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特開2024-87982点灯状態確認システム及び点灯状態確認システム用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087982
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】点灯状態確認システム及び点灯状態確認システム用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20240625BHJP
   G01J 1/00 20060101ALI20240625BHJP
   G01J 1/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01J1/02 G
G01J1/00 C
G01J1/00 B
G01J1/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202912
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】笠嶋 辰也
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA02
2G065AA04
2G065AB05
2G065AB24
2G065AB28
2G065BA05
2G065BA06
2G065BB26
2G065BC14
2G065CA23
2G065DA03
(57)【要約】
【課題】紫外線照射器を構成するLEDの不点灯などを検知するための点灯状態確認システムにおいて、構成を複雑にすることなく光学フィルタやレンズ等の光学素子の劣化状態を把握することができる。
【解決手段】紫外線を射出するLEDを備える紫外線照射器の点灯状態を確認するためのものであって、前記紫外線照射器の発光面を撮像する撮像装置と、前記紫外線照射器と前記撮像装置との間に設けられ、前記紫外線照射器から射出された光を透過させる光学素子と、前記撮像装置による撮像画像内における前記LED以外の部分の明るさに関する情報に基づいて前記光学素子の劣化状態を判断する劣化状態判断部とを備える点灯状態確認システム。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を射出するLEDを備える紫外線照射器の点灯状態を確認するためのものであって、
前記紫外線照射器の発光面を撮像する撮像装置と、
前記紫外線照射器と前記撮像装置との間に設けられ、前記紫外線照射器から射出された光を透過させる光学素子と、
前記撮像装置による撮像画像内における前記LED以外の部分の明るさに関する情報に基づいて前記光学素子の劣化状態を判断する劣化状態判断部とを備える点灯状態確認システム。
【請求項2】
前記劣化状態判断部が、前記撮像画像内における前記LED以外の部分で観測される前記光学素子で散乱された散乱光の強度に関する情報に基づき前記光学素子の劣化を判断するものである請求項1に記載の点灯状態確認システム。
【請求項3】
前記紫外線照射器が、面状に配置された複数の前記LEDを備えるものであり、
前記劣化状態判断部が、前記撮像画像内において前記複数のLEDよりも外側の部分の明るさに関する情報に基づいて前記光学素子の劣化状態を判断する請求項1に記載の点灯状態確認システム。
【請求項4】
前記劣化状態判断部が、前記撮像画像内における前記LED以外の部分の明るさと所定の閾値とを比較し、当該明るさが前記所定の閾値を超えた場合に、前記光学素子の交換を促す旨の通知を出力する請求項1に記載の点灯状態確認システム。
【請求項5】
前記紫外線照射器が、前記LEDから射出される紫外線が照射されることにより蛍光を発する照射器構成部品を備えるものであり、
前記撮像装置が可視光用カメラであり、前記照射器構成部品が発する蛍光の蛍光像を撮像するものである請求項1に記載の点灯状態確認システム。
【請求項6】
紫外線を射出するLEDを備える紫外線照射器の点灯状態を確認するものであり、前記紫外線照射器の発光面を撮像する撮像装置と、前記紫外線照射器と前記撮像装置との間に設けられ、前記紫外線照射器から射出された光を透過させる光学素子とを備える点灯状態確認システム用のプログラムであって、
