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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087976
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電子機器の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202904
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞田 強
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA04
5E322BA05
5E322BB03
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】冷却風の吐出量を減少させることなく、冷却ファンの小型化を実現することが可能な電子機器の冷却装置を提供する。
【解決手段】第1送風部は、回転により送風するものであって、空気を吐出する第1吐出面を有する。第2送風部は、回転により送風するものであって、空気を吐出する第2吐出面を有し、第1送風部に隣接して設置される。ヒートシンクは、第1吐出面の径と第2吐出面の径との総和より小さい幅を有し電子部品の熱が伝導するベース部に複数のフィンが厚さ方向に並んで立てられたものであって、フィンの送風方向上流側の縁は第1吐出面または第2吐出面に対向する。第1吐出面と第2吐出面との境の下流側に位置するフィンの縁は他の縁よりも第1吐出面および第2吐出面に近く位置する。ダクトは、ヒートシンク、第1送風部および第2送風部を覆い、第1送風部および第2送風部による送風方向上流側の吸気口および下流側の排気口を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転による送風で空気の流れをつくるものであって、前記空気を吐出する第1吐出面を有する第1送風部と、
回転による送風で空気の流れをつくるものであって、前記空気を吐出する第2吐出面を有し、前記第1送風部に隣接して設置される第2送風部と、
前記第1吐出面の径と前記第2吐出面の径との総和より小さい幅を有し電子部品の熱が伝導するベース部に複数のフィンが厚さ方向に並んで立てられたものであって、
前記フィンの送風方向上流側の縁は前記第1吐出面または前記第2吐出面に対向し、
前記第1吐出面と前記第2吐出面との境の下流側に位置する前記フィンの前記縁は他の前記縁よりも前記第1吐出面および前記第2吐出面に近く位置する
ヒートシンクと、
前記ヒートシンク、前記第1送風部および前記第2送風部を覆い、前記第1送風部および前記第2送風部による送風方向上流側の吸気口および下流側の排気口を有するダクトと、
を備える電子機器の冷却装置。
【請求項2】
前記フィンの、前記第1吐出面または前記第2吐出面に対向する縁は、複数の前記フィンの並び方向中央で突出した山型の仮想線に沿って位置する
請求項1に記載の電子機器の冷却装置。
【請求項3】
前記フィンの、前記第1吐出面または前記第2吐出面に対向する縁は、前記第1吐出面または前記第2吐出面からの前記空気の吐出方向に対して傾斜した端面を有する
請求項1に記載の電子機器の冷却装置。
【請求項4】
前記第1吐出面と前記第2吐出面との挟角は、90°以上200°以下である
請求項1に記載の電子機器の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC(Personal Computer、パーソナルコンピュータ)などの電子機器は、CPU(Central Processing Unit)等の高温になる部品を含んでいる。そのような部品には、一般に、放熱のためにヒートシンクが取り付けられる。そして、ヒートシンクには、上流側に設置されたファンが吸い込んだ空気が流れて、ヒートシンクの下流側に排気されることによって、放熱が行われる。(例えば特許文献1)
【0003】
