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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087979
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電力遮断装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/20 20060101AFI20240625BHJP
   H02H 7/26 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H02H7/20 A
H02H7/26 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202908
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一井 萌花
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】炭村 浩之
【テーマコード(参考)】
5G053
【Fターム(参考)】
5G053AA12
5G053AA14
5G053CA01
5G053EA01
5G053EC01
5G053FA01
(57)【要約】
【課題】1本の信号線で複数種の異常が発生していることを通知することが可能な電力遮断装置を提供する。
【解決手段】電力遮断装置10の信号出力部13は、(1)異常が検出されていないときは、Lo期間の長さが第1Lo期間であり、かつHi期間の長さが第1Hi期間である通知信号を出力し、(2)第1の異常が検出されているときは、Hi期間の長さが第2Hi期間(ただし、第2Hi期間≠第1Hi期間)である通知信号を出力し、(3)第2の異常が検出されているときは、Lo期間の長さが第2Lo期間(ただし、第2Lo期間≠第1Lo期間)である通知信号を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源と該電力供給源から電力の供給を受ける負荷装置との間に設けられる電力遮断装置であって、
前記供給を可能にする閉状態と該供給を不能にする開状態とをとり得る遮断器と、
前記供給に関する複数種の異常を検出する異常検出部と、
前記検出の結果に応じたパルス状の通知信号を出力する信号出力部と、
を備え、
前記異常検出部によって検出される異常は、第1の異常と、第2の異常とを含み、
前記信号出力部は、
(1)前記異常が検出されていないときは、Lo期間の長さが予め設定された第1Lo期間であり、かつHi期間の長さが予め設定された第1Hi期間である通知信号を出力し、
(2)前記第1の異常が検出されているときは、Hi期間の長さが予め設定された第2Hi期間(ただし、第2Hi期間≠第1Hi期間)である通知信号を出力し、
(3)前記第2の異常が検出されているときは、Lo期間の長さが予め設定された第2Lo期間(ただし、第2Lo期間≠第1Lo期間)である通知信号を出力する
ことを特徴とする電力遮断装置。
【請求項2】
前記異常検出部によって検出される異常は、前記第2の異常よりも深刻な第3の異常をさらに含み、
前記信号出力部は、
(4A)前記第3の異常が検出されているときは、前記第2の異常が検出されているか否かにかかわらず、Lo期間の長さが予め設定された第3Lo期間(ただし、第3Lo期間≠第1Lo期間、第3Lo期間≠第2Lo期間)である通知信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力遮断装置。
【請求項3】
前記第2Hi期間<前記第1Hi期間であり、
前記信号出力部は、出力中の通知信号がHi期間であるときに前記第1の異常が検出されると、出力済のHi期間の長さと前記第2Hi期間とを比較し、(1)前記出力済のHi期間の長さ≧前記第2Hi期間であれば、当該Hi期間の長さを予め設定された第3Hi期間(ただし、第3Hi期間>第1Hi期間)とし、(2)前記出力済のHi期間の長さ<前記第2Hi期間であれば、当該Hi期間の長さを前記第2Hi期間とする
ことを特徴とする請求項1に記載の電力遮断装置。
【請求項4】
前記第2Lo期間<前記第1Lo期間であり、
前記信号出力部は、出力中の通知信号がLo期間であるときに前記第2の異常が検出されると、出力済のLo期間の長さと前記第2Lo期間とを比較し、(1)前記出力済のLo期間の長さ≧前記第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを予め設定された第4Lo期間(ただし、第4Lo期間>第1Lo期間)とし、(2)前記出力済のLo期間の長さ<前記第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを前記第2Lo期間とする
