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特開2024-88011清掃装置及びコークス炉の炉頂面の清掃方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088011
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】清掃装置及びコークス炉の炉頂面の清掃方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 45/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
C10B45/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202952
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【弁理士】
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【弁理士】
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】杉沢 毅志
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012GB00
(57)【要約】
【課題】路面の凸部に乗り上げた場合であっても堆積物の取りこぼしを少なくして、路面の堆積物をかき集めることができる清掃装置を提供する。
【解決手段】路面上を走行可能な走行台車1と、走行台車1の幅方向を回動軸として、走行台車に回動自在に取り付けられる板状の清掃部材3と、回動方向に清掃部材3を付勢する付勢部材4と、を有し、清掃部材3の下端部は、付勢部材4の付勢力によって路面に押し付けられる、清掃装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上を走行する走行台車と、
前記走行台車の幅方向を回動軸として、前記走行台車に回動自在に取り付けられる板状の清掃部材と、
回動方向に前記清掃部材を付勢する付勢部材と、
を有し、
前記清掃部材の下端部は、前記付勢部材の付勢力によって路面に押し付けられる、清掃装置。
【請求項2】
前記清掃部材は、前記走行台車の進行方向に対して遅れる側に傾斜する、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記付勢部材はバネである、請求項1又は請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記清掃部材は、板状部材であるドーザーと、前記下端部に設けられるスクレーパ又はブラシと、を有する、請求項1又は請求項2に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記清掃部材は、板状部材であるドーザーと、前記下端部に設けられるスクレーパ又はブラシと、を有する、請求項3に記載の清掃装置。
【請求項6】
コークス炉の炉頂を清掃するコークス炉の炉頂面の清掃方法であって、
請求項1又は請求項2に記載の清掃装置をコークス炉の炉頂面で走行させて、炉頂面に堆積している堆積物を石炭装入孔の周囲に集積させる、コークス炉の炉頂面の清掃方法。
【請求項7】
コークス炉の炉頂を清掃するコークス炉の炉頂面の清掃方法であって、
請求項3に記載の清掃装置をコークス炉の炉頂面で走行させて、炉頂面に堆積している堆積物を石炭装入孔の周囲に集積させる、コークス炉の炉頂面の清掃方法。
【請求項8】
コークス炉の炉頂を清掃するコークス炉の炉頂面の清掃方法であって、
請求項4に記載の清掃装置をコークス炉の炉頂面で走行させて、炉頂面に堆積している堆積物を石炭装入孔の周囲に集積させる、コークス炉の炉頂面の清掃方法。
【請求項9】
コークス炉の炉頂を清掃するコークス炉の炉頂面の清掃方法であって、
