(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088065
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】バラ積貨物按分処理装置、バラ積貨物按分処理方法、及び、バラ積貨物按分処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20240625BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G06Q10/087
B65G61/00 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203045
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱近 真夢
(72)【発明者】
【氏名】春日 優希
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】バラ積貨物の全量の入庫が完了していない状態でも、荷主毎の予定数量に対する実績数量の把握及び管理を可能とする。
【解決手段】比較部が、包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物であるバラ積貨物の予定入庫数量、及び、実際に入庫したバラ積貨物の数量である実績当日入庫数量を比較する。算出部は、実績当日入庫数量が予定入庫数量に満たない比較結果が得られた際に、実績当日入庫数量に対して、各荷主の予定数量を予定入庫数量で除算処理した値である、各荷主の予定数量に対応する按分係数をそれぞれ乗算処理することで、実績当日入庫数量に対応する各荷主の数量である実績按分数量を算出する。データ生成部は、算出された荷主毎の実績按分数量を各荷主の実績数量として含む荷主別在庫データを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物であるバラ積貨物の予定入庫数量、及び、実際に入庫した前記バラ積貨物の数量である実績当日入庫数量を比較する比較部と、
前記実績当日入庫数量が前記予定入庫数量に満たない比較結果が前記比較部から得られた際に、前記実績当日入庫数量に対して、各荷主の予定数量を前記予定入庫数量で除算処理した値である、各荷主の予定数量に対応する按分係数をそれぞれ乗算処理することで、前記実績当日入庫数量に対応する各荷主の数量である実績按分数量を算出する算出部と、
算出された荷主毎の前記実績按分数量を各荷主の実績数量として含む荷主別在庫データを生成するデータ生成部と、
を有するバラ積貨物按分処理装置。
【請求項2】
算出された各荷主の前記実績按分数量が、各荷主の予定数量に満たない場合、前記比較部は、再度、バラ積貨物が入庫した際に、再度の入庫に対応する実績当日再入庫数量及び前記実績当日入庫数量を加算処理した加算数量と前記予定入庫数量とを比較し、
前記算出部は、前記実績当日再入庫数量及び前記実績当日入庫数量を加算処理した前記加算数量が前記予定入庫数量よりも多いことを示す比較結果が前記比較部から得られた場合、各荷主の前記予定数量と前記実績按分数量との差分となる予定補完数量をそれぞれ算出すると共に、算出した各荷主の前記予定補完数量及び各荷主の前記実績按分数量をそれぞれ加算処理することで各荷主の前記予定数量に相当する前記実績数量を算出し、
前記データ生成部は、前記実績数量として、前記予定数量に相当する実績数量を含む前記荷主別在庫データを生成すること、
を特徴とする請求項1に記載のバラ積貨物按分処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記実績当日再入庫数量及び前記実績当日入庫数量を加算処理した前記加算数量と、前記予定入庫数量との差分である超過数量を算出し、
前記データ生成部は、代表荷主を示す情報が記憶されている記憶部を参照することで、前記各荷主のうち、代表荷主を検出し、各荷主の前記実績数量のうち、前記代表荷主の実績数量に前記超過数量を加算処理した実績数量を含む前記荷主別在庫データを生成すること、
を特徴とする請求項2に記載のバラ積貨物按分処理装置。
【請求項4】
算出された各荷主の前記実績按分数量が、各荷主の予定数量に満たない場合、前記比較部は、再度、バラ積貨物が入庫した際に、再度の入庫に対応する実績当日再入庫数量及び前記実績当日入庫数量を加算処理した加算数量と前記予定入庫数量とを比較し、
前記算出部は、実績当日再入庫数量及び前記実績当日入庫数量を加算処理した加算数量よりも前記予定入庫数量が多いことを示す比較結果が前記比較部から得られた場合、各荷主の各前記按分係数を前記実績当日再入庫数量にそれぞれ乗算処理することで、荷主毎の実績再按分数量を算出すると共に、算出した各荷主の実績再按分数量を、各荷主の前記実績按分数量にそれぞれ加算処理することで各荷主の前記実績数量を算出し、
前記データ生成部は、算出された各荷主の前記実績数量を含む前記荷主別在庫データを生成すること、
を特徴とする請求項1に記載のバラ積貨物按分処理装置。
【請求項5】
前記データ生成部は、前記バラ積貨物の入庫日、及び、前記入庫日別の前記実績按分数量を含む按分画面の按分画面データを生成し、
前記按分画面データに基づいて、前記バラ積貨物の入庫日、及び、前記入庫日別の前記実績按分数量を含む前記按分画面を表示部に表示する表示制御部を、さらに備えること、
を特徴とする請求項1から請求項4のうち、いずれか一項に記載のバラ積貨物按分処理装置。
【請求項6】
比較部が、包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物であるバラ積貨物の予定入庫数量、及び、実際に入庫した前記バラ積貨物の数量である実績当日入庫数量を比較する比較ステップと、
