IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用シート装置 図1
  • 特開-車両用シート装置 図2
  • 特開-車両用シート装置 図3
  • 特開-車両用シート装置 図4
  • 特開-車両用シート装置 図5
  • 特開-車両用シート装置 図6
  • 特開-車両用シート装置 図7
  • 特開-車両用シート装置 図8
  • 特開-車両用シート装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088031
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両用シート装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/42 20060101AFI20240625BHJP
   B60N 2/14 20060101ALI20240625BHJP
   B60N 2/12 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B60N2/42
B60N2/14
B60N2/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202975
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北島 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】小泉 勇太
(72)【発明者】
【氏名】沼田 麻結
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA07
3B087BA13
3B087BB17
3B087CD02
(57)【要約】
【課題】シート性能を確保しつつ、前向きの荷重が加えられたシート本体の意図しない動きを極力抑制することにある。
【解決手段】車両のフロア側に配設された基部11と、シート本体13を支持する着座部12とのシート上下方向における間に回転装置20が備えられている車両用シート装置10において、着座部12とシート本体13とは、乗降位置におけるシート本体13をドア開口部側に移動させる移動装置(四節リンク機構30)で連結されており、一般位置を基準としてシート前側に向かうにつれて次第にシート下側に傾いた支持部材50が、移動装置(30)の動きを規制するように基部11と移動装置(30)とに架設されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロア側に配設された基部と、シート本体を支持する着座部とのシート上下方向における間に、前記シート本体を車両前向きの一般位置とドア開口部を向く乗降位置間で回転移動させる回転装置が備えられている車両用シート装置において、
前記着座部と前記シート本体とは、乗降位置における前記シート本体をドア開口部側に移動させる移動装置で連結されており、
一般位置を基準としてシート前側に向かうにつれて次第にシート下側に傾いた支持部材が、前記移動装置の動きを規制するように前記基部と前記移動装置とに架設されている車両用シート装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記基部と前記移動装置のいずれか一方にのみ連結されていると共に、一般位置において前記基部と前記移動装置とに架設されている状態から、前記着座部が乗降位置に向けて回転移動することで、前記基部と前記移動装置とに対する架設状態が解除された状態に変位する請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記移動装置にのみ連結されていると共に、前記着座部の回転移動の際に前記基部に対して摺動する摺動部が設けられている請求項2に記載の車両用シート装置。
【請求項4】
前記基部には、一般位置における前記支持部材の下端部を受けられる受け部が設けられている請求項3に記載の車両用シート装置。
【請求項5】
前記移動装置は、シート上下方向に回動しつつ前記シート本体をドア開口部側に移動させるリンク部を備えており、
前記支持部材は、前記リンク部の回動を規制するように前記基部と前記移動装置とに架設されている請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用シート装置。
【請求項6】
前記移動装置は、前記シート本体をドア開口部側にスライド移動させるスライダ部を備えており、
前記支持部材は、前記スライダ部のスライド移動を規制するように前記基部と前記移動装置とに架設されている請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用シート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート本体を一般位置と乗降位置間で回転移動させる車両用シート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これに関連する車両用シート装置が特許文献1に記載されている。この車両用シート装置では、シート本体を支持するスイベルアッパが、車体のフロア側に配設されるスイベルロアに回転装置を介して連結されている。またスイベルアッパとスイベルロアとの間には、これらの相対回転を許容する上下方向の隙が設けられている。