(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088057
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】12型コラーゲン産生促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20240625BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240625BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240625BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240625BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20240625BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240625BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240625BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240625BHJP
A61K 36/52 20060101ALI20240625BHJP
A61K 36/65 20060101ALI20240625BHJP
A61K 36/35 20060101ALI20240625BHJP
A61K 36/8968 20060101ALI20240625BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20240625BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20240625BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240625BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61K36/185
A61Q19/08
A61Q19/00
A61K8/9789
A61K8/9794
A61K8/49
A61K8/67
A61P17/00
A61K36/52
A61K36/65
A61K36/35
A61K36/8968
A61K36/28
A61K36/73
A61K31/455
A61P43/00 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203032
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本郷 麻耶
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC442
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD012
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD112
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4C083AD352
4C083AD572
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD662
4C083CC02
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
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4C086NA05
4C086ZA89
4C086ZB22
4C088AB12
4C088AB26
4C088AB51
4C088AB58
4C088AB85
4C088AC01
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA02
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA05
4C088ZA89
4C088ZB22
(57)【要約】
【課題】線維芽細胞において12型コラーゲンの産生を促進する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】クルミ科植物の抽出物、ボタン科植物の抽出物、シナノキ科植物の抽出物、レンプクソウ科植物の抽出物、ユリ科植物の抽出物、キク科植物の抽出物、マタタビ科植物の抽出物及びバラ科植物の抽出物から選択される一種又は二種以上の抽出物を用いて、線維芽細胞における12型コラーゲンの産生を促進させる。クルミ科植物の抽出物としては、コウキエキスが好ましく、ボタン科植物の抽出物としてはシャクヤクエキスが好ましい。また、これらの12型コラーゲン産生促進剤は、ナイアシンアミド等の1型コラーゲン産生促進剤と好ましく併用することができ、これらを含有する組成物は抗老化用途とすることが好適である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クルミ科植物の抽出物、ボタン科植物の抽出物、シナノキ科植物の抽出物、レンプクソウ科植物の抽出物、ユリ科植物の抽出物、キク科植物の抽出物、マタタビ科植物の抽出物及びバラ科植物の抽出物から選択される一種又は二種以上の抽出物を含有する、12型コラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
