(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088099
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】液圧機器の制御方法
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
F04B49/06 321Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203088
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】永山 弘海
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA04
3H145AA12
3H145AA24
3H145BA19
3H145CA02
3H145CA03
3H145CA06
3H145CA09
3H145CA19
3H145DA15
3H145DA17
3H145DA25
3H145EA13
3H145EA14
3H145EA17
3H145EA34
3H145GA02
3H145GA12
(57)【要約】
【課題】液圧機器の負荷により消費されるエンジンのトルクを応答性良く抑えることができる液圧機器の制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態の油圧システム1の制御方法は、計測した油圧システム1の計測負荷(エンジントルク算出値)と油圧システム1の許容負荷(許容エンジントルク値)とを比較して、油圧ポンプ4の流量を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧ポンプと、
前記液圧ポンプによって駆動される液圧機器と、
を備え、
計測した前記液圧機器の計測負荷と前記液圧機器の許容負荷とを比較して、前記液圧ポンプの流量を制御する、
液圧機器の制御方法。
【請求項2】
エンジンによって前記液圧ポンプが駆動されるとともに、前記液圧ポンプによって液圧モータが駆動され、
前記液圧機器の前記計測負荷は、前記液圧ポンプの吐出圧力と、前記液圧ポンプの吸入圧力と、前記液圧モータの回転数又は前記液圧モータの流量と、に基づいて算出されたエンジントルク算出値を含む、
請求項1に記載の液圧機器の制御方法。
【請求項3】
前記液圧機器の許容負荷は、前記エンジンの回転数又は前記エンジンを操作する操作部の操作量に基づいて予め定められた許容エンジントルク値を含む、
請求項2に記載の液圧機器の制御方法。
【請求項4】
制御弁によって前記液圧ポンプの流量を制御する、
請求項3に記載の液圧機器の制御方法。
【請求項5】
前記エンジントルク算出値と前記許容エンジントルク値とを比較し、前記エンジントルク算出値が前記許容エンジントルク値を上回る、又は超えることが予期される場合、前記制御弁の調整によって前記液圧ポンプの流量を減少させる、
請求項4に記載の液圧機器の制御方法。
【請求項6】
前記液圧ポンプは、斜板の傾転角を調整することにより流量が変化する可変容量型の液圧ポンプを含み、
前記斜板の前記傾転角を調整することによって前記液圧ポンプの流量を制御する、
請求項3に記載の液圧機器の制御方法。
【請求項7】
前記エンジントルク算出値と前記許容エンジントルク値とを比較し、前記エンジントルク算出値が前記許容エンジントルク値を上回る、又は超えることが予期される場合、前記斜板の前記傾転角を調整することによって前記液圧ポンプの流量を減少させる、
請求項6記載の液圧機器の制御方法。
【請求項8】
前記エンジントルク算出値は、さらに前記制御弁の上流側で計測された液体温度を考慮して算出する、
請求項4に記載の液圧機器の制御方法。
【請求項9】
前記液圧モータに接続された流路から作動液をフラッシングバルブにより排出する、
請求項2に記載の液圧機器の制御方法。
【請求項10】
液圧ポンプと、
前記液圧ポンプによって駆動される液圧機器と、
を備え、
エンジンによって前記液圧ポンプが駆動されるとともに、前記液圧ポンプによって液圧モータが駆動され、
計測した前記液圧機器の計測負荷を前記液圧ポンプの吐出圧力と、前記液圧ポンプの吸入圧力と、前記液圧モータの回転数又は前記液圧モータの流量と、に基づいて算出された値をエンジントルク算出値とし、
前記エンジンの回転数又は前記エンジンを操作する操作部の操作量に基づいて予め定められた値を許容エンジントルク値とし、
前記エンジントルク算出値と前記許容エンジントルク値とを比較し、前記エンジントルク算出値が前記許容エンジントルク値を上回る、又は超えることが予期される場合、制御弁によって前記液圧ポンプの流量を減少させる、
液圧機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば油圧ショベル等の機械車両のなかには、エンジンで油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプで作動油を加圧して油圧モータを駆動し、油圧モータにより走行用の履帯等を駆動して走行するものがある。この機械車両は、走行中や排土作業中等に過大な負荷がかかることにより、エンジンに対して過大なトルクがかかり、エンジンが停止することやエンジン回転数が低下することが考えられる。