そして回転装置の働きにより、スイベルアッパに支持されたシート本体が、車両前方を向いた前向き状態と、ドア開口部側を向いた横向き状態間を回転移動するように構成されている。またシート本体とスイベルアッパとは、チルト機構を構成する四節リンク機構(フロントリンクとリアリンク)で連結されている。そして乗降位置において、四節リンク機構の各リンクがスイベルアッパ側の軸を中心に上下回動することにより、シート本体が、ドア開口部側に向かうにつれて次第に前下がり姿勢に変位する。こうしてシート本体を前下がり姿勢に変位させながらドア開口部側に振り出すことにより、乗降性能の確保に資する構成となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-254969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの種の車両用シート装置では、車両前突時等に、一般位置のシート本体に対して前向きの荷重が加えられる場合がある。そしてこの場合には、荷重の加えられたシート本体に意図しない動きが生じない(例えば過度に前傾しない)ように配慮する必要がある。しかし上記した構成では、スイベルアッパとスイベルロア間に上下方向の隙が設けられている。このためシート本体に前向きの荷重が加えられた場合、シート本体を支持するスイベルアッパが、上記した隙を詰めるように前傾するおそれがある。もっともスイベルアッパとスイベルロア間の隙をなくすことも考えられるが、そうするとシート本体のスムーズな回転移動を確保し難くなる。更に上記した構成では、乗降性能の確保のため、シート本体とスイベルアッパとが四節リンク機構にて連結されている。このため前向きの荷重がシート本体に加えられることで、四節リンク機構が撓むなどして、シート本体の意図しない動きが助長され易い。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シート性能を確保しつつ、前向きの荷重が加えられたシート本体の意図しない動きを極力抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シート装置は、車両のフロア側に配設される基部と、シート本体を支持する着座部とのシート上下方向における間に、シート本体を車両前向きの一般位置とドア開口部を向く乗降位置間で回転移動させる回転装置が備えられている。そして着座部とシート本体とは、乗降位置におけるシート本体をドア開口部側に移動させる移動装置で連結されている。この種の構成では、シート性能を確保しつつ、前向きの荷重が加えられたシート本体の意図しない動きを極力抑制できることが望ましい。そこで本発明では、一般位置を基準としてシート前側に向かうにつれて次第にシート下側に傾いた支持部材が、移動装置の動きを規制するように基部と移動装置とに架設されている。本発明では、一般位置のシート本体に前向きの荷重が加えられた場合、このシート本体と着座部とを、基部と移動装置とに架設された支持部材で支持できるようになる。これにより、基部と着座部間に隙が設けられていても、シート本体の意図しない動き(過度の前傾等)を支持部材で抑制できるようになる。また支持部材にて移動装置の動きが制限されることで、この移動装置の意図しない動きを抑制できるようになる。
【0006】
第2発明の車両用シート装置は、第1発明の車両用シート装置において、支持部材は、基部と移動装置のいずれか一方にのみ連結されていると共に、一般位置において基部と移動装置とに架設されている状態から、着座部が乗降位置に向けて回転移動することで、基部と移動装置とに対する架設状態が解除された状態に変位する。本発明では、着座部を乗降位置に回転移動させて、支持部材の架設状態を解除することにより、乗降位置において移動装置を動かせるようになる。
【0007】
第3発明の車両用シート装置は、第2発明の車両用シート装置において、支持部材は、移動装置にのみ連結されていると共に、着座部の回転移動の際に基部に対して摺動する摺動部が設けられている。本発明では、移動装置に連結された支持部材を、回転装置の働きで着座部と共に回転移動させられるようになる。そして支持部材は、その摺動部を基部に対して摺動させながらスムーズに回転移動することができる。
【0008】
第4発明の車両用シート装置は、第3発明の車両用シート装置において、基部には、一般位置における支持部材の下端部を受けられる受け部が設けられている。本発明では、支持部材の下端部を基部の受け部で受けることで、一般位置の支持部材を、より安定的に基部と移動装置とに架設しておけるようになる。
【0009】
第5発明の車両用シート装置は、第1発明~第4発明のいずれかの車両用シート装置において、移動装置は、シート上下方向に回動しつつシート本体をドア開口部側に移動させるリンク部を備えており、支持部材は、リンク部の回動を規制するように基部と移動装置とに架設されている。本発明では、支持部材にてリンク部の回動を制限することで、移動装置の意図しない動き、即ち、シート前後及び上下方向の動き(撓み)等をより確実に抑制できるようになる。
【0010】
