(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087961
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】廃棄物処理システム
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20240625BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20240625BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20240625BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20240625BHJP
B02C 18/00 20060101ALI20240625BHJP
B02C 21/00 20060101ALI20240625BHJP
B09B 101/25 20220101ALN20240625BHJP
【FI】
B09B5/00 L
B09B3/35 ZAB
B09B3/60
B09B3/70
B02C18/00 102Z
B02C21/00 C
B09B101:25
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202884
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安達 遥
(72)【発明者】
【氏名】福永 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中川 慶一
(72)【発明者】
【氏名】藤川 圭司
(72)【発明者】
【氏名】上戸 龍
(72)【発明者】
【氏名】池 卓
(72)【発明者】
【氏名】竹田 優志
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 一穂
【テーマコード(参考)】
4D004
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AA07
4D004AA12
4D004AA46
4D004CA04
4D004CA12
4D004CA18
4D004CA34
4D004DA03
4D004DA20
4D065CA12
4D065CB02
4D065CC01
4D065DD08
4D065EB17
4D065ED35
4D065EE02
4D067DD14
4D067GA17
4D067GA18
4D067GB03
(57)【要約】
【課題】分離装置において良好な適合物の回収率、及び不適合物の混入率を実現することができる廃棄物処理システムを提供する。
【解決手段】廃棄物処理システムは、廃棄物を予め設定された大きさの設定範囲に破砕する破砕装置と、破砕装置によって破砕された廃棄物を加水分解して改質物を生成する改質装置と、改質装置によって生成された改質物を小粒径成分と小粒径成分よりも大径な大粒径成分とに分離する分離装置と、分離装置によって分離された小粒径成分を微生物によって低分子化する微生物反応装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を予め設定された大きさの設定範囲に破砕する破砕装置と、
前記破砕装置によって破砕された前記廃棄物を加水分解して改質物を生成する改質装置と、
前記改質装置によって生成された前記改質物を小粒径成分と前記小粒径成分よりも大径な大粒径成分とに分離する分離装置と、
前記分離装置によって分離された前記小粒径成分を微生物によって低分子化する微生物反応装置と、を備える、
廃棄物処理システム。
【請求項2】
前記分離装置は、篩を含み、
前記篩の篩目は、前記設定範囲よりも小さい、
請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項3】
前記設定範囲の下限値をA1とし、前記篩の前記篩目をA2とすると、
A1>4×A2を満たす、
請求項2に記載の廃棄物処理システム。
【請求項4】
前記篩の前記篩目は、10mm以上50mm以下である、
請求項2又は3に記載の廃棄物処理システム。
【請求項5】
前記篩は、
円筒形状を有するとともに、内壁面を貫通して前記篩目を有する貫通穴が形成された少なくとも1つのメッシュ部を有する円筒部と、
前記円筒部の軸線を中心として前記円筒部を回転させる回転部と、を含む、
請求項2又は3に記載の廃棄物処理システム。
【請求項6】
前記篩は、前記円筒部の外側に配置され前記メッシュ部を開閉自在に覆う蓋部、をさらに含む、
請求項5に記載の廃棄物処理システム。
【請求項7】
前記廃棄物の性状、及び前記改質装置において前記破砕装置によって破砕された前記廃棄物を加水分解する加水分解条件に基づいて、前記改質物の性状を取得する改質物性状取得部と、
前記改質物性状取得部が取得した前記改質物の性状に基づいて、前記小粒径成分が前記微生物反応装置による低分子化に適しているか否かを判定する判定部と、をさらに備え、
前記蓋部は、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していると判定された場合に前記メッシュ部を開放し、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していないと判定された場合に前記メッシュ部を閉じるように構成されている、
請求項6に記載の廃棄物処理システム。
【請求項8】
前記破砕装置によって破砕された前記廃棄物を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された前記廃棄物の画像に基づいて、前記廃棄物の性状を取得する廃棄物性状取得部と、
前記廃棄物性状取得部が取得した前記廃棄物の性状に基づいて、前記小粒径成分が前記微生物反応装置による低分子化に適しているか否かを判定する判定部と、をさらに備え、
前記蓋部は、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していると判定された場合に前記メッシュ部を開放し、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していないと判定された場合に前記メッシュ部を閉じるように構成されている、