前記撮像装置による前記撮像画像内における前記LED以外の部分の明るさに関する情報に基づいて前記光学素子の劣化状態を判断する劣化状態判断部としての機能をコンピュータに発揮させる点灯状態確認システム用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射器を構成するLEDの不点灯などを検知するための点灯状態確認システム及び点灯状態確認システム用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線を射出するLEDの不点灯(以下、球切れともいう)を検知する方法としては、点灯させたLEDをUV光用カメラにより撮像する方法が考えられる。また特許文献1には、UV光用カメラよりも安価な可視光用カメラを使えるようにするべく、LEDから射出された紫外線を波長変換板に通過させて、この波長変換板が発する蛍光を可視光用カメラで撮像する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-211970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような点灯状態の確認方法では、カメラを紫外線から保護するために、LEDとカメラとの間に、紫外線を減衰させるカットフィルタ等の光学素子を設けることがある。ここで、光学フィルタに紫外線が当たり続けると、白濁が起こることでLEDからの光が透過しにくくなり、玉切れの有無を正しく判断できなくなる恐れがある。このような問題は、カットフィルタ等の光学フィルタに限らず、カメラに取付けられたレンズにおいても生じ得る。そこで、このようなシステムでは光学素子の劣化状態を把握できるようにすることが望ましいが、劣化状態を把握するための専用の装置を導入すると構成が複雑になるため好ましくない。
【0005】
本発明はこのような問題を解決すべくなされたものであり、紫外線照射器を構成するLEDの不点灯などを検知するための点灯状態確認システムにおいて、構成を複雑にすることなく光学フィルタやレンズ等の光学素子の劣化状態を把握できるようにすることを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく本願発明者が鋭意検討した結果、光学フィルタやレンズ等の光学素子は紫外線の照射を受けて劣化が進むと、通過する光が散乱されやすくなる性質があることに着目した。そして本願発明者がさらに鋭意検討を重ねた結果、光学素子の劣化が進むにつれて散乱光の強度が増すことで、カメラで紫外線照射器の発光面を撮像して得られる撮像画像内におけるLED以外の部分の明るさが増していくため、このLED以外の部分の明るさを観測することで、光学素子の劣化状態を判断できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明にかかる点灯状態確認システムは、紫外線を射出するLEDを備える紫外線照射器の点灯状態を確認するためのものであって、前記紫外線照射器の発光面を撮像する撮像装置と、前記紫外線照射器と前記撮像装置との間に設けられ、前記紫外線照射器から射出された光を透過させる光学素子と、前記撮像装置による撮像画像内における前記LED以外の部分の明るさに関する情報に基づいて前記光学素子の劣化状態を判断する劣化状態判断部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成した本発明によれば、紫外線照射器の発光面の撮像画像を用いて光学素子の劣化状態を判断するようにしているので、光学素子の劣化状態を検知するための専用カメラ等の新たな構成を追加することなく、LEDの点灯状態を確認するために用いているカメラをそのまま利用することができる。そのため、紫外線照射器を構成するLEDの不点灯などを検知するための点灯状態確認システムにおいて、構成を複雑にすることなく光学フィルタやレンズ等の光学素子の劣化状態を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の紫外線照射器の構成を示す斜視図。
図2】同実施形態のLED光源の構成を示す模式図。
図3】同実施形態の点灯状態確認システムの全体構成を示す模式図。
図4】同実施形態の情報処理装置の機能を示す機能ブロック図。
図5】同実施形態の撮像画像における紫外線照射器の発光面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の点灯状態確認システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