この対策として、エンジン回転数と操作ペダルの操作量との偏差をコントーラで算出し、設定した閾値に応じて容量制御器を制御することにより油圧ポンプの容量を減少させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この方法は、操作ペダルの操作量とエンジン回転数との差異が発生するまでは、操作ペダルの操作量とエンジン回転数との偏差を検出できない。このため、油圧ポンプに対する容量制御器を制御する際の応答が、機械車両に作用する負荷に対して遅れるという課題があった。すなわち、エンジン回転数が下がり始めた時点でエンジンは過負荷状態になり、すでに仕様上推奨される使用状態を超えていることが考えられる。
【0005】
本発明は、液圧機器の負荷により消費されるエンジンのトルクを応答性良く抑えることができる液圧機器の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の方法を含む。
本発明の一態様に係る液圧機器の制御方法は、液圧ポンプと、前記液圧ポンプによって駆動される液圧機器と、を備え、計測した前記液圧機器の計測負荷と前記液圧機器の許容負荷とを比較して、前記液圧ポンプの流量を制御する。
【0007】
このように、液圧ポンプの流量(吐出流量、容量)を制御することにより、例えば液圧機器の許容負荷を超えないように液圧ポンプの流量を減少させることができる。液圧ポンプは、動力源(エンジン)により駆動される。このため、液圧機器の許容負荷を超えないように液圧ポンプの流量を減少させることにより、液圧機器の負荷により消費されるエンジンのトルクを応答性良く抑えることができる。
これにより、液圧機器を備えた機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジンに過負荷が発生した場合、エンジンが停止することや、エンジンの回転数が低下することを好適に抑制できる。
【0008】
上記方法では、エンジンによって前記液圧ポンプが駆動されるとともに、前記液圧ポンプによって液圧モータが駆動され、前記液圧機器の前記計測負荷は、前記液圧ポンプの吐出圧力と、前記液圧ポンプの吸入圧力と、前記液圧モータの回転数又は前記液圧モータの流量と、に基づいて算出されたエンジントルク算出値を含んでもよい。
【0009】
上記方法では、前記液圧機器の許容負荷は、前記エンジンの回転数又は前記エンジンを操作する操作部の操作量に基づいて予め定められた許容エンジントルク値を含んでもよい。
【0010】
上記方法では、制御弁によって前記液圧ポンプの流量を制御してもよい。
【0011】
上記方法では、前記エンジントルク算出値と前記許容エンジントルク値とを比較し、前記エンジントルク算出値が前記許容エンジントルク値を上回る、又は超えることが予期される場合、前記制御弁の調整によって前記液圧ポンプの流量を減少させてもよい。
【0012】
上記方法では、前記液圧ポンプは、斜板の傾転角を調整することにより流量が変化する可変容量型の液圧ポンプを含み、前記斜板の前記傾転角を調整することによって前記液圧ポンプの流量を制御してもよい。
【0013】
上記方法では、前記エンジントルク算出値と前記許容エンジントルク値とを比較し、前記エンジントルク算出値が前記許容エンジントルク値を上回る、又は超えることが予期される場合、前記斜板の前記傾転角を調整することによって前記液圧ポンプの流量を減少させてもよい。
【0014】
上記方法では、前記エンジントルク算出値は、さらに前記制御弁の上流側で計測された液体温度を考慮して算出してもよい。
【0015】
上記方法では、前記液圧モータに接続された流路から作動液をフラッシングバルブにより排出してもよい。
【0016】
このようにすることで、液圧モータに接続された流路内における作動液の熱を外部に逃がすことができる。これにより、作動液の温度を好適に保つことができ、作動液の冷却効果を高めることができる。
【0017】
本発明の他の態様に係る液圧機器の制御方法は、液圧ポンプと、前記液圧ポンプによって駆動される液圧機器と、を備え、エンジンによって前記液圧ポンプが駆動されるとともに、前記液圧ポンプによって液圧モータが駆動され、計測した前記液圧機器の計測負荷を前記液圧ポンプの吐出圧力と、前記液圧ポンプの吸入圧力と、前記液圧モータの回転数又は前記液圧モータの流量と、に基づいて算出された値をエンジントルク算出値とし、前記エンジンの回転数又は前記エンジンを操作する操作部の操作量に基づいて予め定められた値を許容エンジントルク値とし、前記エンジントルク算出値と前記許容エンジントルク値とを比較し、前記エンジントルク算出値が前記許容エンジントルク値を上回る、又は超えることが予期される場合、制御弁によって前記液圧ポンプの流量を減少させる。
【0018】
このように、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回る、又は超えることが予期される場合、液圧ポンプの流量を制御弁の調整により減少させることができる。液圧ポンプは、エンジンにより駆動される。このため、許容エンジントルク値を超えないように液圧ポンプの流量を減少させることにより、油圧機器の負荷により消費されるエンジンのトルクを応答性良く抑えることができる。
よって、液圧機器を備えた機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジンに過負荷が発生した場合、エンジンが停止することや、エンジンの回転数が低下することを好適に抑制できる。
【0019】