クルミ科植物の抽出物及び/又はボタン科植物の抽出物を含有する、請求項1に記載の12型コラーゲン産生促進剤。
【請求項3】
前記クルミ科植物の抽出物がコウキエキスであり、前記ボタン科植物の抽出物がシャクヤクエキスであり、前記シナノキ科植物の抽出物がセイヨウシナノキエキスであり、前記レンプクソウ科植物の抽出物がセイヨウニワトコエキスであり、前記ユリ科植物の抽出物がバクモンドウエキスであり、前記キク科植物の抽出物がアルニカエキスであり、前記マタタビ科植物の抽出物がキウイエキスであり、前記バラ科植物の抽出物がセイヨウナシエキスである、請求項1に記載の12型コラーゲン産生促進剤。
【請求項4】
請求項1に記載の12型コラーゲン産生促進剤と、1型コラーゲン産生促進剤とを含有する、組成物。
【請求項5】
前記1型コラーゲン産生促進剤がナイアシンアミドを含有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
抗老化用である請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
化粧料である、請求項6に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は12型コラーゲン産生促進剤に関し、さらにこれを含有する抗老化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚を構成する真皮層には細胞外マトリクスを構成するタンパク質の一つであるコラーゲンが存在し、肌のハリや弾力を維持する役割を担っている。中でも、1型コラーゲンは線維状構造をとり真皮構造を維持するのに特に重要である。1型コラーゲンが肌のハリや弾力を維持するには、その量を維持するだけではなく構造を保つことが必要となる。12型コラーゲンはそれ自身では線維を形成することはないが、他のコラーゲン線維を修飾するFACITコラーゲンの一種である。1型コラーゲンの線維束は、12型コラーゲンにより束ねられ、その構造が保たれ、その結果肌のハリや弾力が維持される(非特許文献1)。しかしながら、12型コラーゲンは加齢や紫外線照射に伴い減少するため、肌がハリや弾力を失い、タルミが生じて、肌の老化が進行してしまうことが分かっている。
そのため、12型コラーゲンの産生を促進するペプチド成分が研究されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nishiyama T et al., J. Bio. Chem., 269, 28193-28199 (1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
肌のタルミは顔の印象に大きく影響するため、肌のハリや弾力を向上させ、アンチエイジング効果をもたらす化粧料の需要は大きい。そのため、1型コラーゲンの構造を維持するために必要な12型コラーゲンの産生を促進する成分については、特許文献1のように研究がなされているが、その効果は必ずしも十分とはいえない。また、近年の自然派志向から、植物から取得された成分への期待は大きい。
【0006】
かかる状況において、本発明は線維芽細胞において12型コラーゲンの産生を促進する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の植物抽出物が12型コラーゲンの産生を促進することを見出し、それらが好ましくは1型コラーゲン産生促進剤と組み合わせることにより抗老化効果をもたらすことに想到し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]クルミ科植物の抽出物、ボタン科植物の抽出物、シナノキ科植物の抽出物、レンプクソウ科植物の抽出物、ユリ科植物の抽出物、キク科植物の抽出物、マタタビ科植物の抽出物及びバラ科植物の抽出物から選択される一種又は二種以上の抽出物を含有する、12型コラーゲン産生促進剤。
[2]クルミ科植物の抽出物及び/又はボタン科植物の抽出物を含有する、[1]に記載
の12型コラーゲン産生促進剤。
[3]前記クルミ科植物の抽出物がコウキエキスであり、前記ボタン科植物の抽出物がシャクヤクエキスであり、前記シナノキ科植物の抽出物がセイヨウシナノキエキスであり、前記レンプクソウ科植物の抽出物がセイヨウニワトコエキスであり、前記ユリ科植物の抽出物がバクモンドウエキスであり、前記キク科植物の抽出物がアルニカエキスであり、前記マタタビ科植物の抽出物がキウイエキスであり、前記バラ科植物の抽出物がセイヨウナシエキスである、[1]又は[2]に記載の12型コラーゲン産生促進剤。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の12型コラーゲン産生促進剤と、1型コラーゲン産生促進剤とを含有する、組成物。
