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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087947
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】入力表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240625BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240625BHJP
   G06F 3/04883 20220101ALI20240625BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G06F3/041 595
G06F3/0481
G06F3/041 590
G06F3/04883
G06F3/01 570
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202863
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】天野 崇
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA14
5E555AA54
5E555AA74
5E555BA08
5E555BA23
5E555BB08
5E555BB23
5E555BC01
5E555BE10
5E555CB12
5E555CB33
5E555DB18
5E555DD06
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 立体的な操作部への回転操作の判定精度を向上させることができる入力表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の入力表示装置は、画像を表示するためのディスプレイ110と、ディスプレイ110上に取付けられ、表面に少なくとも1つの立体的な操作部であるノブ130を含む静電容量型のタッチパネル120と、タッチパネル120の静電容量を測定し、測定した静電容量に基づきタッチパネル120への操作を検出する検出手段とを有する。検出手段は、ノブ130にタッチされた全ての指の回転量を検出し、検出されたいずれかの指の回転量が閾値に到達したとき、ノブ130への回転操作が行われたと判定する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するためのディスプレイと、
前記ディスプレイ上に取り付けられ、表面に少なくとも1つの立体的な操作部を含む静電容量型のタッチパネルと、
前記タッチパネルの静電容量を測定し、測定した静電容量に基づきタッチパネルへの操作を検出する検出手段とを有し、
前記検出手段は、前記操作部にタッチされた全ての指の回転量を検出し、検出されたいずれかの指の回転量が閾値に到達したとき、前記操作部への回転操作が行われたと判定する、入力表示装置。
【請求項2】
最も回転量の多い指の回転量が閾値に到達する前に当該指の検出が消失した場合、前記検出手段は、残りの指の回転量を最も回転量の多い指の回転量に更新する、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項3】
前記操作部にタッチする指の検出が途中で追加された場合、前記検出手段は、最も回転量の多い指の回転量を追加された指の回転量に割り当てる、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記操作部への回転操作が行われたと判定したとき、検出されている指の回転量をリセットする、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項5】
入力表示装置はさらに、前記ディスプレイの前記操作部の周囲に、回転操作に応じたゲージを表示させる表示手段を含む、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記ディスプレイの前記操作部の対応する位置に、入力操作を表すアイコンを表示する、請求項5に記載の入力表示装置。
【請求項7】
