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特開2024-87941生産管理システム及び生産管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087941
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】生産管理システム及び生産管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240625BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65B57/10 B
B65B57/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202857
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川俣 純希
(72)【発明者】
【氏名】小泉 孝治
(72)【発明者】
【氏名】福島 宏
(72)【発明者】
【氏名】天本 貫人
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100DD05
3C100DD22
3C100DD25
3C100DD32
3C100EE14
(57)【要約】
【課題】検査が不良となった場合の、検査機の前の機器に関する生産データを把握することができる生産管理システム及び生産管理プログラムを提供すること。
【解決手段】組み合わせ計量機11、包装機12、検査機14、ケーサ15、検査機17でなる生産ライン構成機器と、サーバ装置30とを備え、各生産ライン構成機器は、処理した製品に関する情報である処理データと、当該製品を識別する情報と、を含む生産データをサーバ装置30に送信し、サーバ装置30は、生産データを記憶し、製品を識別する情報を指定されることにより、製品を識別する情報に関連付けられた生産データを、対応する製品の通過順に、各機器の生産データを並べて表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の生産ライン構成機器(11、12、14、15、17)を含む生産ラインを管理する生産管理システム(1)であって、
前記生産ライン構成機器と通信可能に構成されたサーバ装置(30)を備え、
前記生産ライン構成機器は、処理した製品に関する情報である処理データと、当該製品を識別する情報と、を含む生産データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記生産データを記憶し、前記製品を識別する情報を指定されることにより、前記製品を識別する情報に関連付けられた前記生産データを、対応する製品の通過順に、各機器の前記生産データを並べて表示する生産管理システム。
【請求項2】
前記生産ライン構成機器は、個々の製品(P)を処理する機器と、該機器により処理された個々の製品を所定の数まとめる機器と、該機器により個々の製品が所定の数まとめられた製品(S)を処理する機器と、を含み、
前記サーバ装置は、異なる機器から送信された前記生産データを、各生産データに含まれる情報に基づき関連付けることを特徴とする請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記生産ライン構成機器として、
製造された原材料(M)を受け入れ、所定量ずつ計量し、それらを所定の重量となるように組み合わせて排出する組み合わせ計量機(11)と、
前記組み合わせ計量機から排出された、所定の重量の原材料を、包材で包装して包装された製品(P)を排出する包装機(12)と、
前記包装機から排出された、包装された製品の重量の検査を行ない、検査で不良がない包装された製品を排出する第1検査機(14)と、を備え、
前記組み合わせ計量機は、前記処理データとして、前記原材料の計量結果を前記サーバ装置に送信し、
前記第1検査機は、前記処理データとして、検査結果及び計測した包装された製品の重量を前記サーバ装置に送信する請求項1または請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記第1検査機は、検査で不良がある包装された製品を前記生産ラインから排除するための選別機(14A)を備える請求項3に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記生産ライン構成機器として、
包装された製品を所定の数まとめて箱詰め後、封函して箱詰めされた製品(S)を排出するケーサ(15)と、
箱詰めされた製品の重量の検査を行ない、検査で不良がない箱詰めされた製品を排出する第2検査機(17)と、備え、
前記ケーサは、前記処理データとして、箱詰めされた包装された製品を識別する情報を前記サーバ装置に送信し、