請求項5に記載の清掃装置をコークス炉の炉頂面で走行させて、炉頂面に堆積している堆積物を石炭装入孔の周囲に集積させる、コークス炉の炉頂面の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置及びコークス炉の炉頂面の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス工場では、炉頂を横行する装炭車から炉頂の装炭口を通じて炉内に石炭を投入する。その際、装炭車からの石炭粉の漏れや、石炭貯蔵庫からの石炭粉の漏れにより、炉頂面に石炭粉が堆積する。堆積した石炭粉を放置すると、石炭粉中の硫黄成分等が上昇管などの金属構造物の腐食を促進することから、炉体保護、また粉塵飛散による環境汚染防止のため、炉頂における石炭粉の清掃が行われている。炉頂における清掃作業は、高温・粉塵環境下で行われる重筋作業であり、熱中症や粉塵吸引の恐れがある危険作業である。
【0003】
この清掃作業を自動化する方法として、例えば特許文献1、特許文献2には、清掃対象物(堆積物)をドーザー(清掃部材)で押してかき集める自走式の清掃システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-017952号公報
【特許文献2】特開2000-313883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の清掃システムは、本体部に対してドーザーの相対位置を変化させることができないため、例えば走行中に路面の凸部や段差に本体部が乗り上げた場合に、清掃部材の下端面が路面から浮いてしまい、路面の堆積物を清掃部材によって十分にかき集めることができないという課題があった。
【0006】
また、特許文献2の清掃システムは、清掃部材全体をエアシリンダによって上下に動作させるため、動作重量が大きくなり応答性が悪い。このため、走行中に路面の凸部や段差に本体部が乗り上げてしまった場合に、清掃部材の下端面が路面に密着するまでのタイムラグで回収中の堆積物を取りこぼしてしまうという課題があった。本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、凸部や段差がある路面であっても堆積物の取りこぼしを少なくして、路面の堆積物をかき集めることができる清掃装置及びコークス炉の炉頂面の清掃方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]路面上を走行する走行台車と、前記走行台車の幅方向を回動軸として、前記走行台車に回動自在に取り付けられる板状の清掃部材と、回動方向に前記清掃部材を付勢する付勢部材と、を有し、前記清掃部材の下端部は、前記付勢部材の付勢力によって路面に押し付けられる、清掃装置。
[2]前記清掃部材は、前記走行台車の進行方向に対して遅れる側に傾斜する、[1]に記載の清掃装置。
[3]前記付勢部材はバネである、[1]又は[2]に記載の清掃装置。
[4]前記清掃部材は、板状部材であるドーザーと、前記下端部に設けられるスクレーパ又はブラシと、を有する、[1]から[3]のいずれかに記載の清掃装置。
[5]コークス炉の炉頂を清掃するコークス炉の炉頂面の清掃方法であって、[1]から[4]のいずれかに記載の清掃装置をコークス炉の炉頂面で走行させて、炉頂面に堆積している堆積物を石炭装入孔の周囲に集積させる、コークス炉の炉頂面の清掃方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る清掃装置及びコークス炉の炉頂面の清掃方法は、路面の凸部や段差への乗り上げに対して応答性よく、清掃部材の端面を路面に追従させることができる。これにより、本発明に係る清掃装置及びコークス炉の炉頂面の清掃方法は、凸部や段差がある路面上に堆積した堆積物であっても、取りこぼしを少なくして堆積物をかき集めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る清掃装置の一例を示す斜視図である。
図2図2は、清掃装置の側面図である。
図3図3は、平坦面を清掃する状態を示す清掃装置の側面図である。
図4図4は、凸部を有する面を清掃する状態を示す清掃装置の側面図である。
図5図5は、清掃部材の長さと、保持機構の高さを示す清掃装置の側面図である。
図6図6は、凸部に乗り上げて傾いた場合の清掃部材の接地状態を示す清掃装置の側面図である。
図7図7は、本実施形態に係る清掃装置の他の例を示す斜視図である。
図8図8は、実施例における清掃試験の状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を本発明の実施形態を通じて説明する。なお、以下の実施形態では、本実施形態に係る清掃装置10を用いてコークス炉の炉頂面に堆積した堆積物を清掃する例を用いて説明するが、清掃装置10が清掃する路面は、コークス炉の炉頂面に限らず、凸部や段差が存在する路面であれば適用できる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る清掃装置10の一例を示す斜視図である。また、図2は、清掃装置10の側面図である。図1、2を用いて、まず、清掃装置10の全体構成を説明する。
