(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087980
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車室区別発光装置、駐車場管理サーバおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20240625BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240625BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202909
(22)【出願日】2022-12-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.カラーコーン
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広一郎
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF22
5H181FF33
5H181KK01
5H181KK10
5H181MA44
5L049CC13
5L050CC13
(57)【要約】
【課題】 車室枠を示す表示を複数種類の発光とその種類変更が可能な発光装置を備えた駐車場を提供する。
【解決手段】 少なくとも車室入口側の路面下に設置されており、路面上へ向かって発光する複数種類のLEDを備えた発光器と、その発光器に対して発光および消灯を実行する基板と、その基板に対して制御信号を発信する発光制御手段と、発光器および基板を外力および水から保護するとともに透光性のある保護部材と、を備える。発光制御手段は、駐車場における車室を管理する駐車場管理データベースに蓄積された各車室データに基づいた制御信号を基板へ発信する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場における複数種類の車室を区別するために発光する車室区別発光装置であって、
少なくとも車室入口側の路面下に設置されており、
路面上へ向かって発光する複数種類のLEDを備えた発光器と、
その発光器に対して発光および消灯を実行する基板と、
その基板に対して制御信号を発信する発光制御手段と、
前記の発光器および前記の基板を外力および水から保護するとともに透光性のある保護部材と、を備え、
前記の発光制御手段は、前記の駐車場における車室を管理する駐車場管理データベースに蓄積された各車室データに基づいた制御信号を前記の基板へ発信することとした車室区別発光装置。
【請求項2】
前記の発光制御手段は、前記の駐車場管理データベースを備えた駐車場管理サーバから送信された発光制御データに基づいた前記の制御信号を生成して発信することとした
請求項1に記載の車室区別発光装置。
【請求項3】
前記の駐車場にデジタルサイネージを備えている場合に、
そのデジタルサイネージが出力すべき案内データを送信する案内出力手段を備えた
請求項1または請求項2のいずれかに記載の車室区別発光装置。
【請求項4】
前記の駐車場の入口には入口カメラを備え、
その入口カメラは、前記の駐車場の入口を通過する車両のナンバープレートを撮影することによって車両番号を取得し、
前記の発光制御手段は、前記の車両番号に応じた制御信号を生成して発信することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の車室区別発光装置。
【請求項5】
前記の駐車場における駐車場入口にいる車両の運転者から前記の発光器による発光が視認しにくい構造を前記の駐車場が備えている場合に、
前記の発光器による発光が視認しやすい位置へ前記の車両を移動させるための誘導補助発光器を路面下に備え、
その誘導補助発光器は、誘導補助発光器用発光器および誘導補助発光器用基板を備え、
前記の発光制御手段は、誘導補助発光器用基板に対しても制御信号を生成して発信することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の車室区別発光装置。
【請求項6】
駐車場における複数種類の車室を区別するために発光する車室区別発光装置に対して発光を制御する駐車場管理サーバであって、
前記の車室区別発光装置は、少なくとも車室入口側の路面下に設置されており、
路面上へ向かって発光する複数種類のLEDを備えた発光器と、
その発光器に対して発光および消灯を実行する基板と、
その基板に対して制御信号を発信する発光制御手段と、
前記の発光器および前記の基板を外力および水から保護するとともに透光性のある保護部材と、を備えており、
前記の駐車場管理サーバは、前記の駐車場における車室データを管理する駐車場管理データベースと、
複数種類の車室を区別するための発光パターンを記憶する車室種別発光テーブルと、
前記の駐車場へ入ろうとする車両の車両番号を把握するための車両番号データを前記の駐車場から受信する車両番号データ受信手段と、
その車両番号データ受信手段が受信した車両番号データに基づいて前記の駐車場管理データベースおよび前記の車室種別発光テーブルから求めた発光制御データを前記の発光制御手段へ送信する発光制御データ送信手段と、
を備えた駐車場管理サーバ。
【請求項7】
前記の駐車場にデジタルサイネージを備えている場合に、
そのデジタルサイネージが出力すべき案内データを送信する案内出力手段を備えた
請求項6に記載の駐車場管理サーバ。
【請求項8】
前記の発光器による発光が視認しやすい位置へ前記の駐車場を利用しようとする車両を移動させるための誘導補助発光器を前記の駐車場が備えている場合に、
発光制御データ送信手段は、前記の誘導補助発光器に対しても発光制御データを送信することとした
請求項6または請求項7のいずれかに記載の駐車場管理サーバ。
【請求項9】
駐車場における複数種類の車室を区別するために発光する車室区別発光装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記の車室区別発光装置は、