第6発明の車両用シート装置は、第1発明~第4発明のいずれかの車両用シート装置において、移動装置は、シート本体をドア開口部側にスライド移動させるスライダ部を備えており、支持部材は、スライダ部のスライド移動を規制するように基部と移動装置とに架設されている。本発明では、支持部材にてスライダ部のスライド移動を制限することで、移動装置の意図しない動き、即ち、シート前後方向の動き(ガタつき)等をより確実に抑制できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る第1発明によれば、シート性能を確保しつつ、前向きの荷重が加えられたシート本体の意図しない動きを極力抑制することができる。また第2発明によれば、シート本体の乗降性能をより確実に確保することができる。また第3発明によれば、シート本体の回転性能をより確実に確保することができる。また第4発明によれば、荷重が加えられたシート本体の意図しない動きをより確実に抑制することができる。また第5発明によれば、リンク部を備えた移動装置の意図しない動きをより確実に抑制することができる。そして第6発明によれば、スライダ部を備えた移動装置の意図しない動きをより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車両用シート装置を示す車両の斜視図である。
図2】一般位置の車両用シート装置を示す車両の概略図である。
図3】乗降位置の車両用シート装置を示す車両の概略図である。
図4】回転装置の概略断面図である。
図5】支持部材を示す車両用シート装置の概略透視側面図である。
図6】受け部を示す車両用シート装置の概略上面図である。
図7】実施例2にかかる一般位置の車両用シート装置の概略透視側面図である。
図8】実施例2にかかる車両用シート装置の下部の概略側面図である。
図9】実施例2にかかる乗降位置の車両用シート装置の概略透視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図1図9を参照して説明する。そして各図には、便宜上、車両及び一般位置の車両用シート装置を基準として、その前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。また各図では、車両用シート装置の主構成を図示し、他の構成を簡略化又は省略して図示する。
【0014】
[実施例1の車両用シート装置の概要]
図1に示す車両用シート装置10は、車両2に搭載されるシート装置であり、車室2Rの前部左側の車両フロア3上に設置されている。また車両2では、車両用シート装置10の車両前側にフロントガラス4が設けられている。また車両用シート装置10の車両左側にドア開口部5が設けられており、このドア開口部5は、図示しないドアによって開閉可能に構成されている。そして車両用シート装置10は、図2に示すように、車両フロア3側には配設される基部11と、この基部11の上側位置でシート本体13を支持する着座部12とを備えている。
【0015】
ここで図2に示す基部11は、左右の前後スライド装置6を介して車両フロア3側に設置されている(図2では、便宜上、左側の前後スライド装置のみ図示する)。この前後スライド装置6は、車両フロア3上で車両前後方向に延びるロアレール7と、ロアレール7に沿って前後スライドするアッパレール8とを備えている。そしてアッパレール8上に基部11が配設されることで、この基部11が、ロアレール7に沿って車両前後方向に移動できるようになる。なおアッパレール8は、多段式ロック機構(図示省略)にて、ロアレール7に対して多段階でスライドロックできるように構成されている。そして基部11は、左右の前後スライド装置6に固定されることで、後述するシート本体13の回転移動に追従しないようになっている。
【0016】
また図2に示す着座部12は、基部11の上側位置に配設された状態で、シート本体13を支持している。ここでシート本体13は、座部となるシートクッション14と、背凭れとなるシートバック15とを備えている。シートクッション14は、側面視で前後に長い矩形に形成されており、着座部12上に配設されている。またシートクッション14の後部には、シートバック15が車両上側に向けて起立している。そしてシートクッション14とシートバック15との連結位置には、シートバック15の傾斜角度(リクライニング角度)を調整するリクライナ16が設けられている。さらに、シートバック15には、その肩口にアンカー部材17が配設されており、このアンカー部材17にシートベルト18の基端側が固定されている。そしてシートバック15の肩口からシートベルト18を引き出しつつ、このシートベルト18の先端を、シートクッション14に設けられたバックル部材19に係止することができる。
【0017】
また図2に示す基部11と着座部12のシート上下方向における間には、シート本体13を回転移動させる回転装置20(詳細後述)が配設されている。また基部11と着座部12間には、これらの相対回転を許容するシート上下方向の隙100が設けられている。そして車両用シート装置10では、回転装置20の働きで、着座部12に支持されたシート本体13を、図2に示す車両前向きの一般位置と、図3に示すドア開口部5側を向く乗降位置間で回転移動させられるように構成されている。また着座部12とシート本体13とは、移動装置としての四節リンク機構30(詳細後述)で連結されている。そして車両用シート装置10では、四節リンク機構30の働きで、図3に示すように乗降位置のシート本体13をドア開口部5側に移動させられるように構成されている。こうして図2及び図3に示す車両用シート装置10では、回転装置20及び基部11と着座部12間の隙100によって回転性能を確保し、四節リンク機構30によって乗降性能を確保している。
【0018】