算出部が、前記実績当日入庫数量が前記予定入庫数量に満たない比較結果が前記比較ステップで得られた際に、前記実績当日入庫数量に対して、各荷主の予定数量を前記予定入庫数量で除算処理した値である、各荷主の予定数量に対応する按分係数をそれぞれ乗算処理することで、前記実績当日入庫数量に対応する各荷主の数量である実績按分数量を算出する算出ステップと、
データ生成部が、算出された荷主毎の前記実績按分数量を各荷主の実績数量として含む荷主別在庫データを生成するデータ生成ステップと、
を有するバラ積貨物按分処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物であるバラ積貨物の予定入庫数量、及び、実際に入庫した前記バラ積貨物の数量である実績当日入庫数量を比較する比較部と、
前記実績当日入庫数量が前記予定入庫数量に満たない比較結果が前記比較部から得られた際に、前記実績当日入庫数量に対して、各荷主の予定数量を前記予定入庫数量で除算処理した値である、各荷主の予定数量に対応する按分係数をそれぞれ乗算処理することで、前記実績当日入庫数量に対応する各荷主の数量である実績按分数量を算出する算出部と、
算出された荷主毎の前記実績按分数量を各荷主の実績数量として含む荷主別在庫データを生成するデータ生成部として機能させること、
を特徴とするバラ積貨物按分処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ積貨物按分処理装置、バラ積貨物按分処理方法、及び、バラ積貨物按分処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、例えば輸入貨物等の種別として、バラ積貨物が知られている。このバラ積貨物は、例えば麦、石炭、石油等の、包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物である。
【0003】
特許文献1(特開2007-334725号公報)には、荷物毎の輸送途中での荷積み、荷下しの把握及び管理を容易化でき、また、荷物毎の実輸送量及び実燃料消費量をリアルタイムに計測可能とした荷物運送車両が開示されている。
【0004】
この荷物運送車両は、個々の荷物に、それぞれICタグを取り付け、荷積み又は荷下ろしの際に、車両に設けられたICタグリーライタでICタグに対する書き込み又は読み取りを行い、荷物毎の輸送途中での荷積み、荷下ろしの時刻と輸送距離の把握を行う。重量の大きいものは、車両に装備した積載重量計にて荷物毎の重量を計測し、軽量のものは手持ち小型重量計で荷物毎の重量を精度よく計測する。そして、車両に装備されているデジタルタコメータにより、荷物毎の輸送距離を求め、これと荷物毎の重量の計測結果より、処理装置7が荷物毎の輸送量(=荷物毎の重量×荷物毎の輸送距離)を自動算出する。
【0005】
また、この荷物運送車両は、燃料計で測定した燃料の量に基づいて、荷積み、荷下ろし区間での全体の燃料消費量を把握し、処理装置により、その荷物の輸送区間での積載荷物毎に重量按分処理して、その荷物の輸送に要した燃料消費量を算出する。これにより、荷物毎の輸送途中での荷積み、荷下しの把握及び管理を容易化でき、また、荷物毎の実輸送量及び実燃料消費量をリアルタイムに計測可能とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、バラ積貨物は、荷揚げした状態のままタンクへ入庫させるため、入庫途中に荷主毎の実績数量を把握することは困難である。また、バラ積貨物は、一度に大量に輸送されるため、全ての貨物の入庫が完了するまでに数日を要することもあり、全量の入庫が完了するまでの間、荷主毎の予定数量に対する実績数量の把握が困難となる問題があった。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、バラ積貨物の全量の入庫が完了していない状態でも、荷主毎の予定数量に対する実績数量の把握を可能としたバラ積貨物按分処理装置、バラ積貨物按分処理方法、及び、バラ積貨物按分処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るバラ積貨物按分処理装置は、包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物であるバラ積貨物の予定入庫数量、及び、実際に入庫したバラ積貨物の数量である実績当日入庫数量を比較する比較部と、実績当日入庫数量が予定入庫数量に満たない比較結果が比較部から得られた際に、実績当日入庫数量に対して、各荷主の予定数量を予定入庫数量で除算処理した値である、各荷主の予定数量に対応する按分係数をそれぞれ乗算処理することで、実績当日入庫数量に対応する各荷主の数量である実績按分数量を算出する算出部と、算出された荷主毎の実績按分数量を各荷主の実績数量として含む荷主別在庫データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0010】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るバラ積貨物按分処理方法は、比較部が、包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物であるバラ積貨物の予定入庫数量、及び、実際に入庫したバラ積貨物の数量である実績当日入庫数量を比較する比較ステップと、算出部が、実績当日入庫数量が予定入庫数量に満たない比較結果が比較ステップで得られた際に、実績当日入庫数量に対して、各荷主の予定数量を予定入庫数量で除算処理した値である、各荷主の予定数量に対応する按分係数をそれぞれ乗算処理することで、実績当日入庫数量に対応する各荷主の数量である実績按分数量を算出する算出ステップと、データ生成部が、算出された荷主毎の実績按分数量を各荷主の実績数量として含む荷主別在庫データを生成するデータ生成ステップと、を有する。