少なくとも車室入口側の路面下に設置されており、
路面上へ向かって発光する複数種類のLEDを備えた発光器と、
その発光器に対して発光および消灯を実行する基板と、
その基板に対して制御信号を発信する発光制御手段と、
前記の発光器および前記の基板を外力および水から保護するとともに透光性のある保護部材と、を備えており、
前記のコンピュータプログラムは、
前記の駐車場へ入ろうとする車両の車両番号を把握するための車両番号データを前記の駐車場から受信する車両番号データ受信手順と、
その車両番号データ受信手順にて受信した車両番号データに基づいて、複数種類の車室を区別するための発光パターンを記憶する車室種別発光テーブルおよび前記の駐車場における車室データを管理する駐車場管理データベースから求めた発光制御データを前記の発光制御手段へ送信する発光制御データ送信手順と、
を前記の車室区別発光装置に実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の駐車場にデジタルサイネージを備えている場合に、
そのデジタルサイネージが出力すべき案内データを送信する案内出力手順を、前記の車室区別発光装置に実行させることとした
請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の発光器による発光が視認しやすい位置へ前記の駐車場を利用しようとする車両を移動させるための誘導補助発光器を前記の駐車場が備えている場合に、
前記の誘導補助発光器に対して発光制御データを送信する誘導補助発光制御データ送信手順を、前記の車室区別発光装置に実行させることとした
請求項9または請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場における複数種類の車室を区別しやすくする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場の運営管理は、土地オーナーが直接実施する場合の他、土地オーナーとの契約を締結した管理業者が実施する場合も増えている。土地オーナーの場合には固定資産税、管理業者の場合には土地オーナーに支払う地代などの必要経費を上回る売上を達成するために工夫を凝らしている。
【0003】
駐車場として売上を確保する車室の種類は、月極契約者から月額使用料を徴収する月極車室、時間単位で貸し出す時間貸し車室、カーシェアリング事業に用いる車両を駐車するカーシェア車室などがある。多数の車室を準備できる駐車場の場合、立地条件や経営判断によって、月極車室、時間貸し車室、カーシェアリング車両を駐車するカーシェア車室、などが混在することがある(
図1参照)。近年では、電気自動車(EV)を充電するための車室も登場している。
【0004】
駐車場の経営は、土地に複数または単数の車室を設け、前述の四種類(月極、時間貸し、カーシェア用、EV充電用)から選択したり、組み合わせたりして運用することとなる。複数種類を組み合わせた場合、駐車場ユーザに対して車室種類を区別してもらうための表示が必要となる。
たとえば、月極車室は、車室の車止めの後方付近に看板を立てたり、舗装された路面に「月極専用」と文字を書いたり、斜め平行ラインを塗装したりするなどして、他の車室との区別をしている(図示は省略)。時間貸し車室には、駐車料金の支払いに応じてフラップが上下動するフラップ装置(図示は省略)を車室の中央付近に埋設してあるものが多い。
【0005】
特許情報プラットフォームにおいて、本願に関わりそうな先行特許を検索したところ、以下の特許文献を抽出したので、それを検証した。
【0006】
特許文献1には、空き車室を探して巡回している車両からでも、予約状況を目立つ状態で提示することができる駐車場システムが開示されている。
【0007】
特許文献2には、駐車場に駐車されている車両を撮影した画像から当該車両を識別し、その識別結果を使うことでカーシェアリング車両の状況を管理する駐車管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-193476号公報
【特許文献2】特開2021-81811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
用途が異なる車室が混在する駐車場の場合、時間貸し車室を利用する駐車場ユーザは、
図1における駐車場ユーザの声として示しているが、どの車室に駐車すれば良いのかを運転しながらでは把握しにくい、という問題がある。たとえば、既に駐車している車両が妨げとなって「月極」の看板やフラップ装置が視認しにくいからである。
【0010】
また、駐車場運営者としては、時代の変化、駐車場周辺の環境変化などに応じて、車室の用途を柔軟に変更したいという潜在的なニーズがある。しかし、時間貸し車室には、利用時間に応じた駐車料金を徴収するためのロック板を配備する必要がある一方、月極車室やカーシェア用車室ではロック板は不要であるし、月極車室には専用塗装を施していたりする。そのため、駐車場の運営を開始した当初に決定した用途を変更する、ということは、滅多に実施されないのが実態である。
【0011】
車室の用途を柔軟に変更可能とするために、全ての車室にロック板を配備し、月極車室やカーシェア用車室ではロック板を下げた状態に維持する、といった運用をする、という場合もある。しかしその場合、月極車室やカーシェア用車室として使われているもののロック板が配備された車室は、時間貸し車室のユーザから見た場合、時間貸し車室と勘違いしやすい。そのため、月極車室やカーシェア用車室であるにもかかわらず、その車室が空いている時間帯に時間貸し車室のユーザが誤って駐車してしまう、というトラブルが発生しやすい。
【0012】