そして図2に示す車両用シート装置10では、一般位置のシート本体13に対して前向きの荷重Fが加えられることがある。例えば上記した構成では、シート本体13上の乗員(図示省略)をシートベルト18にて拘束することで、車両前突時における乗員の前方移動が抑制される。このときシートベルト18が車両前側に引っ張られることで、シート本体13のアンカー部材17、即ち、シートバック15の肩口に前向きの荷重Fが加わるようになる。そして車両用シート装置10では、前向きの荷重Fがシート本体13に加えられた場合、このシート本体13の意図しない動き(過度の前傾等)を抑制できることが望ましい。特に上記した構成では、シート性能確保の観点から基部11と着座部12間に隙100を設ける等しているが、このような場合にもシート本体13の動きを抑制すべきである。そこで本実施例では、後述する支持部材50によって、シート性能を確保しつつ、前向きの荷重Fが加えられたシート本体13の意図しない動きを極力抑制することとした。以下、車両用シート装置10の各構成を、回転装置20、移動装置(四節リンク機構30)、支持部材50の順に詳述する。
【0019】
[回転装置]
先ず、図2に示す回転装置20は、上記したように着座部12に支持されたシート本体13を一般位置と乗降位置間で回転移動させる装置である。この回転装置20は、図4に示すように、基部11上に固定された内輪21と、内輪21(外周側)に対して回転可能に支持された外輪22とを備え、この外輪22の上に着座部12が固定されている。また基部11又は着座部12には、内輪21に対して外輪22を回転させる駆動部(図示省略)が設けられている。そして着座部12に支持されたシート本体13を、内輪21及び外輪22の軸心回りに回転させることで、上方視で略90°基部11に対して回転させられるようになっている(図1中、符号12Aで示す方向を参照)。なお回転装置20による着座部12の回転移動は、図示しない回転ロック装置によってロックすることができる。
【0020】
[四節リンク機構(移動装置)]
次に、図3に示す移動装置としての四節リンク機構30は、上記したように乗降位置のシート本体13をドア開口部5側に移動させる機構である。この四節リンク機構30は、図5に示すように、着座部12のベースフレーム12Fと、シートクッション14のクッションフレーム14Fとを、前側リンク部31及び後側リンク部32で軸連結することで形成されている。ここで前後のリンク部31,32は、車両用シート装置10のシート幅方向両側(左側と右側)にそれぞれ設けられている(各図では、便宜上、左側の各リンク部のみ図示する)。そして左右の各リンク部は略同一の基本構成を有しているため、以下に、車両用シート装置10の左側の各リンク部31,32を一例に詳細を説明する。
【0021】
前側リンク部31と後側リンク部32とは、図5に示すように、概ねシート上下方向に延びる帯板状に形成されている。そして前側リンク部31の上端部は、第一軸材41を介して、クッションフレーム14Fに上下回動可能に連結されている。また前側リンク部31の下端部は、第二軸材42を介して、ベースフレーム12Fの前部に上下回動可能に軸連結されている。また後側リンク部32は、相対的に短尺に形成されており、前側リンク部31よりもシート後側に配置されている。この後側リンク部32の上端部は、第三軸材43を介して、クッションフレーム14Fの後端に上下回動可能に軸連結されている。また後側リンク部32の下端部は、第四軸材44を介して、ベースフレーム12Fの後端上側に上下回動可能に軸連結されている。そして図5に示す一般位置を基準として、前側リンク部31は、着座部側の第二軸材42からシート上側に起立していると共に、後側リンク部32は、着座部側の第四軸材44からシート上側且つ後側に傾いた状態で起立している。また前側リンク部31の上端部(第一軸材41)と、後側リンク部32の上端部(第三軸材43)とは概ね同じ高さ位置に配置されている。
【0022】
そして図5に示すシート本体13をドア開口部側に移動させる場合、四節リンク機構30を図示しない駆動部にて作動させて、その前後のリンク部31,32を上下回動させる。このとき図3を参照して、前側リンク部31を、着座部側の第二軸材42を中心に下回動させて、その上端部(第一軸材41)をドア開口部5側且つシート下側に移動させる。これにより、第一軸材41の設けられたシートクッション14の前部側が相対的に下降するようになる。一方、後側リンク部32を、着座部側の第四軸材44を中心に上回動させて、その上端部(第三軸材43)をドア開口部5側且つシート上側に移動させる。これにより、第三軸材43の設けられたシートクッション14の後端側が相対的に上昇するようになる。こうして乗降位置のシート本体13は、四節リンク機構30の働きで、ドア開口部5側に移動するに従って次第に前下がり姿勢に変位するようになる。
【0023】
[支持部材]
そして図5に示す支持部材50は、一般位置において基部11と四節リンク機構30(移動装置)とに架設される部材であり、架設状態において四節リンク機構30の動きを規制することができる。この支持部材50は、シート前後方向に長い帯板状に形成されており、車両用シート装置10のシート幅方向両側(右側と左側)にそれぞれ配設されている(各図では、便宜上、左側の支持部材のみ図示する)。そして左右の支持部材50は略同一の基本構成を有しているため、以下に、車両用シート装置10の左側の支持部材50を一例にその詳細を説明する。