【0011】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るバラ積貨物按分処理プログラムは、コンピュータを、包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物であるバラ積貨物の予定入庫数量、及び、実際に入庫したバラ積貨物の数量である実績当日入庫数量を比較する比較部と、実績当日入庫数量が予定入庫数量に満たない比較結果が比較部から得られた際に、実績当日入庫数量に対して、各荷主の予定数量を予定入庫数量で除算処理した値である、各荷主の予定数量に対応する按分係数をそれぞれ乗算処理することで、実績当日入庫数量に対応する各荷主の数量である実績按分数量を算出する算出部と、算出された荷主毎の実績按分数量を各荷主の実績数量として含む荷主別在庫データを生成するデータ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、バラ積貨物の全量の入庫が完了していない状態でも、荷主毎の予定数量に対する実績数量の把握及び管理を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態のバラ積貨物按分処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本船別入庫テーブルの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、荷主別在庫テーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、按分テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、入庫入力画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、1回目の実績入庫数量が入力された状態の本船別入庫テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、1回目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に基づいて、荷主毎の按分数量が入力された状態の按分テーブルを示す図である。
【
図8】
図8は、1回目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に基づいて、荷主毎の実績数量が入力された状態の荷主別在庫テーブルを示す図である。
【
図9】
図9は、1回目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に対応する各荷主の実績数量が入力された状態の入庫入力画面を示す図である。
【
図11】
図11は、2日目に超過数量が入力された状態の本船別入庫テーブルの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、2日目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に基づいて、荷主毎の按分数量が入力された状態の按分テーブルを示す図である。
【
図13】
図13は、2日目の実績入庫数量に基づく按分処理後の超過数量分を、代表荷主の実績数量とする処理を説明するための図である。
【
図14】
図14は、荷主毎の詳細画面である按分画面の起動操作を説明するための図である。
【
図16】
図16は、最終入庫結果に対応する本船別入庫テーブルを示す図である。
【
図17】
図17は、最終入庫結果に対応する荷主別在庫テーブルを示す図である。
【
図18】
図18は、最終入庫結果に対応する按分テーブルを示す図である。
【
図19】
図19は、1回目の実績入庫数量が入力された状態の本船別入庫テーブルの他の例を示す図である。
【
図20】
図20は、1回目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に基づいて、荷主毎の按分数量が入力された状態の按分テーブルを示す他の図である。
【
図21】
図21は、1回目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に基づいて、荷主毎の実績数量が入力された状態の荷主別在庫テーブルを示す他の図である。
【
図22】
図22は、1回目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に対応する各荷主の実績数量が入力された状態の入庫入力画面を示す他の図である。
【
図23】
図23は、荷主毎の詳細画面である按分画面を示す他の図である。
【
図24】
図24は、2日目に超過数量が入力された状態の本船別入庫テーブルの他の例を示す図である。
【
図25】
図25は、2日目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に基づいて、荷主毎の按分数量が入力された状態の按分テーブルを示す他の図である。
【
図26】
図26は、2日目の実績入庫数量に基づく按分処理後の超過数量分を、代表荷主の実績数量とする処理を説明するための他の図である。
【
図27】
図27は、2日目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に対応する各荷主の実績数量が入力された状態の入庫入力画面を示す他の図である。
【
図29】
図29は、2日目の実績入庫数量が入力された状態の本船別入庫テーブルの他の例を示す図である。
【
図30】
図30は、2日目の実績入庫数量に基づく各荷主の按分数量が入力された按分テーブルを示す図である。
【
図31】
図31は、2日目の実績入庫数量及び各荷主の予定数量に基づいて、荷主毎の按分数量が入力された状態の按分テーブルを示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した実施の形態となるバラ積貨物按分処理装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施の形態となるバラ積貨物按分処理装置は、船積されたバラ積貨物を各荷主に按分処理することとして説明を進める。また、本発明は、例えば貨物自動車、貨物列車又は飛行機等に積載されたバラ積貨物を各荷主に按分処理してもよく、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(ハードウェア構成)