昨今、電子機器の小型化の要請が大きく、ヒートシンクに送風する冷却ファンの小型化が求められている。しかし、冷却ファンを小型化すると、冷却風の吐出量が少なくなるため、ヒートシンクの冷却性能が低下してしまい、好ましくなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、冷却風の吐出量を減少させることなく、冷却ファンの小型化を実現することが可能な電子機器の冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電子機器の冷却装置は、第1送風部と、第2送風部と、ヒートシンクと、ダクトと、を備える。第1送風部は、回転による送風で空気の流れをつくるものであって、前記空気を吐出する第1吐出面を有する。第2送風部は、回転による送風で空気の流れをつくるものであって、前記空気を吐出する第2吐出面を有し、前記第1送風部に隣接して設置される。ヒートシンクは、前記第1吐出面の径と前記第2吐出面の径との総和より小さい幅を有し電子部品の熱が伝導するベース部に複数のフィンが厚さ方向に並んで立てられたものであって、前記フィンの送風方向上流側の縁は前記第1吐出面または前記第2吐出面に対向する。前記第1吐出面と前記第2吐出面との境の下流側に位置する前記フィンの前記縁は他の前記縁よりも前記第1吐出面および前記第2吐出面に近く位置する。ダクトは、前記ヒートシンク、前記第1送風部および前記第2送風部を覆い、前記第1送風部および前記第2送風部による送風方向上流側の吸気口および下流側の排気口を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の冷却装置の外観の一例を示す斜視図である。
図2図2は、冷却装置が取り付けられる電子機器の構造の一例を概略的に示す斜視図である。
図3図3は、電子機器に設けられた通風孔の一例を示す斜視図である。
図4図4は、ダクトの形状の一例を示す斜視図である。
図5図5は、ファンの吐出面の向きとフィンの縁の形状との関係を説明する、冷却装置の概略平面図である。
図6図6は、ファンの吐出面の向きとフィンの縁の形状との関係を説明する、冷却装置の概略平面図である。
図7図7は、ファンの吐出面の向きとフィンの縁の形状との関係を説明する、冷却装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1の実施形態の冷却装置200の外観の一例を示す斜視図である。図2は、冷却装置200が取り付けられる電子機器100の構造の一例を概略的に示す斜視図である。ここで、説明の便宜のため、図面には三次元座標系を併せて示した。三次元座標系は、冷却装置200および電子機器100の幅方向(左右方向)をX軸方向、奥行方向(前後方向)をY軸方向、高さ方向(上下方向)をZ軸方向とした。なお、Y軸の正方向は、電子機器100の背面側から正面側へ向かう方向であって、Y軸の正方向を「前方」とする。また、Z軸の正方向は下から上へ向かう方向である。
【0008】
まず図1に示すように、冷却装置200は、ダクト1と、ヒートシンク2と、ファン3,4とを備える。ダクト1は、略箱型の形状を有し、ヒートシンク2と当該ヒートシンク2に送風するファン3,4とを覆う。ダクト1の、ファン3,4の送風方向上流側となる位置には吸気口11が設けられ、下流側となる位置には排気口12が設けられている。ダクト1は、ファン3,4が吸気口11から吸い込んだ空気を、排気口12から排出させる。ファン3,4が送る空気の流れ方向は、ダクト1によってY軸の負方向(後方)に向けられる。
【0009】
以降、単に上流側と記載したものは、ダクト1内の空気の流れ方向(Y軸の負方向)に基づいた上流側(風上)を意図したものである。同様に、単に下流側と記載したものは、ダクト1内の空気の流れ方向に基づいた下流側(風下)を意図したものである。
【0010】
ヒートシンク2は、一般にアルミニウムや銅などの、熱伝導率の高い金属材料で形成され、発熱する電子部品(熱源)に取り付けられる。この熱源は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。CPUが発する熱はヒートシンク2に伝導し、ヒートシンク2の熱は周囲の空気に放散される。これにより、CPUの過熱による誤作動等が防止される。
【0011】
ヒートシンク2は、ベース部21と複数枚のフィン22とを備える。ベース部21は、電子部品が発する熱の伝導を受ける。フィン22は、ベース部21の上に、厚さ方向に複数枚並んで、立てて設けられている。複数枚のフィン22は、互いに所定の間隔をあけて隣り合う。ベース部21はCPUに接し、CPUの熱の伝導を受ける。フィン22は、自身と連続しているベース部21から伝導する熱を、空中に放散する(放熱)。ダクト1内を流れる空気がヒートシンク2のフィン22の間を通過することにより、放熱が促進される。
【0012】
ヒートシンク2は、所定間隔で層をなすフレーム81,82の上に、弦巻バネ84およびねじ85で固定される。フレーム81とフレーム82との間には、マザーボード101(図2参照)が挟まれる。
