(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087958
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ソーラパネル
(51)【国際特許分類】
H02S 40/12 20140101AFI20240625BHJP
【FI】
H02S40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202879
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】520011821
【氏名又は名称】シー・ディー・エム・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】入江 健一郎
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151BA18
5F151JA02
5F151JA15
5F251BA18
5F251JA02
5F251JA15
(57)【要約】
【課題】融雪効率が高いソーラパネルを提供する。
【解決手段】太陽電池セル7と、太陽電池セル7の表面側に配置される透光性を有する表面保護パネル5と、太陽電池セル7の裏面側に配置され通電により発熱する発熱体9と、表面保護パネル5の四辺の縁部を囲うフレーム101A~101Dと、を備えるソーラパネル1であって、発熱体9はフレーム101A~101Dに接触している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルと、前記太陽電池セルの表面側に配置される透光性を有する表面保護パネルと、前記太陽電池セルの裏面側に配置され通電により発熱する発熱体と、前記表面保護パネルの四辺の縁部を囲うフレームと、を備えるソーラパネルであって、
前記発熱体は前記フレームに接触していることを特徴とするソーラパネル。
【請求項2】
前記発熱体は、前記フレームの側板部から内方に突出するフィンに接触していることを特徴とする請求項1に記載のソーラパネル。
【請求項3】
前記ソーラパネルは、起立方向に傾斜して配置されており、
前記フレームの下辺に前記フィンが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のソーラパネル。
【請求項4】
前記発熱体は、前記フィンと、前記表面保護パネルの裏面側に配置される裏面材と、により狭持されていることを特徴とする請求項2に記載のソーラパネル。
【請求項5】
前記ソーラパネルは、起立方向に傾斜して配置されており、
前記ソーラパネルの下辺近傍には、前記表面保護パネルの表面の水分を外部に排出する排出手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のソーラパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融雪機能を有するソーラパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境への配慮からエネルギー源としての太陽電池が注目されており、太陽電池を用いたソーラパネルが設置される地域も拡大している。これに合わせて種々のソーラパネルが開発されており、例えば、降雪地域に設置されるソーラパネルは、融雪機能を有するものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、融雪機能を有するソーラパネルであって、表面側から表面保護パネル、シート状の太陽電池セル、通電により発熱するシート状の発熱体、裏面保護パネルが配置されており、表面保護パネルおよび裏面保護パネルの外縁全周に亘って配置されるフレームにより、表面保護パネルおよび裏面保護パネルとの間が閉塞されている。フレームは、表面保護パネルおよび裏面保護パネルとの間に亘って延びる側板部と、側板部から表面保護パネルの表面に沿って延びる縁片部と、側板部から裏面保護パネルの裏面に沿って延びる縁片部と、を備えており、積層された各部材を厚み方向に狭持して保持できるようになっている。発熱体は通電時に熱が放射され、その熱により表面保護パネルの表面に積もった雪を融かすことができるため、降雪時にも太陽電池セルによる発電を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-193400号公報(第7頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のソーラパネルにあっては、発熱体の熱により表面保護パネルの表面の雪を融雪することができるものの、発熱体は表面保護パネルおよび太陽電池セルの裏面に配置されており、発熱体の熱は、太陽電池セルおよび表面保護パネルを介して表面保護パネルの表面の雪に伝わるため、雪に伝わるまでの熱損失が大きくなり、融雪効率が劣るという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、融雪効率が高いソーラパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のソーラパネルは、
