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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008798
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】燃料電池用セパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20240112BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240112BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001705
(22)【出願日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2022109172
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川尻 浩右
(72)【発明者】
【氏名】杉野 祐記
(72)【発明者】
【氏名】村上 智弘
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA12
5H126BB06
(57)【要約】
【課題】燃料電池の発電性能を向上させることのできる燃料電池用セパレータを提供する。
【解決手段】セパレータ20は、発電部11に当接する態様で設けられる。セパレータ20は、複数の突条31と、ガス流路32と、ガイド溝35,36とを有する。複数の突条31は、互いに間隔を置いて並列して延在するとともに発電部11に当接する。ガス流路32は、互いに隣り合う2つの突条31の間において突条31に沿って延在する凹溝状をなす。ガス流路32は反応ガスが流れる。ガイド溝35,36は、突条31における発電部11の側の面に形成され、且つ、突条31の並び方向に延びる溝状をなし、且つ、発電部11に当接する部分からガス流路32の底部まで延びる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の発電部に当接する態様で設けられる燃料電池用セパレータであって、
互いに間隔を置いて並列して延在するとともに前記発電部に当接する複数の突条と、
互いに隣り合う2つの前記突条の間において前記突条に沿って延在する凹溝状をなすとともに反応ガスが流れるガス流路と、
前記突条における前記発電部の側の面に形成され、前記突条の並び方向に延びる溝状をなし、前記発電部に当接する部分から前記ガス流路の底部まで延びるガイド溝と、を備える燃料電池用セパレータ。
【請求項2】
前記ガス流路の底面は平らな形状をなしている
請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項3】
前記突条の延在方向に間隔をおいて複数設けられ、前記ガス流路の底部が部分的に凹んだ形状をなす保持凹部を備える
請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項4】
前記ガイド溝は前記保持凹部に接続されている
請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項5】
前記突条における前記発電部に当接する部分の側が切り取られた形状をなし、互いに隣り合う2つの前記ガス流路を連通する態様で前記並び方向に延びる連通部を有する
請求項1~4のいずれか一項に記載の燃料電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固体高分子形燃料電池は、膜電極接合体を有する発電部と、複数の突条および凹溝部が交互に形成されて上記発電部を挟持する一対の板状のセパレータとを含む単セルが複数積層されたスタックを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
単セルを構成する各セパレータと発電部との間には、突条および凹溝部により区画されて、反応ガスが流通するガス流路が形成されている。この単セルでは、発電部での発電に際して発生した水が上記ガス流路に流入する。そして、ガス流路に流入した水は、同ガス流路の内部を流れる反応ガスの流動圧力によって押し流されてガス流路の外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-47442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、単セルにおけるガス流路の内部において、前記水は断続的に流れる。そのため、ガス流路の各部における水の流量や流速にはばらつきが生じてしまう。これに起因して、ガス流路の一部においてガスが流れ難くなるなど、ガス流路の各部におけるガスの流れが不安定になる。したがって、単セルにおいて部分的に発電量の低下を招くことで、燃料電池の発電性能の低下を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための装置の各態様を記載する。
