(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088005
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電子機器の冷却装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202940
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞田 強
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA04
5E322BA05
5E322BB03
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】冷却風の吐出量を減少させることなく、冷却ファンの小型化を実現することが可能な電子機器の冷却装置を提供する。
【解決手段】外部から導入した空気を複数のフィンの間に通過させることによって、電子機器から発生した熱を放散させるヒートシンクと、外部から導入した空気をヒートシンクに向けて吐出する第1の吐出面を有する第1の送風部と、第1の送風部と同一サイズを有して、外部から導入した空気をヒートシンクに向けて吐出する第2の吐出面を有する第2の送風部と、フィンの間を通過した空気を外部に排出する排気口とを備えて、第1の吐出面の直径と第2の吐出面の直径との総和は、ヒートシンクの幅よりも大きく、第1の吐出面と第2の吐出面とは、フィンの上流側において、90度以上の挟み角をもって、ヒートシンクの幅方向の中心位置を通り、フィンに平行な面に関して対称に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から導入した空気を複数のフィンの間に通過させることによって、電子機器から発生した熱を放散させるヒートシンクと、
外部から導入した空気を前記ヒートシンクに向けて吐出する第1の吐出面を有する第1の送風部と、
前記第1の送風部と同一サイズを有して、外部から導入した空気を前記ヒートシンクに向けて吐出する第2の吐出面を有する第2の送風部と、
前記フィンの間を通過した空気を外部に排出する排気口と、を備えて、
前記第1の吐出面の直径と前記第2の吐出面の直径との総和は、前記ヒートシンクの幅よりも大きく、前記第1の吐出面と前記第2の吐出面とは、前記フィンの上流側において、90度以上の挟み角をもって、前記ヒートシンクの幅方向の中心位置を通り、前記フィンに平行な面に関して対称に配置される、
電子機器の冷却装置。
【請求項2】
前記第1の送風部の外縁と前記ヒートシンクの幅方向の外縁との間、および前記第2の送風部の外縁と前記ヒートシンクの幅方向の外縁との間には、それぞれ、前記第1の吐出面および前記第2の吐出面から吐出した空気の流れを、前記ヒートシンクに向かうように制限する第1の壁部を有する筐体で覆われる、
請求項1に記載の電子機器の冷却装置。
【請求項3】
前記第1の送風部および前記第2の送風部の内縁と、前記ヒートシンクの幅方向の中央位置との間に、前記第1の吐出面および前記第2の吐出面から吐出した空気を混合させずに前記ヒートシンクに導く第2の壁部を備える、
請求項2に記載の電子機器の冷却装置。
【請求項4】
前記筐体は、
前記ヒートシンクの上方の少なくとも一部と前記第1の送風部および前記第2の送風部との間の隙間を覆う天板を、更に備える、
請求項2または請求項3に記載の電子機器の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC(Personal Computer、パーソナルコンピュータ)などの電子機器は、CPU(Central Processing Unit)等の高温になる部品を含んでいる。そのような部品には、一般に、放熱のためにヒートシンクが取り付けられる。そして、ヒートシンクには、上流側に設置されたファンが吸い込んだ空気が流れて、ヒートシンクの下流側に排気されることによって、放熱が行われる。(例えば特許文献1)
【0003】
昨今、電子機器の小型化の要請が大きく、ヒートシンクに送風する冷却ファンの小型化が求められている。しかし、冷却ファンを小型化すると、冷却風の吐出量が少なくなるため、ヒートシンクの冷却性能が低下してしまい、好ましくなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、冷却風の吐出量を減少させることなく、冷却ファンの小型化を実現することが可能な電子機器の冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電子機器の冷却装置は、ヒートシンクと、第1の送風部と、第2の送風部と、排気口と、を備える。ヒートシンクは、外部から導入した空気を複数のフィンの間に通過させることによって、電子機器から発生した熱を放散させる。第1の送風部は、外部から導入した空気をヒートシンクに向けて吐出する第1の吐出面を有する。第2の送風部は、第1の送風部と同一サイズを有して、外部から導入した空気をヒートシンクに向けて吐出する第2の吐出面を有する。排気口は、フィンの間を通過した空気を外部に排出する。そして、第1の吐出面の直径と第2の吐出面の直径との総和は、ヒートシンクの幅よりも大きく、第1の吐出面と第2の吐出面とは、のフィンの上流側において、90度以上の挟み角をもって、ヒートシンクの幅方向の中心位置を通り、フィンに平行な面に関して対称に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態のファンダクトの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ファンダクトを形成する筐体の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、ファンダクトが取り付けられる電子機器の概略構造の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、電子機器に設けられた通風孔の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の一例を示す正面図である。