前記操作部は、円筒状のノブ、ボタンまたはつまみ形状を有する、請求項1に記載の入力表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人と機械とのインターフェース機能を備えた入力表示装置に関し、特に、立体形状の操作部を含む入力表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイに重畳して配置されたタッチパネル上に凸部を設け、当該凸部と重なる位置に操作アイコン等の画像を表示する入力表示装置が開示されている(例えば、特許文献1)。ユーザーは、凸部をタッチ操作することで入力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-190832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電容量型のタッチパネルで操作を行うディスプレイ機器において、カバーガラスに凹凸形状を持たせることによりタッチ位置を触覚的に認知させ、注視せずともタッチ位置を理解することができるユーザーインタフェース(以降、立体UIと呼ぶ)の提案がなされている。
【0005】
図1(A)は、従来のフラットなタッチパネルの操作例であり、ユーザーUは、ディスプレイ10に表示された操作アイコン12を視認し、操作アイコン12(図の例は音符)の位置をタッチ操作することで入力を行う。
【0006】
図1(B)は、立体UIを有するタッチパネルの操作例、図1(C)は、立体UIの概略断面図である。タッチパネル24上には、凹凸形状の透明なカバーレンズ26が取り付けられ、ディスプレイ20は、カバーレンズ26と重なる位置に操作アイコン22を表示する。ユーザーUは、カバーガラス26上に指をタッチすることで入力を行う。タッチ検出には、センサから距離が離れていても指の静電容量(距離)を検出することができる高感度静電センサが用いられ、厚みのあるカバーレンズ26の上からでもタッチの有無を判定することが可能である。これにより、運転中の車載ディスプレイへの注視が難しい状況下において、タッチミス(操作ミス)を低減することが可能である。
【0007】
立体UIの中には、円筒状のノブ(ボタン)もある。ノブへの操作は、ノブ側面を指腹で滑らせて回転操作するものであり、実際にはノブは回転しない。例えば、図2(A)に示すように、ノブ30の操作に割り当てられた機能(例えば、ボリューム等)を示すアイコン40がノブ30の下方に表示され、ノブ30の周囲には、ノブ30への回転操作の回転量を示すゲージ(目盛り)50が表示される。
【0008】
ユーザーは、メカニカルスイッチのノブと同様に、円筒状のノブ30を指Uでつまみ、図2(B)に示すように、ノブ30の側面で指腹を滑らせて指Uを回転させる。ユーザーは、ゲージ50を参照し、さらに回転操作を行う場合には、図2(C)に示すように、指Uを元の位置に戻し、再びノブ30の側面で指腹を滑らせて指Uを回転させる
【0009】
タッチパネルは、ノブ30に触れた指Uの円周移動を検出し、ノブへの回転操作を判定している。図3(A)は、2本の指でノブ30を右回転操作したときの指の移動を示している。従来の回転操作の検出アルゴリズムは、ノブ上の1本の指の円周移動から回転操作を判定するものであり、図3(B)に示すように、指Uが、例えば45度円周上を移動したとき、ノブ30への回転操作有りと判定し、ゲージ50の1つの目盛りの表示を増減させている。
【0010】
ノブを操作する際、ユーザーの操作方法によって検出される指の本数にばらつきが想定される。
・ノブを操作する指の本数は、片手の操作を想定すると、1~5本である。
・ノブを操作する指のタッチパネルのセンサからの距離は、指によって異なる。例えば、図4に示すように、センサからの距離は、指U1が最も近く、指U2がやや近く、指U3が離れている。センサからの距離が大きくなると検出されない指が生じたり、回転操作中に指がノブから離れると、その指の検出が消失する。
・隣り合う指同士の間隔は均一でない。
2点間の指の距離が近すぎると、1本の指と検出されたり、回転操作中に指が近づいた場合は、その指の検出が消失する。
【0011】
このような状況において、回転操作の有無を判定する回転量(例えば、45度)に達する前に、参照していた指の検出が消失するといったことが繰り返えされると、ユーザーがいくらノブを回してもスムーズに回転判定がされない事態が生じ得る。例えば、図5(A)に示すように、ノブ30に指U1~U4の4本の指が検出された状態から、図5(B)に示すように、途中で指U4が離れると、指の検出本数が3本に減り、仮に指U4を参照していた場合には、ノブの回転判定をすることができない。また、図5(C)に示すように、離れていた指がノブに近づいた場合には、指の検出本数が5本に増加する。指U4と指U5の距離が近すぎると、指U4と指U5とが1本の指と認識され、仮に指U4を参照していた場合には、検出される回転量の誤差が大きくなり、ノブの回転判定の精度が低下してしまう。こうしたことから、安定して回転操作を判定するには、複数の指の動き、検出する指の本数の増減を考慮した検出アルゴリズムが求められる。