[態様1]燃料電池の発電部に当接する態様で設けられる燃料電池用セパレータであって、互いに間隔を置いて並列して延在するとともに前記発電部に当接する複数の突条と、互いに隣り合う2つの前記突条の間において前記突条に沿って延在する凹溝状をなすとともに反応ガスが流れるガス流路と、前記突条における前記発電部の側の面に形成され、前記突条の並び方向に延びる溝状をなし、前記発電部に当接する部分から前記ガス流路の底部まで延びるガイド溝と、を備える燃料電池用セパレータ。
【0007】
上記構成によれば、セパレータに形成されたガイド溝により、発電部での発電に際して発生した水が、同発電部とセパレータとの接触部分からガス流路の底部まで案内されるようになる。そのため、上記水を、発電部から離れた部分、すなわち発電部における発電の邪魔になり難い部分に速やかに移動させることができるようになる。これにより、ガス流路の各部における水の流量や流速のばらつきを抑えることができる。したがって、ガス流路の各部における反応ガスの流量や流速のばらつきを抑えることができる。これにより、発電部における部分的な発電量の低下を抑えることができるため、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【0008】
[態様2]前記ガス流路の底面は平らな形状をなしている[態様1]に記載の燃料電池用セパレータ。
上記構成によれば、ガス流路の底部が段差のない平らな形状であるため、ガス流路の底部に到達した水は、反応ガスの流動圧力によって押し流されることで、下流側にスムーズに流れて同ガス流路の外部に排出されるようになる。これにより、ガス流路の各部における水の流量や流速のばらつきを抑えることができるため、ガス流路の各部における反応ガスの流量や流速のばらつきを抑えることができる。
【0009】
[態様3]前記突条の延在方向に間隔をおいて複数設けられ、前記ガス流路の底部が部分的に凹んだ形状をなす保持凹部を備える[態様1]に記載の燃料電池用セパレータ。
上記構成によれば、ガス流路に流入する水の一部が、ガス流路の底部に形成された複数の保持凹部に溜まるようになる。これにより、ガス流路の底部における水の流れを途切れ難くすることができる。しかも、ガス流路の底部における水の流速を遅くすることができる。これにより、ガス流路の各部における水の流量や流速のばらつきを抑えることができる。
【0010】
[態様4]前記ガイド溝は前記保持凹部に接続されている[態様3]に記載の燃料電池用セパレータ。
上記構成によれば、発電部での発電に際して発生した水を、ガイド溝によって案内するとともに同ガイド溝から保持凹部に対して直接流入させることができる。これにより、上記水を、保持凹部に対してスムーズに案内して速やかに移動させることができる。
【0011】
[態様5]前記突条における前記発電部に当接する部分の側が切り取られた形状をなし、互いに隣り合う2つの前記ガス流路を連通する態様で前記並び方向に延びる連通部を有する[態様1]~[態様4]のいずれか一つに記載の燃料電池用セパレータ。
【0012】
上記構成によれば、連通路を介して、隣り合う2つのガス流路の間での反応ガスの流通が許容されるようになる。そのため、反応ガスを広い範囲にわたって拡散させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の燃料電池用セパレータが適用される燃料電池スタックの概略構成図である。
図2】第1実施形態の第1セパレータにおける発電部側の部分の構造を示すモデルの斜視図である。
図3】同モデルの平面図である。
図4】同モデルの図3の4-4線に沿った断面図である。
図5】同モデルの図3の5-5線に沿った断面図である。
図6】同モデルの図3の6-6線に沿った断面図である。
図7】第1実施形態の燃料電池用セパレータによる作用を説明するための作用図である。
図8】第1実施形態の第1セパレータのガス流路における圧力損失の推移を測定した結果を示すグラフである。
図9】第2実施形態の第1セパレータにおける発電部側の部分の構造を示すモデルの斜視図である。
図10】同モデルの平面図である。
図11】同モデルの図10の11-11線に沿った断面図である。
図12】同モデルの図10の12-12線に沿った断面図である。
図13】同モデルの図10の13-13線に沿った断面図である。
図14】同モデルの斜視図である。
図15】第2実施形態の第1セパレータのガス流路における圧力損失の推移を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、図1図8を参照して、燃料電池用セパレータの第1実施形態について説明する。
【0016】
各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については実際と異なる場合がある。
図1に示すように、本実施形態の燃料電池用セパレータ(以下、セパレータ20と称する)は、固体高分子形燃料電池のスタック100に用いられるものである。なお、セパレータ20は、後述する第1セパレータ30および第2セパレータ40の総称である。
【0017】
スタック100は、複数の単セル10が積層された構造を有している。単セル10は、カソード側の第1セパレータ30と、アノード側の第2セパレータ40とにより挟持された発電部11を備えている。
【0018】
発電部11は、膜電極接合体12と、膜電極接合体12を挟持するカソード側ガス拡散層13およびアノード側ガス拡散層14とにより構成されている。カソード側ガス拡散層13は、膜電極接合体12と第1セパレータ30との間に設けられている。アノード側ガス拡散層14は、膜電極接合体12と第2セパレータ40との間に設けられている。カソード側ガス拡散層13およびアノード側ガス拡散層14は、共に炭素繊維により形成されている。