【0024】
ここで図5に示す支持部材50は、四節リンク機構30の動きを規制するように、四節リンク機構30と基部11とに架設することができる。この四節リンク機構30の動きを規制するとは、各リンク部31(32)の着座部側の各軸材41(43)を中心とした上下回動を規制することを意味する。そして支持部材50は、着座部側の各軸材41(43)よりもシート上側位置の四節リンク機構部分と基部11とに架設されることで、各リンク部31,32の上下回動を規制できるようになる。このシート上側位置の四節リンク部分として、上記した着座部側の各軸材41(43)よりもシート上側の各リンク部31(32)部分や、クッションフレーム14Fを例示できる。
【0025】
そして図5に示す支持部材50は、その上端部が、四節リンク機構30の第三軸材43に上下回動可能に軸支されて連結されている。また一般位置における支持部材50は、第三軸材43からシート前側且つ下側に傾斜、即ち、前下がりに傾斜した状態で基部11側に延びることで、第三軸材43(四節リンク機構30)と基部11とに架設された状態となっている。さらに支持部材50の下端部は、後側リンク部32の下端部よりもシート前側の位置で、基部11上に配置されている。上記した構成では、帯板状の支持部材50と後側リンク部32とが、その上端部(第三軸材43)で軸連結され、更にシート下側に向かうにつれて次第に互いに離れる方向に傾斜している。これにより、支持部材50と後側リンク部32とからトラス構造が形成され、後述するようにシート本体13に前向きの荷重が加えられた際に、支持部材50と後側リンク部32とに所定方向の軸方向力(軸力)が加わるようになる。
【0026】
[摺動部、受け部]
また支持部材50には、図6に示すように、その下端部がシート幅方向内側(右側)に張り出す板状に形成されている。そしてシート幅方向内側に張り出した支持部材50の下端部に、基部11の上面に対して摺動可能な摺動部51が設けられている。この摺動部51は、一般位置において前後方向を向く軸材Aに回転可能に軸支された縦向きローラ状の部材であり、基部11に接した状態で回転できるように構成されている。そして一般位置の支持部材50の下端部は、基部11の前部に設けられた受け部60で受けられるようになっている(図6の二点破線で示す状態を参照)。この受け部60は、基部11に軸支された縦向きローラ状の部材であり、基部11の前部位置に設けられている。そして受け部60は、一般位置において支持部材50の前端部に設けられた係止溝部52に嵌められるようになっている。即ち、支持部材50の前端部には、円弧形状の係止溝部52がシート幅(左右)方向に延びるように設けられている。この係止溝部52は、シート本体13の回転軌跡に沿う円弧状に形成されており、その係止溝部52の左縁側が解放されている。
【0027】
そして図5及び図6を参照して、一般位置の支持部材50は、その下端部に設けられた係止溝部52に、基部11の受け部60が嵌められている(図6中、二点破線で示す状態を参照)。これにより、支持部材50の下端部が、基部11の受け部60に対して係止された状態で受けられるようになる。そして支持部材50が、後述するように乗降位置に向けて回転移動することにより、その支持部材50の係止溝部52から受け部60が抜け外れるようになる(図6中、実線で示す状態を参照)。そして上記した構成では、支持部材50が回転移動することで、基部11に対する係止(ロック)が解除されることから、ロック解除用の構造を別途設ける必要がなく、コストアップ抑制に資する構成となる。
【0028】
[一般位置のシート本体]
図2に示す一般位置における車両用シート装置10では、そのシート本体13が車両前向き姿勢とされて、フロントガラス4を臨むように配置されている。また車両用シート装置10では、シート本体13に着座した乗員(図示省略)を、シートバック15の肩口から引き出されたシートベルト18で拘束することができる。そして上記した構成では、車両前突時にシートベルト18が車両前側に引っ張られることで、シート本体13のアンカー部材17、即ち、シートバック15の肩口に前向きの荷重Fが加わるようになる。この種の構成では、上記したように、各種のシート性能(回転性能や乗降性能等)を確保しつつ、前向きの荷重Fの加えられたシート本体13の意図しない動きを抑制することが望まれる。そこで車両用シート装置10では、図5に示すように、一般位置を基準としてシート前側に向かうにつれて次第にシート下側に傾いた支持部材50が、四節リンク機構30(移動装置)の動きを抑制するように基部11と四節リンク機構30とに架設されている。上記した構成では、前向きの荷重Fの加えられたシート本体13等を支持部材50で支持することで、このシート本体13の意図しない動き(過度の前傾等)を抑制できるようになる。そこで以下に、支持部材50の働きをより具体的に説明する。
【0029】
[支持部材の働き]
