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特開2024-88008浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽
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  • 特開-浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽 図1
  • 特開-浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽 図2
  • 特開-浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088008
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20240625BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
E03C1/22 C
A47K4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202947
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】521064923
【氏名又は名称】株式会社大永建設
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一博
【テーマコード(参考)】
2D061
2D132
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DB07
2D061DE11
2D132GA05
(57)【要約】
【課題】浴槽内で溺水しそうになった場合に浴槽内の湯水を排出し、救助する浴槽用排水栓、緊急排水装置、および、それを利用した緊急排水浴槽を提供することを課題とする。
【解決手段】排水栓11の直上に対応する同緊急排水浴槽12の既存の周縁に対し、係合部を介して同緊急排水浴槽1の内周壁上端に吊下された防水構造を備えた検知装置部4を有している。該検知装置部4には、検知器3、異常信号取得部40および浴槽用排水栓5の開栓機構51としてのモーター駆動の巻上機51が内蔵され、該巻上機51に対し排水栓11のチェーン13の端が巻き上げ可能に連結されている緊急排水装置2、該緊急排水装置2が設けられた緊急排水浴槽1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の排水口を閉塞する排水栓であって、
排水口を閉塞する閉塞部と、
浴槽内の入浴者の異常を検知する検知器から出力された異常信号を取得する異常信号取得部と、
当該異常信号取得部が取得した異常信号に起因して、前記閉塞部における排水口の閉塞を解除して解放させる開栓機構とからなる、浴槽用排水栓。
【請求項2】
入浴者の異常を検知して浴槽内の湯水を排出させる浴槽内湯水の緊急排水装置であって、
浴槽内の入浴者の異常を検知して異常信号を出力する異常信号出力部と、
浴槽に設けられた排水口を閉塞する排水栓とからなり、
当該排水栓が請求項1に記載の浴槽用排水栓であることを特徴とする、浴槽内湯水の緊急排水装置。
【請求項3】
前記異常信号出力部が出力する異常信号は、最初に音信号又は光信号からなる注意喚起信号と当該注意喚起信号後に出力される前記開栓機構の動作信号であり、
前記排水口は内径70mm以上である、請求項2に記載の浴槽内湯水の緊急排水装置。
【請求項4】
入浴者の異常を検知して浴槽内の湯水を排出させる浴槽であって、
浴槽内の入浴者の異常を検知して異常信号を出力する異常信号出力部と、
当該異常信号に起因して浴槽内の湯水を排出させる湯水排出部を備えることを特徴とする、緊急排水浴槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全な入浴を実現する技術に関連し、浴槽内で溺れてしまうのを防止する浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴中に体調に異変を来たし、溺水してしまう事故が後を絶たず、特に気温が低くなる冬期に高齢者が脱衣所から浴室に移動し入浴した際に、所謂「ヒートショック」によって身動きがとれなくなり、そのまま発見が遅れると溺水してしまう虞がある。また、子供と入浴中の保護者が洗髪などによって目を離している間に、子供が浴槽中で転倒し溺水に至ってしまう虞もある。
【0003】