【0013】
ファン3は、本開示における第1送風部の一例である。また、ファン4は、本開示における第2送風部の一例である。ファン3は、外部から吸い込んだ空気をヒートシンク2に向けて吐出する第1吐出面を備える。また、ファン4は、外部から吸い込んだ空気をヒートシンク2に向けて吐出する第2吐出面を備える。
【0014】
本実施形態のファン3とファン4とは同サイズであり、X軸に沿って、ヒートシンク2の幅方向の中央位置を通り、90度以上の挟角をもって、フィン22に平行な面(YZ平面に平行な面)に関して対称に配置される。
【0015】
ファン3,4は、軸流ファンであって、回転軸の周囲に1以上の羽根を備えるプロペラを、例えば伝導モータによって回転駆動することにより、空気を連続的に送る。このファン3,4による送風は、フィン22の間に空気の流れをつくる。ファン3,4で送られる空気は、フィン22やベース部21が放散する熱を下流側へ運び、放熱を促進する。このようにファン3,4はヒートシンク2を冷却する。
【0016】
本実施形態においては、ダクト1内の空気の流れ方向上流側から下流側へ向かって、吸気口11、ファン3またはファン4、ヒートシンク2、排気口12の順に配置されている。ファン3,4が吸気口11から吸い込んで送る空気は、ヒートシンク2の主にフィン22の周囲を流れてフィン22の熱を奪い、排気口12から排出される。
【0017】
ダクト1は、ファン3による送風を、ヒートシンク2の放熱に効率的に作用させ、放熱効果を向上させる。具体的には、ダクト1は、ヒートシンク2の周りを囲み、ヒートシンク2を冷却するファン3が送る空気が流れる範囲を区切る。ダクト1内の気体は、ファン3の回転により吸気口11から吸い込まれる気体と入れ替えられ、排気口12から押し出される。これにより、ヒートシンク2の周囲の気体が速やかに入れ替わる。
【0018】
上述のような冷却装置200の効果を十分に発揮させるために、排気口12の風下には、排気を妨げる部品(障害物)は存在しないことが望ましい。しかしながら、冷却装置200を備える電子機器100の大きさや内蔵物の配置等によっては、排気口12の下流側に障害物が配置されることがある。
【0019】
図2に示すように、電子機器100は、マザーボード101、CPU102、メモリー103、SSD(Solid State Drive)104、ライザーカード105、I/Oボード106、筐体110を備えている。筐体110は、上記各部(マザーボード101、CPU102、メモリー103、SSD104、ライザーカード105、I/Oボード106)を収納する。
【0020】
マザーボード101は、ヒートシンク2により放熱される電子部品(本実施形態ではCPU102)が実装された基板の一例である。また、メモリー103、SSD104も、動作に応じて発熱するので、熱源たり得る。これら熱源による熱も、ファン3,4の送風により作られる筐体110内の気体の流れによって、放散される。
【0021】
I/Oボード106は、ライザーカード105が備える差込口(スロット)介して、マザーボード101に接続される。I/Oボード106は、ライザーカード105が備える差込口に接続されることによって、マザーボード101と平行に配置されるため、筐体110の高さ寸法を抑えることが可能となる。
【0022】
しかしながら、上述のような配置により、I/Oボード106が、排気口12よりも下流側に位置する場合、I/Oボード106が排気を妨げる障害物になってしまう。本実施形態は、ダクト1からの排気がI/Oボード106を避けるように構成される。
【0023】
図3は、電子機器100に設けられた通風孔161~167の一例を示す斜視図である。なお、この斜視図は電子機器100を背面側から見たものである。
【0024】
ダクト1は、電子機器100の筐体110の内部に収容される。筐体110には、ダクト1の内部に吸い込まれる空気を取り込む通風孔161,162,163と、ダクト1を通過した空気を排気する通風孔164,165,167が設けられる。
【0025】
通風孔161,162,163は、筐体110の正面を構成する前カバー111に設けられる。通風孔164は、筐体110の背面を構成する後カバー112に設けられる。通風孔165,167は、筐体110の背面の一部を構成するI/Oパネル113に設けられる。なお、I/Oパネル113は、電子機器100に対する各種周辺機器の接続端子を備える。
【0026】