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、立体的な操作部への回転操作の判定精度を向上させることができる入力表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る入力表示装置は、画像を表示するためのディスプレイと、前記ディスプレイ上に取り付けられ、表面に少なくとも1つの立体的な操作部を含む静電容量型のタッチパネルと、前記タッチパネルの静電容量を測定し、測定した静電容量に基づきタッチパネルへの操作を検出する検出手段とを有し、前記検出手段は、前記操作部にタッチされた全ての指の回転量を検出し、検出されたいずれかの指の回転量が閾値に到達したとき、前記操作部への回転操作が行われたと判定する。
【0014】
ある態様では、最も回転量の多い指の回転量が閾値に到達する前に当該指の検出が消失した場合、前記検出手段は、残りの指の回転量を最も回転量の多い指の回転量に更新する。ある態様では、前記操作部にタッチする指の検出が途中で追加された場合、前記検出手段は、最も回転量の多い指の回転量を追加された指の回転量に割り当てる。ある態様では、前記検出手段は、前記操作部への回転操作が行われたと判定したとき、検出されている指の回転量をリセットする。ある態様では、入力表示装置はさらに、前記ディスプレイの前記操作部の周囲に、回転操作に応じたゲージを表示させる表示手段を含む。ある態様では、前記表示手段は、前記ディスプレイの前記操作部の対応する位置に、入力操作を表すアイコンを表示する。ある態様では、前記操作部は、円筒状のノブ、ボタンまたはつまみ形状を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、操作部にタッチされた全ての指の回転量の検出結果に基づき操作部への回転操作を判定するようにしたので、検出される指の本数が増減しても安定して操作部の回転操作を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(A)は、フラットなタッチパネルの操作例を示し、図1(B)は、立体UIのタッチパネルの操作例を示し、図1(C)は、立体UIの概略断面図である。
図2】立体UIとしてのノブの回転操作例を説明する図である。
図3図3(A)は、ノブにタッチした指の円周上の移動を示す図、図3(B)は、ノブにタッチした指の回転量の検出例を示す図である。
図4】ノブにタッチした指のセンサからの距離のばらつきを説明する図である。
図5】ノブにタッチした指の検出本数が増減する例を示す図である。
図6】本発明の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施例に係る入力表示装置の発明概要を説明する図である。
図8】本発明の実施例におけるノブにタッチされた指の回転量の検出方法を説明する図である。
図9】本発明の実施例における指の検出本数が増減したときのノブへの回転操作の判定方法を説明する図である。
図10A】本発明の実施例に係る入力表示装置のノブの回転操作の検出アルゴリズムの動作フローの一例である。
図10B】本発明の実施例に係る入力表示装置のノブの回転操作の検出アルゴリズムの動作フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の入力表示装置は、人と機械との間のインターフェースを提供する。本発明の入力表示装置は、特に限定されないが、例えば、立体UI部が形成されたタッチパネル付きディスプレイを搭載する電子装置などに適用される。タッチパネル付きディスプレイを搭載する電子装置は、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ機能などを備えた車載装置である。
【実施例0018】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図6は、本発明の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。本実施例の入力表示装置100は、画像や映像を表示するためのディスプレイ110と、ディスプレイ110上に搭載された静電容量型のタッチパネル120と、タッチパネル120の表面に取り付けられた1つまたは複数の立体形状を有する立体UI部(または操作部)130と、ディスプレイ110の画像表示やタッチパネル110のタッチ検出などを制御するコントローラ140を含んで構成される。
【0019】
ディスプレイ110は、特に限定されないが、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルを含み、コントローラ140から提供される画像データを表示する。例えば、立体UI部130の下方には、当該立体UI部130の入力操作を表すようなアイコンが表示される。