予め会員登録を済ませたユーザが駐車場を予約できるサービスが、近年では広く普及している。しかし、予約された車室であるということを明示する手法としては、現状では管理人が常駐する駐車場において「予約済み」という表示器(カラーコーンなど)を、管理人が出し入れするといった方法で対応しているに過ぎない。すなわち、管理人のいない無人駐車場では、予約済みの車室であるか否かを、駐車場ユーザが把握できない。そのため、予約なしのユーザが別のユーザによって予約された車室へ停めてしまう、というトラブルが発生しやすい。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、第一に、用途が異なる車室が混在する駐車場において、用途の区別をユーザにわかりやすく提示する技術を提供することにある。
解決しようとする第二の課題は、時間貸し車室のユーザが適切に時間貸し車室を利用することを支援する技術を提供することにある。
解決しようとする第三の課題は、複数の車室が存在する駐車場において、車室の用途を柔軟に変更可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した課題を解決するため、駐車場において車室枠を示す表示を複数種類の発光とその発光種類の変更が可能な発光装置として構成することとした。併せて、その発光装置による発光を制御する駐車場管理サーバも提供することとした。
【0015】
(第一の発明)
第一の発明は、駐車場における複数種類の車室を区別するために発光する車室区別発光装置に係る。
車室区別発光装置は、少なくとも車室入口側の路面下に設置されており、
路面上へ向かって発光する複数種類のLEDを備えた発光器と、 その発光器に対して発光および消灯を実行する基板と、 その基板に対して制御信号を発信する発光制御手段と、前記の発光器および前記の基板を外力および水から保護するとともに透光性のある保護部材と、を備える(
図2参照)。
前記の発光制御手段は、前記の駐車場における車室を管理する駐車場管理データベースに蓄積された各車室データに基づいた制御信号を前記の基板へ発信することとする(
図6参照)。
【0016】
(用語説明)
「駐車場」には、単数または複数の車室が存在する。
「車室」とは、駐車場内において、一台の車両を駐車するためのスペースとして確保された区域である。一般には、路面にペンキやロープなどの「区分線」を使って車室の区域内外が視認できるようにしている。
「複数種類の車室」としては、月極、時間貸し、カーシェア用、EV充電用、身体障害者用、荷さばき用、大型車両用、などがある。
【0017】
「少なくとも車室入口側の路面下に設置」における「車室入口」とは、当該車室へ車両を駐車させる際に車両が車室に進入する部分である。車室入口の反対側の車室内には、多くの場合に「車止め」が備えられている。「少なくとも」としているのは、車室の枠内の全てではなくても良い、という趣旨である(
図3、
図13(a)および
図13(b)参照)。
【0018】
「複数種類のLED」とは、三原色(RGB)のLEDを組み合わせたLEDユニットを単数または複数備える場合(
図2参照)のほか、発光器全体として複数種類のLEDを含む場合をも含む。三原色のLEDユニットを採用すれば、多種類の色を発光可能となる。
「保護部材」とは、透光性があって外力や水に強い素材、たとえばポリカーボネート、強化ガラスなどが採用可能である。
【0019】
「各車室データに基づいた制御信号」における「車室データ」とは、車室の種類を示すデータ、車室を利用しようとする駐車場ユーザによる予約データ、などである。また、「制御信号」としては、発光色を決定するための信号、点灯や点滅や消灯を指示するための信号などがある。
【0020】
(作用)
駐車場における車室を管理する駐車場管理データベースに蓄積された各車室データに基づいた制御信号を生成し、発光制御手段が発信する。すると、基板に制御信号が伝達され、車室入口側の路面下から路面上へ向かって発光器が制御信号に基づいて発光および消灯する。その発光によって駐車場における複数種類の車室を区別することに寄与する。 発光器および基板は、保護部材によって外力および水から保護される。しかし、透光性があるので、発光器による発光は妨げない。
【0021】
車室の用途を変更するには制御信号を変更すればよいので、用途変更は柔軟に対応可能である。
【0022】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の駐車場における駐車場入口にいる車両の運転者から前記の発光器による発光が視認しにくい構造を前記の駐車場が備えている場合に、 前記の発光器による発光が視認しやすい位置へ前記の車両を移動させるための誘導補助発光器を、路面下に備える。
誘導補助発光器は、誘導補助発光器用発光器および誘導補助発光器用基板を備え、
前記の発光制御手段は、誘導補助発光器用基板に対しても制御信号を生成して発信することするのである(
図14参照)。
【0023】
(用語説明)
「誘導補助発光器」は、一つとは限らない。発光器による発光が視認しやすい位置へ車両を移動させるのに必要な数を備えることとする。たとえば、駐車場が平面的に広い場合や複数フロアにまたがっているような場合、二つ以上の誘導補助発光器を備えることが一般的となろう。
【0024】
(作用)
発光制御手段は、誘導補助発光器用基板に対して制御信号を生成して発信すると、発光器が発光する。それによって、駐車場における駐車場入口にいる車両の運転者から車室の発光器による発光が視認しにくいとしても、誘導補助発光器による発光にて誘導される。
【0025】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の発光制御手段は、前記の駐車場管理データベースを備えた駐車場管理サーバから送信された発光制御データに基づいた前記の制御信号を生成して発信することとするのである(
図6参照)。
【0026】
(作用)
発光制御データを作り出すための各種データを車室区別発光装置側に必要としないので、車室区別発光装置を新たに設置する際に、発光制御データを作り出すための各種データを必要とする場合に比べて簡便化できる。
また、管理人のいない無人駐車場でも、予約済みの車室である旨を駐車場ユーザに示すことができる。