請求項6に記載の廃棄物処理システム。
【請求項9】
前記改質装置の運転状態を取得する運転状態取得部と、
前記運転状態取得部によって取得された前記改質装置の前記運転状態が前記改質装置をメンテナンスしているメンテナンス状態である場合に前記小粒径成分が前記微生物反応装置による低分子化に適していないと判定し、前記運転状態取得部によって取得された前記改質装置の前記運転状態が前記メンテナンス状態以外の場合に前記小粒径成分が前記微生物反応装置による低分子化に適していると判定する判定部をさらに備え、
前記蓋部は、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していると判定された場合に前記メッシュ部を開放し、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していないと判定された場合に前記メッシュ部を閉じるように構成されている、
請求項6に記載の廃棄物処理システム。
【請求項10】
前記円筒部には、一端に前記改質物を受け入れる入口が形成されており、
前記少なくとも1つのメッシュ部は、第1メッシュ部と、前記第1メッシュ部よりも小径の前記貫通穴が形成された第2メッシュ部と、を含み、
前記円筒部が延在する延在方向において、前記第1メッシュ部は前記第2メッシュ部よりも前記円筒部の前記入口側に位置している、
請求項5に記載の廃棄物処理システム。
【請求項11】
前記篩は、前記円筒部の前記内壁面に配置され、前記円筒部が延在する延在方向に沿って延びる板状のガイド部をさらに含み、
前記円筒部は、一端に前記改質物が投入される入口が形成されており、
前記円筒部の回転方向において、前記ガイド部の前記延在方向の前記入口側の一端は、前記ガイド部の前記延在方向の前記入口側とは反対側の他端よりも下流側に位置している、
請求項5に記載の廃棄物処理システム。
【請求項12】
前記ガイド部を前記円筒部の径方向の外側から視た場合に、前記ガイド部の前記一端と前記ガイド部の前記他端とを通過する仮想線と前記円筒部の前記軸線とによって形成される角度をθとすると、
5度<θ<25度を満たす、
請求項11に記載の廃棄物処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃棄物処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理システムは、廃棄物に含まれる有機物のような適合物を微生物によって低分子化する低分子化装置(例えば、メタン発酵槽)を含んでいる場合がある。このような廃棄物処理システムでは、低分子化装置に供給される不適合物(廃棄物に含まれるプラスチックのような微生物によって低分子化されないもの)の混入率を低減するための技術が導入されている。例えば、特許文献1には、廃棄物を破砕機によって粗く破砕してから回転式選別機に投入することで廃棄物から適合物を選別することが開示されている。また、加水分解すると適合物は不適合物よりも微細化されやすいという性質を利用して、特許文献2には、改質装置で廃棄物を加水分解してから分離装置で適合物(小粒径成分)と不適合物(大粒径成分)とに分離することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-177334号公報
【特許文献2】特開2022-012974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、同程度の大きさの適合物及び不適合物を含む廃棄物が回転式選別機に投入されることになるので、廃棄物から不適合物だけを除去することができず、不適合物の混入率が高くなる虞がある。特許文献2に記載の技術では、改質装置が廃棄物をそのまま受け入れているので、改質装置は様々なサイズの廃棄物を受け入れることになる。このため、加水分解された廃棄物の粒度が揃わず、分離装置において良好な適合物の回収率、及び不適合物の混入率を実現することが難しい。
【0005】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、分離装置において良好な適合物の回収率、及び不適合物の混入率を実現することができる廃棄物処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る廃棄物処理システムは、廃棄物を予め設定された大きさの設定範囲に破砕する破砕装置と、前記破砕装置によって破砕された前記廃棄物を加水分解して改質物を生成する改質装置と、前記改質装置によって生成された前記改質物を小粒径成分と前記小粒径成分よりも大径な大粒径成分とに分離する分離装置と、前記分離装置によって分離された前記小粒径成分を微生物によって低分子化する微生物反応装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の廃棄物処理システムによれば、分離装置において良好な適合物の回収率、及び不適合物の混入率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る廃棄物処理システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2A】第1実施形態に係る破砕装置の構成を概略的に示す図(側面図)である。
【
図2B】第1実施形態に係る破砕装置の構成を概略的に示す図(平面図)である。
【
図3】第1実施形態に係る分離装置の構成を概略的に示す図である。
【
図4】設定範囲の下限値と篩目との比に対する不適合物の混入率、及び適合物の回収率を示す表である。
【
図5】第2実施形態に係る篩(分離装置)の構成を概略的に示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る廃棄物処理システムの構成を概略的に示す図である。
【
図7】第3実施形態に係る篩の内部の一部を示す斜視図である。
【
図8】第3実施形態に係るガイド部の配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態による廃棄物処理システムについて、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
