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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087945
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】水中のリンの回収方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20230101AFI20240625BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
C02F1/28 P
B01J20/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202861
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000142148
【氏名又は名称】ハイモ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】大木 孝恵
【テーマコード(参考)】
4D624
4G066
【Fターム(参考)】
4D624AA04
4D624AB12
4D624BA17
4D624BB01
4D624BC04
4D624CA01
4D624DA07
4D624DA10
4D624DB03
4D624DB07
4D624DB12
4D624DB20
4G066AC17B
4G066AC35B
4G066BA28
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA41
4G066DA08
(57)【要約】
【課題】
廃水や廃液等の水中のリンの回収方法に関し、詳しくは比較的安価で簡易な操作で効率的にリンを回収する方法を提供すること。
【解決手段】
特定の単量体及び組成を有する高分子ゲルを水に接触させることで、簡易で効率的にリンを吸着し回収することが可能となる。高分子ゲルの単量体としてアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物あるいはメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物から選択される一種以上を用いることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされるカチオン性単量体80~99.9質量%、非イオン性単量体0~10質量%及び架橋性単量体0.1~20質量%を含有する単量体混合物を重合して得られる高分子ゲルを、リンを含有している水と接触させることを特徴とする水中のリンの回収方法。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、Rは水素、炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、7~20のアルキル基あるいはアリール基、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2~4のアルキレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
【請求項2】
前記一般式(1)で表わされるカチオン性単量体がアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物あるいはメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の水中のリンの回収方法。
【請求項3】
前記高分子ゲル中の含水率が40質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の水中のリンの回収方法。












【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中のリンの回収方法に関する。詳しくは、高分子を用いて水中のリンを吸着して回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃水中に含まれるリンは水質の悪化の要因となり、放流先水域に流出されると富栄養化が進行するため除去する必要がある。一方、リンの原料となるリン鉱石で採掘可能なものは今後数十年で枯渇すると予測されている。そこで、再利用が可能なリンの吸着除去、回収が喫緊の課題として挙げられている。
廃水中からのリン回収は一般的にはハイドロキシアパタイトやリン酸マグネシウムアンモニウム等を用いてリン化合物を晶析させる晶析法が用いられる。しかし、この方法ではスケール発生による配管詰まりが問題となる。加えて高濃度リン廃水を対象とする等、使用条件が限られる。一方でイオン交換樹脂やハイドロタルサイト系化合物等を用いた吸着法は低濃度のリン回収に優位であり、更にスケールの発生が少ない点がメリットであるが、使用するゲルの再生方法やコスト面で課題がある。
そこで、高分子を用いたリン回収方法も種々検討されている。
例えば、特許文献1では、ポリアクリルアミドやポリアミンを用いて廃水からリン酸塩を回収する方法が開示されている。しかし、この方法では多段階の処理ステップが必要であり煩雑である。
特許文献2では、リンを含む排水にカチオン系有機凝集剤とアニオン系有機凝集剤を添加するリン除去方法が開示されている。しかし、この方法では高分子を二液以上使用する必要がある。
そのため高分子を用いた比較的安価で効率的なリンの回収方法が要望されている。
【0003】
【特許文献1】特表2019-505368号公報
【特許文献2】特開2015-192976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特に廃水や廃液等の水中のリン回収方法に関し、詳しくは比較的安価で簡易な操作で効率的にリンを回収する方法に関することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定の高分子ゲルを水と接触させることで、水中のリン酸を吸着することができ前記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
