(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087957
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両、及びウインドシールド
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20240625BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240625BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240625BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
H01Q1/22 C
B60J1/00 B
B60R11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202878
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】523220503
【氏名又は名称】セントラル硝子プロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平林 幹也
(72)【発明者】
【氏名】奥井 隆雄
【テーマコード(参考)】
3D020
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD03
3D020BD05
5J046AB13
5J046AB17
5J046LA01
5J046LA18
5J047AB13
5J047AB17
5J047EC02
(57)【要約】
【課題】乗員の前方視界を妨げず、見栄えを向上する。
【解決手段】車両であって、車体と、前記車体の天面内側を覆うルーフトリムと、前記車体の開口部にウインドシールドとを備え、ウインドシールドは、ガラス基板と、前記ガラス基板の上辺側に設けられるアンテナと、前記ルーフトリムと重なる位置に設けられる第1のカバーとを備え、前記アンテナの給電部は、前記第1のカバーと重なる位置に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
車体と、
前記車体の天面内側を覆うルーフトリムと、
前記車体の開口部にウインドシールドとを備え、
前記ウインドシールドは、ガラス基板と、前記ガラス基板の上辺側に設けられるアンテナと、前記ルーフトリムと重なる位置に設けられる第1のカバーとを有し、
前記アンテナの給電部は、前記第1のカバーと重なる位置に配置されることを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記アンテナの少なくとも一部は、前記ルーフトリムと重なる位置に配置されることを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1に記載の車両であって、
前記ルーフトリムには、前記アンテナに接続される給電線が通過する切り欠き部が設けられ、
前記アンテナの少なくとも一部は、前記切り欠き部と重なる位置に設けられ、
前記第1のカバーは、前記切り欠き部と重なる位置に配置されることを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項3に記載の車両であって、
前記給電部は、前記切り欠き部と重なる位置に設けられることを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項1に記載の車両であって、
前記アンテナの給電部には給電線が接続されており、
前記ルーフトリムは、前記給電線が通る箇所において、前記車体から浮いて配置されることを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項1に記載の車両であって、
前記アンテナは、前記第1のカバーによって隠れる位置に設けられることを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項1に記載の車両であって、
前記ガラス基板には、情報取得装置が車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられており、
前記情報取得装置は、前記第1のカバーとは別の第2のカバーに収容されることを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項1に記載の車両であって、
前記ガラス基板には、情報取得装置が車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられており、
前記情報取得装置は、前記第1のカバーに収容されることを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項7に記載の車両であって、
前記情報取得装置から延伸する接続線と、前記アンテナの給電部から延伸する給電線とは、束ねられていないことを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項1に記載の車両であって、
前記アンテナは、前記第1のカバーに接触しない位置に配置されることを特徴とする車両。
【請求項11】
請求項1に記載の車両であって、
前記第1のカバーを取り付けるための取り付け部材が前記ルーフトリムに設けられることを特徴とする車両。
【請求項12】
請求項1に記載の車両であって、
前記第1のカバーを取り付けるためのブラケットが前記ガラス基板に設けられることを特徴とする車両。
【請求項13】
請求項12に記載の車両であって、
前記ブラケットは、前記アンテナの少なくとも一部を囲む位置に設けられることを特徴とする車両。
【請求項14】
請求項13に記載の車両であって、
前記ブラケットは、前記アンテナの左側、右側、及び下側で、前記アンテナの少なくとも一部を囲む位置に設けられることを特徴とする車両。
【請求項15】
請求項12に記載の車両であって、
前記ブラケットは、前記ガラス基板上に形成された不透明層上に設けられることを特徴とする車両。
【請求項16】
請求項1に記載の車両であって、
前記ガラス基板の上辺側には隠蔽部が設けられており、
前記アンテナは、前記隠蔽部と重なる位置に設けられることを特徴とする車両。
【請求項17】
請求項16に記載の車両であって、
前記隠蔽部は、有色のドットを複数有するか、又は着色フィルムを有することを特徴とする車両。
【請求項18】
請求項16に記載の車両であって、
前記隠蔽部は、前記アンテナのエレメントが形成する模様と同じ模様を持つことを特徴とする車両。
【請求項19】
請求項1に記載の車両であって、
前記ガラス基板の周縁部には、不透明層が形成され、
前記アンテナは、前記ガラス基板上に貼付されるフィルム上に形成され、