【
図7】
図7は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の一例を示す側面図である。
【
図8】
図8は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第2の例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第3の例を示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例のファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の一例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例のファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第2の例を示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態の変形例のファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第3の例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の変形例のファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第4の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の冷却装置を、ファンダクト1に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
(ファンダクトの概略構造)
図1と
図2を用いて、本開示の冷却装置の一例であるファンダクト1の概略構造を説明する。
図1は、実施形態のファンダクトの一例を示す斜視図である。
図2は、ファンダクトを形成する筐体の一例を示す斜視図である。なお、説明の便宜のため、
図1,
図2における三次元座標系XYZを設定する。三次元座標系XYZは、ファンダクト1の幅方向(左右方向)をX軸方向、奥行方向(前後方向)をY軸方向、高さ方向(上下方向)をZ軸方向とする。
【0009】
図1に示すように、ファンダクト1は、略箱型の形状の筐体9を有し、ヒートシンク2と当該ヒートシンク2に送風する吸い込みファン3および吸い込みファン4を覆うカバー部材である。ファンダクト1は、吸い込みファン3および吸い込みファン4が吸気口11から吸い込んだ空気を、通風管(ダクト)の内部に設置したヒートシンク2のフィン22の間に通過させて、排気口12から排出させる、いわゆる吸気ダクトと排気ダクトとを兼ね備えた部材である。
【0010】
吸い込みファン3および吸い込みファン4は、ファンダクト1の外部の空気を吸い込んで、吸い込んだ空気を、ファンダクト1の内部に導入して、Y軸の負方向に送風する。吸い込みファン3は、本開示における第1の送風部の一例である。また、吸い込みファン4は、本開示における第2の送風部の一例である。ファンダクト1の、吸い込みファン3の送風方向上流側となる位置、および吸い込みファン4の送風方向上流側となる位置には吸気口11が設けられ、下流側となる位置には排気口12が設けられる。
【0011】
吸い込みファン3は、外部から導入した空気をヒートシンク2に向けて吐出する第1の吐出面を備える。また、吸い込みファン4は、外部から導入した空気をヒートシンク2に向けて吐出する第2の吐出面を備える。
【0012】
吸い込みファン3と吸い込みファン4とは同サイズであり、X軸に沿って、ヒートシンク2の幅方向の中心位置を通り、90度以上の挟み角をもって、フィン22に平行な面(YZ平面に平行な面)に関して対称に配置される。詳しくは後述する(
図5,
図6参照)。
【0013】
ヒートシンク2は、発熱する電子部品、例えばCPU(Central Processing Unit)に取り付けられる。CPUが発する熱は、ヒートシンク2を伝導する。そして、ヒートシンク2を伝わった熱は、周囲の空気に放散される。これにより、CPUの過熱による誤作動等が防止される。
【0014】
ヒートシンク2は、台座部21と複数枚のフィン22とで構成される。フィン22は、台座部21の上に立設される。複数枚のフィン22は、互いに所定の間隔をあけて隣り合う。台座部21はCPUに接し、CPUの熱が伝導される。フィン22は、台座部21から伝導した熱を、空中に放散する。
【0015】
ヒートシンク2は、所定間隔で層をなすフレーム41,42の上に、弦巻バネ44およびねじ45で固定される。フレーム41とフレーム42との間には、マザーボード101(
図3参照)が挟まれる。
【0016】