【0019】
膜電極接合体12は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を有する固体高分子材料からなる電解質膜15と、電解質膜15を挟持する一対の電極触媒層16とを備えている。各電極触媒層16には、燃料電池における反応ガスの電気化学反応を促進するために、例えば白金などの触媒が担持されている。
【0020】
<第1セパレータ>
第1セパレータ30は、例えば、黒鉛などの炭素材とポリプロピレンなどの樹脂材料とを含む複合材を加熱しながらプレス成形することにより成形されている。第1セパレータ30は、複数の突条31と、複数のガス流路32とを有している。複数の突条31は、互いに間隔をおいて並列して延在している。各突条31は、基本的に、延在方向と直交する方向における断面(図1に示す断面)が、先端に向かって先細の山形状をなしている。各突条31の突端部分は、カソード側ガス拡散層13に当接している。複数のガス流路32は、互いに隣り合う2つの突条31の間において突条31に沿って延在している。各ガス流路32は、通路断面(図1に示す断面)が、底部に向かって先細の山形状をなしている。単セル10においては、凹溝状をなす各ガス流路32の内部を、反応ガスが流れるようになっている。なお、各突条31および各ガス流路32は、図1の紙面に直交する方向に延びている。
【0021】
<第2セパレータ>
第2セパレータ40は、例えば、黒鉛などの炭素材とポリプロピレンなどの樹脂材料とを含む複合材を加熱しながらプレス成形することにより成形されている。第2セパレータ40は、複数の突条41と、複数のガス流路42とを有している。複数の突条41は、互いに間隔をおいて並列して延在している。各突条41は、基本的に、延在方向と直交する方向における断面(図1に示す断面)が、先端に向かって先細の山形状をなしている。各突条41の突端部分は、アノード側ガス拡散層14に当接している。複数のガス流路42は、互いに隣り合う2つの突条41の間において突条41に沿って延在している。各ガス流路42は、通路断面(図1に示す断面)が、底部に向かって先細の山形状をなしている。単セル10においては、凹溝状をなすガス流路42の内部を、反応ガスが流れるようになっている。なお、突条41およびガス流路42は、図1の紙面に直交する方向に延びている。
【0022】
第1セパレータ30のガス流路32とカソード側ガス拡散層13とで区画される部分には、反応ガスとしての酸化ガスが流通する酸化ガス流路が形成されている。第2セパレータ40のガス流路42とアノード側ガス拡散層14とで区画される部分には、反応ガスとしての燃料ガスが流通する燃料ガス流路が形成されている。本実施形態において、酸化ガス流路を流通する酸化ガスは空気であり、燃料ガス流路を流通する燃料ガスは水素である。
【0023】
第1セパレータ30におけるガス流路32の底部の裏面と、同第1セパレータ30に隣り合う第2セパレータ40のガス流路42の底部の裏面とは、互いに接合されている。そして、第1セパレータ30における突条31の裏面と、第2セパレータ40における突条41の裏面とで区画される部分には、冷却水が流通する冷却水流路が形成されている。
【0024】
図2図6に示すように、第1セパレータ30は、保持凹部33、連通部34、第1ガイド溝35、および第2ガイド溝36を有する。なお図2図6は、第1セパレータ30における上記発電部11側の部分の構造を有するモデルを示している。実際には、第1セパレータ30の突条31の裏面には、前記冷却水流路を構成する凹溝が形成されている。また、図示は省略するが、第2セパレータ40は、保持凹部33、連通部34、第1ガイド溝35、および第2ガイド溝36を有する。
【0025】
本実施形態の第1セパレータ30と第2セパレータ40とは、同一の構成を有している。そのため以降においては、第1セパレータ30の保持凹部33、連通部34、第1ガイド溝35、および第2ガイド溝36を説明することで、第2セパレータ40の保持凹部33、連通部34、第1ガイド溝35、および第2ガイド溝36についての説明を省略する。また、以降においては、突条31の並び方向を単に並び方向Yと称するとともに、突条31の延在方向を単に延在方向Xと称する。なお、本実施形態では、並び方向Yと延在方向Xとが直交している。さらに以降においては、ガス流路32を流れる反応ガスの流れ方向の上流側を単に上流側と称し、同流れ方向の下流側を単に下流側と称する。
【0026】
<保持凹部>
図2図6に示すように、保持凹部33は、ガス流路32の底部が部分的に凹んだ形状をなしている。保持凹部33は、上流側において隣接する部分および下流側において隣接する部分の各々よりも一段低くなった部分である。保持凹部33は、各ガス流路32の底部に、延在方向Xに間隔をおいて複数設けられている。
【0027】
<連通部>