太陽電池セルと、前記太陽電池セルの表面側に配置される透光性を有する表面保護パネルと、前記太陽電池セルの裏面側に配置され通電により発熱する発熱体と、前記表面保護パネルの四辺の縁部を囲うフレームと、を備えるソーラパネルであって、
前記発熱体は前記フレームに接触していることを特徴としている。
この特徴によれば、フレームに発熱体が接触しているため、発熱体の熱は、表面保護パネルの裏面側から伝わることに加え、フレームを介して表面保護パネルの周囲の縁部に伝わり、表面保護パネルの表面に積もる雪を効率よく融かすことができる。
【0008】
前記発熱体は、前記フレームの側板部から内方に突出するフィンに接触していることを特徴としている。
この特徴によれば、フィンに発熱体を設置できるので、フレームに対して発熱体を設置しやすい。
【0009】
前記ソーラパネルは、起立方向に傾斜して配置されており、
前記フレームの下辺に前記フィンが設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、雪が溜まりやすいフレームの下辺を効率よく温めることができる。
【0010】
前記発熱体は、前記フィンと、前記表面保護パネルの裏面側に配置される裏面材と、により狭持されていることを特徴としている。
この特徴によれば、発熱体がフィンと接触した状態を保持できる。
【0011】
前記ソーラパネルは、起立方向に傾斜して配置されており、
前記ソーラパネルの下辺近傍には、前記表面保護パネルの表面の水分を外部に排出する排出手段が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、排出手段により雨水や雪融け水が外部に排出されるため、雨水や雪融け水に含まれる夾雑物がソーラパネルの下辺近傍に溜まって、太陽電池セルの発電に影響を与えることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1におけるソーラパネルをキャノピー屋根に設置させた態様を示す全体図である。
【
図2】実施例1におけるソーラパネルを配設させた態様を示す斜視図である。
【
図3】フレームとパネル本体との分解斜視図である。
【
図5】ソーラパネルの下辺部近傍を示す断面図である。
【
図6】発電シートに対する通電及び非通電を示すタイミングチャートである。
【
図7】実施例1における排出手段を示す説明図である。
【
図8】本発明の実施例2における排出手段を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るソーラパネルを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
実施例1に係るソーラパネルにつき、
図1から
図7を参照して説明する。
【0015】
図1に示されるように、ガソリンスタンドなどの屋根は、略水平に天板が配設されたキャノピー屋根と呼ばれる構造で建設されていることが多い。このようなキャノピー屋根Aには、複数のソーラパネル1,…が配置され、太陽光を用いた発電が行われることがある。本実施例では、キャノピー屋根Aの上面に、土台3,…を等間隔に固定に配置し、該土台3,…の上面にレール2を敷設させ、レール2上にソーラパネル1,…を複数枚並設している。
【0016】
豪雪地域においては、ソーラパネル1の上面に積雪し、この積雪により太陽光の受光が阻害され、発電効率が著しく低下する虞がある。本実施例のソーラパネル1には、融雪機能が備え付けられており、人手作業を伴うことなくソーラパネル1の表面の融雪を可能とするものである。
【0017】
図2に示されるように、ソーラパネル1は、上面視で長方形に成形された板状のパネル装置であり、複数のソーラパネル1は、縦横に整然と並列させて配置されている。また、ソーラパネル1は、支柱4(
図7参照)によって一方の長辺が他方の長辺よりも高い位置にて支持されており、キャノピー屋根Aの上面に対して同一方向且つ同一角度に傾斜させて設置されている。このことから、ソーラパネル1の発電効率を高めるように受光させることができるとともに、融雪によりソーラパネル1の上面に生じる融水を下方側へスムーズに移動させることが出来るようになっている。
【0018】
次にソーラパネル1の構造について説明する。
図3に示されるように、ソーラパネル1は、パネル本体100と、パネル本体100の外周縁を囲うフレーム101A~101Dと、を主に備えている。フレーム101Aはパネル本体100の一方の長辺である上辺に沿って固定され、フレーム101B,101Cはパネル本体100の短辺である側辺に沿って固定され、フレーム101Dはパネル本体100の他方の長辺である下辺に沿って固定されている。尚、フレーム101A~101Dの詳しい形状は後に詳述する。
【0019】
図4に示されるように、パネル本体100は、その表面側から裏面側に向けて順に、表面保護パネル5、封止材6a、太陽電池セル7、封止材6b、バックシート8a、発熱体9、封止材6c、バックシート8b、断熱材10から構成されている。
【0020】