【0027】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の駐車場にデジタルサイネージを備えている場合に、 そのデジタルサイネージが出力すべき案内データを送信する案内出力手段を備えるのである。
【0028】
(用語説明)
「案内データ」とは、車室の種類を区別するための発光の種類、駐車場を予約していたユーザに対してどの車室が予約に係る車室なのかの案内、などである。文字による案内データのほか、当該駐車場のレイアウトを出力することが望ましい。また、音声出力を伴っても良い。
【0029】
(作用)
案内出力手段は、デジタルサイネージが出力すべき案内データを送信する。駐車場を利用しようとするユーザは、案内データを目にすることができる。
【0030】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の駐車場の入口には入口カメラを備え、
その入口カメラは、前記の駐車場の入口を通過する車両のナンバープレートを撮影することによって車両番号を取得し、
前記の発光制御手段は、前記の車両番号に応じた制御信号を生成して発信することとするのである(
図9、
図7参照)。
【0031】
「車両番号を取得」する、とは、撮影データからナンバープレートの部位を抽出し、その画像データから数字等のテキストデータを読み出す一連の動作となる。後述する実施形態における
図7では、入口カメラにて文字データの抽出までを実施している。
図9では、テキストデータに変換するまでの作業を入口カメラにて実施している。
【0032】
(作用)
駐車場の入口に備えられた入口カメラが、駐車場の入口を通過する車両のナンバープレートを撮影して車両番号を取得する。取得した車両番号に基づいて制御信号を生成し、車室区別発光装置へ送信する。たとえば、取得した車両番号が予約車両であると判明すれば、予約した車室を強調した発光が実行できるように制御信号を生成して送信するのである。予約車両の駐車場ユーザは、予約した車室へ誘導してもらえることとなる。
【0033】
(第二の発明)
第二の発明は、駐車場における複数種類の車室を区別するために発光する車室区別発光装置の制御する制御信号に必要な発光制御データを送信する駐車場管理サーバに係る(
図6参照)。
前記の車室区別発光装置は、少なくとも車室入口側の路面下に設置されており、
路面上へ向かって発光する複数種類のLEDを備えた発光器と、 その発光器に対して発光および消灯を実行する基板と、 その基板に対して制御信号を発信する発光制御手段と、 前記の発光器および前記の基板を外力および水から保護するとともに透光性のある保護部材と、を備えている。
駐車場管理サーバは、前記の駐車場における車室データを管理する駐車場管理データベースと、
複数種類の車室を区別するための発光パターンを記憶する車室種別発光テーブル(
図12参照)と、
前記の駐車場へ入ろうとする車両の車両番号を把握するための車両番号データを前記の駐車場から受信する車両番号データ受信手段と、
その車両番号データ受信手段が受信した車両番号データに基づいて前記の駐車場管理データベースおよび前記の車室種別発光テーブルから求めた発光制御データを前記の発光制御手段へ送信する発光制御データ送信手段と、
を備えている。
【0034】
(用語説明)
「駐車場管理データベース」は、駐車場管理サーバが管理する全ての駐車場の管理データを蓄積している。車室区別発光装置が備えられている駐車場Aの管理データは、全駐車場管理データベースの中の駐車場A管理データベースとなる(
図6参照)。
【0035】
(作用)
駐車場へ入ろうとする車両の車両番号を把握するための車両番号データを、車両番号データ受信手段が駐車場から受信する。受信した車両番号データに基づいて、駐車場管理データベースおよび前記の車室種別発光テーブルから求めた発光制御データを、発光制御データ送信手段が発光制御手段へ送信する。 発光制御データを受信した車室区別発光装置における発光制御手段は、発光制御データに基づいた発光色や発光パターンにて発光器を発光させる。
管理人のいない無人駐車場であっても、予約済みの車室である旨を駐車場ユーザに示すことができることとなる。
【0036】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の発光器による発光が視認しやすい位置へ前記の駐車場を利用しようとする車両を移動させるための誘導補助発光器を前記の駐車場が備えている場合に、 発光制御データ送信手段は、前記の誘導補助発光器に対しても発光制御データを送信することとするのである。
【0037】
(作用)
誘導補助発光器が備えられている駐車場においては、その誘導補助発光器に対しても駐車場管理サーバにおける発光制御データ送信手段が発光制御データを送信する。
【0038】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の駐車場にデジタルサイネージを備えている場合に、 そのデジタルサイネージが出力すべき案内データを送信する案内出力手段を備えることとするのである。
【0039】
(作用)
デジタルサイネージが備えられている駐車場においては、そのデジタルサイネージに対して、案内出力手段がそのデジタルサイネージが出力すべき案内データを送信する。
【0040】
(第三の発明)
第三の発明は、駐車場における複数種類の車室を区別するために発光する車室区別発光装置を制御するコンピュータプログラムに係る。
前記の車室区別発光装置は、 少なくとも車室入口側の路面下に設置されており、 路面上へ向かって発光する複数種類のLEDを備えた発光器と、
その発光器に対して発光および消灯を実行する基板と、 その基板に対して制御信号を発信する発光制御手段と、 前記の発光器および前記の基板を外力および水から保護するとともに透光性のある保護部材と、を備えている。
前記のコンピュータプログラムは、
前記の駐車場へ入ろうとする車両の車両番号を把握するための車両番号データを前記の駐車場から受信する車両番号データ受信手順と、