【0012】
本実施形態に係る清掃装置10は、走行台車1と、走行台車1の前方に駆動軸5を介して取り付けられる保持機構2と、保持機構2に回動自在に取り付けられる清掃部材3と、清掃部材3を付勢する付勢部材4とを有する。走行台車1は、車輪を備える台車であって、図示しないモータ等の駆動装置によって車輪が駆動されて、清掃対象であるコークス炉の炉頂面上を自由に走行する。
【0013】
保持機構2は、清掃部材3を保持するためのものであり、走行台車1の幅方向に延びる板状の部材である。保持機構2は、駆動軸5を介して装置本体1の走行方向の前方に取り付けられている。駆動軸5は、走行台車1に設けられた図示しないモータ等の駆動装置によって走行台車1に対して上下方向に移動できる。これにより、清掃時には駆動軸5を下方に移動させることで保持機構2を下方に移動させ、保持機構2に取り付けられた清掃部材3を路面に接地させることができる。また、清掃時以外のときには、駆動軸5を上方に移動させることで保持機構2を上方に移動させ、保持機構2に取り付けられた清掃部材3を路面から離間させることができる。このように、清掃時以外は清掃部材3を路面から離間させることで、付勢部材4のへたり(塑性変形)を抑制できる。なお、清掃装置10は、図示しない制御装置を内蔵しており、この制御装置によって上述した車輪を駆動するモータや駆動軸5を上下動させるモータが制御される。
【0014】
清掃部材3は、走行台車1の幅方向に延びる板状部材であるドーザー3aで構成されており、ドーザー3aは、幅方向に延在する保持機構2に対して走行台車1の幅方向を回動軸として回動自在に取り付けられる。ここで、走行台車1の幅方向とは、走行台車1の走行方向に交差する方向であり、必ずしも進行方向に直交する方向には限らない。ドーザー3aは、剛性を有する板、例えば、樹脂製または金属製の板で構成される。清掃部材3を保持機構2に対して回動自在とする構成として、例えば、保持機構2と清掃部材3との接続部分にヒンジ(蝶番)を設けることが好ましい。但し、保持機構2と清掃部材3との接続部分の構成はヒンジに限らず、耐粉塵性を持たせた回転盤、ベアリングなどで接続部分が構成されてもよい。
【0015】
清掃部材3の一端部(上端部)は保持機構2に回動自在に接続され、他端部(下端部)は付勢部材4の付勢力により路面に押し付けられる。清掃部材3の他端部(下端部)が路面に押し付けられた状態で、走行台車1が走行することで、コークス炉の炉頂面の堆積物がかき集められる。なお、図2に示すように、清掃部材3は、走行台車1の進行方向に対して遅れる側に傾斜させることが好ましい。これにより、走行台車1の走行中にコークス炉の炉頂面に形成された凸部や段差に清掃部材3の他端部(下端部)が引っ掛かることが抑制され、スムーズな走行台車1の走行が実現する。
【0016】
付勢部材4は、例えば、保持機構2と清掃部材3の接続部分に設けられたヒンジに取り付けられた金属製のトーションバネである。図2に示すように、付勢部材4は、一端部(上端部)が保持機構2に固定され、他端部(下端部)が清掃部材3に固定されており、清掃部材3の回動方向であって、保持機構2と平行(路面に対して鉛直)になる方向に清掃部材3を付勢する。清掃時において、清掃部材3は、走行台車1の進行方向に対して遅れる側に傾斜して路面に接しているので、清掃部材3の他端部(下端部)は、付勢部材4の付勢力によってコークス炉の炉頂面に押し付けられる。なお、付勢部材4は、トーションバネに限らず、金属製の板バネ、引っ張りバネ、圧縮バネ、樹脂製のバネ等の各種のバネ部材や、ゴム部材等であってもよい。また、トーションバネの付勢力を変えることで、清掃部材3のコークス炉の炉頂面への押し付け力を調整してもよい。
【0017】
次に、清掃装置10を用いたコークス炉の炉頂面の清掃方法について説明する。図3は、平坦面を清掃する状態を示す清掃装置10の側面図である。コークス炉の炉頂面を清掃する場合、まず、清掃装置10は、駆動軸5を下方に移動させることで保持機構2を下方に移動させ、清掃部材3をコークス炉の炉頂面に接地させる。これにより、清掃部材3の他端部(下端部)は、付勢部材4の付勢力によってコークス炉の炉頂面に押し付けられた状態となる。その後、保持機構2の高さを固定して、図示しない制御装置によって車輪を制御して清掃装置を走行させることで、コークス炉の炉頂面の堆積物6が清掃部材3によってかき集められる。