本実施形態の電子機器100にあっては、CPU102の後方にI/Oボード106が配置される。このため、ダクト1の排気口12は、排気がI/Oボード106を避けるように、上方に向かって開口する上側排気口121と、下方に向かって開口する下側排気口122とに分けられている(図1参照)。具体的には、排気口12は、分岐壁13によって、上側排気口121と下側排気口122とに分けられている。
【0027】
図4は、ダクト1の形状の一例を示す斜視図である。ダクト1は、ファン3およびファン4が取り付けられる側と排気口12の側とが開口された形状を有する。
【0028】
ダクト1は、天板10と、側壁15~18と、を備える。天板10は、ダクト1のZ軸方向上部を構成し、フィン22の先端部に対向する。側壁17,18は、ヒートシンク2の両側部に対向する。側壁15,16は、側壁17,18とファン3,4の側部との間をつなぐものであって、ファン3,4とヒートシンク2との間の空間を囲む。
【0029】
上述のようなダクト1により、ファン3,4が送り出した空気は、ダクト1から漏れることなくヒートシンク2に到達する。なお、側壁15,16は、本開示における第1の壁部の一例である。
【0030】
ダクト1の下流側(Y軸負側)には、分岐壁13が設けられている。分岐壁13は、上壁部131と下壁部132を備える。上壁部131と下壁部132は、送風方向上流側において、X軸に沿う辺で接続する。また、上壁部131と下壁部132は、送風方向下流側ほど、互いの距離が大きくなるように、送風方向に対して傾斜している。
【0031】
ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気は、分岐壁13に達する。上壁部131は、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の一部を斜め上向きに導いて、上側排気口121から排出する。下壁部132は、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した残りの空気を斜め下向きに導いて、下側排気口122から排出する。このように、分岐壁13は、自身の下流側の一部範囲を避けるよう排気を導き、排気を分岐させる。従って、分岐壁13の下流側の位置に、I/Oボード106(図3参照)等の周辺機器が配置されている場合であっても、ヒートシンク2の冷却性能を妨げることがない。
【0032】
図5,6,7は、ファン3,4の吐出面32,42の向きとフィン22の縁の形状との関係を説明する、冷却装置200の概略平面図である。なお、図5図7は、互いに異なる例を示している。
【0033】
まず、各例に共通するファン3,4について説明する。ファン3は、回転軸の周りに回転する複数の羽根を備える。ファン3は、吸気口11から吸気した空気を、第1吐出面32から吐出する。第1吐出面32は円形領域である。同様に、ファン4は、回転軸の周りに回転する複数の羽根を備える。ファン4は、吸気口11から吸気した空気を、第2吐出面42から吐出する。第2吐出面42は円形領域である。
【0034】
ファン3とファン4とは同サイズである。そして、ファン3とファン4とのサイズは、第1吐出面32の径と第2吐出面42の径との総和が、ヒートシンク2の幅よりも大きくなるように設定される。
【0035】
また、ファン3が空気を吐出する第1吐出面32と、ファン4が空気を吐出する第2吐出面42とは、ヒートシンク2の上流側において、ヒートシンク2の幅方向(X軸方向)の中央のフィン221を挟んで対称に配置される。
【0036】
さらに、ファン3の筐体とファン4の筐体とは、隙間を空けずに隣接する。したがって、ファン3の筐体と、ファン4の筐体と、側壁15,16と、天板10(図4参照)とは、ヒートシンク2の上流側の空間を囲む。このため、ファン3およびファン4が送る空気は、ダクト1の外部に漏れることなくヒートシンク2に到達する。
【0037】
ダクト1の側壁15,16は、吸気口11からヒートシンク2に至るまでの間で、互いの間隔を徐々に狭めるように設けられている。このため、ファン3が送る空気は側壁15に沿って幅方向中央部に向けられ、且つファン4が送る空気が側壁16に沿って幅方向中央部に向けられる。
【0038】
次に、図5に示す例について説明する。この例のヒートシンク2において、フィン22の、第1吐出面32または第2吐出面42に対向する側の縁(送風方向上流側の縁)は、フィン22の並び方向(X軸方向)中央で突出した山型の仮想線に沿って位置する。言い換えると、フィン22の、第1吐出面32または第2吐出面42に対向する側の縁は、中央のフィン221が最も突出した山型を描いて位置する。