図1に示すように、実施の形態のバラ積貨物按分処理装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部、スピーカ装置等が相当する。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網等のネットワークに接続される。
【0016】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、例えば麦、石炭、石油等の、包装又は梱包することなく、積込及び輸送が行われる乾貨物又は液体貨物であるバラ積貨物を、各荷主の予定数量に基づいて按分処理するバラ積貨物按分処理プログラムが記憶されている。また、記憶部2には、本船別入庫テーブル11、荷主別在庫テーブル12、及び、按分テーブル13が設けられている。
【0017】
本船別入庫テーブル11には、
図2に示すように、バラ積貨物を船送する船の識別コードである本船CD、バラ積貨物の品名、入庫予定のバラ積貨物の数量(予定数量=予定入庫数量)、及び、実際に入庫したバラ積貨物の数量である実績当日入庫数量(=実績数量)等が入力され記憶される。
図2の例は、本船CDが「102」の貨物船により、「M01」の「麦」が船送される例であり、入庫予定のバラ積貨物の予定入庫数量は「600kg」となっている例である。
【0018】
荷主別在庫テーブル12には、本船CD、各荷主の識別コードである荷主CD、各荷主からのバラ積貨物の受注数量である、荷主毎の予定数量、各荷主のうち、代表となる荷主に付される荷主フラグ等が入力され記憶される。
図3の例は、荷主CDが「A」、「B」及び「C」の3人の荷主が、それぞれ「300kg」、「100kg」及び「200kg」のバラ積貨物を注文した例である(受注数量)。また、
図3の例は、3人の荷主のうち、荷主CDが「A」の荷主が代表荷主であることを示している(代表荷主FLG=TRUE)。
【0019】
按分テーブル13には、制御部3により自動採番される按分番号、バラ積貨物の入庫日、荷主コード、及び、実際に入庫したバラ積貨物の数量である実績入庫数量を、各荷主の受注数量に基づいて按分処理した按分数量等が入力され記憶される。
図4の例は、按分処理により、11月1日の入庫日に、荷主CDが「A」、「B」及び「C」の各荷主に対して、それぞれ「240kg」、「80kg」及び「160kg」のバラ積貨物が提供されたことを示している。
【0020】
(バラ積貨物按分処理装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されているバラ積貨物按分処理プログラムを実行することで、
図1に示すように、比較部21、算出部22、データ生成部23、表示制御部24、及び、記憶制御部25として機能する。
【0021】
比較部21は、バラ積貨物の予定数量(=予定入庫数量)、及び、実際に入庫したバラ積貨物の数量である実績数量(=実績当日入庫数量)を比較する。算出部22は、実績当日入庫数量が予定入庫数量に満たない比較結果が比較部21から得られた際に、実績当日入庫数量に対して、各荷主の予定数量を予定入庫数量で除算処理した値である、各荷主の予定数量に対応する按分係数をそれぞれ乗算処理する。これにより、算出部22は、実績当日入庫数量に対応する各荷主の数量である実績按分数量を算出する。データ生成部23は、算出された荷主毎の実績按分数量を各荷主の実績数量として含む荷主別在庫データを生成する。
【0022】
また、算出された各荷主の実績按分数量が、各荷主の予定数量に満たない場合、比較部21は、再度、バラ積貨物が入庫した際に、再度の入庫に対応する実績当日再入庫数量及び実績当日入庫数量を加算処理した加算数量と予定入庫数量とを比較する。算出部22は、実績当日再入庫数量及び実績当日入庫数量を加算処理した加算数量が予定入庫数量よりも多いことを示す比較結果が比較部21から得られた場合、各荷主の予定数量と実績按分数量との差分となる予定補完数量をそれぞれ算出する。また、算出部22は、算出した各荷主の予定補完数量及び各荷主の実績按分数量をそれぞれ加算処理することで各荷主の予定数量に相当する実績数量を算出する。データ生成部23は、実績数量として、予定数量に相当する実績数量を含む荷主別在庫データを生成する。
【0023】
なお、
図3に示した荷主別在庫テーブル12、及び(又は)、
図4に示した按分テーブル13に記憶されるデータが、荷主別在庫データの一例となる。
【0024】
また、算出部22は、実績当日再入庫数量及び実績当日入庫数量を加算処理した加算数量と、予定入庫数量との差分である超過数量を算出する。データ生成部23は、代表荷主を示す情報が記憶されている荷主別在庫テーブル12(
図3参照:記憶部の一例)を参照することで、各荷主のうち、代表荷主を検出する。そして、データ生成部23は、各荷主の実績数量のうち、代表荷主の実績数量に超過数量を加算処理した実績数量を含む荷主別在庫データを生成する。
【0025】
また、算出部22で算出された各荷主の実績按分数量が、各荷主の予定数量に満たない場合、21比較部は、再度、バラ積貨物が入庫した際に、再度の入庫に対応する実績当日再入庫数量及び実績当日入庫数量を加算処理した加算数量と予定入庫数量とを比較する。算出部22は、実績当日再入庫数量及び実績当日入庫数量を加算処理した加算数量よりも予定入庫数量が多いことを示す比較結果が比較部21から得られた場合、各荷主の各按分係数を実績当日再入庫数量にそれぞれ乗算処理することで、荷主毎の実績再按分数量を算出する。また、算出部22は、算出した各荷主の実績再按分数量を、各荷主の実績按分数量にそれぞれ加算処理することで各荷主の実績数量を算出する。データ生成部23は、算出された各荷主の実績数量を含む荷主別在庫データを生成する。