本開示では、廃棄物処理システム1が都市ごみのような廃棄物Wを処理する場合について説明する。都市ごみは、生ごみ、紙ごみ、プラスチックごみを主成分として、少量の金属を含む。尚、廃棄物Wは、都市ごみに限定されず、工場等からの排水を処理することにより生じた汚泥や農業系廃棄物等のように含有水分量が都市ごみよりも多いものであってもよい。
【0011】
<第1実施形態>
(構成)
図1は、第1実施形態に係る廃棄物処理システム1の構成を概略的に示す図である。
図1に例示するように、廃棄物処理システム1は、破砕装置2と、改質装置4と、分離装置6と、微生物反応装置8と、を含む。
【0012】
破砕装置2について説明する。破砕装置2は、廃棄物Wを予め設定された大きさの設定範囲Rに破砕する。以下、破砕装置2によって破砕された廃棄物Wを破砕物Waとする。
図2A及び
図2Bのそれぞれは、第1実施形態に係る破砕装置2の構成を概略的に示す図である。
図2Aは破砕装置2を側面から視た図であり、
図2Bは破砕装置2を上面から視た図である。
【0013】
図2A及び
図2Bのそれぞれに例示するように、第1実施形態では、破砕装置2は、いわゆる二軸型破砕機であって、左右に並んで配置される2つの駆動軸12A、12Bと、2つの駆動軸12A、12Bのそれぞれの外周に設けられる少なくとも1つの破砕刃14と、2つの駆動軸12A、12B及び破砕刃14を収容するケーシング16と、を含む。
【0014】
2つの駆動軸12A、12Bのそれぞれは、不図示のモータによって互いに反対方向に回転駆動するように構成されている。2つの駆動軸12A、12Bのそれぞれは、上面がケーシング16の内側に向かうように回転している(内向きに回転している)。
【0015】
不図示であるが、幾つかの実施形態では、破砕装置2は、一方の駆動軸12Aを回転駆動させる第1モータと、第1モータとは別に他方の駆動軸12Bを回転駆動させる第2モータと、をさらに含む。不図示であるが、幾つかの実施形態では、破砕装置2は、一方の駆動軸12Aを回転駆動させる第1モータをさらに含み、他方の駆動軸12Bは一方の駆動軸12Aから伝達される回転動力によって回転駆動するように構成される。
【0016】
図2Bに例示するように、一方の駆動軸12Aには、複数の一方側破砕刃14A(14)が設けられている。複数の一方側破砕刃14Aは、一方の駆動軸12Aの延在方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。同様に、他方の駆動軸12Bには、複数の他方側破砕刃14B(14)が設けられている。複数の他方側破砕刃14Bは、互いに隣接する一方側破砕刃14Aによって形成される一方側隙間15Aに係合するように、他方の駆動軸12Bの延在方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。複数の一方側破砕刃14Aも、互いに隣接する他方側破砕刃14Bによって形成される他方側隙間15Bに係合するように配置されている。
【0017】
第1実施形態では、
図2A及び
図2Bのそれぞれに例示するように、破砕装置2は、ケーシング16の内壁面16aから突出する複数の爪部18をさらに含んでいる。爪部18は、上面視において、ケーシング16の内壁面16a、一方の駆動軸12A、及び互いに隣接する一方側破砕刃14Aによって画定される空間、及びケーシング16の内壁面16a、他方の駆動軸12B、及び互いに隣接する他方側破砕刃14Bによって画定される空間のそれぞれに設けられており、破砕装置2に投入された未破砕の廃棄物Wの落下を防止する。不図示であるが、幾つかの実施形態では、破砕装置2は、一方の駆動軸12Aの外周に設けられ、一方側隙間15Aに配置されるスペーサーをさらに含む。
【0018】
ケーシング16は、上部に廃棄物Wが投入される投入口16bが形成され、下部に破砕物Waを排出する排出口16cが形成されている。投入口16bは、2つの駆動軸12A、12B及び破砕刃14よりも上方に位置している。排出口16cは、2つの駆動軸12A、12B及び破砕刃14よりも下方に位置している。
【0019】
このような破砕装置2では、投入口16bから投入された廃棄物Wは、2つの駆動軸12A、12Bの間を通過しつつ、破砕刃14によって破砕される(破砕物Waが生成される)。そして、破砕物Waは、排出口16cを介して、破砕装置2から排出される。設定範囲Rは、つまり破砕物Waのサイズは、破砕刃14の幅17の大きさを調整することで設定される。例えば、破砕刃14の幅17の大きさを80mmに調整すると、設定範囲Rは70mm以上90mm以下に設定される。幾つかの実施形態では、設定範囲Rの下限値A1は50mm以上200mm以下である。幾つかの実施形態では、設定範囲Rの上限値は、破砕物Waを受け入れる改質装置4の受入口よりも小径である。
【0020】
改質装置4について説明する。改質装置4は、破砕装置2によって破砕された廃棄物W(破砕物Wa)を加水分解して改質物Xを生成する。第1実施形態では、改質装置4は、破砕物Waを蒸気によってバッチ式に加水分解するものである。改質装置4における破砕物Waの加水分解は、蒸気が破砕物Waに接触して破砕物Waを加熱する湿式の加水分解であってもよいし、蒸気が破砕物Waには接触しないで間接的に破砕物Waを加熱する乾式の加水分解であってもよい。改質装置4は、破砕物Waを加水分解する温度が改質物Xの用途によって設定されており、例えば、後述する微生物反応装置8によって小粒径成分X1を低分子化させる場合(メタン発酵させる場合)には、100度以上180度以下の温度で破砕物Waを加水分解する。幾つかの実施形態では、改質装置4は、改質物Xの用途によって、温度、圧力、時間、攪拌回転数等の少なくとも1つを含む加水分解条件が設定されている。例えば、加水分解条件は、10分以上60分以下の時間を含む。
【0021】
分離装置6について説明する。分離装置6は、改質装置4によって生成された改質物Xを小粒径成分X1と小粒径成分X1よりも大径な大粒径成分X2とに分離する。
図3は、第1実施形態に係る分離装置6の構成を概略的に示す図である。
【0022】
図3に例示するように、第1実施形態では、分離装置6は篩20を含んでいる。篩20は任意の篩目A2を有しており、この篩目A2は設定範囲Rの下限値A1よりも小さい。具体的には、A1>4×A2を満たす。第1実施形態では、篩目A2は10mm以上50mm以下である。より具体的には、篩目A2は10mm以上20mm以下である。
【0023】
図3に例示する形態では、篩20は、いわゆるトロンメルであり、円筒部22と、回転部24と、を含んでいる。