<装置構成>
本実施形態に係る点灯状態確認システム100は、紫外線照射器Xの状態を確認して、紫外線照射器Xを構成するLEDの例えば不点灯(以下、球切れともいう)を検知するためのものである。
【0012】
なお、この点灯状態確認システム100の用途としては、必ずしもLEDの球切れ検知に限らず、例えばLEDの微点灯や、周りのLEDよりも暗いLEDなど、他のLEDの点灯状態とは異なる異常なLEDを検知するために用いられても良い。
【0013】
まず、本点灯状態確認システム100が点灯状態を確認する対象である紫外線照射器Xの一例について説明する。
【0014】
紫外線照射器Xは、例えば樹脂硬化等に用いられるものであり、紫外線を射出するものである。なお、紫外線照射器Xの用途はこれに限らず、種々の用途に用いることができる。
【0015】
具体的にこの紫外線照射器Xは、図1に示すように、紫外線を射出する複数のLED光源10と、LED光源10毎に対応するレンズ20と、これらのLED光源10及びレンズ20を収容するケーシング30とを備えている。
【0016】
本実施形態では、複数のLED光源10が列状に配置されるとともに、これらの列状のLED光源10が複数列に配置されている。ただし、LED光源10の配置はこれに限らず、例えば複数のLED光源10が1列のみに配置されていても良いし、一重又は多重の環状に配置されていても良い。本実施形態では、これら複数のLED光源10によって、ケーシング30の一側面に発光面Sが形成されている。
【0017】
LED光源10は、図2に示すように、例えば表面実装型のものであり、具体的には基板11と、基板11上に搭載されたLED12と、LED12を封止する封止材13とを備えている。この実施形態では、LED12がパッケージ14に収容されるとともに、このパッケージ14の開口部に平板状の封止材13がシール材15を介して設けられている。なお、パッケージ14の内側は、例えば窒素等のガスで満たされていても良いし、真空であっても良い。ただし、LED光源10としては、COBタイプのものであっても良いし、砲弾タイプのものであっても構わない。
【0018】
レンズ20は、LED12から射出される紫外線の光路上に設けられて、その紫外線を集光又は拡散するものであり、その中心軸が対応するLED12の光軸と一致するように配置されている。
【0019】
次に本実施形態の点灯状態確認システム100の構成について説明する。この点灯状態確認システム100は、図3に示すように、紫外線照射器Xの発光面Sを撮像する撮像装置40と、紫外線照射器Xの発光面Sと撮像装置40との間に配置された光学素子60と、撮像装置40により得られる撮像データを取得する情報処理装置50とを備えている。
【0020】
本実施形態の撮像装置40は、紫外線に対して感度を持つイメージセンサを有するUV光用カメラであり、紫外線照射器Xの発光面S(具体的には発光面Sから発せられた紫外線)を撮像して得られる撮像データを情報処理装置50に出力するように構成されている。
【0021】
この撮像装置40は、上述した紫外線照射器Xの照射される紫外線の光路上に配置されており、ここではLED光源10の全てを撮像可能な領域に配置されている。
【0022】
光学素子60は、撮像装置40を紫外線から保護するべく、撮像装置40に入射する紫外線を減光する1又は複数枚のカットフィルタである。
【0023】
このカットフィルタ60は、紫外線照射器Xの光路上において、紫外線照射器Xと撮像装置40との間に設けられており、紫外線を減光させるものである。このようなカットフィルタ60の材質としては、例えばガラスなどを挙げることができる。
【0024】
情報処理装置50は、CPU、メモリ等を備えた汎用乃至専用のコンピュータであり、前記メモリに格納されているプログラムに従ってCPU及びその周辺機器が協働することにより、図4に示すように、撮像データ取得部51、画像解析部52、及び点灯状態判断部53としての機能を少なくとも発揮する。
【0025】
撮像データ取得部51は、撮像装置40が出力した撮像データを取得する。
【0026】
画像解析部52は、撮像データ取得部51により取得された撮像データを解析する。具体的にこの画像解析部52は、例えば撮像データを二値化処理等の画像処理をすることにより、撮像画像I内における、LED光源10からの光の像を数値化するように構成されており、具体的にはLED光源10それぞれの発光強度に対応する発光強度関連値を算出する。