【0018】
図4は、凸部7を有する面を清掃する状態を示す清掃装置10の側面図である。コークス炉の炉頂面には10~20mmの凸部7が存在する。このため、図4に示すように、清掃装置10は、走行中にコークス炉の炉頂面に存在する凸部7に乗り上げる。しかしながら、本実施形態に係る清掃装置10では、付勢部材4によって清掃部材3が常時付勢されており、その他端部(下端部)がコークス炉の炉頂面に押し付けられている。このため、走行台車1が凸部7に乗り上げて傾いた場合であっても、清掃部材3は付勢部材4の付勢力によって回動し、清掃部材3の他端部(下端部)は炉頂面に対して隙間なく密着される。これにより、コークス炉の炉頂面に凸部や段差がある場合であっても、本実施形態に係る清掃装置10は、当該炉頂面上に堆積する堆積物を、取りこぼしを少なくしてかき集めることができる。
【0019】
図5は、清掃部材3の長さと、保持機構2の高さを示す清掃装置10の側面図である。本実施形態に係る清掃装置10では、例えば、保持機構2の高さを100mmとし、清掃部材3の長さを150mmとしている。
【0020】
図6は、凸部に乗り上げて傾いた場合の清掃部材3の接地状態を示す清掃装置10の側面図である。図6に示すように、仮に清掃装置10が高さ10mmの凸部に乗り上げて、保持機構2の高さが120mmになったとしても、清掃部材3の長さを150mmとしているので、清掃部材3の他端部(下端部)を路面に隙間なく密着させることができる。
【0021】
図5、6に示すように、清掃装置10が傾いた場合であっても、清掃部材3の他端部(下端部)を炉頂面に隙間なく密着させるには、清掃部材3の長さから保持機構2の高さを減じた長さが凸部や段差の高さの2倍以上になるように、清掃部材3の長さ及び保持機構2の高さを定めることが好ましい。
【0022】
例えば、凸部や段差の高さが20mmであり、清掃時の保持機構2の高さが100mmである場合には、清掃部材3の長さを140mm以上にすればよい。一方、清掃部材3を長くし過ぎると、走行台車1の進行方向に対して遅れる側に傾斜させた場合に、清掃部材3が走行台車1に接触する。このため、清掃部材3の長さは、清掃部材3を走行台車1の進行方向に対して遅れる側に傾斜させた場合に走行台車1に接触しない長さにすればよい。このように清掃部材3の長さを定めることで、凸部や段差があるコークス炉の炉頂面に堆積する堆積物であっても、取りこぼしを少なくして堆積物をかき集めることができるようになる。
【0023】
以上、説明したように、本実施形態に係る清掃装置10では、清掃部材3を保持機構2に対して回動自在に取り付け、且つ、清掃部材3を路面に押し付けるように付勢しているので、コークス炉の炉頂面に凸部や段差がある場合であっても、応答性よく清掃部材3の他端部(下端部)を当該炉頂面に隙間なく密着させることができ、堆積物の取りこぼしを少なくしてこれらをかき集めることができる。
【0024】
また、付勢部材4としてバネを用いることで、清掃部材3の炉頂面への付勢力を簡易に調整できる。さらに、シリンダやモータ等の精密機器を用いて清掃部材3を炉頂面に押し付ける場合と比較して、電力や空気圧等の外力が不要となるので、清掃装置10の部品数を少なくでき、装置コストの低減に寄与できる。また、バネを用いることで応答性がよく、コークス炉の炉頂などのように粉塵の多い環境であっても使用することができ、且つ、清掃装置10のメンテナンスも容易となる。
【0025】
コークス炉の炉頂面に堆積している堆積物は、コークス炉の炉頂面に複数設けられている石炭装入孔に投入されて処理される。このため、本実施形態に係る清掃装置10をコークス炉の炉頂面で走行させて堆積物をかき集め、これら堆積物を石炭装入孔の周囲に集積させることが好ましい。特にコークス炉の炉頂面は、10~20mm程度の凸部や段差が生じやすいので、本実施形態に係る清掃装置10を用いることで、堆積物の取りこぼしを少なくして、これら堆積物を石炭装入孔の周囲にかき集めることができる。
【0026】