【0039】
中央のフィン221の縁は、第1吐出面32と第2吐出面42との境(ファン3の筐体とファン4の筐体とが接する位置)の下流側に、位置する。この中央のフィン221の縁がファン3,4に最も近く位置し、他のフィン22の縁とファン3,4との間隔は、中央のフィン221とファン3,4との間隔よりも広い。中央以外のフィン22の縁は、中央から離れたものほど、第1吐出面32または第2吐出面42から遠く位置する。
【0040】
この例では、ファン3,4は、第1吐出面32と中央のフィン221とがなす角と、第2吐出面42と中央のフィン221とがなす角とが等しくなるよう、且つ、第1吐出面32と第2吐出面42との挟角は、90°以上になるよう、配置される。即ち、中央のフィン221と第1吐出面32または第2吐出面42とがなす角は、45°以上になるように配置される。
【0041】
なお、この例よりも上記角をさらに小さくする、即ち、ファン3とファン4との挟角を90°よりも小さくすると、ファン3,4が吐出する空気の進行方向と、フィン22とがなす角が大きくなり、空気が流れ方向をフィン22に沿って変えるにあたっての抵抗が増すので、空気の流れが乱れやすくなる。よって、ファン3とファン4との挟角は、90°以上であるのが望ましい。
【0042】
中央のフィン221は、ファン3とファン4との間の位置と、ヒートシンク2の幅方向(X軸方向)の中央位置との間で、高さ方向(Z軸方向)に沿った壁として機能する。中央のフィン221により、ファン3が送る空気とファン4が送る空気とが隔てられ、両者の流れが互いに干渉する不都合が避けられる。このような構造により、ファン3とファン4とが送る空気は、混合されずにヒートシンク2に導かれる。
【0043】
この例におけるフィン22の、第1吐出面32または第2吐出面42に対向する縁は、それぞれ、厚さ方向(X軸方向)に略平行な端面を有している。また、この例のファン3,4の送風方向は、Y軸に平行でなく、Y軸に対して傾いている。したがって、上述のフィン22の縁の端面は、第1吐出面32または第2吐出面42からの空気の吐出方向に対して傾斜しており、直交しない。よって、ファン3,4が送る空気は、フィン22の端面に突き当たって阻害されることがない。
【0044】
ここで仮に、フィン22の縁が山型に突出していないとすると、ファン3が送る空気とファン4が送る空気とは、幅方向中央部でぶつかり混ざり合うので、流れが乱れてしまう。この場合、流速が弱まるおそれがあり、不都合である。
【0045】
しかしながらこの例では、フィン22の縁を山型に突出させたことで、ファン3が送る空気とファン4が送る空気とが混合されないようにすると同時に第1吐出面32または第2吐出面42に対向する直交面を持たなくなる為、ダクト1内の空気の流れの安定性を向上させることができる。
【0046】
次に、図6に示す例について説明する。この例の説明にあたっては、図5に示す例と共通する部分の説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0047】
この例では、第1吐出面32と第2吐出面42との挟角は、180°である。即ち、中央のフィン221と第1吐出面32または第2吐出面42とがなす角は、90°である。
【0048】
この例のヒートシンク201において、フィン22の、第1吐出面32または第2吐出面42に対向する縁は、それぞれ、厚さ方向(X軸方向)に対して傾斜した端面を有している。また、この例のファン3,4の送風方向は、Y軸平行である。したがって、上述のフィン22の縁の端面は、第1吐出面32または第2吐出面42からの空気の吐出方向に対して傾斜しており、直交しない。よって、ファン3,4が送る空気は、フィン22の端面に突き当たって阻害されることがない。
【0049】
なお、上記例は、ファン3とファン4とを、挟角が180°を超える状態で設置することを否定しない。即ち、ファン3とファン4との挟角は180°よりも大きく(例えば200°程度まで)設定されても構わない。
【0050】
次に、図7に示す例について説明する。この例の説明にあたっては、図6に示す例と共通する部分の説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0051】
この例のヒートシンク202において、フィン22の、第1吐出面32または第2吐出面42に対向する側の縁は、フィン22の並び方向(X軸方向)中央と両端とで突出した、W型の仮想線に沿って位置する。言い換えると、フィン22の、第1吐出面32または第2吐出面42に対向する側の縁は、中央および両端のフィン22が突出したW型を描いて位置する。