そこで従前においては、風呂用リモコン装置を提案している。例えば、(特開2001-69206号公報)では、電話回線に接続された親機と通話できる子機としての機能を風呂リモコンに付加し、風呂リモコンから電話回線を介して外部に電話を掛けることができるようにした風呂用リモコン装置を提案している。
【0004】
また、水位センサーにより、浴槽内の水位を検出する風呂給湯器を提案している。例えば、特許文献2(特開2003-56902号公報)では、風呂の運転スイッチがオフのとき、水位センサーによって浴槽内の水位を検出してこれを監視し、乳幼児の体積に相当する基準の水量分の水位上昇があったとき、乳幼児の浴槽転落事故が発生したと判定し、警報を鳴らす浴槽転落事故監視装置およびこれを含む風呂給湯器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-69206号公報
【特許文献2】特開2003-56902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の通り、従来において、電話回線を介して外部に電話を掛けることができる風呂用リモコン装置が開発されているが、入浴者が気を失ったり、身体に力が入らず身動きが取れなかったりして溺水した場合には、外部に電話を掛けることができない。また、浴槽転落事故監視装置およびこれを含む風呂給湯器が溺水を検知し、警報を鳴らした場合には、その警報が聞こえる範囲に救助可能な人が居なかった場合救助できない。
【0007】
そこで本発明では、入浴者の年齢を問わず幼児から高齢者まで浴槽内で溺水しそうになった場合に浴槽内の湯水を排出し、救助する浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するべく、本発明では、浴槽における基本構造に加え、緊急排水機能を備えた浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽を提供する。
【0009】
即ち、本発明では、浴槽の排水口を閉塞する排水栓であって、排水口を閉塞する閉塞部と、浴槽内の入浴者の異常を検知する検知器から出力された異常信号を取得する異常信号取得部と、当該異常信号取得部が取得した異常信号に起因して、前記閉塞部における排水口の閉塞を解除して解放させる開栓機構とからなる、浴槽用排水栓を提供する。
【0010】
また、本発明では、入浴者の異常を検知して浴槽内の湯水を排出させる浴槽内湯水の緊急排水装置であって、浴槽内の入浴者の異常を検知して異常信号を出力する異常信号出力部と、浴槽に設けられた排水口を閉塞する排水栓とからなり、当該排水栓が前記浴槽用排水栓である浴槽内湯水の緊急排水装置を提供する。
【0011】
また、本発明では、前記異常信号出力部が出力する異常信号は、最初に音信号又は光信号からなる注意喚起信号と、当該注意喚起信号後に出力される前記開栓機構の動作信号であり、前記排水口は内径70mm以上、望ましくは100mm以上である前記浴槽内湯水の緊急排水装置を提供する。
【0012】
また、本発明では、入浴者の異常を検知して浴槽内の湯水を排出させる浴槽であって、浴槽内の入浴者の異常を検知して異常信号を出力する異常信号出力部と、当該異常信号に起因して浴槽内の湯水を排出させる湯水排出部を備える緊急排水浴槽を提供する。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明の浴槽用排水栓は、異常信号取得部が取得した異常信号に起因して、前記閉塞部における排水口の閉塞を解除して解放させる開栓機構を備えていることから、入浴者などにおいて以上があった場合には、円滑に浴槽内の水を抜くことができ、周囲に救助者がいない場合にも浴槽内で溺水してしまう痛ましい事故を未然に防ぐことができる。
【0014】
また当該浴槽用排水栓を用いた浴槽内湯水の緊急排水装置では、浴槽内の入浴者の異常を検知して異常信号を出力する異常信号出力部を備えることから、前記浴槽用排水栓との組み合わせによりモジュール化することができる。更に、当該緊急排水装置は、異常検知後に音や光で入浴者に注意喚起を行う事により、湯水を抜く前に入浴者における対応を可能とすることができる。そして排水口を内径70mm以上、望ましくは100mm以上とすることにより、異常時における排水処理を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】2種類の浴槽用排水栓(a),(b)を有する緊急排水装置を備えた緊急排水浴槽を示す正断面図(a:実施例1およびb:実施例2)
図2】2種類の湯水排出部(a),(b)を有する緊急排水装置を備えた浴槽装置を示す正断面図(a:実施例3およびb:実施例4)