また、液圧ポンプの吐出圧力を計測する圧力センサ、液圧ポンプの吸入圧力を計測する圧力センサ、及び液圧モータの回転数を計測するモータ回転数計を液圧モータとともに液圧モータユニットとして一体にまとめることが可能である。これにより、液圧モータユニットを他の油圧ポンプにも適用することが可能になり、液圧モータユニットの用途の拡大を図ることができる。
【0020】
液圧機器の許容負荷をエンジンの回転数又はエンジンを操作する操作部の操作量に対応する許容エンジントルク値とした。このため、例えば許容エンジントルク値をエンジンの仕様に基づいて一定の値に設定する場合と比較し、許容エンジントルク値の精度を高めることができる。これにより、液圧機器を備えた機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジンに過負荷が発生した場合、エンジンが停止することや、エンジンの回転数が低下することを好適に抑制できる。
【0021】
さらに、制御弁を液圧モータとともに液圧モータユニットとして一体にまとめることが可能である。このため、液圧モータユニットで液圧ポンプの流量を減少させる構成を確保できる。これにより、ユニット化した液圧モータユニットを他の油圧ポンプにも適用することが可能になり、液圧モータユニットの用途の拡大を図ることができる。
【0022】
また、制御弁の調整によって液圧ポンプの流量を減少させるようにした。このため、制御弁で液体の流量を調整することにより、液圧ポンプの流量(吐出流量)を減少させることができる。これにより、液圧ポンプの流量を応答性良く減少させることができる。液圧ポンプの流量を減少させる制御が例えば機械車両の通常走行中での液圧ポンプの制御に対して重複、干渉することを回避できる。液圧機器での制御の簡素化を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、液圧機器の負荷により消費されるエンジンのトルクを応答性良く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態における油圧システムの概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態における油圧システムで消費されるエンジンのトルクをコントローラにより制御する例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態に係る液圧機器の制御方法を図面に基づいて説明する。以下、請求項における液圧機器の一例として油圧システム1を例に説明する。
【0026】
<油圧システム>
図1は、油圧システム1の概略構成図である。
図1では、想像線で示す2つの電磁比例弁20は実施形態の変更可能な例で説明する。想像線で示す温度計30は後述する第2変形例で説明する。想像線で示すフラッシングバルブ32は後述する第3変形例で説明する。
図1に示す油圧システム1は、例えば図示しない油圧ショベル等の機械車両に設けられる。機械車両は、例えば走行体に左右の走行用履帯(クローラー)を備えている。油圧システム1は、左右の走行用履帯のうち一方を駆動する。
【0027】
図1に示すように、油圧システム1は、いわゆるHST(Hydro Static Transmission;静油圧式無段変速機)式の回路である。油圧システム1は、動力源としてのエンジン3により駆動される油圧ポンプ4(請求項における液圧ポンプの一例)と、油圧ポンプ4の流量を制御する容量制御器5と、油圧システム1における作動油の漏れを補充するチャージポンプ6と、走行用履帯を駆動させて機械車両を走行させる走行ユニット10と、を備える。油圧ポンプ4の流量とは、油圧ポンプ4の吐出流量や油圧ポンプ4の容量を意味するものとする。
【0028】
<エンジン>
エンジン3の駆動軸は、油圧ポンプ4の回転軸に連結されている。エンジン3は、例えば図示しない操作部を操作することにより出力(回転数)が調整される。操作部としては、操作者が足で操作する操作ペダルや、操作者が手で操作するジョイステックレバー等が挙げられる。エンジン3には、駆動軸の回転数(以下、エンジン回転数ということがある)を計測するエンジン回転数計7が設けられている。エンジン回転数計7は、後述するコントローラ24に電気的に接続されている。エンジン回転数計7は、エンジン回転数を計測し、計測した情報をコントローラ24にエンジン回転数信号として入力する。
【0029】
<油圧ポンプ>
油圧ポンプ4は、エンジン3の駆動軸と一体となって回転軸が回転される。油圧ポンプ4は、回転軸が回転することにより後述する油圧モータ17(請求項における液圧モータの一例)に接続する油路(流路)に作動油を吐出して加圧する。油圧ポンプ4は、例えば作動油の吐出量を無段階に調整する図示しない斜板を備えたいわゆる可変容量型の油圧ポンプである。油圧ポンプ4は、例えばHST式の回路用のポンプである。油圧ポンプ4は、斜板の傾転角(傾斜角度)を変えることにより作動油の吐出量を無段階に調整できる。
【0030】
<容量制御器>
油圧ポンプ4には、油圧ポンプ4の流量を制御する容量制御器5が設けられている。容量制御器5は、油圧ポンプ4に設けられた斜板の傾転角を制御する。具体的には、容量制御器5は、油圧システム1のチャージ油路8での作動油の圧力の増減に応じて斜板の傾転角を制御する。これにより、容量制御器5は、油圧ポンプ4の流量を比例的に制御する。
【0031】
<チャージポンプ>
チャージ油路8にはチャージポンプ6が接続されている。チャージポンプ6は、例えばエンジン3の駆動軸に回転軸が連結されることにより、エンジン3を動力源としてチャージ油路8の作動油を吐出(加圧)する。すなわち、チャージポンプ6は、油圧システム1での作動油の漏れを補充する。以下、チャージポンプ6による作動油の流量をチャージポンプ流量ということがある。