【0024】
円筒部22は、円筒形状を有しており、改質物Xを受け入れる入口30及び大粒径成分X2を吐出する出口32が形成されている。入口30は、円筒部22の一端を開口することで形成されている。出口32は、円筒部22の他端を開口することで形成されている。出口32は、例えば、改質物Xを焼却可能な焼却施設に接続されている配管内に開口している。円筒部22は、水平方向に対して傾斜しており、円筒部22の軸線Oは円筒部22の一端から他端に向かうにつれて下方に延びている。第1実施形態では、円筒部22は、軸線Oと水平方向に延びる仮想の直線L1とによって形成される角度θL1が0度以上5度以下となるように傾斜している。より具体的には、角度θL1は3度である。
【0025】
円筒部22は、内壁面27(
図7を参照)を貫通して設定範囲Rの下限値A1よりも小さい篩目A2を有する複数の貫通穴26が形成されたメッシュ部28を有する。軸線Oを中心とする周方向において、メッシュ部28は円筒部22の周方向全体に設けられている。軸線Oが延びる延在方向D1において、メッシュ部28は円筒部22の延在方向D1の一部に設けられている。本開示では、円筒部22の出口32から入口30に向かう方向を延在方向D1の一方とし、延在方向D1の一方とは反対方向を延在方向D1の他方とする。
【0026】
幾つかの実施形態では、メッシュ部28は円筒部22の周方向の一部に設けられている。幾つかの実施形態では、メッシュ部28は円筒部22の下部に設けられている。幾つかの実施形態では、メッシュ部28は円筒部22の延在方向D1の全体に設けられている。
【0027】
回転部24は、軸線Oを中心として円筒部22を回転させる。回転部24は、例えば、不図示のモータによって回転駆動するローラであって、円筒部22の外壁面に接触して配置されている。ローラ(回転部24)の回転に伴い、円筒部22が回転する。
【0028】
このような分離装置6(トロンメル)では、回転部24によって円筒部22を回転させることで、円筒部22内を流通する改質物Xをかき混ぜつつ、メッシュ部28でふるい分けが行われる。つまり、分離装置6は、改質物Xのうちメッシュ部28の貫通穴26を通過する篩目A2以下の通過物を小粒径成分X1として改質物Xから分離する。分離装置6は、改質物Xのうちメッシュ部28の貫通穴26を通過せずに円筒部22内に残っている非通過物を大粒径成分X2として円筒部22の出口32から吐出する。
【0029】
微生物反応装置8について説明する。微生物反応装置8は、分離装置6によって分離された小粒径成分X1を微生物によって低分子化する。微生物反応装置8は、小粒径成分X1を原料として微生物による生物作用を利用して有価物を製造するものであれば、どのような構成でもよい。例えば、微生物反応装置8は、メタン等のバイオガスを有価物として製造するバイオガス発酵槽や、デンプンやセルロースのような炭水化物から有価物としての糖を製造する糖化槽、堆肥化して堆肥を製造する堆肥化装置等であってもよい。
【0030】
(作用・効果)
第1実施形態に係る廃棄物処理システム1の作用・効果について説明する。第1実施形態によれば、廃棄物Wが破砕装置2によって破砕されることで、微生物反応装置8によって低分子化される適合物、及び微生物反応装置8によって低分子化されない不適合物の両方が同程度の大きさになる。そして、このような適合物及び不適合物を含む破砕物Waを改質装置4で加水分解することで、適合物は微細化されるのに対して不適合物は適合物ほど微細化されない。つまり、改質物Xは、小径の適合物と大径の不適合物とを含むことなる。このため、微細化の程度の差を考慮した篩目A2とすることで、改質物Xから適合物(小粒径成分X1)と不適合物(大粒径成分X2)とに分離する分離装置6の精度を向上させ、分離装置6において適合物の回収率の向上、及び不適合物の混入率の低減を実現することができる。
【0031】
第1実施形態によれば、設定範囲Rの下限値A1よりも小さい篩目A2を有する篩20を準備するだけで改質物Xから適合物を高精度に分離することができる。
【0032】
図4は、設定範囲Rの下限値A1と篩目A2との比に対する不適合物の混入率、及び適合物の回収率を示す表である。
図4に示す不適合物の混入率は、貫通穴26を通過した不適合物の重量を、貫通穴26を通過した通過物の重量で除算することで算出されている。
図4に示す適合物の回収率は、貫通穴26を通過した適合物の重量を、改質物Xに含まれる適合物の重量で除算することで算出されている。
【0033】
図4に示すように、A1:A2が30:1、15:1、10:1、5:1のそれぞれの場合において、高い適合物の回収率を確保しつつ、不適合物の混入率が5%以下となっている。この理由は、破砕物Waの加水分解によって、適合物の大きさを1/4以下に微細化可能であり、適合物の大きさと不適合物の大きさとの間に明確な差を作りだすことができるためである。第1実施形態によれば、A1>4×A2を満たすので、不適合物(大粒径成分X2)の貫通穴26の通過を抑制し、5%以下の不適合物の混入率を実現することができる。
【0034】
本発明らの知見によれば、従来からの改質装置4による加水分解によって、50mm以下の粒径となるように適合物を微細化することは容易であるが、10mm以下の粒径となるように適合物を微細化することは容易ではない。第1実施形態によれば、篩目A2は10mm以上50mm以下であるので、従来からの改質装置4を含む廃棄物処理システム1において、良好な不適合物の混入率(5%以下)を実現することができる。
【0035】
改質装置4は、大きさが50mm以上200mm以下の範囲に含まれている破砕物Waの投入が推奨されている場合がある。幾つかの実施形態によれば、設定範囲Rの下限値A1は50mm以上200mm以下であるので、良好な不適合物の混入率を確保しつつ、改質装置4の運転に適切な大きさを有する破砕物Waを投入することができる。
【0036】
加水分解後の適合物は湿分が増加しており、不適合物に付着している場合がある。第1実施形態によれば、円筒部22の回転によって円筒部22内の改質物Xを回転・落下させることで、不適合物に付着している適合物を剥がし、貫通穴26を介して円筒部22の外部に排出させることができる。このため、適合物の回収率を向上させることができる。また、円筒部22の回転によって貫通穴26も軸線Oを中心として回転するので、不適合物が貫通穴26を塞ぎ続けることを抑制できる。