その車両番号データ受信手順にて受信した車両番号データに基づいて、複数種類の車室を区別するための発光パターンを記憶する車室種別発光テーブルおよび前記の駐車場における車室データを管理する駐車場管理データベースから求めた発光制御データを前記の発光制御手段へ送信する発光制御データ送信手順と、
を前記の車室区別発光装置に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0041】
(第三の発明のバリエーション1)
第三の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、 前記の発光器による発光が視認しやすい位置へ前記の駐車場を利用しようとする車両を移動させるための誘導補助発光器を前記の駐車場が備えている場合に、 前記の誘導補助発光器に対して発光制御データを送信する誘導補助発光制御データ送信手順を、前記の車室区別発光装置に実行させることとするのである。
【0042】
(第三の発明のバリエーション2)
第三の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、 前記の駐車場にデジタルサイネージを備えている場合に、 そのデジタルサイネージが出力すべき案内データを送信する案内出力手順を、前記の車室区別発光装置に実行させることとするのである。
【0043】
第三に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。なお、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータまたは駐車場構造の制御コンピュータから、通信回線を通じて駐車場構造の制御コンピュータへ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0044】
第一の発明によれば、用途が異なる車室が混在する駐車場において、時間貸し車室のユーザが適切に時間貸し車室を利用することを支援でき、複数の車室が存在する駐車場において、車室の用途を柔軟に変更可能な車室区別発光装置を提供できる。
第二の発明によれば、管理人のいない無人駐車場でも、予約済みの車室である旨を駐車場ユーザに示すことができる駐車場管理サーバを提供することができる。
第三の発明によれば、 用途が異なる車室が混在する駐車場において、時間貸し車室のユーザが適切に時間貸し車室を利用することを支援でき、複数の車室が存在する駐車場において、車室の用途を柔軟に変更可能な駐車場管理サーバの制御用コンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】用途が異なる車室が混在する駐車場と、その駐車場に対する駐車場ユーザにおける問題点、駐車場運営者における問題点を示す概念図である。
【
図2】本発明に係る車室区別発光装置の第一の実施形態を示す平面図および縦断面図である。
【
図3】本発明に係る車室区別発光装置の第二の実施形態を示す平面図および縦断面図である。
【
図4】本発明に係る車室区別発光装置を採用した場合における駐車場ユーザのメリット、および駐車場運営者のメリットを示す概念図である。
【
図5】本発明が採用された駐車場Aを、駐車場ユーザが駐車場管理サーバにアクセスして検索して予約するまでの情報処理手順を示すブロック図である。
【
図6】本発明が採用された駐車場A、その駐車場Aに対する予約等の管理を実行する駐車場管理サーバ、および予約車両や予約ユーザに係る通信端末(ユーザ端末)における情報処理手順を示すブロック図である。
【
図7】
図6に示した情報処理手段のバリエーションを示すブロック図である。
【
図8】駐車場を予約した車両が駐車場に入ったら発光装置にて誘導する様子を示す概念図である。
【
図9】
図6に示した情報処理手段のバリエーションを示すブロック図である。
【
図10】カーシェア車両が入庫する場合の情報処理手順を示すブロック図である。
【
図11】予約の無い車両が入庫する場合の情報処理手順を示すブロック図である。
【
図12】車室の種類に応じた発光色の取り決めをしたテーブルと、駐車場管理データベースとで作成可能な管理画面を示す概念図である。
【
図13】本発明に係る車室区別発光装置の第三の実施形態を示す平面図である。
【
図14】駐車場の平面形状が異なる場合に、誘導補助発光器を採用した状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について、図面(
図2から
図14)を参照して説明する。また、補足的に
図1を参照する。なお、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明を解釈するための形態である。
【0047】
(
図2)
二つの車室が縦に並んだ駐車場において、本発明に係る車室区別発光装置を備えた場合を示す平面図が
図2(a)であり、
図2(a)においてb-bで示す箇所の縦断面が
図2(b)である。
【0048】
縦5メートル、横2.5メートルの長方形をなす車室における短辺側の一方が「車室入口側」となり、その車室入口側と反対側の車室内には、車止め(
図1、
図4等での図示は省略)が備えられている。
図1であれば、縦5メートル、横2.5メートルの長方形の全周に渡って舗装路面の上に幅10センチメートルのペイントで表示されていたが、
図2では、そのペイントに代わって多数の発光器が路面下に配置されている。
【0049】
各発光器は、赤色光を発光するR-LED、緑色光を発光するG-LED、青色色を発光するB-LEDを一組としている。車室区別発光装置における各発光器は基板上に多数配置され、路面からの液体や異物の侵入を防ぐための薄板状の保護部材に覆われている。基板は、後述する発光制御手段からの制御信号を各発光器に伝えることで、全体としての車室区別発光装置としての発光を制御している。
【0050】
(
図3)
図3に示す実施形態は、既にペイントによる区分線が引かれた駐車車室に対して、その車室入口側へ車室区別発光装置を備えたものである。車室入口側の全体ではなく、中央付近に間隔を空けて2箇所に配置している。
【0051】
