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  • 特開-草刈機用刃 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088100
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】草刈機用刃
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/535 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A01D34/535
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203094
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000204239
【氏名又は名称】株式会社 太陽
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】武智 洋実
(72)【発明者】
【氏名】吉良川 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】土居 照明
(72)【発明者】
【氏名】三宮 豊章
(72)【発明者】
【氏名】山崎 優二
(72)【発明者】
【氏名】池田 健一
(72)【発明者】
【氏名】湯原 光治
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA12
2B083BA16
2B083KA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】雑草を刈り取ったり、刈り取った雑草を細かく粉砕したりするために、トラクタの後部などに取り付けられる草刈機に装着して使用する草刈機用刃において、一の部材から折り曲げて形成されながら、破損しにくいという耐久性に優れた草刈機用刃を提供することを目的とする。
【解決手段】一の板部材が折り曲げられて形成され、草刈機の回動軸に固定具を介して揺動自在に取り付けられる草刈機用刃であって、固定具を挿通する挿通孔11が穿設され、折り曲げられた折曲部12により板部材が対向して形成された基部1と、折曲部12から刃先21に向かって間隔が広くなりながら二分岐する第一稜線R1と第二稜線R2が形成され、第一稜線R1と第二稜線R2に挟まれた面を有する刃部2を備え、折曲部12が前記基部1の天面1aより突出して形成された突設部3を有することを特徴とする草刈機用刃とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の板部材が折り曲げられて形成され、草刈機の回動軸(A)に固定具(F)を介して揺動自在に取り付けられる草刈機用刃であって、
前記固定具(F)を挿通する挿通孔(11)が穿設され、折り曲げられた折曲部(12)により前記板部材が対向して形成された基部(1)と、
前記折曲部(12)から刃先(21)に向かって間隔が広くなりながら二分岐する第一稜線(R1)と第二稜線(R2)が形成され、前記第一稜線(R1)と前記第二稜線(R2)に挟まれた面を有する刃部(2)を備え、
前記折曲部(12)が前記基部(1)の天面(1a)より突出して形成された突設部(3)を有することを特徴とする草刈機用刃。
【請求項2】
前記突設部(3)が、前記板部材の厚み(t):前記突設部(3)の高さ(3h)=1:0.03~10となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の草刈機用刃。
【請求項3】
前記基部(1)は、折り曲げられて対向する板部材が一部接合されて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の草刈機用刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草を刈り取ったり、刈り取った雑草を細かく粉砕したりするために、トラクタの後部などに取り付けられるフレールモアやハンマーナイフモアなどと呼ばれる草刈機に装着して使用する草刈機用刃に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記草刈機に装着して使用される草刈機用刃は、2つの刃を1組として使用する複数の種類が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、回転軸体に設けられた爪被取付部に着脱可能に取り付けられ、断面「ヘ」字状をなす2枚の板刃部材が1組として略Y字状となり使用される刈爪が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、取付部材によって刈刃ホルダーに自由回動可能に設けられ、互いの接触面で接する2つの分割半部からなり、2つの分割半部が、それぞれ接触面を対称軸面として左右対称な形状である一枚の板状体からなり、それぞれの板状体は、接触面部の下方部を接触面から反対側横方向および前方向へ順次それぞれ略90度ずつ捻られてなる形状を有し、回転方向に向いた板状体先端辺を平面的な前刃として形成するフレールモアの刈刃が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2009-089660号公報