前記フィルムは、左右の端部の少なくとも一つが前記不透明層上に配置される位置に貼付されることを特徴とする車両。
【請求項20】
請求項19に記載の車両であって、
前記フィルムは、左右の両端部が前記不透明層上に配置される位置に貼付されることを特徴とする車両。
【請求項21】
請求項19に記載の車両であって、
前記アンテナは、5Gシステム通信用アンテナ、及びテレビ放送受信用アンテナであり、
前記5Gシステム通信用アンテナ、及び前記テレビ放送受信用アンテナは、1枚の前記フィルム上に形成されることを特徴とする車両。
【請求項22】
請求項19に記載の車両であって、
前記ガラス基板には情報取得装置が車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられており、
前記情報取得装置と前記アンテナの間には、導体パターンが設けられることを特徴とする車両。
【請求項23】
車体の天面内側を覆うルーフトリムを備える車両の固定窓として設置されるウインドシールドであって、
ガラス基板と、
前記ガラス基板の上辺側に取り付けられるアンテナと、
前記ルーフトリムと重なる位置に設けられる第1のカバーとを備え、
前記アンテナの給電部は、前記第1のカバーによって隠される位置に配置されることを特徴とするウインドシールド。
【請求項24】
請求項23に記載のウインドシールドであって、前記第1のカバーを取り付けるためのブラケットが前記ガラス基板に設けられることを特徴とするウインドシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、車両に関し、特に、前面窓ガラスにアンテナを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
運転支援や自動運転の普及によって車両に複数のアンテナを搭載する必要が生じている。通信環境や機器との接続に優れる前面窓ガラスへの通信用アンテナの搭載が望ましいが、前面窓ガラスは、乗員の前方視界を妨げないことが要求される。
【0003】
特許文献1には、アンテナの端子を内装材により覆うことで見栄えを向上したガラスアンテナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1-117106号公報
【特許文献2】国際公開2022/163447号
【特許文献3】国際公開2019/151407号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、自動車の組み立て工程においては、車体にルーフトリムを取り付けた後に窓ガラスを取り付けている。そのため、ルーフトリムでアンテナの給電部を隠すためには、窓ガラスと接触しているルーフトリムを持ち上げて給電部と給電線を接続する必要があり、作業性が悪く、ルーフトリムを傷つける恐れがあるという問題点があった。
【0006】
本開示は、自動車の組み立て工程における取り付け順序を配慮しながら、アンテナの給電部を車内側から見えないように配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の開示(1)は、車両であって、車体と、前記車体の天面内側を覆うルーフトリムと、前記車体の開口部にウインドシールドとを備え、前記ウインドシールドは、ガラス基板と、前記ガラス基板の上辺側に設けられるアンテナと、前記ルーフトリムと重なる位置に設けられる第1のカバーとを有し、前記アンテナの給電部は、前記第1のカバーと重なる位置に配置されることを特徴とする車両である。
【0008】
本明細書の開示(2)は、開示(1)に記載の車両であって、前記アンテナの少なくとも一部は、前記ルーフトリムと重なる位置に配置されることを特徴とする車両である。アンテナの少なくとも一部がルーフトリムと重なる位置とすることで、アンテナを可能な限りガラス基板の上辺側にすることができる。それによって、アンテナが乗員の視界を妨げることを防ぐことができる。
【0009】
本明細書の開示(3)は、開示(1)又は(2)に記載の車両であって、前記ルーフトリムには、前記アンテナに接続される給電線が通過する切り欠き部が設けられ、前記アンテナの少なくとも一部は、前記切り欠き部と重なる位置に設けられ、前記第1のカバーは、前記切り欠き部と重なる位置に配置されることを特徴とする車両である。
【0010】
本明細書の開示(4)は、開示(3)に記載の車両であって、前記給電部は、前記切り欠き部と重なる位置に設けられることを特徴とする車両である。アンテナの一部、特に給電部が切り欠き部と重なる位置に設けられることによって、給電部の位置をよりガラス基板の上辺側としても、給電部がルーフトリムで隠れることを防ぎ、同軸ケーブルの接続端子との接続が容易となり、作業性の良さを確保できる。
【0011】
本明細書の開示(5)は、開示(1)から(4)のいずれか一つに記載の車両であって、前記アンテナの給電部には給電線が接続されており、前記ルーフトリムは、前記給電線が通る箇所において、前記車体から浮いて配置されることを特徴とする車両である。
【0012】
本明細書の開示(6)は、開示(1)から(5)のいずれか一つに記載の車両であって、前記アンテナは、前記第1のカバーによって隠れる位置に設けられることを特徴とする車両である。
【0013】
本明細書の開示(7)は、開示(1)から(6)のいずれか一つに記載の車両であって、前記ガラス基板には、情報取得装置が車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられており、前記情報取得装置は、前記第1のカバーとは別の第2のカバーに収容されることを特徴とする車両である。
【0014】
本明細書の開示(8)は、開示(7)に記載の車両であって、前記ガラス基板には、情報取得装置が車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられており、前記情報取得装置は、前記第1のカバーに収容されることを特徴とする車両である。
【0015】
本明細書の開示(9)は、開示(7)に記載の車両であって、前記情報取得装置から延伸する接続線と、前記アンテナの給電部から延伸する給電線とは、束ねられていないことを特徴とする車両である。
【0016】
本明細書の開示(10)は、開示(1)から(9)のいずれか一つに記載の車両であって、前記アンテナは、前記第1のカバーに接触しない位置に配置されることを特徴とする車両である。
【0017】
本明細書の開示(11)は、開示(10)に記載の車両であって、前記第1のカバーを取り付けるための取り付け部材が前記ルーフトリムに設けられることを特徴とする車両である。
【0018】
本明細書の開示(12)は、開示(11)に記載の車両であって、前記第1のカバーを取り付けるためのブラケットが前記ガラス基板に設けられることを特徴とする車両である。
【0019】
本明細書の開示(13)は、開示(12)に記載の車両であって、前記ブラケットは、前記アンテナの少なくとも一部を囲む位置に設けられることを特徴とする車両である。