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の電力遮断装置。
【請求項5】
電力供給源と該電力供給源から電力の供給を受ける負荷装置との間に設けられる電力遮断装置であって、
前記供給を可能にする閉状態と該供給を不能にする開状態とをとり得る遮断器と、
前記供給に関する複数種の異常を検出する異常検出部と、
前記検出の結果に応じたパルス状の通知信号を出力する信号出力部と、
を備え、
前記異常検出部によって検出される異常は、第1の異常と、第2の異常とを含み、
前記信号出力部は、
(1)前記異常が検出されていないときは、Lo期間の長さが予め設定された第1Lo期間であり、かつHi期間の長さが予め設定された第1Hi期間である通知信号を出力し、
(2)前記第1の異常が検出されているときは、Lo期間の長さが予め設定された第2Lo期間(ただし、第2Lo期間≠第1Lo期間)である通知信号を出力し、
(3)前記第2の異常が検出されているときは、Hi期間の長さが予め設定された第2Hi期間(ただし、第2Hi期間≠第1Hi期間)である通知信号を出力する
ことを特徴とする電力遮断装置。
【請求項6】
前記異常検出部によって検出される異常は、前記第2の異常よりも深刻な第3の異常を
さらに含み、
前記信号出力部は、
(4B)前記第3の異常が検出されているときは、前記第2の異常が検出されているか否かにかかわらず、Hi期間の長さが予め設定された第3Hi期間(ただし、第3Hi期間≠第1Hi期間、第3Hi期間≠第2Hi期間)である通知信号を出力する
ことを特徴とする請求項5に記載の電力遮断装置。
【請求項7】
前記第2Lo期間<前記第1Lo期間であり、
前記信号出力部は、出力中の通知信号がLo期間であるときに前記第1の異常が検出されると、出力済のLo期間の長さと前記第2Lo期間とを比較し、(1)前記出力済のLo期間の長さ≧前記第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを予め設定された第3Lo期間(ただし、第3Lo期間>第1Lo期間)とし、(2)前記出力済のLo期間の長さ<前記第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを前記第2Lo期間とする
ことを特徴とする請求項5に記載の電力遮断装置。
【請求項8】
前記第2Hi期間<前記第1Hi期間であり、
前記信号出力部は、出力中の通知信号がHi期間であるときに前記第2の異常が検出されると、出力済のHi期間の長さと前記第2Hi期間とを比較し、(1)前記出力済のHi期間の長さ≧前記第2Hi期間であれば、当該Hi期間の長さを予め設定された第4Hi期間(ただし、第4Hi期間>第1Hi期間)とし、(2)前記出力済のHi期間の長さ<前記第2Hi期間であれば、当該Hi期間の長さを前記第2Hi期間とする
ことを特徴とする請求項5または請求項7に記載の電力遮断装置。
【請求項9】
前記第3の異常が、前記遮断器の状態が前記閉状態に固定される溶着である
ことを特徴とする請求項2または請求項6に記載の電力遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給源と該電力供給源から電力の供給を受ける負荷装置との間に設けられる電力遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商用電力系統のような電力供給源と宅内負荷のような負荷装置との間には、通常、電力供給源から負荷装置に向かう方向、またはこれとは逆の方向の電力の供給を遮断するための電力遮断装置が設けられている。このような電力遮断装置の中には、電力の供給に関する異常を検出し、検出の結果(すなわち異常の有無)を他の装置に通知する機能を備えたものがある。
【0003】
異常の有無の通知に関しては、特許文献1に記載のアラーム信号生成装置が知られている。この装置は、出力するアラーム信号のHi期間の長さをPo、Ph、Puのいずれかとすることにより異常の種別を通知することができる。