図3に示す実施形態は、既存の駐車場に対して本願発明を採用する場合に合理的である。車室全体を囲うのではなく、車室入口側のみに配置しているため、
図2に示した実施形態に比べて設置の手間が小さくて済み、運用上の消費電力も抑えられる。
【0052】
(
図4)
図4は、
図2に示した車室区別発光装置を全8車室に備えた駐車場Aにおいて、駐車場ユーザが混在する車室の区別を可能とする表示を実施している様子を示す概念図である。
【0053】
駐車場Aの入口には、看板(デジタルサイネージが好ましいが、通常の看板でもよい)を設けている。その看板には、車室区別発光装置による用途別の車室に対して、発光種類を示している。月極車室は二点破線、EV用車室は一点破線、カーシェア用車室は短い破線、時間貸し車室は長い破線で示している。また、予約済みの時間貸し車室において、予約に係る車両が駐車場の入口に到着した場合には、当該車室の車室区別発光装置が点滅することとしている(点滅の図示が困難であるため、太い破線で示している)。
【0054】
この駐車場Aに対して、事前に7月12日の15時から17時半までの予約をしてから予約車両にて訪れた駐車場ユーザは、破線で点滅している車室に駐車すれば良い。
また、駐車場運営者としては、車室の用途変更をしたい場合には、表示方法を変更するだけで済む。すなわち、フラップ装置の設置または撤去、月極看板の設置または撤去などをしなくてもよい。
【0055】
なお、車室区別発光装置による発光の種類は、図示の都合で、破線の種類による違いにて示した。車室区別発光装置が一色の光しか発光できない場合には、これでもよい。しかし、本実施形態では、車室区別発光装置が様々な色を発光できる。よって、実際の現場では、車室の区別は発光色を異ならせることによって実施する(
図12参照)。駐車場ユーザにとって、視認しやすいからである。
【0056】
(
図5)
図5は、予め会員登録を済ませた駐車場ユーザが、自らの通信端末(図中では「ユーザ端末」)を操作して駐車場を予約する場合に、駐車場管理サーバとのデータ送受信がどのようになされるかを、ブロック図にて示したものである。なお、データ送受信に際して、無線通信は二点破線、有線通信は実線で示している(
図5以外でも同様)。
【0057】
ユーザ端末には、以下の手段を実行するのに便利な専用アプリケーションソフトウェアを予めダウンロードしておくことが望ましい。しかし、駐車場管理サーバにアクセスするウェブページにおいて、専用アプリケーションソフトウェアを起動させているのと同様の入力や出力の画面を用意しておくことで、専用アプリケーションソフトウェアをダウンロードしなくても予約手続が行えるようにしている。
【0058】
ユーザ端末は、会員IDおよび予約を希望する日時と駐車場名による検索データを検索データ入力手段にて入力し、検索データ送信手段を介して検索データを駐車場管理サーバへ送信する。なお、検索データの入力および送信段階では、駐車場名を特定するのではなく、希望の地域を入力および送信することも可能であるが、以下においては単純化のため(且つ、本願の本質的な内容とは関係が薄いので)、駐車場名の入力をしたとして説明する。
【0059】
検索データを検索データ受信手段にて受信した駐車場管理サーバは、会員データベースを用いて、会員登録を済ませたユーザからのアクセスであるかどうかを確認する。続いて、管理対象となっている全ての駐車場に関する管理データを蓄積した全駐車場管理データベースを用いて、検索データに基づく予約が可能か否かを予約可否判断手段が判断する。そして、ユーザ端末に対して予約可否データを予約可否送信手段が送信する。なお、予約不能の場合については、単純化のため(且つ、本願の本質的な内容とは関係が薄いので)、以下の説明は省略する。
【0060】
予約可能である旨の予約可否データを、ユーザ端末における予約可否受信手段が受信し、予約を入れることを決意したら、予約確保データを予約確保送信手段にて駐車場管理サーバへ送信する。
【0061】
駐車場管理サーバでは、予約確保受信手段が予約確保データを受信し、全駐車場管理データベースへ格納する。そして、予約が確定した旨のデータである予約確定データを、確定データ送信手段がユーザ端末へ送信する。その予約確定データは、ユーザ端末における確定データ受信手段が受信する。
【0062】
予約確定データは、予約に係る時間貸し車室が駐車場Aにおけるどの当たりに配置されているか、について、図中の下側吹き出し部に図示したように、レイアウト図とともに説明する文章を含んでいることが望ましい。
【0063】
(
図6)
図6は、駐車場Aの時間貸し車室を予め予約した予約車両が、予約に係る日時に到着した場合に、駐車場Aにおける設備、駐車場管理サーバ、および駐車場ユーザに係るユーザ端末の間で、どのような情報処理手順がなされるか、を示している。
【0064】
駐車場Aにおける車両の入口付近には、入口カメラが設置されている。この入口カメラは、駐車場Aに入ろうとする車両の全面を撮影して撮影データを得る。そして、その撮影データを駐車場管理サーバへ送信する。
【0065】
駐車場管理サーバでは、撮影データ受信手段が撮影データを受信する。そして、撮影データの中からナンバープレートを抽出し、文字データ抽出手段がそのナンバープレート部分から車両番号の文字データ(品川は123 8924)を抽出する。抽出した車両番号は、全駐車場管理データベースの中の駐車場A管理データベースを使って照合し、予約に係る車両であるか否かを確認する。予約に係る車両ではない場合については、本願の本質的な内容とは関係が薄いので、説明を省略する。
【0066】
予約に係る車両である場合、車室種別発光テーブル(
図12参照)を用いて、どのような発光をさせるかを含んだ発光制御データを作成する。そして、その発光制御データを発光制御データ送信手段が駐車場Aの監視装置へ送信する。
【0067】
駐車場に設置されている監視装置は、
図1に示した従来の駐車場においても、駐車場管理サーバとのデータ双方向通信を実行したり、時間貸し車室に備えられたフラップ装置の制御を実行したりしている。監視装置として独立させて駐車場の敷地内に備える場合の他、駐車料金を駐車場ユーザが精算するための精算機に内蔵している場合もある。