【0027】
また画像解析部52は、撮像データを画像処理することにより、撮像画像I内におけるLED光源10以外の所定の部分Rで観測される光の像の明るさを数値化するように構成されている。本実施形態の画像解析部52は、撮像画像I内における複数のLED光源10よりも外側の部分、具体的には撮像画像I内における紫外線照射器Xの発光面S以外の部分(発光面Sよりも外側の部分)で観測される光の像の明るさを数値化するように構成されている。明るさを数値化するLED光源10以外の部分Rは、LED光源10から離れている程好ましく、例えば、撮像画像Iにおける隅部等が好ましい。このLED光源10以外の部分Rで観測される光は、LED光源10から発せられた光が光学素子60で散乱されることで生じる散乱光である。そして画像解析部52は、撮像画像I内におけるLED光源10以外の部分Rで観測される散乱光の発光強度に対応する散乱光強度関連値を算出する。ここでは画像解析部52は、撮像画像I内におけるLED光源10以外の複数の部分Rの散乱光強度関連値を算出する。
【0028】
点灯状態判断部53は、画像解析部52の解析結果として、各LED光源10それぞれの光の像を数値化して得られた発光強度関連値を取得し、この発光強度関連に基づいて、LED12の球切れ(不点灯)を検知する。
【0029】
より具体的に説明すると、点灯状態判断部53は、各LED光源10それぞれの発光強度関連値と、前記メモリの所定領域に設定された閾値格納部54に格納されている所定の閾値とを比較し、発光強度関連値が閾値以下である場合に、そのLED光源10に対応するLED12が球切れであると判断する。なお、点灯状態判断部53としては、LED12の球切れを判断した場合に、そのことを例えばディスプレイなどに表示出力して通知するように構成されていてもよい。
【0030】
しかして本実施形態の点灯状態確認システム100では、情報処理装置50は、光学素子60の劣化状態を判断する劣化状態判断部55としての機能をさらに発揮する。
【0031】
具体的にこの劣化状態判断部55は、撮像画像I内におけるLED光源10以外の部分R(ここでは、複数のLED光源10よりも外側の部分であり、紫外線照射器Xの発光面Sよりも外側の部分)の明るさに関する情報に基づいて、光学素子60の劣化状態を判断する。より具体的には劣化状態判断部55は、画像解析部52が算出した、撮像画像I内におけるLED光源10以外の部分Rの散乱光強度関連値に基づいて、光学素子60の劣化状態を判断する。
【0032】
より具体的に説明すると、劣化状態判断部55は、LED光源10以外の所定の部分Rの散乱光強度関連値と、閾値格納部54に格納されている所定の閾値とを比較し、散乱光強度関連値が閾値を超えた場合に光学素子60の交換が必要であると判断する。ここで劣化状態判断部55は、撮像画像I内のLED光源10以外の複数部分の散乱光強度値の全てが閾値を超えた場合に光学素子60の交換が必要であると判断してもよいし、複数部分の散乱光強度値の一部が閾値を超えた場合に光学素子60の交換が必要であると判断してもよい。そして劣化状態判断部55は、光学素子60の交換が必要と判断した場合に、交換を促す旨の通知を出力するように構成されてよい。例えば交換を促す旨のメッセージをディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0033】
なお劣化状態判断部55は、光学素子60の交換時期を予測し、これを通知するように構成されていてもよい。例えば劣化状態判断部55は、LED光源10以外の所定の部分Rの散乱光強度関連値と前記した閾値との差を算出し、その差の値に基づいて光学素子60の交換が必要となる時期(交換時期)を予測するように構成されてよい。また劣化状態判断部55は、その差の値に基づいて、光学素子60の現在の劣化度合を判断するように構成されてもよい。そして劣化状態判断部55は、その交換時期に関する通知や、劣化度合に関する通知をディスプレイに表示する等して出力するように構成されてよい。
【0034】
<作用効果>