【特許文献2】特開2009-268444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された刈爪では、それぞれの刃先も略「ヘ」字状であり、1組として略Y字状となっているのため、地面に対して刃先が斜めとなっており、一部の雑草を根元から刈ることができないという課題があった。特許文献2に開示された刈刃では、刃先が地面に対して略水平であることから前記課題については解決しているものの、2つの分割半部が、それぞれ接触面を対称軸面として左右対称な形状である一枚の板状体からなり、それぞれの板状体は、接触面部の下方部を接触面から反対側横方向および前方向へ順次それぞれ略90度ずつ捻られてなる形状を有しているため、2つの分割半部が刈取り作業中に開いてしまうと、接触面同士にできた隙間に雑草などが入り、雑草を刈るときに均一に刈ることができないなどのおそれがあった。
【0007】
また、その他に、特許文献2に開示された刈刃の正面側が接続されたような、一の板部材を折り曲げて刃先が地面に対して略平行となる形状を有する草刈機用刃もイチョウ形爪などと称されて市販されているが、草刈機の回動軸が高速で回転しているために草刈り作業中にさまざまな強い衝撃力が加わっており使用時間が長くなるにつれ折り曲げた部分から亀裂が入り壊れるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明では、雑草を刈り取ったり、刈り取った雑草を細かく粉砕したりするために、トラクタの後部などに取り付けられるフレールモアやハンマーナイフモアなどと呼ばれる草刈機に装着して使用する草刈機用刃において、一の部材から折り曲げて形成されながら、破損しにくいという耐久性に優れた草刈機用刃を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔1〕すなわち、本発明は、一の板部材が折り曲げられて形成され、草刈機の回動軸(A)に固定具(F)を介して揺動自在に取り付けられる草刈機用刃であって、前記固定具(F)を挿通する挿通孔(11)が穿設され、折り曲げられた折曲部(12)により前記板部材が対向して形成された基部(1)と、前記折曲部(12)から刃先(21)に向かって間隔が広くなりながら二分岐する第一稜線(R1)と第二稜線(R2)が形成され、前記第一稜線(R1)と前記第二稜線(R2)に挟まれた面を有する刃部(2)を備え、前記折曲部(12)が前記基部(1)の天面(1a)より突出して形成された突設部(3)を有することを特徴とする草刈機用刃である。
【0010】
〔2〕そして、前記突設部(3)が、前記板部材の厚み(t):前記突設部(3)の高さ(3h)=1:0.03~10となるように形成されることを特徴とする前記〔1〕に記載の草刈機用刃である。
【0011】
〔3〕そして、前記基部(1)は、折り曲げられて対向する板部材が一部接合されて形成されていることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の草刈機用刃である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の耕耘爪は、雑草を刈り取ったり、刈り取った雑草を細かく粉砕したりするために、トラクタの後部などに取り付けられるフレールモアやハンマーナイフモアなどと呼ばれる草刈機に装着して使用する草刈機用刃において、一の部材から折り曲げて形成されながら、破損しにくいという耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本件発明の草刈機用刃の実施形態における斜視図である。
図2】本件発明の草刈機用刃の実施形態における正面図である。
図3】本件発明の草刈機用刃の実施形態における右側面図である。
図4】本件発明の草刈機用刃の実施形態における平面図である。
図5】本件発明の草刈機用刃の実施形態における回動軸Aに固定具Fを介して揺動自在に取り付けた状態を示す参考図である。
図6図5の回動軸Aの軸方向に垂直な面で切断したときの断面図である。
図7】本件発明の草刈機用刃の実施例1における解析試験にて、荷重負荷方向および応力集中の確認箇所を示す斜視図である。
図8】草刈機用刃の比較例1における解析試験にて、荷重負荷方向および応力集中の確認箇所を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る草刈機用刃に関する実施の形態について、添付の図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。また、説明中の上下方向とは、図2における上下方向であり、前方向とは、図2における紙面手前方向であり、後方向とは、図2における紙面奥方向である。また、「~」の記号を用いて表す数値範囲において、上限及び下限の数値はその範囲に含まれるものである。
【0015】
本発明に係る草刈機用刃は、前述したように、トラクタの後部などに取り付けられる草刈機に装着されて使用される。具体的には、草刈機には、混載される動力源によって回動する円筒状などの回動軸Aが設けられている。その回動軸Aの表面から、一対の板状のブラケットBが対向して立設している。そして、一対のブラケットBのそれぞれには、貫通した孔が穿設されており、その孔に固定部Fの棒状部を挿通することで、固定部Fを一対のブラケットBに取り付けることができる。さらに、固定部Fの略U字状の基材部に、本発明の草刈機用刃を挿通することで、本発明の草刈機用刃を、固定具Fに取り付けることができる。このようにして、本発明の草刈機用刃は、草刈機の回動軸Aに固定具Fを介して揺動自在に取り付けられる。なお、一対のブラケットBが所定の間隔を開けて回動軸Aの表面に複数設けられているため、本発明の草刈機用刃もまた回動軸Aの表面に複数設けられることとなる。