【0020】
タッチパネル120は、例えば、複数のX側およびY側の電極ラインが交差する位置に形成された複数のセンサ(検出部)を含み、当該センサは、ユーザーの指や手などがタッチパネル110に接近または接触したときに静電容量の変化を検出する。タッチパネル120は、ディスプレイ110上に搭載され、ユーザーがディスプレイ110に表示されたアイコン等への入力を行うための入力インターフェースを提供する。
【0021】
タッチパネル120は、透明なパネルの表面上にさらに、1つまたは複数の立体UI部(操作部)130を含む。図6には、4つの立体UI部130がタッチパネル120の下方に取付けられた例が示されているが、立体UI部130の数や大きさは特に限定されない。立体UI部130は、ディスプレイ110に表示されたアイコンを視認することができるように透明な材料(例えば、アクリル、ポリカーボネート、ガラスなど)を用いて構成され得る。立体UI部130の底面は、例えば、両面接着剤などを用いてタッチパネル120に貼り付けられたり、あるいはタッチパネル120の表面に取付けられるカバーガラスに一体成型されてもよい。
【0022】
立体UI部130の位置や形状に関する情報(例えば、タッチパネル上の座標、底面や表面の形状や大きさ、高さなど)は、コントローラ140内のメモリ等に登録される。例えば、立体UI部130が円筒状のノブであれば、ノブの底面の中心の座標や、ノブの底面/表面の半径または直径、側面の高さなどが登録される。コントローラ140は、タッチパネル120に接近する指が検出されたとき、登録された立体UI部130の位置や形状に関する情報を参照し、当該指が立体UI部130へのタッチ操作か否かを判定する。
【0023】
本実施例では、立体UI部130は、少なくともユーザーによって回転操作が可能な円筒状のノブまたはボタン(図2等を参照)を含む(以下、立体UI部130をノブ130と称することがある)。ユーザーは、ノブ130への回転操作を行うとき、1つまたは複数の指でノブ130をつまみ、指腹でノブ130の側面を滑らせるような操作を行う。このような回転操作が行われるとき、ノブ130にタッチされた指の座標が検出され、検出された指の座標に基づき指の回転量が検出され、検出された回転量からノブへの回転操作の有無が判定される。回転操作の判定の詳細は後述する。
【0024】
コントローラ140は、ハードウエアおよび/またはソフトウエア資源を含み、例えば、演算処理部、ROM/RAMを含むマイクロコントローラなどを用いて、入力表示装置の処理全般を担う。例えば、ディスプレイ110の表示処理、タッチパネル120の出力値からタッチ検出やタッチ操作判定(タッチ位置や指距離の検出、ノブにタッチされた指の回転量の検出や回転操作の有無の判定)したり、それに応じて映像表示/映像切り替えの処理などを行う。
【0025】
コントローラ140は、図6に示すように、タッチ検出部150、操作判定部160、表示制御部170を含んで構成される。タッチ検出部150は、タッチパネル120のX側および/またはY側の複数の電極ラインを一定の周期(例えば、60fps(フレーム/秒))で駆動し、駆動した電極ラインの検出部の静電容量を測定し、測定結果に基づき指等のタッチ位置を検出し、その検出結果を操作判定部160に提供する。
【0026】
操作判定部160は、タッチ検出部150の検出結果に基づきタッチパネル120へのタッチ操作や立体UI部130へのタッチ操作(例えば、ノブへの回転操作)の有無を判定する。ここで言うタッチとは、ユーザーの指がタッチパネル120や立体UI部130への接触のみならず、指がタッチパネル120や立体UI部130に接近することを含む。例えば、ユーザーの指がタッチパネル120に接触または接近したとき、タッチ検出部160は、対応するセンサの静電容量の変化に基づきタッチの有無を検出し、同様に、ユーザーの指が立体UI部130に接触または接近したとき、対応するセンサの静電容量の変化に基づき立体UI部130へのタッチの有無を検出する。
【0027】
表示制御部170は、ディスプレイ110に画像や映像を表示させたり、立体UI部130が存在する領域に、立体UI部130の操作に関するGUI画像を表示させる。また、表示制御部170は、操作判定部160によりタッチ操作があったと判定されたことに応じてディスプレイ110に表示する画像を別な画像に切替えたりする。
【0028】
次に、本実施例の入力表示装置100によるノブの回転操作の検出アルゴリズムの概要について説明する。本実施例では、ノブの回転操作時に検出している指の本数が増減しても安定して回転検出を継続することができるアルゴリズムにより従来の課題の解決を図る。
【0029】