前記第2検査機は、前記処理データとして、検査結果及び計測した箱詰めされた製品の重量を前記サーバ装置に送信する請求項3に記載の生産管理システム。
【請求項6】
2つ以上の生産ライン構成機器(11、12、14、15、17)を含む生産ラインと、前記生産ライン構成機器と通信可能に構成されたサーバ装置(30)と、を備え、前記生産ライン構成機器は、処理した製品(P、S)に関する情報である処理データと、当該製品を識別する情報と、を含む生産データを前記サーバ装置に送信する生産管理システム(1)の生産管理プログラムであって、
前記サーバ装置に、前記生産データを記憶し、前記製品を識別する情報を指定されることにより、前記製品を識別する情報に関連付けられた前記生産データを、対応する製品の通過順に、各機器の前記生産データを並べて表示する機能を実現させるための生産管理プログラム。
【請求項7】
前記生産ライン構成機器は、個々の製品(P)を処理する機器と、該機器により処理された個々の製品を所定の数まとめる機器と、該機器により個々の製品が所定の数まとめられた製品(S)を処理する機器と、を含み、
前記サーバ装置に、異なる機器から送信された前記生産データを、各生産データに含まれる情報に基づき関連付ける機能を含むことを特徴とする請求項6に記載の生産管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、肉、魚、加工食品、医薬品等を生産する生産ラインでの生産状況などを管理する生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、肉、魚、加工食品、医薬品等を生産する生産ラインでは、製造された物品を、計量して所定重量で包装し、異物混入の検査や最終的な重量の検査等を行ない、これらの検査で良品と判定されたものを最終製品として箱詰め等して出荷している。
【0003】
特許文献1には、検査装置は、バーコードリーダが読み取った物品の固有情報に、検査装置の検査結果、検査に使用された検出されたデータ等を付加して検査情報としてホストコンピュータへ出力し、ホストコンピュータは、検査装置から出力された情報を製品データベースに登録し、固有情報が指定されて照会要求がなされると、製品データベースを検索して、その固有情報の検査情報を通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-219420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、検査の結果や検査装置で検出されたデータを参照することはできるが、検査が不良となった場合の、検査機の上流の機器に存在する原因を特定することは難しい。特に、包装された物品をいくつかまとめて箱詰めした最終製品の検査で不良となったときには、個々の製品は箱詰めされた状態であるので、いずれの製品が原因で不良となったかを特定するためには箱を開けて個々の製品のバーコード等を読み取る必要があり、箱詰め個数が多いほど生産ラインの生産効率が悪化するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、検査が不良となった場合の、検査機の前の機器に関する生産データを把握することができる生産管理システム及び生産管理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生産管理システムは、2つ以上の生産ライン構成機器を含む生産ラインを管理する生産管理システムであって、前記生産ライン構成機器と通信可能に構成されたサーバ装置を備え、前記生産ライン構成機器は、処理した製品に関する情報である処理データと、当該製品を識別する情報と、を含む生産データを前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置は、前記生産データを記憶し、前記製品を識別する情報を指定されることにより、前記製品を識別する情報に関連付けられた前記生産データを、対応する製品の通過順に、各機器の前記生産データを並べて表示するものである。
【0008】
この構成により、製品を識別する情報を指定されることにより、製品を識別する情報に関連付けられた生産データが、対応する製品の通過順に、各機器の生産データが並べられて表示される。このため、検査が不良となった場合に、検査機の前の機器の情報を確認して、検査機の前の機器に存在する原因を容易に特定することができる。
【0009】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記生産ライン構成機器は、個々の製品を処理する機器と、該機器により処理された個々の製品を所定の数まとめる機器と、該機器により個々の製品が所定の数まとめられた製品を処理する機器と、を含み、前記サーバ装置は、異なる機器から送信された前記生産データを、各生産データに含まれる情報に基づき関連付けるものである。