【0020】
本明細書の開示(14)は、開示(13)に記載の車両であって、前記ブラケットは、前記アンテナの左側、右側、及び下側で、前記アンテナの少なくとも一部を囲む位置に設けられることを特徴とする車両である。
【0021】
本明細書の開示(15)は、開示(12)に記載の車両であって、前記ブラケットは、前記ガラス基板上に形成された不透明層上に設けられることを特徴とする車両である。
【0022】
本明細書の開示(16)は、開示(1)から(14)のいずれか一つに記載の車両であって、前記ガラス基板の上辺側には隠蔽部が設けられており、前記アンテナは、前記隠蔽部と重なる位置に設けられることを特徴とする車両である。
【0023】
本明細書の開示(17)は、開示(16)に記載の車両であって、前記隠蔽部は、有色のドットを複数有するか、又は着色フィルムを有することを特徴とする車両である。
【0024】
本明細書の開示(18)は、開示(16)に記載の車両であって、前記隠蔽部は、前記アンテナのエレメントが形成する模様同じ模様を持つことを特徴とする車両である。
【0025】
本明細書の開示(19)は、開示(1)に記載の車両であって、前記ガラス基板の周縁部には、不透明層が形成され、前記アンテナは、前記ガラス基板上に貼付されるフィルム上に形成され、前記フィルムは、左右の端部の少なくとも一つが前記不透明層上に配置される位置に貼付されることを特徴とする車両である。
【0026】
本明細書の開示(20)は、開示(19)に記載の車両であって、前記フィルムは、左右の両端部が前記不透明層上に配置される位置に貼付されることを特徴とする車両である。
【0027】
本明細書の開示(21)は、開示(19)に記載の車両であって、前記アンテナは、5Gシステム通信用アンテナ、及びテレビ放送受信用アンテナであり、前記5Gシステム通信用アンテナ、及び前記テレビ放送受信用アンテナは、1枚の前記フィルム上に形成されることを特徴とする車両である。
【0028】
本明細書の開示(22)は、開示(19)に記載の車両であって、前記ガラス基板には情報取得装置が車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられており、前記情報取得装置と前記アンテナの間には、導体パターンが設けられることを特徴とする車両である。
【0029】
本明細書の開示(23)は、車体の天面内側を覆うルーフトリムを備える車両の固定窓として設置されるウインドシールドであって、ガラス基板と、前記ガラス基板の上辺側に取り付けられるアンテナと、前記ルーフトリムと重なる位置に設けられる第1のカバーとを備え、前記アンテナの給電部は、前記第1のカバーによって隠される位置に配置されることを特徴とするウインドシールドである。
【0030】
本明細書の開示(24)は、開示(23)に記載のウインドシールドであって、前記第1のカバーを取り付けるためのブラケットが前記ガラス基板に設けられることを特徴とするウインドシールドである。
【発明の効果】
【0031】
本開示では、ガラスに設けられたアンテナの給電部が、カバーと重なる位置に配置されるため、見栄えを向上させることができる。また、アンテナの給電部に給電線を接続してからカバーを取り付けることができるため、作業性やルーフトリムの保護に優れる。そのため、本開示によれば、自動車の組み立て工程における取り付け順序を配慮しながら、アンテナの給電部を車内側から見えないように配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態1の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1の車両の前面窓ガラスの上部周辺の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態2の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態2の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態3の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態3の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態4の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態4の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図9】本発明の実施形態5の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図10】本発明の実施形態5の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図11】本発明の実施形態6の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図12】本発明の実施形態7の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図13】本発明の実施形態8の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図14】本発明の実施形態9の車両の前面窓ガラスを示す図である。
【
図15】本発明の実施形態10の車両の前面窓ガラスの一例を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態10の車両の前面窓ガラスの他の例を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態10の車両の前面窓ガラスの他の例を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態10の車両の前面窓ガラスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態の説明において、前面窓ガラス1は車内視で図示し、左右の方向も車内視で定める。また、上辺とは前面窓ガラス1を車両に搭載した際に、最も上に位置する辺である。
【0034】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1の車両の前面窓ガラス1を示す図であり、
図2は、実施形態1の車両の前面窓ガラス1の上部周辺の断面図である。