【0016】
また、本実施形態において、固定具Fは、図5および図6に示すように、略U字状の基材部と、その基材部の開口端側を挿通し螺子部を有する棒状部を備えており、固定部Fの略U字状の基材部に、本発明の草刈機用刃を挿通することで、本発明の草刈機用刃を、固定具Fに取り付けることができるが、他の実施形態において、本発明の草刈機用刃を草刈機の回動軸Aに固定具Fを介して揺動自在に取り付けられる限りにおいて、基材部を「コ」字状としたりV字状としたり、或いは基材部がなく棒状部のみとしたり、種々の形状とすることができる。
【0017】
本発明の草刈機用刃は、一の板部材が折り曲げられて形成されている。具体的には、一の板部材の上部がおおよそ半分に折り曲げられるとともに、下部が前方に張り出すように湾曲されるなどして形成される。草刈機用刃の使用時に掛かる応力を分散して破損しにくくするために、種々折り曲げられたり湾曲されたりする部分は、尖った形状ではなく緩やかな曲面形状とすることが好ましい。
【0018】
草刈機用刃に用いられる板部材としては、鋼、鉄、チタンないしはチタン合金、アルミ合金などの金属により形成されていることが好ましい。また、本発明の草刈機用刃は、厚みtが1~10mmの板部材から形成されていることが好ましく、2~7mmの板部材から形成されていることがさらに好ましく、2.5~5mmの板部材から形成されていることがもっとも好ましい。草刈機用刃に用いられる板部材が金属からなり前記厚みの範囲であると、草刈機の回動軸Aに固定具Fを介して揺動自在に取り付けられて雑草を刈るときに、小石などと当接しても容易に破損することがないし、草刈機用刃として適度な質量を有することとなり回動軸Aの回動によって生じる遠心力によって雑草を切断することができる。草刈機用刃に用いられる板部材には、防錆などの目的で塗料、メッキなどが表面に付されていてもよい。
【0019】
本発明の草刈機用刃の基部1は、固定具Fを挿通する挿通孔11が穿設され、折り曲げられた折曲部12により板部材が対向して形成された部分である。挿通孔11に固定具Fが挿通されることで、草刈機用刃が固定具Fに対して動くことができる状態で取付けられる。なお、挿通孔11は、一の板部材が折り曲げられる前に穿設されていてもよいし、折り曲げられてから穿設されてもよい。また、挿通孔11は、本実施形態において、上下方向に長い長孔であるが、他の実施形態において、固定具Fよりも大きく固定具Fに対して動くことができる状態であれば、円形、楕円形などの形状とすることができる。
【0020】
また、基部1は、本実施形態において、折り曲げられた折曲部12により対向する板部材が0.1~1mm程度の間隔を有しており当接していないが、他の実施形態において、その対向する板部材が溶接などにより一部接合されていてもよい。
【0021】
刃部2は、折曲部12から刃先21に向かって間隔が広くなりながら二分岐する第一稜線R1と第二稜線R2が形成され、第一稜線R1と第二稜線R2に挟まれた面を有する部分である。刃部2は、刃部2の下方端に位置する刃先21が最も前方に張り出している曲面形状を有している。刃先21により、本発明の草刈機用刃が草刈機の回動軸Aに固定具Fを介して取り付けられると、地面に対して略水平となるため、雑草を根元から刈ることができ、さらに、刈り取った雑草を細かく粉砕することもできる。刃先21は、雑草を刈りやすく、粉砕しやすくするために、鋭角に形成されていることが好ましい。
【0022】
刃部2は、本実施形態において、緩やかに湾曲して形成された第一稜線R1と第二稜線R2により、図2などに示すように、イチョウの形状、左右が内側に向かって窪んだ三角形の形状、ないしは略T字を逆さまにした逆略T字の形状を有しているが、左右の2辺が外側に向かって膨出した三角形、略半円形などの形状としてもよい。
【0023】
突設部3は、折曲部12が基部1の天面1aより上方に突出して形成された部分である。突設部3により、突設部3がない草刈機用刃に比べると、破損しにくい優れた耐久性を有している。突設部3は、上辺の略中央が突出した一の板部材をその略中央を折り曲げて形成されてもよいし、上辺が平坦である一の板部材をその略中央を折り曲げてから、プレス切断、レーザー切断やグラインダー加工などにより形成されてもよい。
【0024】
突設部3の高さ3hは、図3に示すように、基部1の天面1aから、より具体的には天面1aの頂部からの上下方向の高さである。突設部3の高さ3hは、本発明の草刈機用刃を形成する板部材の厚みtと突設部3の高さ3hとの比において、(板部材の厚みt):(突設部3の高さ3h)=(1):(0.03~10)となるように形成されることが好ましく、(1):(0.1~7.0)となるように形成されることがより好ましく、(1):(0.3~5.0)となるように形成されることであることがもっとも好ましい。本実施形態において、草刈機用刃を形成する板部材の厚みtが3.2mmであり、突設部3の高さ3hは、3mmであるため、(板部材の厚みt):(突設部3の高さ3h)=1:0.94であった。本発明の草刈機用刃を形成する板部材の厚みtと突設部3の高さ3hとの比がこの範囲であると、草刈機用刃を使用しているときに、折曲部12の天面1a側で亀裂が生じにくくなり、草刈機の回動軸Aや固定具Fなどと干渉を防止し、さらに、草刈機用刃としての重心バランスを保つことができる。なお、突設部3は、図3などに示すように、本実施形態において、略台形状の形状を有しているが、他の実施形態において、略台形状以外に、略三角形状、略四角形状、略扇状などの形状としてもよい。また、本実施形態を示す図3において、天面1aの形状は直線と曲線とが組み合わされた形状であるが、他の実施形態において、直線のみより示される形状であったり、曲線のみより示される形状であったりしてもよい。