また、この装置は、出力するアラーム信号のLo期間の長さをPx、Py、Pzのいずれかとすることにより異常の発生個所を通知することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5861773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のアラーム信号生成装置は、複数種の異常が発生していること、例えば、Poに対応する異常に加えてPhに対応する異常が発生していることを通知することはできなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、1本の信号線で複数種の異常が発生していることを通知することが可能な電力遮断装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の態様の電力遮断装置は、電力供給源と該電力供給源から電力の供給を受ける負荷装置との間に設けられるものであって、電力の供給を可能にする閉状態と該供給を不能にする開状態とをとり得る遮断器と、電力の供給に関する複数種の異常を検出する異常検出部と、検出の結果に応じたパルス状の通知信号を出力する信号出力部と、を備え、異常検出部によって検出される異常は、第1の異常と、第2の異常とを含み、信号出力部は、(1)異常が検出されていないときは、Lo期間の長さが予め設定された第1Lo期間であり、かつHi期間の長さが予め設定された第1Hi期間である通知信号を出力し、(2)第1の異常が検出されているときは、Hi期間の長さが予め設定された第2Hi期間(ただし、第2Hi期間≠第1Hi期間)である通知信号を出力し、(3)第2の異常が検出されているときは、Lo期間の長さが予め設定された第2Lo期間(ただし、第2Lo期間≠第1Lo期間)である通知信号を出力する、との構成を有している。
【0008】
この構成によれば、通知信号のHi期間の長さによって第1の異常が発生しているか否かを通知することができる。また、これらの構成によれば、Lo期間の長さによって第2の異常が発生しているか否かを通知することができる。つまり、この構成によれば、第1の異常が発生しているか否かと第2の異常が発生しているか否かとを1本の信号線で通知することができる。
【0009】
異常検出部によって検出される異常は、第2の異常よりも深刻な第3の異常をさらに含み、上記第1の態様の電力遮断装置の信号出力部は、(4A)第3の異常が検出されているときは、第2の異常が検出されているか否かにかかわらず、Lo期間の長さが予め設定された第3Lo期間(ただし、第3Lo期間≠第1Lo期間、第3Lo期間≠第2Lo期間)である通知信号を出力する、との構成を有していてもよい。
【0010】
この構成によれば、通知信号のLo期間の長さによって第2の異常および第3の異常が発生しているか否かを通知することができる。なお、この構成では、第3の異常のみが発生していることと、第3の異常および第2の異常が発生していることを区別して通知することはできないが、第3の異常は第2の異常よりも深刻な異常なので、少なくとも第3の異常が発生していることを通知できれば十分である。
【0011】
第2Hi期間<第1Hi期間である場合、上記第1の態様の電力遮断装置の信号出力部は、出力中の通知信号がHi期間であるときに第1の異常が検出されると、出力済のHi期間の長さと第2Hi期間とを比較し、(1)出力済のHi期間の長さ≧第2Hi期間であれば、当該Hi期間の長さを予め設定された第3Hi期間(ただし、第3Hi期間>第1Hi期間)とし、(2)出力済のHi期間の長さ<第2Hi期間であれば、当該Hi期間の長さを第2Hi期間とする、との構成を有していてもよい。
【0012】
また、第2Lo期間<第1Lo期間である場合、上記第1の態様の電力遮断装置の信号出力部は、出力中の通知信号がLo期間であるときに第2の異常が検出されると、出力済のLo期間の長さと第2Lo期間とを比較し、(1)出力済のLo期間の長さ≧第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを予め設定された第4Lo期間(ただし、第4Lo期間>第1Lo期間)とし、(2)出力済のLo期間の長さ<第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを第2Lo期間とする、との構成を有していてもよい。
【0013】
これらの構成によれば、異常が発生した後に出力が開始されるパルスの幅(Hi期間またはLo期間の長さ)を変更する場合に比べて、当該異常の発生を早期に通知することができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る第2の態様の電力遮断装置は、電力供給源と該電力供給源から電力の供給を受ける負荷装置との間に設けられるものであって、電力の供給を可能にする閉状態と該供給を不能にする開状態とをとり得る遮断器と、電力の供給に関する複数種の異常を検出する異常検出部と、検出の結果に応じたパルス状の通知信号を出力する信号出力部と、を備え、異常検出部によって検出される異常は、第1の異常と、第2の異常とを含み、信号出力部は、(1)異常が検出されていないときは、Lo期間の長さが予め設定された第1Lo期間であり、かつHi期間の長さが予め設定された第1Hi期間である通知信号を出力し、(2)第1の異常が検出されているときは、Lo期間の長さが予め設定された第2Lo期間(ただし、第2Lo期間≠第1Lo期間)である通知信号を出力し、(3)第2の異常が検出されているときは、Hi期間の長さが予め設定された第2Hi期間(ただし、第2Hi期間≠第1Hi期間)である通知信号を出力する、との構成を有している。