【0037】
尚、第1実施形態では、分離装置6は、いわゆるトロンメルであり、回転式の篩20であったが、本開示はこの形態に限定されない。分離装置6は、金網のようなメッシュ部材を水平方向に振動させることで改質物Xを小粒径成分X1と大粒径成分X2とに分離する振動式の篩20であってもよい。分離装置6は、篩20以外の装置であってもよく、例えば、空気流によって小粒径成分X1と大粒径成分X2とに分離する空気分級機であってもよい。
【0038】
尚、第1実施形態では、設定範囲R(破砕物Waのサイズ)は、破砕刃14の幅17の大きさを調整することで設定されていたが、本開示はこの形態に限定されない。例えば、設定範囲Rは、ケーシング16の排出口16cの径や改質装置4の受入口の径を調整することで設定されてもよい。
【0039】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る廃棄物処理システム1について説明する。第2実施形態では、廃棄物処理システム1が制御装置50及び撮像装置60をさらに含み、篩20に蓋部40が設けられている点で第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
(構成)
図5は、第2実施形態に係る篩20(分離装置6)の構成を概略的に示す図である。
図6は、第2実施形態に係る廃棄物処理システム1の構成を概略的に示す図である。第2実施形態では、
図5に例示するように、篩20の円筒部22は、第1メッシュ部34(28)と、第2メッシュ部36(28)と、を含む。第1メッシュ部34は、第2メッシュ部36よりも円筒部22の入口30側に位置している。第2メッシュ部36は、第1メッシュ部34よりも小径の貫通穴26が形成されている。
【0041】
篩20は、円筒部22の外側に配置される蓋部40をさらに含む。この蓋部40は、第1メッシュ部34及び第2メッシュ部36のそれぞれを開閉自在に覆う。
図5に例示する形態では、蓋部40は、円筒部22の外径より大きい内径を有する筒状の部材であって、円筒部22の周囲を囲っている。蓋部40の延在方向D1の長さ37は、第1メッシュ部34の延在方向D1の一方側の一端から第2メッシュ部36の延在方向D1の他方側の他端までの長さ39よりも長い。蓋部40は、不図示の駆動源から供給される駆動力によって延在方向D1に沿って移動可能に構成されている。このため、蓋部40は、第1メッシュ部34及び第2メッシュ部36の両方を閉じること、及び第1メッシュ部34又は第2メッシュ部36の一方を閉じることができるようになっている。
【0042】
第2実施形態では、
図6に例示するように、廃棄物処理システム1は、制御装置50と、撮像装置60と、をさらに含んでいる。
【0043】
制御装置50は、電子制御装置などのコンピュータであって、図示しないCPUやGPUといったプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、及びI/Oインターフェイスなどを備える。制御装置50は、メモリにロードされたプログラムの命令に従ってプロセッサが動作(演算等)することで、制御装置50が備える各機能部を実現する。幾つかの実施形態では、制御装置50は、クラウド環境に設けられたクラウドサーバである。
【0044】
撮像装置60は、破砕物Waを撮像し、破砕物Waの画像Imを取得する。撮像装置60は、制御装置50と電気的に接続されており、破砕物Waの画像Imを制御装置50に送信する。撮像装置60は、複数の波長に対応する画像情報を取得可能な装置であってもよく、例えば、マルチスペクトルカメラやハイパースペクトルカメラである。この撮像装置60は、可視光領域だけではなく、近赤外線領域も撮像する。
【0045】
図6を参照して、第2実施形態に係る制御装置50の各機能部について説明する。第2実施形態では、
図6に例示するように、制御装置50は、改質物性状取得部52と、廃棄物性状取得部54と、運転状態取得部56と、判定部58と、を含む。
【0046】
改質物性状取得部52は、廃棄物Wの性状、及び改質装置4において破砕物Waを加水分解する加水分解条件に基づいて、改質物Xの性状を取得する。廃棄物Wの性状は、例えば、廃棄物Wの含水率や廃棄物Wの組成である。加水分解条件は、例えば、温度、圧力、及び保持時間などである。改質物Xの性状は、例えば、改質物Xの含水率や改質物Xの組成である。廃棄物Wの性状、及び加水分解条件は、制御装置50などに予め記憶されている情報であってもよいし、廃棄物処理システム1の運転中に取得されてもよい。
【0047】
廃棄物性状取得部54は、撮像装置60によって撮像された破砕物Waの画像Imに基づいて、廃棄物Wの性状を取得する。廃棄物Wの組成を取得する方法の一例について説明する。不適合物(例えば、プラスチック)が撮像された画像Imには所定の波長域に対応する画像情報が含まれ、この画像情報から不適合物の重量が推定可能である。同様に、適合物(例えば、食品、紙、及びバイオマス)が撮像された画像Imには所定の波長域(プラスチックとは異なる波長)に対応する画像情報が含まれ、この画像情報から適合物の重量を推定可能である。廃棄物性状取得部54は、不適合物、及び適合物の重量から廃棄物Wの組成を特定する。
【0048】
運転状態取得部56は、改質装置4の運転状態を取得する。
図6に例示するように、制御装置50は、改質装置4と電気的に接続されており、運転状態取得部56は改質装置4の運転状態をリアルタイムに取得可能となっている。
【0049】
判定部58は、改質物性状取得部52が取得した改質物Xの性状に基づいて、この改質物Xに含まれる小粒径成分X1が微生物反応装置8による低分子化に適しているか否かを判定する。また、判定部58は、廃棄物性状取得部54が取得した廃棄物Wの性状に基づいて、この改質物Xに含まれる小粒径成分X1が微生物反応装置8による低分子化に適しているか否かを判定する。また、判定部58は、運転状態取得部56によって取得された改質装置4の運転状態が改質装置4をメンテナンスしているメンテナンス状態である場合に、改質装置4によって生成された改質物Xに含まれる小粒径成分X1が微生物反応装置8による低分子化に適していないと判定する。一方で、判定部58は、運転状態取得部56によって取得された改質装置4の運転状態がメンテナンス状態以外の場合に、改質装置4によって生成された改質物Xに含まれる小粒径成分X1が微生物反応装置8による低分子化に適していると判定する。