[5]前記1型コラーゲン産生促進剤がナイアシンアミドを含有する、[4]に記載の組成物。
[6]抗老化用である[4]又は[5]に記載の組成物。
[7]化粧料である、[6]に記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、線維芽細胞において12型コラーゲンの産生を促進させる成分が提供される。また、本発明の12型コラーゲン産生促進剤は、1型コラーゲン産生促進剤と組み合わせることにより、優れたハリ・弾力向上効果をもたらすため、これらを含有する組成物は好ましく抗老化用途に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】コウキエキスとナイアシンアミドとを含有する化粧料を肌に4週間連用した被験者における、連用前後の頬の粘弾性の変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の12型コラーゲン産生促進剤は、クルミ科植物の抽出物、ボタン科植物の抽出物、シナノキ科植物の抽出物、レンプクソウ科植物の抽出物、ユリ科植物の抽出物、キク科植物の抽出物、マタタビ科植物の抽出物及びバラ科植物からなる群から選択される一種又は二種以上を含有する。
クルミ科植物としては、黄杞属植物が好ましく、コウキ(黄杞;Engelhardtia chrysolepis)がより好ましい。クルミ科植物の抽出物としては、コウキの抽出物であるコウキエキスが特に好ましい。
ボタン科植物としては、ボタン属植物が好ましく、シャクヤク(芍薬;Paeonia lactiflora)がより好ましい。ボタン科植物の抽出物としては、シャクヤクの抽出物であるシャクヤクエキスが特に好ましい。
シナノキ科植物としては、シナノキ属植物が好ましく、セイヨウシナノキ(Tilia europaea)がより好ましい。シナノキ科植物の抽出物としては、セイヨウシナノキの抽出物であるセイヨウシナノキエキスが特に好ましい。
レンプクソウ科植物としては、ニワトコ属植物が好ましく、セイヨウニワトコ(Sambucus nigra)がより好ましい。レンプクソウ科植物の抽出物としては、セイヨウニワトコの抽出物であるセイヨウニワトコエキスが特に好ましい。
ユリ科植物としては、ジャノヒゲ属植物が好ましく、ジャノヒゲ(麦門冬;Opiopogon japonicus)がより好ましい。ユリ科植物の抽出物としては、ジャノヒゲの根の抽出物で
あるバクモンドウエキスが特に好ましい。
キク科植物としては、ウサギギク属植物が好ましく、アルニカ(Arnica montana)がより好ましい。キク科植物の抽出物としては、アルニカの抽出物であるアルニカエキスが特に好ましい。
マタタビ科植物としては、マタタビ属植物が好ましく、キウイ(Actinidia chinensis
)がより好ましい。マタタビ科植物の抽出物としては、キウイの抽出物であるキウイエキスが特に好ましい。
バラ科植物としては、ナシ属植物が好ましく、セイヨウナシ(Pyrus communis)がより好ましい。バラ科植物の抽出物としては、セイヨウナシの抽出物であるセイヨウナシエキスが特に好ましい。
これらのうち、コウキエキス及び/又はシャクヤクエキスを用いることが特に好ましい。
【0012】
上記抽出物は、抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物又は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとする。また、抽出物の発酵物であってもよい。
【0013】
また、抽出物としては、通常化粧料や医薬品等の皮膚外用剤や経口摂取組成物に用いられるものであればよく、植物体から常法により抽出されたものを用いることができる。
抽出元としては、例えば、植物の全体を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花、花蕾、果実、果汁等の部位を用いて抽出操作に供される。
【0014】
抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される一種又は二種以上が好適に用いられる。
【0015】
具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位又はその乾燥物1重量部に対して、溶媒を1~30重量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
【0016】
クルミ科植物の抽出物、ボタン科植物の抽出物、シナノキ科植物の抽出物、レンプクソウ科植物の抽出物、ユリ科植物の抽出物、キク科植物の抽出物、マタタビ科植物の抽出物及びバラ科植物の抽出物は、いずれも線維芽細胞において12型コラーゲン遺伝子の発現を亢進させ、その結果12型コラーゲンの産生を促進する作用を有する。すなわち、これらの抽出物はそれぞれ、12型コラーゲン産生促進剤の有効成分である。
【0017】