吸い込みファン3および吸い込みファン4は、例えば電動モータによって回転駆動される羽根で空気を連続的に一方向に送ることにより送風する。本実施形態においては、吸い込みファン3および吸い込みファン4の送風方向上流側から下流側へ向かって、吸気口11、吸い込みファン3または吸い込みファン4、ヒートシンク2、排気口12の順に配置される。
【0017】
上述したファンダクト1の効果を十分に発揮させるために、排気口12の風下側には、排気を妨げる部品(障害物)が存在しないことが望ましい。しかしながら、ファンダクト1を備える電子機器100(
図3参照)の大きさや内蔵物の配置等によっては、排気口12の下流側に障害物が配置されることがある。
【0018】
このような、風下側の障害物を避けて排気を行うために、ファンダクト1は、
図1に示す分岐壁13を備える。分岐壁13は、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の流れを2方向に分岐する。なお、分岐壁13について、詳しくは後述する(
図7参照)。
【0019】
ファンダクト1を形成する筐体9は、
図2に示すように、吸い込みファン3および吸い込みファン4が取り付けられる側と排気口12の側とが開口された形状を有する。
【0020】
筐体9のZ軸方向上部には天板10が設置されて、Z軸方向下部には底板14が設置される。また、筐体9がヒートシンク2を覆う位置には、X軸方向両端に、それぞれ側壁18が設置される。更に、吸い込みファン3が設置される上流側(Y軸正側)の開口部とヒートシンク2との間には、天板10と底板14との間に側壁7が設置される。また、吸い込みファン4が設置される上流側(Y軸正側)の開口部とヒートシンク2との間には、天板10と底板14との間に側壁8が設置される。これにより、吸い込みファン3から吐出した空気は、ファンダクト1から漏れることなくヒートシンク2に到達する。また、吸い込みファン4から吐出した空気は、ファンダクト1から漏れることなくヒートシンク2に到達する。なお、側壁7と側壁8とは、本開示における第1の壁部の一例である。
【0021】
筐体9の下流側(Y軸負側)には、分岐壁13が形成される。分岐壁13は、上壁部131と下壁部132を備える。ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の一部は、上壁部131に沿って流れて、上側排気口121から排出される。そして、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した残りの空気は、下壁部132に沿って流れて、下側排気口122から排出される。
【0022】
(電子機器の概略構造)
図3と
図4を用いて、ファンダクト1が取り付けられる電子機器100について説明する。
図3は、ファンダクトが取り付けられる電子機器の概略構造の一例を示す斜視図である。
図4は、電子機器に設けられた通風孔の一例を示す斜視図である。
【0023】
図3に示すように、電子機器100は、筐体110の内部に、マザーボード101、CPU102、メモリ103、SSD(Solid State Drive)104、ライザーカード105、I/Oボード106を備える。
【0024】
マザーボード101は、ヒートシンク2により放熱される電子部品(本実施形態ではCPU102)が実装された基板の一例である。また、メモリ103、SSD104も、動作に応じて発熱する。これらの熱も、吸い込みファン3および吸い込みファン4の送風により作られる筐体110内の空気の流れで放散される。
【0025】
I/Oボード106は、ライザーカード105が備える差込口(スロット)介して、マザーボード101に接続される。I/Oボード106は、ライザーカード105が備える差込口に接続されることによって、マザーボード101と平行に配置されるため、筐体110の高さ寸法を抑えることが可能となる。
【0026】
しかしながら、上述のような配置により、I/Oボード106が、排気口12よりも下流側に位置する場合、I/Oボード106が排気を妨げる障害物になってしまう。本実施形態は、ファンダクト1からの排気がI/Oボード106を避けるように構成される。
【0027】
図4に示すように、ファンダクト1は、電子機器100の筐体110の内部に収容される。筐体110には、ファンダクト1の内部に導入される空気を取り込む通風孔161,162,163と、ファンダクト1を通過した空気を排気する通風孔164,165,167が設けられる。
【0028】
通風孔161,162,163は、筐体110の正面を構成する前カバー111に設けられる。通風孔164は、筐体110の背面を構成する後カバー112に設けられる。通風孔165,167は、筐体110の背面の一部を構成するI/Oパネル113に設けられる。なお、I/Oパネル113は、電子機器100に対する各種周辺機器の接続端子を備える。
【0029】
本実施形態の電子機器100にあっては、CPU102の後方にI/Oボード106が配置される。このため、ファンダクト1の排気口12は、排気がI/Oボード106を避けるように、上方に向かって開口する上側排気口121と、下方に向かって開口する下側排気口122とに分離される(
図1,
図2参照)。具体的には、排気口12は、
図1,
図2に示す分岐壁13によって、上側排気口121と下側排気口122とに分離される。
【0030】
(吸い込みファンの配置構造)
図5から
図7を用いて、ファンダクト1における吸い込みファン3および吸い込みファン4の配置構造を説明する。