【0068】
図6に示した駐車場Aの監視装置においては、駐車場管理サーバから送信されてくる発光制御データを受信する発光制御データ受信手段と、その発光制御データに基づいて車室区別発光装置へ制御信号を生成して発信する発光制御手段とを備えている。発光制御手段は、車室区別発光装置に対して制御信号を発信する。この場合の制御信号は、「2番の車室の区分枠LEDを点滅させる旨」である。
【0069】
駐車場管理サーバには、予め会員登録した会員に関するデータは、会員データベース(
図6では図示を省略)に蓄積している。その会員データベースから、予約に係るユーザのユーザ端末にて受信可能なメールアドレス等を取得し、案内データ送信手段が「車室枠が点滅している2番の車室をご利用下さい」といった内容の案内データを送信する。駐車場Aの入口付近で予約車両を運転中のユーザは、案内データを受信したユーザ端末のマイクから「車室枠が点滅している2番の車室をご利用下さい」という音声を耳にしたり、画面出力を見たりして、自らが車両を停めるべき車室を視認する。
【0070】
なお、
図6では図示していないデジタルサイネージが駐車場Aに備えられている場合には、前記の案内データは、そのデジタルサイネージにも出力することが望ましい(
図9参照)。
【0071】
(
図7)
図7に示す実施形態は、
図6に示した入口カメラの機能を増やし、駐車場管理サーバの負担を減らすことを目的としたバリエーションである。
【0072】
図6に示した入口カメラでは、撮影した撮影データをそのまま駐車場管理サーバへ送信し、その撮影データから文字データを抽出し、更にその文字データから車両番号を抽出する処理を駐車場管理サーバが実行していた。
【0073】
図7に示した入口カメラでは、撮影データから文字データを抽出するまでの処理を実行し、抽出した文字データを駐車場管理サーバへ送信することとしている。そのため、駐車場管理サーバは、文字データから車両番号を抽出することとしている。そのため、駐車場管理サーバの負担を減らすことができる。
以後の処理は、
図6と同じであるので、説明を省略する。
【0074】
なお、図示しての説明は省略するが、文字データから車両番号を抽出する処理までも入口カメラに実行させることとすれば、よりいっそう、駐車場管理サーバの負担を減らすことができる。
ここで、撮影データから文字データを抽出するまでの処理や文字データから車両番号を抽出する処理は、入口カメラという物理的なハードウェアに内蔵している必要はない。処理デバイスが別途存在していることを妨げない。
【0075】
(
図8)
図8は、駐車場を予約した車両が駐車場に入ったら発光装置にて誘導する様子を示す概念図である。
駐車場Aには、4つの時間貸し車室が存在する。そして、そのうちの一つの車室(3番)のみが使用中であり、1,2,4番の車室が空いている。
【0076】
駐車場ユーザに係るスマートフォンには、2番の車室に駐車するようにとの連絡が駐車場管理サーバから入っている。加えて、本発明に係る車室区別発光装置にて、2番の車室における車室区別発光装置が点滅することで駐車場ユーザを誘導することができる。
【0077】
本発明に係る車室区別発光装置が採用されていない駐車場だと、1,2,4番の車室のいずれをつかうべきか、駐車場管理サーバから送信する、というところまでしかできない。駐車場内の看板に描かれた地図を駐車場ユーザが確認しつつ、2番の車室を探さなければならなかった。探す作業を面倒に感じる駐車場ユーザだと、障がい者優先の車室(1番)に駐車してしまう、といった不都合な事態が発生しやすかった。
【0078】
(
図9)
図9では、駐車場Aに関する管理データを蓄積する駐車場A管理データベースを監視装置内にも備えることで、
図6に示した実施形態であれば駐車場管理サーバにて実行しなければならない各種の処理を、駐車場A内で実行できるようにしている。
【0079】
駐車場管理サーバにおいて駐車場の予約が確定したら、駐車場Aの監視装置は、駐車場管理サーバから確定データを確定データ受信手段にて受信する。また、入口カメラにて予約車両を撮影したら、撮影データから文字データを抽出して車両番号を特定するまでの処理を実行する。特定した車両番号が予約されているか否か、駐車場A管理データベースにて照合し、予約されている場合には発光制御手段が車室種別発光テーブルに基づいた制御信号を生成して発信する。
【0080】
発光制御装置は、案内出力手段にも出力命令を発する。案内出力手段は、ユーザ端末に対する案内データを送信する。また、デジタルサイネージにも案内データを送信し、デジタルサイネージに案内表示を実行させる。
【0081】
(
図10)
図10では、カーシェア車両が返却をしようとした場合に、
図7に示した実施形態がどのように作動するかを示している。
【0082】
いわゆる「わナンバー」のカーシェア車両が駐車場Aの入口に到着したら、入口カメラがカーシェア車両を撮影する。撮影した撮影データは、文字データ抽出手段が文字データを抽出して駐車場管理サーバへ送信する後は、
図7の説明と同じであるので省略する。
【0083】
図7に示した実施形態との相違点は、駐車場管理サーバにおける案内データ送信手段が、カーシェア車両に搭載されている多機能カーナビゲーション装置(図中では「多機能カーナビ」と略記)に、案内データを送信している点である。運転中にスマートフォンを見るのは道路交通法で禁じられている行為であり、予約に係る駐車場ユーザに対しては音声出力をするなど、補助的な案内に留まる。しかし、カーシェア車両の場合には、多機能カーナビゲーション装置が装備されているので、案内した内容が運転者に届く確実性が高い。
【0084】
(
図11)
図11では、駐車の予約をせずに駐車場Aの時間貸し車室を利用しようとした予約なし車両に対して、
図6に示した実施形態がデジタルサイネージを採用している場合に、どのような情報処理手順を実行するかを示している。
【0085】