【0035】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられ、ウインドシールドとも呼ばれる。ここで、車両とは、いわゆる自動車のことであり、車体の乗車空間に乗員が乗り、移動可能なように車体には動力源が取り付けられている。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成される。ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、低融点ガラスの粉末と顔料とをペースト状にした絶縁性のセラミックペーストを、ガラス基板1Aの上に印刷した後、焼き付けることによって形成される有色(通常は黒色)の層である。前面窓ガラス1は、不透明層1Bにおいて、シール材8によって車体6に取り付けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられる。
【0036】
ガラス基板1Aは、ガラス基材を1枚使用した単板ガラスでも、複数枚のガラス基材が中間膜により一体化された合わせガラスでもよい。中間膜の材質としては、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル共重合体などが用いられる。
【0037】
単板ガラス又は合わせガラスを構成するガラス基材は、フロート法で製造されたガラス基材を好適に用いることができる。ガラス基材の材質としては、ISO16293-1で規定されているようなソーダ石灰珪酸塩ガラスの他、アルミノシリケートガラスやホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等の公知のガラス組成を使用できる。ガラス基材の厚さは、1mm~5mmの範囲であることが好ましく、約2mmのものを使うことが好ましいが、軽量化のためにこれよりも薄い厚さのものを用いてもよい。
【0038】
ガラス基板1Aに曲面形状が必要な場合、ガラス基材を軟化点以上に加熱した後、モールドによるプレスや自重による曲げなどで曲面形状を成形する。
【0039】
ガラス基板1Aは、風冷強化処理や化学強化処理などで強化ガラスとしてもよい。
【0040】
前面窓ガラス1には情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。例えば、情報取得装置は、情報取得領域を通して外界の情報を取得するセンサ(例えば、画像を撮影するカメラ)である。情報取得装置は、カバー4に収容されて、車内側から見えないようになっている。
【0041】
前面窓ガラス1の上部の中央部以外の(情報取得領域を避けた)場所にはアンテナ2が設けられる。アンテナ2は、前面窓ガラス1を車体6に取り付けた際の車内側に設けられる。アンテナ2は、5G携帯電話システムの通信アンテナやV2X(Vehicle-to-Everything)通信用のアンテナである。アンテナ2は、給電線である同軸ケーブル7を介して通信機に接続される。具体的には、アンテナ2の上部は前面窓ガラス1の周縁部の不透明層1Bの上にあり、アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。同軸ケーブル7の端部には接続端子7Aが設けられ、接続端子7Aは給電端子2Aに取り付けられる。給電端子2Aはカバー3に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー3は、アンテナ2の給電端子2Aと重なる位置に配置され、給電端子2Aを隠すように覆っている。カバー3は、アンテナ2と接触しない形状に形成されるとよい。換言すると、アンテナ2は、カバー3と接触しない位置に配置されるとよい。
【0042】
アンテナ2としては、国際公開2022/163447号に開示される、2辺の長さが異なるL字型、三角形型、四角形型の面状エレメントと、芯線側給電部とを持つアンテナ装置を使用することができる。面状エレメントは、導電性物質が中実の面状に形成されてもよいし、メッシュ状の面状に形成されてもよい。アンテナ2は、ガラス面上に銀などの金属の粉末を含む導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼き付けて形成されてもよい。樹脂フィルム上に形成された導電性パターンによってアンテナ導体を形成し、樹脂フィルムをガラス板に貼付して構成してもよい。また、アンテナ2は、立体的に形成された導体によって構成されるアンテナ(例えば、パッチアンテナ、ケースに収容されたアンテナ、国際公開2019/151407号に開示される折り曲げられた金属板)でもよい。
【0043】
本実施形態では、情報取得装置を収容するカバー4と、給電端子2Aを覆うカバー3は、別体に構成されるが、両者が一体に形成され、一つのカバーを構成してもよい。
【0044】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5が同軸ケーブル7を圧迫しないように、同軸ケーブル7が通るルーフトリム5の箇所は、車体6から浮いて配置されるとよい。
【0045】
実施形態1では、カバー3はガラス基板1Aに接着剤などで取り付けられるが、ルーフトリム5に取り付けられてもよい。その際には、ルーフトリム5にはカバー3と係合する取り付け部材が設けられる。
【0046】
ルーフパネル(車体6の天井)とルーフトリム5の間の空間には、情報取得装置に接続される信号線や、アンテナ2に接続される同軸ケーブル7が配置される、情報取得装置から延伸する信号線と同軸ケーブル7は束ねられていないとよい。ここで、束ねるとは、結束バンドや粘着テープなどで一体化して、信号線と同軸ケーブル7が接触することを指す。これらのケーブルを束ねないで配置することによって、情報取得装置から延伸する信号線が発生するノイズを同軸ケーブル7が拾うことを抑制できる。
【0047】
図2に示すように、アンテナ2の一部(例えば、上端に設けられる給電端子2A)は、ルーフトリム5から露出する位置に配置されても、ルーフトリム5と重なる位置に配置されてもよい。
【0048】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2では、ルーフトリム5の給電端子2A付近に切り欠き部5Aが設けられる。なお、実施形態2において、前述した実施形態1と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0049】
図3は、本発明の実施形態2の車両の前面窓ガラス1を示す図であり、
図4は、カバー3を取り外した前面窓ガラス1を示す図である。
【0050】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられる。
【0051】
前面窓ガラス1には、情報取得領域を通して外界の情報を取得する情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。情報取得装置は、カバー4に収容されて、車内側から見えないようになっている。
【0052】