チャージ油路8には、チャージリリーフバルブ9が接続されている。チャージリリーフバルブ9は、チャージ油路8での作動油の圧力が設定圧以上にならないように余分な油作動油をタンク12へ還流する(排出する)。
【0032】
<走行ユニット>
油圧ポンプ4には、走行ユニット10が接続されている。走行ユニット10は、第1主油路15及び第2主油路16により油圧ポンプ4に接続された油圧モータ17と、油圧モータ17の出力回転数を計測するモータ回転数計18と、第1主油路15及び第2主油路16に接続された低圧選択弁19と、低圧選択弁19の下流側に接続された電磁比例弁20(請求項における制御弁の一例)と、第1主油路15の圧力を計測する第1圧力センサ21と、第2主油路16の圧力を計測する第2圧力センサ22と、エンジン回転数計7、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、モータ回転数計18、及び電磁比例弁20に電気的に接続されたコントローラ24と、を備える。
【0033】
走行ユニット10は、例えば油圧モータ17、モータ回転数計18、低圧選択弁19、電磁比例弁20、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、コントローラ24が一体にまとめられてユニット化されている。以下、走行ユニット10を油圧モータユニット10ということがある。
【0034】
<油圧モータ>
油圧モータ17は、第1主油路15及び第2主油路16に接続され、油圧ポンプ4とともに閉回路を構成するHST式の回路用のモータである。油圧モータ17は、例えば減速機25及び図示しないブレーキを一体に備えた走行用のモータである。油圧モータ17は、出力軸が減速機25等を介して走行用履帯に連結されている。
【0035】
油圧モータ17は、油圧ポンプ4から吐出された作動油により出力軸が回転される。実施形態では油圧モータ17として定容量型モータを例に説明する。しかしながらこれに限られるものではなく、油圧モータ17は、可変容量型モータ等の他のモータを使用することも可能である。また、実施形態では油圧モータ17としてアキシャルピストンモータを例に説明する。しかしながらこれに限られるものではなく、油圧モータ17は、ラジアルピストンモータ等の他のモータを使用することも可能である。油圧モータ17が油圧ポンプ4で駆動されることにより、走行用履帯を駆動させて機械車両を走行させる。
【0036】
<モータ回転数計>
モータ回転数計18は、例えば油圧モータ17における出力軸の回転数(以下、モータ回転数ということがある)を計測可能な位置に設けられている。モータ回転数計18は、後述するコントローラ24に電気的に接続されている。モータ回転数計18は、モータ回転数を計測し、計測した情報をコントローラ24にモータ回転数信号として入力する。
【0037】
<低圧選択弁>
低圧選択弁19は、第1主油路15及び第2主油路16における油圧モータ17の下流側に接続されている。低圧選択弁19は、第1主油路15及び第2主油路16のうち圧力の低い作動油を選択して下流側に導く。
すなわち、低圧選択弁19は、例えば第1主油路15の作動圧が第2主油路16の作動圧より高い状態で設定値を上回る場合、第2主油路16の作動油をタンク12に電磁比例弁20及びタンク油路26を経て還流する。これにより、チャージ油路8における作動油の圧力が低下し、容量制御器5が作動油の圧力低下に応じて油圧ポンプ4の斜板を制御する。
【0038】
また、低圧選択弁19は、例えば第2主油路16の作動圧が第1主油路15の作動圧より高い状態で設定値を上回る場合、第1主油路15の作動油をタンク12に電磁比例弁20及びタンク油路26を経て還流する。これにより、チャージ油路8における作動油の圧力が低下し、容量制御器5が作動油の圧力低下に応じて油圧ポンプ4の斜板を制御する。
【0039】
<電磁比例弁>
電磁比例弁20は、低圧選択弁19の下流側に接続され、後述するコントローラ24に電気的に接続されている。電磁比例弁20は、低圧選択弁19を経て導かれた作動油をコントローラ24から送られた出力信号に基づいてタンク12にタンク油路26を経て還流する。
【0040】
<第1圧力センサ、第2圧力センサ>
第1圧力センサ21は、第1主油路15における低圧選択弁19の上流側に設けられ、後述するコントローラ24に電気的に接続されている。第1圧力センサ21は、第1主油路15における作動油の圧力(以下、第1作動圧力ということがある)を計測する。第1圧力センサ21は、計測した情報をコントローラ24に第1圧力信号として出力する。
第2圧力センサ22は、第2主油路16における低圧選択弁19の上流側に設けられ、後述するコントローラ24に電気的に接続されている。第2圧力センサ22は、第2主油路16における作動油の圧力(以下、第2作動圧力ということがある)を計測する。第2圧力センサ22は、計測した情報をコントローラ24に第2圧力信号として出力する。
【0041】
<コントローラ>
コントローラ24は、モータ回転数計18により計測したモータ回転数の情報が信号として入力される。コントローラ24は、入力された情報に基づいて油圧モータ17における作動油の流量(以下、油圧モータ17の流量ということがある)を算出する。実施形態では、モータ回転数計18で計測したモータ回転数に基づいて油圧モータ17の流量を算出する例について説明する。しかしながらこれに限られるものではなく、モータ回転数計18に代えてモータ流量計を設け、モータ流量計で油圧モータ17の流量を直接計測してもよい。