図7(A)に示すように、ノブ130にタッチされた指A、B、Cが検出された場合、指A、B、Cの全ての座標を観測し、座標の移動方向から右回転または左回転を判定する。全ての指を観測することで、例えば、図7(B)に示すように、途中で指Aの検出が消失しても、残った検出指B、Cを参照することで回転判定を継続する。
【0030】
回転操作の際の指の移動量は指毎に異なるため、最も回転量の多い指の回転角を参照する。図7(A)において、指の回転量(移動量)がA>B>Cの場合、回転量が最も多い指Aを参照し、指Aの回転量に基づきノブ130の回転操作を判定する。但し、残りの指B、Cの回転量も監視し続けることに留意すべきである。もし、参照中の指Aがノブ130から離れるなどの理由で検出が消失した場合には、残りの検出が継続されている指Bの回転量が参照される(B>Cであるため)。以上により、複数の指の動き、検出指の本数増減を勘案したノブ回転検出を行う。
【0031】
次に、本実施例の入力表示装置100の詳細について説明する。先ず初めに、指の回転量の検出方法について説明する。図8(A)に示すように、ノブ130の中心点Cの座標に対し基準となる0°位置を設定し、ノブ円周上に指が触れたときの位置に対応する角度を算出できるようにする。同図の例は、右側を0°とし、反時計回りに角度が増加するような設定としている。
【0032】
指が触れたノブ130の円周上の座標から指角度を検出する。例えば、図8(B)に示すように、ノブ130にタッチした指の座標が、0°と90°との円周上の中間にある場合、指角度として45°が算出される。ノブ円周上の指の座標と指角度との関係は、例えば、三角関数を用いて算出される。
【0033】
次に、円周上の指の移動量から回転量(変化量)を算出する。例えば、図8(C)に示すように、ノブ130への回転操作に伴い、指の座標が90°の地点に移動した場合、つまり、指角度が45°の位置から指角度が90°の位置に指が移動した場合、回転量として45°が算出される。
【0034】
次に、回転量から回転操作の有無を判定する方法について説明する。本実施例では、ノブへの回転操作中に検出指の本数に増減が生じてもスムーズな回転検出を実現するため、ノブに触れた全ての指の移動量の大きさを複合的に見て回転操作の有無の判定を行う。
【0035】
1.ノブに触れている指の有無と、その指角度を検出
図8(B)で説明したように、タッチ検出部150は、一定の測定周期でタッチパネル120の各センサの静電容量を測定し、この測定結果から指のタッチ位置の座標を検出する。操作判定部160は、検出された指の座標が、予め登録されたノブ130の座標位置に対応する場合には、ノブ130に指がタッチしていると判定する。ノブ130に複数の指がタッチされた場合には、複数の指のタッチ位置の座標が検出される。操作判定部160は、ノブ130への指のタッチが検出された場合には、タッチした指の指角度を算出する。
【0036】
2.検出された指全ての右周り、または左周りの回転操作量を検出
図8(C)で説明したように、ノブ130への回転操作が行われると、タッチ検出部150で検出される指の座標が変化する。操作判定部160は、変化した指の座標から指角度を算出し、指角度の差分から指の回転量を算出する。
【0037】
3.いずれかの指の回転量が閾値を超えたらノブへの回転操作有りと判定する
例えば、図9(A)に示すように、ノブ130への指U1~U4のタッチが検出され、指U1、U2、U3が+10°だけ回転移動し、指U4が+15°だけ回転移動したとする。ノブの回転を判定するための閾値を15°と仮定した場合、指U4の回転量が+15°であるため、操作判定部160は、ノブ130が時計方向に回転したと判定する。ノブ130が時計方向に回転したと判定されたとき、図2に示すように、ゲージ50の表示が1ステップだけ増加する。
【0038】
一方、図9(B)に示すように、指U1~U3の回転量が+5°、指U4の回転量が+10°であり、この状態から、図9(C)に示すように、最も回転量の多い指U4が閾値に達する前にノブ130から離れてしまった場合(指U4の検出が消失した場合)には、離れた指U4の回転量(+10°)のカウント値が検出継続中の残りの指U1、U2、U3に引き継がれる。つまり、検出継続中の指U1、U2、U3は、指U4の検出が消失する時点で、+5°の回転量をカウントしているが、これらの指U1、U2、U3の全ての回転量が、消失した指U4の+10°の回転量に更新される。その後、更新された+10°の回転量に、指U1~U3で新たにカウントされた回転量が加算され、例えば、図9(D)に示すように、指U3の新たな回転量として+5°がカウントされると、指U3のトータルの回転量が+15°に到達するため、操作判定部160は、ノブ130が回転されたと判定する。
【0039】