前面窓ガラス1の上部の中央部以外の(情報取得領域を避けた)場所にはアンテナ2が設けられる。アンテナ2の上部は前面窓ガラス1の周縁部の不透明層1Bの上にあり、アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。給電端子2Aには同軸ケーブル7の端部に設けられる接続端子7Aが取り付けられる。給電端子2Aはカバー3に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー3は、アンテナ2の給電端子2Aと重なる位置に配置され、給電端子2Aを隠すように覆っている。
【0053】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5には、同軸ケーブル7が通過する切り欠き部5Aが設けられる。切り欠き部5Aは、アンテナ2の少なくとも一部と重なる位置に配置される。カバー3は、切り欠き部5Aと重なる位置に配置される。
【0054】
図3に示すように、アンテナ2の一部(例えば、上端に設けられる給電端子2A)は、切り欠き部5Aによってルーフトリム5から露出する位置に配置されても、ルーフトリム5と重なる位置に配置されてもよい。
【0055】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3では、アンテナ2の少なくとも一部が情報取得領域と重複する位置に設けられている。なお、実施形態3において、前述した実施形態1、2と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0056】
図5は、本発明の実施形態3の車両の前面窓ガラス1を示す図であり、
図6は、カバー4及び情報取得装置を取り外した前面窓ガラス1を示す図である。
【0057】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており(1C)、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域1Dが設けられる。
【0058】
前面窓ガラス1には、情報取得領域1Dを通して外界の情報を取得する情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。情報取得装置は、カバー4に収容されて、車内側から見えないようになっている。
【0059】
前面窓ガラス1の上部にはアンテナ2が設けられる。アンテナ2の一部(
図6では右下部)は、情報取得領域1Dと重複する位置に配置されている。実施形態3のアンテナ2は、情報取得装置による外界の情報の取得を妨げない程度に疎にエレメントを有するとよい。アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。給電端子2Aには同軸ケーブル7の端部に設けられる接続端子7Aが取り付けられる。給電端子2Aはカバー4に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー4は、アンテナ2の給電端子2Aと重なる位置に配置され、給電端子2Aを隠すように覆っている。
【0060】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5には、同軸ケーブル7が通過する切り欠き部5Bが設けられる。切り欠き部5Bは、アンテナ2の少なくとも一部と重なる位置に配置される。カバー4は、切り欠き部5Bと重なる位置に配置される。切り欠き部5Bに、情報取得装置の信号線を通過させることもできる。
【0061】
図6に示すように、アンテナ2の一部(例えば、上端に設けられる給電端子2A)は、切り欠き部5Bによってルーフトリム5から露出する位置に配置されても、ルーフトリム5と重なる位置に配置されてもよい。
【0062】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を説明する。実施形態4では、アンテナ2の全体がカバー3と重なっている。なお、実施形態4において、前述した実施形態1~3と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0063】
図7は、本発明の実施形態4の車両の前面窓ガラス1を示す図であり、
図8は、カバー3、カバー4及び情報取得装置を取り外した前面窓ガラス1を示す図である。
【0064】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられる。
【0065】
前面窓ガラス1には、情報取得領域を通して外界の情報を取得する情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。情報取得装置は、カバー4に収容されて、車内側から見えないようになっている。前面窓ガラス1には、ブラケット4Aが設けられる。ブラケットとは、ガラス基板に固定され、カバーと係合する部材である。カバー4は、ブラケット4Aと係合して、前面窓ガラス1に取り付けられる。ブラケット4Aは、不透明層1Bの上で情報取得装置を囲む位置に設けられるとよい。例えば、ブラケット4Aは、
図8に示すように、情報取得装置の左右及び下方で情報取得装置の少なくとも一部を囲むように設けられるとよいが、少なくとも対向する2方向又は隣接する2方向で情報取得装置の全部又は一部を囲むように設けられるとよい。
【0066】
前面窓ガラス1の上部の中央部以外の(情報取得領域を避けた)場所にはアンテナ2が設けられる。アンテナ2の上部は前面窓ガラス1の周縁部の不透明層1Bの上にあり、アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。給電端子2Aには同軸ケーブル7の端部に設けられる接続端子7Aが取り付けられる。アンテナ2は、その全体がカバー3に覆われて、車内側から見えないようになっている。前面窓ガラス1には、ブラケット3Aが設けられる。カバー3は、ブラケット3Aと係合して、前面窓ガラス1に取り付けられる。ブラケット3Aは、アンテナ2を囲む位置に設けられるとよい。例えば、ブラケット3Aは、
図8に示すように、アンテナ2の左右及び下方でアンテナ2の少なくとも一部を囲むように設けられるとよいが、少なくとも対向する2方向又は隣接する2方向でアンテナ2の全部又は一部を囲むように設けられるとよい。
【0067】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5には、同軸ケーブル7が通過する切り欠き部5Aが設けられる。切り欠き部5Aは、アンテナ2の少なくとも一部と重なる位置に配置される。すなわち、カバー3は、アンテナ2及び切り欠き部5Aと重なる位置に配置され、給電端子2Aを隠すように覆っている。
【0068】
図8に示すように、アンテナ2の一部(例えば、上端に設けられる給電端子2A)は、切り欠き部5Aによってルーフトリム5から露出する位置に配置されても、ルーフトリム5と重なる位置に配置されてもよい。
【0069】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を説明する。実施形態5では、アンテナ2が不透明層1Eに配置される。なお、実施形態5において、前述した実施形態1~4と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0070】