【0042】
コントローラ24は、第1圧力センサ21により計測した第1作動圧力、及び第2圧力センサ22により計測した第2作動圧力の情報が信号として入力される。コントローラ24は、エンジン回転数計7により計測したエンジン回転数の情報が信号として入力される。加えて、コントローラ24は、油圧モータ17の流量、第1作動圧力、第2作動圧力、及びエンジン回転数に基づいて算出した算出値に基づいて電磁比例弁20に制御信号を出力する。
【0043】
<走行ユニットの動作>
次に、走行ユニット10の動作を
図1、
図2に基づいて説明する。
図1に示すように、エンジン3を駆動することにより油圧ポンプ4及びチャージポンプ6を駆動する。油圧ポンプ4が駆動されることにより、例えば第1主油路15に作動油を吐出するとともに第2主油路16から作動油が吸入される。これにより、第1主油路15における作動油の圧力が第2主油路16における作動油の圧力より高くなる。この結果、走行ユニット10の油圧モータ17が回転される。
【0044】
油圧モータ17が回転されることにより走行用履帯が駆動され、機械車両が走行、又は排土板により排土作業等を行われる。機械車両の走行中又は排土作業中等では、例えばエンジン3はフルスロットル(エンジン全開)に保持されている。
【0045】
図2は、油圧システム1で消費されるエンジン3のトルクをコントローラ24により制御する例を説明するブロック図である。
図1、
図2に示すように、エンジン回転数計7によってエンジン回転数が計測される。この回転数は、コントローラ24にエンジン回転数信号として入力される。コントローラ24は、入力されたエンジン回転数信号に基づいて許容エンジントルク値(請求項における、液圧機器の許容負荷、許容エンジントルク値の一例)を設定する。
【0046】
許容エンジントルク値は、予め定められてコントローラ24に記憶されている。許容エンジントルク値は、例えばエンジン回転数に対応して設定されるエンジン3の最大トルクである。
さらに、コントローラ24は、入力されたエンジン回転数信号に基づいてチャージポンプ6による作動油の流量(すなわち、チャージポンプ流量)を算出する。
【0047】
第1圧力センサ21によって、第1主油路15における作動油の第1圧力(請求項における、液圧ポンプの吐出圧力の一例)が計測される。第1圧力は、コントローラ24に第1圧力信号として入力される。
第2圧力センサ22によって、第2主油路16における作動油の第2圧力(請求項における、液圧ポンプの吸入圧力の一例)が計測される。第2圧力は、コントローラ24に第2圧力信号として入力される。
モータ回転数計18によって、油圧モータ17のモータ回転数が計測される。この回転数は、コントローラ24にモータ回転数信号として入力される。
【0048】
コントローラ24は、入力されたモータ回転数信号に基づいて油圧モータ17における作動油の流量(すなわち、油圧モータ17の流量)を算出する。この状態で、コントローラ24は、第1圧力、第2圧力、及び油圧モータ17の流量に基づいて油圧システム1の負荷を算出する。算出された油圧システム1の負荷によりエンジン3のトルクが消費される。以下、算出された油圧システム1の負荷により消費されるエンジントルクを、エンジントルク算出値(請求項における、計測した液圧機器の負荷、エンジントルク算出値の一例)として説明する。
【0049】
コントローラ24は、設定した許容エンジントルク値と算出したエンジントルク算出値とを比較する。エンジントルク算出値は、機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジン3に過負荷が発生した場合、許容エンジントルク値を上回る、又は超えることが予期される。以下、「許容エンジントルク値を上回る、又は超える」を「許容エンジントルク値を上回る」と略記することがある。
コントローラ24は、許容エンジントルク値とエンジントルク算出値とを比較して、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回ることが予期される場合、必要なトルク減衰量としてエンジントルク低減必要量を算出する。
【0050】
コントローラ24は、エンジントルク低減必要量及びチャージポンプ流量に基づいて、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回ることを抑えるために必要な電磁比例弁開度(すなわち、必要電磁比例弁開度)を算出する。コントローラ24は、必要電磁比例弁開度の出力信号を電磁比例弁20に送る。電磁比例弁20は、コントローラ24からの出力信号に基づいて作動油の流量を調整するように制御される。
【0051】
ここで、第1主油路15の作動圧が第2主油路16の作動圧より高く設定されている。このため、低圧選択弁19は、第1主油路15の作動圧によりスプールが矢印A方向(
図1参照)に移動する。低圧選択弁19のスプールが矢印A方向に移動することにより、第2主油路16の作動圧が低圧選択弁19を経て電磁比例弁20に導かれる。
【0052】
電磁比例弁20は、コントローラ24からの出力信号に基づいて作動油の流量を調整するように制御されている。このため、電磁比例弁20に導かれた第2主油路16の作動油が電磁比例弁20からタンク油路26を経てタンク12に還流される。これにより、油圧システム1のチャージ油路8における第2主油路16側の作動油の圧力を低下させることができる。