表面保護パネル5は、ガラスにより成形されており、透光性を有しつつ、太陽電池セル7を保護できるようになっている。尚、表面保護パネル5は、ガラスに限られず、耐候性や耐衝撃性に優れるポリカーボネート等の樹脂であってもよい。
【0021】
封止材6a~6cは、いずれもエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)から成る。この封止材6aは表面保護パネル5と太陽電池セル7との間、封止材6bは太陽電池セル7とバックシート8aとの間、封止材6cは発熱体9とバックシート8bとの間に配置されている。尚、封止材6a~6cは、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂に限られず、ポリエチレンやポリプロピレン等のその他の樹脂であってもよい。
【0022】
太陽電池セル7は、表面保護パネル5側から入射される光を受光して発電を行う素子であり、シート状に形成されている。尚、太陽電池セル7は、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、変換された電気エネルギーを外部に取り出せるものであれば特に限定されない。
【0023】
バックシート8a,8bは、耐候性や耐衝撃性に優れるポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂により構成されている。尚、バックシート8a,8bは、透光性を有していなくてもよい。
【0024】
発熱体9は、発熱シート9A~9Dを縦横に複数枚(本実施例では4枚)並設することで構成されている。発熱シート9A~9Dは、シート状に形成されたポリイミドフィルム9b上に、複数の半導体物質と酸化化合物とを練り合わせ圧延し、テフロン(登録商標)加工したことでテープ状に成形された発熱部材9aを、幅方向に一定間隔の離間域を設けて複数枚略平行に貼着させることで構成されている。
【0025】
それぞれの発熱部材9aは、一定幅で且つ長手方向に延設されたテープ状(帯状)に形成されている。なお本実施例に限られず、発熱部材9aは、所定幅で短手方向に延設されたテープ状(帯状)に形成されてもよいし、あるいは幅狭の帯状すなわち略線状に形成されてもよい。更に、ポリイミドフィルム9bと同一形状のポリイミドフィルム9dを上方から被覆することで発熱部材9a,…を挟持し、真空密閉若しくはプレス密封させることで略面状に形成される。また、それぞれの発熱部材9aの両端部には銀ろうからなる電極が接続され、この電極に接続され発熱シート9Aの一方端部から延出されるコード9cを介し交流電源が供給されることで、それぞれの発熱部材9aの温度が高まり、発熱部材9aを発熱させるようになっている。更に、特に図示しないが、発熱部材9a若しくは発熱シート9Aの適所に、当該発熱部材9aの発熱温度を検知するサーミスタ若しくは熱電体等からなる検知部が設けられるとともに、この検知部に電気的に接続された配線がソーラパネル1の外方に延出されている。このようにすることで、ソーラパネル1の内部の発熱部材9aの温度情報を外部に導出できるため、発熱部材9aの発熱温度に基づく制御を行うことができる。
【0026】
断熱材10は、グラスウールや押出発泡ポリスチレン等の発泡系材料をパネル状に成形させた断熱パネルである。これにより、パネル本体100の裏面側に発熱体9の熱が逃げることが抑制される。
【0027】
次に、フレーム101A~101Dの構造について説明する。
図3に示されるように、フレーム101A、101Dは同一形状であって、パネル本体100の長辺に沿って取り付けられる。またフレーム101B、101Cは同一形状であって、パネル本体100の短辺に沿って取り付けられる。尚、フレーム101A~101Dは延長寸法等を除きほぼ同一構成であるため、以下はフレーム101Dを説明し、フレーム101A~101Cの説明を省略する。
【0028】
図3および
図5に示されるように、フレーム101Dは、熱伝導率の高いアルミニウム合金により押出成形されている。フレーム101Dは、パネル本体100の下辺に沿って延びる側板部102と、側板部102の表面側端縁からパネル本体100側に延びる表面縁部103と、側板部102の裏面側端縁からパネル本体100側に延びる裏面縁部104と、側板部102において表面縁部103よりも裏面側の位置からパネル本体100側に向け内方に突出する突出片部105と、側板部102において突出片部105よりも裏面側の位置からパネル本体100側に向け内方に突出するフィン106と、から構成されている。
【0029】
突出片部105およびフィン106は、フレーム101Dの長手方向に亘って設けられている。尚、突出片部105およびフィン106は、フレーム101Dの長手方向に亘って設けられていなくてもよいが、この場合、突出片部105およびフィン106が部分的にフレーム101Dの長手方向に離間して複数設けられていることが好ましい。
【0030】