【0026】
また、データ生成部23は、バラ積貨物の入庫日、及び、入庫日別の実績按分数量を含む按分画面の按分画面データを生成する。表示制御部24は、生成された按分画面データに基づいて、バラ積貨物の入庫日、及び、入庫日別の実績按分数量を含む按分画面を出力装置7(表示部の一例)に表示する。
【0027】
(按分処理動作)
このような実施の形態のバラ積貨物按分処理装置1は、制御部3が、記憶部2に記憶されているバラ積貨物按分処理プログラムに基づいて、下記のステップの処理を実行することで、各荷主からの受注数量(=予定数量)に基づいて、入庫したバラ積貨物を各荷主に按分処理する。
【0028】
ステップS1→本船別入庫テーブル11及び荷主別在庫テーブル12に基づいて入庫入力画面を表示
ステップS2→本船到着後、検量結果に基づいて入力された実績当日入庫数量を本船別入庫テーブル11に入力
ステップS3→予定超過チェック処理
ステップS4→自動按分計算処理して荷主別在庫テーブル12及び按分テーブル13に実績当日入庫数量(実績数量)及び実績按分数量(按分数量)を入力
ステップS5→按分画面起動ボタンが操作された場合、按分画面を表示して、指定された荷主の按分情報を表示
ステップS6→実績当日再入庫数量に基づいて予定超過チェック処理
ステップS7→予定残入庫数量から実績当日再入庫数量を減算処理した数量がマイナスの数量の場合、各荷主の予定数量の不足分を実績当日再入庫数量に基づいて補完処理(予定補完数量)
ステップS8→予定残入庫数量から実績当日再入庫数量を減算処理した数量がプラスの数量の場合、再度、自動按分計算処理を行い、各テーブルに実績数量及び按分数量を入力
【0029】
以下、このような按分処理を具体的に説明する。
【0030】
(1回目の入庫数量に基づく按分処理動作)
まず、業務オペレータは、入力装置6を介して入庫入力画面の表示を指定する。これにより、データ生成部23は、
図2に示す本船別入庫テーブル11及び
図3に示す荷主別在庫テーブル12を参照し、
図5に例示するように、予定入庫数量、入庫予定のバラ積貨物の品名、各荷主の予定数量(受注数量)、及び、代表荷主フラグを入力した入庫入力画面の画面データを生成する。表示制御部24は、この画面データに基づいて、
図5に示す入庫入力画面を、出力装置7を介して表示する(ステップS1)。
【0031】
この入庫入力画面は、これらから「600kg」の「MO01:麦」のバラ積貨物の入庫が予定されており、このバラ積貨物は、荷主A~荷主Cで按分されることを示している。また、この入庫入力画面は、荷主Aからの受注数量である予定数量は「300kg」、荷主Bからの受注数量である予定数量は「100kg」、荷主Cで按分のからの受注数量である予定数量は「200kg」であることを示している。さらに、この入庫入力画面は、荷主A~荷主Cのうち、代表荷主FLGが付されている荷主Aが代表荷主であることを示している。
【0032】
次に、本船到着後、バラ積貨物の検量結果に基づいて、業務オペレータは、
図6に示すように、実績当日入庫数量(実績数量)を本船別入庫テーブル11に入力する(ステップS2)。この
図6は、当初「600kg」のバラ積貨物の入庫が予定されていたが、実際には、「480kg」のバラ積貨物しか入庫しなかったことを示している。このように本船別入庫テーブル11が更新されると、表示制御部24は、
図9に示すように入庫入力画面に対して、この例の場合「480kg」の実績当日入庫数量(実績入庫数量)を表示する。
【0033】
次に、比較部21は、予定超過チェック処理を行う(ステップS3)。すなわち、比較部21は、「本船別入庫テーブル11の予定入庫数量である「600kg」から、今回入庫した実績当日入庫数量である「480kg」を減算処理し、この減算処理結果がプラスの数量になるか、又は、マイナスの数量になるかを判別する(予定超過チェック処理)。
【0034】
この例の場合、当初予定されていた予定入庫数量(600kg)を、今回入庫した実績当日入庫数量(480kg)が超過しないため、上述の減算処理結果はプラスの減算処理結果となる。このため、算出部22は、自動按分計算処理を行う(ステップS4)。データ生成部23は、自動按分計算処理で算出された実績当日入庫数量(実績数量)及び実績按分数量(按分数量)を、荷主別在庫テーブル12及び按分テーブル13に入力処理する。
【0035】
自動按分計算処理を行う場合、算出部22は、各荷主の予定数量を予定入庫数量で除算処理することで、各荷主の予定数量に対応する按分係数を算出する。そして、算出部22は、各按分係数を実績当日入庫数量(実績数量)に乗算処理することで、荷主毎に、今回、入庫した数量に対応する按分数量を算出する。
【0036】
具体的には、上述の例の場合、算出部22は、下記の演算を行うことで、各荷主の按分数量を算出する。
【0037】
荷主Aの按分数量=480kg×(300kg/600kg)=240kg
荷主Aの按分数量=480kg×(100kg/600kg)=80kg
荷主Aの按分数量=480kg×(200kg/600kg)=160kg
【0038】
このように各荷主の按分数量が算出されると、データ生成部23は、
図7に示すように、按分テーブル13に対して、按分番号を自動採番すると共に、当日の入庫日を付して、荷主A~荷主Cの「240kg」、「80kg」、「160kg」の按分数量を、それぞれ入力する。
【0039】
また、これと共にデータ生成部23は、
図8に示すように荷主在庫テーブル12の各荷主の実績当日入庫数量(実績数量)として、「240kg」、「80kg」、「160kg」の按分数量を、それぞれ入力する。
【0040】
さらに、表示制御部24は、
図9にしめす入庫入力画面に対して、各荷主の「240kg」、「80kg」、「160kg」の按分数量を、実績当日入庫数量(実績数量)として入庫入力画面に表示する。