【0053】
チャージ油路8おける作動油の圧力を低下させることにより、容量制御器5の特性により油圧ポンプ4の斜板の傾転角が制御される。これにより、油圧ポンプ4から作動油を吐出する流量を減少させる。すなわち、油圧ポンプ4の流量を電磁比例弁20の調整により減少させることができる。
【0054】
この結果、エンジントルク算出値を減少させることができる。したがって、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回ることを好適に抑えることができる。
このため、機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジン3に過負荷が発生した場合、エンジンが停止することや、エンジンの回転数が低下することを抑制できる。以下、エンジンの停止を「エンジン停止」、エンジンの回転数をエンジン回転数ということがある。
【0055】
以上説明したように、実施形態の油圧システム1(液圧機器)の制御方法では、コントローラ24は、エンジントルク算出値(油圧システム1の計測負荷)と許容エンジントルク値(油圧システム1の許容負荷)とを比較して油圧ポンプ4の流量(吐出流量、容量)を制御している。
このため、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回ることが予期される場合に、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回ることを応答性良く抑えることができる。
【0056】
より具体的には、コントローラ24は、エンジントルク算出値と許容エンジントルク値とを比較して電磁比例弁20を調整することにより、油圧ポンプ4の流量(吐出流量、容量)を減少させるように制御する。このため、機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジン3に過負荷が発生した場合、エンジン停止することやエンジン回転数が低下することを好適に抑制できる。
【0057】
エンジントルク算出値は、第1圧力、第2圧力、及び油圧モータ17の流量に基づいて算出される。油圧モータ17の流量は、モータ回転数計18で計測したモータ回転数に基づいて算出されている。第1圧力を計測する第1圧力センサ21、第2圧力を計測する第2圧力センサ22、及びモータ回転数を計測するモータ回転数計18は、走行ユニット10にまとめて設けられている。このため、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、及びモータ回転数計18を油圧モータ17とともに油圧モータユニット10として一体にまとめることが可能である。
よって、走行ユニット(すなわち、油圧モータユニット)10を実施形態の油圧ポンプ4に限らないで、他の油圧ポンプにも適用することが可能になる。走行ユニット10の用途の拡大を図ることができる。
【0058】
許容エンジントルク値をエンジン回転数に対応させて設定するようにした。このため、例えば許容エンジントルク値をエンジン3の仕様に基づいて一定の値に設定する場合に比べて許容エンジントルク値の精度を高めることができる。これにより、機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジン3に過負荷が発生した場合、エンジン停止することやエンジン回転数が低下することを好適に抑制できる。
【0059】
エンジントルク算出値と許容エンジントルク値とを比較し、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回ることが予期される場合、油圧ポンプ4の流量を電磁比例弁20の調整により減少させるようにした。
電磁比例弁20は走行ユニット10にまとめて設けられている。このため、電磁比例弁20を油圧モータ17とともに油圧モータユニット10として一体にまとめることが可能である。すなわち、走行ユニット(すなわち、油圧モータユニット)10で油圧ポンプ4の流量を減少させる構成を確保できる。これにより、走行ユニット10を実施形態の油圧ポンプ4に限らないで、他の油圧ポンプにも適用することが可能になる。走行ユニット10の用途の拡大を図ることができる。
【0060】
電磁比例弁20によって油圧ポンプ4の流量を制御するようにした。このため、本実施形態のように、油圧モータ17、電磁比例弁20、低圧選択弁19等がまとめられたHST式の油圧システム1に用いられる(HST式の回路用の)油圧ポンプ4では、外付けの部品を設けて油圧ポンプ4の流量を制御する必要がない。走行ユニット10の単体で油圧ポンプ4の流量を制御することが可能になる。
より具体的には、油圧ポンプ4の流量を電磁比例弁20の調整により減少させるようにした。このため、電磁比例弁20で作動油の流量を調整することにより、油圧ポンプ4の流量を減少させることができる。これにより、油圧ポンプ4の流量を応答性良く減少させることができる。
【0061】
さらに、油圧ポンプ4は、例えば機械車両の通常走行中に、容量制御器5により制御されている。これにより、通常走行中における容量制御器5による制御に対して、電磁比例弁20で作動油の流量を調整して油圧ポンプ4の流量を減少させる制御が重複、干渉することを回避でき制御の簡素化が図れる。
【0062】
以下、実施形態の油圧システム1の第1変形例から第3変形例について説明する。
【0063】
[第1変形例]