連通部34は、突条31における発電部11に当接する部分の側(図4の上側)が切り取られた形状をなしている。連通部34の上流側の内側面と下流側の内側面とは共に、並び方向Yおよび上下方向(図4の上下方向)において延びる平面状をなしている。また連通部34の底面は、延在方向Xおよび並び方向Yにおいて延びる平面状をなしている。連通部34は、互いに隣り合う2つのガス流路32を連通する態様で並び方向Yに延びている。連通部34は、各突条31に、延在方向Xに間隔をおいて複数設けられている。本実施形態では、連通部34および保持凹部33が、図3に示す平面視で、並び方向Yにおいて交互に、且つ直線状に並ぶ態様で配置されている。
【0028】
<第1ガイド溝および第2ガイド溝>
第1ガイド溝35および第2ガイド溝36は、溝状をなしている。第1ガイド溝35および第2ガイド溝36は、突条31における発電部11の側(図5の上側)の面に形成されている。第1ガイド溝35および第2ガイド溝36は、平面視で並び方向Yに延びている。第1ガイド溝35および第2ガイド溝36は、突条31の突端部分から同突条31を間に挟む2つのガス流路32の底部まで延びている。第1ガイド溝35および第2ガイド溝36は、突条31の突端部分における並び方向Yの中央部分において部分的に途切れる態様で延びている。
【0029】
第1ガイド溝35は、上記連通部34の下流側(図4の右側)の端部に沿って延びている。第1ガイド溝35は、突条31における上記連通部34に隣接する部分において延びている。第1ガイド溝35は、突条31における上記連通部34から遠い側の部分よりも一段低くなった部分である。第1ガイド溝35は、保持凹部33の下流側の端部に接続されて連通する態様で延びている。
【0030】
第2ガイド溝36は、上記連通部34の上流側(図4の左側)の端部に沿って延びている。第2ガイド溝36は、突条31における上記連通部34に隣接する部分において延びている。第2ガイド溝36は、突条31における上記連通部34から遠い側の部分よりも一段低くなった部分である。第2ガイド溝36は、保持凹部33の上流側の端部に接続されて連通する態様で延びている。
【0031】
本実施形態では、1つの保持凹部33が、ガス流路32の底部において第1ガイド溝35と第2ガイド溝36とによって挟まれる位置に設けられている。
本実施形態では、発明者等による各種の実験やシミュレーションの結果をもとに、第1ガイド溝35の溝幅(図4中の「W1」)と第2ガイド溝36の溝幅(図4中の「W2」)とが共に[200μm]に定められている。また本実施形態では、発明者等による各種の実験やシミュレーションの結果をもとに、第1ガイド溝35と第2ガイド溝36との距離(図4中の「W3」)が[400μm]に設定されている。これにより、第1ガイド溝35および第2ガイド溝36を介して、発電部11での発電に際して発生する水が保持凹部33までスムーズ、且つ速やかに移動する構成が実現されている。なお、上記水を保持凹部33まで適切に移動させる上では、第1ガイド溝35の溝幅W1、および第2ガイド溝36の溝幅W2は、[100μm]~[300μm]の範囲で定めることが好ましい。また、上記水を保持凹部33まで適切に移動させる上では、第1ガイド溝35と第2ガイド溝36との距離W3は、[200μm]以上に設定することが好ましい。
【0032】
<作用>
以下、本実施形態のセパレータ20による作用について、図7を参照して説明する。
本実施形態の単セル10では、発電部11での発電に際して水W(図7中にドットハッチングで示す)が発生する。この水Wはカソード側ガス拡散層13の内部に溜まる。また、発生した水Wの一部は、カソード側ガス拡散層13を通過して、同カソード側ガス拡散層13の表面に染み出す。そして、この水Wは、ガス流路32内における反応ガスの流れによって下流側(図7の右側)に押し流される。
【0033】
本実施形態の第1セパレータ30では、突条31の突端部分、すなわちカソード側ガス拡散層13に接触する部分に、第1ガイド溝35および第2ガイド溝36が形成されている。そのため、上記水Wが第1ガイド溝35および第2ガイド溝36に至ると、同水Wは第1ガイド溝35および第2ガイド溝36に流入するようになる。
【0034】
本実施形態では、突条31の突端部分、すなわち同突条31とカソード側ガス拡散層13とが接触する部分においては、毛管作用により、上記水Wが第1ガイド溝35の内部や第2ガイド溝36の内部に引き込まれるようになっている。詳しくは、カソード側ガス拡散層13の表面の水Wは、毛管作用によって第1ガイド溝35の内部や第2ガイド溝36の内部に引き込まれる。また、この水Wが呼び水となって、カソード側ガス拡散層13の内部の水Wが第1ガイド溝35の内部や第2ガイド溝36の内部に引き込まれるようになる。
【0035】
このようにしてガイド溝35,36に引き込まれる水Wは、ガイド溝35,36によって案内されることで、ガス流路32の底部まで移動するようになる。そして、この水Wは、ガス流路32内における反応ガスの流れによって下流側に押し流されることで、同ガス流路32の底部を流れる。
【0036】
本実施形態によれば、第1セパレータ30に形成されたガイド溝35,36により、発電部11での発電に際して発生した水Wが、同発電部11と第1セパレータ30との接触部分からガス流路32の底部まで案内されるようになる。これにより、上記水Wを、発電部11から離れた部分、すなわち発電部11における発電の邪魔になり難い部分に速やかに移動させることができる。そのため、カソード側ガス拡散層13の内部における反応ガスの拡散性を良好にすることができる。したがって、単セル10(燃料電池)の発電性能を向上させることができる。