図5は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の一例を示す平面図である。
図6は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の一例を示す正面図である。
図7は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の一例を示す側面図である。
【0031】
図5と
図6に示すように、吸い込みファン3は、回転軸5の周りに回転する複数の羽を備える。吸い込みファン3は、吸気口11から吸気した空気を、第1の吐出面24から吐出する。第1の吐出面24は、直径Dを有する円形領域である。同様に、吸い込みファン4は、回転軸6の周りに回転する複数の羽を備える。吸い込みファン4は、吸気口11から吸気した空気を、第2の吐出面25から吐出する。第2の吐出面25は、直径Dを有する円形領域である。
【0032】
吸い込みファン3と吸い込みファン4とは同サイズである。そして、吸い込みファン3と吸い込みファン4とのサイズは、第1の吐出面24の直径Dと第2の吐出面25の直径Dとの総和2Dが、ヒートシンク2の幅Wよりも大きくなるようなものが選択される。
【0033】
また、吸い込みファン3が空気を吐出する第1の吐出面24と、吸い込みファン4が空気を吐出する第2の吐出面25とは、ヒートシンク2の上流側において、ヒートシンク2の幅方向の中心位置を通り、フィン22に平行な面30に関して対称に配置される。
【0034】
より具体的には、
図5において、第1の吐出面24の面30に対する偏角θと、第2の吐出面25の面30に対する偏角θとは等しくなるように配置され、尚且つ、第1の吐出面24と第2の吐出面25との挟み角(2θ)は、90°以上になるように配置される。即ち偏角θは45°以上になるように配置される。
【0035】
更に、吸い込みファン3を内包する筐体と、吸い込みファン4を内包する筐体とは、面30の位置で当接する。したがって、吸い込みファン3を内包する筐体と、吸い込みファン4を内包する筐体との間から、吸い込みファン3および吸い込みファン4が吐出した空気が漏れることはない。
【0036】
そして、天板10と、底板14と、側壁7とが設置されていることによって、吸い込みファン3が第1の吐出面24から吐出した空気は、ファンダクト1の外部に漏れることなくヒートシンク2に導かれる。また、天板10と、底板14と、側壁8とが設置されていることによって、吸い込みファン4が第2の吐出面25から吐出した空気は、ファンダクト1の外部に漏れることなくヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導かれる。
【0037】
ファンダクト1の筐体9に対して、吸い込みファン3と吸い込みファン4とをこのように配置することによって、ファンダクト1に導入された空気は、漏れなくヒートシンク2に導かれる。そして、第1の吐出面24の直径Dと第2の吐出面25の直径Dとの総和は、ヒートシンク2の幅Wよりも大きいため、ファンダクト1の上流側に1つの吸い込みファンを設置する場合と比べて、より多くの空気をヒートシンク2のフィン22の間に導くことができる。これによって、吸い込みファンを大型化することなく、ヒートシンク2の冷却性能を向上させることができる。
【0038】
図7に示すように、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気は、分岐壁13に達する。分岐壁13は、上壁部131と下壁部132とを有する。上壁部131と下壁部132は、送風方向上流側において、X軸に沿う辺で接続する。また、上壁部131と下壁部132は、送風方向下流側ほど、互いの距離が大きくなるように、送風方向に対して傾斜している。上壁部131は、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気を斜め上向きに導いて、上側排気口121から排出する。下壁部132は、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気を斜め下向きに導いて、下側排気口122から排出する。このように、分岐壁13は、自身の下流側の一部範囲を避けるよう排気を導き、排気を分岐させる。従って、分岐壁13の下流側の位置に、I/Oボード106(
図3参照)等の周辺機器が配置されている場合であっても、ヒートシンク2の冷却性能を妨げることがない。
【0039】
(吸い込みファンの配置構造の別の形態)
図8と
図9を用いて、吸い込みファン3および吸い込みファン4の配置構造の別の形態を説明する。
図8は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第2の例を示す平面図である。
図9は、ファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第3の例を示す平面図である。
【0040】
図8は、吸い込みファン3と吸い込みファン4とを、ともに偏角θ=90°の状態で設置した例である。即ち、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)は180°に設定されている。
【0041】
図8の配置構造によると、吸い込みファン3と吸い込みファン4とが吐出した空気は、筐体9から漏れることなく、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導かれる。
【0042】