実施形態では、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回ることが予期される場合に、チャージ油路8おける作動油の圧力を電磁比例弁20で低下させることにより容量制御器5で油圧ポンプ4の流量を減少させる方法について説明した。しかしながらこれに限られるものではない。例えば、エンジントルク算出値が許容エンジントルク値を上回ることが予期される場合に、コントローラ24から出力する信号で容量制御器5を直接制御してもよい。
【0064】
容量制御器5をコントローラで直接制御することにより、油圧ポンプ4の斜板を直接調整できる。このため、油圧ポンプ4の斜板を調整する際の応答性を高めることできる。これにより、油圧ポンプ4の流量を一層応答性良く減少させることができる。したがって、機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジン3に過負荷が発生した場合、エンジン停止することやエンジン回転数が低下することを一層好適に抑制できる。
【0065】
[第2変形例]
実施形態では、エンジントルク算出値を第1圧力、第2圧力、及びモータ回転数に基づいて算出する方法について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、エンジントルク算出値の算出に作動油の温度(請求項における、液体温度の一例)を考慮してもよい。
【0066】
例えば、電磁比例弁20を経てタンク12に戻される作動油は、温度変化に応じて流量が変化することが考えられる。そこで、
図2に示すチャージ油路8における電磁比例弁20の上流側の油路に、想像線で示す温度計30を設けるようにした。また、温度計30をコントローラ24に接続した。温度計30としては、例えば熱電対等が使用される。
【0067】
温度計30は、電磁比例弁20の上流側の油路での作動油の温度を計測する。温度計30は、計測した作動油の温度をコントローラ24に作動油の温度信号として入力する。コントローラ24は、第1圧力、第2圧力、及びモータ回転数とともに、作動油の温度を考慮してエンジントルク算出値を算出する。このため、エンジントルク算出値(すなわち、油圧システム1の負荷により消費されるエンジントルク)を一層精度よく算出できる。
【0068】
このエンジントルク算出値を許容エンジントルク値と比較してエンジントルク低減必要量を算出する。さらに、エンジントルク低減必要量及びチャージポンプ流量に基づいて必要電磁比例弁開度を算出する。算出した必要電磁比例弁開度の出力信号に基づいて電磁比例弁20における作動油の流量を調整する。電磁比例弁20の調整により油圧ポンプ4の流量を減少させる。これにより、機械車両の走行中又は排土作業中等に、エンジン3に過負荷が発生した場合、エンジン停止することやエンジン回転数が低下することを一層精度よく抑制できる。
【0069】
[第3変形例]
実施形態では、低圧選択弁19の下流側に電磁比例弁20を接続した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、低圧選択弁19の下流側に電磁比例弁20に加えてフラッシングバルブ32を接続してもよい。
【0070】
低圧選択弁19は、第1主油路15及び第2主油路16での作動圧が高い方が設定値を上回る場合、作動圧が低い方の作動油をフラッシングバルブ32に導く。フラッシングバルブ32は、低圧選択弁19から導かれた作動圧が低い方の作動油(請求項における作動液の一例)をタンク12に還流する。このように、作動油をフラッシングバルブ32からタンク12に戻すことにより、第1主油路15及び第2主油路16における作動油の熱を外部に逃がして作動油の温度を好適に保つことができ、作動油の冷却効果を高めることができる。
【0071】
本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の実施形態では、油圧システム1に走行ユニット10及び油圧ポンプ4を1組だけ設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば油圧システム1に走行ユニット10及び油圧ポンプ4を2組以上備えることも可能である。また、油圧ポンプ4は、例えばタンデムポンプ等のように複数系統を一体型とすることも可能である。
【0072】
上述の実施形態では、油圧ポンプ4として斜板式ポンプを使用した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば油圧ポンプ4として斜板式ポンプ以外のポンプを採用することも可能である。
【0073】
上述の実施形態では、油圧システム1は、例えば走行ユニット10、油圧ポンプ4、容量制御器5、チャージリリーフバルブ9をそれぞれ別体に構成した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば走行ユニット10、油圧ポンプ4、容量制御器5、チャージリリーフバルブ9の一部を一体型にすることや、走行ユニット10、油圧ポンプ4、容量制御器5、チャージリリーフバルブ9の全てを一体型にすることも可能である。
【0074】
上述の実施形態では、油圧モータ17を備えたユニットを走行ユニット10として機械車両を走行させる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば油圧モータ17を備えたユニットを機械車両の旋回体を旋回させる等の他の駆動ユニットとして使用することも可能である。
【0075】