【0037】
第1ガイド溝35および第2ガイド溝36によって案内されてガス流路32の底部に移動する水Wは、保持凹部33に流入して溜まるようになる。本実施形態では、保持凹部33は、各ガス流路32に、延在方向Xに間隔を置いて複数設けられている。本実施形態では、これら保持凹部33の各々に水Wを溜めることができる。そのため、ガス流路32の底部における水Wの流れを途切れ難くすることができる。
【0038】
しかも本実施形態では、ガス流路32の底部に保持凹部33が形成されることで、同ガス流路32の底部を流れる水Wの流路抵抗が大きくなっている。そのため、保持凹部33が形成されていないセパレータを用いる場合と比較して、ガス流路32の底部における水Wの流速を遅くすることができる。
【0039】
これにより、ガス流路32の底部において上記水Wが急峻に流れることが抑えられる。そのため、ガス流路32の各部における水Wの流量や流速のばらつきを抑えることができ、ひいてはガス流路32の各部における反応ガスの流量や流速のばらつきを抑えることができる。これにより、発電部11における部分的な発電量の低下を抑えることができるため、単セル10(燃料電池)の発電性能を向上させることができる。
【0040】
図8に、第1セパレータ30のガス流路32内における圧力損失の推移を測定した結果を示す。なお測定条件は次の通りである。単セル10の温度は、摂氏70度に設定される。単セル10の出力密度は、3.5[アンペア/平方センチメートル]に設定される。単セル10のストイキ比は、1.5に設定される。単セル10(カソード)の出口圧力は、大気圧に設定される。
【0041】
図8中における実線は、本実施形態の第1セパレータ30のガス流路32内における圧力損失の推移を示している。図8中の一点鎖線は、比較例のセパレータのガス流路内における圧力損失の推移を示している。比較例のセパレータは、第1ガイド溝35、第2ガイド溝36、および保持凹部33を有していない単純な波板状のセパレータである。
【0042】
図8に示すように、時刻t0において、単セル10による発電が開始される。なお時刻t0においては、単セル10の内部に水Wが溜まっていない状態になっている。
発電を開始した直後においては(時刻t0以降)、単セル10の内部で水Wが発生することに起因して、本実施形態の第1セパレータ30の内部、および比較例のセパレータの内部のいずれにおいても、圧力損失は増加するようになる。
【0043】
発電開始後において所定時間(例えば数十ミリ秒)が経過すると、単セル10の内部における水Wの発生量と同単セル10の外部への水Wの排出量との関係が安定する。これにより、本実施形態の第1セパレータ30の内部、および比較例のセパレータの内部のいずれにおいても、ガス流路32における圧力損失は、ある程度安定した状態になる。
【0044】
そうした安定状態での第1セパレータ30のガス流路32内における圧力損失の変動幅を「ΔP1」とする(図8中の実線参照)。また、安定状態での比較例のセパレータのガス流路内における圧力損失の変動幅を「ΔP2」とする(図8中の一点鎖線参照)。
【0045】
この場合には、図8から明らかなように、本実施形態の第1セパレータ30を用いた場合における圧力損失の変動幅ΔP1は、比較例のセパレータを用いた場合における圧力損失の変動幅ΔP2よりも小さくなる。
【0046】
このことから、第1セパレータ30を採用することで、比較例のセパレータを採用する場合と比較して、ガス流路32の各部における反応ガスの流れが安定するようになることが分かる。そして、こうした第1セパレータ30を採用することで、発電部11の各部における発電量のばらつきを抑えて、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【0047】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1-1)第1セパレータ30は、第1ガイド溝35、第2ガイド溝36、および保持凹部33を有する。第1ガイド溝35および第2ガイド溝36は、突条31における発電部11の側の面に形成される。第1ガイド溝35および第2ガイド溝36は、突条31の並び方向Yに延びる溝状をなすとともに、突条31の突端部分からガス流路32の底部まで延びる。保持凹部33は、ガス流路32の底部が部分的に凹んだ形状をなして、延在方向Xに間隔をおいて複数設けられる。この構成によれば、単セル10、ひいては燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【0048】
(1-2)第1ガイド溝35は、保持凹部33の下流側の端部に接続される態様で延びている。第2ガイド溝36は、保持凹部33の上流側の端部に接続される態様で延びている。この構成によれば、発電部11での発電に際して発生した水Wを、第1ガイド溝35や第2ガイド溝36によって案内するとともに、第1ガイド溝35や第2ガイド溝36から保持凹部33に対して直接流入させることができる。これにより、上記水Wを、保持凹部33に対してスムーズに案内して速やかに移動させることができる。
【0049】
(1-3)第1セパレータ30は、連通部34を有する。連通部34は、突条31における発電部11側の部分が切り取られた形状をなしている。連通部34は、互いに隣り合う2つのガス流路32を連通する態様で並び方向Yに延びている。この構成によれば、連通部34を介して、隣り合う2つのガス流路32の間での反応ガスの流通が許容されるようになる。そのため、反応ガスを広い範囲にわたって拡散させることができる。