【0010】
この構成により、個々の製品を処理する機器からは個々の製品の処理に関する生産データがサーバ装置に送信され、個々の製品を所定の数まとめる機器からは個々の製品をまとめる処理に関する生産データが送信され、個々の製品が所定の数まとめられた製品を処理する機器からは、個々の製品が所定の数まとめられた製品の処理に関する生産データが送信され、サーバ装置は、各機器から送信された前記生産データを、前記生産データに含まれる情報に基づき関連付け、関連付けられた生産データを一覧表示することができ、生産データに含まれる情報から、生産ライン構成機器の生産データを容易に把握することができる。
【0011】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記生産ライン構成機器として、製造された原材料を受け入れ、所定量ずつ計量し、それらを所定の重量となるように組み合わせて排出する組み合わせ計量機と、前記組み合わせ計量機から排出された、所定の重量の原材料を、包材で包装して包装された製品を排出する包装機と、前記包装機から排出された、包装された製品の重量の検査を行ない、検査で不良がない包装された製品を排出する第1検査機と、を備え、前記組み合わせ計量機は、前記処理データとして、前記原材料の計量結果を前記サーバ装置に送信し、前記第1検査機は、前記処理データとして、検査結果及び計測した包装された製品の重量を前記サーバ装置に送信するものである。
【0012】
この構成により、組み合わせ計量機の原材料の計量結果、第1検査機の検査結果及び計測された包装された製品の重量、が処理データとしてサーバ装置に送信される。このため、第1検査機で不良と判定された製品について、組み合わせ計量機での計量結果を参照することで、不良となった原因を容易に特定することができる。
【0013】
さらに、本発明の生産管理システムにおいて、前記第1検査機は、検査で不良がある包装された製品を前記生産ラインから排除するための選別機を備えるものである。
【0014】
この構成により、第1検査機は、検査結果が不良とされた包装された製品を生産ラインから排除し、検査結果が良とされた包装された製品を下流の機器に排出することができるから、検査結果が良または不良の包装された製品が下流の機器で混在せず、下流の機器で不良の包装された製品を処理する必要がなく、製造ラインの効率が向上する。
【0015】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記生産ライン構成機器として、包装された製品を所定の数まとめて箱詰め後、封函して箱詰めされた製品を排出するケーサと、箱詰めされた製品の重量の検査を行ない、検査で不良がない箱詰めされた製品を排出する第2検査機と、備え、前記ケーサは、前記処理データとして、箱詰めされた包装された製品を識別する情報を前記サーバ装置に送信し、前記第2検査機は、前記処理データとして、検査結果及び計測した箱詰めされた製品の重量を前記サーバ装置に送信するものである。
【0016】
この構成により、ケーサで箱詰めされた包装された製品を識別する情報、第2検査機の検査結果及び計測した包装された製品の重量、が処理データとしてサーバ装置に送信される。このため、第2検査機で不良と判定された箱について、ケーサで箱詰めされた包装された製品の製品を識別する情報から、包装された製品の処理データを参照することで、不良となった原因を容易に特定することができる。
【0017】
また、本発明の生産管理プログラムは、2つ以上の生産ライン構成機器を含む生産ラインと、前記生産ライン構成機器と通信可能に構成されたサーバ装置と、を備え、前記生産ライン構成機器は、処理した製品に関する情報である処理データと、当該製品を識別する情報と、を含む生産データを前記サーバ装置に送信する生産管理システムの生産管理プログラムであって、前記サーバ装置に、前記生産データを記憶し、前記製品を識別する情報を指定されることにより、前記製品を識別する情報に関連付けられた前記生産データを、対応する製品の通過順に、各機器の前記生産データを並べて表示する機能を実現させるものである。
【0018】
この構成により、製品を識別する情報を指定されることにより、製品を識別する情報に関連付けられた生産データが、対応する製品の通過順に、各機器の生産データが並べられて表示される。このため、検査が不良となった場合に、検査機の前の機器の情報を確認して、検査機の前の機器に存在する原因を容易に特定することができる。
【0019】
また、本発明の生産管理プログラムにおいて、前記生産ライン構成機器は、個々の製品を処理する機器と、該機器により処理された個々の製品を所定の数まとめる機器と、該機器により個々の製品が所定の数まとめられた製品を処理する機器と、を含み、前記サーバ装置に、異なる機器から送信された前記生産データを、各生産データに含まれる情報に基づき関連付ける機能を含むものである。