図3】湯水排出部がポンプである緊急排水装置を備えた浴槽装置を示す正断面図(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる浴槽用排水栓5、緊急排水装置2、およびそれを利用した緊急排水浴槽1を具体的に説明する。特に本実施例の形態は、一般家庭用の緊急排水浴槽1における実施形態を示しているが、その他にも大衆浴場やプール、その他の池や貯水槽、タンクなど湯、水、その他の薬液などの液体を貯める施設などとして具体化することも当然に可能である。
【0017】
(実施の形態1)
図1に鎖線で示すエリア(a)に示す緊急排水装置2は、従来型の排水口10に対し従来型の押し下げボタン式の排水栓11が設けられており、該既存の排水栓11は、該緊急排水浴槽1の周縁に突設された押しボタン21を利用者が押し下げることで該排水栓11が上昇、開栓し排水されるものである。検知器3および異常信号取得部40は、シール構造などの防水構造、ブラケットなどの固定部を有する検知装置部4内に収容されている。該検知装置部4はその固定部を介して緊急排水浴槽1または直近の浴室壁面などに固定され、当該押しボタン21の直上に配されている。
【0018】
該検知装置部4は、家庭用電源(商用電源)に接続された電源部が内蔵され、各部に電力供給されるものとなっている。電源部は、バッテリーを備え、停電時にも各部の機能を発揮できるものとすることができる。また、商用電源の他、太陽光発電や風力発電などの各種発電機や外部バッテリーなどから電力供給を受けるものとすることができる。また、該検知装置部4内には、発音するスピーカーや発光するランプなどからなる警報器ALが設けられている。
【0019】
当該検知器3は、カメラを用いて形成する他、動体センサー、赤外線センサー、超音波センサー、可視光センサー、レーザーセンサー、水位センサー、水の波動センサー、COセンサー、画像センサー(画像判別機能を有する)またはそれらの組み合わせを用いて形成することができる。かかる検知器3は、緊急排水浴槽1内の入浴者H、または、同緊急排水浴槽1内の湯水Wの水位変化や波動パターの変化などを検知して緊急状態を判断する判断回路を備えており、入浴者Hが溺水している状態(例えば一定時間動作していない状態)を検知(判断)したときに、異常信号取得部40に対し異常信号を発信する。該異常信号は音、光などで入浴者Hに注意を促す注意喚起信号でも良く、また有線の電気信号や無線信号などの開栓機構51を動作させる動作信号でも良い。また当該検知器3は、入浴者Hの溺水のみならず、用事などの落水を検知して異常信号を出力するように構成しても良い。
【0020】
検知装置部4は、検知器3と、該検知器3に基づいた異常信号に連動し、警報音や警報光の発光点滅などの注意喚起信号を発する警報器ALと、該警報器ALが発した注意喚起信号を受信し、開栓機構51としてのアクチュエーター51が当該押しボタン21を押し下げ動作するよう動作信号を発する異常信号取得部40とを有している。また、検知装置部4は、検知器3と、該検知器3が発した異常信号に連動し、警報音や警報光の発光点滅などの注意喚起信号を発する警報器ALと、該検知器3が発した異常信号を受信しアクチュエーター51が当該押しボタン21を押し下げ動作するよう動作信号を発する異常信号取得部40と、該押しボタン21とを有するものとすることができる。さらにまた、入浴者Hが溺水していな場合に当該検知器3が誤認して異常信号を発した場合には、警報器ALが注意喚起信号を発した直後に入浴者Hが操作すればアクチュエーター51の起動を停止することができるキャンセルボタンが設けられたものとすることができる。また前記検知器3として動体センサーを用いた場合には、入浴者の動きを検知して排水動作を停止するように構成することもできる。そして当該検知装置部4は、検知器3の検知結果に基づいて、入浴者などの以上を判断する判断回路を備えることができ、異常信号を取得した後に、音や光での警告を発し、その後入浴者の応答(動きなど)が無ければ、浴槽内の水を排水するように処理することができる。
【0021】
当該検知器3が入浴者Hの溺水を感知すると警報器ALが警報音や警報光の発光点滅などの注意喚起信号を発し、当該異常信号取得部40が、注意喚起信号を認識し、当該押しボタン21を押し下げるよう当該アクチュエーター51を起動するものとすることができる。また、当該検知器3が入浴者Hの溺水を感知すると警報器ALが注意喚起信号を発し、当該検知器3が入浴者Hの溺水を感知すると当該検知器3からの動作信号(電気信号)を受信した異常信号取得部40が、アクチュエーター51が当該押しボタン21を押し下げ動作するよう電力を供給するものとすることができる。
【0022】