上述の実施形態では、エンジン回転数計7で計測したエンジン回転数に対応させて許容エンジントルク値を設定する方法について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えばエンジン3を操作する操作部(すなわち、操作ペダル、ジョイステックレバー等)の操作量に対応させて許容エンジントルク値を設定してもよい。この場合、操作部の操作量を操作量センサにより計測して、操作量信号をエンジン回転数信号の代わりにコントローラ24に入力する。これにより、エンジン回転数に対応させて許容エンジントルク値を設定した場合と同様に、許容エンジントルク値の精度を高めることができる。
【0076】
上述の実施形態では、例えば個別のコントローラ24、モータ回転数計18、電磁比例弁20、第1圧力センサ21、及び第2圧力センサ22を走行ユニット10内にまとめた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えばコントローラ24を電磁比例弁20、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、及びモータ回転数計のいずれかに対して一体型とすることも可能である。又は、コントローラ24を他のコントローラに対して一体型とすることも可能である。
【0077】
上述の実施形態では、走行ユニット10内にコントローラ24、電磁比例弁20、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、及びモータ回転数計18を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば走行ユニット10外にコントローラ24、電磁比例弁20、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、及びモータ回転数計18を設けることも可能である。この場合、コントローラ24、電磁比例弁20、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、及びモータ回転数計18を後付けにより設けることも可能である。
【0078】
上述の実施形態では、1つの走行ユニット10にコントローラ24を1つ備え、1つのコントローラ24で電磁比例弁20、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、及びモータ回転数計18を制御する方法について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば2つ以上の走行ユニットに備えた電磁比例弁20、第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、及びモータ回転数計18を1つのコントローラ24により集中制御することも可能である。
【0079】
上述の実施形態では、走行ユニット10内における低圧選択弁19の下流側に電磁比例弁20を1つ設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば電磁比例弁20を第1主油路15と、第2主油路16と、にそれぞれ想像線で示すように接続することも可能である。この場合、低圧選択弁19を不要にできる。
【0080】
上述の実施形態では、モータ回転数計18によりモータ回転数を計測する方法について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば油圧モータ17に備えた減速機25の出力回転数を出力回転数計で計測して、計測した出力回転数計をモータ回転数に代えることも可能である。
【0081】
上述の実施形態では、走行ユニット10における油圧モータ17に減速機25及びブレーキをそれぞれ一体に備えた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば油圧モータ17、減速機25、及びブレーキをそれぞれ別体で備えることも可能である。
【0082】
上述の実施形態では、コントローラ24内の各種信号や計算にデジタルフィルタを適用する例について説明していない。しかしながらこれに限られるものではなく、例えばコントローラ24内の各種信号や計算にデジタルフィルタを適用することも可能である。
【0083】
上述の実施形態では、油圧システム1は、例えば図示しない油圧ショベル等の機械車両に設けられる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな機械車両や、機械車両の他のさまざまな油圧機器に、油圧システム1を採用することができる。
【0084】
上述の実施形態では、液圧機器として、作動油を用いた油圧システム1について説明した。液圧機器の液体として作動油を例に説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、作動油以外のさまざまな液体を用いた液圧機器に、油圧システム1の構成を採用することができる。
【0085】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【0086】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0087】
1…油圧システム(液圧機器)
3…エンジン
4…油圧ポンプ(液圧ポンプ)
17…油圧モータ(液圧モータ)
20…電磁比例弁(制御弁)
30…温度計
32…フラッシングバルブ