【発明の効果】
【0006】
本発明における特定の高分子ゲルを水と接触させ、水中のリン酸を吸着することで効率的にリンを回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明における高分子ゲルは、下記一般式(1)で表わされるカチオン性単量体80~99.9質量%、非イオン性単量体0~10質量%及び架橋性単量体0.1~20質量%を構成単位とする。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、Rは水素、炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、7~20のアルキル基あるいはアリール基、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2~4のアルキレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
【0008】
一般式(1)で表わされるカチオン性単量体として、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物等が挙げられる。これらの中でアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物が好ましい。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。カチオン性単量体は、全単量体に対し90~99.5質量%が好ましい。
【0009】
非イオン性単量体として、(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。
又、本発明における高分子ゲルの効果を阻害しない範囲でアニオン性単量体を含有しても良い。アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸あるいはそのナトリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、マレイン酸あるいはそのアルカリ金属塩、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸あるいはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。アニオン性単量体は全単量体の5質量%以下が好ましい。
【0010】
架橋性単量体として、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸-1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N-ビニル(メタ)アクリルアミド、N-メチルアリルアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アクロレイン、グリオキザール、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの中でN,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコールが好ましい。架橋性単量体は、全単量体に対し0.5~10質量%が好ましい。
【0011】
本発明における高分子ゲルは、一般式(1)で表わされるカチオン性単量体、非イオン性単量体及び架橋性単量体を含有する単量体混合物を共重合することによって製造することができる。重合はこれら単量体を混合した水溶液を調製した後、公知の方法により製造することができる。例えば、水溶液重合、油中水型エマルジョン重合、水中油型エマルジョン重合、塩水中分散重合等によって重合した後、水溶液、塩水中分散液、油中水型エマルジョンあるいは粉末等、任意の製品形態にすることができる。
【0012】
重合開始剤としては、例えば、2、2’-アゾビス[2-(5-メチル-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2、2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2、2’-アゾビス-2-アミジノプロパン二塩酸塩等のアゾ系の重合開始剤が挙げられる。又、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、過酸化サクシニック、t-ブチルぺルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルヒドロぺルオキシド等の過酸化物等も挙げられる。これらは単独でも使用できるが、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等の還元剤と組合せてレドックス系重合開始剤としても使用できる。重合開始剤の添加率は全単量体に対し0.01~2質量%、好ましくは0.1~1質量%である。
【0013】
重合反応は、使用する重合開始剤にもよるが、通常温度30~100℃、時間は0.5時間~20時間で行う。重合濃度としては、単量体濃度として5~60質量%であるが、好ましくは10~50質量%である。重合後、高分子ゲルは任意の手段で破砕し任意の大きさにすることができる。粒子状であるとリンとの吸着効率が高まるため好ましい。
【0014】
本発明における高分子ゲルは、純水に浸し膨潤させたり、乾燥させたりすることで含水率を調整することができる。含水率が40質量%以上であると吸着効率が高まるため好ましい。尚、含水率は、高分子ゲルを55℃で16時間以上乾燥させ、乾燥前後の高分子ゲルの質量差を水分量として測定し算出する。
【0015】
本発明が対象とする水は、金属加工工場、メッキ工場、化学工場、食品工場、機械工場、電気・電子工場、自動車工場等からの各種産業廃水や洗浄廃水、上水、下水、し尿系汚水や汚泥、畜産系廃水、家庭等からの生活廃水、地下水等、リンを含有している各種水に適用できる。
水中のリン酸濃度としては、0.1~10000ppmの範囲が好ましく、1~1500ppmが特に好ましい。