このように構成された点灯状態確認システム100によれば、紫外線照射器Xの発光面Sの撮像画像Iを用いるようにしているので、光学素子60の劣化状態を検知するための専用カメラ等の新たな構成を追加することなく、LED12の点灯状態を確認するために用いている撮像装置40をそのまま利用して、光学素子60の劣化状態を判断することができる。そのため、紫外線照射器Xを構成するLED12の不点灯を検知する点灯状態確認システム100において、構成を複雑にすることなく光学素子60の劣化状態を把握することができる。
【0035】
<その他の実施形態>
なお、本願発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、他の実施形態の点灯状態確認システム100では、劣化状態判断部55は、撮像画像I内における、LED光源10の部分の明るさと、LED光源10以外の部分Rの明るさとの差(具体的にはコントラスト)に基づいて、光学素子60の劣化状態を判断するように構成されてもよい。具体的には劣化状態判断部55は、取得した発光強度関連値と散乱光強度関連値とを比較し、その差の値が所定値以下となった場合に、光学素子60の交換が必要であると判断するように構成されてよい。
【0036】
また前記実施形態の劣化状態判断部55は、撮像画像I内において、複数のLED光源10(具体的には紫外線照射器Xの発光面S)よりも外側の部分の明るさに基づいて光学素子60の劣化を判断していたが、これに限らない。他の実施形態の劣化状態判断部55は、撮像画像I内において、複数のLED光源10間の明るさに基づいて光学素子60の劣化を判断するようにしてもよい。この場合、LED光源10から離れた位置に散乱光の観測場所を置く場合に比べて、光学素子60の劣化による散乱光の影響をいち早くとらえることができる。一方で、紫外線照射器Xと撮像装置40の位置関係がずれてしまうと、観測場所にLED光源10が入り込んでしまい、散乱光の影響を検知できなくなる恐れがある。
【0037】
また劣化状態判断部55は、散乱光強度関連値と閾値との比較をすることなく、LED光源10以外の複数の部分Rの散乱光強度関連値同士を比較して、光学素子60の劣化状態を判断するように構成されてもよい。
【0038】
また前記実施形態の点灯状態確認システム100は、撮像装置40としてUV光用カメラを用いていたがこれに限らない。他の実施形態の点灯状態確認システム100は、撮像装置40として可視光に対して感度を持つイメージセンサを有する可視光用カメラを用いたものであってもよい。そして点灯状態確認システム100は、紫外線照射器Xを構成する照射器構成部品Z(以下、単に構成部品Zともいう)の少なくとも1つが、紫外線が照射されることにより蛍光を発することを利用したものであり、当該構成部品Zが発する蛍光の蛍光像を可視光用カメラで撮像し、その蛍光強度に基づいてLED12の玉切れを検知するものであってもよい。蛍光を発する構成部品Zは、上述したLED12から射出される紫外線が照射されるものであり、例えば、LED光源10を構成する封止材13、又は、LED光源10毎に対応して設けられたレンズ20の少なくとも一方を挙げることができる。このような態様であっても、劣化状態判断部55は、撮像画像I内におけるLED光源10以外の部分の明るさ(具体的には散乱光強度関連値)に基づいて、光学素子60の劣化状態を判断することができる。
【0039】
また前記実施形態の点灯状態確認システム100は、光学素子60として光学フィルタを備えており、劣化状態判断部55は光学フィルタの劣化状態を判断するように構成されていたがこれに限らない。他の実施形態の点灯状態確認システム100では、劣化状態判断部55は、例えば撮像装置40に取付けられた光学レンズ(光学素子)の劣化状態を判断するように構成されてもよい。
【0040】
また、前記実施形態の紫外線照射器Xは、複数のLED光源10を備えていたが、単一のLED光源10を備えるものであってもよい。
【0041】
その他、本願発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、本明細書の開示は以下の態様1~6を含む。
【0042】
(態様1)紫外線を射出するLEDを備える紫外線照射器の点灯状態を確認するためのものであって、前記紫外線照射器の発光面を撮像する撮像装置と、前記紫外線照射器と前記撮像装置との間に設けられ、前記紫外線照射器から射出された光を透過させる光学素子と、前記撮像装置による前記撮像画像内における前記LED以外の部分の明るさに関する情報に基づいて前記光学素子の劣化状態を判断する劣化状態判断部とを備える点灯状態確認システム。