【0050】
<第1実施形態の変更例>
なお、第1実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第1実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0051】
・第1ガイド溝35や第2ガイド溝36を、平面視で延在方向Xに直交する方向に延びる態様で設けることに限らず、平面視で延在方向Xに斜めに交差する方向に延びる態様で設けるようにしてもよい。
【0052】
・第1ガイド溝35および第2ガイド溝36の一方を省略してもよい。
・連通部34を省略することができる。例えば、突条31における第1ガイド溝35および第2ガイド溝36を除く部分の全体を、延在方向Xと直交する方向における断面が同一の形状(例えば、先細の山形状)になるように形成してもよい。
【0053】
・延在方向Xにおいて1つの保持凹部33が配置される範囲や、延在方向Xにおいて複数の保持凹部33が配置される間隔は、任意に変更することができる。この場合には、第1ガイド溝35や第2ガイド溝36が、必ずしも保持凹部33に接続(連通)されていなくてもよい。すなわち、第1ガイド溝35や第2ガイド溝36によってガス流路32の底部まで案内された水Wが、同底部における保持凹部33以外の部分を経由して、同保持凹部33に流入するようになる構造を採用することができる。
【0054】
・保持凹部33、連通部34、第1ガイド溝35、および第2ガイド溝36を、第1セパレータ30および第2セパレータ40の双方に設けることに限らず、第1セパレータ30および第2セパレータ40の一方のみに設けるようにしてもよい。
【0055】
・セパレータ20は、例えば、ステンレス鋼などの金属材料からなるものであってもよい。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の燃料電池用セパレータについて、第1実施形態の燃料電池用セパレータとの相違点を中心に、図9図15を参照しつつ説明する。
【0056】
本実施形態の燃料電池用セパレータでは、ガス流路の底部の形状、およびガイド溝の形成位置が、第1実施形態の燃料電池用セパレータと異なる。
以下、本実施形態の燃料電池用セパレータにおけるガス流路の底部の形状、およびガイド溝の形成位置について詳しく説明する。なお以下では、先の図1図8に例示した第1実施形態と同様の構成については同一の符号、若しくは対応する符号を付すとともに、それら構成についての詳細な説明は割愛する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については実際と異なる場合がある。
【0057】
図9図14に示すように、第1セパレータ60は、ガス流路62およびガイド溝65を有する。なお図9図14は、第1セパレータ60における前記発電部11側の部分の構造を有するモデルを示している。実際には、第1セパレータ60の突条31の裏面には、前記冷却水流路を構成する凹溝が形成されている。また、第2セパレータ70は、ガス流路62およびガイド溝65を有する。本実施形態の第1セパレータ60と第2セパレータ70とは、同一の構成を有している。そのため以降においては、第1セパレータ60のガス流路62およびガイド溝65を説明することで、第2セパレータ70のガス流路62およびガイド溝65についての説明を省略する。
【0058】
<ガス流路>
ガス流路62は、延在方向Xにおいて直線状に延びている。ガス流路62は、下方(図12の下方)に向かうに連れて徐々に幅狭になる形状をなしている。図10図12、および図14に示すように、ガス流路62の底面621は、平らな形状をなしている。具体的には、ガス流路62の底面621は、全面にわたり、延在方向Xおよび並び方向Yにおいて延在する平面形状をなしている。本実施形態では、ガス流路62の底部が、毛管作用の生じる程度に細く狭い通路になっている。
【0059】
<ガイド溝>
図9図14に示すように、ガイド溝65は、突条31における発電部11の側(図11の上側)の面に形成されている。ガイド溝65は、溝状をなしている。ガイド溝65は、平面視で延在方向Xと直交する方向、すなわち並び方向Yに延びている。ガイド溝65は、突条31の突端部分から同突条31を間に挟む2つのガス流路62の底部まで延びている。ガイド溝65は、突条31の突端部分における並び方向Yの中央部分において部分的に途切れる態様で延びている。
【0060】
ガイド溝65は、突条31における延在方向Xにおいて並ぶ2つの前記連通部34に挟まれた部分、すなわち連通部34が形成されていない部分(図11に部分Aで示す)に設けられている。ガイド溝65は、突条31の上記部分Aにおける延在方向Xの中央位置に設けられている。ガイド溝65は、突条31の発電部11側の面において、延在方向Xにおいて隣り合う部分よりも一段低くなっている。
【0061】
本実施形態では、発明者等による各種の実験やシミュレーションの結果をもとに、ガイド溝65の溝幅(図11中の「W4」)が[200μm]に定められている。これにより、ガイド溝65を介して、発電部11での発電に際して発生する水Wがガス流路62の底部までスムーズ、且つ速やかに移動する構成が実現されている。なお、上記水Wをガス流路62の底部まで適切に移動させる上では、ガイド溝65の溝幅W4は、[100μm]~[300μm]の範囲で定めることが好ましい。
