置31及びクライアント装置32から、ネットワーク40を介してサーバ装置30にアクセスすることによって、表示できるようになっている。したがって、実際に生産ラインに出向いて対象の機器を操作する必要はない。また、例えば、これまで表示データ100に反映されていなかったある機器の事象データを新たに異常や警告等の機器状態として表示させることにより新たな分析が可能となることがわかれば、その事象データを表示データ100に含めるよう、サーバ装置30の事象定義ファイルを更新すれば、過去の事象データを有効に活用して生産ラインの生産の遅れの要因をより確実に把握できるようになる。
【0110】
なお、本実施形態においては、クライアント装置31及びクライアント装置32がローカルなネットワーク40に接続される場合を示したが、クライアント装置31及びクライアント装置32がインターネット等を介してサーバ装置30にアクセスして表示できるようにしてもよい。このようにすることで、遠隔から生産ラインの稼働状況を参照することができる。
【0111】
このように、上述の実施形態では、サーバ装置30は、時系列に、生産ラインの機器ごとの稼働状況と異常状態を、生産ラインの製品の流れの順番に機器を並べて表示させる。
【0112】
これにより、生産ラインの機器のそれぞれの稼働状況と異常状態を一覧で確認することができ、機器が運転できる状態で製品が流れていないなどの生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる。
【0113】
また、サーバ装置30は、稼働状況と異常状態に加え、製品の不良の発生状況を表示させる。
【0114】
これにより、稼働状況と異常状態とともに製品の不良の発生状況を一覧で確認することができ、製品の不良が発生した原因を容易に判断することができる。
【0115】
また、サーバ装置30は、事象データの異常状態として異常が送信されてきたときや、事象データの検査結果としてNGが送信されてきたときの該当機器を撮像した映像を事象データに関連付けて記憶する。
【0116】
これにより、機器に異常が発生したときや、製品の不良が発生したときの機器の映像を確認することができ、生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる。
【0117】
また、サーバ装置30は、稼働状況と異常状態と製品の不良の発生状況に加え、機器の映像の有無を表示させる。
【0118】
これにより、稼働状況と異常状態と製品の不良の発生状況とともに機器の映像の有無を一覧で確認することができ、生産ラインで発生したエラーに関連する映像の有無を容易に確認することができ、映像が有る場合は映像を確認して、生産ラインで発生したエラーの原因を容易に判断することができる。
【0119】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0120】
1 生産管理システム
11 計量機(生産ライン構成機器)
12 充填機(生産ライン構成機器)
13 包装機(生産ライン構成機器)
14 印字機(生産ライン構成機器)
15 印字検査機(生産ライン構成機器)
16 外観検査機(生産ライン構成機器)
17 重量選別機(生産ライン構成機器)
18 金属検出機(生産ライン構成機器)
19 X線検査機(生産ライン構成機器)
20 ケーサ(生産ライン構成機器)
30 サーバ装置
100 表示データ
101(101A、101B、101C、101D) 機器表示部
111(111A、111B、111C、111D) 稼働状況表示部
112(112A、112B、112C、112D) 異常状態表示部
113(113A、113B、113C、113D) NG発生表示部
114(114A、114B、114C、114D) 映像有無表示部
115 凡例データ
図1
図2