図9は、吸い込みファン3と吸い込みファン4とを、ともに偏角θ=45°の状態で設置した例である。即ち、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)は90°である。
【0043】
図9の配置構造によると、吸い込みファン3と吸い込みファン4とが吐出した空気は、筐体9から漏れることなく、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導かれる。なお、偏角θをさらに小さくする、即ち、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)を90°よりも小さくすると、筐体9の内部で、吸い込みファン3から吐出した空気と吸い込みファン4から吐出した空気との衝突が増える。これにより、空気の流れに乱れが生じるため、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導かれる空気の量が減少するおそれがある。したがって、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)は、90°以上に設定するのが望ましい。
【0044】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態のファンダクト1(冷却装置)は、外部から導入した空気を複数のフィン22の間に通過させることによって、電子機器100から発生した熱を放散させるヒートシンク2と、外部から導入した空気をヒートシンク2に向けて吐出する第1の吐出面24を有する吸い込みファン3(第1の送風部)と、吸い込みファン3と同一サイズを有して、外部から導入した空気をヒートシンク2に向けて吐出する第2の吐出面25を有する吸い込みファン4(第2の送風部)と、フィン22の間を通過した空気を外部に排出する排気口12と、を備えて、第1の吐出面24の直径Dと第2の吐出面25の直径Dとの総和は、ヒートシンク2の幅Wよりも大きく、第1の吐出面24と第2の吐出面25とは、フィン22の上流側において、90度以上の挟み角(2θ)をもって、ヒートシンク2の幅方向の中心位置を通り、フィン22に平行な面に関して対称に配置される。したがって、冷却風の吐出量を減少させることなく、吸い込みファンの小型化を実現することができる。また、吸い込みファン3と吸い込みファン4とが吸い込んだ空気を、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導くことができるため、ヒートシンク2の冷却性能を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態のファンダクト1(冷却装置)において、吸い込みファン3(第1の送風部)の外縁とヒートシンク2の幅方向の外縁との間、および吸い込みファン4(第2の送風部)の外縁とヒートシンク2の幅方向の外縁との間には、それぞれ、第1の吐出面24および第2の吐出面25から吐出した空気の流れを、ヒートシンク2に向かうように制限する側壁7,8(第1の壁部)を有する筐体9で覆われる。したがって、吸い込みファン3と吸い込みファン4とが吸い込んだ空気を、筐体9から漏らすことなくヒートシンク2に導くことができる。これによって、ヒートシンク2の冷却性能を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態のファンダクト1(冷却装置)において、筐体9は、ヒートシンク2の上方の少なくとも一部と吸い込みファン3(第1の送風部)および吸い込みファン4(第2の送風部)との間の隙間を覆う天板10を、更に備える。したがって、吸い込みファン3と吸い込みファン4とが吸い込んだ空気を、筐体9から漏らすことなくヒートシンク2に導くことができる。これによって、ヒートシンク2の冷却性能を向上させることができる。
【0047】
(実施形態の変形例)
図10から
図13を用いて、前述したファンダクト1の変形例について説明する。
図10は、実施形態の変形例のファンダクトにおける、吸い込みファンの配置状態の一例を示す平面図である。
【0048】
図10に示すファンダクト1は、
図5に示したファンダクト1に対して、吸い込みファン3(第1の送風部)および吸い込みファン4(第2の送風部)の内縁と、ヒートシンク2の幅方向の中央位置との間に、第1の吐出面24および第2の吐出面25から吐出した空気を混合させずにヒートシンク2に導く隔壁15を備える。隔壁15は、例えば、天板10(
図2参照)からZ軸負方向に向けて、リブを立てることによって形成される。或いは、隔壁15は、例えば、底板14(
図2参照)からZ軸正方向に向けて、リブを立てることによって形成してもよい。なお、隔壁15は、本開示における第2の壁部の一例である。
【0049】
このように、隔壁15を設置することによって、第1の吐出面24から吐出した空気と、第2の吐出面25から吐出した空気とが接触しないため、互いに影響を及ぼすことがない。これによって、吸い込みファン3が吸い込んだ空気と、吸い込みファン4が吸い込んだ空気とは、確実に、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導かれる。
【0050】
図11は、実施形態の変形例のファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第2の例を示す平面図である。