【0025】
突設部3の前後方向の長さである幅3wは、草刈機用刃を形成する板部材の厚みt以上であり基部1の前後方向の長さである幅1Wの3分の2以下であることが好ましく、板部材の厚みtの1.1倍以上であり基部1の幅1Wの5分の3以下であることがより好ましく、板部材の厚みtの1.5倍以上であり基部1の幅1Wの2分の1以下であることがもっとも好ましい。突設部3の幅3wがこの範囲であると、草刈機用刃の使用しているときに、折曲部12の天面1a側で亀裂が生じにくくなる。
【0026】
側部4は、図4などに示すように、基部1の下方に位置し、第一稜線R1や第二稜線R2を介して刃部2の後ろ側に位置する部分である。側部4により、草刈機用刃を使用しているときに刃部2に掛かる応力を分散および吸収しながら刃部2を支持して刃部2の破損や変形を防ぐことができる。また、側部4は、草刈機用刃の右側面または左側面において、湾曲開始線Lを境に基部1と連続して形成されている。
【0027】
〔解析試験〕
本実施形態の草刈機用刃では、折曲部12が基部1の天面1aより突出して形成された突設部3が設けられているが、突設部3が設けられていない比較例に比べて、折曲部12の天面1a側に加わる応力がどの程度変化するかをコンピュータ解析により確認した。具体的には、Parametric Technology Corporation社のPro ENGINEERを用いて、図7及び図8に示すように、草刈機用刃の使用時に掛かる衝撃力の反力の方向(矢印の方向)に刃先21の両側において5kNの荷重を掛けて、基部1の挿通孔11近傍の淵のうち右側面の折曲部12側を変位しない不動域frとしたときに、折曲部12の天面1a側であるα部及びβ部に掛かる応力を算出した。α部及びβ部は、実際に草刈機用刃を使用したときに、応力が集中し亀裂が入り破損しやすい部分であり、その亀裂が成長して折曲部12の上下方向下向きに伸びて破損するなどして草刈機用刃を使用することができなくなる。そして、突設部3の高さ3hを変更した草刈機用刃についても同様に解析を行った。その結果を表1に示す。なお、比較例1において、突設部3の高さ3hが-5~0mmとなっているのは、図8に示すように、基部1の天面1aが折曲部12に向かって緩やかに湾曲しているため、天面1aの頂部における水平方向の接線から計測すると上記の幅を有しているからである。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に示すように、突起部3を有する実施例1~実施例7の草刈機用刃は、実際に亀裂が入り破損しやすい部分であるα部において、突起部3を有していない比較例1の草刈機用刃のβ部に比べて、応力が大きく緩和されており、草刈の使用時に破損しにくい優れた耐久性を有していることが分かった。
【0030】
〔実地試験〕
次に、実際に、突起部3を有する実施例1の草刈機用刃と突起部3がない比較例1の草刈機用刃を、草刈機の回動軸Aに固定具Fを介して揺動自在に取り付けて草刈を行い、所定の時間ごとに亀裂等の状況を確認した。具体的には、図5に示すように、回動軸Aの軸方向に沿って所定の間隔で6個の実施例1の草刈機用刃を、草刈機の回動軸Aに固定具Fを介して揺動自在に取り付け、同様に、回動軸Aの軸方向に沿って同様の間隔で6個の比較例1の草刈機用刃を、同じ回動軸Aの異なる位置に固定具Fを介して揺動自在に取り付けて、石などが散在し雑草が生い茂る耕作地において草刈を約35時間行い、適時亀裂等の状況を目視にて確認した。実施例1および比較例1の6個の草刈機用刃をそれぞれ1~6と番号をつけ、α部における亀裂が全く見られないものを○、α部における亀裂が見られるものを△、亀裂が折曲部12の上下方向の下向きに成長しているものを×と評価した。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
表2に示すように、草刈の時間が経過すると、実施例1の草刈機用刃は、比較例1の草刈機用刃に比べて亀裂が生じにくく、亀裂が成長しにくいことが分かった。具体的には、試験を開始してから35.6時間後において、実施例1の草刈機用刃は、1個だけα部における亀裂が見られたものの残りの5個では亀裂が全く見られず、比較例1の草刈機用刃は、3個がβ部における亀裂が見られ残りの3個がβ部に留まらずに折曲部12の上下方向の下向きにまで亀裂の成長が見られた。これらの結果は、上述した解析試験の結果をよく支持するものであった。
【符号の説明】
【0033】
1・・・基部
11・・・挿通孔
12・・・折曲部
1a・・・天面
1W・・・基部1の幅
2・・・刃部
21・・・刃先
3・・・突設部
3w・・・突設部3の幅
3h・・・突設部3の高さ
4・・・側部
R1・・・第一稜線
R2・・・第二稜線
A・・・回動軸
F・・・固定具
B・・・ブラケット
t・・・草刈機用刃を形成する板部材の厚み
L・・・湾曲開始線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8