【0020】
この構成により、個々の製品を処理する機器からは個々の製品の処理に関する生産データがサーバ装置に送信され、個々の製品を所定の数まとめる機器からは個々の製品をまとめる処理に関する生産データが送信され、個々の製品が所定の数まとめられた製品を処理する機器からは、個々の製品が所定の数まとめられた製品の処理に関する生産データが送信され、サーバ装置には、各機器から送信された前記生産データを、前記生産データに含まれる情報に基づき関連付け、関連付けられた生産データを一覧表示することにより、生産データに含まれる情報から、生産ライン構成機器の生産データを容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、検査が不良となった場合の、検査機の前の機器に関する生産データを把握することができる生産管理システム及び生産管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る生産ラインの概略構成図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムのサーバ装置のディスプレイに表示されるウィンドウの例を示す図であり、図3(a)は検索用ウィンドウの例を示す図、図3(b)は検索結果ウィンドウの例を示す図、図3(c)は設定条件ウィンドウの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る生産管理システムについて詳細に説明する。
【0024】
図1及び図2において、本発明の一実施形態に係る生産管理システム1は、上流の製造工程で製造・加工された食品・飲食物等の原材料Mを受け入れ、計量工程・包装工程で所定の重量分でまとめて包装して製品Pとし、検査工程で製品Pの重量や異物混入、包装状態等の検査を行ない、箱詰工程で検査結果が良品と判定された製品Pを所定の数まとめて箱Bに箱詰めする生産ラインの管理を行なう。
【0025】
生産ラインは、それぞれが異なる処理を実行する組み合わせ計量機11と、包装機12と、印字機13と、第1検査機としての検査機14と、ケーサ15と、印字機16と、第2検査機としての検査機17と、を含んで構成される。これら各機器(11、12、13、14、15、16、17)を生産ライン構成機器とも呼び、通常、各機器(11、12、13、14、15、16、17)が一連に配置されて並ぶ形態とされ、生産ラインの前後の工程との間および各工程の機器間には、ベルトコンベア等の搬送手段が配置されている。
【0026】
なお、図2に示すように各機器(11、12、13、14、15、16、17)が隣接して配置される場合に限らず、例えば組み合わせ計量機11から印字機13までが包装前の原材料Mを取り扱う原材料エリア内に隣接して配置され、検査機14から検査機17までが包装後の製品を取り扱う製品エリアに隣接して配置され、区分けされた両エリア間をベルトコンベアやシュートからなる搬送手段により連結されるような場合でもよい。
【0027】
このような生産ラインを構成する各機器(11、12、13、14、15、16、17)は、取り扱う原材料M、その包装形態、包装された製品Pに対する検査内容、検査で不良とされた製品Pの取り扱い、および検査で良品とされた製品Pを箱詰めした箱詰め製品Sの箱詰め条件や梱包の形態に応じて、機能の異なる機器が種々組み合わせられる。
【0028】
まず、各機器(11~17)の動作を、生産ラインの上流から下流に向けて説明する。
【0029】
組み合わせ計量機11は、上流の製造工程で製造された原材料Mを受け入れ、所定量ずつ計量し、それらを所定の重量となるようにまとめたり組み合わせたりして、包装機12に排出する。なお、原材料Mを所定量に計量する計量部を複数備え、それぞれの計量部が計量した原材料Mをまとめたり組み合わせたりするようにしてもよい。
【0030】
包装機12は、制御部21により制御され、組み合わせ計量機11から排出された、所定の重量の原材料Mを、包材で包装して印字機13の印字領域を通過させ、検査機14に排出する。
【0031】
印字機13は、所定の印字位置において包装された製品Pにバーコード、二次元コードや英数字等の形態で表現され得る製品シリアル番号などの各製品を識別する識別情報(第1識別情報51)を印字する。
【0032】
包装機12と、組み合わせ計量機11及び印字機13と、は接続され、それぞれ相互に通信することができる。
【0033】
包装機12は、例えば、包装された製品Pを識別する情報である製品シリアル番号を生成し、生成された製品シリアル番号を印字機13に送信する。印字機13は、包装機12から送信された製品シリアル番号に基づいて包装された製品Pに情報を印字する。この製品シリアル番号は、包装された製品Pごとに割り当てられる。ここでいう印字とは、例えば、包装された製品Pの側面や上面などの所定位置に、製品シリアル番号を直接印字すること、もしくは製品シリアル番号が印字されたラベルを貼付することのいずれでもよい。