【0016】
本発明における高分子ゲルを、リンを含有している水と接触させる。対象水に添加した後、乱流、層流等の任意の撹拌条件により混合されることでリン酸イオンを吸着する。又、高分子ゲルを網体に入れて水に浸漬させ、リン酸イオンを吸着することができる。更には、粒子状である高分子ゲルをカラムに充填して廃水等を通液しリン酸を吸着させることができる。
リンを含有している水のpHは2~12が好ましく、3~10が特に好ましい。pH2より低いと吸着効果を示さず、pH12を超えてもそれ以上の大きな吸着効果は得られ難い。水のpHは硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルファミン酸、クエン酸、フマル酸、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、シュウ酸、リンゴ酸、サリチル酸等の酸あるいはその塩、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いて適宜に調整することができる。
【0017】
本発明における高分子ゲルは、前記一般式(1)で表わされるカチオン性単量体、非イオン性単量体及び架橋性単量体を重合することにより得られた高分子ゲルのリン酸吸着効果が優れていることを見出したものである。リン酸は主に水中でアニオン性に帯電している。カチオン性の高分子ゲルは静電相互作用にてリン酸を吸着するが、本発明における高分子ゲルの空孔がリン酸の分子半径に近く、他のカチオン性素材よりも優れた選択性・吸着性が得られるものと推察される。
【0018】
本発明における高分子ゲルは、製品のままの状態で使用しても良いし、純水に浸し膨潤させたり、乾燥させたりすることで含水率を調整して対象水に接触させても良い。又、水液量に対する添加率は、対象水の性状やリン酸の濃度にもよるが高分子純分換算で0.5~50000ppm、好ましくは1~10000ppmである。
【0019】
高分子ゲルに吸着したリン酸を水中から分離するための方法としては、濾過、デカンテーション、遠心分離、不織布等に吸着させる方法等が挙げられるが、取り扱いの簡便さから濾過又はデカンテーションが好ましい。又、分離したものを焼却処理や酸処理等の任意の処理によりリンを回収することができる。高分子ゲルに吸着したリン酸は強酸性溶液で脱離回収でき、高分子ゲルを再利用することができる。又、リンを吸着した高分子ゲルを乾燥、焼却させて肥料として使用することも可能である。
【実施例0020】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0021】
(高分子ゲル試料の製造)
温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mLセパラブルフラスコに80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMCと略記)110.3g、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAAと略記)1.8g、純水187.9gを加え、全量が300gになるように単量体溶液を調製した。この時の単量体組成は、DMC/MBAA=98/2(質量%)、単量体濃度は30質量%である。得られた単量体溶液の温度を48~50℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、アゾ系重合開始剤2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩(富士フィルム和光純薬製VA-044)0.36g(対単量体0.4質量%)を加え、重合反応を開始させた。50℃で2時間重合させ反応を完結させ高分子ゲルが得られた。得られた高分子ゲルを手で破砕し粒状の高分子ゲルを得た。これを高分子ゲル試料1とし、その組成、物性を表1に示す。
又、単量体の種類、組成比、架橋性単量体の種類、量を変更して高分子ゲル試料1と同様の方法で粒状の高分子ゲルを得た。これらを高分子試料2~10とし、その組成、物性を表1に示す。尚、試料3、7は、得られた高分子ゲルを純水に浸し膨潤させ含水量を増加させたもの、試料4、5、8~10は得られた高分子ゲルを55℃で乾燥させ含水量を調整したものである。
【0022】
(本発明の範囲外の高分子ゲル試料の製造)
単量体の種類、組成比、架橋性単量体量を変更して高分子ゲル試料1と同様の方法で粒状の高分子ゲルを得た。これを高分子ゲル試料11~14とし、これらの組成、物性を表1に示す。尚、試料11は、得られた高分子ゲルを純水に浸し膨潤させ含水量を増加させたもの、試料12、14は得られた高分子ゲルを55℃で乾燥させ含水量を調整したものである。
又、市販品の強塩基性陰イオン交換樹脂(クロロメチル化=ジビニルベンゼン・エチルスチレン・スチレン共重合体のトリメチルアミン4級化物、架橋度4%、全交換容量1.0eq/L以上、富士フィルム和光純薬製)を試料15として試験に用いた。
【0023】
(表1)
カチオン性単量体; DMC:メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、DADMAC:ジアリルジメチルアンモニウム塩化物、DMM:ジメチルアミノエチルメタクリレート硫酸塩、DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、DMAPAA-Q:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩
非イオン性単量体;AAM:アクリルアミド
架橋性単量体;MBAA:メチレンビスアクリルアミド、DATEG:ジアクリル酸テトラエチレングリコール
【0024】
(実施例1)
試薬のリン酸を使用して、リン酸濃度100ppmの水溶液をビーカーにて調製した。水酸化ナトリウムと塩酸を用いてpHを8に調整したリン酸水溶液100gに高分子ゲル試料1を0.17g(対液500ppm高分子純分換算)加えて、400rpmで20分間攪拌した。自重でゲルを沈殿させて上澄み液のリン酸をJIS K 0102法に記載のモリブデン青吸光光度法に準じて測定しリン酸回収率を算出した。この結果を実施例1-1として表2に示す。又、高分子ゲル試料、添加率を変更し同様な試験を実施した(実施例1-2~11)。これらの結果を表2に示す。