上記した構成では、図5に示す支持部材50が、前下がりに傾斜した状態(筋交いのような状態)で基部11と四節リンク機構30とに架設されることで、着座部12とシート本体13とをシート下側から受けられるように配置されている。このため、シート本体13に前向きの荷重Fが加えられた場合、このシート本体13と着座部12とを、図5に示すように支持部材50で受け止めて支持することができる。そして図5に示す着座部12を支持部材50で支持することで、基部11と着座部12間に隙100が設けられていたとしても、着座部12が隙100を詰めるように前傾し難くなる。このとき支持部材50は、図6に示すように、その下端部が基部11の受け部60で受けられているため、極力ガタ付かずに着座部12を受け止めることができる。更に支持部材50は、その上端部が四節リンク機構30の第三軸材43に連結されることで、荷重入力時の第三軸材43の動き(図5中、矢線43Aで示す方向への移動)を制限している。これにより、前後のリンク部31,32の上下回動が制限されて、四節リンク機構30の意図しない動き(撓み)を抑制できるようになる。特に四節リンク機構30の第三軸材43は、アンカー部材17の配設位置、即ち、荷重の入力点に最も近い位置に配置されている。このため第三軸材43の動きを支持部材50で制限することで、四節リンク機構30の意図しない動きをより確実に抑制することが可能となる。
【0030】
更に図5に示す車両用シート装置10では、上記したように、支持部材50と後側リンク部32とからトラス構造が形成されている。そしてシート本体13に前向きの荷重Fが加えられた場合、支持部材50には圧縮軸力F1が加わり、後側リンク部32には引張軸力F2が加わるようになる。これにより、支持部材50は、軸力以外の力(例えば曲げ方向の力)が加わり難くなるため、過度の剛性を要しないコンパクトな構成で、着座部12からの荷重を受けられるようになる。
【0031】
こうして上記した構成では、図5に示すように基部11と着座部12間に隙100が設けられていたとしても、支持部材50の働きで、シート本体13の意図しない動き(過度の前傾)を抑制できるようになる。また、支持部材50の働きで、四節リンク機構30の意図しない動き、即ち、各リンク部31,32のシート前後方向及び上下方向の回動(撓み)等をも抑制できるようになる。さらに、シート本体13の動きを抑制することで、そのアンカー部材17の車両前側への移動も抑制できるようになり、EAP(Effective Anchor Point)移動量の低減に資する構成となる。
【0032】
[シート本体の位置変位]
次にシート本体13の位置変位について説明する。先ず、図5に示す一般位置のシート本体13を、回転装置20の働きで乗降位置側に向けて回転移動させる。このとき支持部材50は、四節リンク機構30の第三軸材43のみに軸連結されているため、シート本体13を支持する着座部12と共に乗降位置側に向けて回転移動するようになる。そして図6を参照して、支持部材50が乗降位置側に回転移動することで、その下端部に設けられた係止溝部52から受け部60が抜け外れる。これにより、支持部材50の架設状態が解除されて、図5に示す四節リンク機構30を動かせるようになる。そして支持部材50は、その下端部の摺動部51を基部11に対して摺動させることで、回転移動時の着座部12にスムーズに追従するようになる。
【0033】
つづいて図3及び図6を参照して、シート本体13を支持する着座部12を、支持部材50と共に乗降位置まで回転移動させる。そして図3に示すようにシート本体13が乗降位置に到達することで、このシート本体13がドア開口部5側に向けられる。この状態で四節リンク機構30(移動装置)を作動させて、前後のリンク部31,32を上下回動させる。これにより、シート本体13を前下がり姿勢にしつつドア開口部5側に振り出すことができ、乗降性能を確保できるようになる。なお支持部材50を第三軸材43に上下回動可能に軸連結したことで、上記した後側リンク部32は、支持部材50に極力邪魔されることなく上下回動できるようになる。
【0034】
以上説明した通り本実施例では、一般位置のシート本体13に前向きの荷重が加えられた場合、このシート本体13と着座部12を、基部11と四節リンク機構30(移動装置)とに架設された支持部材50で支持できるようになる。これにより、基部11と着座部12間に隙100が設けられていても、シート本体13の意図しない動き(過度の前傾等)を支持部材50で抑制できるようになる。また支持部材50にて四節リンク機構30の動きが制限されることで、四節リンク機構30の意図しない動き(撓み等)を抑制できるようになる。特に支持部材50にて各リンク部31,32の上下回動を制限することで、四節リンク機構30の意図しない動き、即ち、シート前後及び上下方向の動き(撓み)等をより確実に抑制できるようになる。このため本実施例によれば、シート性能を確保しつつ、荷重が加えられたシート本体13の意図しない動きを極力抑制することができる。
【0035】
更に本実施例では、着座部12を乗降位置に回転移動させて、支持部材50の架設状態を解除することにより、乗降位置において四節リンク機構30(移動装置)を動かせるようになる。また本実施例では、四節リンク機構30(第三軸材43)に連結された支持部材50を、回転装置20の働きで着座部12と共に回転移動させられるようになる。そして支持部材50は、その摺動部51を基部11に対して摺動させながらスムーズに回転移動することができる。そして本実施例では、支持部材50の下端部を基部11の受け部60で受けることで、一般位置の支持部材50を、より安定的に基部11と四節リンク機構30とに架設しておけるようになる。
【0036】
[実施例2の車両用シート装置]
次に図7図9を参照して、実施例2の車両用シート装置10Aについて説明する。この実施例2の車両用シート装置10Aは、実施例1の車両用シート装置と略同一の基本構成を有しているため、実施例2の車両用シート装置10Aでは、実施例1と同一の構成については、対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。そして実施例2の車両用シート装置10Aでは、その移動装置30Aが、シート本体13をスライド移動させられるように構成されている点が実施例1と異なっている。