【0015】
この構成によれば、通知信号のLo期間の長さによって第1の異常が発生しているか否かを通知することができる。また、この構成によれば、Hi期間の長さによって第2の異常が発生しているか否かを通知することができる。つまり、この構成によれば、第1の異常が発生しているか否かと第2の異常が発生しているか否かとを1本の信号線で通知することができる。
【0016】
異常検出部によって検出される異常は、第2の異常よりも深刻な第3の異常をさらに含み、上記第2の態様の電力遮断装置の信号出力部は、(4B)第3の異常が検出されているときは、第2の異常が検出されているか否かにかかわらず、Hi期間の長さが予め設定された第3Hi期間(ただし、第3Hi期間≠第1Hi期間、第3Hi期間≠第2Hi期間)である通知信号を出力する、との構成を有していてもよい。
【0017】
この構成によれば、通知信号のHi期間の長さによって第2の異常および第3の異常が発生しているか否かを通知することができる。なお、この構成では、第3の異常のみが発生していることと、第3の異常および第2の異常が発生していることを区別して通知することはできないが、第3の異常は第2の異常よりも深刻な異常なので、少なくとも第3の異常が発生していることを通知できれば十分である。
【0018】
第2Lo期間<第1Lo期間である場合、上記第2の態様の電力遮断装置の信号出力部は、出力中の通知信号がLo期間であるときに第1の異常が検出されると、出力済のLo期間の長さと第2Lo期間とを比較し、(1)出力済のLo期間の長さ≧第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを予め設定された第3Lo期間(ただし、第3Lo期間>第1Lo期間)とし、(2)出力済のLo期間の長さ<第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを第2Lo期間とする、との構成を有していてもよい。
【0019】
また、第2Hi期間<第1Hi期間である場合、上記第2の態様の電力遮断装置の信号出力部は、出力中の通知信号がHi期間であるときに第2の異常が検出されると、出力済のHi期間の長さと第2Hi期間とを比較し、(1)出力済のHi期間の長さ≧第2Hi期間であれば、当該Hi期間の長さを予め設定された第4Hi期間(ただし、第4Hi期間>第1Hi期間)とし、(2)出力済のHi期間の長さ<第2Hi期間であれば、当該Hi期間の長さを第2Hi期間とする、との構成を有していてもよい。
【0020】
これらの構成によれば、異常が発生した後に出力が開始されるパルスの幅(Hi期間またはLo期間の長さ)を変更する場合に比べて、当該異常の発生を早期に通知することができる。
【0021】
なお、第3の異常の一例は、遮断器の状態が閉状態に固定される溶着である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、1本の信号線で複数種の異常が発生していることを通知することが可能な電力遮断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例に係る電力遮断装置およびその周辺を示す図である。
図2】本発明の実施例に係る電力遮断装置が出力する通知信号の一例を示す図である。
図3】本発明の実施例に係る電力遮断装置が出力する通知信号の別の一例を示す図である。
図4】本発明の実施例に係る電力遮断装置が出力する通知信号のさらに別の一例を示す図である。
図5】本発明の実施例および変形例に係る電力遮断装置が出力する通知信号の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る電力遮断装置の実施例について説明する。
【0025】
[実施例]
図1に、本発明の実施例に係る電力遮断装置10を示す。電力遮断装置10は、商用電力系統のような電力供給源20と宅内負荷のような負荷装置30との間に設けられ、電力供給源20から負荷装置30に向かう方向、またはこれとは逆の方向の電力の供給を必要に応じて遮断する。
【0026】
電力遮断装置10は、電力供給源20と負荷装置30とを繋ぐ電力線に介装された遮断器11と、電力の供給に関する複数種の異常を検出する異常検出部12と、異常検出部12による検出の結果に応じたパルス状の通知信号を出力する信号出力部13とを備えている。遮断器11は、例えばリレーからなり、電力の供給を可能にする閉状態と該供給を不能にする開状態とをとることができる。