【0025】
(比較例1)
実施例1と同じ水溶液を用いて同様な試験を実施しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表2に示す。
【0026】
(表2)
【0027】
(実施例2)
試薬のリン酸を使用して、リン酸濃度100ppmの水溶液をビーカーにて調製した。水酸化ナトリウムと塩酸を用いてpHを10に調整した。リン酸水溶液100gに高分子ゲル試料6を0.17g(対液500ppm高分子純分換算)加えて、400rpmで20分間攪拌した。自重でゲルを沈殿させて上澄み液のリン酸をJIS K 0102法に記載のモリブデン青吸光光度法に準じて測定しリン酸回収率を算出した。又、高分子ゲル試料を変更して同様な試験を実施した。これらの結果を表3に示す。
【0028】
(比較例2)
実施例2と同じ水溶液を用いて高分子ゲル試料を変更して同様な試験を実施しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表3に示す。
【0029】
(表3)
【0030】
(実施例3)
試薬のリン酸を使用して、リン酸濃度100ppmの水溶液をビーカーにて調製した。水酸化ナトリウムと塩酸を用いてpHを3に調整したリン酸水溶液100gに高分子試料6を0.17g(対液500ppm高分子純分換算)加えて、400rpmで20分間攪拌した。自重でゲルを沈殿させて上澄み液のリン酸をJIS K 0102法に記載のモリブデン青吸光光度法に準じて測定しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表4に示す。
【0031】
(比較例3)
実施例3と同じ水溶液を用いて高分子ゲル試料を変更して同様な試験を実施しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表4に示す。
【0032】
(表4)
【0033】
(実施例4)
試薬のリン酸を使用して、リン酸濃度10ppmの水溶液をビーカーにて調製した。水酸化ナトリウムと塩酸を用いてpHを8に調整したリン酸水溶液100gに高分子試料6あるいは8を0.017g(対液50ppm高分子純分換算)加えて、400rpmで20分間攪拌した。自重でゲルを沈殿させて上澄み液のリン酸をJIS K 0102法に記載のモリブデン青吸光光度法に準じて測定しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表5に示す。
【0034】
(比較例4)
実施例4と同じ水溶液を用いて高分子ゲル試料を変更して同様な試験を実施しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表5に示す。
【0035】
(表5)
【0036】
(実施例5)
試薬のリン酸を使用して、リン酸濃度1ppmの水溶液をビーカーにて調製した。水酸化ナトリウムと塩酸を用いてpHを8に調整したリン酸水溶液100gに高分子試料6あるいは8を0.003g(対液10ppm高分子純分換算)加えて、400rpmで20分間攪拌した。自重でゲルを沈殿させて上澄みのリン酸濃度を、上澄み液のリン酸をJIS K 0102法に記載のモリブデン青吸光光度法に準じて測定しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表6に示す。
【0037】
(比較例5)
実施例5と同じ水溶液を用いて高分子ゲル試料を変更して同様な試験を実施しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表6に示す。
【0038】
(表6)
【0039】
(実施例6)
下水消化汚泥濾液(pH7.7、リン酸1032ppm)を用いて評価した。廃水100gに高分子試料6を8.3g(対液25000ppm高分子純分換算)加えて、400rpmで20分間攪拌した。自重でゲルを沈殿させて上澄み液のリン酸をJIS K 0102法に記載のモリブデン青吸光光度法に準じて測定しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表7に示す。
【0040】
(比較例6)
実施例6と同じ濾液を用いて高分子ゲル試料を変更して同様な試験を実施しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表7に示す。
【0041】
(表7)
【0042】
(実施例7)
食品工場廃水(pH5.6、リン酸47ppm)を用いて評価した。廃水100gに高分子試料7を40g(対液4000ppm高分子純分換算)加えて、200rpmで20分間攪拌した。5Cの濾紙で濾過を行い、濾液のリン酸濃度をJIS K 0102法に記載のモリブデン青吸光光度法に準じて測定しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表8に示す。
【0043】
(比較例7)
実施例7と同じ廃水を用いて高分子ゲル試料を変更して同様な試験を実施しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表8に示す。
【0044】
(表8)
【0045】
(実施例8)
化学工場廃水(pH5.9、リン酸148ppm)を用いて評価した。廃水100gに高分子ゲル試料7を40g(対液4000ppm高分子純分換算)加えて、200rpmで20分間攪拌した。5Cの濾紙で濾過を行い、濾液のリン酸濃度を、JIS K 0102法に記載のモリブデン青吸光光度法に準じて測定しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表9に示す。
【0046】
(比較例8)
実施例8と同じ廃水を用いて高分子ゲル試料を変更して同様な試験を実施しリン酸回収率を算出した。これらの結果を表9に示す。
【0047】
(表9)

【0048】
本発明の高分子ゲルを添加する実施例においては、リン酸の高い回収率を示し、簡易で効率的にリンを吸着し回収することが確認できた。