表面縁部103には、その表面側からパネル本体100の表面に向けて近づくように傾斜して延びる傾斜面103aが形成されている。この傾斜面103aは、後述するように、表面保護パネル5の表面に付着する水分を外部に排出する排出手段として機能する。尚、傾斜面103aは、フレーム101A~101Cには設けられていなくてもよく、パネル本体100の下方に沿うフレーム101Dのみに設けられていてもよい。
【0031】
これら表面縁部103、裏面縁部104、突出片部105、フィン106は、側板部102に対して略直交している。表面縁部103と突出片部105との間には、封止材6aを挟んだ状態で接着された表面保護パネル5及び太陽電池セル7の下縁部が嵌合されている。
【0032】
また、太陽電池セル7の裏面には封止材6bが配置されており、封止材6bの裏面にはバックシート8aが配置されている。突出片部105とフィン106との間には、これら封止材6b及びバックシート8aの下縁部が嵌合されている。
【0033】
フィン106の裏面には、発熱体9の下縁部が配置されている。また、発熱体9の裏面には、裏面材としての封止材6c、バックシート8b、断熱材10が配置されている。フィン106と裏面縁部104との間には、発熱体9、封止材6c、バックシート8b、断熱材10の下縁部が嵌合されている。言い換えれば、発熱体9は、フィン106と封止材6c、バックシート8b、断熱材10とにより狭持されており、発熱体9の上縁部は、フィン106の下面106aと密接している。また発熱体9の表面とバックシート8aの裏面との間には、フィン106の厚さ分の空隙Fが形成されている。なお、必ずしも空隙Fが形成されていなくともよく、発熱体9の表面とバックシート8aの裏面とが当接していてもよい。
【0034】
これらパネル本体100とフレーム101A~101Dとは、シーリング処理により密封されている。
【0035】
次に発熱体9の制御の一例について
図6を用いて説明する。発熱体9は制御盤を介して電源から交流電流の供給を受けるようになっている。制御盤のシーケンサは発熱シート9A~9Dに対しての通電を制御するようになっている。制御態様においては、主に、初期運転と本運転とにより構成されている。
【0036】
図6に示されるように、先ず、電源が供給された直後においては、シーケンサにより初期運転が選択され、操作者が予め設定した初期運転時間M(例えば10分)、発熱シート9A~9Dのすべてに連続的に通電させ、この初期運転時間において常時発熱させるようになっている。なお、例えば制御盤の前面若しくは内部に、例えば、10分、20分、30分のいずれかの初期運転時間を設定可能なボタン等の設定部が配設されてもよい。
【0037】
次に、上記した初期運転時間、発熱シート9A~9Dが通電された後、シーケンサにより本運転が選択される。本運転は、発熱シート9A~9Dに順次、通電状態と非通電状態を繰り返す運転であり、本実施例では、通電時間として0.5秒間ずつ発熱シート9A、9B,9C更に9Dの順に通電させるものである。すなわち各発熱シートは、0.5秒間の通電状態の後、他の発熱シートが通電される1.5秒間の非通電時間を経て、次の通電状態、更に非通電状態を繰り返すように設定されている。このことから、本運転に移行すると、各発熱シートには、2秒のうちの0.5秒のみ通電がされることになるため、初期運転時よりも省電力で発熱体9を稼働させることが出来るようになっている。
【0038】
次に、発熱体9の熱の伝わり方について説明する。尚、ここでは、ソーラパネル1の下辺部近傍の熱の伝わり方を例に挙げて説明する。
【0039】
図5に戻って、発熱体9が通電された際に生じる熱は、表面側および裏面側に伝わる熱と、フレーム101D側に伝わる熱と、に主に大別される。
【0040】
発熱体9から表面側に向かう熱は、矢印H1に示されるように、空隙Fからバックシート8a、封止材6b、太陽電池セル7、封止材6a、表面保護パネル5の順に上方に伝わる。尚、発熱体9から裏面側に向かう熱は、矢印H2に示されるように封止材6c、バックシート8bへと伝わるが、断熱材10により断熱され、ソーラパネル1の裏面側の外気と熱交換しないようになっている。
【0041】
一方、発熱体9からフレーム101D側に伝わる熱は、矢印H3に示されるように発熱体9に当接するフィン106の下面106aに伝わるとともに、矢印H4に示されるように発熱体9の上側に形成される空隙Fからフィン106の内側面106bに伝わる。更にこの熱は、矢印H5に示されるように側板部102から表面縁部103に、矢印H6に示されるように側板部102から裏面縁部104に伝達される。
【0042】
このように、フレーム101A~101Dに発熱体9が接触しているため、発熱体9の熱は、表面保護パネル5の裏面側から伝わることに加え、フレーム101A~101Dを介して表面保護パネル5の周囲の縁部に伝わり、表面保護パネル5の表面に積もる雪を効率よく融かすことができる。また、発熱体9の上側に形成される空隙Fを蓄熱空間として利用できるため、空隙Fに蓄えられた熱が、矢印H1のように上方の表面保護パネル5に伝わるとともに、矢印H4のように側方のフレーム101A~101Dを介し表面保護パネル5に伝わる。
【0043】
また、ソーラパネル1の構造を補強するフレーム101A~101Dを利用して表面保護パネル5の表面に発熱体9の熱を伝えることができるため、表面保護パネル5の表面に発熱体9の熱を伝えるための別段の伝達手段を必要とせず、ソーラパネル1の構造を簡素にできる。