図9は、本発明の実施形態5の車両の前面窓ガラス1を示す図であり、
図10は、カバー3及び情報取得装置を取り外した前面窓ガラス1を示す図である。
【0071】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており(1C)、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域1Dが設けられる。また、不透明層1Bは、アンテナ2設置領域において周縁から下側に広がっている(1E)。
【0072】
前面窓ガラス1には、情報取得領域を通して外界の情報を取得する情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。情報取得装置は、カバー3に収容されて、車内側から見えないようになっている。前面窓ガラス1には、ブラケット4Aが設けられる。ブラケット4Aは、不透明層1Bの上で情報取得装置を囲む位置に設けられるとよい。例えば、ブラケット4Aは、
図10に示すように、情報取得装置の左右及び下方で情報取得装置の少なくとも一部を囲むように設けられるとよいが、少なくとも対向する2方向又は隣接する2方向で情報取得装置の全部又は一部を囲むように設けられるとよい。
【0073】
前面窓ガラス1の上部の中央部以外の(情報取得領域を避けた)場所にはアンテナ2が設けられる。アンテナ2は、不透明層1Eの上に配置されるので、車外側から見えないようになっている。アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。給電端子2Aには同軸ケーブル7の端部に設けられる接続端子7Aが取り付けられる。アンテナ2はカバー3に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー3は、不透明層1E上でアンテナ2と重なる位置に配置され、アンテナ2を隠すように覆っている。
【0074】
前面窓ガラス1には、ブラケット3Aが設けられる。ブラケット3Aは、不透明層1Eの上でアンテナ2を囲む位置に設けられるとよい。例えば、ブラケット3Aは、
図10に示すように、アンテナ2の左右及び下方でアンテナ2の少なくとも一部を囲むように設けられるとよいが、少なくとも対向する2方向又は隣接する2方向でアンテナ2の全部又は一部を囲むように設けられるとよい。
【0075】
カバー3は、ブラケット3Aと係合し、カバー4は、ブラケット4Aと係合して、前面窓ガラス1に取り付けられる。
【0076】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5には、同軸ケーブル7や情報取得装置の信号線が通過する切り欠き部が設けられてもよい。
【0077】
<実施形態6>
次に、本発明の実施形態6を説明する。実施形態6では、アンテナ2が不透明層1Cに配置される。なお、実施形態6において、前述した実施形態1~5と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0078】
図11は、本発明の実施形態6の車両の前面窓ガラス1を示す図である。
【0079】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており(1C)、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域1Dが設けられる。
【0080】
前面窓ガラス1には、情報取得領域1Dを通して外界の情報を取得する情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。情報取得装置は、アンテナ2の給電端子2Aを覆うカバー3に収容されて、車内側から見えないようになっている。
【0081】
前面窓ガラス1の上部にはアンテナ2が設けられる。アンテナ2の一部(
図11では右下部)は、情報取得領域1Dと重複する位置に配置されている。実施形態6のアンテナ2は、情報取得装置による外界の情報の取得を妨げない程度に疎にエレメントを有するとよい。アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。給電端子2Aには同軸ケーブル7の端部に設けられる接続端子7Aが取り付けられる。給電端子2Aはカバー3に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー3は、アンテナ2の給電端子2Aと重なる位置に配置され、給電端子2Aを隠すように覆っている。
【0082】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5には、同軸ケーブル7が通過する切り欠き部5Bが設けられる。切り欠き部5Bは、アンテナ2の少なくとも一部と重なる位置に配置される。カバー4は、切り欠き部5Bと重なる位置に配置される。
【0083】
アンテナ2の一部(例えば、上端に設けられる給電端子2A)は、
図11に示すように、切り欠き部5Bによってルーフトリム5から露出する位置に配置されても、ルーフトリム5と重なる位置に配置されてもよい。
【0084】
<実施形態7>
次に、本発明の実施形態7を説明する。実施形態7では、前面窓ガラス1の上部に隠蔽部1Fが設けられる。なお、実施形態7において、前述した実施形態1~6と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0085】
図12は、本発明の実施形態7においてカバー3を取り外した前面窓ガラス1を示す図である。
【0086】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられる。ガラス基板1Aの上部には、隠蔽部1Fが設けられる。隠蔽部1Fには、多数の小さなドットが設けられており、前面窓ガラス1に取り付けられた物(例えば、アンテナ2)を外部から見えにくくしている。隠蔽部1Fを構成するドットは、有色(通常は黒色)であり、不透明層1Bと同様に、低融点ガラスの粉末と顔料とをペースト状にした絶縁性のセラミックペーストを、ガラス基板1Aの上に印刷した後、焼き付けることによって形成される。隠蔽部1Fのドット数を上側で多く下側で少なくしたり、隠蔽部1Fのドット径を上側で大きく下側で小さくして、全体としてグラデーションを付けてもよい。
【0087】
前面窓ガラス1には、情報取得領域を通して外界の情報を取得する情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。情報取得装置は、カバー4に収容されて、車内側から見えないようになっている。
【0088】