当該異常信号取得部40は、該検知器3から出力される信号を受信し、入浴者Hが通常の入浴の状態にあるか、または、溺水状態にあるかを判断する人口知能AIを有したものとすることができる。これは当該検知器3が、入浴者Hの溺水状態を判断する機能を有さない場合などに有効である。
【0023】
入浴者Hが溺水した場合、当該検知器3が発信する異常信号(電気信号)を受けた当該異常信号取得部40は、直ちに警報器ALから警報音や警報光などの注意喚起信号を発し入浴者Hに報知する。人口知能AIは入浴者Hの状態が正常状態に戻ったか否かを、10秒ないし30秒の間(その後排水を開始しても救助可能な極短時間)に渡り、当該検知器3からの異常信号を受信しながら判断する。その後、当該人口知能AIが、入浴者Hの溺水状態が継続していると判断した場合、当該異常信号取得部40がアクチュエーター51を突出させ押しボタン12を押し下げる。該押しボタン12が押し下げられると、これに連動する排水栓11が開かれ緊急排水浴槽1内の湯水Wが速やかに排水される。
【0024】
(実施の形態2)
図1に鎖線で示すエリア(b)に示す緊急排水装置2は、排水口10に装着された排水栓11の直上に対応する同緊急排水浴槽1の周縁に対し、係合部を介して同緊急排水浴槽1の内周壁上端に吊下された防水構造を備えた検知装置部4を有している。該検知装置部4には、検知器3、異常信号取得部40、警報器ALおよび浴槽用排水栓5の開栓機構51としてのモーター駆動の巻上機51が内蔵され、該巻上機51に対し排水栓11のチェーン13の端が巻き上げ可能に連結されている。
【0025】
入浴者Hが溺水した場合、当該検知器3が異常信号を発し、これを受けた警報器ALが警報音や警報光などの注意喚起信号を発する。当該異常信号または注意喚起信号を感知した当該異常信号取得部40は、直ちに巻上機51がチェーン12を巻き上げるよう制御し、排水栓11が開かれ、緊急排水浴槽1内の湯水Wが速やかに排水される。
【0026】
(実施の形態3)
図2(a)に示す緊急排水装置2は、緊急排水浴槽1の外の例えば浴室壁面に対し固定部を介して固定された検知装置部4内に設けられ、該緊急排水浴槽1内の入浴者Hの異常を検知する検知器3と、該検知器3の異常信号(有線信号)を受けて注意喚起信号を発する警報器ALと、該検知器3の異常信号(有線信号)を受けて動作信号を発する異常信号出力部41とを有している。
【0027】
また、該検知装置部4とは別に、従来型の排水栓に置き換え可能な外郭寸法および形状であって、該緊急排水浴槽1の排水口10を閉塞する閉塞部50と、当該検知器3が発した動作信号(無線信号)を受信する異常信号取得部40と、該異常信号取得部40が取得した動作信号(無線信号)に起因して、当該閉塞部50における排水口10の閉塞を解除して解放させる開栓機構51とを有する浴槽用排水栓5を備えている。該異常信号出力部41と異常信号取得部40とが無線信号で通信されるものとなっているから、既存の浴槽に簡単に取り付けることができ、老朽後も部品毎に交換することが容易である。
【0028】
より具体的には、検知装置部4は、検知器3、警報器ALおよび異常信号出力部41としての無線送信機41が内蔵されている。
また、浴槽用排水栓5は、上下に縦貫する排水路52と、該排水路52を開閉可能な閉塞部50と、該閉塞部50を開放する開栓機構51としての小型アクチュエーター51と、当該異常信号出力部41としての無線送信機41からの動作信号(無線信号)を受信する異常信号取得部40としての無線受信機40と、該無線受信機40からの信号を受けて該小型アクチュエーター51を開き方向に動かすスイッチSCと、各部に電力を供給する小型バッテリーBTとを具備する。
【0029】
入浴者Hが溺水した場合、当該検知器3が発信する異常信号の出力を受けた警報器ALは、注意喚起信号である警報音または警報光の少なくとも何れか一方を発する。その後入浴者Hの溺水状態が継続されたままの場合は、当該無線送信機41が開栓する旨の動作信号を発信し、この信号を受信した当該浴槽用排水栓5の、無線受信機40はスイッチSCに小型バッテリーBTから小型アクチュエーター51に電力を供給する信号を出力し、該スイッチSCが、小型バッテリーBTから小型アクチュエーター51に電力を供給し、該小型アクチュエーター51が閉塞部50を開放し、排水路52を通じて緊急排水浴槽1内の湯水Wが速やかに排水される。
【0030】
浴槽用排水栓5は、既存の排水栓11と交換タイプの他、新たに排水路52の内径が70mm以上のものとされ、このサイズに大型化された浴槽用排水栓5が装着される口径の排水口10が設置されたものとすることができる。該浴槽用排水栓5の排水路52の口径が70mm以上であれば、より迅速に排水できる。
【0031】
(実施の形態4)