【0027】
異常検出部12は、第1の異常として、電力供給源20からの電力の供給が途絶えていること、すなわち商用電力系統に停電が発生していることを検出し、検出の結果(停電の有無)を信号出力部13に伝達する。
【0028】
異常検出部12は、第2の異常として、遮断器11の温度が高すぎることを検出し、検出の結果(過温度の有無)を信号出力部13に伝達する。
【0029】
また、異常検出部12は、第3の異常として、遮断器11の状態が閉状態に固定される溶着を検出し、検出の結果(溶着の有無)を信号出力部13に伝達する。
【0030】
停電および過温度は時間の経過により解消することがあるが、一旦発生した溶着はメンテナンスを行わなければ元に戻らない。このため、溶着は、停電および過温度よりも深刻な異常であるといえる。
【0031】
信号出力部13は、何も異常が検出されていないときは、図2(A)に示すように、Lo期間の長さが予め設定された第1Lo期間であり、かつHi期間の長さが予め設定された第1Hi期間である通知信号(以下、「基準通知信号」という)を出力する。本実施例では、第1Lo期間および第1Hi期間が32msに設定されているが、これは単なる一例である。
【0032】
信号出力部13は、停電のみが検出されているときは、図2(B)に示すように、Lo期間の長さが第1Lo期間であり、かつHi期間の長さが予め設定された第2Hi期間である通知信号を出力する。言い換えると、信号出力部13は、基準通知信号とはHi期間の長さが異なる通知信号を出力する。本実施例では、第2Hi期間が16msに設定されているが、これは単なる一例である。
【0033】
図3に示すように、信号出力部13は、停電が検出されているときに出力が開始される上に凸のパルスの幅(Hi期間)を16msとする。
【0034】
信号出力部13は、過温度のみが検出されているときは、図2(C)に示すように、Lo期間の長さが予め設定された第2Lo期間であり、かつHi期間の長さが第1Hi期間である通知信号を出力する。言い換えると、信号出力部13は、基準通知信号とはLo期間の長さが異なる通知信号を出力する。本実施例では、第2Lo期間が16msに設定されているが、これは単なる一例である。なお、過温度に加えて停電が検出されている場合は、Hi期間の長さが第1Hi期間ではなく第2Hi期間となる。
【0035】
信号出力部13は、溶着のみが検出されているときは、図2(D)に示すように、Lo期間の長さが予め設定された第3Lo期間であり、かつHi期間の長さが第1Hi期間である通知信号を出力する。言い換えると、信号出力部13は、基準通知信号とはLo期間の長さが異なる通知信号を出力する。本実施例では、第3Lo期間が8msに設定されているが、これは単なる一例である。なお、溶着に加えて停電が検出されている場合は、Hi期間の長さが第1Hi期間ではなく第2Hi期間となる。
【0036】
また、信号出力部13は、過温度および溶着が検出されているときは、図2(E)に示すように、Lo期間の長さが第3Lo期間であり、かつHi期間の長さが第1Hi期間である通知信号を出力する。言い換えると、信号出力部13は、溶着のみが検出されているときと同じ通知信号を出力する。なお、過温度および溶着に加えて停電が検出されている場合は、Hi期間の長さが第1Hi期間ではなく第2Hi期間となる。
【0037】
図4に示すように、信号出力部13は、過温度のみが検出されているときに出力が開始される下に凸のパルスの幅(Lo期間)を16msとする。また、信号出力部13は、少なくとも溶着が検出されているときに出力が開始される下に凸のパルスの幅(Lo期間)を8msとする。
【0038】
本実施例に係る電力遮断装置10によれば、負荷装置30は、通知信号のHi期間の長さに基づいて、第1の異常である停電が発生していることを知ることができる。
【0039】
また、本実施例に係る電力遮断装置10によれば、負荷装置30は、通知信号のLo期間の長さに基づいて、第2の異常である過温度と第3の異常である溶着のうち過温度のみが発生していること、および過温度と溶着のうち少なくとも溶着が発生していることを知ることができる。
【0040】
さらに、本実施例に係る電力遮断装置10によれば、負荷装置30は、通知信号のHi期間の長さが16ms以上32ms以下であり、かつ通知信号のLo期間の長さが8ms以上32ms以下であることに基づいて、信号出力部13が正常に作動していること、および通知信号のための信号線が断線していないことを確認することもできる。
【0041】