前面窓ガラス1の上部の中央部以外の(情報取得領域を避けた)場所にはアンテナ2が設けられる。本実施例のアンテナ2は、隠蔽部1Fと重なる位置に設けられる。アンテナ2の全部が隠蔽部1Fと重なる位置に設けられてもよい。アンテナ2の上部は前面窓ガラス1の周縁部の不透明層1Bの上にあり、アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。給電端子2Aには同軸ケーブル7の端部に設けられる接続端子7Aが取り付けられる。給電端子2Aはカバー3に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー3は、アンテナ2の給電端子2Aと重なる位置に配置され、給電端子2Aを隠すように覆っている。
【0089】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5には、同軸ケーブル7が通過する切り欠き部が設けられてもよい。
【0090】
<実施形態8>
次に、本発明の実施形態8を説明する。実施形態8では、前面窓ガラス1の上部に隠蔽部1Fが設けられる。なお、実施形態8において、前述した実施形態1~6と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0091】
図13は、本発明の実施形態8においてカバー3を取り外した前面窓ガラス1を示す図である。
【0092】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられる。ガラス基板1Aの上部には、隠蔽部1Fが設けられる。隠蔽部1Fは、着色フィルムによるシェードバンドで構成されており、前面窓ガラス1に取り付けられた物(例えば、アンテナ2)を外部から見えにくくしている。隠蔽部1Fは、ガラス基板1Aを構成する合わせガラスの中間層の着色フィルムにて構成されるが、ガラス基板1Aの車内側に貼付される着色フィルムで構成されてもよい。隠蔽部1Fの色を上側で濃く下側で薄くして、全体としてグラデーションを付けるとよい。
【0093】
前面窓ガラス1には、情報取得領域を通して外界の情報を取得する情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。情報取得装置は、カバー4に収容されて、車内側から見えないようになっている。
【0094】
前面窓ガラス1の上部の中央部以外の(情報取得領域を避けた)場所にはアンテナ2が設けられる。本実施例のアンテナ2は、隠蔽部1Fと重なる位置に設けられる。アンテナ2の上部は前面窓ガラス1の周縁部の不透明層1Bの上にあり、アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。給電端子2Aには同軸ケーブル7の端部に設けられる接続端子7Aが取り付けられる。給電端子2Aはカバー3に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー3は、アンテナ2の給電端子2Aと重なる位置に配置され、給電端子2Aを隠すように覆っている。
【0095】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5には、同軸ケーブル7が通過する切り欠き部が設けられてもよい。
【0096】
<実施形態9>
次に、本発明の実施形態9を説明する。実施形態9では、前面窓ガラス1の上部に隠蔽部1Fが設けられる。なお、実施形態9において、前述した実施形態1~6と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0097】
図14は、本発明の実施形態9においてカバー3を取り外した前面窓ガラス1を示す図である。
【0098】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられる。ガラス基板1Aの上部には、隠蔽部1Fが設けられる。隠蔽部1Fは、格子状の模様が設けられており、前面窓ガラス1に取り付けられた物(例えば、アンテナ2)を外部から見えにくくしている。特に、隠蔽部1Fの格子と同じピッチでアンテナ2のエレメントを格子状に配置すると、アンテナ2が外部から見えにくくなる。隠蔽部1Fを構成する格子の線は、有色(通常は黒色)であり、不透明層1Bと同様に、低融点ガラスの粉末と顔料とをペースト状にした絶縁性のセラミックペーストを、ガラス基板1Aの上に印刷した後、焼き付けることによって形成される。
【0099】
前面窓ガラス1には、情報取得領域を通して外界の情報を取得する情報取得装置(図示省略)が取り付けられる。情報取得装置は、カバー4に収容されて、車内側から見えないようになっている。
【0100】
前面窓ガラス1の上部の中央部以外の(情報取得領域を避けた)場所にはアンテナ2が設けられる。本実施例のアンテナ2は、隠蔽部1Fと重なる位置に設けられる。アンテナ2の上部は前面窓ガラス1の周縁部の不透明層1Bの上にあり、アンテナ2の上部には給電端子2Aが設けられる。給電端子2Aには同軸ケーブル7の端部に設けられる接続端子7Aが取り付けられる。給電端子2Aはカバー3に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー3は、アンテナ2の給電端子2Aと重なる位置に配置され、給電端子2Aを隠すように覆っている。
【0101】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム5が取り付けられる。ルーフトリム5は天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリム5に覆われる。ルーフトリム5には、同軸ケーブル7が通過する切り欠き部が設けられてもよい。
【0102】
実施形態9では、アンテナ2のエレメントを隠蔽部1Fの模様と同じ模様に形成したので、アンテナ2が見えにくくなり、美観を向上できる。
【0103】
<実施形態10>
次に、本発明の実施形態10を説明する。実施形態10では、アンテナは樹脂シートに設けられ、アンテナが設けられる樹脂シートの少なくとも一つの端部を不透明層1Bの上に設けている。なお、実施形態10において、前述した実施形態1~9と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0104】
図15は、本発明の実施形態10の車両の前面窓ガラス1の一例を示す図であり、前面窓ガラス1の左上部を拡大して示す。
【0105】
本実施形態の前面窓ガラス1は、車両の乗車空間の前部を覆うように車体6に取り付けられる。前面窓ガラス1は、ガラス基板1Aで構成され、ガラス基板1Aの周縁部には、不透明層1Bが設けられる。不透明層1Bは、ガラス基板1Aの上側中央部において周縁から下側に広がっており(1C)、この部分には不透明層1Bがなく、ガラス基板1Aを透過して映像などの車外の情報を取得可能な情報取得領域が設けられる。
【0106】
前面窓ガラス1には、情報取得領域を通して外界の情報を取得する情報取得装置30が取り付けられる。情報取得装置30は、カバーに収容して、車内側から見えないように設置してもよい。