【0037】
先ず、図7及び図8を参照して、実施例2の車両用シート装置10Aは、実施例1と同様に基部11と着座部12と回転装置20とを備えている。また基部11と着座部12との間には、これらの相対回転を許容する上下の隙100が設けられている。そして着座部12とシート本体13とは、図7に示すように、シート本体13をドア開口部5側にスライド移動させる移動装置30Aにて連結されている。この移動装置30Aは、レール部31Aとスライダ部32Aとから構成することができる。そして一般位置を基準として、シート前後方向に延びるレール部31Aが、基部11の上面に沿って設けられている。またレール部31Aには、シート本体13を傾動可能に支持するスライダ部32Aが摺動可能に連結されている。そしてレール部31Aに対してスライダ部32Aが摺動することで、このスライダ部32Aに支持されたシート本体13が、ドア開口部5側にスライド移動できるように構成されている(図9参照)。
【0038】
また車両用シート装置10Aは、図7及び図9を参照して、スライダ部32Aに支持されたシート本体13を前下がり姿勢に変位させるチルト機構60Aを備えている。このチルト機構60Aは、着座部12に設けられたカム溝部61と、カム溝部61とスライダ部32A間に渡された可動アーム部62と、可動アーム部62とシート本体13とを連結する連結部63とから構成されている。そして一般位置の着座部12には、そのレール部31Aのシート下側にカム溝部61が設けられている。このカム溝部61は、着座部12の上面に沿うようにシート前後方向に延びる直線部位610と、この直線部位610の前端に連続する曲げ部位611とを有している。そして曲げ部位611は、シート前側に向かうにつれて次第にレール部31Aから離れるようにシート下側に曲げられている。
【0039】
また図7に示す可動アーム部62は、帯板状に形成されていると共に、その下端部に軸支されたカム71が、カム溝部61の直線部位610に噛合している。また可動アーム部62は、その上端部に向かうにつれて次第にシート後側に傾倒した基本姿勢とされていると共に、その上端部が、スライダ部32Aの後部に上軸材72を介して上下回動可能に軸連結されている。この可動アーム部62は、基本姿勢で維持された状態で、カム溝部61の直線部位610に沿って移動する。そして可動アーム部62は、カム溝部61の曲げ部位611の先端に向かって移動するに従って、次第に基本姿勢からドア開口部側且つ上側に立ち上がるようになる(図9参照)。
【0040】
また図7に示す連結部63は、上記した可動アーム部62を、シート本体13に設けられた固定アーム部66に連結する部位であり、前リンク64と後リンク65とから構成されている。この固定アーム部66は、可動アーム部62と略並行に延びる帯板状の部位であり、シート本体13の後端部に固定されている。そして連結部63では、固定アーム部66と可動アーム部62とに、ほぼ等しい長さの前後のリンク64、65が渡されて上下回動可能に軸支されることで四節リンクを構成している。
【0041】
[支持部材]
そして図7及び図8を参照して、車両用シート装置10Aにおいても、シート前側に向かうにつれて次第にシート下側に傾いた支持部材50Aが、移動装置30Aの動きを抑制するように基部11と移動装置30Aとに架設されている。この移動装置30Aの動きを規制するとは、スライダ部32Aのスライド移動を規制することを意味する。そして支持部材50Aは、スライダ部32A及び可動アーム部62(連結部63を含む)のいずれかと、基部11とに架設されることで、スライダ部32Aのスライド移動を規制できるようになる。
【0042】
例えば図7に示す支持部材50Aは、その上端部が、上記した移動装置30Aの上軸材72に上下回動可能に軸支されている。そして一般位置の支持部材50Aは、図7及び図8を参照して、上軸材72からシート前側且つ下側に傾斜しつつ基部11側に延びることで、上軸材72(移動装置30A)と基部11の受け部60とに架設された状態となっている。上記した構成によれば、車両前突時に前向きの荷重Fが加えられたシート本体13を、基部11と移動装置30Aとに架設された支持部材50Aで受け止めて支持することができる。そしてシート本体13を支持部材50で支持することで、基部11と着座部12間に隙100が設けられていたとしても、着座部12が隙100を詰めるように前傾し難くなる。
【0043】
更に図7に示す支持部材50は、その上端部が移動装置30Aの上軸材72に連結されることで、荷重入力時の上軸材72の動きを制限している。これにより、スライダ部32Aのスライド移動が制限されて、移動装置30Aの意図しない動き、即ち、シート前後方向の動き(ガタつき)等をより確実に抑制できるようになる。特に四節リンク機構30の第三軸材43は、アンカー部材17の配設位置(荷重の入力点)に最も近い位置に配置されている。このため第三軸材43の動きを支持部材50で制限することで、移動装置30Aの意図しない動きをより確実に抑制することが可能となる。
【0044】
[シート本体の位置変位]