【0062】
<作用>
以下、本実施形態の第1セパレータ60による作用について説明する。
図11に示すように、本実施形態の単セル50では、発電部11での発電に際して水W(図示略)が発生する。この水Wはカソード側ガス拡散層13の内部に溜まる。また、発生した水Wの一部は、カソード側ガス拡散層13を通過して、同カソード側ガス拡散層13の表面に染み出す。そして、この水Wは、ガス流路62内における反応ガスの流れによって下流側に押し流される。
【0063】
本実施形態の第1セパレータ60では、突条31の突端部分、すなわちカソード側ガス拡散層13に接触する部分に、ガイド溝65が形成されている。そのため、上記水Wがガイド溝65に至ると、同水Wはガイド溝65に流入するようになる。
【0064】
本実施形態では、突条31の突端部分、すなわち同突条31とカソード側ガス拡散層13とが接触する部分においては、毛管作用により、上記水Wがガイド溝65の内部に引き込まれるようになっている。詳しくは、カソード側ガス拡散層13の表面の水Wは、毛管作用によってガイド溝65の内部に引き込まれる。また、この水Wが呼び水となって、カソード側ガス拡散層13の内部の水Wがガイド溝65の内部に引き込まれるようになる。
【0065】
図10図12、および図14に示すように、このようにしてガイド溝65に引き込まれる水Wは、ガイド溝65によって案内されることで、ガス流路62の底部まで移動するようになる。本実施形態では、ガイド溝65が、突条31の前記部分A(図11)における延在方向Xの中央位置に設けられている。そのため、ガイド溝65を流れる水Wが連通部34に流れ込み難くなっている。そして、ガス流路62の底部まで移動した水Wは、ガス流路62内における反応ガスの流れによって下流側に押し流されることで、同ガス流路62の底部を流れるようになる。
【0066】
本実施形態によれば、第1セパレータ60に形成されたガイド溝65により、発電部11での発電に際して発生した水Wが、同発電部11と第1セパレータ30との接触部分からガス流路62の底部まで案内されるようになる。これにより、上記水Wを、発電部11から離れた部分、すなわち発電部11における発電の邪魔になり難い部分に速やかに移動させることができる。そのため、カソード側ガス拡散層13(図11)の内部における反応ガスの拡散性を良好にすることができる。したがって、単セル50(燃料電池)の発電性能を向上させることができる。
【0067】
また本実施形態では、ガス流路62の底部が、毛管作用の生じる程度に細く狭い通路になっている。そのため、この毛管作用によって、ガイド溝65を流れる水Wは、ガス流路62の内部に引き込まれる。ガス流路62の底部に到達した水Wは、毛管作用によって、ガス流路62の底部に集められて保持される。そして、その状態で、水Wはガス流路62の底部を下流側に流れるようになる。このように本実施形態では、一旦ガス流路62の底部に到達した水Wが突条31に乗り上げ難くなるとともに、発電部11側に戻り難くなっている。
【0068】
さらに本実施形態では、ガス流路62の底面621が段差のない平らな形状になっている。そのため、ガス流路62の底部に到達した水Wは、反応ガスの流動圧力によって押し流されることで、下流側にスムーズに流れるようになる。そのため、ガス流路62の底部の水Wを単セル50の外部に速やかに排出することができる。したがって、ガス流路62の各部における反応ガスの流量や流速のばらつきを抑えることができる。これにより、発電部11における部分的な発電量の低下を抑えることができるため、単セル50(燃料電池)の発電性能を向上させることができる。また、ガス流路62の底面621が平らな形状であるため、同底面621が段差を有する形状である場合と比較して、少ない量の反応ガスを流すことによってガス流路62の底部の水Wを下流側に押し流すことができる。しかも、ガス流路62の底部に水Wが存在しないときにおける同ガス流路32内の圧力損失を小さくすることもできる。そのため、反応ガスを流すための装置の小型化を図ることができる。
【0069】
図15に、第1セパレータ60のガス流路62内における圧力損失の推移を測定した結果を示す。なお測定条件は次の通りである。単セル50の温度は、摂氏70度に設定される。単セル50の出力密度は、3.5[アンペア/平方センチメートル]に設定される。単セル10のストイキ比は、1.5に設定される。単セル50(カソード)の出口圧力は、大気圧に設定される。
【0070】
図15中における実線は、本実施形態の第1セパレータ60のガス流路62内における圧力損失の推移を示している。図15中の一点鎖線は、比較例のセパレータのガス流路内における圧力損失の推移を示している。比較例のセパレータは、ガイド溝65および連通部34を有していない単純な波板状のセパレータである。
【0071】
図15に示すように、時刻t10において、単セル50による発電が開始される。なお時刻t10においては、単セル50の内部に水Wが溜まっていない状態になっている。
発電を開始した直後においては(時刻t10以降)、単セル50の内部で水Wが発生することに起因して、本実施形態の第1セパレータ60の内部、および比較例のセパレータの内部のいずれにおいても、圧力損失は増加するようになる。