【0052】
この例のヒートシンク202によれば、図6に示す例のヒートシンク201よりもフィン22の表面積の総和を大きくすることができる。したがって、放熱力がより高いヒートシンク202とすることができる。
【0053】
なお、上記各例では、ファン3,4の配置がヒートシンク2に対して左右対称であるが、実施にあたってはこれらに限らず、ファン3,4の配置がヒートシンク2に対して左右対称でなくともよい。
【0054】
ファン3,4は、ヒートシンク2に吹き付ける空気を、吸気口11から吸い込むので、吸気口11が面する位置には気流が生じる。この気流によって、吸気口11の近傍に位置する部品が発する熱は運ばれ、奪われる。つまり、ファン3,4がつくる空気の流れは、ヒートシンク2のベース部21に接した熱源のだけでなく、吸気口11の近傍の部品の放熱をも促進すると言える。よって、周囲の部品の放熱の促進を意図して、ファン3,4を配置してもよい。
【0055】
以上に説明したように、実施形態の冷却装置200は、ファン(第1送風部)3とファン(第2送風部)4とヒートシンク2とダクト1とを備える。ファン3は、回転による送風で空気の流れをつくるものであって空気を吐出する第1吐出面32を有し、ファン4は、回転による送風で空気の流れをつくるものであって空気を吐出する第2吐出面42を有してファン3に隣接して設置される。ダクト1は、ヒートシンク2、ファン3およびファン4を覆い、ファン3,4による送風方向上流側の吸気口11および下流側の排気口12を有する。ヒートシンク2は、第1吐出面32の径と第2吐出面42の径との総和より小さい幅を有しCPU102等の電子部品の熱が伝導するベース部21に複数のフィン22が厚さ方向に並んで立てられたものであって、フィン22の送風方向上流側の縁は第1吐出面32または第2吐出面42に対向する。第1吐出面32と第2吐出面42との境の下流側に位置する中央のフィン221の縁は、他のフィン22の縁よりも第1吐出面32および第2吐出面42に近く位置する。
【0056】
上記構造により、冷却装置200は、ヒートシンク2への送風を複数のファン3,4で行うことができ、また、他のフィン22より突出した中央のフィン221により、各ファン3,4から送られる空気の流れを、互いに干渉させずにヒートシンク2に向けて送ることができる。これにより、吐出面32,42の径の総和がヒートシンク2の幅よりも大きくなる2つのファン3,4によりヒートシンク2を冷却するにあたって、エネルギーの損失を抑えて効率よく冷却することができる。よって、電子機器100の筐体110の高さ等の都合により大径のファンを使用できなくとも、大径ファン相当の風量を協働により供給する複数のファン3,4を採用することで、冷却風の吐出量を減少させることなく冷却ファンの小型化(高さ方向寸法を小さくする)を実現することができる。
【0057】
なお、上述の各実施形態におけるファン3,4は同サイズであるが、実施にあたって、複数のファン3,4のサイズは必ずしも同じである必要はなく、出力(得られる風速・風量)が異なるものであっても構わない。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
100…電子機器、
101…マザーボード、102…CPU、103…メモリー、
104…SSD、105…ライザーカード、106…I/Oボード、
110…筐体、111…前カバー、112…後カバー、
113…I/Oパネル、161~167…通風孔、
200…冷却装置、
1 …ダクト、10…天板、11…吸気口、
12 …排気口、121…上側排気口、122…下側排気口、
13 …分岐壁、131…上壁部、132…下壁部、
15~18…側壁(第1の壁部)、
2,201,202…ヒートシンク、
21 …ベース部、22…フィン、221…中央のフィン、
3 …ファン(第1送風部)、32…第1吐出面、
4 …ファン(第2送風部)、42…第2吐出面、
81…フレーム、82…フレーム、84…弦巻バネ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2003-283171号公報
図1
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図5
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図7