入口カメラが予約なし車両を撮影して、撮影データを駐車場管理サーバへ送信する。撮影データを撮影データ受信手段にて受信した駐車場管理サーバは、図示を省略した各種の処理手段にて車両番号を抽出し、駐車場A管理データベースにて照合する。予約が無い旨は、この段階で把握する。
【0086】
予約が無い旨を把握した上で、時間貸し車室に空室(ある程度の時間で予約が入っていない車室)がある場合には、駐車場A管理データベースによって空室ありデータを抽出し、その空室を示す種別発光を車室種別発光テーブルから読み出してくる。そして、発光制御データを構築し、その発光制御データを発光制御データ送信手段にて駐車場Aの監視装置へ送信する。
駐車場Aにおいては、4番車室が空室であるという場合を、この
図11では示しており、監視装置の発光制御手段は、4番の車室の区分枠LEDを点滅させる旨の制御信号を発信する。
【0087】
一方、駐車場管理サーバは、駐車場A管理データベースによって空室ありデータを得て、案内データ送信手段から駐車場Aのデジタルサイネージに対して案内データを送信する。デジタルサイネージには、「車室枠が点滅している4番の車室をご利用下さい。」といったメッセージが出力されることとなる。そのデジタルサイネージの出力を見た予約なし車両のドライバーは、4番車室に一時的な駐車、すなわち時間貸し車室の利用をすることとなる。
【0088】
図11を用いて説明したように、デジタルサイネージを備えた駐車場であれば、予約をせずに時間貸し駐車場を利用しようという駐車場ユーザに対しても、車室区別発光装置が提供する発光(点滅等)のサインの意味を伝えることができる。
【0089】
(
図12)
図12は、駐車場管理サーバと双方向通信が可能であるように接続され、管理者が使う管理者端末において出力された管理者画面のデータ構造を示す概念図である。
【0090】
画面の左側二つの欄は、車室の種別およびその種別毎に割り当てた発光色を示している。その割り当ては、駐車場管理サーバ内に格納されている車室種別発光テーブルから読み出したものである。
画面の右側の欄は、吉祥寺第4駐車場という特定の駐車場における8つの車室の現況が示されている。この現況は、駐車場管理サーバ内に格納されている全駐車場管理データベース内の吉祥寺第4駐車場管理データベースから読み出したものである。
【0091】
図12に示した車室種別発光テーブルは、あくまでサンプルであり、この通りでなくても良い。
また、
図9に示した実施形態のように、駐車場毎に車室種別発光デーブルを備える場合においては、駐車場管理サーバに備えられた車室種別発光デーブルと同一でなければならない、ということはない。駐車場毎に事情が異なるならば、柔軟に対応できる余地を残している。
【0092】
(
図13)
図13は、車室区別発光装置を車室に対して、平面上どのように配置するか、についてのバリエーションを示している。
【0093】
図13(a)は、車室入口側の短辺に3箇所、間隔を空けて備えた車室区別発光装置の実施形態である。両端および中央部に位置させたのは、車室を出入りする車両の車輪が通ることの多い部位を避けることで、外力による胡椒などのトラブルを抑制する、という趣旨である。
【0094】
図13(b)は、車室入口側の短辺全体と車室の長辺方向における車室入口側とで連続させることで「コ字形」をなすような車室区別発光装置の実施形態である。車室を利用しようとする車両のドライバーからできる限り見やすく、しかも無駄のない合理的な発光を意図している。
【0095】
(
図14)
図14は、駐車場Aとは平面形状が異なる駐車場Bにおいて、誘導補助発光器を採用した状態を示す概念図である。
【0096】
この駐車場Bは、駐車場入口に到達した予約車両の運転席から、全ての車室が見渡せない位置に駐車場入口がある。そのため、車室区別発光装置によって、予約車両の駐車場ユーザに対する誘導を案内しても視認できない可能性がある。
【0097】
そこで、予約車両の駐車場ユーザに対して、駐車すべき車室を含むいくつかの車室が見渡せる位置までを誘導すべく、駐車場入口に到達した車両の運転席から視認可能な誘導補助発光器を備えたことを示したのが、
図14に示す実施形態である。
【0098】
誘導補助発光器は、駐車場入口に到達した車両の運転席から視認した場合に、直進してきてから左折するように促す矢印状をなした平面形状をなしている。その矢印状の誘導補助発光器が点滅または点灯していれば、駐車場入口に到達した車両のドライバーの大半は、そこへ行くべきであろうということを認識するであろう。
【0099】
誘導補助発光器が点滅または点灯に誘導されて左折した車両の運転席からは、8つの車室の入口が見渡せる。そこで、2番車室の発光器が点滅または点灯していれば、車両のドライバーは、その2番車室へ駐車すべきであろう、と認識するであろう。
【0100】
誘導補助発光器が点滅して誘導する場合、2番車室の発光器の点滅パターン(所定時間内における発光および消灯のタイミング)は、誘導補助発光器の点滅パターンと同一とすることが望ましい。点滅パターンが同じ場合、車両ドライバーは誘導の意図を感じ取ることが容易となる、と期待されるからである。
【0101】
車室区別発光装置および誘導補助発光器は、案内すべき人や車両が当該駐車場に存在する場合にのみ発光(点灯または点滅)することで機能する。したがって、案内すべき人や車両を検知(たとえば入口カメラ)したら発光するが、案内すべき人や車両の存在を確認できない場合には消灯していて良い。すなわち、常時の発光は不要である。それによって消費電力の抑制にもなる。ただし、駐車場そのものの認知度を向上させるなど、他の目的のために発光することは妨げられない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、駐車場の管理運営サービス業、駐車場に用いる設備の製造業、カーシェアリングサービスを実施するサービス業、カーシェアリング車両を駐車させる駐車場を管理するサービス業、駐車場の管理運営またはカーシェアリングサービスに係るデータ通信におけるデータ管理業、駐車場ユーザに係る通信端末用アプリケーションソフトウェアの開発業、などにおいて利用可能性を有する。