図11は、吸い込みファン3と吸い込みファン4とを、ともに偏角θ=90°の状態で設置した例である。即ち、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)は180°に設定されている。そして、吸い込みファン3および吸い込みファン4の内縁と、ヒートシンク2の幅方向の中央位置との間には、第1の吐出面24および第2の吐出面25から吐出した空気を混合させずにヒートシンク2に導く隔壁15が設置されている。
【0051】
図11の配置構造によると、
図10の配置構造と同様に、吸い込みファン3と吸い込みファン4とが吐出した空気は、互いに混じり合うことなく、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導かれる。
【0052】
図12は、実施形態の変形例のファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第3の例を示す平面図である。
図12は、吸い込みファン3と吸い込みファン4とを、ともに偏角θ=40°の状態で設置した例である。即ち、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)は90°に設定されている。そして、吸い込みファン3および吸い込みファン4の内縁と、ヒートシンク2の幅方向の中央位置との間には、第1の吐出面24および第2の吐出面25から吐出した空気を混合させずにヒートシンク2に導く隔壁15が設置されている。
【0053】
図12の配置構造によると、
図10の配置構造と同様に、吸い込みファン3と吸い込みファン4とが吐出した空気は、互いに混じり合うことなく、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導かれる。なお、偏角θをさらに小さくする、即ち、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)を90°よりも小さくすると、吸い込みファン3が吐出した空気は隔壁15に突き当たるため、吐出した空気の流れが乱れる。また、吸い込みファン4が吐出した空気は隔壁15に突き当たるため、吐出した空気の流れが乱れる。これにより、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導かれる空気の量が減少するおそれがある。したがって、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)は、90°以上に設定するのが望ましい。
【0054】
図13は、実施形態の変形例のファンダクトにおける吸い込みファンの配置状態の第4の例を示す平面図である。
図13は、吸い込みファン3と吸い込みファン4とを、ともに偏角θが90°を超える状態で設置した例である。即ち、吸い込みファン3と吸い込みファン4との挟み角(2θ)は180°よりも大きく設定されている。そして、吸い込みファン3および吸い込みファン4の内縁と、ヒートシンク2の幅方向の中央位置との間には、第1の吐出面24および第2の吐出面25から吐出した空気を混合させずにヒートシンク2に導く隔壁16,17が設置されている。隔壁16は、吸い込みファン3の内縁と、ヒートシンク2の幅方向の中央位置との間に設置されて、第1の吐出面24から吐出した空気を、第2の吐出面25から吐出した空気と混合させずに、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導く。隔壁17は、吸い込みファン4の内縁と、ヒートシンク2の幅方向の中央位置との間に設置されて、第2の吐出面25から吐出した空気を、第1の吐出面24から吐出した空気と混合させずに、ヒートシンク2のフィン22に沿う方向に導く。
【0055】
なお、
図13において、側壁7と隔壁16とは、第1の吐出面24から吐出した空気の流れをなるべく乱さずにヒートシンク2に導くように、湾曲した状態で形成される。また、側壁8と隔壁17とは、第2の吐出面25から吐出した空気の流れをなるべく乱さずにヒートシンク2に導くように、湾曲した状態で形成される。
【0056】
(実施形態の変形例の作用効果)
以上説明したように、本実施形態の変形例のファンダクト1(冷却装置)は、吸い込みファン3(第1の送風部)および吸い込みファン4(第2の送風部)の内縁と、ヒートシンク2の幅方向の中央位置との間に、第1の吐出面24および第2の吐出面25から吐出した空気を混合させずにヒートシンク2に導く隔壁15(第2の壁部)を備える。したがって、吸い込みファン3と吸い込みファン4とが吸い込んだ空気を混合させずに、ヒートシンク2に導くことができる。これによって、2つの吸い込みファンが吸い込んだ空気の干渉を防止することができるため、ヒートシンク2の冷却性能を向上させることができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 ファンダクト(冷却装置)
2 ヒートシンク
3 吸い込みファン(第1の送風部)
4 吸い込みファン(第2の送風部)
5,6 回転軸
7,8 側壁(第1の壁部)
9 筐体
10 天板
11 吸気口
12 排気口
13 分岐壁
14 底板
15,16,17 隔壁(第2の壁部)
18 側壁
22 フィン
24 第1の吐出面
25 第2の吐出面
30 面
100 電子機器
106 I/Oボード
110 筐体
121 上側排気口
122 下側排気口
131 上壁部
132 下壁部
D 直径
W 幅
θ 偏角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】