また、図9(E)に示すように、指U1、U2の回転量が+5°、指U3の回転量が+10°の途中で、図9(F)に示すように、指U4の検出が追加された場合、追加された指U4には、最も回転量の多い指U3でカウントされた回転量+10°が割り当てられる。このとき、指U1、U2は、カウントされた回転量+5°をそのまま維持してもよいし、あるいは、指U1、U2の回転量も指U3の回転量+10°に更新するようにしてもよい。
【0040】
4.回転判定後、操作判定部160は全ての指の回転量のカウント値を0にリセットし、その時点での指位置を基準点として、上記1に戻り、再び、ノブにタッチされた指の検出と、その角度が検出される。
【0041】
このように本実施例によれば、ノブ130にタッチした全ての指の回転量を監視しながらノブの回転操作の有無を判定するようにしたので、指の検出本数が変動しても、安定したノブの回転操作の判定を行うことができる。
【0042】
次に、本実施例の入力表示装置におけるノブの回転操作を判定するためのアルゴリズムのフローの一例を、図10A図10Bに示す。先ず、タッチ検出部150にて指のタッチ位置の座標(x、y)が検出され、操作判定部は、検出された座標を記録用の変数に格納する(S1)。複数の指のタッチ位置が検出された場合には、それぞれの指の座標が変数に格納される。次に、操作判定部160は、検出された指の座標からノブ円周上の指角度(0~360°)を算出し、算出した指角度を記録用の変数に格納する(S2)。複数の指の座標が検出されている場合には、それぞれの指角度が算出され、それぞれの指角度が変数に格納される。
【0043】
タッチ検出部150は、一定の周期でタッチパネル120のセンサの静電容量を測定し、その測定結果から指のタッチ位置の座標を検出する。操作判定部160は、タッチ検出部150がノブ検出エリアにおいて指の座標を継続して検出しているか否かを判定し(S3)、継続して指の座標を検出していると判定した場合には、再度、タッチ検出部150から指のタッチ位置の座標を取得する(S4)。座標を取得すると、操作判定部160は、ステップS4での検出指本数がステップS1で変数に格納している数よりも減少しているか否かを判定し(S5)、減少していない場合には、引き続き増加しているか否かを判定する(S6)。
【0044】
ステップS6で増加していない場合、つまり、検出指本数に変更がない場合には、操作判定部160は、いずれの指もステップS4の検出座標とステップS1の検出座標と同じか否かを判定する(S7)。いずれの指の検出座標が同じ場合には、指が移動していないことになるのでステップS3に戻る。検出座標が同じでない場合には、ステップS7で座標が変わった指について、ステップS2の円周上の指角度とステップS4から算出された指角度の差より、各指の回転量(移動量)を算出し、これを変数に加算する(S8)。
【0045】
次に操作判定部160は、回転量の変数値が閾値を超えた指があるか否かを判定し(S9)、閾値を超えた指がある場合には、ノブへの回転操作が行われたと判定する(S10)。そして、操作判定部160は、回転操作有りの判定を行った場合には、各指の回転量変数を初期値(ゼロ)にリセットする(S11)
【0046】
一方、ステップS5において、検出指本数が減少している場合には、操作判定部160は、検出消失した指の変数でカウントされている回転量が全ての指の回転量の中で最も大きいか否かを判定し(S12)、最も大きい場合には、検出継続している指全ての回転量カウント値を、検出消失した指のカウント値で上書きし(S13)、処理は、ステップS3に戻る。
【0047】
また、ステップS6において、検出指本数が増加している場合には、操作判定部160は、追加された検出指に、検出継続している指全ての回転量カウント値で最も大きい値と、ステップS1、S2の変数値を割り当て(S14)、処理は、ステップS7へ進む。
【0048】
図10A図10Bに示すフローは、本実施例の回転操作の有無を判定するアルゴリズムを実施するための1つの例示であり、本発明は、必ずしもこのようなフローに限定されるものではない。また、上記実施例では、ノブの回転操作の有無を判定する回転量の閾値として15°を用いたが、これは、一例であり、閾値は他の値であってもよい。上記実施例では、立体UI部として円柱状のノブ130を例示したが、これは一例であり、例えば、円錐形のつまみやボタンなどの他の形状であってもよい。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
30:ノブ
40:アイコン
50:ゲージ
100:入力表示装置
110:ディスプレイ
120:タッチパネル
130:立体UI部(ノブ)
140:コントローラ
U1~U5:指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B