【0041】
これにより、当日、実際に入庫した数量を、各荷主からの受注数量に対応した数量に按分することができる。
【0042】
次に、表示制御部24は、入庫入力画面の各荷主の予定数量及び実績数量等の表示欄にそれぞれ隣接させて按分画面起動ボタン50を表示する。この按分画面起動ボタン50は、各荷主の按分情報を個別に表示する際に操作するボタンである。表示制御部24は、この按分画面起動ボタン50が操作されると、
図10に例示する按分画面を出力装置7に表示する(ステップS5)。表示制御部24は、この按分画面に対して、按分画面起動ボタン50を介して指定された荷主の荷主コード及び予定数量等と共に、按分情報として入庫日、按分数量、及び、各入庫日の按分数量の合計数量を表示する。
【0043】
(2回目の入庫に基づく補完処理動作)
以上の説明は、1回目の入庫数量に基づく按分処理動作の説明であるが、実施の形態のバラ積貨物按分処理装置1は、2回目の入庫数量に対する予定超過チェック処理でプラスの数量になった場合は、再度、上述と同様の按分処理を行い、2回目の入庫数量に対する予定超過チェック処理でマイナスの数量になった場合は、下記のように補完処理を行う。
【0044】
すなわち、上述のように1回目の入庫に対する按分処理後に、再度、入庫があった場合、この実績当日再入庫数量に基づいて、再度、予定超過チェック処理が行われる(ステップS6)。
【0045】
一例として、1回目に「600kg」のバラ積貨物が入庫したのに対し、2回目には「420kg」のバラ積貨物が入庫したとする。この場合、算出部22は、予定入庫数量である「600kg」から、前回入庫した「480kg」を減算処理することで「120kg」の予定残入庫数量を算出する。この予定残入庫数量は、前回の入庫数量により発生した、予定入庫数量に対する不足数量を示している。比較部21は、この「120kg」の予定残入庫数量から、2回目の入庫数量である実績当日再入庫数量の「420kg」を減算処理した数量が、プラスの数量になるか、又は、マイナスの数量になるかを判別する。
【0046】
この場合、マイナスの数量になる。このため、算出部22は、上述の按分処理は行わず、各荷主の予定数量の不足分を実績当日再入庫数量に基づいて補完処理(予定補完数量)する(ステップS7)。
【0047】
具体的に説明すると、この例の場合、1回目に「480kg」の入庫があり、2回目に「420kg」の入庫があったため、実績数量は、計「900kg」となる。このため、データ生成部23は、
図11に示すように本船別入庫テーブル11の実績数量に「900kg」の数量を入力して更新する。
【0048】
また、この例の場合、「120kg」の予定残入庫数量から、2回目の入庫数量である実績当日再入庫数量の「420kg」を減算処理した数量がマイナスの数量になるため、算出部22は、按分処理は行わず、各荷主の予定数量の不足分(予定数量-按分数量)を、2回目の入庫数量である実績当日再入庫数量で補完処理する。
【0049】
すなわち、この例の場合、荷主Aの予定数量は「300kg」であり、按分数量は「240kg」である。このため、算出部22は、「300kg-240kg=60kg」の演算を行い、荷主Aに対して「60kg」の補完数量を算出する。
【0050】
同様に、荷主Bの予定数量は「100kg」であり、按分数量は「80kg」である。このため、算出部22は、「100kg-80kg=20kg」の演算を行い、荷主Bに対して「20kg」の補完数量を算出する。
【0051】
同様に、荷主Cの予定数量は「200kg」であり、按分数量は「160kg」である。このため、算出部22は、「200kg-160kg=40kg」の演算を行い、荷主Cに対して「40kg」の補完数量を算出する。
【0052】
データ生成部23は、算出された各荷主の補完数量を、
図12に示す按分テーブル13の、各荷主の按分数量として入力する。また、このような補完数量により、各荷主の予定数量が満たされるため、データ生成部23は、
図13に示すように、各荷主の前回の実績数量に補完数量を加算処理して荷主別在庫テーブル12を更新する。これにより、各荷主の予定数量と、実績数量が同数量となる。
【0053】
(代表荷主に対する予定超過分の割当処理)
ここで、この例の場合、2回目の入庫数量である実績当日再入庫数量は「420kg」であるため、各荷主に対して「60kg」、「20kg」及び「40kg」の補完処理を行っても、「420kg-(60kg+20kg+40kg)=300kg」の入庫数量が余剰(予定超過分)となる。
【0054】
このような予定超過分の入庫数量は、代表荷主に対して割り振ることが商習慣となっている。このため、データ生成部23は、
図3に示す荷主別在庫テーブルを参照することで代表荷主(代表荷主FLGがTRUE)を検出し、代表荷主である荷主Aに対して「300kg」の予定超過分を割り当てる。これにより、
図12に示すように、按分テーブル13における荷主Aの按分数量が、補完数量の「60kg」に予定超過分の「300kg」を加算処理した計「360kg」で更新される。
【0055】
また、データ生成部23は、
図13に示す荷主別在庫テーブル12の荷主Aの実績数量を、前回の実績数量である「300kg」に、予定超過分の「300kg」を加算処理した計「600kg」で更新する。
【0056】
また、表示制御部24は、更新した荷主別在庫テーブル12に基づいて、
図14に示すように入庫入力画面の実績入庫数量(1回目の入庫の480kg+2回目の入庫の420kg=900kg)、各荷主の予定数量、予定数量の合計数量、実績数量、実績数量の合計数量を更新して表示する。
【0057】
また、表示制御部24は、按分画面起動ボタン50が操作された際には、
図15に示すように、操作された按分画面起動ボタン50に対応する荷主の按分画面を表示する。
図15の例は、荷主Cの按分画面であり、1回目の入庫日の11月1日に160kgのバラ積貨物が割当られ、2回目の入庫日の11月2日に40kgのバラ積貨物が割当られたことを示している。