【0034】
なお、組み合わせ計量機11及び印字機13は、包装機12の一部として構成されてもかまわない。
【0035】
検査機(第1検査機)14は、制御部22により制御され、包装機12から排出された、包装された製品Pの重量の良否検査を図示しない計量手段から出力される計量値に基づいて行ない、この良否検査で重量の過不足がない包装された製品P、すなわち基準重量に対して設定された上限重量と下限重量とにより定められる正量範囲にある良製品を正量製品としてケーサ15に排出し、重量の過不足のある包装された製品Pを不良製品として選別機14Aを動作させて生産ライン外に排除する。なお、重量が正しく計量できずに検査できなかったときの計量不可製品についても不良製品として扱うようになっている。
【0036】
この検査機14は、包装された製品Pの重量の良否検査に加え、可視光線、赤外線やX線などを用いた画像検査を用いた異物の混入の有無、包装不良の有無および変形の有無などを異物検査、形状検査等を検査項目に含んでもよい。この場合、不良とされた検査項目に応じて排除先を区別するために選別機14Aには多方向の排除先が設定されるとよい。
【0037】
検査機14には、印字機13により包装された製品Pの所定位置に印字された情報を読み取るコードリーダ18が接続されている。コードリーダ18で読み取られた、例えば製品シリアル番号などの第1識別情報51は検査機14に送信される。
【0038】
コードリーダ18は検査機14の入口部に設けられていて、検査機14はコードリーダ18から送信される第1識別情報51を記憶し、各製品Pの重量および良否検査の検査結果と順次関連付ける。すなわち、検査機14は、各製品Pの重量や良否検査の検査結果と、その製品Pを識別する第1識別情報51とを含むデータセットを生成する。
【0039】
ケーサ15は、制御部23により制御され、検査機14から排出された包装された製品Pを図示しない箱詰機構により所定の数まとめて箱Bに箱詰め後、封函して検査機(第2検査機)17に排出する。ここでいう「箱詰め」とは、所定数の包装された製品Pをひとまとめに梱包することを指す。
【0040】
ケーサ15の入口部には、包装された製品Pに印字された第1識別情報51を箱詰めする前に読み取るコードリーダ19が接続されている。コードリーダ19で読み取られた、例えば製品シリアル番号などの第1識別情報51はケーサ15に送信される。
【0041】
ケーサ15は、検査機14から包装された製品Pを順次受け入れて、コードリーダ19で読み取られた第1識別情報51を順次記憶する。また、所定の箱詰め位置に箱Bがセットされると、箱Bを識別するための第2識別情報52として例えば段ボールシリアル番号を生成し、後述する印字機16に送信する。
【0042】
ケーサ15は、生成した第2識別情報52と、同一の箱Bに箱詰めされた各製品Pもしくは箱詰めされる各製品Pを識別する第1識別情報51とを関連付ける。この関連付けは、各製品Pと、これらの製品Pが箱詰めされた箱Bもしくは箱詰めされる箱Bとの対応関係を直接的または間接的に示す。これにより、ケーサ15により箱Bが封函された後でも、箱Bに印字された第2識別情報52を用いて、箱の中にある包装された製品Pの第1識別情報51を特定できるようになる。
【0043】
印字機16は、ケーサ15において箱Bがセットされる箱詰め位置もしくは箱詰めされた製品Sが検査機17に排出される経路上の所定位置のいずれかの位置で箱Bにバーコード、二次元コードや英数字等の形態で表現され得る第2識別情報52を印字する。ケーサ15と、印字機16と、は接続され、相互に通信することができる。
【0044】
ケーサ15は、例えば、段ボール箱Bが箱詰め位置にセットされるとこの段ボール箱Bを識別する情報である段ボールシリアル番号を生成し、生成された段ボールシリアル番号などの第2識別情報52を印字機16に送信する。印字機16は、ケーサ15から送信された第2識別情報52に基づいて段ボール箱Bに第2識別情報52としての段ボールシリアル番号を印字する。なお、印字機16は、ケーサ15の一部として構成されてもかまわない。ここでいう印字とは、例えば、段ボール箱Bの側面や上面などの所定位置に、第2識別情報52を直接印字すること、もしくは第2識別情報52が印字されたラベルを貼付することのいずれでもよい。
【0045】
検査機17は、制御部24により制御され、ケーサ15から排出された、箱詰めされた製品Sの重量の検査を行ない、検査で重量の過不足がない箱詰めされた製品S、すなわち基準重量に対して設定された上限重量と下限重量とにより定められる正量範囲にある製品を所定個数の包装された製品Pが箱詰めされた正量製品として下流の工程に排出し、重量の過不足のある箱詰めされた製品Sが発生したときには下流に排出せずアラームを出力する。