【0050】
蓋部40は、判定部58によって小粒径成分X1が低分子化に適していると判定された場合にメッシュ部28を開放するように構成されている。一方で、判定部58によって小粒径成分X1が低分子化に適していないと判定された場合にメッシュ部28を閉じるように構成されている。第2実施形態では、
図6に例示するように、分離装置6は、制御装置50と電気的に接続されている。制御装置50は、判定部58によって小粒径成分X1が低分子化に適していると判定されると、分離装置6に対してメッシュ部28を開く指示を送信する。一方で、制御装置50は、判定部58によって小粒径成分X1が低分子化に適していないと判定されると、分離装置6に対してメッシュ部28を閉じる指示を送信する。分離装置6は、制御装置50の指示に従って蓋部40を移動させる。
【0051】
第2実施形態では、制御装置50は、設定範囲R及び加水分解条件から小粒径成分X1の粒径を算出し、この小粒径成分X1の粒径に基づいて、分離装置6に対して第1メッシュ部34、及び第2メッシュ部36のうちの一方を開閉する指示を送信する。
【0052】
(作用・効果)
第2実施形態に係る廃棄物処理システム1の作用・効果について説明する。第2実施形態によれば、改質物Xから適合物と不適合物とを分離することが不要の場合には、蓋部40によってメッシュ部28を閉じることで、篩20を改質物Xを搬送するための搬送ラインとして利用することができる。
【0053】
第2実施形態によれば、篩20の円筒部22は第1メッシュ部34と第1メッシュ部34よりも小径の貫通穴26が形成された第2メッシュ部36とを含むので、篩20によって分離可能な小粒径成分X1(適合物)の粒径の範囲を広げることができる。また、適合物の微細化の程度は加水分解条件によって異なるが、加水分解条件が変更された場合であっても、篩20の交換が不要となる。さらに、第2実施形態によれば、第1メッシュ部34が第2メッシュ部36よりも円筒部22の入口30側に位置することで、改質物Xから大径の適合物と小径の適合物とに分けて分離することができる。
【0054】
第2実施形態によれば、廃棄物Wの性状、改質物Xの性状、及び改質装置4の運転状態のうちの少なくとも1つに基づいて、小粒径成分X1が微生物反応装置8による低分子化に適しているか否かが判定される。そして、低分子化に適していると判定された場合には、篩20によって改質物Xから小粒径成分X1が分離され、この小粒径成分X1は微生物反応装置8に供給される。一方で、低分子化に適していないと判定された場合には、篩20によって改質物Xから小粒径成分X1が分離されず、この小粒径成分X1は微生物反応装置8に供給されない。このため、微生物反応装置8を低分子化に好適な状態に維持し続けることができる。
【0055】
尚、第2実施形態では、蓋部40は、円筒部22の周囲を囲い、且つ延在方向D1に沿って移動可能に構成されていたが、本開示はこの形態に限定されない。蓋部40は、円筒部22の周囲の一部を囲っていてもよい。蓋部40は、周方向に沿って移動可能に構成されていてもよい。
【0056】
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態に係る廃棄物処理システム1について説明する。第3実施形態では、篩20にガイド部70がさらに設けられている点で第1実施形態とは異なる。第3実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。幾つかの実施形態では、第2実施形態に係る篩20はガイド部70をさらに含む。
【0057】
(構成)
図7は、第3実施形態に係る篩20の内部の一部を示す斜視図であって、篩20を延在方向D1に沿って切り欠いている。第3実施形態では、円筒部22が回転する方向(
図7の紙面において半時計回りに回転する方向)を回転方向D2と記載する。
【0058】
図7に例示するように、篩20は、円筒部22の内壁面27に設置される板状のガイド部70をさらに含む。ガイド部70は、延在方向D1に沿って延びている。そして、ガイド部70の延在方向D1の一方側(円筒部22の入口30側)の一端72は、ガイド部70の延在方向D1の他方側(円筒部22の出口32側)の他端74よりも回転方向D2の下流側に位置している。尚、円筒部22の内壁面27には複数のガイド部70が設置されてもよいし(
図7参照)、1つのガイド部70が設置されてもよい。
【0059】
図8は、第3実施形態に係るガイド部70の配置を説明するための図であって、円筒部22の内部を径方向から視たものである。
【0060】
図8に例示するように、ガイド部70の一端72とガイド部70の他端74とを通過する仮想線L2と円筒部22の軸線Oとによって形成される角度をθとすると、5度<θ<25度を満たす。
【0061】
図8に例示する形態では、円筒部22の内壁面27には複数のガイド部70が設けられている。そして、複数のガイド部70は、延在方向D1に沿って互いに間隔を空けて並べられている2つの第1ラインガイド部70A(70)、70A(70)と、延在方向D1において2つの第1ラインガイド部70A、70Aの間に位置するとともに、周方向D3において2つの第1ラインガイド部70A、70Aによって画定される領域80とはずれている第2ラインガイド部70B(70)と、を含む。
図8に例示する形態では、第2ラインガイド部70Bが複数設けられており、複数の第2ラインガイド部70Bは延在方向D1において互いに間隔を空けて配置されている。そして、第1ラインガイド部70Aと第2ラインガイド部70Bとは、延在方向D1において互いにずらされて配置されている(いわゆる千鳥形状に配置されている)。
【0062】
(作用・効果)
第3実施形態によれば、円筒部22の回転によってガイド部70が上昇する際に、ガイド部70の一端72が他端74よりも上方に位置しているので、ガイド部70上の改質物Xを円筒部22の出口32に向かって移動させることができる。
【0063】
改質物Xが円筒部22内に滞留する滞留時間を長くすることで、適合物(小粒径成分X1)の回収率を向上させることができる。本発明者らの知見によれば、θが5度より小さくなると改質物Xの搬送がほとんど行われなくなり、θが25度より大きくなると滞留時間が短くて適合物の回収率が低い。第3実施形態によれば、5度<θ<25度を満たすようにガイド部70を傾けることで滞留時間を長くし、適合物(小粒径成分X1)の回収率を向上させることができる。