【0058】
(最終入庫結果の反映)
次に、この例の場合、最終入庫結果は、下記のとおりとなる。
【0059】
予定入庫数量:600kg
予定按分数量:荷主A:300、荷主B:100kg、荷主C:200kg
【0060】
実績入庫数量:900kg
実績按分数量:荷主A:600kg、荷主B:100kg、荷主C:200kg
【0061】
データ生成部23は、このような最終入庫結果に基づいて、
図16に示すように本船別入庫テーブル11の実績数量を更新する。また、データ生成部23は、最終入庫結果に基づいて、
図17に示すように荷主別在庫テーブル12の各荷主の実績数量を更新する。さらに、データ生成部23は、最終入庫結果に基づいて、
図18に示すように、各荷主及び入庫日別に、按分テーブル13の按分数量を更新する。
【0062】
(2回目の入庫に基づく按分処理動作)
次に、以上の説明は、2回目の入庫数量に対する予定超過チェック処理でマイナスの数量になった場合における補完処理動作の説明であった。これに対して、2回目の入庫数量に対する予定超過チェック処理でマイナスの数量になった場合、実施の形態のバラ積貨物按分処理装置1は、2回目の入庫数量に基づき、1回目の按分処理と同様に、再度、自動按分計算処理を行い、各テーブルに実績数量及び按分数量を入力の按分処理を行う(ステップS8)。
【0063】
すなわち、1回目の実績当日入庫数量に基づく按分処理動作から再度説明すると、まず、予定入庫数量が「600kg」であるのに対し、1回目の実績当日入庫数量として「300kg」の入庫があったとする。この場合、本船到着後、バラ積貨物の検量結果に基づいて、業務オペレータは、実績当日入庫数量(実績数量)として「300kg」を入力操作する。これにより、データ生成部23は、
図19に示すように、本船別入庫テーブル11の実績数量に「300kg」を入力して更新する。
【0064】
次に、この例の場合、予定入庫数量が「600kg」であるのに対し、実績当日入庫数量は「300kg」であるため、「予定入庫数量600kg-実績当日入庫数量300kg=+300kg」となり、予定超過チェック処理の結果がプラスとなる。このため、算出部22は、上述と同様に自動按分計算処理を行い、「300kg」の実績当日入庫数量を各荷主に対して按分処理する。
【0065】
すなわち、例えば荷主A~荷主Cの予定数量が、それぞれ「300kg」、「100kg」、「200kg」であったとする。算出部22は、「300kg/600kg」、「100kg/600kg」及び「200kg/600kg」の演算を行うことで、各荷主の予定数量に対応する按分係数を算出する。そして、算出部22は、算出した各按分係数を、1回目の「300kg」の実績当日入庫数量にそれぞれ乗算処理することで、各荷主の実績按分数量を算出する。
【0066】
荷主Aの実績按分数量=実績当日入庫数量300kg×(予定数量300kg/予定入庫数量600kg)=150kg
荷主Bの実績按分数量=実績当日入庫数量300kg×(予定数量100kg/予定入庫数量600kg)=50kg
荷主Aの実績按分数量=実績当日入庫数量300kg×(予定数量200kg/予定入庫数量600kg)=100kg
【0067】
データ生成部23は、このように算出された実績按分数量に基づいて、
図20に示すように按分テーブル13の各荷主の按分数量を更新し、また、
図21に示すように荷主別在庫テーブル12の各荷主の実績数量を更新する。
【0068】
また、表示制御部24は、算出された実績按分数量に基づいて、
図22に示すように入庫入力画面に対して各荷主の実績数量を表示する。また、表示制御部24は、按分画面起動ボタン50が操作された際は、
図23に示すように、指定された荷主の按分画面を表示することは上述のとおりである。
【0069】
(予定超過チェック結果がプラスの場合の動作)
次に、2回目の入庫により、例えば「200kg」のバラ積貨物が入庫したとする。この場合、本船到着後、バラ積貨物の検量結果に基づいて、業務オペレータは、実績当日入庫数量(実績数量)として「200kg」を入力操作する。これにより、データ生成部23は、
図24に示すように、1回目の入庫数量である「300kg」に、2回目の入庫数量の「200kg」を加算処理した計「500kg」を、本船別入庫テーブル11の実績数量に入力して更新する。
【0070】
次に、予定入庫数量が「600kg」であるのに対し、1回目の実績当日入庫数量は「300kg」であり、2回目の実績当日再入庫数量は「200kg」であるため、「予定入庫数量600kg-実績当日入庫数量300kg-実績当日再入庫数量200kg=+100kg」となり、予定超過チェック処理結果がプラスとなる。このため、算出部22は、上述と同様に自動按分計算処理を行い、「200kg」の実績当日再入庫数量を各荷主に対して按分処理する。
【0071】
すなわち、この例の場合、荷主A~荷主Cの予定数量は、それぞれ「300kg」、「100kg」、「200kg」である。このため、算出部22は、「300kg/600kg」、「100kg/600kg」及び「200kg/600kg」の演算を行うことで、各荷主の予定数量に対応する按分係数を算出する。そして、算出部22は、算出した各按分係数を、2回目の「200kg」の実績当日再入庫数量にそれぞれ乗算処理することで、各荷主の実績按分数量を算出する。
【0072】
荷主Aの実績按分数量=実績当日再入庫数量200kg×(予定数量300kg/予定入庫数量600kg)=100kg
荷主Bの実績按分数量=実績当日再入庫数量200kg×(予定数量100kg/予定入庫数量600kg)=33kg
荷主Aの実績按分数量=実績当日再入庫数量200kg×(予定数量200kg/予定入庫数量600kg)=67kg
【0073】
データ生成部23は、このように算出された実績按分数量を、
図25に示すように按分テーブル13の各荷主の、2回目の入庫日に対応する按分数量として入力する。また、データ生成部23は、