【0046】
検査機17には、印字機16により箱詰めされた製品Sの箱Bに印字された第2識別情報52を読み取るコードリーダ20が接続されている。コードリーダ20で読み取られた、例えば段ボールシリアル番号などの第2識別情報52は検査機17に送信される。
【0047】
いま、コードリーダ20が、検査機17の上流側に設けられているとすると、検査機17は、コードリーダ20から送信される第2識別情報52を記憶し、その第2識別情報52を箱詰めされた製品Sの重量および検査結果と関連付ける。
【0048】
サーバ装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成され、図1に示すようにLAN(Local Area Network)等のネットワーク40に有線接続もしくは無線接続されている。
【0049】
図1及び図2に示すように、包装機12、検査機14、ケーサ15、検査機17、サーバ装置30は、ネットワーク40を介して、相互に通信できるようになっている。
【0050】
図2に示すように、組み合わせ計量機11及び印字機13は包装機12の一部として構成され包装機12の制御部21により制御されるものとし、選別機14A及びコードリーダ18は検査機14の一部として構成され検査機14の制御部22により制御されるものとし、印字機16及びコードリーダ19はケーサ15の一部として構成されケーサ15の制御部23により制御されるものとし、コードリーダ20は検査機17の一部として構成され検査機17の制御部24により制御されるものとして、説明する。
【0051】
サーバ装置30には、生産ラインの各機器の配置が予め設定されていて、一つの機器の前後に配置された他の機器に関する情報が、例えば機器固有の機器IDと対応付けて記憶されている。
【0052】
計量機11、包装機12、検査機14、ケーサ15、検査機17は、それぞれの機器に固有の機器ID、処理した製品に関する情報である計量結果や検査結果、包装結果などの処理データ、計量条件や検査条件、箱詰め条件などの動作設定に関する情報である条件データ、などと、製品シリアル番号(第1識別情報51)または段ボールシリアル番号(第2識別情報52)とを含む生産データを、ネットワーク40を介してサーバ装置30に送信する。
【0053】
サーバ装置30は、生産ラインの各機器から送信される生産データを、ネットワーク40を介して受信し、包装された製品Pに対応する製品シリアル番号または包装された製品Pを所定の数まとめて箱詰めされた製品Sの箱Bに対応する段ボールシリアル番号と関連付けてハードディスク装置に記憶して管理する。生産データには、生産データの情報が取得された時刻の情報が含まれている。
【0054】
組み合わせ計量機11は、例えば、複数の計量部を有し、それぞれの計量部に原材料Mを一個ずつまたは一塊で供給されて計量し、所定の基準値に近い合計重量となるように組み合わせて排出するとともに、排出した原材料Mの合計重量である計量結果などを包装機12へ送信する。
【0055】
包装機12は、組み合わせ計量機11からまとめて排出された原材料Mを袋状に成形された包装材により包装して包装された製品Pを形成すると、包装を行なった製品Pごとに製品シリアル番号を生成し、例えば、組み合わせ計量機11から受信した計量結果などと、包装を行なった際の包装結果、生成された製品シリアル番号などを生産データとして制御部21からサーバ装置30に送信する。
【0056】
検査機14は、包装された製品Pの重量の検査の判定のための基準重量などの検査条件や、検査結果、計測した包装された製品の重量、コードリーダ18で読み取られた製品シリアル番号などを生産データとしてサーバ装置30に制御部22から送信する。
【0057】
ケーサ15は、箱詰めを行なった箱詰めされた製品Sについて、箱詰め個数や箱Bの種類などの箱詰め条件のほか、例えば、同一の箱Bに箱詰めされた所定数の包装された製品Pのそれぞれの製品シリアル番号や、これらの包装された製品Pが箱詰めされた箱Bに対して生成された段ボールシリアル番号などを生産データとして所定のデータ形式でサーバ装置30に制御部23から送信する。
【0058】
例えば、図2に示されるように、1つの段ボール箱Bに6個の包装された製品Pが箱詰めされたとする。このとき、ケーサ15は、段ボール箱Bを特定し、識別可能な段ボールシリアル番号を生成して、段ボール箱Bの側面に段ボールシリアル番号を印字機16に印字させるとともに、この段ボール箱Bに箱詰めされた包装された製品Pの製品シリアル番号を直接的に関連付けたデータセットをサーバ装置30に送信する。
【0059】