【0044】
また、フレーム101A~101Dは、表面保護パネル5よりも熱伝導率の高いアルミニウム合金により構成されているため、表面縁部103に熱が効率よく伝わる。
【0045】
また、フレーム101A~101Dは、それぞれフィン106を有しており、該フィン106に発熱体9が接触している。このように、フィン106に発熱体9を設置できるので、フレーム101A~101Dに対して発熱体9を設置しやすい。
【0046】
また、フィン106は、表面保護パネル5の面方向と略平行に延びている。これによれば、表面保護パネル5と略平行を成す面状の発熱体9を利用することができるため、表面保護パネル5を裏面側から全体的に加温することができ、表面保護パネル5の表面の雪を効率よく融かすことができる。
【0047】
また、ソーラパネル1の下辺に配置されるフレーム101Dのフィン106に発熱体9が接触しているので、表面保護パネル5の表面において雪が溜まりやすいフレーム101Dの近傍を効率よく温めることができる。
【0048】
また、発熱体9は、フィン106と、封止材6c、バックシート8b、断熱材10と、により狭持されているため、発熱体9がフィン106と接触した状態を保持できる。
【0049】
尚、発熱体9は、フィン106の表面側に接触するように配置され、フィン106と、表面保護パネル5の裏面側に配置される裏面材としての封止材6a、太陽電池セル7、封止材6b、バックシート8aと、により狭持されていてもよい。
【0050】
また、
図7に示されるように、ソーラパネル1は支柱4によって起立方向に傾斜して配置されている。また、ソーラパネル1の下辺に設けられるフレーム101Dの表面縁部103には傾斜面103aが設けられている。これによれば、雨水や雪融け水等の表面保護パネル5の表面に存在する水分は、傾斜面103aにより外部に排出される。言い換えれば、表面保護パネル5の表面と表面縁部103との間に段差が形成されないので、雨水や雪融け水に含まれる夾雑物が表面保護パネル5の表面の下辺近傍に溜まって、太陽電池セル7の発電に影響を与えることが抑制される。
【0051】
また、発熱体9の熱は、裏面縁部104にも伝達される(
図5の矢印H5参照)。これによれば、裏面縁部104に伝達される熱により、フレーム101Dの下方の地面に積もる雪を融かすことができ、フレーム101Dの下方の積雪によりソーラパネル1が持ち上げられて破損することを防止できる。
【0052】
尚、フレーム101Dの下面に外部に露出する別の発熱体が設けられていてもよい。これによれば、フレーム101Dの下方の積雪を別の発熱体によりさらに効率よく溶かすことができる。
【0053】
さらに尚、本実施例では、フィン106がフレーム101A~101Dに設けられ、各フレーム101A~101Dのフィン106に発熱体9が接触している形態を例示するが、少なくともフレーム101Dにのみフィン106が設けられ、該フィン106に発熱体9が接触していればよい。
本実施例2の排出手段は、フレーム101D’と表面保護パネル5との間に設けられる貫通孔107である。貫通孔107は、ソーラパネル110の下辺の長手方向に離間して複数設けられている。尚、貫通孔107は1つであってもよい。貫通孔107が1つの場合、貫通孔107に向けて水分を誘導する誘導手段が設けられることが好ましい。
詳しくは、フレーム101D’は、表面縁部103’において断面視で表面保護パネル5に向けて開口するように設けられる凹部103cと、凹部103cの下方に連通するように側板部102’に設けられる孔部102aと、を有している。フレーム101D’がパネル本体100’に組み付けられることで、凹部103cの開口が表面保護パネル5により閉塞され、フレーム101D’と表面保護パネル5との間に貫通孔107が形成される。尚、孔部102aの底面と表面保護パネル5の表面とは面一となっている。
これによれば、表面保護パネル5の表面に存在する水分は、貫通孔107を通じて外部に排出されるようになっている。また、孔部102aの底面と表面保護パネル5の表面とは面一となっているので、水分をスムーズに外部に排出することができる。なお、排出手段として貫通孔107に限られず、例えばフレームの表面に上方が開放された溝部を設けてもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、伝熱部である表面縁部103が表面保護パネル5の表面の外周縁部の全周に亘って配置される形態を例示したが、少なくとも表面保護パネル5の表面の外周縁部の一部に伝熱部が設けられていればよい。
また、前記実施例では、発熱体9が面状を成している形態を例示したが、帯状または棒状の発熱体であってもよい。さらに、発熱体9は、表面保護パネル5と略平行に配置されていたが、帯状または棒状の発熱体が表面保護パネル5に対して直交または交差するように配置されていてもよい。
また、前記実施例では、フィン106に発熱体9が接触して設置される形態を例示したが、これに限られず、フレームの側板部の内側面に発熱体が溶接等で固定されていてもよい。