【0043】
このような点灯状態確認システムであれば、紫外線照射器の発光面の撮像画像を用いて光学素子の劣化状態を判断する劣化状態判断部を備えるので、光学素子の劣化状態を検知するための専用カメラ等の新たな構成を追加することなく、LEDの点灯状態を確認するための撮像装置をそのまま利用して、光学素子の劣化状態を判断することができる。そのため、紫外線照射器を構成するLEDの不点灯を検知する点灯状態確認システムにおいて、構成を複雑にすることなく光学素子の劣化状態を把握することができる。
なお、「紫外線照射器から射出された光」とは、例えば紫外光、可視光、赤外光等、紫外線照射器から射出される何らかの光(広義の光)を意味する。
【0044】
(態様2)前記劣化状態判断部が、前記撮像画像内における前記LED以外の部分で観測される前記光学素子で散乱された散乱光の強度に関する情報に基づき前記光学素子の劣化を判断するものである態様1に記載の点灯状態確認システム。
光学フィルタの劣化が進むとLED以外の部分で観測される散乱光の強度が増すため、この散乱光の強度に関する情報を用いることで光学素子の劣化をより正確に把握することができる。
【0045】
(態様3)前記紫外線照射器が、面状に配置された複数の前記LEDを備えるものであり、前記劣化状態判断部が、前記撮像画像内において前記複数のLEDよりも外側の部分の明るさに関する情報に基づいて前記光学素子の劣化状態を判断する態様1又は2に記載の点灯状態確認システム。
このような態様であれば、例えば撮像画像内において複数のLEDに囲まれた部分の明るさを観測する場合に比べて、劣化の進行に伴う明るさの変化が検知しやすくなるので、光学素子の劣化状態をより正確に判断することができる。すなわち、複数のLED間の部分の明るさを観測する場合には、周りのLEDそのものからの光が観測点に到達するため、光学素子により散乱される微小な光の変化を観測しにくいが、複数のLEDの外側(例えば周囲)の部分の明るさを観測する場合には、各LEDからの光が到達しにくいため、光学素子により散乱される微小な光の変化(明るさの変化)をより正確に把握できるようになる。
【0046】
(態様4)前記劣化状態判断部が、前記撮像画像内における前記LED以外の部分の明るさと所定の閾値とを比較し、当該明るさが前記所定の閾値を超えた場合に、前記光学素子の交換を促す旨の通知を出力する態様1~3のいずれかに記載の点灯状態確認システム。
このような態様であれば、LED以外の部分の明るさが所定の閾値を超えた場合、すなわち劣化がある程度進行した場合に、光学素子の交換を促す旨の通知を出力するので、ユーザは、光学素子の劣化が進み交換が必要であることに気付くことができる。
【0047】
(態様5)前記紫外線照射器が、前記LEDから射出される紫外線が照射されることにより蛍光を発する照射器構成部品を備えるものであり、前記撮像装置が可視光用カメラであり、前記照射器構成部品が発する蛍光の蛍光像を撮像するものである態様1~4のいずれかに記載の点灯状態確認システム。
このような態様であれば、照射器構成部品が発する蛍光の蛍光像を可視光用カメラにより撮像するので、紫外線を射出するLEDの球切れなどを、高価なUV光用カメラを用いることなく、且つ、簡単に検知することができる。
【0048】
(態様6)紫外線を射出するLEDを備える紫外線照射器の点灯状態を確認するものであり、前記紫外線照射器の発光面を撮像する撮像装置と、前記紫外線照射器と前記撮像装置との間に設けられ、前記紫外線照射器から射出された光を透過させる光学素子とを備える点灯状態確認システム用のプログラムであって、前記撮像装置による前記撮像画像内における前記LED以外の部分の明るさに関する情報に基づいて前記光学素子の劣化状態を判断する劣化状態判断部としての機能をコンピュータに発揮させる点灯状態確認システム用プログラム。
このような点灯状態確認システム用プログラムであれば、前記各態様の点灯状態確認システムと同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
100・・・点灯状態確認システム
X ・・・紫外線照射器
10 ・・・LED光源
40 ・・・撮像装置
50 ・・・情報処理装置
51 ・・・撮像データ取得部
52 ・・・画像解析部
53 ・・・点灯状態判断部
54 ・・・閾値格納部
55 ・・・劣化状態判断部
60 ・・・光学素子

図1
図2
図3
図4
図5