【0064】
第3実施形態によれば、第1ラインガイド部70Aと第2ラインガイド部70Bとが千鳥状に配置されることで、改質物Xの搬送をスムーズにすることができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、
図7に示すように、ガイド部70は、軸線Oを中心とする径方向における長さ71(高さ)は、改質物Xの大きさの1/2以上3/2以下である。このような構成によれば、改質物Xが円筒部22の回転によってある程度の高さまで持ち上げられる前に、改質物Xが延在方向D1の一方側に崩れることを抑制することができる。改質物Xの大きさは、例えば、改質物Xを静置させた状態(支持された状態や把持された状態ではなく、地面に置いてある状態)における改質物Xの重力方向の長さを計測した値である。
【0066】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0067】
[1]本開示に係る廃棄物処理システム(1)は、
廃棄物(W)を予め設定された大きさの設定範囲(R)に破砕する破砕装置(2)と、
前記破砕装置によって破砕された前記廃棄物を加水分解して改質物(X)を生成する改質装置(4)と、
前記改質装置によって生成された前記改質物を小粒径成分(X1)と前記小粒径成分よりも大径な大粒径成分(X2)とに分離する分離装置(6)と、
前記分離装置によって分離された前記小粒径成分を微生物によって低分子化する微生物反応装置(8)と、を備える。
【0068】
上記[1]に記載の構成によれば、廃棄物が破砕装置によって破砕されることで、廃棄物のうち微生物反応装置によって低分子化される適合物、及び廃棄物のうち微生物反応装置によって低分子化されない不適合物の両方が同程度の大きさになる。そして、このような適合物及び不適合物を含む廃棄物を改質装置で加水分解することで、適合物は微細化されるのに対して不適合物は適合物ほど微細化されない。つまり、改質物は、小径の適合物と大径の不適合物とを含むことなる。このため、微細化の程度の差を考慮することで改質物から適合物と不適合物とに分離する分離装置の精度を向上させ、分離装置において良好な適合物の回収率、及び不適合物の混入率を実現することができる。
【0069】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]に記載の構成において、
前記分離装置は、篩(20)を含み、
前記篩の篩目は、前記設定範囲よりも小さい。
【0070】
上記[2]に記載の構成によれば、設定範囲よりも小さい篩目を有する篩を準備するだけで不適合物の混入率を低減することができる。
【0071】
[3]幾つかの実施形態では、上記[2]に記載の構成において、
前記設定範囲の下限値をA1とし、前記篩の前記篩目をA2とすると、A1>4×A2を満たす。
【0072】
本発明者らによれば、廃棄物の加水分解によって、適合物の大きさを1/4以下に微細化可能であり、適合物の大きさと不適合物の大きさとの間に明確な差を作りだすことができる。このため、上記[3]に記載の構成によれば、非常に小さい不適合物の混入率を実現することができる。
【0073】
[4]幾つかの実施形態では、上記[2]又は[3]に記載の構成において、
前記篩の前記篩目は、10mm以上50mm以下である。
【0074】
本発明らの知見によれば、従来からの改質装置による加水分解によって、50mm以下の粒径となるように適合物を微細化することは容易であるが、10mm以下の粒径となるように適合物を微細化することは容易ではない。上記[4]に記載の構成によれば、従来からの改質装置を用いて、良好な不適合物の混入率を実現することができる。
【0075】
[5]幾つかの実施形態では、上記[2]から[5]の何れか1つに記載の構成において、
前記篩は、
円筒形状を有するとともに、内壁面(27)を貫通して前記篩目を有する貫通穴(26)が形成された少なくとも1つのメッシュ部(28)を有する円筒部(22)と、
前記円筒部の軸線(O)を中心として前記円筒部を回転させる回転部(24)と、を含む。
【0076】
加水分解後の適合物は湿分が増加しており、不適合物に付着している場合がある。上記[5]に記載の構成によれば、円筒部の回転によって改質物を回転・落下させることで、不適合物に付着している適合物を剥がし、貫通穴を介して円筒部の外部に排出させることができる。このため、適合物の回収率を向上させることができる。また、貫通穴も回転しているので、不適合物が貫通穴を塞ぎ続けることを抑制できる。
【0077】
[6]幾つかの実施形態では、上記[5]に記載の構成において、
前記篩は、前記円筒部の外側に配置され前記メッシュ部を開閉自在に覆う蓋部(40)、をさらに含む。
【0078】
上記[6]に記載の構成によれば、改質物から適合物と不適合物とを分離することが不要の場合には、蓋部によってメッシュ部を閉じることで、篩を改質物の搬送ラインとして利用することができる。
【0079】
[7]幾つかの実施形態では、上記[6]に記載の構成において、
前記廃棄物の性状、及び前記改質装置において前記破砕装置によって破砕された前記廃棄物を加水分解する加水分解条件に基づいて、前記改質物の性状を取得する改質物性状取得部(52)と、
前記改質物性状取得部が取得した前記改質物の性状に基づいて、前記小粒径成分が前記微生物反応装置による低分子化に適しているか否かを判定する判定部(58)と、をさらに備え、
前記蓋部は、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していると判定された場合に前記メッシュ部を開放し、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していないと判定された場合に前記メッシュ部を閉じるように構成されている。
【0080】
上記[7]に記載の構成によれば、廃棄物の性状、及び加水分解条件に基づいて改質物の性状が取得される。そして、この改質物の性状に基づいて判定された小粒径成分が低分子化に適している場合には、篩によって改質物から小粒径成分が分離され、この小粒径成分は微生物反応装置に供給される。一方で、この改質物の性状に基づいて判定された小粒径成分が低分子化に適していない場合には、篩によって改質物から小粒径成分が分離されず、この小粒径成分は微生物反応装置に供給されない。このため、微生物反応装置を低分子化に好適な状態に維持し続けることができる。