図2(b)に示す緊急排水装置2は、該緊急排水浴槽1の近傍となる浴室の壁面などに固定部を介して固定された検知装置部4と、該緊急排水浴槽1の底部から延出された湯水排出部の開栓機構51としてのソレノイドバルブ(電磁弁)51とを備えている。該検知装置部4には、検知器3、警報器ALおよび異常信号出力部41である無線送信機41が内蔵され、商業電源またはバッテリーなどの電源供給源が接続されている。該緊急排水浴槽1の底部にはソレノイドバルブ51が設けられ、同ソレノイドバルブ51に商業電源またはバッテリーなどの電源供給源が接続され、異常信号取得部40である無線受信機40と、該無線受信機40からの動作信号を受けて該ソレノイドバルブ51を開閉するスイッチSCが設けられている。
【0032】
入浴者Hが溺水した場合、当該検知器3がそれを感知し、警報器ALが警報音や警報光などの注意喚起信号を発する。それと同時か、または、その後入浴者Hの溺水状態が継続されたままの場合に、当該無線送信機41からの開栓する旨の動作信号が発せられ、この動作信号を受信した当該ソレノイドバルブ51の、無線受信機40はスイッチSCに商業電源またはバッテリーなどの電源供給源からソレノイドバルブ51へ電力を供給する信号を出力し、該スイッチSCが該ソレノイドバルブ51に電力を供給し、同ソレノイドバルブ51が開放し緊急排水浴槽1内の湯水Wが速やかに排水される。該ソレノイドバルブ51の排水口径が70mm以上とされた場合より迅速に排水できる。
【0033】
(実施の形態5)
図3に示す緊急排水装置2は、緊急排水浴槽1の近傍となる浴室壁面に固定部を介して設置された検知装置部4と、該緊急排水浴槽1の湯水Wの中に先端が垂下された給水パイプSPと、該緊急排水浴槽1の外に先端が延伸された排水パイプDPとからなり、当該検知装置部4には、検知器3、警報器AL、異常信号取得部40およびポンプPPが内蔵されている。該給水パイプSP、ポンプPPおよび排水パイプDPは湯水排出部をなす。該ポンプPPはその吸い込み口が給水パイプSPの基端に接続され、同ポンプPPの吐出口が排水パイプDPの基端に接続されている。また、給水パイプSPの先端には、入浴者Hへの吸着や異物の吸引を防ぐ網やフィルターなどの簡易的な濾過部が設けられている。
【0034】
入浴者Hが溺水した場合、当該検知器3が発信する異常信号を受けた警報器ALが警報音や警報光などの注意喚起信号を発する。それと同時か、または、その後入浴者Hの溺水状態が継続されたままの場合、当該検知器3が発信する動作信号を受けた異常信号取得部40が、湯水排出部のポンプPPを起動し、給水パイプSPの先端から排水パイプDPの先端へと送水し、緊急排水浴槽1内の湯水Wが速やかに排水される。
【0035】
当該湯水排出部は、緊急排水浴槽1の底部に折り畳まれ平板状に圧縮された状態で敷設された図示しない浮袋と、同緊急排水浴槽1の近傍となる浴室壁面に設置された検知装置部4とを有し、該検知装置部4内に検知器3、警報器AL、異常信号取得部40およびエアポンプまたはコンプレッサーが内蔵され、外部電力が供給されるか、またはバッテリーが内蔵され、該コンプレッサーから延伸されたエア用ホースが当該浮袋に接続されたものに置き換えることが可能であれる。
【0036】
入浴者Hが溺水した場合、当該検知器3が発信する異常信号を受けた警報器ALが注意喚起信号を発する。それと同時か、または、その後入浴者Hの溺水状態が継続されたままの場合、当該検知器3が発信する動作信号を受けた異常信号取得部40が、湯水排出部のエアポンプを起動し、当該浮袋を膨張させる。同浮袋は緊急排水浴槽1の底から入浴者Hを浮上させると共に、同緊急排水浴槽1内の湯水Wを速やかに溢れさせ排水し救出するものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上記本発明にかかる浴槽用排水栓、緊急排水装置、およびそれを利用した緊急排水浴槽は、一般家庭用の浴槽、大衆浴場やプール、その他の池や貯水槽、タンクなど湯、水、その他の薬液などの液体を貯める施設などに係わる分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 緊急排水浴槽
10 同 従来型の排水口
11 同 従来型の排水栓
12 同 押しボタン
13 同 チェーン
W 湯水
2 緊急排水装置
3 検知器
4 検知装置部
40 同 無線受信機(異常信号取得部)
41 同 無線送信機(異常信号出力部)
AI 同 人口知能
AL 同 警報器(注意喚起信号)
SC 同 スイッチ
BT 同 小型バッテリー
PP 同 ポンプ(湯水排出部)
5 浴槽用排水栓
50 同 閉塞部
51 同 アクチュエーター(開栓機構:巻上機、ソレノイドバルブ)
52 同 排水路
53 同 小型アクチュエーター
SP 同 給水パイプ
DP 同 排水パイプ
H 入浴者
図1
図2
図3