なお、任意の物質の12型コラーゲン産生促進作用は、対象物質を添加した細胞における12型コラーゲンの遺伝子発現量が、添加しなかった細胞における発現量よりも大きいこと、通常110%以上、好ましくは120%以上、より好ましくは130%以上となることにより確認することができる。12型コラーゲンの発現量は、例えば、12型コラーゲン遺伝子の塩基配列に特異的に結合する配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行い、mRNA量を測定することにより行うことができる。また、例えば、12型コラーゲンタンパク質の存在量を、常法により定量的に測定して、12型コラーゲンの発現量としてもよい。
【0018】
12型コラーゲンは肌のハリ・弾力を司る1型コラーゲンの線維を束ねてその構造を維持する役割を持つ。そのため、一般に加齢や紫外線照射により減少する12型コラーゲンの産生量を増加させることは、1型コラーゲン線維束による肌のハリ・弾力を維持又は向上させることにつながるため、12型コラーゲン産生促進剤は抗老化用組成物に好適に配合し得る。ここで抗老化とは、加齢による老化や、光(紫外線)老化に対して抗い、肌のタルミを抑制し若々しく維持することをいう。
また、12型コラーゲンが束ねる1型コラーゲン量を増加させることもまた肌のハリ・弾力を維持又は向上させることにつながるため、1型コラーゲンの産生を促進させる成分は本発明の12型コラーゲン産生促進剤と好ましく併用できる。
【0019】
1型コラーゲンの産生を促進させる成分、すなわち1型コラーゲン産生促進剤の有効成分としては、特に限定されず、既知の成分又は将来見出される成分を任意に用いることができる。
例えば、ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)が好ましく挙げられる。
特に好ましい態様では、ナイアシンアミドと、コウキエキス及び/又はシャクヤクエキスとを併用して組成物に含有させる。
【0020】
本発明の12型コラーゲン産生促進剤におけるクルミ科植物の抽出物、ボタン科植物の抽出物、シナノキ科植物の抽出物、レンプクソウ科植物の抽出物、ユリ科植物の抽出物、キク科植物の抽出物、マタタビ科植物の抽出物及びバラ科植物の抽出物から選択される一種又は二種以上の植物抽出物、特に好ましくはコウキエキス、シャクヤクエキス、セイヨウシナノキエキス、セイヨウニワトコエキス、バクモンドウエキス、アルニカエキス、キウイエキス、及びセイヨウナシエキスから選択される一種又は二種以上を組成物に含有させるときの量は、組成物全体に対して、固形分換算で0.00001~0.09重量%が好ましく、0.00005~0.03重量%がより好ましく、0.0001~0.003重量%がさらに好ましい。
また、12型コラーゲン産生促進剤と併用する1型コラーゲン産生促進剤を組成物に含有させるときの量は、特に限定されずその成分に適した量とすればよい。例えば、ナイアシンアミドを組成物に配合するときの量は、組成物全体に対して、0.01~24重量%が好ましく、0.1~12重量%がより好ましく、1~6重量%がさらに好ましい。
各含有量を上記範囲とすることで所望の効果を得やすく、また処方設計の自由度を確保できる。
なお、上記含有量は、後述する投与経路や含有させる組成物の態様に合わせて適宜調整することができる。
【0021】
本発明の12型コラーゲン産生促進剤の投与経路は、経皮、経口、経鼻、静脈注射等、特に限定されないが、経皮投与されることが好ましい。なお、ここで「投与」は「摂取」と置換されてもよい。
投与量としては、特に限定されないが、所望の効果と安全性とを考慮して、クルミ科植物の抽出物、ボタン科植物の抽出物、シナノキ科植物の抽出物、レンプクソウ科植物の抽出物、ユリ科植物の抽出物、キク科植物の抽出物、マタタビ科植物の抽出物及びバラ科植物の抽出物から選択される一種又は二種以上の植物抽出物の総量として、固形分換算で0.3~300μg/日を1回又は数回に分けて摂取されることが好ましい。また、単回摂取する他に、連続的に又は断続的に数週間~数か月の間摂取することが好ましい。
【0022】
本発明の12型コラーゲン産生促進剤を経皮投与で摂取する場合は、皮膚外用組成物とすることが好ましい。
皮膚外用組成物の態様としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特に限定されないが、化粧料(医薬部外品を含む)、医薬品等が好ましく挙げられ、化粧料がより好ましく、抗老化用化粧料とすることが特に好ましい。
皮膚外用組成物を塗布する部位は特に限定されないが、通常は顔面、四肢、首、デコルテである。
【0023】
皮膚外用組成物の剤型としては、例えば、ローション剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、オイル剤型、ジェル剤型、パック、洗浄料等が挙げられ、特に限定されない。
また、皮膚外用組成物の態様としては、リーブオンタイプ、リーブオフタイプのいずれでも構わない。
【0024】
本発明の組成物を皮膚外用組成物の態様とする場合、その製造に際しては、化粧料、医薬部外品、医薬品などの製剤化で通常使用される成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシルなどのエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油などのトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、レチノイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を任意に配合することができる。