【0081】
[8]幾つかの実施形態では、上記[6]又は[7]に記載の構成において、
前記破砕装置によって破砕された前記廃棄物を撮像する撮像装置(60)と、
前記撮像装置によって撮像された前記廃棄物の画像に基づいて、前記廃棄物の性状を取得する廃棄物性状取得部(54)と、
前記廃棄物性状取得部が取得した前記廃棄物の性状に基づいて、前記小粒径成分が前記微生物反応装置による低分子化に適しているか否かを判定する判定部(58)と、をさらに備え、
前記蓋部は、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していると判定された場合に前記メッシュ部を開放し、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していないと判定された場合に前記メッシュ部を閉じるように構成されている。
【0082】
上記[8]に記載の構成によれば、廃棄物の画像に基づいて廃棄物の性状が取得される。そして、この改質物の性状に基づいて判定された小粒径成分が低分子化に適している場合には、篩によって改質物から小粒径成分が分離され、この小粒径成分は微生物反応装置に供給される。一方で、この改質物の性状に基づいて判定された小粒径成分が低分子化に適していない場合には、篩によって改質物から小粒径成分が分離されず、この小粒径成分は微生物反応装置に供給されない。このため、微生物反応装置を低分子化に好適な状態に維持し続けることができる。
【0083】
[9]幾つかの実施形態では、上記[6]から[8]の何れか1つに記載の構成において、
前記改質装置の運転状態を取得する運転状態取得部(56)と、
前記運転状態取得部によって取得された前記改質装置の前記運転状態が前記改質装置をメンテナンスしているメンテナンス状態である場合に前記小粒径成分が前記微生物反応装置による低分子化に適していないと判定し、前記運転状態取得部によって取得された前記改質装置の前記運転状態が前記メンテナンス状態以外の場合に前記小粒径成分が前記微生物反応装置による低分子化に適していると判定する判定部(58)をさらに備え、
前記蓋部は、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していると判定された場合に前記メッシュ部を開放し、前記判定部によって前記小粒径成分が低分子化に適していないと判定された場合に前記メッシュ部を閉じるように構成されている。
【0084】
上記[9]に記載の構成によれば、改質装置がメンテナンス状態以外の場合には、篩によって改質物から適合物が分離され、この適合物は微生物反応装置に供給される。一方で、改質装置がメンテナンス状態である場合には、篩によって改質物から適合物が分離されず、この適合物は微生物反応装置に供給されない。このため、微生物反応装置を低分子化に好適な状態に維持し続けることができる。
【0085】
[10]幾つかの実施形態では、上記[5]から[9]の何れか1つに記載の構成において、
前記円筒部には、一端に前記改質物を受け入れる入口(30)が形成されており、
前記少なくとも1つのメッシュ部は、第1メッシュ部(34)と、前記第1メッシュ部よりも小径の前記貫通穴が形成された第2メッシュ部(36)と、を含み、
前記円筒部が延在する延在方向(D1)において、前記第1メッシュ部は前記第2メッシュ部よりも前記円筒部の前記入口側に位置している。
【0086】
上記[10]に記載の構成によれば、篩によって分離可能な適合物の粒径の範囲を広げることができる。また、適合物の微細化の程度は加水分解条件によって異なるが、加水分解条件が変更された場合であっても、篩の交換が不要となる。さらに、上記[10]に記載の構成によれば、第1メッシュ部が第2メッシュ部よりも円筒部の入口側に位置することで、改質物から大径の適合物と小径の適合物とに分けて分離することができる。
【0087】
[11]幾つかの実施形態では、上記[5]から[10]の何れか1つに記載の構成において、
前記篩は、前記円筒部の前記内壁面に配置され、前記円筒部が延在する延在方向(D1)に沿って延びる板状のガイド部(70)をさらに含み、
前記円筒部は、一端に前記改質物が投入される入口(30)が形成されており、
前記円筒部の回転方向(D3)において、前記ガイド部の前記延在方向の前記入口側の一端(72)は、前記ガイド部の前記延在方向の前記入口側とは反対側の他端(74)よりも下流側に位置している。
【0088】
上記[11]に記載の構成によれば、円筒部の回転によって円筒部内の改質物を延在方向の円筒部の入口側とは反対側に向かって移動させることができる。
【0089】
[12]幾つかの実施形態では、上記[11]に記載の構成において、
前記ガイド部を前記円筒部の径方向の外側から視た場合に、前記ガイド部の前記一端と前記ガイド部の前記他端とを通過する仮想線(L2)と前記円筒部の前記軸線とによって形成される角度をθとすると、
5度<θ<25度を満たす。
【0090】
改質物が円筒部内に滞留する滞留時間を長くすることで、適合物の回収率を向上させることができる。上記[12]に記載の構成によれば、円筒部の回転によって円筒部内の改質物を延在方向の円筒部の入口側とは反対側に向かって移動させつつ、5度<θ<25度を満たすようにガイド部を傾けることで滞留時間を長くし、適合物の回収率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 廃棄物処理システム
2 破砕装置
4 改質装置
6 分離装置
8 微生物反応装置
20 篩
22 円筒部
24 回転部
26 貫通穴
27 円筒部の内壁面
28 メッシュ部
30 円筒部の入口
32 円筒部の出口
34 第1メッシュ部
36 第2メッシュ部
40 蓋部
50 制御装置
52 改質物性状取得部
54 廃棄物性状取得部
56 運転状態取得部
58 判定部
60 撮像装置
70 ガイド部
72 ガイド部の一端
74 ガイド部の他端
A1 設定範囲の下限値
A2 篩目
D1 延在方向
D2 回転方向
D3 周方向
Im 画像
L1 直線
L2 仮想線
O 軸線
R 設定範囲
W 廃棄物
Wa 破砕物
X 改質物
X1 小粒径成分
X2 大粒径成分
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】