なお、本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されず種々の変更を加えることができる。図1に示した例では、保持機構2が走行台車1の前方に設けられる例を示したが、これに限らない。保持機構2は走行台車1の後方に設けられていてもよい。さらに、本実施形態では保持機構2に清掃部材3が回動自在に取り付けられている例を示したが、これに限らず、清掃部材3は、走行台車1に直接、回動自在に取り付けられていてもよい。
【0027】
図7は、本実施形態に係る清掃装置の他の例を示す斜視図である。図7に示した清掃装置20は、ドーザー3aの他端部(下端部)に樹脂製のブラシ3bを有する清掃部材8を有する点において、図1に示した清掃装置10と異なる。図7に示した清掃装置20において、図1に示した清掃装置10と同じ構成には同じ参照番号を付し、その説明を省略する。
【0028】
清掃装置20の清掃部材8には、樹脂製のブラシ3bが設けられているので、例えば、粒径1mm以下、嵩密度1.0g/cm以下の石炭粉等を清掃するのに好適に用いられる。清掃する堆積物の粒径及び粒度によっては、樹脂製のブラシ3bに代えて、ゴム製のスクレーパや金属製のブラシをドーザー3aの他端部(下端部)に設けてもよい。このように、清掃部材3がドーザーと、スクレーパ又はブラシとを有することで、清掃部材3とコークス炉の炉頂面との密着度を向上させることができ、細かい堆積物の回収効率を高めることができる。
【実施例0029】
次に、実施例として本実施形態に係る清掃装置を用いて石炭粉をかき集める清掃試験の結果を説明する。図8は、実施例における清掃試験の状況を示す斜視図である。図8に示すように、幅0.3mで高さが10mmの段差が形成されている領域に対して直交する幅0.3m×長さ2.0mの範囲に、最大粒径1mm以下の石炭粉2kg程度を散布した。最大粒径1mm以下の石炭粉とは、目開き1mmの篩で篩下に篩分けられる石炭を意味する。発明例1では、図7に示した樹脂製のブラシを有する清掃装置20を用いて、石炭粉を散布した清掃面を清掃した。発明例1で用いた清掃装置20の各寸法及び付勢力は以下の通りである。
【0030】
<清掃装置20>
保持機構の清掃面からの高さ100mm
清掃部材:長さ150mm(ドーザー:100mm、樹脂製ブラシ:50mm)、幅500mm
付勢部材の付勢力:1.0N・m
【0031】
比較例1では、付勢部材を用いずに清掃部材の傾斜角度及び上下位置を固定したこと以外は発明例1と同じ清掃装置を用いて、石炭粉を散布した清掃面を清掃した。比較例2では、付勢部材を用いずに清掃部材の傾斜角度を固定した。スライダを介して当該清掃部材を保持部に取り付けることで上下方向に移動可能とし、10Nの押し付け力で清掃部材を清掃面に押し付けたこと以外は発明例1と同じ清掃装置を用いて、石炭粉を散布した清掃面を清掃した。発明例1、比較例1、2の清掃装置で当該清掃面を清掃した後、回収された石炭粉量(回収量)と清掃面に残留した石炭粉量(残留量)とを測定し、(回収量/(回収量+残留量))×100の演算を行って回収率(質量%)を算出した。この操作を繰り返し3回実施した。下記表1に比較例1、比較例2及び発明例1における3回の清掃試験の回収量、残留量及び回収率を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
比較例1では、清掃面の段差によって清掃装置が傾き、清掃部材が清掃面から離れたときに石炭粉の取りこぼしが発生した。このため、比較例1の石炭粉の回収率は32~37質量%となった。比較例2では、一定の押し付け力で清掃部材を清掃面に押し付けているので、比較例1よりも清掃部材が清掃面から離れづらくなった。このため、比較例1よりも石炭粉の回収率が向上したものの、凸部や段差への清掃部材の応答性が発明例1よりも悪く、石炭粉の取りこぼしが発生したため、石炭粉の回収率は61~65質量%に留まった。これに対し、発明例1では、凸部や段差への清掃部材8の追従性が高く、清掃面に隙間なく密着できたので、石炭粉の回収率は86~90質量%に向上した。これらの結果から、本実施形態に係る清掃装置を用いることで、凸部や段差がある路面であっても清掃部材を応答性よく清掃面に隙間なく密着させることができ、これにより、堆積物の取りこぼしを少なくして、堆積物を所望の位置にかき集められることが確認された。
【符号の説明】
【0034】
1 走行台車
2 保持機構
3 清掃部材
3a ドーザー
3b 樹脂製のブラシ
4 付勢部材
5 駆動軸
6 堆積物
7 凸部
8 清掃部材
10 清掃装置
20 清掃装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8