図26に示すように荷主別在庫テーブル12の各荷主の実績数量を、1回目の実績数量に2回目の実績数量を加算して更新する。
【0074】
また、表示制御部24は、算出された実績按分数量に基づいて、
図27に示すように入庫入力画面に対して、1回目及び2回目の実績数量を加算した各荷主の実績数量を表示する。また、表示制御部24は、按分画面起動ボタン50が操作された際は、
図28に示すように、指定された荷主の按分画面を表示することは上述のとおりである。
【0075】
(最終入庫結果の反映)
次に、この例の場合、最終入庫結果は、下記のとおりとなる。
【0076】
予定入庫数量:600kg
予定按分数量:荷主A:300、荷主B:100kg、荷主C:200kg
【0077】
実績入庫数量:500kg
実績按分数量:荷主A:250kg、荷主B:83kg、荷主C:167kg
【0078】
データ生成部23は、このような最終入庫結果に基づいて、
図29に示すように本船別入庫テーブル11の実績数量を更新する。また、データ生成部23は、最終入庫結果に基づいて、
図30に示すように荷主別在庫テーブル12の各荷主の実績数量を更新する。さらに、データ生成部23は、最終入庫結果に基づいて、
図31に示すように、各荷主及び入庫日別に、按分テーブル13の按分数量を更新する。
【0079】
(実施の形態の効果)
バラ積貨物の入庫業務の流れは、以下の通りである。
【0080】
1.到着通知書に記載されている予定入庫数量に基づいて、荷主毎の予定按分数量を決定。
【0081】
2.本船到着後、検量業者によってバラ積貨物の数量を検量し、入庫実績数量を確定させる。
【0082】
3.確定した入庫実績数量に基づいて、荷主毎の按分数量を確定して入庫を行う。
【0083】
また、バラ積貨物の入庫業務には、以下の特性がある。
【0084】
1.予定数量と実績数量は同数量にはならず、実績確定後の数量入力が必須となる。これは、全てのバラ積貨物を吸い上げることができずに、船内に若干数残る場合、及び、風で飛んでしまう等の理由からである。このため、確定した入庫実績数量に基づいて、各荷主の按分数量を確定させることが必要となる。
【0085】
2.入庫日別に荷主毎へ均一に按分を行う必要がある。すなわち、バラ積貨物は、1度の入庫数量が大量であるため、荷揚げから入庫完了までに数日を要することが多々ある。なお、入庫按分の際に、特定の荷主の分のみ先に入庫を行うようにすると、その荷主だけ保管料請求期間が長くなる。このため、各荷主に対して均一に数量を按分する必要がある。
【0086】
3.予定超過分の入庫量は、代表荷主にて調整を行う。すなわち、予定を超過した実績数量は、代表荷主の持ち分として割り振ることが商習慣となっている。なお、代表荷主以外の荷主に対しては、この代表荷主以外の荷主の予定数量を上限として入庫したバラ積貨物が按分処理される。
【0087】
このようなことから、実施の形態のバラ積貨物按分処理装置1は、入庫日毎に予定数量に基づいて実績数量の自動按分を行う。これにより、全量の入庫完了を待たずに荷主毎の入庫実績数量を把握して管理可能とすることができる。
【0088】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0090】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0091】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0092】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0093】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0094】
また、バラ積貨物按分処理装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0095】
例えば、バラ積貨物按分処理装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じてバラ積貨物按分処理装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0096】
また、このバラ積貨物按分処理装置1のバラ積貨物按分処理プログラムは、バラ積貨物按分処理装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0097】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのバラ積貨物按分処理プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0098】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示したバラ積貨物按分処理装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0099】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0100】
また、バラ積貨物按分処理装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0101】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、一例として素材(鉄鉱石等)又は紙(ロール紙)等、所有者単位で現在庫を管理困難な貨物を扱う業種に適用して好適である。
【符号の説明】
【0103】
1 バラ積貨物按分処理装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 本船別入庫テーブル
12 荷主別在庫テーブル
13 按分テーブル
21 比較部
22 算出部
23 データ生成部
24 表示制御部
25 記憶制御部