なお、第2Hi期間を第1Hi期間よりも短くし、第2Lo期間を第1Lo期間よりも短くし、第3Lo期間を第2Lo期間よりも短くしたのは、深刻な状況であることを負荷装置30側に素早く通知するためである。異常が発生している状況と異常が発生していない状況とでは、当然ながら前者の方が深刻度が高い。また、第3の異常である溶着が発生している状況とそれ以外の異常が発生している状況とでは、前述の理由から前者の方が深刻度が高い。
【0042】
[変形例]
以上、本発明に係る電力遮断装置の実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0043】
例えば、本発明に係る電力遮断装置の信号出力部は、(1)何も異常が検出されていないときは、Lo期間の長さが予め設定された第1Lo期間であり、かつHi期間の長さが予め設定された第1Hi期間である通知信号を出力し、(2)第1の異常が検出されているときは、Lo期間の長さが予め設定された第2Lo期間(ただし、第2Lo期間<第1Lo期間)である通知信号を出力し、(3)第2の異常が検出され、かつ第2の異常よりも深刻な第3の異常が検出されていないときは、Hi期間の長さが予め設定された第2Hi期間(ただし、第2Hi期間<第1Hi期間)である通知信号を出力し、(4)第3の異常が検出されているときは、Hi期間の長さが予め設定された第3Hi期間(ただし、第3Hi期間<第2Hi期間)である通知信号を出力してもよい。
【0044】
また、本発明に係る電力遮断装置の信号出力部は、図5(B)および(C)に示すように、出力中の通知信号がLo期間であるときに第2の異常(例えば、溶着)が検出されると、出力済のLo期間の長さと第2Lo期間(16ms)とを比較し、(1)出力済のLo期間の長さ≧第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを予め設定された第4Lo期間(ただし、第4Lo期間>第1Lo期間(32ms)。例えば、第4Lo期間=32ms+16ms=48ms)とし、(2)出力済のLo期間の長さ<第2Lo期間であれば、当該Lo期間の長さを第2Lo期間(16ms)としてもよい。出力中の通知信号がHi期間であるときにHi期間に対応した異常が検出された場合、および出力中の通知信号がLo期間であるときにLo期間に対応した溶着以外の異常が検出された場合も同様である。
【0045】
この構成によれば、異常が検出された後に出力が開始されるパルスの幅を変更する場合(図5(A))に比べて、異常の発生を負荷装置30に早期に知らせることができる。具体的には、図5(B)に示した一例では、異常の発生を32ms早く知らせることができる。また、図5(C)に示した一例では、異常の発生を64msも早く知らせることができる。なお、これらの例では、32msのLo期間が溶着の未発生を示し、16msおよび48msのLo期間が溶着の発生を示すことになる。
【0046】
また、本発明に係る電力遮断装置の通知信号における第1Hi期間、第2Hi期間および第3Hi期間は、互いに相違する限りにおいて任意の値に設定可能である。例えば、第2Hi期間は第1Hi期間より長くてもよく、第3Hi期間は第2Hi期間より長くてもよい。同様に、第1Lo期間、第2Lo期間および第3Lo期間も、互いに相違する限りにおいて任意の値に設定可能である。例えば、第2Lo期間は第1Lo期間より長くてもよく、第3Lo期間は第2Lo期間より長くてもよい。
【0047】
また、本発明に係る電力遮断装置の異常検出部は、停電、過温度および溶着以外の異常を検出してもよい。
【0048】
また、本発明に係る電力遮断装置の異常検出部は、2種のみの異常を検出してもよい。この場合、信号出力部は、Hi期間(またはLo期間)の長さを変更することで第1の異常が発生しているか否かを通知するとともにLo期間(またはHi期間)の長さを変更することで第2の異常が発生しているか否かを通知することができる。
【0049】
また、本発明に係る電力遮断装置の異常検出部は、4種以上の異常を検出してもよい。例えば、異常検出部が第1~第5の異常を検出する場合、信号出力部は、Hi期間の長さを変更することで第1、第2の異常が発生しているか否かを通知するとともにLo期間の長さを変更することで第3~第5の異常が発生しているか否かを通知してもよい。あるいは、信号出力部は、Hi期間の長さを変更することで第1~第4の異常が発生しているか否かを通知するとともにLo期間の長さを変更することで第5の異常が発生しているか否かを通知してもよい。
【0050】
また、本発明では、電力供給源および負荷装置は特に限定されない。
【符号の説明】
【0051】
10 電力遮断装置
11 遮断器
12 異常検出部
13 信号出力部
20 電力供給源
30 負荷装置
図1
図2
図3
図4
図5