具体的には、同一の段ボール箱Bごとに、ケーサ15に固有の「機器ID」、箱詰め個数や現在時刻などの「箱詰め条件」、段ボール箱Bを識別するための「段ボールシリアル番号」、その箱に箱詰めされた6個の包装された製品Pの製品シリアル番号すなわち「製品シリアル番号(1)」、「製品シリアル番号(2)」、・・・、「製品シリアル番号(6)」を含むデータセットがサーバ装置30に送信される。すなわち、このようなデータセットによれば、1つのデータセットには1つの段ボールシリアル番号と6個の製品シリアル番号を含むことができ、ケーサ15は、箱詰めを行なった箱詰めされた製品Sの数に応じた回数でサーバ装置30にデータを送信することとなる。
【0060】
また、ケーサ15は、他の形態でサーバ装置30に箱詰めデータを送信してもよい。具体的には、同一の段ボール箱Bに箱詰めした包装された製品Pごとに、ケーサ15に固有の「機器ID」、箱詰め個数や箱詰め時刻などの「箱詰め条件」、段ボール箱Bを識別するための「段ボールシリアル番号」、その段ボール箱Bに箱詰めされた包装された6個の製品のうちのk番目の製品の「製品シリアル番号(k)」(kは1~6)を、サーバ装置30に合計で6回送信する。すなわち、このようなデータセットによれば、1つのデータセットには1つの段ボールシリアル番号と1つの製品シリアル番号を含むことができ、ケーサ15は、1つの段ボール箱Bに対し、箱詰めされた包装された製品Pの数に応じた回数に分けてサーバ装置30にデータを送信することとなる。
【0061】
検査機17は、箱詰めされた製品Sの重量の検査の判定のための基準重量などの検査条件や、検査結果、計測した箱詰めされた製品Sの重量、コードリーダ20で読み取られた段ボールシリアル番号などを生産データとしてサーバ装置30に制御部24から送信する。
【0062】
サーバ装置30は、包装機12、検査機14、ケーサ15、検査機17の各制御部(21、22、23、24)から受信した生産データを、例えば、包装された製品Pを識別する製品シリアル番号や、包装された製品Pが箱詰めされた箱Bを識別する段ボールシリアル番号で関連付けて記憶する。
【0063】
なお、段ボールシリアル番号には、箱詰めされた包装された製品Pのシリアル番号も直接関連付けて記憶するとよい。
【0064】
サーバ装置30は、ユーザの要求により、例えば、製品シリアル番号または段ボールシリアル番号をキーとして、生産データを検索して表示する。
【0065】
サーバ装置30は、生産データを、例えば、対応する製品の通過順に、各機器の処理データや条件データを並べて表示する。サーバ装置30は、生産データを取得された時刻順に表示させるようにしてもよい。
【0066】
例えば、ケーサ15は、段ボール箱Bを箱詰め位置にセットすると、段ボールシリアル番号を生成し、段ボール箱Bの所定の位置に段ボールシリアル番号を印字機16によって印字させるとともに、ケーサ15に固有の「機器ID」、箱詰め個数や現在時刻などの「箱詰め条件」、「段ボールシリアル番号」を含むデータセットをサーバ装置30に送信する。次いで、検査機14から良品とされた包装された製品Pを順次受け入れ、製品シリアル番号をコードリーダ19によって読み取られると、ケーサ15に固有の「機器ID」、「現在時刻」、「製品シリアル番号」を含むデータセットをサーバ装置30に送信する。これを、箱詰め個数に達するまで繰り返し、箱詰めが完了すると次の段ボール箱Bをセットする。
【0067】
サーバ装置30は、ケーサ15から送信されたデータセットに含まれる時刻情報に基づいて、段ボールシリアル番号と製品シリアル番号とを間接的に関連付けたこととなり、すなわち、ある段ボール箱Bと、箱詰めされた包装された製品Pとを特定できる。
【0068】
このような形態によれば、既存のケーサ15に上述した関連付けの機能やデータ送信機能が実装されていない場合であっても、段ボールシリアル番号を生成して印字するユニットと製品シリアル番号を読み取るユニット、およびこれらのユニットを制御するコントローラをケーサ15に後付けして連係させるだけで、ケーサ15のハードウェアやプログラムを更新しなくても実現可能となる。
【0069】
また、サーバ装置30は、各機器から送信された生産データを所定の条件で検索する機能を有している。例えば、サーバ装置30でデータ検索機能を起動させると、検索条件入力画面が表示され、検索条件として段ボールシリアル番号が入力された場合、入力された段ボールシリアル番号に関連づけられた製品シリアル番号の製品の生産データを所定の形式で出力する。
【0070】
例えば、検査機17において、箱詰めされた製品Sの重量に過不足があるとアラームが出力されたとき、ユーザは、サーバ装置30の検索機能を起動し、過不足のある箱詰めされた製品Sの段ボール箱Bに印字された段ボールシリアル番号を検索条件として入力する。サーバ装置30は、入力された段ボールシリアル番号に対して関連付けられた製品シリアル番号を特定すると、関連付けられたそれぞれの包装された製品Pについて、包装機12、検査機14、ケーサ15、検査機17から送信された生産データをディスプレイ等に一覧表示する。
【0071】