【0072】
発電開始後において所定時間(例えば数十ミリ秒)が経過すると、単セル50の内部における水Wの発生量と同単セル50の外部への水Wの排出量との関係が安定する。これにより、本実施形態の第1セパレータ60の内部、および比較例のセパレータの内部のいずれにおいても、ガス流路62における圧力損失は、ある程度安定した状態になる。
【0073】
そうした安定状態での第1セパレータ60のガス流路62内における圧力損失の変動幅を「ΔP3」とする(図15中の実線参照)。また、安定状態での比較例のセパレータのガス流路内における圧力損失の変動幅を「ΔP2」とする(図15中の一点鎖線参照)。
【0074】
この場合には、図15から明らかなように、本実施形態の第1セパレータ60を用いた場合における圧力損失の変動幅ΔP3は、比較例のセパレータを用いた場合における圧力損失の変動幅ΔP2よりも小さくなる。このことから、第1セパレータ60を採用することで、比較例のセパレータを採用する場合と比較して、ガス流路62の各部における反応ガスの流れが安定するようになることが分かる。そして、こうした第1セパレータ60を採用することで、発電部11の各部における発電量のばらつきを抑えて、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【0075】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(2-1)第1セパレータ60はガイド溝65を有する。ガイド溝65は、突条31における発電部11の側の面に形成される。ガイド溝65は、突条31の並び方向Yに延びる溝状をなすとともに、突条31の突端部分からガス流路62の底部まで延びる。この構成によれば、単セル50、ひいては燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【0076】
(2-2)ガス流路62の底面621は平面形状をなしている。この構成によれば、ガス流路62の各部における反応ガスの流量や流速のばらつきを抑えることができる。
(2-3)第1セパレータ60は、連通部34を有する。連通部34は、突条31における発電部11側の部分が切り取られた形状をなしている。連通部34は、互いに隣り合う2つのガス流路62を連通する態様で並び方向Yに延びている。この構成によれば、連通部34を介して、隣り合う2つのガス流路62の間での反応ガスの流通が許容されるようになる。そのため、反応ガスを広い範囲にわたって拡散させることができる。
【0077】
<第2実施形態の変更例>
なお、第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第2実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0078】
・ガス流路62の底面621を、平面形状以外の形状に形成してもよい。例えば、ガス流路62の底面621を、下方に向けて凸状をなす湾曲面形状に形成すること等が可能である。要は、ガス流路62の底面621が平らな形状、言い換えれば延在方向Xにおいて段差のない形状になっていればよい。
【0079】
・ガイド溝65を、平面視で延在方向Xに直交する方向に延びる態様で設けることに限らず、平面視で延在方向Xに斜めに交差する方向に延びる態様で設けるようにしてもよい。
【0080】
・ガイド溝65は、突条31において前記連通部34が形成されていない前記部分Aにおける延在方向Xの中央位置に設けることに限らず、同部分Aにおける任意の位置に設けることができる。そうしたガイド溝65の形成位置としては、上記部分Aにおける延在方向Xの中央位置から若干ずれた位置や、上記部分Aにおける延在方向Xの端部にあたる位置などを採用することができる。
【0081】
・連通部34を省略することができる。例えば、突条31におけるガイド溝65を除く部分の全体を、延在方向Xと直交する方向における断面が同一の形状(例えば、先細の山形状)になるように形成してもよい。
【0082】
・ガス流路62の底面621を平らな形状にする構成を、第1セパレータ60および第2セパレータ70の双方に適用することに限らず、第1セパレータ60および第2セパレータ70の一方のみに適用してもよい。
【0083】
・連通部34およびガイド溝65を、第1セパレータ60および第2セパレータ70の双方に設けることに限らず、第1セパレータ60および第2セパレータ70の一方のみに設けるようにしてもよい。
【0084】
・第1セパレータ60および第2セパレータ70は、例えば、ステンレス鋼などの金属材料からなるものであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
100…スタック
11…発電部
13…カソード側ガス拡散層
20…セパレータ
30…第1セパレータ
31…突条
32…ガス流路
33…保持凹部
34…連通部
35…第1ガイド溝
36…第2ガイド溝
40…第2セパレータ
41…突条
42…ガス流路
50…単セル
60…第1セパレータ
62…ガス流路
621…底面
65…ガイド溝
70…第2セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15