【実施例0025】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
<参考例1>
以下の手順で、各種エキスを調製した。
コウキエキス:乾燥したクルミ科黄杞属コウキの葉を粉砕し、10倍量の30%エタノール水溶液を加えて、還流して抽出した液を、凍結乾燥により粉末化した。
シャクヤクエキス:乾燥したボタン科ボタン属シャクヤクの花を粉砕し、10倍量の30%エタノール水溶液を加えて、還流して抽出した液を、凍結乾燥により粉末化した。
セイヨウシナノキエキス:乾燥したシナノキ科シナノキ属セイヨウシナノキの花を粉砕し、10倍量の30%エタノール水溶液を加えて、還流して抽出した液を、凍結乾燥により粉末化した。
セイヨウニワトコエキス:乾燥したレンプクソウ科ニワトコ属セイヨウニワトコの花を粉砕し、10倍量の30%エタノール水溶液を加えて、還流して抽出した液を、凍結乾燥により粉末化した。
バクモンドウエキス:乾燥したユリ科ジャノヒゲ属ジャノヒゲの根を粉砕し、10倍量の30%エタノール水溶液を加えて、還流して抽出した液を、凍結乾燥により粉末化した。
アルニカエキス:乾燥したキク科ウサギギク属アルニカの花を粉砕し、10倍量の30%エタノール水溶液を加えて、還流して抽出した液を、凍結乾燥により粉末化した。
キウイエキス:乾燥したマタタビ科マタタビ属キウイの果実から搾汁し、10倍量の30%エタノール水溶液を加えて、還流して抽出した液を、凍結乾燥により粉末化した。
セイヨウナシエキス:乾燥したバラ科ナシ属セイヨウナシの果実から搾汁し、10倍量の30%エタノール水溶液を加えて、還流して抽出した液を、凍結乾燥により粉末化した。
【0027】
<試験例1>線維芽細胞における各種エキスの12型コラーゲン遺伝子発現量への影響の検討
以下の手順で、被験エキスを添加した線維芽細胞における12型コラーゲン遺伝子発現量を測定した。
10%FBS入りDMEM培地を24ウェルプレートに500μL/ウェルずつ入れ、そこにヒト正常線維芽細胞(新生児、Asian/Caucasian、Lifeline Cell Technology、Lot
No.05884)を4×104cells/ウェルずつ播種し、37℃・5%CO2環境下で
24時間培養した。培養後、培地を除去し、被験エキスを固形分終濃度が0.1重量%になるように添加した1%FBS入りDMEM培地500μLに交換して、37℃・5%CO2環境下でさらに48時間培養した。培養後に細胞をPBSで洗浄して回収し、QIAshr
edder、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてQIAcube(QIAGEN社製)にてRNAを抽
出した。抽出したRNAをSuperScript VILO cDNA Synthesis Kit(Invitrigen社製)を
用いてcDNA化し、Fast SYBR Green Master Mix(Applied Biosystems社製)にてqRT-PCRを行った。Hs_ COL12A1_1_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT00017206)を用
いて12型コラーゲン遺伝子の、Hs_ACTB_2_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT01680476)を用いて内在性コントロールとしてβ-Actin遺伝子の、各発現量を測定した。
被験エキスとしては、いずれも参考例の方法で調製したものを用いた。
【0028】
表1に、各エキスを添加した線維芽細胞における12型コラーゲンのmRNA発現量を、溶媒対照(コントロール)の線維芽細胞における該遺伝子のmRNA発現量を1とした場合の相対値で示した。
いずれのエキスを添加した線維芽細胞においても、12型コラーゲンのmRNA発現量がコントロールに対して有意に増加することが認められた。特に、コウキエキス及びシャクヤクエキスにおいて、優れた増加が認められた。
【0029】
【0030】
<試験例2>コウキエキス及びナイアシンアミドを含有する化粧料の連用試験
表2に示す組成で化粧料を調製し、被験者24名に前記化粧料を1日2回、4週間継続して顔に塗布してもらった。連用試験開始前及び連用4週間後に、Cutometer MPA580(インテグラル社)を用いて被験者の頬部の粘弾性を測定した。
【0031】
【0032】
結果を
図1に粘弾性の測定値の結果を示す。コウキエキス及びナイアシンアミドを含有する化粧料の連用により頬部の粘弾性が有意に向上することが示された。
本発明により、線維芽細胞において12型コラーゲンの産生を促進させる成分が提供される。また、かかる成分を組成物に含有させることにより抗老化用組成物とすることができる。これらの発明は、肌の美しさを求める消費者の需要に応えるものであり、産業上非常に有用である。