【0107】
前面窓ガラス1の上部の左側の車内側には、アンテナ11が形成された透明樹脂シート10が貼付される。透明樹脂シート10の左辺が不透明層1Bの上に位置するように、透明樹脂シート10が前面窓ガラス1に貼付される。そのため、透明樹脂シート10の左辺が、車内側から目立たなくなる。アンテナ11は、例えばテレマティクス用アンテナである。テレマティクスシステムは、通信手段として例えば5Gシステムを用いる車両向け情報システムである。アンテナ11の上部は前面窓ガラス1の周縁部の不透明層1Bの上にあり、アンテナ11の上部には給電端子(図示省略)が設けられる。給電端子には同軸ケーブルの端部に設けられる接続端子が取り付けられる。給電端子はカバー21に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー21は、アンテナ11の給電端子と重なる位置に配置され、給電端子を隠すように覆っている。
【0108】
車体6の天井の内側には、ルーフトリム(図示省略)が取り付けられる。ルーフトリムは天井の内張りであり、車体6の天井を構成するルーフパネルの内側に接着剤やクリップによって取り付けられる。前面窓ガラス1の上端部は、車内側から見えないようにルーフトリムに覆われるとよい。ルーフトリムには、同軸ケーブルが通過する切り欠き部が設けられてもよい。
【0109】
図16は、本発明の実施形態10の車両の前面窓ガラス1の他の例を示す図であり、前面窓ガラス1の左上部を拡大して示す。
図16に示す例は、透明樹脂シート10の両端部が不透明層の上に位置する点で
図15に示す例と異なる。
図16に示す例において、
図15に示す例との差異を主に説明し、
図15に示す例と同じ構成の説明は省略する。
【0110】
図16に示す例において、前面窓ガラス1の上部の車内側には、アンテナ11が形成された透明樹脂シート10が貼付される。透明樹脂シート10の左辺が不透明層1Bの上に位置し、右辺が不透明層1Cの上に位置する、すなわち、透明樹脂シート10の両端部が不透明層1B、1Cの上に位置するように、透明樹脂シート10が前面窓ガラス1に貼付される。そのため、透明樹脂シート10の両端が、車内側から目立たなくなる。
【0111】
図17は、本発明の実施形態10の車両の前面窓ガラス1の他の例を示す図であり、前面窓ガラス1の左上部を拡大して示す。
図17に示す例は、複数のアンテナ11~14が透明樹脂シート10に形成される点で
図16に示す例と異なる。
図17に示す例において、
図16に示す例との差異を主に説明し、
図16に示す例と同じ構成の説明は省略する。
【0112】
図17に示す例において、前面窓ガラス1の上部の車内側には、複数のアンテナ11~14が形成された透明樹脂シート10が貼付される。透明樹脂シート10の左辺が不透明層1Bの上に位置し、右辺が不透明層1Cの上に位置する、すなわち、透明樹脂シート10の両端部が不透明層1B、1Cの上に位置するように、透明樹脂シート10が前面窓ガラス1に貼付される。アンテナ12、14は、例えばダイバーシティを構成するデジタルテレビ放送受信用アンテナであり、アンテナ11、13は、例えばダイバーシティを構成するテレマティクス用アンテナである。各アンテナ11~14の上部は前面窓ガラス1の周縁部の不透明層1Bの上にあり、各アンテナ11~14の上部には給電端子(図示省略)が設けられる。各給電端子には同軸ケーブルの端部に設けられる接続端子が取り付けられる。各給電端子はカバー21~24に覆われて、車内側から見えないようになっている。すなわち、カバー21は、アンテナ11の給電端子と重なる位置に配置され、給電端子を隠すように覆っている。カバー22は、アンテナ12の給電端子と重なる位置に配置され、給電端子を隠すように覆っている。カバー23は、アンテナ13の給電端子と重なる位置に配置され、給電端子を隠すように覆っている。カバー24は、アンテナ14の給電端子と重なる位置に配置され、給電端子を隠すように覆っている。カバー21~24は、一体に構成してもよい。
【0113】
複数のアンテナを設ける際に、一部のアンテナを透明樹脂シート10上に形成し、他のアンテナをガラス基板1Aの上に形成する場合、ガラス基板1Aの上に設けた導電層で形成されるエレメントの上に樹脂シートを貼付すると、導電層の厚みのためにガラス基板1Aと樹脂シートの間に気泡が入ることがあり、見栄えが悪くなる。しかし、
図17に示す例によると、透明樹脂シート10を平坦なガラス基板1Aの上に貼付すればよいので、ガラス基板1Aと透明樹脂シート10の間の気泡を抑制できる。また、一枚の透明樹脂シート10の貼付によって複数のアンテナをガラス基板1Aに形成でき、ガラス基板1Aの上に導電層を形成する工数を削減できる。
【0114】
図18は、本発明の実施形態10の車両の前面窓ガラス1の他の例を示す図であり、前面窓ガラス1の左上部を拡大して示す。
図18に示す例は、アンテナ11~14と情報取得装置30の間にノイズ除去パターン15が設けられる点で
図17に示す例と異なる。
図18に示す例において、
図17に示す例との差異を主に説明し、
図17に示す例と同じ構成の説明は省略する。
【0115】
図18に示す例において、前面窓ガラス1の上部の車内側には、複数のアンテナ11~14が形成された透明樹脂シート10が貼付される。透明樹脂シート10の左辺が不透明層1Bの上に位置し、右辺が不透明層1Cの上に位置する、すなわち、透明樹脂シート10の両端部が不透明層1B、1Cの上に位置するように、透明樹脂シート10が前面窓ガラス1に貼付される。透明樹脂シート10の左側、すなわち、複数のアンテナ11~14と情報取得装置30の間に、導電体によるノイズ除去パターン15が設けられる。ノイズ除去パターン15は、アンテナ11~14又は情報取得装置30の縦の長さを超える長さを有し、幅狭の導体で構成するとよい。ノイズ除去パターン15は、アースに接続されるとよい。アンテナ11~14と情報取得装置30の間にノイズ除去パターン15を設けることによって、情報取得装置30からアンテナ11~14への信号の流入を抑制できる。
【0116】
実施形態10によると、前面窓ガラス1に貼付される透明樹脂シート10の少なくとも一つの縦方向の端部(例えば、左辺、又は左右両辺)を不透明層1Bの上に配置するので、車内側から透明樹脂シート10の端部が見えにくくなり、美観を向上できる。
【0117】
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。
【符号の説明】
【0118】
1 前面窓ガラス
1A ガラス基板
1B、1C、1E 不透明層
1D 情報取得領域
1F 隠蔽部
2、11、12、13、14 アンテナ
2A 給電端子
3、4 カバー
3A、4A ブラケット
5 ルーフトリム
5A、5B 切り欠き部
6 車体
7 同軸ケーブル
7A 接続端子
8 シール材
10 透明樹脂シート
15 ノイズ除去パターン
21、22、23、24 カバー
30 情報取得装置