ユーザは、ケーサ15により箱詰めされたそれぞれの包装された製品Pが、検査機14から排出された正量品であるにもかかわらず、検査機17によって過不足があると判定された原因を一覧表示された生産データに基づいて確認することができる。
【0072】
例えば、検査機17で箱詰めされた製品Sの重量が下限重量を下回った場合について説明する。検査機14は正量製品をケーサ15に排出しているが、それぞれの正量製品が基準重量に対して下限重量に近い重量に偏っていると、このような製品を箱詰めしたことによって、箱詰めされた製品Sの全体重量は検査機17における下限重量を下回ってしまうことがある。ユーザは、生産データの一覧表示により、ケーサ15によって所定個数の包装された製品Pが箱詰めされたこと、および箱詰めされた全ての包装された製品Pが正量製品であり、かつそれぞれの重量が下限重量に近い偏った状態であることを容易に把握でき、この箱詰めされた製品Sを正量製品として下流の工程に排出することができる。これは、箱詰めされた製品Sの全体重量が検査機17における上限重量を上回っていたとき、箱詰めされた包装された製品Pが基準重量に対して上限重量に近い重量に偏っていたときにもあてはまる。
【0073】
また、検査機17で箱詰めされた製品Sの重量が下限重量を下回った場合の他の例について説明する。入力された段ボールシリアル番号に関連付けられた製品シリアル番号から、箱詰めされた包装された製品Pについて、検査機14から送信された重量の合計と、検査機17から送信された箱詰めされた製品Sの全体重量が異なっていると、本来箱詰めすべき個数が箱詰めされていないおそれがあることがデータの一覧表示により把握できる。この場合には、封函された段ボール箱Bを開梱して、箱詰めされた個数を確認し、不足分の包装された製品Pを追加で箱詰めすることによって正量製品とできるが、あわせてケーサ15の動作を確認する必要があることも把握できる。これは、本来箱詰めすべき個数を超えて箱詰めされたおそれがあるときにもあてはまる。
【0074】
このようにすることで、箱詰め前の包装された製品Pの生産データと、箱詰めされた製品Sの生産データとを、包装された製品Pに印字された第1識別情報51と包装された製品Pが箱詰めされた段ボール箱Bに印字された第2識別情報52とを関連付けることによって、第2識別情報52としての段ボールシリアル番号から、第1識別情報51としての製品シリアル番号を特定し、その製品シリアル番号を含むデータセットを出力することによって、箱詰め後であっても箱詰めされたそれぞれの包装された製品Pに関する生産データを容易に参照することができるようになる。
【0075】
サーバ装置30は、例えば、図3に示すようなウィンドウを不図示のディスプレイに表示させて検索の条件を設定させたり、検索結果を表示させたり、各機器の設定条件を表示させたりする。
【0076】
サーバ装置30は、例えば、図3(a)に示すような検索用ウィンドウ31により検索の条件を設定させる。
【0077】
図3(a)に示すように、検索用ウィンドウ31では、製品シリアル番号(Prod. S/N)や段ボールシリアル番号(Carton S/N)、日時等を検索条件にしての検索が可能となっている。図3(a)では、段ボールシリアル番号B3356にて検索する場合を示している。
【0078】
サーバ装置30は、例えば、図3(b)に示すような検索結果ウィンドウ32により検索の結果を表示させる。
【0079】
図3(b)に示すように、検索結果ウィンドウ32では、同B3356箱内に6つの製品が内包されていることが示されている。また、各製品シリアル番号や検査結果等の情報が併せて表示される。つまり、段ボールシリアル番号から内包された個別物の情報の把握が可能である。
【0080】
サーバ装置30は、例えば、図3(c)に示すような設定条件ウィンドウ33により各機器の設定条件を表示させる。
【0081】
図3(c)に示すように、設定条件ウィンドウ33では、対象製品の目標重量などの情報が表示される。なお、設定条件ウィンドウ33は、検索結果ウィンドウ32と並列表示してもいいし、通常は非表示で、ユーザ操作によって表示されるようにしてもよい。
【0082】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0083】
1 生産管理システム
11 組み合わせ計量機(生産ライン構成機器)
12 包装機(生産ライン構成機器)
13 印字機
14 検査機(第1検査機、生産ライン構成機器)
14A 選別機(生産ライン構成機器)
15 ケーサ(生産ライン構成機器)
16 印字機
17 検査機(第2検査機、生産ライン構成機器)
18、19、20 コードリーダ
21、22、23、24 制御部
30 サーバ装置
40 ネットワーク
51 第1識別情報(製品シリアル番号)
52 第2識別情報(段ボールシリアル番号)
M 原材料
P 包装された製品
S 箱詰めされた製品
B 箱
図1
図2
図3