次に図7図9を参照して、シート本体13の位置変位について説明する。本実施例においても、回転装置20の働きにより、シート本体13を、一般位置から乗降位置に回転移動させることができる。また支持部材50Aは、移動装置30Aの上軸材72のみに軸連結されているため、シート本体13を支持する着座部12と共に乗降位置側に向けて回転移動するようになる。そして支持部材50Aが乗降位置側に回転移動することで、その下端部に設けられた係止溝部52から受け部60が抜け外れる。これにより、支持部材50Aの架設状態が解除されて、移動装置30Aを動かせるようになる。また支持部材50Aは、その下端部の摺動部51を基部11に対して摺動させることで、回転移動時の着座部12にスムーズに追従するようになる。
【0045】
そして図9を参照して、着座部12が乗降位置に到達したのち、レール部31Aに沿ってスライダ部32Aをスライド移動させることで、シート本体13をドア開口部5側に移動させる。このとき車両用シート装置10Aでは、チルト機構60Aによって、シート本体13を前下がり姿勢にしつつ、ドア開口部5側に振り出すことができる。即ち、スライダ部32Aがドア開口部5側にスライド移動することで、このスライダ部32Aに軸連結された可動アーム部62が、カム溝部61の曲げ部位611に沿って移動する。これにより、可動アーム部62が、基本姿勢よりもシート上側に立ち上がるようになる。そして可動アーム部62に連結された固定アーム部66もシート上側に立ち上がることで、この固定アーム部66の固定されたシート本体13の後端部が上昇するようになる。これにより、シート本体13を前下がり姿勢にしつつドア開口部5側に振り出すことができ、乗降性能を確保できるようになる。
【0046】
本実施形態の車両用シート装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、支持部材の構成を例示したが、支持部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば支持部材は、一般位置において基部と移動装置とに架設できればよく、移動装置のみに連結される必要はない。即ち、支持部材は、着座部と基部の双方、又は基部のみに連結することができる。そして着座部と基部の双方に支持部材を連結する場合、基部に対する支持部材の連結状態を解除する機構を別途設けることが望ましい。また基部のみに支持部材を連結する場合、この支持部材を、着座部の回転移動の邪魔にならないように、着座部の回転移動経路外に移動させる機構(例えば支持部材を起倒させる機構)を別途設けることが望ましい。なお支持部材の形状として、帯板状のほか、移動装置と基部とに架設可能な各種の形状を採用できる。また摺動部として、縦向きのローラ状の部材のほか、ボールローラなどの各種の構造を採用できる。また基部にレールを設け、このレールに摺動部を摺動可能に連結することもできる。なお支持部材の下端部が基部上を回転移動できるならば、必ずしも摺動部を設ける必要はない。また基部の受け部として、ローラ状の部材のほか、立壁状の部位(基部上の凸部や、基部に設けた凹部の内壁面)など各種の構造を採用できる。なお支持部材の下端部のシート前側に立壁状の受け部を設けて、支持部材の下端部を受け部に突き当てておくこともできる。この場合には支持部材から係止溝部を省略できる。なお支持部材の下端部を基部に安定的に配置できるならば、受け部を省略することもできる。
【0047】
また本実施形態では、移動装置と回転装置の構成を例示したが、各装置の構成を限定する趣旨ではない。例えば移動装置は、シート本体をドア開口部側に移動させる構成を有しておればよく、必ずしもシート本体を前下がり姿勢にする構成を有する必要はない。また回転装置の機構として、基部と着座部とをリンクを介して回転移動させる機構を採用することができる。そして車両用シート装置は、車室内の適宜の位置に設置でき、一人用や複数人用のシート本体を有していてもよい。またシート本体に前向きの荷重が加えられる構成として、シート本体に設けたアンカー部材にシートベルトを取り付ける例を説明したが、当該構成を限定する趣旨ではない。例えばシート本体上にチャイルドシートなどの他部材を設置する場合、この他部材との連結箇所(例えばISOFIXバーとの連結箇所)を通じてシート本体に前向きの荷重が加わることが想定される。
【符号の説明】
【0048】
2 車両
2R 車室
3 車両フロア
4 フロントガラス
5 ドア開口部
6 前後スライド装置
7 ロアレール
8 アッパレール
10 車両用シート装置
11 基部
12 着座部
12F ベースフレーム
13 シート本体
14 シートクッション
14F クッションフレーム
15 シートバック
16 リクライナ
17 アンカー部材
18 シートベルト
19 バックル部材
20 回転装置
21 内輪
22 外輪
30 四節リンク機構(実施例1の移動装置)
31 前側リンク部
32 後側リンク部
41 第一軸材
42 第二軸材
43 第三軸材
44 第四軸材
50 支持部材
51 摺動部
52 係止溝部
60 受け部
61 カム溝部
62 可動アーム部
63 連結部
64 前リンク
65 後リンク
66 固定アーム部
71 カム
72 上軸材
10A (実施例2の)車両用シート装置
30A (実施例2の)移動装置
31A レール部
32A スライダ部
50A (実施例2の)支持部材
60A チルト機構
610 直線部位
611 曲げ部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9